JP5729507B2 - 圧電素子及び超音波デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、ノズル開口に連通する圧力発生室に圧力変化を生じさせ、圧電体層と圧電体層に電圧を印加する電極を有する圧電素子を具備する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関する。
液体噴射ヘッドに用いられる圧電素子としては、電気的機械変換機能を呈する圧電材料、例えば、結晶化した誘電材料からなる圧電体層を、2つの電極で挟んで構成されたものがある。このような圧電素子は、例えば撓み振動モードのアクチュエーター装置として液体噴射ヘッドに搭載される。液体噴射ヘッドの代表例としては、例えば、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴として吐出させるインクジェット式記録ヘッドがある。
このような圧電素子を構成する圧電体層(圧電セラミックス)として用いられる圧電材料には高い圧電特性が求められており、代表例として、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が挙げられる(特許文献1参照)。
特開2001−223404号公報
しかしながら、環境問題の観点から、鉛の含有量を抑えた圧電材料が求められている。鉛を含有しない圧電材料としては、例えばABO3で示されるペロブスカイト構造を有するBiFeO3などがあるが、BiFeO3系の圧電材料を用いると、圧電材料中に含まれるビスマスが振動板まで拡散して、ケイ素を含む材料からなる振動板に悪影響を与える場合があるという問題がある。なお、このような問題は、インクを吐出するインクジェット式記録ヘッドだけではなく、勿論、インク以外の液滴を吐出する他の液体噴射ヘッドにおいても、同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、ビスマスの振動板への拡散が防止され且つ環境負荷の少ない液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、ノズル開口に連通する圧力発生室が設けられた流路形成基板と、前記流路形成基板上に設けられ、ケイ素を含む材料からなる振動板と、前記振動板上に設けられた酸化チタン層と、前記酸化チタン層上に設けられ、ビスマスを含有するビスマス含有層と、前記ビスマス含有層上に形成され、白金からなる第1電極と、前記第1電極上に設けられ、少なくともビスマスを含有する圧電材料からなる圧電体層と、前記圧電体層上に形成された第2電極と、を具備することを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、ケイ素を含む材料からなる振動板側から順に、酸化チタン層、ビスマス含有層、白金からなる第1電極、ビスマスを含有する圧電体層という構成にすることにより、酸化チタン層及びビスマス含有層がストッパーとなって、圧電体層に含まれ白金からなる第1電極を透過したビスマスがさらに振動板へ拡散することを防ぐことができる。また、鉛の含有量を抑えられるため、環境への負荷を低減できる。
また、前記圧電材料は、鉄酸マンガン酸ビスマスランタンを含んでいてもよい。これによれば、鉄酸マンガン酸ビスマスランタンを用いた圧電材料とし、ケイ素を含む材料からなる振動板へのビスマスの拡散が防止された液体噴射ヘッドを実現できる。
また、前記圧電材料が、チタン酸バリウムやチタン酸ビスマスカリウムを含んでいてもよい。これによれば、高い圧電特性(歪み量)等の優れた特性を有する圧電素子を具備する液体噴射ヘッドとなる。
また、前記ビスマス含有層の厚さは、10nm以下であってもよい。10nm以下のビスマス含有層とその振動板側に設けられた酸化チタン層とで、ビスマスの振動板への拡散のストッパーとなる。
本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。かかる態様では、圧電体層に含まれ白金からなる第1電極を透過したビスマスがさらに振動板へ拡散することを防ぐことができるので、吐出特性に優れた液体噴射装置となる。また、鉛の含有量を抑え環境への負荷が低減された液体噴射装置を提供できる。
