JP2011190512A - 有機基を有する金属酸化物で被覆されたアルミニウム粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】
熱伝導性が高く、少量の配合であっても十分な熱伝導性を有するシートが得られる無機充填材の提供すること。
【解決手段】
表面の少なくとも一部が有機基を有する金属酸化物で被覆されたアルミニウム粒子を用い、熱伝導性を有するシートを作成すること。
【選択図】なし

Description

本発明は、被覆されたアルミニウム粒子に関する。より詳しくは表面の少なくとも一部が有機基を有する金属酸化物で被覆されたアルミニウム粒子に関する。
電子機器おいて、多くの電子部品が発熱源となるため、安定的な使用ができるよう放熱用梱体が設置されている。特に高速電子計算機では性能の向上に伴い、部品の縮小化に成功した結果、より効率的な排熱が必要となった。一般には電気・電子部品等の発熱体の表面上にヒートシンク、放熱フィン、金属放熱板等の放熱体を設けて、発熱体の放熱効率を高めることが行われている。そして、発熱体と放熱体との間には、発熱体から放熱体に伝熱させるための熱伝導性シート等の放熱材が一般的に設けられている。
放熱材は、樹脂モノマー、重合開始剤、およびアルミナ、シリカ等の熱伝導性フィラーや水酸化アルミなどの難燃性フィラーを配合した後、樹脂モノマーを重合させて製造されている。このように製造される放熱材においては、熱伝導性機能を発揮させるために、ポリマー樹脂100質量部に対する熱伝導性フィラーを20〜200質量部に設定することがある(例えば特許文献1参照)。より優れた熱伝導性を発揮する放熱材を実現するためには、熱伝導性フィラーの配合量を増加させることになる(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら熱伝導性フィラーの配合の増加は粘度の増大を引き起こし、作業性が低下し、場合によっては硬化が困難になる。さらに得られた熱伝導性シートの柔軟性が低下するといった問題も発生する
特許第3636884号公報 特開2002−322449号公報
本発明では、上記事情に鑑み、熱伝導性が高く、少量の配合であっても十分な熱伝導性を有するシートが得られる無機充填材の提供を目的とする。
アルミニウムは熱伝導性能に優れるが、導電性を有するため、電子部品の短絡を引き起こすため、絶縁性を必要とする場合の熱伝導性シートには使用困難である。本発明者は上記課題およびアルミニウムの熱伝導性に着目し、アルミニウム粒子を用いた放熱性無機充填材について鋭意検討を行った。その結果アルミニウム粒子の表面を特定組成の無機および/または有機化合物で修飾することにより、電子部品に接続することをも可能な無機充填剤を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、表面の少なくとも一部が有機基を有する金属酸化物で被覆されたアルミニウム粒子である。
本発明のアルミニウム粒子を用いることにより、少量の配合であっても十分な熱伝導性を有する熱伝導性シートが得られる。また本発明のアルミニウム粒子は導電性を低下させ、短絡が起こらないだけでなく、樹脂モノマーやポリマー成分との相溶性や分散性が良いため、シートの成形性が良好であり、さらに硬化後にも十分な柔軟性を有する熱伝導性シートを提供することができる。有機基は、特に樹脂モノマーやポリマーと親和性のある有機基であれば、より分散性が向上し、本発明の効果が向上する。また、有機機が樹脂との
反応性を有する基とすることも可能で、その際は、樹脂モノマーやポリマー成分中に固定可能な反応性放熱性無機充填材とすることも可能である。
以下、本発明について詳述する。
[アルミニウム粒子の説明]
本発明では核粒子にアルミニウム粒子(以下単に原料アルミニウム粒子と称する場合がある。)を使用することを特徴とする。一般に金属アルミニウム自体は、空気にふれると容易に酸化されるが、それは表面の極めて薄い層に限られ、それが緻密で剥離し難い酸化物不動態層を形成しそれが剥離し難いため、通常空気中で酸化がほとんど進行せず安定で導電性の金属粒子としての性質を失わない。以上のように金属アルミニウム粒子は、通常酸化不動態膜を有するが、本発明ではアルミニウム表面の酸化物不動態膜層は核粒子の一部として取り扱う。
本発明では核粒子にアルミニウムを採用することにより、
(1)熱伝導性が高い、
