JP2011193571A - 回転電機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の電磁鋼板21から形成されるステータ2は、コイル3を収容するスロット23を有する。ステータ2の径方向内側にロータが回転可能に設けられる。ステータ2とケース5との微小隙間にオイルの流れる外側流路53が形成される。複数の電磁鋼板21は、径方向に異なる位置に板厚方向に通じる孔24を有する。複数の電磁鋼板21の孔24が軸方向に連通することで、外側流路53とスロット23とを連通する第1連通溝25がステータ2に形成される。これにより、オイルは外側流路53から第1連通溝25を通りスロット23に流入する。このため、コイル3とステータ2との間の熱抵抗を小さくすることができる。また、電磁鋼板21が連通溝によって周方向に分断されることが無いので、ステータ2の強度的な信頼性を保つことができる。
【選択図】図3
Description
一般に、コイルの発生する熱を液体を用いて冷却する液冷式の回転電機では、ステータから突出するコイルエンドにオイルを滴下している。このオイルは、コイルエンドの表面を経由し、絶縁体と電磁鋼板との隙間、又は絶縁体とコイルとの隙間に供給される。これにより、コイルとステータとの間の熱抵抗が小さくなり、コイルから発せられるジュール熱がオイルを伝熱し、ステータへ放熱される。
また、他の目的は、製造コストを低減することの可能な回転電機を提供することにある。
さらに、ステータの第1連通溝は、複数の電磁鋼板の板厚方向に通じる孔により形成される。このため、特許文献1のように電磁鋼板が冷却油路によって周方向に分断されることが無い。このため、ステータの強度的な信頼性を保つことができる。
また、ステータの第1連通溝は、スペーサ等の部材を使用すること無く、電磁鋼鈑に孔を設け、この孔を軸方向に連通することによって形成することができるので、製造コストを低減することができる。
2×(a+t)×σcosθ≧a×t×b×ρ×g
の関係を満たすように形成される。
また、毛細管現象によりスロットへ供給される冷却媒体の量を調節することで、スロットからロータ側へ冷却媒体が漏出することを抑制することができる。したがって、ステータとロータとの間に冷却媒体が浸入することが抑制され、流体のせん断抵抗によるトルク損失を抑制することができる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による回転電機を図1〜図8に示す。本実施形態の回転電機1は、ブラシレスモータであり、図1及び図2に示すように、ステータ2、コイル3、ロータ4及びケース5等を備えている。
ステータ2は、複数の電磁鋼板21を積層して筒状に形成されている。ステータ2は、軸方向に延びる複数のティース22、及びこの複数のティース22の間に形成されるスロット23を有する。
コイル3は、各ティース22に巻回され、スロット23内に収容されている。なお、スロット23の内壁とコイル3との間には、絶縁体31が設けられている。絶縁体31は、絶縁紙、絶縁シート又は樹脂等により構成される。
ステータ2の径方向外側の外壁とケース5の内壁とが嵌め合わされることで、ステータ2はケース5に固定される。
この構成により、コイル3に通電されるとステータ2は回転磁界を形成し、ロータ4及びシャフト42がステータ2及びケース5に対し正逆回転する。
コイルエンド32に滴下されたオイルは、コイルエンド32の表面を伝わり、電磁鋼板21と絶縁体31との隙間、又はコイル3と絶縁体31との隙間に浸入する。また、オイルは、ケース5の内壁とステータ2の径方向外側の外壁との間に形成された微小隙間である外側流路53を毛細管現象により浸入する。
ここで、電磁鋼板21の板厚をt(m)、電磁鋼板21の孔24の幅をa(m)、ステータ2のコアバック28の長さ(第1連通溝25の径方向の長さ)をb(m)、オイルの表面張力をσ(N/m)、電磁鋼板21の孔24の内壁とオイルとの接触角をθ、オイルの密度をρ(kg/m3)、重力加速度をg(m/s2)とする。
ステータ2の第1連通溝25は、下記の式を満たすように形成される。
