JP2011192951A - 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】絶縁性が高くリーク電流の発生を抑制することができ且つ環境負荷の少ない液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】ノズル開口に連通する圧力発生室と、圧電体層と前記圧電体層に設けられた電極とを備えた圧電素子と、を具備し、前記圧電体層は、鉄酸マンガン酸ビスマスとチタン酸ビスマスカリウムを含むペロブスカイト構造を有する複合酸化物である液体噴射ヘッドとする。
【選択図】図12
【解決手段】ノズル開口に連通する圧力発生室と、圧電体層と前記圧電体層に設けられた電極とを備えた圧電素子と、を具備し、前記圧電体層は、鉄酸マンガン酸ビスマスとチタン酸ビスマスカリウムを含むペロブスカイト構造を有する複合酸化物である液体噴射ヘッドとする。
【選択図】図12
Description
本発明は、ノズル開口に連通する圧力発生室に圧力変化を生じさせ、圧電体層と圧電体層に電圧を印加する電極を有する圧電素子を具備する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関する。
液体噴射ヘッドに用いられる圧電素子としては、電気的機械変換機能を呈する圧電材料、例えば、結晶化した誘電材料からなる圧電体層を、2つの電極で挟んで構成されたものがある。このような圧電素子は、例えば撓み振動モードのアクチュエーター装置として液体噴射ヘッドに搭載される。液体噴射ヘッドの代表例としては、例えば、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴として吐出させるインクジェット式記録ヘッドがある。
このような圧電素子を構成する圧電体層(圧電セラミックス)として用いられる圧電材料には高い圧電特性が求められており、代表例として、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が挙げられる(特許文献1参照)。
しかしながら、環境問題の観点から、鉛の含有量を抑えた圧電材料が求められている。鉛を含有しない圧電材料としては、例えば、化学組成がx[(BiaK1-a)TiO3]−(1−x)[BiFeO3](但し、0.3≦x≦0.8,0.4<a<0.6)で表される圧電セラミックスが開示されている(特許文献2参照)。
この特許文献2に記載された圧電セラミックスは、膜厚が厚いいわゆるバルクのものであり、この材料を薄膜にすると、絶縁性が低くリーク電流が発生してしまうため、液体噴射ヘッドに使用し難いという問題がある。なお、このような問題は、インクを吐出するインクジェット式記録ヘッドだけではなく、勿論、インク以外の液滴を吐出する他の液体噴射ヘッドにおいても、同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、絶縁性が高くリーク電流の発生を抑制することができ且つ環境負荷の少ない液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、ノズル開口に連通する圧力発生室と、圧電体層と前記圧電体層に設けられた電極とを備えた圧電素子と、を具備し、前記圧電体層は、鉄酸マンガン酸ビスマスとチタン酸ビスマスカリウムを含むペロブスカイト構造を有する複合酸化物であることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、鉄酸マンガン酸ビスマスとチタン酸ビスマスカリウムを含むペロブスカイト構造を有する複合酸化物からなる圧電材料を圧電体層とすることにより、絶縁性が高くリーク電流の発生を抑制することができる。また、鉛の含有量を抑えられるため、環境への負荷を低減できる。
かかる態様では、鉄酸マンガン酸ビスマスとチタン酸ビスマスカリウムを含むペロブスカイト構造を有する複合酸化物からなる圧電材料を圧電体層とすることにより、絶縁性が高くリーク電流の発生を抑制することができる。また、鉛の含有量を抑えられるため、環境への負荷を低減できる。
そして、前記鉄酸マンガン酸ビスマスと前記チタン酸ビスマスカリウムのモル比である鉄酸マンガン酸ビスマス/チタン酸ビスマスカリウムが、0.42以上1.5以下であることが好ましい。これによれば、確実にリーク電流の発生を抑制することができる。
また、前記圧電体層は、厚さが2μm以下の薄膜であることが好ましい。これによれば、薄膜の圧電体層を有する液体噴射ヘッドを提供できる。
本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。かかる態様では、絶縁性が高くリーク電流の発生を抑制することができる液体噴射ヘッドを有するため、絶縁破壊が防止され信頼性に優れた液体噴射装置となる。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図であり、図3は図2のA−A′線断面図である。図1〜図3に示すように、本実施形態の流路形成基板10は、シリコン単結晶基板からなり、その一方の面には二酸化シリコンからなる弾性膜50が形成されている。