市販品に多く用いられる熱伝導フィラーである酸化アルミニウムに比べ7倍以上の熱伝導率である、すなわち酸化アルミニウム:30W/mK程度に対し、アルミニウム:230〜240W/mKである。
(2)比重が低い、
酸化アルミニウムの比重が3.9g/cm程度に対し、アルミニウムは2.7g/cm程度である。
の特徴を有する粒子が得られる。これらの特徴は、特に熱伝導性シートに用いることが有用である。
本発明に用いることのできる原料アルミニウム粒子は、特に限定されず、市販品であっても良いし、線状あるいはリボン状アルミニウムを細かく切断して粉体としてもよい。またアルミニウムを主成分として含有する合金であってもよい。合金を用いる場合にはアルミニウムの含有量は50重量%以上が好ましく、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上、最も好ましくは99重量%以上である。合金を用いる場合にはアルミニウム以外の元素としては、例えば、マグネシウム、マンガン、シラン、亜鉛、銅、ニッケル、ネオジウム、ゲルマニウム、ビスマス、銀、チタニウムなどが採用可能である。しかし、熱伝導性と比重が小さいことからできるだけアルミニウム含有の高いアルミニウム合金粒子が好ましい。
本発明では原料アルミニウム粒子は酸化処理により、酸化物層を形成しても良い。この場合にも酸化物層を有するアルミニウム粒子は核粒子として取り扱う。アルミニウムの酸化処理の方法としては、酸素存在下での自然酸化、粒子製造工程中での低酸素下での酸化や空気中で高温で保持することでも良い。
原料アルミニウム粒子の形状は、不定形、直方体、立方体、円柱状、箔片状などであってもいいが、好ましくは、略球状、楕円体、球状である。このよな球状の原料アルミニウム粒子は、たとえば、遠心噴霧法 または、ガスアトマイズ法により製造される。
原料アルミニウム粒子の粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置による測定での平均粒径が1μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。さらに好ましくは30μm以上、最も好ましくは50μm以上である。粒径が1μmより小さい場合には、表面積が大きくなり金属酸化物層の割合が増えるため、熱伝導性が低下する場合や、製造や粉砕が難しく、コストが高くなる場合がある。
また原料アルミニウム粒子の平均粒径は1000μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましい。さらに好ましくは200μm以下、最も好ましくは100μm以下である。最大粒径は、適用する熱伝導材に埋め込まれる必要があり、熱伝導材の設計により自ずから限界があるが、熱伝導の効率性の点から、熱伝導材の設計厚みより小さいが、使用上支障がない限り、出来るだけ大きい方が望ましい。
市販品を用いる場合には例えばヒカリ素材工業社製Al−99.7%、Al−2〜10Mg、Al5〜18Si、Al−2〜10Cu、Al−5Mg−0.2Si、Al−8Mg−0.5Mnなどや東洋アルミニウム社製フィラー用アルミニウムパウダーを好ましく用いることができる。
[金属酸化物の説明]
本発明では、原料アルミニウム粒子の表面の少なくとも一部に金属酸化物が被覆される工程を有する。
金属酸化物による被覆方法としては、
(1)原料アルミニウム粒子を分散させた溶媒中にて金属アルコキシドを反応させる方法、
(2)金属酸化物を噴霧することにより、原料アルミニウム粒子表面に金属酸化物を形成する方法、
(3)原料アルミニウム粒子を混合しながら、加水分解・縮合オリゴマー化した金属酸化物を表面に噴霧する方法、
が挙げられるが、表面の均一性が達成できること、工程が簡略なことから(1)の方法が好ましく採用できる。
(1)記載の原料アルミニウム粒子を分散させた溶媒中にて金属アルコキシドを反応させる方法を採用する場合には、必要に応じてはじめに適量の水を含む溶媒中に原料アルミニウム粒子を分散させ、金属アルコキシドを添加し、原料アルミニウム表面上に加水分解や縮合した金属アルコキシドを付着させることによって金属酸化物層が形成される。金属アルコキシドは、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシアルミニウム、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシジルコニウム、ジアルコキシ亜鉛、ジアルコキシ錫などの金属アルコキシドであってもよく、アルキル金属アルコキシド等の有機基により置換された金属アルコキシドであっても良い。有機基により置換された金属アルコキシドを採用した場合には後述の有機基の導入工程をも同時に行なうことが可能であり、本発明の被覆アルミニウム粒子を1工程で製造でき、特に好適である。また金属アルコキシドを用いる場合には加水分解の条件によって、金属アルコキシドのアルコキシドの一部が残存する条件を選択することが可能である。
