JP2011187820A - フォトダイオード - Google Patents

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Abstract

【課題】超高速動作に適した、受光感度の高い「光通信用フォトダイオード」を提供する。
【解決手段】本発明に係るフォトダイオードは、半絶縁性基板1上に、p形電極層2、半導体光吸収層3、4、半導体光吸収層3、4よりも大きなバンドギャップエネルギーを有する電子走行層5、n形電極バッファ層6、及びn形電極層7が順次積層され、半導体光吸収層3、4及び電子走行層5が第1のメサ構造を形成し、n形電極バッファ層6及びn形電極層7が第2のメサ構造を形成し、p形電極8と、n形電極9とを有する。半導体光吸収層3、4は積層方向にドーピングプロファイルを有し、動作状態において、半導体光吸収層3、4にp形の中性を保つ領域が存在し、少なくとも電子走行層5とn形電極バッファ層6との両層が接する部分が空乏化し、第2のメサ構造の形状とドーピング構造で決まる電界分布により、第1のメサ構造内に活性領域が形成されることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、フォトダイオードに関し、特に、超高速動作に適した、受光感度の高い「光通信用フォトダイオード」の素子構造に関する。
フォトダイオードは、長波長帯(1.3μm帯〜1.5μm帯)光通信システムのレシーバ装置に、受光デバイス部品としてとして広く使用されている。その要求性能に関しては、少なくとも10Gbps以下のシステムにおいては、従来の典型的なフォトダイオード技術でも満足できる状況にある。しかしながら、TDM(時分割多重)チャネルのクロック速度が上がるにつれて、電子やホールの走行速度で決まる真性帯域(キャリア走行遅延時間)、接合容量、受光感度など、多くのデバイスパラメータが、信号の受信感度特性に影響しやすくなる。例えば、40Gbpsシステム向けのフォトダイオードでは、真性遅延時間を短く保つために、一般に空乏層を薄く設計するため、接合容量が増大しやすく、同時に、受光感度が低下する傾向がある(なお、光吸収層に光導波路を結合するタイプのフォトダイオード、いわゆる、導波路形フォトダイオードは、受光感度を確保できる有利な構造ではあるが、これは構造が複雑であるので例外として扱い、ここでは、一般的な面形の構造を説明の対象とする。)。
また、最近、フォトダイオードに求められていることは、動作電圧の低減である。これは、光レシーバに用いられるトランスインピーダンスアンプ(TIA)や、他のクロック・データリカバリ(CDR)回路などの集積回路素子の電源電圧が、それまでの5Vから3.3Vに低下していることが背景にある。すなわち、最大+3.3V電源を流用する状況では、フォトダイオードのバイアス電圧は、おおよそ2V程度に下がってしまう。このバイアス電圧の低減は、仮にpn接合の空乏層厚が同じであれば、空乏層の内部電界の低下を招き、キャリア走行遅延時間の増大(すなわち、真性帯域の低下)の原因となる。結局、空乏層の内部電界を一定以上に保つ目的で、空乏層を薄く設計せざるを得ない状況をもたらす。このように、これも、接合容量の増大と受光感度低下の原因となる。
以上の様に、一般に、フォトダイオードの高速化に際して真性帯域を上げる設計を行うと、接合容量は増大し、受光感度は低下する。通常のpin形フォトダイオードの場合、光吸収層厚と空乏層厚は等しいから、高速化は、受光感度の低下と接合容量の増大に直接的に影響する。接合容量については、フォトダイオードのサイズを縮小することにより、ある程度の調整は可能であるが、受光感度の低下は一般に避けることができない。
一般的に、フォトダイオードの真性帯域と受光感度とは、トレードオフの関係にあり、真性帯域を上げると受光感度は低下する。この傾向は、従来形のpin形フォトダイオードで特に問題となっている。
pin形フォトダイオードよりも受光感度をより高くできるフォトダイオード構造として、二重吸収層タイプの構造が報告されている(例えば、特許文献1参照)。これは、空乏化した光吸収層にp形の光吸収層を接続したものであり、p形の光吸収層の電子移動度が高いゆえ、その部分のキャリア走行遅延時間が全体の遅延時間を大きく低下させることが少なく、p形の光吸収層を付加しても、フォトダイオードの動作速度の低下を起こさない。すなわち、動作速度を高くしても受光感度の低下を相対的に小さくできる構造である。本発明は、このような二重吸収層タイプのフォトダイオードの改善に関するものである。
特許第4061057号明細書