実施形態1に係る記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの平面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの断面図及び要部拡大断面図である。 サンプル1のP−V曲線を表す図である。 サンプル2のP−V曲線を表す図である。 サンプル3のP−V曲線を表す図である。 サンプル4のP−V曲線を表す図である。 サンプル5のP−V曲線を表す図である。 サンプル6のP−V曲線を表す図である。 サンプル7のP−V曲線を表す図である。 サンプル8のP−V曲線を表す図である。 サンプル9のP−V曲線を表す図である。 サンプル10のP−V曲線を表す図である。 サンプル11のP−V曲線を表す図である。 サンプル12のP−V曲線を表す図である。 サンプル13のP−V曲線を表す図である。 サンプル14のP−V曲線を表す図である。 サンプル15のP−V曲線を表す図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施例2のSIMS測定結果を示す図である。 実施例3のSIMS測定結果を示す図である。 実施例4のSIMS測定結果を示す図である。 圧電体層を設けていない状態のSIMS測定結果を示す図である。 実施例1のP−V曲線及びS−V曲線を示す図である。 本発明の一実施形態に係る記録装置の概略構成を示す図である。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図であり、図3は図2のA−A′断面図(図3(a))及び要部拡大図(図3(b))である。図1〜図3に示すように、本実施形態の流路形成基板10は、シリコン単結晶基板からなり、その一方の面には二酸化シリコンからなり振動板を構成する弾性膜50が形成されている。なお、弾性膜50は、二酸化シリコンに限定されず、シリコン系材料、すなわち、ケイ素を含む材料からなるものであればよい。
流路形成基板10には、複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14及び連通路15を介して連通されている。連通部13は、後述する保護基板のリザーバー部31と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバーの一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。なお、本実施形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。本実施形態では、流路形成基板10には、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15からなる液体流路が設けられていることになる。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、例えば、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板、ステンレス鋼等からなる。
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、例えば厚さ30〜50nm程度の酸化チタンからなる酸化チタン層56が設けられている。詳しくは後述するが、この酸化チタン層56は、チタンからなる層を設けこのチタンからなる層上に設けられた圧電体前駆体膜の焼成工程等で該チタンからなる層が酸化チタンとなったものではなく、圧電体前駆体膜が積層される前に予め酸化チタンとなっているものである。なお、弾性膜50と酸化チタン層56との間に、必要に応じて酸化ジルコニウム等からなる絶縁体膜が形成されていてもよい。
さらに、この酸化チタン層56上には、厚さが例えば10nm以下のビスマスを含有するビスマス含有層57が設けられている。ビスマス含有層57に特に限定はなく、ビスマスが含まれていればよいが、例えばチタン及びビスマスを含む化合物となっていてもよい。
そして、このビスマス含有層57上には、白金からなる第1電極60と、厚さが2μm以下、好ましくは1〜0.3μmの薄膜であり、詳しくは後述するが化学溶液法で作成された圧電体層70と、第2電極80とが、積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。本実施形態では、第1電極60を圧電素子300の共通電極とし、第2電極80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエーター装置と称する。
そして、本発明においては、圧電体層70は、ペロブスカイト構造を有しビスマス(Bi)を含有する圧電材料、例えば、Bi及び鉄(Fe)を含有する圧電材料からなる。なお、ペロブスカイト構造、すなわち、ABO3型構造のAサイトは酸素が12配位しており、また、Bサイトは酸素が6配位して8面体(オクタヘドロン)をつくっている。このAサイトにBiが、BサイトにFeが位置している。
