JP2011185950A - 化粧料の評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、化粧料を塗布する時に塗布対象の唇または皮膚が感じる感触を評価する方法に関し、化粧料の使用感を実使用に近い状況で客観的に評価する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明は、化粧料の評価方法において、粘弾性測定装置のパラレルプレート間に化粧料を挟み、せん断速度を0から連続的に増加させ、次いで0まで連続的に減少させる工程を1回以上繰り返し、この間の該化粧料のせん断応力τを測定し、時間に対してせん断応力τの値をプロットし、描かれたグラフの形によって化粧料塗布時に塗布対象の唇または皮膚が感じる感触を評価する評価方法を提供する。本発明はさらに、化粧料を先端開口部の径が0.5〜4mmであるシリンジの中に入れ、次いで10〜200Nの力をプランジャーに加えてシリンジの先端開口部からペースト状になった化粧料を押し出し、該ペースト状になった化粧料をパラレルプレート間に挟みせん断応力τを測定する工程を含む、上記評価方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は化粧料を塗布する時に、塗布対象の唇または皮膚が感じる感触を評価する方法に関し、化粧料の使用感を実使用に近い状況で客観的に評価する方法に関する。
化粧料の使用感の評価方法は主にパネラーの官能評価によって主観的に評価される。しかし、官能評価で信憑性の高い評価を得るためには、長期的に評価すること、あるいは評価者の人数を増やして評価することが必要とされるため、化粧料の開発上非効率的である。また、官能評価は評価者の体調、先入観及び外的環境等に影響するため、客観的に数値化すること、または一般化することが難しい。また、安全性が確認されていない素材の評価を行うことができないという問題もある。その為、化粧品の使用感と相関性がある物性を精度良く測定することが要求されている。
化粧料は消費者の求める感触が化粧料の使用目的により異なる。そのため使用目的にあった化粧効果を得るために様々な製品形態をとらざるを得ず、また、化粧料の構成成分は複雑多様であるため、化粧料の使用感をレオロジーで評価することは難しい。特に、口紅の様な化粧料は摩擦係数が口紅の径に依存するため、使用感を一概に比較することは困難である。
特許文献1、2及び非特許文献1は、官能評価によらず客観的に棒状化粧料の使用感を評価する方法を開示している。該方法は、所定の厚さに輪切りにした棒状化粧料を2枚の平板間に挟み、その軸方向に力を加えて押し潰し、次いで押し潰された状態の該棒状化粧料について、パラレルプレートを用いて所定温度での動的粘弾性の歪み依存性を測定し、測定により得られた貯蔵弾性率及びtanσ等の値の大小関係を、棒状化粧料の使用感の指標とする方法である。
特許第4548991号公報 特開2003−121342号公報
日本レオロジー学会誌Vol.35,No.2,79−84(2007)
本発明は化粧料の使用感を実使用に近い状況で客観的に評価する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、粘弾性測定装置を用いて化粧料のせん断応力τを測定するにあたり、せん断速度を0から連続的に増加した後、次いで0まで連続的に減少させる工程を1回以上繰り返し、この間のせん断応力τを測定した時に、時間に対してせん断応力τの値をプロットし描かれたグラフの形が、化粧料塗布時に塗布対象の唇または皮膚が感じる感触に相関することを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、化粧料の評価方法において、粘弾性測定装置のパラレルプレート間に化粧料を挟み、せん断速度を0から連続的に増加させ、次いで0まで連続的に減少させる工程を1回以上繰り返し、この間の該化粧料のせん断応力τを測定し、時間に対してせん断応力τの値をプロットし、描かれたグラフの形によって化粧料塗布時に唇または皮膚が感じる感触を評価する評価方法を提供する。さらに、本発明は化粧料の使用感をその形状に影響されることなく定量的に評価する方法を提供する。
本発明の評価方法は、評価者の主観及び外的環境等に影響されずに、化粧料塗布時に塗布対象となる唇または皮膚が感じる感触を客観的に評価することができる。また、本発明の評価方法によれば、化粧料の形状に影響されることなく化粧料の使用感を定量的に評価することが可能になる。本発明の評価方法は信頼性の高い評価を提供することができるため、化粧料の開発または製造をする上で化粧料の性能評価または品質管理に有効に使用することができる。本発明の評価方法を用いて化粧料を選定することにより、使用感に優れた化粧料を提供することができる。
図1は、モデル化粧料のMIU結果を示すグラフである。 図2は、モデル化粧料のMMD結果を示すグラフである。 図3は、モデル化粧料のせん断応力測定結果を示すグラフである。 図4は、スティック状口紅のせん断応力測定結果を示すグラフである。 図5は、パレット状口紅のせん断応力測定結果を示すグラフである。