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図であり、図3は図2のA−A′線断面図である。図1〜図3に示すように、本実施形態の流路形成基板10は、シリコン単結晶基板からなり、その一方の面には二酸化シリコンからなる弾性膜50が形成されている。
流路形成基板10には、複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14及び連通路15を介して連通されている。連通部13は、後述する保護基板のリザーバー部31と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバーの一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。なお、本実施形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。本実施形態では、流路形成基板10には、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15からなる液体流路が設けられていることになる。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、例えば、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板、ステンレス鋼等からなる。
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、酸化チタン等からなり、弾性膜50等の第1電極60の下地との密着性を向上させるための密着層56が設けられている。なお、弾性膜50と密着層56との間に、必要に応じて酸化ジルコニウム等からなる絶縁体膜が形成されていてもよい。
さらに、この密着層56上には、第1電極60と、厚さが2μm以下、好ましくは1〜0.3μmの薄膜である圧電体層70と、第2電極80とが、積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。本実施形態では、第1電極60を圧電素子300の共通電極とし、第2電極80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエーター装置と称する。なお、上述した例では、弾性膜50、密着層56、第1電極60及び必要に応じて設ける絶縁体膜が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、弾性膜50や密着層56を設けなくてもよい。また、圧電素子300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
そして、本発明においては、圧電体層70を構成する圧電材料は、鉄酸マンガン酸ビスマス(例えばBi(Fe,Mn)O3)とチタン酸ビスマスカリウム(例えば(Bi,K)TiO3)を含むペロブスカイト構造を有する複合酸化物である。なお、ペロブスカイト構造、すなわち、ABO3型構造のAサイトは酸素が12配位しており、また、Bサイトは酸素が6配位して8面体(オクタヘドロン)をつくっている。このAサイトにBi及びKが、BサイトにFe、Mn及びTiが位置している。すなわち、鉄酸マンガン酸ビスマスとチタン酸ビスマスカリウムを含むペロブスカイト構造を有する複合酸化物は、鉄酸マンガン酸ビスマスとチタン酸ビスマスカリウムが均一に固溶した固溶体といえる。なお、鉄酸マンガン酸ビスマス(BFM)とチタン酸ビスマスカリウム(BKT)の割合は、BFM/BKT(モル比)が、0.42以上1.5以下であることが好ましい。
このように、圧電体層70を構成する圧電材料を、鉄酸マンガン酸ビスマスとチタン酸ビスマスカリウムを含むペロブスカイト構造を有する複合酸化物とすると、後述する実施例に示すように、絶縁性が高くなりリーク電流を抑制することができる。
なお、このような圧電体層70は、後述する実施例に示すように、25℃における比誘電率を300以上、さらには500以上にすることができる。したがって、圧電特性(歪み量)が良好である。
このような圧電素子300の個別電極である各第2電極80には、インク供給路14側の端部近傍から引き出され、密着層56上にまで延設される、例えば、金(Au)等からなるリード電極90が接続されている。
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上、すなわち、第1電極60、密着層56及びリード電極90上には、リザーバー100の少なくとも一部を構成するリザーバー部31を有する保護基板30が接着剤35を介して接合されている。このリザーバー部31は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバー100を構成している。また、流路形成基板10の連通部13を圧力発生室12毎に複数に分割して、リザーバー部31のみをリザーバーとしてもよい。さらに、例えば、流路形成基板10に圧力発生室12のみを設け、流路形成基板10と保護基板30との間に介在する部材(例えば、弾性膜50、密着層56等)にリザーバー100と各圧力発生室12とを連通するインク供給路14を設けるようにしてもよい。