上述した二重吸収層タイプのフォトダイオードは、典型的には、ダブルメサ形で製作される。図5に示した様に、従来の二重吸収層タイプのフォトダイオードは、基板21上にn形電極層22が配置され、その上に、空乏化光吸収層23とp形光吸収層24とが一体のメサとして形成される。素子の活性領域は、この光吸収層メサで規定される。また、p形光吸収層24の上には、p形電極層25が形成され、その上に、p形電極26及び反射防止膜28が設けられる。また、n形電極層22の上には、n形電極27が設けられる。 ここで、光吸収層は、バンドギャップエネルギーの小さな半導体(通常、1.5μm帯では、InGaAs)で形成されるため、電圧が印加された状態で光吸収層の側面表面に流れ込む少数キャリア(電子)による注入電流や、表面の再結合電流からなる「フォトダイオードの暗電流」が比較的大きい。この暗電流は、ノイズ源となることに加え、低い光信号入力レベルではその電流値測定に誤差を生じてさせてしまう。
そのため、光吸収層メサの側面を、エピタキシャル再成長法を用いて、低濃度もしくは半絶縁性のFeドープInPでカバーするという方法がある。しかしながら、この方法は、InGaAs側面の垂直加工の煩雑さのみならず、再成長界面に残留した不純物によりリークパスが完全に抑制されず、電圧印加時に暗電流が発生するという問題を必ずしも解決できるというわけではない。
一方、光吸収層メサを形成することなく、Zn拡散でpn接合を形成する方法もある。図6は、Zn拡散でpn接合を形成したフォトダイオードの素子断面の模式図である。この方法では、基板31上にn形電極層32を配置し、その上にn形で低濃度のInGaAs光吸収層33を形成し、さらにその上に、n形で低濃度のInP層34を配置する。次いで、必要な接合部分に拡散マスクを形成し、そのマスクを通してZnの熱拡散を施すことにより、InGaAs光吸収層33中にp形領域35を形成し、二重吸収層タイプとする。また、Zn拡散によりp形となったInP層34の上には、p形電極37および反射防止膜38が設けられ、n形電極層32の上にはn形電極36が設けられる。
しかしながら、この構造では、Zn拡散のフロントをInGaAs光吸収層33中に深く配置するので、拡散領域の湾曲部に発生する電界集中が、必然的にInGaAs光吸収層33中に生じてしまう。これは、いわゆる、エッジブレークダウンを誘発するものであり、素子のESD(静電放電)耐圧の低下、および信頼性の低下を引き起こしてしまう。また、Zn拡散の深さ制御は必ずしも容易ではなく、p形光吸収層厚のばらつきが発生して、フォトダイオードの真性帯域や接合容量が不安定になるという問題もある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来の高速で動作する「二重吸収層タイプ」の光通信用フォトダイオードにおける「接合の暗電流」を小さくし、「接合周辺のエッジブレークダウン」を生じさせないようにしたフォトダイオードを提供することである。
このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、半絶縁性基板上に、p形電極層、半導体光吸収層、前記半導体光吸収層よりも大きなバンドギャップエネルギーを有する電子走行層、n形電極バッファ層、及びn形電極層が順次積層され、前記半導体光吸収層及び前記電子走行層が第1のメサ構造を形成し、前記n形電極バッファ層及び前記n形電極層が第2のメサ構造を形成し、前記p形電極層とオーミック接触するp形電極と、前記n形電極層とオーミック接触するn形電極とを有するフォトダイオードであって、前記半導体光吸収層が積層方向にドーピングプロファイルを有し、動作状態において、前記半導体光吸収層の前記p形電極層側にp形の中性を保つ領域が存在し、少なくとも前記電子走行層と前記n形電極バッファ層との両層が接する部分が空乏化し、前記第2のメサ構造の形状とドーピング構造で決まる電界分布により、前記第1のメサ構造内に活性領域が形成されることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフォトダイオードであって、前記半導体光吸収層及び前記電子走行層が共にp形であり、動作状態において、前記第1のメサ構造内の前記活性領域を取り囲む前記光吸収層と前記電子走行層部分に、p形の中性を保つ領域が残留することを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のフォトダイオードであって、前記第1のメサ構造の側面部及び上面部を含む周辺部にp形不純物のドーピングを施すことによって、前記周辺部にp形の中性領域が形成されたことを特徴とする。