金属アルコキシドの加水分解の条件としては、各反応性に応じて室温から溶媒の沸点までの温度で、そのままか、アンモニア水等のアルカリや酢酸等を適宜加えることによって加水分解・縮合をおこなうことができる。
有機基により置換された金属アルコキシドとしては、アルキルトリアルコキシシラン(デシルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなど)、各種官能基を有するトリまたはジアルコキシシラン(p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−クロロプロピルトリメトキシシランなど)、1分子内に有機置換基と加水分解性アルコキシ基を含有した低分子量アルコキシオリゴマー(信越シリコーン製アルコキシオリゴマー)などが挙げられる。これらのなかでも有機基に官能基を有する金属アルコキシドが好ましく採用される。また有機基が官能基を有する場合にはさらに官能基に反応を行なうことができ、有機基が重合性基を有する場合にはさらに重合反応をも行なうことができる。これらの反応により、より物性のすぐれた修飾アルミニウム粒子を得ることができる。
(2)記載の金属酸化物を噴霧することにより、原料アルミニウム粒子表面に金属酸化物を形成する方法を採用する場合には、原料アルミニウム粒子に従来公知の噴霧装置を用いることににより、金属酸化物層を形成できる。噴霧方法としては、スプレー方式による噴霧、CVD、PVDなどが挙げられる。噴霧に用いる金属酸化物は上述に金属アルコキシドや酸化モリブデン、シリカ,アルミナ,ジルコニア,スカンジアなどが用いられ、1種または2種以上を用いてもよい。
アルミニウム粒子に形成された金属酸化物層はXPS装置を用い、元素割合にて測定することができる。XPS法では、表面から数nm深さの元素を観察することができる。つまり、アルミニウム粒子表面が金属アルコキシド等によって覆われる程アルミニウム粒子のAl原子は検出されなくなる。本発明のXPS法による元素割合は、アルミニウム元素の割合が25atom%以下が好ましく、より好ましくは17atom%以下である。さらに好ましくは10atom%以下、さらに好ましくは1atom%以下、最も好ましくは0atom%である。
本発明では、少なくとも一部に金属酸化物が被覆されたアルミニウム粒子にさらに有機基が被覆される。
上述の金属アルコキシドを用いる方法または金属酸化物を噴霧する方法により得られた金属酸化物が被覆されたアルミニウム粒子は通常は有機基を有さないため、金属酸化物上に有機基を形成する必要がある。なお、金属アルコキシドを用いる方法では加水分解条件の選択により有機基を残存させることは可能であり、また金属酸化物を噴霧する方法においても噴霧する金属酸化物をあらかじめ有機修飾することで、金属酸化物層の形成と同時に有機基をも形成することは可能である。
有機基の導入方法としては、金属酸化物層を有するアルミニウム粒子と有機置換基含有ハロゲン化シランや有機基により置換された金属アルコキシドを反応させることで可能である。金属アルコキシド等を反応させる条件は上述と同様の方法を用いることができる。
本発明では、少なくとも一部に有機基が導入被覆された金属酸化物粒子をさらにその有機基に反応する化合物を作用させて有機基被覆量を増やした修飾アルミニウム粒子としてもよい。例えば、導入有機基がアミノ基を有する場合にはカルボキシル基を有する化合物を用いて塩形成またはアミド化を行なう方法、SH基を有する場合には、C=C−を有する化合物を付加する方法、エポキシ基を有する場合にはSH基やCOOH基を有する化合物を開環付加する方法が挙げられる。特にC=C−基が重合性を有する場合には、さらに少量のモノマーおよび開始剤の共存下に重合させて被覆量を任意に調整することもできる。