このように、圧電体層70を構成する圧電材料がBiを含有する圧電材料の場合、従来においては、圧電材料中に含まれるBiが白金からなる第1電極60を透過して、弾性膜50、すなわち、ケイ素を含む材料からなる振動板まで拡散することにより、振動板の変位特性や耐久性が変わってしまい、インク等の吐出特性が悪くなる。本実施形態においては、ケイ素を含む材料からなる振動板(弾性膜50)側から順に、酸化チタン層56、ビスマス含有層57、白金からなる第1電極60、Biを含有する圧電体層70という構成にすることにより、振動板(弾性膜50)へのBiの拡散を防止でき、Biを含有しないケイ素を含む材料からなる振動板とすることができる。
なお、圧電体層70を構成するペロブスカイト構造を有しBi及びFeを含有する圧電材料としては、例えば、ペロブスカイト構造を有する鉄酸マンガン酸ビスマスや、鉄酸マンガン酸ビスマスランタン等を挙げることができる。
このペロブスカイト構造を有する鉄酸マンガン酸ビスマスランタン、すなわち、ビスマス(Bi)、ランタン(La)、鉄(Fe)及びマンガン(Mn)を含むペロブスカイト構造を有する複合酸化物は、上記のAサイトにBi及びLaが、BサイトにFe及びMnが位置しているものである。そして、鉄酸マンガン酸ビスマスランタンは、下記一般式(1)で表される組成比であることが好ましい。なお、下記一般式(1)で0.10≦x≦0.20とすることで、圧電体層70を強誘電体とすることができる。このように、強誘電体であるものを圧電体層70とすると、歪み量の制御が容易になるため、例えば圧電素子を液体噴射ヘッド等に用いた場合、吐出するインク滴サイズ等を容易に制御できる。なお、Bi、La、Fe及びMnを含むペロブスカイト構造を有する複合酸化物は、その組成比によって、強誘電体、反強誘電体、常誘電体という異なる特性を示した。下記一般式(1)の組成比を変えた圧電素子(サンプル1〜18)を作成し、25V又は30Vの三角波を印加して、P(分極量)−V(電圧)の関係を求めた結果をそれぞれ図4〜18に、また組成を表1に示す。なお、サンプル16〜18はリークが大きすぎて測定することができず、圧電材料としては使用できないものであった。図4〜14に示すように、0.10≦x≦0.20,0.01≦y≦0.09の範囲であるサンプル1〜11では、強誘電体に特徴的なヒステリシスループ形状が観測された。したがって、サンプル1〜11は、歪み量が印加電圧に対して直線的に変化するため、歪み量の制御が容易である。一方、一般式(1)において0.10≦x≦0.20,0.01≦y≦0.09の範囲外であるサンプル12〜14は、図15〜17に示すように反強誘電体に特徴的な正の電界方向と負の電界方向で2つのヒステリシスループ形状を持つダブルヒステリシスが観測されたため反強誘電体であり、サンプル15は図18に示すように常誘電体であり、また、サンプル16〜18は上述したようにリークが大きすぎで圧電材料としては使用できないものであり、サンプル12〜18のいずれも強誘電体ではなかった。
(Bi1-x,Lax)(Fe1-y,Mny)O3 (1)
(0.10≦x≦0.38,0.01≦y≦0.09)
Figure 0005729507
ここで、自発分極が互い違いに並んでいる物質である反強誘電体、すなわち、電界誘起相転移を示すものを圧電体層とした場合、一定印加電圧以上で電界誘起相転移を示し、大きな歪みを発現するため、強誘電体を超える大きな歪みを得ることが可能であるが、一定電圧以下では駆動せず、歪み量も電圧に対して直線的に変化しない。なお、電界誘起相転移とは、電場によって起こる相転移であり、反強誘電相から強誘電相への相転移や、強誘電相から反強誘電相への相転移を意味する。そして、強誘電相とは、分極軸が同一方向に並んでいる状態であり、反強誘電相とは分極軸が互い違いに並んでいる状態である。例えば、反強誘電相から強誘電相への相転移は、反強誘電相の互い違いに並んでいる分極軸が180度回転することにより分極軸が同一方向になって強誘電相になることであり、このような電界誘起相転移によって格子が膨張又は伸縮して生じる歪みが、電界誘起相転移により生じる相転移歪みである。このような電界誘起相転移を示すものが反強誘電体であり、換言すると、電場のない状態では分極軸が互い違いに並んでおり、電場により分極軸が回転して同一方向に並ぶものが反強誘電体である。このような反強誘電体は、反強誘電体の分極量Pと電圧Vの関係を示すP−V曲線において、正の電界方向と負の電界方向で2つのヒステリシスループ形状を持つダブルヒステリシスとなる。そして、分極量が急激に変化している領域が、強誘電相から反強誘電相への相転移や、反強誘電相から強誘電相への相転移している箇所である。
一方、強誘電体は、反強誘電体のようにP−V曲線がダブルヒステリシスとはならず、分極方向を一方向に揃えることで歪み量が印加電圧に対して直線的に変化する。したがって、歪み量の制御が容易なので吐出させる液滴サイズ等の制御も容易であり、微振動を発生させる小振幅振動及び大きな排除体積を発生させる大振幅振動の両者を一つの圧電素子により発生させることができる。