本発明の評価方法は、粘弾性測定装置のパラレルプレート間に化粧料を挟み、せん断速度を0から連続的に増加させた後、次いで0まで連続的に減少させる工程を1回以上繰り返し、この間のせん断応力τを測定する工程を含む。粘弾性測定装置はパラレルプレートを備え、回転数を連続的に上げた後、次いで回転数を連続的に下げることができるものであれば特に制限されるものではない。例えば、粘弾性測定装置RS600(Thermo HAAKE社製)を使用することができる。パラレルプレートは直径10〜50mm、好ましくは20〜40mmを有するものがよい。パラレルプレート間の間隙距離は0.1〜0.5mm、特に0.2〜0.3mmであるのがよい。せん断応力の測定環境は本発明の評価方法に臨界的ではなく、化粧料が通常使用される環境であればよい。一般には、温度20〜40℃、特には25〜35℃、湿度は10〜70%RH、特には30〜60%RHにすることが化粧料を実際に使用する環境に近い状況で測定できるため好ましい。
せん断速度は、10秒〜2分間、好ましくは0.5〜2分間のいずれか1の時間で、0から100〜300(1/s)のいずれか1の速度まで連続的に増加させた後、次いで10秒〜2分間、好ましくは0.5〜2分間のいずれか1の時間で、前記速度から0まで連続的に減少させるのが好ましい。特には、0から200(1/s)まで連続的に増加させた後、次いで200(1/s)から0まで連続的に減少させるのが好ましい。また、せん断速度を増加させる時間と減少させる時間は同じであるのが好ましく、特には、1分間で増加・減少させるのが好ましい。繰返し測定回数は1回以上であればよく、好ましくは2〜7回、更に好ましくは3〜5回であり、各測定回で、せん断速度の上下限、及びせん断速度を増加・減少させる時間が同じであるのが好ましい。
本発明の方法は、上記測定により得られたせん断応力τ(Pa)の値をY軸に、時間をX軸にプロットしてグラフを描き、描かれたグラフの形によって化粧料塗布時に唇または皮膚が感じる感触を評価する。該評価の一態様としては、グラフにおいて、X軸に対する曲線のピークの高さで化粧料塗布時に唇または皮膚が感じる感触を評価するものである。また、別の態様としては、X軸と曲線で囲まれる領域の面積の大小で化粧料塗布時に唇または皮膚が感じる感触を評価するものである。せん断速度の増減の繰返しを複数回、例えば2〜7回行った場合、本評価方法に採用するピークはいずれの回で得られたピークであってもよい。また、X軸と曲線で囲まれる領域の面積は、繰返しの1回分であってもよいし複数回分の面積の合計であってもよい。例えば、スティック状口紅の感触を評価する場合、好ましくは、繰返し測定を3回行った時の2回目往復時あるいは3回目往復時に描かれたグラフの、X軸に対する曲線のピークの高さあるいはX軸と曲線で囲まれる領域の面積の大小で評価するのがよい。
本発明の方法の評価対象としては、液状化粧料、半固形状化粧料、及び固形状化粧料が挙げられる。液状化粧料とは常温(20℃±15℃)で流動性を有するものをいい、油剤、乳液、及び懸濁液等の化粧料が挙げられる。固形状化粧料とは常温(20℃±15℃)で流動性がないものをいい、粉末状、及び塊状等の化粧料が挙げられる。半固形状化粧料とは常温(20℃±15℃)で保型性と流動性の2つの性質を併せ持つ、すなわち、一定以上の力を加えることで流動するものであり、完全に固化しない点で液状化粧料及び固形状化粧料と区別されるものをいい、ゲル状、ペースト状、ムース状、及びクリーム状等の化粧料が挙げられる。化粧料の形態は特に制限されるものではなく、例えば、スティック状に成形された形態、パレット型、チューブ型、及びボトル型等の容器に充填された形態の化粧料を評価することができる。例えば、スティック状口紅、パレット状口紅、リップグロス、リップクリーム、リップバーム、ファンデーション、頬紅、アイブロウ、マスカラ及びアイカラーなどを評価することができる。本発明の方法により評価することができる化粧料の感触評価項目としては、例えば、化粧料を塗布した時に塗布対象となる唇または皮膚が感じるフィット感(密着感)、のばし易さ(すべり易さ)、使用感の軽さ(重さ)、及びざらつき感が挙げられる。特に、口紅のフィット感(密着感)及び使用感の軽さ(重さ)を評価するのに適している。
本発明はさらに、せん断応力を測定する前に以下に示す(1)乃至(2)の工程により化粧料を前処理する工程を含む。
(1)化粧料を、先端開口部の径が0.5〜4mm、好ましくは1.5〜2.5mmであるシリンジの中に入れる。
(2)次いで10〜200N、好ましくは20〜150Nの圧力をプランジャーに加えて、シリンジの先端開口部からペースト状になった化粧料を押し出す。
上記前処理で得られたペースト状になった化粧料をパラレルプレート間に挟みせん断応力τ(Pa)を測定する。前処理工程を経ることにより、化粧料の形状に影響されることなく化粧料の使用感を定量的に評価することが可能になる。ペースト状になった化粧料は、直ちに、せん断応力の測定に供する。ペースト状になった化粧料を放置しておくと油剤成分が浸み出し、化粧料を構成する成分の分布の仕方が変化するため、定量的に評価することができなくなり好ましくない。
