JP2011189333A - 金属イオン含有水からの金属イオン回収方法 - Google Patents

金属イオン含有水からの金属イオン回収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有機溶媒や大規模な設備、大電力を必要とすることなく、金属イオン含有水から高純度の金属イオンを収率よく回収することのできる方法を提供することにある。
【解決手段】金属イオンに対するキレート基を有する磁性キレート材料と金属イオン含有水を接触させて金属イオンを磁性キレート材料に吸着させる工程(1)と、金属イオンを吸着した磁性キレート材料を磁気分離する工程(2)と、磁気分離された磁性キレート材料から金属イオンを溶出する工程(3)と、金属イオンを溶出した磁性キレート材料を磁気分離する工程(4)からなり、少なくとも工程(2)または工程(4)のいずれかにおいて、磁性キレート材料に搾液処理を施すことを特徴とする、金属イオン含有水からの金属イオンの回収方法を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属イオン含有水からの金属イオンの回収方法に関するものである。
金属イオン含有水から金属イオンを分離回収する方法としては、アルカリを加え水酸化物として凝集沈殿させる方法、硫酸アルミニウムや消石灰のような凝集剤を加えて凝集沈殿させる方法、長鎖アルキル基を持つスルフィド類のような抽出剤を用いて有機溶媒中に抽出する方法、イオン交換樹脂やキレート樹脂に吸着させる方法、活性炭に吸着させる方法、その溶液を電気分解して陰極に金属を析出させる方法等が知られている。
しかしながら、アルカリや凝集剤を用いて凝集沈殿させる方法は、目的金属への選択性が低く、また、凝集剤を用いた場合には、沈殿物からの金属の回収に多大な費用とエネルギーが必要となるという問題がある。有機溶媒を用いて抽出する方法は、特殊な溶媒を必要とする上に、pH調整などの適正条件を選択するための煩雑な操作を伴うという欠点がある上に、抽出後の水相に溶媒が液滴の形で取り込まれたり、溶解したりするため、新たな環境汚染を引き起こすという問題がある。イオン交換樹脂やキレート樹脂を用いる方法は、これらの樹脂が高価であるため、処理コストが高くなる上、樹脂に吸着させた金属イオンを溶出させる効率が低いという問題がある。金属によっては、溶出が非常に困難となり、樹脂を焼却して回収せねばならないというケースもある。活性炭を用いる方法では、使用済みの活性炭を焼却処理するのが普通であり、コスト高の原因となる上、新たな環境汚染を引き起こす可能性があるという問題がある。電気分解による方法は、大規模な設備を必要とし、かつ膨大な電気エネルギーを消費するためコスト高になる上に、操作中に発生する水素ガスによる爆発のリスクがあるので、工業的に実施するには適当な方法とはいえない。
以上のような現状に加えて、金属イオン濃度が100ppm未満と低く、かつ、水量が10トン以上と多い場合には、現実的に有効な分離回収方法がないという問題がある。このようなケースに対しては、凝集沈殿法、溶媒抽出法、電気分解法は極めて効率が低い。イオン交換樹脂やキレート樹脂を用いる方法においては、樹脂充填塔に対して大量の液を加圧送水する大がかりな設備が必要となる。大量の液を処理する場合には、目詰まりなど流量の低下が起こりやすく、その都度逆洗を実施する必要が出てくるという問題がある。活性炭を用いる方法では、大量の処理水から活性炭を濾別する必要があり、目詰まりによる流量低下により効率が悪い。
以上のような問題を解決する方法として、磁性キレート材料と磁気分離技術を併用する提案がなされている(例えば、特許文献1および2参照)。しかしながら、磁性キレート材料を用いて、金属イオン含有水から金属イオンを純度よく高収率で回収する方法はいまだに見いだされていない。
特開2003−275758号公報 特開2004−337748号公報
本発明は、上記のような事情に着目してなされたものである。その課題とするところは、有機溶媒や大規模な設備、大電力を必要とすることなく、金属イオン含有水から金属イオンを純度よく高収率で回収する方法を提供することにある。
上記課題を鋭意研究し、金属イオンに対するキレート基を有する磁性キレート材料と金属イオン含有水を接触させて金属イオンを磁性キレート材料に吸着させる工程(1)と、金属イオンを吸着した磁性キレート材料を磁気分離する工程(2)と、磁気分離された磁性キレート材料から金属イオンを溶出する工程(3)と、金属イオンを溶出した磁性キレート材料を磁気分離する工程(4)からなり、少なくとも、工程(2)の後または工程(4)の後のいずれかにおいて、磁性キレート材料に搾液処理を施すことを特徴とする金属イオン含有水からの金属イオンの回収方法が前記課題の解決に極めて有効なことを見いだした。さらに、磁性キレート材料が、ストロンチウムフェライトまたはバリウムフェライトを含有してなる疎水性樹脂粒子を活性基含有モノマーの重合膜で被覆し、次いで、金属イオンに対するキレート基を有する化合物と該活性基との反応によりキレート基を導入することによって製造されていること、あるいは、磁性キレート材料が、ストロンチウムフェライトまたはバリウムフェライトを活性基含有モノマーの重合膜で被覆し、次いで、金属イオンに対するキレート基を有する化合物と該活性基との反応によりキレート基を導入することによって製造されていることが好ましいことを見いだした。