本発明のアルミニウム粒子は電気抵抗性に優れるため、抵抗測定装置にて体積抵抗値の測定が可能である。体積抵抗値は、目的とする程度に応じて金属アルミニウム粒子を被覆する程度によって調節すればよく、熱伝導性とのバランス上、体積抵抗値は、1x10〜1x1017Ω・cmが好ましく、1x10〜1x1017Ω・cmがより好ましく、1x1010〜1x1017Ω・cmがさらに好ましい。1x1011〜1x1017Ω・cmが最も好ましい。なお、被覆する金属酸化物、および有機基の量により調整が可能である。
[放熱材料用組成物]
本発明の修飾アルミニウムは熱伝導性に優れ、導電性を有さないため、熱伝導性シートに好適に用いることができる。熱伝導性シートの作成方法の例を下記に詳述する。
本発明の熱伝導性シート用組成物は本発明の修飾アルミニウム粒子に加え、バインダー樹脂を配合することにより製造できる。バインダー樹脂としては、各種熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、各種重合性オリゴマー組成物、各種重合性モノマー組成物を使用することができる。具体的には、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート、PPS等などのエンジニアリングプラスチック、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂などの各種縮合型樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
熱伝導性シート組成物の製造方法として、本発明の修飾アルミニウム粒子に加え、樹脂モノマーおよび/またはポリマーを配合することによっても製造できる。
ポリマーは、公知のポリマーが使用可能であるが、(メタ)アクリル系ポリマーを使用することが好ましい。ポリマーに柔軟性を付与する場合には、ガラス転移温度が高いと放熱材の柔軟性が十分でない場合があるので、ガラス転移温度が0℃以下の(メタ)アクリル系ポリマーを選択することが好適である。このガラス転移温度は、ガラス転移温度が−30℃以下であることがより好ましく、−40℃以下であることが更に好ましい。ポリマーの上述のMwは、1万〜100万の範囲内が好ましく、3万〜80万の範囲内がより好ましく、5万〜50万の範囲内であることが最も好ましい。Mwが1万未満であると、得られた放熱材の耐溶剤性や耐熱性等の性能が低いため好ましくない。一方、Mwが100万を超えると(メタ)アクリル系ポリマー自体の粘度が高くなり過ぎて、熱伝導性充填剤を高配合するという目的が達成できなくなることがある。
本発明ではポリマーに加え、樹脂モノマーを配合することも好ましい。組成物中における樹脂モノマー、ポリマーおよび可塑剤の量は、任意に選べばよく、熱伝導性充填剤を含む合計量を100Vol%とした場合、熱伝導性充填剤の含有量が、40〜95Vol%であることが好ましく、50〜90Vol%であればより好ましく、60〜80Vol%であれば更に好ましい。熱伝導性充填剤の量が、95Vol%以上では、熱伝導性フィラーが多量配合された樹脂組成物が高粘度化して当該樹脂組成物の混練が困難となるので、樹脂組成物内の脱泡性、放熱材の表面平滑性、および放熱材の熱伝導性が悪化する問題が生じやすくなる。熱伝導性充填剤の量が、40Vol%未満の場合には、熱伝導性充填剤の含有密度が小さすぎるため、有効に熱伝導が行われない場合もある。樹脂モノマーを加える場合には重合開始剤を添加することも好ましい。
重合開始剤としては、アゾ系開始剤を例示すれば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリルである。また、熱重合開始剤である有機過酸化物を例示すれば、メチルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;ベンゾイルパーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類;1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール類;t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−アミルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシピバレート等のアルキルパーエステル類;t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニロキシ)ヘキサン、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーカーボネート類である。なお、熱重合開始剤を使用する場合には、10時間半減期が35〜100℃の熱重合開始剤を選択することが好ましく、より好ましくは40〜90℃、更に好ましくは40〜75℃の10時間半減期の熱重合開始剤である。この好ましい重合開始剤は、例えば、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、およびジアシルパーオキサイドである。