また、保護基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子保持部32は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、貫通孔33内に露出するように設けられている。
また、保護基板30上には、並設された圧電素子300を駆動するための駆動回路120が固定されている。この駆動回路120としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路120とリード電極90とは、ボンディングワイヤー等の導電性ワイヤーからなる接続配線121を介して電気的に接続されている。
また、このような保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料からなり、この封止膜41によってリザーバー部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、比較的硬質の材料で形成されている。この固定板42のリザーバー100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバー100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドIでは、図示しない外部のインク供給手段と接続したインク導入口からインクを取り込み、リザーバー100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路120からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの第1電極60と第2電極80との間に電圧を印加し、弾性膜50、密着層56、第1電極60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
次に、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドの製造方法の一例について、図4〜図8を参照して説明する。なお、図4〜図8は、圧力発生室の長手方向の断面図である。
まず、図4(a)に示すように、シリコンウェハーである流路形成基板用ウェハー110の表面に弾性膜50を構成する二酸化シリコン(SiO2)等からなる二酸化シリコン膜を熱酸化等で形成する。次いで、図4(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜)上に、酸化チタン等からなる密着層56を、反応性スパッタ法や熱酸化等で形成する。
次に、図5(a)に示すように、密着層56上に、白金、イリジウム、酸化イリジウム又はこれらの積層構造等からなる第1電極60をスパッタリング法等により全面に形成した後パターニングする。
次いで、第1電極60上に、圧電体層70を積層する。圧電体層70の製造方法は特に限定されないが、例えば、有機金属化合物を溶媒に溶解・分散した溶液を塗布乾燥し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、MOD(Metal−Organic Decomposition)法やゾル−ゲル法等の化学溶液法を用いて圧電体層70を形成できる。その他、レーザアブレーション法、スパッタリング法、パルス・レーザー・デポジション法(PLD法)、CVD法、エアロゾル・デポジション法などでもよい。
圧電体層70の具体的な形成手順例としては、まず、図5(b)に示すように、第1電極60上に、有機金属化合物、具体的には、Bi、Fe、Mn、Ti、Kを含有する有機金属化合物を、目的とする組成比になる割合で含むゾルやMOD溶液(前駆体溶液)をスピンコート法などを用いて、塗布して圧電体前駆体膜71を形成する(塗布工程)。
塗布する前駆体溶液は、Bi、Fe、Mn、Ti、Kをそれぞれ含む有機金属化合物を、各金属が所望のモル比となるように混合し、該混合物をアルコールなどの有機溶媒を用いて溶解または分散させたものである。Bi、Fe、Mn、Ti、Kをそれぞれ含む有機金属化合物としては、例えば、金属アルコキシド、有機酸塩、βジケトン錯体などを用いることができる。Biを含む有機金属化合物としては、例えば2−エチルヘキサン酸ビスマスなどが挙げられる。Feを含む有機金属化合物としては、例えば2−エチルヘキサン酸鉄などが挙げられる。Mnを含む有機金属化合物としては、例えば2−エチルヘキサン酸マンガンなどが挙げられる。Tiを含有する有機金属化合物としては、例えばチタニウムイソプロポキシド、2−エチルヘキサン酸チタン、チタン(ジ−i−プロポキシド)ビス(アセチルアセトナート)などが挙げられる。Kを含む有機金属化合物としては、例えば2−エチルヘキサン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸バリウム、酢酸カリウム、カリウムアセチルアセトナートなどが挙げられる。