本発明においては、金属イオンを吸着する磁性キレート材料を用いている。このため、環境コストのかかる有機溶媒は必要としない。金属イオンを磁性キレート材料に吸着させる工程(1)は、金属イオン含有水を貯蔵するタンク中に磁性キレート材料を投入し、攪拌することにより実施できる。磁気分離工程(2)とこれに続く搾液処理工程は、磁気分離機と搾液装置を組み合わせて利用することで実施できる。また、磁性キレート材料から金属イオンを溶出する工程(3)は、金属イオンを吸着した磁性キレート材料をタンク中にて鉱酸等の溶出液と攪拌することにより実施できる。磁気分離工程(4)とこれに続く搾液処理工程は、磁気分離機と搾液装置を組み合わせて利用することで実施できる。工程(1)〜(4)は、いずれも大規模な設備や大電力を必要としない。工程(2)を経た磁性キレート材料は大量の付着水を有しており、ここに金属イオン含有水に含まれる所期の金属イオン以外の不純物が残留している。工程(2)の後に搾液工程を加えることにより、この不純物が除かれ、抽出される金属イオンの純度が向上する。また、工程(4)を経た磁性キレート材料も大量の付着水を有しており、ここには溶出された所期の金属イオンが含まれている。工程(4)の後に搾液工程を加えることにより、この金属イオンも回収され、所期の金属イオンの回収率が向上する。
金属イオンを吸着する磁性キレート材料は、例えば特開2003−275758号公報に記載されているように、磁性粉をシランカップリング剤などで処理して活性基を導入し、その活性基を介してキレート基を導入する方法、磁性粉をエポキシ基やアミノ基などの活性基含有高分子でコーティングあるいはカプセル化し、その活性基を介してキレート基を導入する方法、磁性粉を活性基含有モノマーとともに懸濁重合しあるいはバルク重合の後粉砕し、その活性基を介してキレート基を導入する方法等によって得ることができる。本発明では、ストロンチウムフェライトまたはバリウムフェライトを含む疎水性樹脂粒子が、活性基含有モノマーの重合膜で被覆され、金属イオンに対するキレート基を有する化合物と該活性基との反応により、金属イオンに対するキレート基が導入されているもの、あるいは、ストロンチウムフェライトまたはバリウムフェライトが活性基含有モノマーの重合膜で被覆され、次いで金属イオンに対するキレート基を有する化合物と該活性基との反応によりキレート基が導入されているものが、繰り返し使用における耐久性の点から好ましい。
ストロンチウムフェライトまたはバリウムフェライトの平均粒径は0.1〜2μmが好ましい。0.1μm未満では取り扱いに困難が生じることがあり、2μmを超えると分散性が低下してくる場合がある。なお、この平均粒径は、マイクロトラック(登録商標)MT3300EX(日機装(株)製)を使用し、分散媒である水の屈折率を1.33、被測定物の屈折率を2.42として測定して求めた。
ストロンチウムフェライトまたはバリウムフェライトを疎水性樹脂粒子中に含める場合の配合量は、10〜70質量%が好ましい。10質量%未満では磁気に対する感応性が小さくなる場合があり、70質量%を超えると、次の活性基含有モノマーの重合膜で被覆する工程に悪影響が出る場合がある。ストロンチウムフェライトまたはバリウムフェライトを活性基含有モノマーの重合膜で被覆する場合の配合量は、5〜60質量%が好ましい。5質量%未満では、磁気に対する感応性が小さくなる場合があり、60質量%を超えると、被覆が不十分となる場合がある。
ストロンチウムフェライトまたはバリウムフェライトから疎水性樹脂粒子を製造する際、あるいは、ストロンチウムフェライトまたはバリウムフェライトを活性基含有モノマーの重合膜で被覆する場合には、ストロンチウムフェライトまたはバリウムフェライトがモノマーに良好に分散することが好ましい。そのため、ストロンチウムフェライトまたはバリウムフェライトの表面は親油化処理されていることが好ましい。親油化処理の方法としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などの表面処理剤により処理する方法、脂肪酸塩などを吸着させる方法などがあるが、特に限定されるものではない。
ここで、疎水性樹脂とは、疎水性モノマーが51質量%以上含まれる組成物が重合された樹脂をいう。疎水性モノマーとは、25℃におけるイオン交換水に対する溶解度が1質量%未満のモノマーである。疎水性モノマーの具体例としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレンおよびクロロメチルスチレンなどのスチレン系モノマー、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、デシルアクリレートおよびドデシルアクリレートなどのアクリル酸エステル類、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、デシルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル類などが挙げられる。上記の疎水性モノマーは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明における検討によれば、最終的に得られる磁性キレート材料の耐酸性が高くなることから、疎水性モノマーとしてはスチレンが含まれていることが好ましい。