以上説明したように、本発明によると、フォトダイオードの活性領域は、光吸収層を含む第1のメサ構造の内部に形成され、そのために光吸収層が露出するメサ構造の側面では電界が極めて小さい状態となり、もしくは電界が発生せず、電圧のかからない平衡状態となるので、バンドギャップの小さなInGaAsに起因する暗電流の発生を抑制することが可能となる。
また、暗電流レベルが高いと、それがノイズ源となって光レシーバの受信感度を低下させたり、低い光信号入力レベルにおいて動作電流値測定に誤差を生じさせたりしてしまうが、本発明によりその様な問題を改善することができる。
さらに、本発明によると、光吸収層中の電界集中を排除できるので、エッジブレークダウンの発生が抑制される。その結果、ESD耐圧が高くなることにより信頼性を向上させることができる。
本発明の第1の実施形態によるフォトダイオードの素子断面の模式図である。 本発明の第2の実施形態によるフォトダイオードの素子断面の模式図である。 図2に示した構造において、空乏化した領域11a、11bを示す図である。 本発明の第3の実施形態によるフォトダイオードの素子断面の模式図である。 従来の二重吸収層タイプのフォトダイオードの素子断面の模式図である。 Zn拡散でpn接合を形成した従来のフォトダイオードの素子断面の模式図である。
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、複数の図面において同一の符号は同一物を表し、その繰り返しの説明は省略する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態によるフォトダイオードの素子断面の模式図であり、上面光入射形のフォトダイオードを示す。
図示したフォトダイオードは、半絶縁性のInP基板1上に、p形電極層(p+−InGaAsP)2、p形光吸収層(p−InGaAs)3、低濃度の光吸収層(ud.−InGaAs)4、光吸収層4よりもバンドギャップが大きな低濃度の電子走行層(ud.−InGaAsP)5、n形電極バッファ層(n−InGaAsP)6、およびn形電極層(n+−InGaAs)7が順次積層されている。本実施形態によるフォトダイオードの半導体光吸収層は、p形光吸収層(p−InGaAs)3と低濃度の光吸収層(ud.−InGaAs)4とで形成することにより、積層方向にドーピングプロファイルを有し、ドーピング濃度分布が階段状となっている。また、p形光吸収層(p−InGaAs)3、低濃度の光吸収層(ud.−InGaAs)4、および低濃度の電子走行層(ud.−InGaAsP)5が、第1のメサ構造を形成し、n形電極バッファ層(n−InGaAsP)6、およびn形電極層(n+−InGaAs)7が、第2のメサ構造(n電極メサ)を形成する。また、p形電極層(p+−InGaAsP)2の上には、当該p形電極層(p+−InGaAsP)2とオーミック接触するp形電極8を有し、n形電極層(n+−InGaAs)7の上には、当該n形電極層(n+−InGaAs)7とオーミック接触するn形電極9を有する。さらに、n形電極層(n+−InGaAs)7上には、反射防止膜10を有する。
次に、上述した構造のフォトダイオードを製作する方法を説明する。
まず、半絶縁性のInP基板1上に、p形電極層(p+−InGaAsP)2、p形光吸収層(p−InGaAs)3、低濃度の光吸収層(ud.−InGaAs)4、低濃度の電子走行層(ud.−InGaAsP)5、n形電極バッファ層(n−InGaAsP)6、およびn形電極層(n+−InGaAs)7の各半導体層を、MO−VPE法(有機金属気相成長法)により順次エピタキシャル成長させる。
次いで、n形電極層(n+−InGaAs)7とn形電極バッファ層(n−InGaAsP)6からなるn形電極メサ(第2のメサ構造)を、化学エッチング法により形成する。ここで、n形電極バッファ層6と、低濃度の電子走行層5のInGaAsPの組成を変えて選択エッチング状態にすると、低濃度の電子走行層5とn形電極バッファ層6との界面で化学エッチングを停止しやすい。
次いで、p形光吸収層(p−InGaAs)3、低濃度の光吸収層(ud.−InGaAs)4、および低濃度の電子走行層(ud.−InGaAsP)5からなるメサ(第1のメサ構造)を同様に形成する。
次いで、n形電極層(n+−InGaAs)7上に反射防止膜10を堆積させ、パタニングした後、p形電極層(p+−InGaAsP)2の上にp形電極8を、n形電極層(n+−InGaAs)7の上にn形電極9を形成する。これらの引き出し電極やパッドなどは図示していないが、必要に応じてこれらも形成する。