次いで、この圧電体前駆体膜71を所定温度(例えば100〜200℃)に加熱して一定時間乾燥させる(乾燥工程)。次に、乾燥した圧電体前駆体膜71を所定温度(例えば350〜450℃)に加熱して一定時間保持することによって脱脂する(脱脂工程)。なお、ここで言う脱脂とは、圧電体前駆体膜71に含まれる有機成分を、例えば、NO2、CO2、H2O等として離脱させることである。乾燥工程や脱脂工程の雰囲気は限定されず、大気中でも不活性ガス中でもよい。
次に、図5(c)に示すように、圧電体前駆体膜71を所定温度、例えば600〜800℃程度に加熱して一定時間保持することによって結晶化させ、圧電体膜72を形成する(焼成工程)。この焼成工程においても、雰囲気は限定されず、大気中でも不活性ガス中でもよい。
なお、乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程で用いられる加熱装置としては、例えば、赤外線ランプの照射により加熱するRTA(Rapid Thermal Annealing)装置やホットプレート等が挙げられる。
次に、図6(a)に示すように、圧電体膜72上に所定形状のレジスト(図示無し)をマスクとして例えば第1電極60及び圧電体膜72の1層目をそれらの側面が傾斜するように同時にパターニングする。
次いで、レジストを剥離した後、上述した塗布工程、乾燥工程及び脱脂工程や、塗布工程、乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程を所望の膜厚等に応じて複数回繰り返して複数の圧電体膜72からなる圧電体層70を形成することで、図6(b)に示すように複数層の圧電体膜72からなる所定厚さの圧電体層70を形成する。例えば、塗布溶液の1回あたりの膜厚が0.1μm程度の場合には、例えば、10層の圧電体膜72からなる圧電体層70全体の膜厚は約1.1μm程度となる。なお、本実施形態では、圧電体膜72を積層して設けたが、1層のみでもよい。
このように圧電体層70を形成した後は、図7(a)に示すように、圧電体層70上に白金等からなる第2電極80をスパッタリング法等で形成し、各圧力発生室12に対向する領域に圧電体層70及び第2電極80を同時にパターニングして、第1電極60と圧電体層70と第2電極80からなる圧電素子300を形成する。なお、圧電体層70と第2電極80とのパターニングでは、所定形状に形成したレジスト(図示なし)を介してドライエッチングすることにより一括して行うことができる。その後、必要に応じて、600℃〜800℃の温度域でポストアニールを行ってもよい。これにより、圧電体層70と第1電極60や第2電極80との良好な界面を形成することができ、かつ、圧電体層70の結晶性を改善することができる。
次に、図7(b)に示すように、流路形成基板用ウェハー110の全面に亘って、例えば、金(Au)等からなるリード電極90を形成後、例えば、レジスト等からなるマスクパターン(図示なし)を介して各圧電素子300毎にパターニングする。
次に、図7(c)に示すように、流路形成基板用ウェハー110の圧電素子300側に、シリコンウェハーであり複数の保護基板30となる保護基板用ウェハー130を接着剤35を介して接合した後に、流路形成基板用ウェハー110を所定の厚さに薄くする。
次に、図8(a)に示すように、流路形成基板用ウェハー110上に、マスク膜52を新たに形成し、所定形状にパターニングする。
そして、図8(b)に示すように、流路形成基板用ウェハー110をマスク膜52を介してKOH等のアルカリ溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチング)することにより、圧電素子300に対応する圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15等を形成する。
その後は、流路形成基板用ウェハー110及び保護基板用ウェハー130の外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハー110の保護基板用ウェハー130とは反対側の面のマスク膜52を除去した後にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、保護基板用ウェハー130にコンプライアンス基板40を接合し、流路形成基板用ウェハー110等を図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドIとする。
以下、実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まず、(100)に配向したシリコン基板の表面に熱酸化により膜厚1070nmの二酸化シリコン膜を形成した。次に、二酸化シリコン膜上にRFスパッタ法により膜厚40nmのチタン膜を形成し、熱酸化することで酸化チタン膜を形成した。次に、酸化チタン膜上にDCスパッタ法により膜厚130nmの白金膜形成し、(111)に配向した第1電極とした。
まず、(100)に配向したシリコン基板の表面に熱酸化により膜厚1070nmの二酸化シリコン膜を形成した。次に、二酸化シリコン膜上にRFスパッタ法により膜厚40nmのチタン膜を形成し、熱酸化することで酸化チタン膜を形成した。次に、酸化チタン膜上にDCスパッタ法により膜厚130nmの白金膜形成し、(111)に配向した第1電極とした。