疎水性樹脂粒子の機械的強度向上のため、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等の多官能性モノマーを併用してもよい。
疎水性樹脂粒子は、ストロンチウムフェライトまたはバリウムフェライトを、重合開始剤を溶解した疎水性モノマーに分散させ、このモノマーを懸濁安定剤とよばれる分散剤含有の水の中に油滴として分散させた分散系で重合を進行させる懸濁重合法により得られる。重合開始剤は水不溶または難溶のものが好ましい。具体的には例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルプロパンニトリル)、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルペンタンニトリル)、2,2′−アゾビス−(2−メチルブタンニトリル)、1,1′−アゾビス−(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)等のアゾ系開始剤や、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、t−ブチルペルオクテート、α−クミルペルオキシピバレート等の過酸化物系開始剤が挙げられる。また、重合を進める温度は使用する重合開始剤の種類により定めればよい。例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイル等では60℃以上の温度が適合し、過酸化物と還元剤とを組み合わせるレドックス系では60℃以下の温度でも重合を進めることができる。懸濁安定剤の例としては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロースの塩などの水溶性高分子を挙げることができる。
ストロンチウムフェライトまたはバリウムフェライト、あるいは、ストロンチウムフェライトまたはバリウムフェライトを含む疎水性樹脂粒子は、次いで、活性基含有モノマーの重合膜で被覆される。活性基とは、金属イオンに対するキレート基を導入するための基であり、具体的にはエポキシ基、ビニル基、カルボキシル基、エステル基、ヒドロキシル基、アミノ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。これらの活性基の中では、金属イオンに対するキレート基を有する化合物との反応性に優れるとともに、活性基自体の安定性が比較的良好であるエポキシ基が好ましい。
活性基含有モノマーの具体例として、エポキシ基含有化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルなど、ビニル基含有化合物としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレートなど、カルボキシル基含有化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸など、エステル基含有化合物としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレートなど、ヒドロキシル基含有化合物としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセロールアクリレート、グリセロールメタクリレートなど、アミノ基含有化合物としては、アミノメチルアクリレート、アミノメチルメタクリレート、アミノエチルアクリレート、アミノエチルメタクリレート、ビニルピリジンなど、ハロゲン原子含有化合物としては、クロロメチルスチレンなどを挙げることができる。これら活性基含有モノマーは単独で用いてもよいが、2種以上組み合わせて用いてもよい。本発明における検討によれば、活性基含有モノマーとしては、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートが好ましい。また、架橋剤として、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等の多官能性モノマーを併用してもよい。
活性基含有モノマーの重合膜により、ストロンチウムフェライトまたはバリウムフェライトを含む疎水性樹脂粒子を被覆する方法としては、疎水性樹脂粒子と界面活性剤の存在下に活性基含有モノマーを重合させ、重合と同時に疎水性樹脂粒子表面に沈着させる方法が好ましい。活性基含有モノマーの重合膜の厚みは、疎水性樹脂粒子に対するモノマーの仕込み比率によって制御され、質量比で疎水性樹脂粒子1質量部に対してモノマーを0.5〜10質量部の範囲とすることが好ましい。0.5質量部未満では、重合膜が薄くなり、機械的な強度が不足して磁性キレート材料から重合膜が剥がれてくる場合がある。10質量部を超えると、磁気に対する感応性が小さくなる場合がある。