そして、圧電体層70は、粉末X線回折測定した際、該回折パターンにおいて、強誘電性を示す相(強誘電相)に帰属される回折ピークと、反強誘電性を示す相(反強誘電相)に帰属される回折ピークが同時に観測されることが好ましい。このように、強誘電性を示す相に帰属される回折ピークと、反強誘電性を示す相に帰属される回折ピークが同時に観測される、すなわち、反強誘電相と強誘電相の組成相境界(M.P.B.)である圧電体層70とすると、歪み量の大きな圧電素子とすることができる。また、圧電体層70は、上記一般式(1)において、0.17≦x≦0.20であることが好ましく、更に好ましくは、0.19≦x≦0.20である。この範囲では、粉末X線回折測定した際に、強誘電性を示す相(強誘電相)に帰属される回折ピークと、反強誘電性を示す相(反強誘電相)に帰属される回折ピークが同時に観測され反強誘電相と強誘電相を同時に示す。したがって、反強誘電相と強誘電相のM.P.B.であるため、歪み量の大きな圧電素子とすることができる。
また、この圧電体層70を構成する圧電材料は、さらに、ペロブスカイト構造を有するチタン酸ビスマスカリウムやチタン酸バリウムを含んでいてもよい。例えばペロブスカイト構造を有するチタン酸バリウムを含む圧電材料とすると、圧電特性(歪み量)を向上させることができる。なお、チタン酸ビスマスカリウムやチタン酸バリウムを含む場合は、AサイトにBi、K、Baが、また、BサイトにTiが位置し、鉄酸マンガン酸ビスマスなどのBi及びFeを含有する複合酸化物と、チタン酸ビスマスカリウムやチタン酸バリウムとの固溶体になっていてもよい。
このような圧電素子300の個別電極である各第2電極80には、インク供給路14側の端部近傍から引き出され、酸化チタン層56上にまで延設される、例えば、金(Au)等からなるリード電極90が接続されている。
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上、すなわち、第1電極60、酸化チタン層56及びリード電極90上には、リザーバー100の少なくとも一部を構成するリザーバー部31を有する保護基板30が接着剤35を介して接合されている。このリザーバー部31は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバー100を構成している。また、流路形成基板10の連通部13を圧力発生室12毎に複数に分割して、リザーバー部31のみをリザーバーとしてもよい。さらに、例えば、流路形成基板10に圧力発生室12のみを設け、流路形成基板10と保護基板30との間に介在する部材(例えば、弾性膜50、酸化チタン層56等)にリザーバー100と各圧力発生室12とを連通するインク供給路14を設けるようにしてもよい。
また、保護基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子保持部32は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、貫通孔33内に露出するように設けられている。
また、保護基板30上には、並設された圧電素子300を駆動するための駆動回路120が固定されている。この駆動回路120としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路120とリード電極90とは、ボンディングワイヤー等の導電性ワイヤーからなる接続配線121を介して電気的に接続されている。
また、このような保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料からなり、この封止膜41によってリザーバー部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、比較的硬質の材料で形成されている。この固定板42のリザーバー100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバー100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドIでは、図示しない外部のインク供給手段と接続したインク導入口からインクを取り込み、リザーバー100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路120からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの第1電極60と第2電極80との間に電圧を印加し、弾性膜50、酸化チタン層56、第1電極60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