次いで、第1電極上に圧電体層をスピンコート法により形成した。その手法は以下のとおりである。まず、Bi、K、Fe、Mn、Tiのキシレン、オクタンおよびブタノール溶液を所定の割合で混合して、前駆体溶液を調製した。そしてこの前駆体溶液を酸化チタン膜及び第1電極が形成された上記基板上に滴下し、3000rpmで基板を回転させて圧電体前駆体膜を形成した(塗布工程)。次に150℃で2分、400℃で4分間乾燥・脱脂を行った(乾燥及び脱脂工程)。この塗布工程・乾燥及び脱脂工程を3回繰り返した後に、Rapid Thermal Annealing(RTA)で650℃、5分間焼成を行った(焼成工程)。この塗布工程・乾燥及び脱脂工程を3回繰り返した後に一括して焼成する焼成工程を行う工程を3回繰り返し、計9回の塗布により全体で厚さ900nmの圧電体層を形成した。
その後、圧電体層上に、第2電極としてDCスパッタ法により膜厚100nmの白金膜を形成した後、RTAを用いて650℃、5分間焼成を行うことで、Bi(Fe0.97,Mn0.03)O3及び(Bi0.5,K0.5)TiO3含むペロブスカイト構造を有する複合酸化物であって、鉄酸マンガン酸ビスマス/チタン酸ビスマスカリウム、すなわちBi(Fe0.97,Mn0.03)O3/(Bi0.5,K0.5)TiO3がモル比で1.50であるものを圧電体層とする圧電素子を形成した。
(実施例2〜6) Bi、K、Fe、Mn、Tiのキシレン、オクタンおよびブタノール溶液の混合割合を変更し、表1に示す鉄酸マンガン酸ビスマス/チタン酸ビスマスカリウム(モル比)の鉄酸マンガン酸ビスマスとチタン酸ビスマスカリウムを含むペロブスカイト構造を有する複合酸化物を圧電体層70とした以外は、実施例1と同様にして、圧電素子300を形成した。
(比較例1) 原料として酸化ビスマス、酸化鉄、炭酸カリウム、酸化チタンの固体粉末を用い、固相法によりセラミックスを作製した。この手法は以下の通りである。まず、前述の原料を、モル比でBi:Fe:K:Ti=70:40:30:60になるように混合した後、前述の混合粉末と等量のエタノールと原料の4倍量のジルコニアボールを加え、24時間混合・粉砕を行った。その後、ジルコニアボールを取り除いた後に、乾燥を行い、混合粉末を得た。この混合粉末を電気炉で700℃に加熱することで、仮焼成粉末を得た。この仮焼成粉にバインダーとしてポリビニルアルコール(PVA)を2.5重量%添加し混合した後に、プレス成型により直径1mmのペレットを作製した。このペレットを仮焼成粉で被い、700℃で脱バインダー処理を行った後、1060℃で焼成することで、セラミックスペレットを得た。このペレットを研磨した後、スクリーン印刷により銀電極を塗布し、700℃で焼き付けることで、電極を具備したセラミックスを得た。
(試験例1)
実施例1〜6の圧電素子について、Bruker AXS社製の「D8 Discover」を用い、X線源にCuKα線を使用し、室温で、圧電体層の粉末X線回折パターンを求めた。その結果、全ての実施例1〜6において、ABO3型構造に起因するピークと基板由来のピークのみが観測され、異相は観測されなかった。
実施例1〜6の圧電素子について、Bruker AXS社製の「D8 Discover」を用い、X線源にCuKα線を使用し、室温で、圧電体層の粉末X線回折パターンを求めた。その結果、全ての実施例1〜6において、ABO3型構造に起因するピークと基板由来のピークのみが観測され、異相は観測されなかった。
(試験例2)
実施例1〜6の圧電素子について、東陽テクニカ社製「FCE−1A」で、φ=400μmの電極パターンを使用し、室温で周波数1kHzにて、分極量と電界の関係(P−E曲線)を求めた。この結果、全ての実施例において、強誘電性に由来する良好なヒステリシスを示した。結果の一例として、実施例1を図9(a)に、実施例3を図9(b)に、実施例5を図9(c)に示す。なお、図9に示すように、チタン酸ビスマスカリウムの増加に伴い、ヒステリシスが細くなっていた。
実施例1〜6の圧電素子について、東陽テクニカ社製「FCE−1A」で、φ=400μmの電極パターンを使用し、室温で周波数1kHzにて、分極量と電界の関係(P−E曲線)を求めた。この結果、全ての実施例において、強誘電性に由来する良好なヒステリシスを示した。結果の一例として、実施例1を図9(a)に、実施例3を図9(b)に、実施例5を図9(c)に示す。なお、図9に示すように、チタン酸ビスマスカリウムの増加に伴い、ヒステリシスが細くなっていた。
(試験例3)
実施例1〜6の圧電素子について、アグザクト社製の変位測定装置(DBLI)を用い室温で、φ=500μmの電極パターンを使用し、周波数1kHzの電圧を印加して、電界誘起歪―電界強度の関係を求めた。実施例1を図10(a)に、実施例2を図10(b)に、実施例3を図10(c)に、実施例4を図10(d)に、実施例5を図10(e)に、実施例6を図10(f)に示す。この結果、図10に示すように、全ての実施例において、良好に変位していた。したがって、リーク電流は小さいといえる。