また、ストロンチウムフェライトまたはバリウムフェライトを活性基含有モノマーの重合膜で被覆する方法としては、活性基含有モノマーに重合開始剤を溶解させ、ここにストロンチウムフェライトまたはバリウムフェライトを分散させたものを、分散剤含有の水の中に油滴として分散させた分散系で重合を進行させる懸濁重合法によって製造する方法が好ましい。この場合の活性基含有モノマーの重合膜の厚みは、ストロンチウムフェライトまたはバリウムフェライトに対するモノマーの仕込み比率によって制御され、質量比でストロンチウムフェライトまたはバリウムフェライト1質量部に対してモノマーを0.67〜19質量部の範囲とすることが好ましい。0.67質量部未満では、重合膜が薄くなり、機械的な強度が不足してストロンチウムフェライトやバリウムフェライトから重合膜が剥がれてくる場合がある。19質量部を超えると、磁気に対する感応性が小さくなる場合がある。
重合開始剤としては、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルプロパンニトリル)、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルペンタンニトリル)、2,2′−アゾビス−(2−メチルブタンニトリル)、1,1′−アゾビス−(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、アゾビスシアノバレリアン酸、アゾビスシアノペンタン酸等のアゾ系開始剤、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、t−ブチルペルオクテート、α−クミルペルオキシピバレート、過酸化水素等の過酸化物系開始剤、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩系開始剤などが挙げられる。また、重合を進める温度は使用する重合開始剤の種類により定めればよい。例えば、過硫酸アンモニウムなど熱分解により重合を進める場合は60℃以上の温度が適合し、過酸化物と還元剤とを組み合わせるレドックス系では60℃以下の温度でも重合を進めることができる。
使用する界面活性剤について、特に制限はなく、公知のアニオン、カチオン、両性および非イオン性の界面活性剤を用いることができる。具体的な例として、アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリウムベタイン等が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。これらは、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
金属イオンに対するキレート基を有する化合物の具体例としては、イミノジ酢酸、アミノメチルホスホン酸、ニトリロトリ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、1,3−プロパンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、イミノジエタノール等を挙げることができる。また、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン等の多価アミン類、フェニルアラニン、リジン、ロイシン、バリン、プロリン等のアミノ酸類、アミドキシム類等を挙げることができる。
金属イオンに対するキレート基を有する化合物と活性基との反応を行わせる条件について、特に制限はなく、それらの組み合わせに応じて必要な反応条件を用いればよい。例えば、イミノジ酢酸やジエチレントリアミンのようなアミノ基を有する化合物の場合、エポキシ基、エステル基、ハロゲン原子等に対しては、必要に応じて炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の塩基を併用して加熱することにより導入することができる。反応溶媒としては水が好ましく、必要に応じてメタノールやエタノール等のアルコール類や、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の助溶媒を併用することができる。磁性キレート材料に導入されるキレート基の量は、キレート吸着される金属イオン量から間接的に求められ、磁性キレート材料1gあたり0.5〜2.5mmolとすることが好ましい。0.5mmol未満では吸着処理に多量の磁性キレート材料が必要になることがある。2.5mmolを超えるキレート基を導入するためには、活性基含有モノマーを大量に使用する必要があり、磁気に対する感応性が小さくなる場合がある。
磁性キレート材料の平均粒径は1〜500μmが好ましい。1μm未満では、磁性キレート材料に含まれるフェライトの含有量が少なくなるため、磁気に対する感応性が小さくなることがある。500μmを超えると、磁性キレート材料の比表面積が小さくなるため単位重量あたりの金属イオン捕集能力が小さくなってくる場合がある。なお、この平均粒径は、マイクロトラック(登録商標)MT3300EX(日機装(株)製)を使用し、分散媒である水の屈折率を1.33、被測定物の屈折率を1.50として測定して求めた。