また、光重合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1;アシルホスフィンオキサイド類およびキサントン類等が挙げられる。本発明の熱伝導性シート用組成物は、他の成分も配合可能である。
また、樹脂を架橋することもよく、多官能性の樹脂や添加剤や多官能性モノマー、多官能性樹脂を併用してもよい。
放熱材の柔軟性を確保するために本発明に係る樹脂組成物に一種または二種以上の可塑剤を含有させても良い。また表面調整剤、消泡剤、粘度調整剤などを含有することも可能である。
本発明の修飾金属アルミニウムの放熱用充てん剤としての使用にあたっては、汎用される無機酸化物(アルミナなど)、や難燃化剤(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなど)を併用してもよい。
また、より放熱材の充てん率を上げて熱伝導性を向上させるためには、2種類以上の粒子径範囲の原料アルミニウムを使用してもよいが、大粒子側の熱伝導剤として本発明の修飾金属アルミニウム粒子と小粒子側に無機酸化物粒子などを使用する方がより好ましい。
本発明の熱伝導性シート用組成物は従来公知の方法により、シート状に成形できる。代表的にはロール方式、カレンダー方式、ドクターブレード方式、塗布乾燥等を採用することができる。また、硬化方法も組成物の性質や硬化反応方式に合わせてプレス熱硬化、常圧熱硬化、スチーム硬化、電子線硬化、紫外線効果等を公知の条件で行うことができる。
また、シリコーン樹脂をバインダー樹脂とする場合は、シリコーン樹脂の官能基と反応する官能基を有する修飾アルミニウム粒子を用いるか、修飾アルミニウム粒子の修飾に、シリコーンオリゴマーを持つ金属アルコキシドを使用するのが好ましい。
シリコーン樹脂好ましくは重合性反応基を有するシリコーン樹脂を配合し、熱硬化または光硬化、または、アルケニル基を有するシリコーン樹脂を用いて、白金系触媒によるヒドロシリル化反応によりシート状に成形する方法がある。
シリコーン樹脂は、重量平均分子量(Mw)が1万〜100万の範囲内が好ましく、3万〜80万の範囲内がより好ましく、5万〜50万の範囲内であることが最も好ましい。Mwが1万未満であると、得られた放熱材の耐溶剤性や耐熱性等の性能が低くなる場合がある。一方、Mwが100万を超えるとシリコーン樹脂自体の粘度が高くなり、加工性が悪くなる場合がある。シリコーン樹脂は上記目的を達する限り公知のものを用いることができる。本発明の熱伝導性シート用組成物は、他の成分も配合可能であるが、他の成分については上述と同様である。
重合性反応基を有するシリコーン樹脂は、上述のMwが1万〜100万の範囲内が好ましく、3万〜80万の範囲内がより好ましく、5万〜50万の範囲内であることが最も好ましい。Mwが1万未満であると、得られた放熱材の耐溶剤性や耐熱性等の性能が低くなる場合がある。一方、Mwが100万を超えるとシリコーン樹脂自体の粘度が高くなり過ぎて、熱伝導性充填剤を高配合するという目的が達成できなくなることがある。
重合性反応基を有するシリコーン樹脂を用いる場合には重合開始剤を配合することが好ましい。重合開始剤には、上述の熱重合開始剤および光重合開始剤等のラジカル重合開始剤を一種または二種以上選択する。


(粉体流動性)
実施例で得られた粉体試料を硫酸紙上に展開し、硫酸紙を傾けた際の落下具合を目視で評価した。
○○:原料アルミニウム粉と比較し流動性に極めて優れる。
○ :原料アルミニウム粉と比較し流動性に優れる。
△ :原料アルミニウム粉と同程度に流動性を有する。
× :流動性を有するが、原料アルミニウムより流動性が悪い(静置で固結傾向)。
(撥水性)
ビーカーに少量の粉体試料を滴下し、水中への分散速度および沈降速度を目視で評価を行なった。
○○:ほぼ全部の粉末が水面に浮く、すなわち表面張力が大きく撥水性が大きい。
○ :速やかに水面上を拡がるが、水中に沈降するものは僅かしかない。