実施例1〜6の圧電素子について、アグザクト社製の変位測定装置(DBLI)を用い室温で、φ=500μmの電極パターンを使用し、周波数1kHzの電圧を印加して、電界誘起歪―電界強度の関係を求めた。実施例1を図10(a)に、実施例2を図10(b)に、実施例3を図10(c)に、実施例4を図10(d)に、実施例5を図10(e)に、実施例6を図10(f)に示す。この結果、図10に示すように、全ての実施例において、良好に変位していた。したがって、リーク電流は小さいといえる。
(試験例4)
実施例1〜6の各圧電素子について、J−E Curveを、ヒューレットパッカード社製「4140B」を用い、室温で測定した。なお、測定はφ=300μmの電極パターンを使用した。この結果、すべての実施例において、電流密度が小さく、リークが抑制されていることが分かる。結果の一例として、実施例1、実施例3及び実施例5の結果を図11に示す。
実施例1〜6の各圧電素子について、J−E Curveを、ヒューレットパッカード社製「4140B」を用い、室温で測定した。なお、測定はφ=300μmの電極パターンを使用した。この結果、すべての実施例において、電流密度が小さく、リークが抑制されていることが分かる。結果の一例として、実施例1、実施例3及び実施例5の結果を図11に示す。
(試験例5)
実施例1〜6の圧電素子について、試験例2の分極量と電界の関係(P−E曲線)から、抗電界ECを求めた。鉄酸マンガン酸ビスマス/チタン酸ビスマスカリウム(モル比)に対して抗電界ECをプロットした図を、図12に示す。図12に示すように、実施例1〜6全てにおいて、抗電界ECが164kVcm-1未満となっているため、164kVcm-1以上の電界となる電圧を印加すれば、インクジェット式記録ヘッドを駆動できるといえる。例えば、抗電界ECが200kVcm-1未満なので、1μm厚の薄膜では、20Vの電圧(中間電位)で分極可能であり、インクジェット式記録ヘッドを駆動できることが分かる。また、実施例3及び実施例4はECが100kVcm-1未満となっているため、この組成近傍では2μm厚の薄膜においても、20Vの中間電位で分極可能であることが分かる。なお、実施例では後述する比較例1と比較して、抗電界が大きくなっているが、これは界面、応力、結晶性等の要因によって薄膜で抗電界が大きくなる薄膜特有の現象である。
実施例1〜6の圧電素子について、試験例2の分極量と電界の関係(P−E曲線)から、抗電界ECを求めた。鉄酸マンガン酸ビスマス/チタン酸ビスマスカリウム(モル比)に対して抗電界ECをプロットした図を、図12に示す。図12に示すように、実施例1〜6全てにおいて、抗電界ECが164kVcm-1未満となっているため、164kVcm-1以上の電界となる電圧を印加すれば、インクジェット式記録ヘッドを駆動できるといえる。例えば、抗電界ECが200kVcm-1未満なので、1μm厚の薄膜では、20Vの電圧(中間電位)で分極可能であり、インクジェット式記録ヘッドを駆動できることが分かる。また、実施例3及び実施例4はECが100kVcm-1未満となっているため、この組成近傍では2μm厚の薄膜においても、20Vの中間電位で分極可能であることが分かる。なお、実施例では後述する比較例1と比較して、抗電界が大きくなっているが、これは界面、応力、結晶性等の要因によって薄膜で抗電界が大きくなる薄膜特有の現象である。
(試験例6)
実施例1〜6の各圧電素子について、ヒューレットパッカード社製「4294A」を用い、φ=500μmの電極パターンを使用し、室温(25℃)で周波数1kHzにて、圧電体層の比誘電率を測定した。鉄酸マンガン酸ビスマス/チタン酸ビスマスカリウム(モル比)に対して比誘電率εrをプロットした図を、図13に示す。この結果、図13に示すように、比誘電率は300以上と高く、また、実施例1〜4では500以上であった。また、比誘電率は組成比に対し極大を持っており、BFM/BKT=1.00(実施例3)の時、最大値511を示した。これは鉄酸ビスマス(BFO)の3倍以上の比誘電率である。
実施例1〜6の各圧電素子について、ヒューレットパッカード社製「4294A」を用い、φ=500μmの電極パターンを使用し、室温(25℃)で周波数1kHzにて、圧電体層の比誘電率を測定した。鉄酸マンガン酸ビスマス/チタン酸ビスマスカリウム(モル比)に対して比誘電率εrをプロットした図を、図13に示す。この結果、図13に示すように、比誘電率は300以上と高く、また、実施例1〜4では500以上であった。また、比誘電率は組成比に対し極大を持っており、BFM/BKT=1.00(実施例3)の時、最大値511を示した。これは鉄酸ビスマス(BFO)の3倍以上の比誘電率である。
(試験例7)
実施例1〜6の圧電素子について、試験例3のアグザクト社製の変位測定装置(DBLI)の測定結果から、圧電歪みSmax/Emaxで、圧電定数d33を求めた。鉄酸マンガン酸ビスマス/チタン酸ビスマスカリウム(モル比)に対してd33をプロットした図を、図14に示す。
実施例1〜6の圧電素子について、試験例3のアグザクト社製の変位測定装置(DBLI)の測定結果から、圧電歪みSmax/Emaxで、圧電定数d33を求めた。鉄酸マンガン酸ビスマス/チタン酸ビスマスカリウム(モル比)に対してd33をプロットした図を、図14に示す。