金属イオンに対するキレート基を有する磁性キレート材料と金属イオン含有水を接触させて金属イオンを磁性キレート材料に吸着させる工程(1)において、金属イオン含有水のpHは、金属イオンがキレート基に十分捕捉される範囲にする必要がある。この範囲は金属イオンとキレート基の組み合わせによって異なる。例えば、ニッケルイオンをイミノジ酢酸構造のキレート基で捕捉する場合には、pHを4.0〜6.0とするのが好ましい。この場合、pHが4.0よりも低いと、吸着が不十分となることがあり、また、pHが6.0よりも高いと、低純度のニッケル水酸化物が分離してくることがある。
工程(1)においては、磁性キレート材料と金属イオン含有水を混ぜた後、吸着を十分に進めるために、系を均一な懸濁状態に保つ必要がある。この目的には、攪拌羽根で攪拌する方法、エアレーションなど曝気による方法、電磁石制御により磁性体粒子を攪拌する方法などが用いられる。磁性キレート材料と金属イオン含有水の接触時間は、30分〜6時間が好ましい。30分より短いと、吸着が不十分となることがあり、また、6時間より長くしても、吸着量は平衡に達しており、作業効率上好ましくない。磁性キレート材料の添加量は、水に含まれる金属イオン量に応じて決められ、当量以上とすることが好ましい。当量より少ない場合には、金属イオンの回収が不十分となることがある。
金属イオンを吸着した磁性キレート材料を磁気分離する工程(2)においては、タンク内あるいはタンクの側面や底面に磁石を取り付けて磁性キレート材料を集磁し、金属イオンが除かれた水をタンク外に排出する。あるいは、タンク外に連続式の磁気分離機を設け、金属イオンを吸着した磁性キレート材料と処理済みの水を分離する。磁石としては、永久磁石、電磁石、超電導磁石など好適なタイプを選択して使用することができる。超電導磁石は、磁力が他磁石に比べて著しく強いので、磁気分離機を小型化する上では有利である。
磁気分離された磁性キレート材料から金属イオンを溶出する工程(3)は、金属イオンを吸着した磁性キレート材料を水に再分散させ、鉱酸等の溶出液と攪拌することにより実施できる。溶出液としては例えば、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸、チオ尿素水溶液、チオシアン酸水溶液等を挙げることができ、キレート基と金属イオンの組み合わせに応じて好ましいものを用いる。例えば、イミノジ酢酸構造のキレート基に捕捉されたニッケルイオンや銅イオンを溶出するには、硫酸や塩酸などの鉱酸が用いられ、アミノ基構造のキレート基に捕捉された金イオンやパラジウムイオンを溶出するには、チオ尿素水溶液が用いられる。溶出に必要な時間は、5分ないし1時間が好ましい。5分より短いと溶出が不十分となることがあり、1時間より長いと装置類に腐食が発生するおそれがある。
工程(3)の後、金属イオンを溶出した磁性キレート材料を溶出液から磁気分離する工程(4)を行う。この工程は、工程(2)と同じ装置を用いることができる。具体的には例えば、タンク内あるいはタンクの側面や底面に磁石を取り付けて磁性キレート材料を集磁し、金属イオンを溶出した溶出液をタンク外に排出する。あるいは、タンク外に連続式の磁気分離機を設け、金属イオンを溶出した磁性キレート材料と溶出液を分離する。磁石としては、永久磁石、電磁石、超電導磁石など好適なタイプを選択して使用することができる。超電導磁石は、磁力が他磁石に比べて著しく強いので、磁気分離機を小型化する上では有利である。
本発明においては、工程(2)の後または工程(4)の後のいずれかにおいて、磁性キレート材料に搾液処理を施す。工程(2)の後では、金属イオンを吸着した磁性キレート材料に搾液処理を施し、工程(4)の後では、金属イオンを溶出した磁性キレート材料に搾液処理を施す。工程(2)において、磁気分離直後の磁性キレート材料は、水を大量に含む緩いゲル状であり、搾液処理によって水を除くことが、金属イオンを純度よく回収するために有効である。工程(4)における磁気分離直後の磁性キレート材料も、水を大量に含む緩いゲル状であり、そのままでは溶出された大量の金属イオンを含んでいる。搾液処理によって水を除くことにより、金属イオンを収率よく回収することができる。搾液処理を工程(2)の後と工程(4)の後の両方で行った場合には、金属イオンを高純度かつ高収率で回収することができるので好ましい。搾液処理を工程(2)の後のみで行った場合には、若干回収率は低下するものの、金属イオンを高純度で回収することができ、搾液処理を工程(4)の後のみで行った場合には、若干純度は低下するものの、金属イオンを高収率で回収することができる。
搾液処理の具体的な方法としては、減圧によるもの、遠心分離によるもの、加圧によるものを挙げることができる。減圧によるものは、濾布や濾過板等の濾材を用いる減圧濾過方式である。基本的にバッチ処理であり、これら濾材の目詰まりによる効率低下という問題はあるものの、装置がシンプルという特徴を持っている。遠心分離によるものには、遠心管を用いるタイプ、濾材を用いるタイプ、サイクロン方式等がある。遠心管を用いるタイプは少量処理に向く。濾材を用いるタイプは濾材の目詰まりによる効率低下という問題はあるものの、固体部分に残る水の量を少なくすることができるという特徴がある。サイクロン方式は濾材がいらないという特徴があるが、固液の比重差が大きくないと分離が不十分となるという問題がある。加圧によるものには、スクリュープレス式、ピストンによる圧搾プレス方式、フィルタープレス方式、ローラーで挟んで圧力をかける方式等がある。スクリュープレス式、ピストンによる圧搾プレス方式、フィルタープレス方式は、装置が大がかりになるものの固体部分に残る水の量を少なくすることができるという特徴がある。ローラーで挟んで圧力をかける方式は、固体部分に残る水の残留率は他の方式に比べて高いものの、濾材の目詰まりがなく、連続処理が容易というメリットがある。