2×(a+t)×σcosθ≧a×t×b×ρ×g
なお、上記式の左辺はオイルの表面張力による駆動力Fσを示し、右辺はオイルの重力Fgを示している。
図7では、境界線Pよりも紙面左側で、重力Fgが表面張力Fσよりも小さい。このため、孔24の幅aは、a0以下に設定すればよい。
図8では、境界線Qよりも紙面左側で、重力Fgが表面張力Fσよりも小さい。このため、ステータ2のコアバック28の長さbは、b0以下に設定すればよい。
これにより、重力方向下側にステータ2のコアバック28があり、重力方向上側にスロット23がある場合であっても、スロット23にオイルを供給することができる。つまり、周方向の全てのスロット23にオイルを供給することができる。
ここで、第1比較例の回転電機のステータを図12及び図13に示す。
比較例では、図12に示すように、ステータ200を構成する電磁鋼板201に径方向に延びる冷却油路202が形成されている。また、図13に示すように、冷却油路202を形成した電磁鋼板201を各スロット203に対応させるため、それぞれの電磁鋼板201を周方向に位置決めして積層している。
このため、比較例では、電磁鋼板201が冷却油路202によって周方向に分断され、ステータ200の強度が低下するおそれがある。また、全てのスロット203に対応して電磁鋼板201に冷却油路202を設けると、ステータ200の強度が大幅に低下するおそれがある。さらに、電磁鋼板201を周方向に位置決めして積層しなければならないので、加工工数が増大することが懸念される。
第1実施形態では、複数の電磁鋼板21に設けた孔24を軸方向に連通し、外側流路53とスロット23とを連通する第1連通溝25をステータ2に形成している。このため、外側流路53を流れるオイルが第1連通溝25を通りスロット23に流入する。これにより、コイル3とステータ2との間の熱抵抗が小さくなり、コイル3の放熱性を向上することができる。このように、ステータ2の冷却性能を高めることで、ジュール熱によりコイル抵抗が大きくなることが抑制される。これにより、回転電機1の回転性能を向上することができる。また、コイル3の被膜の耐熱性超過による絶縁不良を抑制することができる。
また、第1実施形態では、第1連通溝25を形成する一組の電磁鋼板21には、ステータ2の全てのスロット23に対応するように孔24が設けられている。このため、電磁鋼板21の周方向の位置決めをすること無く、一組の電磁鋼板21により全てのスロット23にオイルを供給することが可能である。このため、第1比較例のように、電磁鋼板を周方向に位置決めして積層する必要が無い。したがって、電磁鋼板21を組付ける加工工数を低減することができる。
また、毛細管現象によりスロット23へ供給されるオイルの量を調節することで、スロット23からロータ4側へオイルが漏出することを抑制することができる。したがって、ステータ2とロータ4との間にオイルが浸入することが抑制され、流体のせん断抵抗によるトルク損失を抑制することができる。
本発明の第2実施形態による回転電機を図9〜図11に示す。
図9は、ステータ2及びコイル3の要部を拡大した平面図である。図10は、ステータ2のスロット23の内壁を形成する電磁鋼板21の拡大図である。図11は、ステータ2及びコイル3の要部を拡大した断面図である。
図9及び図10に示すように、ステータ2のスロット23の内壁を形成する電磁鋼板21の内壁には、軸方向に延びる第2連通溝26が形成されている。第2連通溝26の内径は、電磁鋼板21の軸方向の側に形成された面取り部27よりも小さく形成されている。
第2連通溝26は、例えば研磨などにより各電磁鋼板21に形成される。なお、第2連通溝26は、電磁鋼板21を積層した後に形成しても良い。この場合、複数の電磁鋼板21に形成される第2連通溝26は、軸方向に直線状になる。
ここで、第2比較例の回転電機のステータ及びコイルの要部を拡大した断面図を図14に示す。