(試験例8)
比較例1のセラミックスについて、東陽テクニカ社製「FCE−1A」を用い、シリコンオイル中で、室温で10kHzにて測定し、分極量と電界の関係(P−E曲線)を求めた。結果を図15に示す。図15に示すように、強誘電性に由来する良好なヒステリシスが観測された。なお、抗電界ECは、14kVcm-1であった。
比較例1のセラミックスについて、東陽テクニカ社製「FCE−1A」を用い、シリコンオイル中で、室温で10kHzにて測定し、分極量と電界の関係(P−E曲線)を求めた。結果を図15に示す。図15に示すように、強誘電性に由来する良好なヒステリシスが観測された。なお、抗電界ECは、14kVcm-1であった。
また、比較例1のセラミックスについて、室温のシリコンオイル中で、3分間、50kVcm-1の直流電界を印加することで、分極処理を行った。なお、分極処理に使用した電界は、図15のP−E曲線より、分極処理に十分な電界である。
この分極処理した比較例1のセラミックスの圧電特性を、中国科学院製「ピエゾd33メーター」を使用し、分極方向の圧電定数(d33)によって評価した。なお、測定は室温で行った。また、上記中国科学院製「ピエゾd33メーター」は、圧力により誘起された分極量を測定することで、圧電定数を測定するものである。この結果、比較例1の圧電定数はd33=36pCN-1であった。これは、特許文献2における電圧印加により誘起された歪から求めた圧電定数の1/5程度の値であり、比較例1のセラミックスは、一般的な分極処理では分極を保持できないことを示している。したがって、インクジェット式記録ヘッドに使用し難いことが分かった。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、流路形成基板10として、シリコン単結晶基板を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、SOI基板、ガラス等の材料を用いるようにしてもよい。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、流路形成基板10として、シリコン単結晶基板を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、SOI基板、ガラス等の材料を用いるようにしてもよい。
また、これら実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図16は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
図16に示すインクジェット式記録装置IIにおいて、インクジェット式記録ヘッドIを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラーなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
なお、上述した実施形態では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
また、本発明は、インクジェット式記録ヘッドに代表される液体噴射ヘッドに搭載される圧電素子に限られず、超音波発信機等の超音波デバイス、超音波モーター、圧力センサー、焦電センサー等他の装置に搭載される圧電素子にも適用することができる。また、本発明は強誘電体メモリー等の強誘電体素子にも同様に適用することができる。
I インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 II インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 リザーバー部、 32 圧電素子保持部、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 60 第1電極、 70 圧電体層、 80 第2電極、 90 リード電極、 100 リザーバー、 120 駆動回路、 300 圧電素子。
Claims (4)
- ノズル開口に連通する圧力発生室と、
圧電体層と前記圧電体層に設けられた電極とを備えた圧電素子と、を具備し、
前記圧電体層は、鉄酸マンガン酸ビスマスとチタン酸ビスマスカリウムを含むペロブスカイト構造を有する複合酸化物であることを特徴とする液体噴射ヘッド。 - 前記鉄酸マンガン酸ビスマスと前記チタン酸ビスマスカリウムのモル比である鉄酸マンガン酸ビスマス/チタン酸ビスマスカリウムが、0.42以上1.5以下であることを特徴とする請求項1に記載する液体噴射ヘッド。
- 前記圧電体層は、厚さが2μm以下の薄膜であることを特徴とする請求項1または2に記載する液体噴射ヘッド。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載する液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
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