搾液処理の効果を高めるため、磁気分離工程(2)の後、金属イオンを吸着した磁性キレート材料を洗浄してもよい。具体的には、磁気分離した金属イオンを吸着した磁性キレート材料をタンクに戻し、水を加えて攪拌洗浄を行い、再度磁気分離工程(2)を行う。この場合の搾液処理は、金属イオンを吸着した後の磁気分離工程後と、洗浄を行った後の磁気分離工程後の両方で実施することが好ましい。洗浄に用いる水量や攪拌時間に特に制限はないが、金属イオン含有水と同量〜2倍量の水量で、攪拌時間を10分〜1時間とすることで十分である。
工程(3)で溶出された金属イオンは、高純度、高濃度の水溶液となっているので、例えば、アルカリ金属炭酸塩、水酸化アルカリ、シュウ酸等を加えることにより、高純度の炭酸塩、水酸化物、あるいはシュウ酸塩として単離することができる。あるいは、電気分解により陰極に金属として析出させることもできる。工程(4)を経た磁性キレート材料は、希水酸化ナトリウムなどのアルカリ等で再生され、再使用することが可能となる。
本発明によれば、金属イオン濃度が100ppm未満と低く、かつ、水量が10トン以上と多い場合であっても、磁性キレート材料を添加して金属イオンを吸着させ、磁気分離したのち、さらに搾液処理することにより、高純度、高回収率で金属イオンを回収することが可能となる。一連の操作においては、大がかりな樹脂充填塔や加圧送水設備は不要であり、目詰まりや流量低下といった問題がなく、実用性が高い。特に金属イオン濃度が100ppm未満と低い場合、吸着対象外の共存イオンが高濃度に存在することが多く、本発明の方法により純度向上を図ることは極めて有効である。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものでない。なお、実施例中の百分率は、特にことわりのない場合、質量基準である。実施例における金属イオンとリン(P)の分析には、誘導結合プラズマ発光分析(ICP−AES)を用いた。金属イオン含有水としては、表1に示す組成の液を用いた。
Figure 2011189333
<バリウムフェライトを含む疎水性樹脂粒子1の合成>
ボールミルにて予め混練しておいた、スチレン(水に対する溶解度0.03%)45g、ブチルアクリレート(水に対する溶解度0.14%)5g、ジビニルベンゼン(水に対する溶解度<0.01%)1g、表面疎水化処理したバリウムフェライト15g、過酸化ベンゾイル1gの混合物を、ポリビニルアルコール(ケン化度98%、重合度1700)5部を溶解したイオン交換水500mlに添加し、ホモミキサーで6000rpm×10分間の分散を行った。このものをフラスコに移し、窒素気流下にて80℃、8時間加熱攪拌した。生成物は、水洗後、磁石により集めて乾燥し、疎水性樹脂粒子1を得た。
<ストロンチウムフェライトを含む疎水性樹脂粒子2の合成>
表面疎水化処理したバリウムフェライトの替わりに、表面疎水化処理したストロンチウムフェライトを用いるほかは、疎水性樹脂粒子1の合成と同様に操作して、疎水性樹脂粒子2を得た。
<磁性キレート材料1の合成>
3gの疎水性樹脂粒子1を、水180ml、グリシジルメタクリレート5.2g、ソルビタンモノオレエート(商品名;Span80、東京化成製)(0.26g)、硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物0.35gの混合物に加え、窒素気流下にて1時間攪拌した。ここへ、30%過酸化水素0.61gを水4mlに溶かした溶液を室温で加え、さらに、2時間攪拌した。生成物は水200mlで希釈し、反応容器の底に磁石を当てた状態で、非感磁性分をデカンテーションによって除去した。水200mlを加えてはデカンテーションを行う操作をさらに3回繰り返し、最後に磁石を当てて容器内に残った成分を濾取した。収量は4.9gであった。このもの1.0gをイミノジ酢酸ナトリウム2.0g、エタノール8.6ml、水18mlとともに4時間還流した。生成物は水50mlで希釈し、反応容器の底に磁石を当てた状態で、上澄みをデカンテーションによって除去した。水50mlを加えてはデカンテーションを行う操作をさらに2回繰り返し、最後に磁石を当てて容器内に残った成分を濾取して、磁性キレート材料1を得た。収量は1.2gであった。磁性キレート材料1を走査型電子顕微鏡で観察したところ、球状または楕円球状構造であることが分かった。マイクロトラック(登録商標)MT3300EX(日機装(株)製)で求めた平均粒径は12μmであった。
<磁性キレート材料2の合成>
疎水性樹脂粒子1の替わりに、疎水性樹脂粒子2を用いるほかは、磁性キレート材料1の合成と同様に操作して、磁性キレート材料2を得た。このものの平均粒径は11μmであり、球状または楕円球状構造であった。