このようなフォトダイオードを動作させるには、典型的な正の電流出力とする場合、n形電極9に正のバイアス電圧を印加し、p形電極8を出力端子とする。負の電流出力とする場合は、反対に、p形電極8に負のバイアス電圧を印加し、n形電極9を出力端子とする。
一定以上の逆バイアス電圧を印加した動作状態では、低濃度の光吸収層(ud.−InGaAs)4と、低濃度の電子走行層(ud.−InGaAsP)5は、通常は、低濃度のnタイプとなっているので空乏化する。より詳細には、電圧上昇に伴い、p形光吸収層(p−InGaAs)3と低濃度の光吸収層(ud.−InGaAs)4との境界から、低濃度の電子走行層(ud.−InGaAsP)5に向かって空乏化がひろがる。すなわち、動作状態において、p形光吸収層(p−InGaAs)3(すなわち、半導体光吸収層のp形電極層側)は、p形の中性を保つ領域として存在する。また、少なくとも、低濃度の電子走行層(ud.−InGaAsP)5と、n形電極バッファ層(n−InGaAsP)6との両層が接する部分が空乏化する。
n形電極層(n+−InGaAs)7とn形電極バッファ層(n−InGaAsP)6からなるn形電極メサ(第2のメサ構造)で制限されたその直下の領域は、しかるべき電界がかかり活性領域を形成する。すなわち、第2のメサ構造の形状とドーピング構造で決まる電界分布により、第1のメサ構造内に活性領域が形成される。一方、第2のメサから遠ざかるに従い、低濃度の光吸収層(ud.−InGaAs)4と、低濃度の電子走行層(ud.−InGaAsP)5の電界は、広がり効果に従って小さくなり、第1のメサ構造の側面の電位は0Vに近づく。結局、本構造では、p形光吸収層(p−InGaAs)3と低濃度の光吸収層(ud.−InGaAs)4は、電圧が極めて小さいか、もしくは電圧のかからない平衡状態となり、バンドギャップの小さなInGaAsに起因する暗電流の発生を抑制することが可能となる。
低濃度の光吸収層(ud.−InGaAs)4の上に、バンドギャップエネルギーのより大きな低濃度の電子走行層(ud.−InGaAs)5を配置することには、2つの理由がある。1つは、バンドギャップの小さなInGaAs層4の表面をカバーするためである。すなわち、第2のメサ周辺で、InGaAs層4が表面に露出することを防いで、表面再結合電流を抑制することが目的である。もう一つは、第2のメサ構造の周辺部に発生する電界集中部分をInGaAs層4から離し、エッジ電界によるブレークダウンを抑制するためである。n形電極バッファ層(n−InGaAsP)6のドーピング濃度を適性に設定して空乏化が進入する様にすると(図1中の11a)、低濃度の光吸収層(ud.−InGaAsP)4中へのエッジ電界の影響をさらに低下させることができる。Zn拡散で製作される従来のpn接合は、接合フロントが深く、InGaAs層に入りこむ状態となるので、エッジブレークダウンが避けられなかったが、本実施例の様な構造を取ることにより、それを防ぐことができる。
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態によるフォトダイオードの素子断面の模式図であり、上面光入射形のフォトダイオードを示す。本実施形態では、第1の実施形態における低濃度の光吸収層(ud.−InGaAs)4及び低濃度の電子走行層(ud.−InGaAsP)5を、それぞれ、低濃度のp形光吸収層(p-−InGaAs)4p及び低濃度のp形電子走行層(p-−InGaAsP)5pとしている。素子の製作方法及び動作方法は、第1の実施形態のそれらと同様である。
本実施形態は、低濃度のp形光吸収層(p-−InGaAs)4p及び低濃度のp形電子走行層(p-−InGaAsP)5pの電位を積極的に、p形電極層(p+−InGaAsP)2と等しくするものである。すなわち、電圧上昇に伴い、n形電極バッファ層(n−InGaAsP)6と低濃度のp形電子走行層(p-−InGaAsP)5pとの境界から空乏化が広がり、n形電極メサ(第2のメサ)で制限された、その直下の領域が活性領域となる。しかしながら、低濃度のp形光吸収層(p-−InGaAs)4pと低濃度のp形電子走行層(p-−InGaAsP)5pのp形ドーピング濃度を調整すると、その空乏化が第1のメサ側面までは達しない様にすることが可能となる(図3中、破線で囲まれた部分11a、11bが空乏化する)。すなわち、第1のメサ構造内の活性領域を取り囲む、低濃度のp形光吸収層(p-−InGaAs)4pと低濃度のp形電子走行層(p-−InGaAsP)5p部分に、p形の中性を保つ領域が残留することとなる。