次に、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドの製造方法の一例について、図19〜図23を参照して説明する。なお、図19〜図23は、圧力発生室の長手方向の断面図である。
まず、図19(a)に示すように、シリコンウェハーである流路形成基板用ウェハー110の表面にケイ素を含む材料からなる弾性膜50を構成する二酸化シリコン(SiO2)等からなる二酸化シリコン膜を熱酸化等で形成する。
次いで、図19(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜)上に、酸化チタンからなる酸化チタン層56を形成する。具体的には、例えば、スパッタ法によりチタン膜を形成した後、このチタン膜をRTA(Rapid Thermal Annealing)装置等で例えば700〜750℃程度で熱酸化することで結晶化させて、酸化チタンからなる酸化チタン層56を形成する。
次に、図20(a)に示すように、酸化チタン層56を上に、DCスパッタ法等で白金からなる第1電極60を全面に形成した後パターニングする。
次いで、第1電極60上に、圧電体層70を積層する。圧電体層70の製造方法は特に限定されないが、例えば、有機金属化合物を溶媒に溶解・分散した溶液を塗布乾燥し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、MOD(Metal−Organic Decomposition)法やゾル−ゲル法等の化学溶液法を用いて圧電体層70を形成できる。その他、レーザーアブレーション法、スパッタリング法、パルス・レーザー・デポジション法(PLD法)、CVD法、エアロゾル・デポジション法など、液相法でも固相法でもよい。
圧電体層70の具体的な形成手順例としては、まず、図20(b)に示すように、第1電極60上に、有機金属化合物、具体的には、Bi、必要に応じて添加するFe、La、Mn、Ti、Ba、Kを含有する有機金属化合物を、目的とする組成比になる割合で含むゾルやMOD溶液(前駆体溶液)をスピンコート法などを用いて、塗布して圧電体前駆体膜71を形成する(塗布工程)。
塗布する前駆体溶液は、Bi、必要に応じて添加するFe、La、Mn、Ti、Ba、Kをそれぞれ含む有機金属化合物を、各金属が所望のモル比となるように混合し、該混合物をアルコールなどの有機溶媒を用いて溶解または分散させたものである。Bi、Fe、La、Mn、Ti、Ba、Kをそれぞれ含む有機金属化合物としては、例えば、金属アルコキシド、有機酸塩、βジケトン錯体などを用いることができる。Biを含む有機金属化合物としては、例えば2−エチルヘキサン酸ビスマスなどが挙げられる。Feを含む有機金属化合物としては、例えば2−エチルヘキサン酸鉄などが挙げられる。Laを含む有機金属化合物としては、2−エチルヘキサン酸ランタンなどが挙げられる。Mnを含む有機金属化合物としては、例えば2−エチルヘキサン酸マンガンなどが挙げられる。Tiを含有する有機金属化合物としては、例えばチタニウムイソプロポキシド、2−エチルヘキサン酸チタン、チタン(ジ−i−プロポキシド)ビス(アセチルアセトナート)などが挙げられる。Baを含む有機金属化合物としては、例えばバリウムイソプロポキシド、2−エチルヘキサン酸バリウム、バリウムアセチルアセトナートなどが挙げられる。Kを含む有機金属化合物としては、例えば2−エチルヘキサン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸バリウム、酢酸カリウム、カリウムアセチルアセトナートなどが挙げられる。
次いで、この圧電体前駆体膜71を所定温度に加熱して一定時間乾燥させる(乾燥工程)。次に、乾燥した圧電体前駆体膜71を所定温度に加熱して一定時間保持することによって脱脂する(脱脂工程)。なお、ここで言う脱脂とは、圧電体前駆体膜71に含まれる有機成分を、例えば、NO2、CO2、H2O等として離脱させることである。
次に、図20(c)に示すように、圧電体前駆体膜71を所定温度、例えば600〜800℃程度に加熱して一定時間保持することによって結晶化させ、圧電体膜72を形成する(焼成工程)。
なお、乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程で用いられる加熱装置としては、例えば、赤外線ランプの照射により加熱するRTA(Rapid Thermal Annealing)装置やホットプレート等が挙げられる。
次に、図21(a)に示すように、圧電体膜72上に所定形状のレジスト(図示無し)をマスクとして第1電極60及び圧電体膜72の1層目をそれらの側面が傾斜するように同時にパターニングする。