<磁性キレート材料3の合成>
表面疎水化処理したバリウムフェライト6.4g、グリシジルメタクリレート23g、エチレングリコールジメタクリレート1g、ソルビタンモノオレエート(商品名;Span80、東京化成製)0.3gの混合物に過酸化ベンゾイル0.2gを溶かし、ポリビニルアルコール(ケン化度98%、重合度1700)16gを溶解したイオン交換水800mlを加えて、ホモミキサーで6000rpm×1分間の分散を行った。このものをフラスコに移し、窒素気流下にて80℃、3時間加熱攪拌した。重合物は、水洗後、磁石により集めて乾燥した。この重合物10gを、イミノジ酢酸3g、水酸化ナトリウム1.8g、水23ml、プロピレングリコール25mlの混合物に加え、3時間加熱還流した。生成物は水300mlで希釈し、反応容器の底に磁石を当てた状態で、上澄みをデカンテーションによって除去した。水300mlを加えてはデカンテーションを行う操作をさらに2回繰り返し、最後に磁石を当てて容器内に残った成分を濾取して、磁性キレート材料3を得た。収量は14.4gであった。磁性キレート材料3を走査型電子顕微鏡で観察したところ、球状構造であることが分かった。マイクロトラック(登録商標)MT3300EX(日機装(株)製)で求めた平均粒径は18μmであった。
<磁性キレート材料4の合成>
表面疎水化処理したバリウムフェライトの替わりに、表面疎水化処理したストロンチウムフェライトを用いるほかは、磁性キレート材料3の合成と同様に操作して、磁性キレート材料4を得た。このものの平均粒径は19μmであり、球状構造であった。
実施例1
磁性キレート材料1(20g)を、金属イオン含有水1(100ml)に添加し、室温で1時間攪拌した(工程(1))。次いで、表面磁束密度0.45Tの永久磁石を容器の外に当てて磁性キレート材料を集磁し、デカンテーションにより液体部分を除去した。残った固形分に水50mlを加え、室温で20分攪拌した後、同様に操作して液体部分を除いて(工程(2))から、直径55mmのNo131濾紙を用いて、5分間吸引濾過する搾液処理を施し、濾液は廃棄した。得られた固形分に1規定硫酸40mlを加え、室温で10分間攪拌した後(工程(3))、上述の永久磁石を容器の外に当てて磁性キレート材料を集磁し、デカンテーションにより液体部分を取り出した。同様の操作を1規定硫酸40mlと水40mlで1回ずつ繰り返し、液体部分を一つに集めた(工程(4))。液量は100mlであった。この液のニッケル(Ni)イオンとリンイオンの濃度をICP−AESで求めたところ、それぞれ5,100mg/リットル、3,000mg/リットルであった。処理前の金属イオン水1から溶出液へのニッケルおよびリンの移行率は、両者の濃度比較から、ニッケルは80%が移行しているが、リンは7%の移行にとどまっており、ニッケルが純度よく高い収率で溶出液中に得られていることが分かる。
実施例2
磁性キレート材料1の替わりに磁性キレート材料2を用いる点を除いては、実施例1と同様に操作した。溶出液の液量は100mlであり、この液のニッケルイオンとリンイオンの濃度はそれぞれ5,100mg/リットル、2,800mg/リットルであった。処理前の金属イオン含有水1から溶出液への移行率は、ニッケルでは80%であるが、リンは7%にとどまっており、ニッケルが純度よく高い収率で溶出液中に得られていることが分かる。
比較例1
搾液処理を施さない点を除いては、実施例1と同様に操作した。溶出液の液量は140mlであり、この液のニッケルイオンとリンイオンの濃度は、液量を100mlに濃縮したとして換算した値で示すと、それぞれ5,000mg/リットル、12,000mg/リットルであり、ニッケルの移行率は78%と高いものの、リンの移行率も30%と比較的高いレベルにとどまっていた。
実施例3
磁性キレート材料1(20g)を、金属イオン含有水1(100ml)に添加し、室温で1時間攪拌した(工程(1))。次いで、表面磁束密度0.45Tの永久磁石を容器の外に当てて磁性キレート材料を集磁し、デカンテーションにより液体部分を除去した。残った固形分に水50mlを加え、室温で20分攪拌した後、同様に操作して液体部分を除いてから(工程(2))、直径55mmのNo131濾紙を用いて5分間吸引濾過する搾液処理を施し、濾液は廃棄した。得られた固形分に1規定硫酸40mlを加え、室温で10分間攪拌した後(工程(3))、上述の永久磁石を容器の外に当てて磁性キレート材料を集磁し、デカンテーションにより液体部分を取り出した(工程(4))。集磁された磁性キレート材料は直径55mmのNo131濾紙を用いて5分間吸引濾過する搾液処理を施した。濾紙上の磁性キレート材料を1規定硫酸40mlに加え、室温で10分間攪拌した後(工程(3))、同様にして集磁、デカンテーション(工程(4))、搾液処理を施した。同じ操作を、水40mlを用いてもう1回行った。3回の処理によって得られた液を合わせると130mlとなった。この液のニッケルイオンとリンイオンの濃度は、液量を100mlに濃縮したとして換算した値で示すと、それぞれ6,100mg/リットル、3,000mg/リットルであった。ニッケルの移行率が95%に向上する一方、リンの移行率は7%と低いレベルに維持されていることが分かった。
実施例4