図3は、図2に示した構造において、空乏化した領域11a、11bを示している。なお、空乏化した領域11bを除く、低濃度のp形光吸収層(p-−InGaAs)4pと低濃度のp形電子走行層(p-−InGaAsP)5p部分が、p形の中性が保たれる領域である。結局、第1のメサ構造の側面の電位は0Vにすることができるので、p形光吸収層(p−InGaAs)3と低濃度のp形光吸収層(p-−InGaAs)4pには電圧のかからない平衡状態となり、バンドギャップの小さなInGaAsに起因する暗電流の発生を抑制することが可能となる。また、第1の実施形態と同様に、低濃度のp形光吸収層(p-−InGaAs)4p中へのエッジ電界の影響をさらに低下させることができ、エッジブレークダウンを抑制することができる。
(第3の実施形態)
図4は、本発明の第3の実施形態によるフォトダイオードの素子断面の模式図である。図示したフォトダイオードは、第1の実施形態と同様の第1のメサ構造の周辺部12に、p形不純物のドーピングが施されている。より詳細には、低濃度の電子走行層(ud.−InGaAsP)5からp形光吸収層(p−InGaAs)3の一部までの、第1のメサ構造の側面部及び上面部を含む周辺部12のみをp形の中性領域として形成している。これも、第2の実施形態と同様に、第1のメサ構造の周辺部12の電位を、p電極層(p+−InGaAsP)2と等しくするためのものである。こうすることによって、第2の実施形態で述べた効果と同様に、第1のメサ構造の側面は電圧のかからない平衡状態となり、バンドギャップの小さなInGaAsに起因する暗電流の発生を抑制することが可能となる。
(まとめ)
以上説明したように、本発明によると、半導体光吸収層が露出するメサ構造の側面には電界が発生せず、電圧のかからない平衡状態となるので、バンドギャップの小さなInGaAsに起因する暗電流の発生を抑制することが可能となる。
また、暗電流レベルが高いと、それがノイズ源となって光レシーバの受信感度を低下させたり、低い光信号入力レベルにおいて動作電流値測定に誤差を生じさせたりしてしまうが、本発明によるとその様な問題を改善できる。
さらに、本発明によると、半導体光吸収層中の電集中を排除することができるので、エッジブレークダウンの発生が抑制される。その結果、ESD耐圧が高くなることにより信頼性を向上させることができる。
1 半絶縁性のInP基板
2 p形電極層(p+−InGaAsP)
3 p形光吸収層(p−InGaAs)
4 低濃度の光吸収層(ud.−InGaAs)
4p 低濃度のp形光吸収層(p-−InGaAs)
5 低濃度の電子走行層(ud.−InGaAsP)
5p 低濃度のp形電子走行層(p-−InGaAsP)
6 n形電極バッファ層(n−InGaAsP)
7 n形電極層(n+−InGaAs)
8 p形電極
9 n形電極
10 反射防止膜
11a、11b 空乏化した領域
12 p形不純物のドーピングが施された第1のメサの周辺部
21 基板
22 n形電極層
23 空乏化光吸収層
24 p形光吸収層
25 p形電極層
26 p形電極
27 n形電極
28 反射防止膜
31 基板
32 n形電極層
33 n形InGaAs光吸収層
34 n形InP層
35 p形領域
36 n形電極
37 p形電極
38 反射防止膜

Claims (3)

  1. 半絶縁性基板上に、p形電極層、半導体光吸収層、前記半導体光吸収層よりも大きなバンドギャップエネルギーを有する電子走行層、n形電極バッファ層、及びn形電極層が順次積層され、前記半導体光吸収層及び前記電子走行層が第1のメサ構造を形成し、前記n形電極バッファ層及び前記n形電極層が第2のメサ構造を形成し、前記p形電極層とオーミック接触するp形電極と、前記n形電極層とオーミック接触するn形電極とを有するフォトダイオードであって、
    前記半導体光吸収層が積層方向にドーピングプロファイルを有し、動作状態において、前記半導体光吸収層の前記p形電極層側にp形の中性を保つ領域が存在し、少なくとも前記電子走行層と前記n形電極バッファ層との両層が接する部分が空乏化し、前記第2のメサ構造の形状とドーピング構造で決まる電界分布により、前記第1のメサ構造内に活性領域が形成されることを特徴とするフォトダイオード。
  2. 前記半導体光吸収層及び前記電子走行層が共にp形であり、動作状態において、前記第1のメサ構造内の前記活性領域を取り囲む前記光吸収層と前記電子走行層部分に、p形の中性を保つ領域が残留することを特徴とする請求項1に記載のフォトダイオード。
  3. 前記第1のメサ構造の側面部及び上面部を含む周辺部にp形不純物のドーピングを施すことによって、前記周辺部にp形の中性領域が形成されたことを特徴とする請求項1に記載のフォトダイオード。
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