次いで、レジストを剥離した後、上述した塗布工程、乾燥工程及び脱脂工程や、塗布工程、乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程を所望の膜厚等に応じて複数回繰り返して複数の圧電体膜72からなる圧電体層70を形成することで、図21(b)に示すように複数層の圧電体膜72からなる所定厚さの圧電体層70を形成する。例えば、塗布溶液の1回あたりの膜厚が0.1μm程度の場合には、例えば、10層の圧電体膜72からなる圧電体層70全体の膜厚は約1.1μm程度となる。なお、本実施形態では、圧電体膜72を積層して設けたが、1層のみでもよい。
この圧電体層70を形成する工程で、圧電体前駆体膜71を焼成して結晶化させると、圧電材料(圧電体前駆体膜71)に含まれるBiが、ケイ素を含む材料の振動板(弾性膜50)側に向かって拡散する。なお、圧電材料中のBiは、第1電極60を構成する白金の粒界を通って酸化チタン層56まで拡散するものと推測される。
このように、圧電材料中のBiは、白金からなる第1電極60を通って、ケイ素を含む材料の振動板(弾性膜50)側に向かって拡散するので、従来においては、拡散したBiが振動板中に入り込むことにより、振動板中のSiと結合するためか、振動板の変位特性や耐久性等の特性が悪くなる傾向があった。また、例えば第1電極60と振動板(弾性膜50)との間にチタンからなるチタン膜を設けたとしても、このチタンは焼成工程での拡散の速度が速いためか、Biの振動板への拡散を防止することはできない。しかしながら、本実施形態においては、Biが拡散する際に酸化チタン層56が存在しており、この酸化チタン層56がBiの振動板(弾性膜50)への拡散を防止する。これにより、酸化チタン層56の第1電極60側でBiの拡散が止まり、酸化チタン層56の第1電極60側にBiが偏析し、Biを含有するビスマス含有層57が形成される。すなわち、酸化チタン層56や焼成工程等で形成されたビスマス含有層57により、圧電材料に含まれるBiの拡散が防止される。したがって、Biの振動板への拡散が防止され、Biを含有しない振動板とすることができる。
このように圧電体層70を形成した後は、図22(a)に示すように、圧電体層70上に白金等からなる第2電極80をスパッタリング法等で形成し、各圧力発生室12に対向する領域に圧電体層70及び第2電極80を同時にパターニングして、第1電極60と圧電体層70と第2電極80からなる圧電素子300を形成する。なお、圧電体層70と第2電極80とのパターニングでは、所定形状に形成したレジスト(図示なし)を介してドライエッチングすることにより一括して行うことができる。その後、必要に応じて、600℃〜800℃の温度域でポストアニールを行ってもよい。これにより、圧電体層70と第1電極60や第2電極80との良好な界面を形成することができ、かつ、圧電体層70の結晶性を改善することができる。
次に、図22(b)に示すように、流路形成基板用ウェハー110の全面に亘って、例えば、金(Au)等からなるリード電極90を形成後、例えば、レジスト等からなるマスクパターン(図示なし)を介して各圧電素子300毎にパターニングする。
次に、図22(c)に示すように、流路形成基板用ウェハー110の圧電素子300側に、シリコンウェハーであり複数の保護基板30となる保護基板用ウェハー130を接着剤35を介して接合した後に、流路形成基板用ウェハー110を所定の厚さに薄くする。
次に、図23(a)に示すように、流路形成基板用ウェハー110上に、マスク膜52を新たに形成し、所定形状にパターニングする。
そして、図23(b)に示すように、流路形成基板用ウェハー110をマスク膜52を介してKOH等のアルカリ溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチング)することにより、圧電素子300に対応する圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15等を形成する。
その後は、流路形成基板用ウェハー110及び保護基板用ウェハー130の外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハー110の保護基板用ウェハー130とは反対側の面のマスク膜52を除去した後にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、保護基板用ウェハー130にコンプライアンス基板40を接合し、流路形成基板用ウェハー110等を図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドIとする。