△ :水面に浮く部分もあるが、一部は水中に沈降する。
▲ :僅かに水面に浮くものもあるが、ほとんど水中に沈降する。
× :水面に浮くものはなく、速やかに水中に沈降する。
(粉体体積抵抗値の測定)
7cm角の鋼板(日本テストパネル株式会社製標準試験板SS400:4.5X70X70)の外側に沿って幅15mmの粘着テープを貼り付け、その上に厚さ4mm幅15mmにカットし、方断面を透明テープでふさいだ単層ダンボール片を透明テープで塞いだ側を内側に向け、付することにより四方をダンボールで高くし内側に4cmX4cm深さ4mmの空隙を有する測定セルを作成した。その上に同形状の鋼板で蓋をし、四方からダンボール内層部分の波状の紙を側面からカッターにて約14mm深さに切り目を入れた。上に載せた鋼板を取り外し、セル空隙部分に粉体サンプル8gを均一になるように充填し、再度鋼板にて蓋をした。サンプル入りの上記セルをプレス機で5分間、20MPaにて加圧することにより圧縮充填サンプルが入ったセルを用意した。本セルを日置電機株式会社製同平板試料用電極SME−8311にセットし、同ディジタル超絶縁計DSM−8104により体積抵抗値を電圧1.0Vで測定した。測定値を試料の厚さ(mm)で除して体積抵抗値を求めた。なお、試料の厚さは、測定後のセルをノギスにて測定し、別途測定しておいた鋼板2枚分の厚さを差し引くことにより求めた。
(放熱性の測定)
粉体サンプル34g、株式会社日本触媒製OH基含有アクリル系樹脂ユーダブルUWS−2842 12.1g、酢酸エチル7gを均一に混合した。混合後株式会社日本触媒製NCO含有硬化剤N−3200 0.1gの酢酸エチル1g希釈物を混合し、減圧脱泡した。これをガラス板上に20mm厚のシリコンゴムで形成した23mmX100mmの長方形の窪みに流し込み、室温にて2日間自然乾燥した後、50℃で1夜減圧乾燥し、ガラスから剥離したサンプルシートを測定片とした。測定片の厚さは、約15mmであった。
(実施例1)
攪拌羽根を設置したセパラブルフラスコに、金属アルミ粉末(ヒカリ素材工業株式会社製 製品名Al99.7%・目標粒度 -63μm)100重量部、メタノール100重量部、脱イオン水30重量部、メタノール10重量部にて希釈した金属アルコキシド化合物であるLS1390(SH基含有アルキレントリメトキシシラン) 2重量部、および25%アンモニア水3重量部を添加し、50℃の温浴中で均一になるよう攪拌することにより、反応をおこなった。200分後、メタノール20重量部とエタノール20重量部とを加えて均一になるまで攪拌を続け、その後攪拌を停止した。5分間静置し、上澄みをスポイドで除去した。さらにメタノール20gとエタノール20gの混合物を加えて均一になるまで攪拌後、5分間静置し上澄みをスポイドで除去する操作を2回繰り返すことにより生成物の洗浄を行った。洗浄後、デカンテーションにより固体と残存の液体を分離し、固体をステンレス製バットに取り出した。ステンレス製バット上で薄く広げ、70℃に設定した減圧乾燥機に入れて減圧下で60時間乾燥した。得られた乾燥物をスパチュラで破砕し、卓上粉砕機で1分間粉砕した。得られた粉末をさらに目開き100μmのステンレスメッシュ上に展開し、スパチュラにて押し砕くことにより粉砕し、100μm通過粉末を得た。得られた粉末の表面をXPS(日本電子株式会社製XP−9000)を使用して全検出可能元素中でのAl元素の原子%を求めた。さらに、上記方法により体積抵抗値と放熱性を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2、4〜6)
実施例1において、金属アルコキシド化合物を表1に変更し、他は実施例1と同様の工程により、粉末試料を得た。物性測定結果についても表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、金属アルコキシド化合物を表1に変更し、脱イオン水を30重量部のところを10重量部使用した他は実施例1と同様の工程により、粉末試料を得た。物性測定結果についても表1に示す。
(実施例7)
実施例1において、金属アルコキシド化合物をKBE903に変更し、他は実施例1と同様の条件にて反応を行なった。反応終了後50℃の温浴中で攪拌しながら、酢酸エチル30gに溶解させたステアリン酸2gを添加し、30分間さらに攪拌した。さらにエタノール20重量部と酢酸エチル50重量部とを加えて均一になるまで攪拌を続け、その後攪拌を停止した。5分間静置し、上澄みをスポイドで除去した。さらにエタノール20重量部と酢酸エチル50重量部とを加えて同様の操作を行い、最後にデカンテーションで液切りを行うことにより洗浄し、実施例1と同様にして、乾燥、粉砕を行なうことにより粉体試料を得た。物性測定結果についても表1に示す。