濾紙を用いて吸引濾過する搾液処理の替わりに、絞りローラーを装備した磁気分離機(日本マグネティックス社製クーラントセパレーター)による搾液処理を行う点を除いては、実施例1と同様に操作した。ニッケル溶出液の合計は90mlであった。この液のニッケルイオンとリンイオンの濃度は、液量を100mlに希釈したとして換算した値で示すと、それぞれ5,100mg/リットル、2,100mg/リットルであり、実施例1と比べるとニッケルの移行率80%を維持したまま、リンの移行率が5%とわずかながらも低減していることが分かった。
実施例5
磁性キレート材料1(20g)を、金属イオン含有水2(10リットル)に添加し、室温で20分攪拌した(工程(1))。次いで、表面磁束密度0.45Tの永久磁石を容器の外に当てて磁性キレート材料を集磁し、デカンテーションにより液体部分を除去した(工程(2))。残った固形分に再度、金属イオン含有水2(10リットル)を加え、室温で20分攪拌後に(工程(1))、上記と同様にして集磁し、液体部分をデカンテーションで除去した(工程(2))。この作業をさらに14回、合計で16回実施した。残った固形分に1規定硫酸40mlを加え、室温で10分間攪拌した後(工程(3))、上述の永久磁石を容器の外に当てて磁性キレート材料を集磁し、デカンテーションにより液体部分を取り出した(工程(4))。集磁された磁性キレート材料は直径55mmのNo131濾紙を用いて5分間吸引濾過する搾液処理を施した。濾紙上の磁性キレート材料を1規定硫酸40mlに加え、室温で10分間攪拌した後(工程(3))、同様にして集磁、デカンテーション(工程(4))、搾液処理を施した。同じ操作を、水40mlを用いてもう1回行った。3回の処理によって得られた液を合わせると150mlとなった。この液の銅(Cu)イオンの濃度は1,933mg/リットルであり、延べ16回の繰り返しで処理した金属イオン含有水2に含まれる全銅イオンの91%が溶出液に移行していることが分かった。
実施例6
磁性キレート材料1の替わりに磁性キレート材料3を用いる点を除いては、実施例5と同様に操作した。溶出液の液量は150mlであった。この液の銅(Cu)イオンの濃度は2,005mg/リットルであり、延べ16回の繰り返しで処理した金属イオン含有水2に含まれる全銅イオンの94%が溶出液に移行していることが分かった。
実施例7
磁性キレート材料1の替わりに磁性キレート材料4を用いる点を除いては、実施例5と同様に操作した。溶出液の液量は150mlであった。この液の銅(Cu)イオンの濃度は1,950mg/リットルであり、延べ16回の繰り返しで処理した金属イオン含有水2に含まれる全銅イオンの91%が溶出液に移行していることが分かった。
比較例2
1規定硫酸処理以降の操作において搾液処理を施さないという点を除いては、実施例5と同様に操作した。3回の操作で得た液量は130mlであった。この液の銅(Cu)イオンの濃度は1,690mg/リットルであり、延べ16回の繰り返しで処理した金属イオン含有水2に含まれる全銅イオンの69%が溶出液に移行しており、移行率が低減していることが分かった。
実施例1〜4と比較例1から、本発明によれば高濃度の金属イオンを含む水から、有機溶媒や大規模な設備、大電力を使用することなく、高純度の金属イオンを収率よく回収できることが分かる。また、実施例5〜7と比較例2から、本発明によれば低濃度の金属イオンを含む水から、簡単な操作により、有機溶媒や大規模な設備、大電力を使用することなく、金属イオンを収率よく回収できることが分かる。
本発明によれば、有機溶媒や大規模な設備、大電力を必要とすることなく、金属イオン含有水から金属イオンを純度よく高収率で回収することができる。

Claims (3)

  1. 金属イオンに対するキレート基を有する磁性キレート材料と金属イオン含有水を接触させて金属イオンを磁性キレート材料に吸着させる工程(1)と、金属イオンを吸着した磁性キレート材料を磁気分離する工程(2)と、磁気分離された磁性キレート材料から金属イオンを溶出する工程(3)と、金属イオンを溶出した磁性キレート材料を磁気分離する工程(4)からなり、少なくとも、工程(2)の後または工程(4)の後のいずれかにおいて、磁性キレート材料に搾液処理を施すことを特徴とする金属イオン含有水からの金属イオンの回収方法。
  2. 磁性キレート材料が、ストロンチウムフェライトまたはバリウムフェライトを含有してなる疎水性樹脂粒子を活性基含有モノマーの重合膜で被覆し、次いで、金属イオンに対するキレート基を有する化合物と該活性基との反応によりキレート基を導入することによって製造されている請求項1記載の金属イオン含有水からの金属イオンの回収方法。
  3. 磁性キレート材料が、ストロンチウムフェライトまたはバリウムフェライトを活性基含有モノマーの重合膜で被覆し、次いで、金属イオンに対するキレート基を有する化合物と該活性基との反応によりキレート基を導入することによって製造されている請求項1記載の金属イオン含有水からの金属イオンの回収方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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