以下、実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まず、(100)に配向したシリコン基板の表面に熱酸化により膜厚1070nmの二酸化シリコン膜を形成した。次に、二酸化シリコン膜上にRFスパッタ法により膜厚40nmのチタン膜を形成し、熱酸化することで酸化チタン膜(酸化チタン層)を形成した。次に、酸化チタン膜上にDCスパッタ法により膜厚130nmの白金膜形成し、(111)に配向した第1電極とした。
次いで、第1電極上に圧電体層をスピンコート法により形成した。その手法は以下のとおりである。まず、2−エチルヘキサン酸ビスマス、2−エチルヘキサン酸ランタン、2−エチルヘキサン酸鉄、および2−エチルヘキサン酸マンガンのキシレンおよびオクタン溶液を所定の割合で混合して、前駆体溶液を調製した。そしてこの前駆体溶液を酸化チタン膜及び第1電極が形成された上記基板上に滴下し、1500rpmで基板を回転させて圧電体前駆体膜を形成した(塗布工程)。次に350℃で3分間乾燥・脱脂を行った(乾燥及び脱脂工程)。この塗布工程・乾燥及び脱脂工程を3回繰り返した後に、Rapid Thermal Annealing(RTA)で650℃、3分間、窒素雰囲気下(加熱装置内を100cc/分の流量の窒素でフロー)で焼成を行った(焼成工程)。この塗布工程・乾燥及び脱脂工程を3回繰り返した後に一括して焼成する焼成工程を行う工程を4回繰り返し、計12回の塗布により全体で厚さ460nmの圧電体層を形成した。
その後、圧電体層上に、第2電極としてDCスパッタ法により膜厚100nmの白金膜を形成した後、RTAを用いて650℃、5分間焼成を行うことで、ペロブスカイト構造を有する鉄酸マンガン酸ビスマスランタン((Bi0.85,La0.15)(Fe0.97,Mn0.03)O3)を圧電体層とする圧電素子を形成した。
(実施例2)
計12回の塗布により全体で厚さ460nmの圧電体層を形成するかわりに、塗布工程、乾燥及び脱脂工程、焼成工程からなる操作を2回行って計2回の塗布により全体で厚さ87nmの圧電体層を形成した以外は、実施例1と同様の操作を行った。
(実施例3)
前駆体溶液として、2−エチルヘキサン酸ビスマス、2−エチルヘキサン酸鉄、および2−エチルヘキサン酸マンガン、2−エチルヘキサン酸バリウム、2−エチルヘキサン酸チタンのキシレンおよびオクタン溶液を所定の割合で混合したものを用い、チタン酸バリウムを含有する鉄酸マンガン酸ビスマス(0.8[Bi(Fe0.97,Mn0.03)O3]−0.2[BaTiO3])からなり厚さ143nmの圧電体層とした以外は、実施例2と同様の操作を行った。
(実施例4)
前駆体溶液として、2−エチルヘキサン酸ビスマス、2−エチルヘキサン酸鉄、および2−エチルヘキサン酸マンガンのキシレンおよびオクタン溶液と、ビスマス、カリウム及びチタンが溶解したブタノール溶液とを所定の割合で混合したものを用い、チタン酸ビスマスカリウムを含有する鉄酸マンガン酸ビスマス(0.61[Bi(Fe0.97,Mn0.03)O3]−0.39[(Bi,K)TiO3])からなり厚さ186nmの圧電体層とした以外は、実施例2と同様の操作を行った。
(試験例1)
実施例1〜4の圧電素子について、Bruker AXS社製の「D8 Discover」を用い、X線源にCuKα線を使用し、室温で、圧電体層の粉末X線回折パターンを求めた。その結果、全ての実施例1〜4において、ABO3型構造に起因するピークと基板由来のピークのみが観測され、その他の異相に起因するピークは観測されなかった。
(試験例2)
実施例2〜4の各圧電素子について、圧電体層から厚さ方向に亘って二次イオン質量分析を行って、ビスマスの状態を調べた。なお、二次イオン質量分析装置(SIMS)として、アルバック−ファイ社製「ADEPT−1010」を用いた。実施例2の結果を図24に、実施例3の結果を図25に、実施例4の結果を図26に示す。また、圧電体層を設けていない状態についても同様に測定し、結果を図27に示す。
なお、図24〜図27において、実施例2の圧電体層である鉄酸マンガン酸ビスマスランタンをBLFMと表記し、実施例3の圧電体層であるチタン酸バリウムを含有する鉄酸マンガン酸ビスマスをBFM−BTと表記し、実施例4の圧電体層であるチタン酸ビスマスカリウムを含有する鉄酸マンガン酸ビスマスをBFM−BKTと表記し、白金からなる第1電極をPtと表記し、酸化チタン層をTiOxと表記する。そして、縦軸は16O+133Csで規格化した検出強度、横軸は逆スパッタ時間であり、スパッタ時間は深さ方向に対応する。また、実際はビスマスが存在しない白金からなる第1電極のみのTiOx層においてもビスマスのシグナルが観測されているが、これは209Biに対して48Ti349Ti+16O等の妨害イオンとの干渉によるものであり、白金からなる第1電極で観測されたシグナルはバックグラウンドであるとみなすことができる。なお、基材効果があるため異なる層間の強度比較は出来ないが、同一層であれば強度の比較が可能である。