(実施例8)
実施例1において、金属アルコキシド化合物であるLS1390に代えてテトラエトキシシラン(TEOS、信越化学製LS2430)4重量部を使用して50℃にて200分反応させたのち、さらにKBM503 2重量部を加えて、さらに50℃にて200分反応させたこと、以外は同様にして粉末試料を得た。物性測定結果については表1に示す。
(実施例9)
実施例8において、KBM503 2重量部に代えて、KMB573 2.6重量部を使用した以外は、実施例8と同様にして粉末試料を得た。物性測定結果については表1に示す。
(実施例10)
実施例1において、LS1390 2重量部に代えてLS2430 4重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして粉末試料を得た。物性測定結果については表1に示す。
(実施例11)
実施例1において、水を使用せずに、また、金属アルコキシド化合物としてテトライソプロポキシチタン(TPOT)を5.3部をそのままスポイドで反応機中に滴下し室温で100分、50℃で100分攪拌しながら反応させたこと、以外は、実施例1と同様にして粉末試料を得た。物性測定結果については表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、LS1390 2重量部に代えてヘキサメチルジシラザン 2重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして粉末試料を得た。物性測定結果については表1に示す。なお、ヘキサメチルジシラザンは加水分解において金属酸化物を形成しない化合物である。
Figure 2011190512

表1中の記号は下記の通りである。
LS1390:信越化学製LS1390 メルカプトプロピルトリメトキシシラン
KBM503:信越化学製KBM503 メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
KBE903:信越化学製KBE903 アミノプロピルトリエトキシシシラン
KBM573:信越化学製KBM573 N−フェニル−3−アミノ基プロピルトリメトキシシラン
KR500:信越化学製KR500 メトキシシラン含有アルコキシオリゴマー(中重合体)

(実施例12)
ブチルアクリレート40.0重量部、2−エチルヘキシルアクリレート46.7重量部、アクリル酸3.0重量部、ヒドロキシエチルアクリレート0.3重量部、酢酸ビニル10.0重量部を乳化重合した溶剤型アクリル系樹脂30重量部、実施例1で得られた粉体試料70重量部、L−55E(日本ポリウレタン社製、コロネートL−55E)1重量部を配合・混練後、塗工機を用いて離型紙上に塗膜を形成し、80℃で3分間乾燥後、40℃で3日間保存した後に剥離紙を剥離し、100μm厚の粘着性テープを作成した。上述の計測機を用いて、テープの10V下での体積抵抗率、および熱伝導率を測定した。さらに25μmPETフィルムにて裏打ちした上記テープをステンレス上に貼付し2kg荷重で押圧し、引張応力測定装置を用いて剥離面の180°方向に300mm/分にて引っ張ることにより金属板に対する粘着力を測定した。
体積抵抗率:2.6x1011 Ω・cm
熱伝導率:0.89 W/mK
ステンレス粘着力:2.1 N/25mm
(比較例2)
3M社製アクリル系粘着テープ(#9890) 30重量部、アルミナ70重量部を配合・混練した組成物を実施例12と同様の方法により粘着性テープを作成し、同方法により各種物性を測定した。
体積抵抗率:2.7x1017 Ω・cm
熱伝導率:0.62 W/mK
ステンレス粘着力:5.0 N/25mm

Claims (1)

  1. 表面の少なくとも一部が有機基を有する金属酸化物で被覆されたアルミニウム粒子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021098871A (ja) * 2019-12-19 2021-07-01 株式会社アドマテックス 粒子材料及びその製造方法、並びにフィラー材料

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