比較例では、絶縁体31と電磁鋼板Fの内壁とが接触している。このため、コイルエンド32の表面から電磁鋼板21と絶縁体との隙間に軸方向の一方から浸入したオイルは、接触箇所211で流通が制限される。これにより、接触箇所211の軸方向の他方に空気層212が形成される。したがって、コイル3と電磁鋼板21との間の熱抵抗が大きくなり、コイル3の熱をステータ2に放熱することが困難になる。
第2実施形態では、絶縁体31と電磁鋼板21の内壁との接触箇所でオイルの流通が制限されることなく、電磁鋼板21と絶縁体31との間に充満する。したがって、ステータ2の冷却性能を高めることができる。
また、第2連通溝26は、例えば研磨などにより形成することが可能であるので、ステータ2の製造コストを低減することができる。
上述した実施形態では、回転電気としてブラシレスモータについて説明した。これに対し、本発明は、ブラシレスモータ以外の電動機、又は発電機としての回転電気に適用してもよい。
上述した実施形態では、第1層目の電磁鋼板Aから第5層目の電磁鋼板Eまでの5枚が一組となって第1連通溝25を形成した。これに対し、本発明は、2枚以上の電磁鋼板が一組となって第1連通溝を形成すればよい。また、第1連通溝を形成する電磁鋼板は一組以上あればよい。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、各実施形態を組み合わせることに加え、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
Claims (6)
- 複数のティース及び隣り合う前記ティースの間に形成される複数のスロットを有し、複数の電磁鋼板を積層して筒状に形成されるステータと、
前記ステータの前記スロット内に収容され、前記ティースに巻回されるコイルと、
前記ステータの径方向内側に回転可能に設けられ、異種の磁極を周方向に交互に有するロータと、
前記ステータの径外側に冷却媒体の流れる外側流路を形成するケースと、を備え、
複数の前記電磁鋼板は、それぞれ径方向に異なる位置に板厚方向に通じる孔を有し、
前記ステータは、複数の前記電磁鋼板の前記孔を軸方向に連通することで、前記外側流路と前記スロットとを連通する第1連通溝を形成することを特徴とする回転電機。 - 前記ステータの前記第1連通溝は、前記外側流路の冷却媒体を毛細管現象を利用して前記スロットへ供給することが可能な大きさに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
- 前記電磁鋼板の板厚をt(m)、前記電磁鋼板の孔の幅をa(m)、前記ステータの前記第1連通溝の径方向の長さをb(m)、冷却媒体の表面張力をσ(N/m)、前記電磁鋼板の前記孔の内壁と冷却媒体との接触角をθ(°)、冷却媒体の密度をρ(kg/m3)、重力加速度をg(m/s2)とすると、
前記ステータの前記第1連通溝は、
2×(a+t)×σcosθ≧a×t×b×ρ×g
の関係を満たすように形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の回転電機。 - 前記ステータの前記スロットを形成する前記電磁鋼板の内壁は、軸方向に延びる第2連通溝を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転電機。
- 前記第2連通溝の内径は、前記ステータの前記スロットを形成する前記電磁鋼板の内壁の軸方向の側に形成された面取り部よりも小さいことを特徴とする請求項4に記載の回転電機。
- 複数のティース及び隣り合う前記ティースの間に形成される複数のスロットを有し、複数の電磁鋼板を積層して筒状に形成されるステータと、
前記ステータの前記スロット内に収容され、前記ティースに巻回されるコイルと、
前記ステータの径方向内側に回転可能に設けられ、異種の磁極を周方向に交互に有するロータと、
前記ステータの前記スロットから軸方向に前記コイルが突出するコイルエンドに冷却媒体を供給する冷却媒体供給手段と、を備え、
前記ステータの前記スロットを形成する前記電磁鋼板の内壁は、軸方向に延びる第2連通溝を有することを特徴とする回転電機。
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