図24〜図26に示すように、図27と比較して、図24、図25及び図26では、図中に矢印で示すように、白金からなる第1電極と酸化チタン層との界面でビスマスが多量に検出され、それ以下の層、具体的には、二酸化シリコン膜や酸化チタン層ではビスマスは検出されていない。これは、焼成時に第1電極方向に拡散したビスマスが、酸化チタン層により以降の拡散が阻害されるためである。言い換えれば、酸化チタン層はビスマスの拡散防止層としての役割を有しているといえる。一方、酸化チタン膜ではなくチタン膜を設けた場合は、焼成時のビスマスの拡散を防止できないため、振動板である二酸化シリコン膜に入り込んでしまう。
(試験例3)
実施例1の圧電素子について、アグザクト社製の変位測定装置(DBLI)を用い室温で、φ=500μmの電極パターンを使用し、周波数1kHzの電圧を印加して、電界誘起歪―電界強度の関係を求めた。この結果、図28に示すように、強誘電体であった。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、流路形成基板10として、シリコン単結晶基板を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、SOI基板、ガラス等の材料を用いるようにしてもよい。
また、これら実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図29は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
図29に示すインクジェット式記録装置IIにおいて、インクジェット式記録ヘッドIを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラーなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
なお、上述した実施形態では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
また、本発明は、インクジェット式記録ヘッドに代表される液体噴射ヘッドに搭載される圧電素子に限られず、超音波発信機等の超音波デバイス、超音波モーター、圧力センサー等他の装置に搭載される圧電素子にも適用することができる。また、本発明は強誘電体メモリー等の強誘電体素子にも同様に適用することができる。
I インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 II インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 リザーバー部、 32 圧電素子保持部、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 56 酸化チタン層、 57 ビスマス含有層、 60 第1電極、 70 圧電体層、 80 第2電極、 90 リード電極、 100 リザーバー、 120 駆動回路、 300 圧電素子。

Claims (6)

  1. 酸化チタン層と、
    前記酸化チタン層上に設けられ、ビスマスを含有するビスマス含有層と、
    前記ビスマス含有層上に形成され、白金からなる第1電極と、
    前記第1電極上に設けられ、少なくともビスマスを含有する圧電材料からなる圧電体層と、
    前記圧電体層上に形成された第2電極と、を具備し、
    前記圧電体層から前記酸化チタン層の方向に向かって二次イオン質量分析装置で測定したとき、前記圧電体層におけるビスマスの最大強度が、前記ビスマス含有層におけるビスマスの最大強度よりも大きいことを特徴とする圧電素子。
  2. 前記圧電材料が、鉄酸マンガン酸ビスマスランタンを含むことを特徴とする請求項1に記載する圧電素子
  3. 前記圧電材料が、チタン酸バリウムを含むことを特徴とする請求項1または2に記載する圧電素子
  4. 前記圧電材料が、チタン酸ビスマスカリウムを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載する圧電素子
  5. 前記ビスマス含有層の厚さは、10nm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載する圧電素子
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載する圧電素子を具備することを特徴とする超音波デバイス
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