シリンジは上述した長さの径を持つ先端開口部を有するものが好ましく、特に制限されるものではない。シリンジの容量は好ましくは5〜40ml、特に好ましくは10〜20mlである。例えば、ニプロシリンジGA(ニプロ株式会社製)を使用することができる。プランジャーに加える圧力は、化粧料の態様及びシリンジの容量に応じて上述の範囲より適宜選択すればよい。前処理の環境は本発明の評価方法に臨界的ではなく、化粧料が通常使用される環境であればよい。一般に温度20〜40℃、特には25〜35℃、湿度は10〜70%RH、特には30〜60%RHである。
測定に供する化粧料がスティック状等の固形状化粧料である場合は、前記工程(1)の前に化粧料を切断する工程を含む。化粧料を切断する大きさは本発明の評価方法に臨界的ではなく、シリンジの容量及び開口部の直径に応じて、シリンジに入れやすい大きさとすればよい。一般に最長辺が0.5〜3.0mm、特には1.0〜1.5mmとなる大きさに切断するが、細かければ細かいほどよい。
測定に供する化粧料が液状化粧料である場合は、上記前処理工程を省略することができる。測定に供する化粧料が半固形状化粧料である場合は、その化粧料の粘度や硬度に応じて上記前処理工程を省略することができ、適宜選択すればよい。例えば、顔料を含有するペースト状口紅(例えば、パレット状口紅)は硬度が高いため、上記前処理に供してからせん断応力測定を行うことにより再現性の高い評価を行うことができる。一方、流動性を有するリップグロスや、クリーム状化粧料等は、前処理工程を省略しても再現性の高い評価を行うことができる。例えば、25℃における硬度が0.1以下である化粧料、あるいは25℃における粘度2000Pa・s以下、特には1000Pa・s以下である化粧料は、前処理工程を省略することができる。硬度はEZ−Test 20N(島津製作所社製)で測定すればよい。粘度は粘度測定装置DV2+P(ブルックフィールド社製)により測定すればよい。
本発明の方法の一態様は口紅の使用感を評価するものであり、上述の方法に準じて得られたせん断応力τの値をプロットして描かれたグラフの形により、口紅を塗布した時に唇が感じる感触を評価するものである。せん断応力測定で描かれたグラフの形と、習熟した開発技術者が口紅を唇に塗布した時に唇が感じる感触を官能評価した結果を比較すると、描かれたグラフにおける曲線のピークの高さがある程度高い、あるいは曲線で囲まれる面積がある程度大きい口紅が、官能評価において密着感が強く重い感触を有し、曲線のピークの高さが低い、あるいは曲線で囲まれる面積が小さい口紅が、官能評価において密着感が弱く軽い感触を有する。即ち、せん断応力測定により描かれたグラフにおける曲線のピークの高さが低い程、あるいは曲線で囲まれる面積が小さい程、フィット感が弱く軽い感触であるという評価をすることができる。但し、化粧料の形態によって丁度良い曲線のピーク高さ及び面積の大きさは異なるため、化粧料の形態によっては曲線のピークが高すぎると化粧料が硬すぎて皮膚や唇上に塗布することができなくなる場合がある。従って、いかなる曲線のピーク高さ及び面積の大きさを基準とするかは、化粧料の形態等に応じて適宜選択するのがよい。尚、上記におけるせん断応力の測定方法、条件、及び官能評価方法の詳細は下記実施例で示す。
本発明の評価方法は、評価者の主観及び外的環境等に影響されずに、化粧料塗布時に唇または手が感じる感触を客観的に評価することができる。また、本発明の評価方法によれば、化粧料の形状に影響されることなく化粧料の使用感を定量的に評価することが可能になる。本発明の評価方法は信頼性の高い評価を提供することができるため、化粧料の開発または製造をする上で化粧料の性能評価または品質管理に有効に使用することができる。本発明の評価方法を用いて化粧料を選定することにより、使用感に優れた化粧料を提供することができる。また、本発明の評価方法の対象は化粧料に限られず、食品や塗料などの製品の性能評価または品質管理にも使用することができる。
以下、実施例を示し本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例において、せん断応力は粘弾性測定装置RS600(Thermo HAAKE社)を用いて測定した。
[実施例1]
ワックス量が異なる4つのモデル化粧料を作製し、モデル化粧料におけるせん断応力と使用感の相関性を検証した。
表1に示す組成にて各成分を混合し、スティック状のモデル化粧料(リップバーム)A〜Dを調整した。各モデル化粧料の25℃における硬度をEZ−Test 20N(島津製作所社製)を用いて測定した結果を表1に示す。尚、表1中、油剤の構成成分(質量%)とは、油剤中の各油剤成分の配合比率を示す。油剤中の各油剤成分の配合比率を一定にしつつ、ワックス量の増減に合わせて油剤の量を変動させた。
1)合成ワックス(エチレン/プロピレン)コポリマー(ナチュラルプロダクツ社製)
2)マイクロクリスタリンワックス(日興リカ社製)
3)ダイマージリノール酸水添ヒマシ油(高級アルコール工業株式会社製)
4)(イソステアリン酸ポリグリセリル−2/ダイマージリノール酸)コポリマー(高級アルコール工業株式会社製)
5)リンゴ酸ジイソステアリル(高級アルコール工業株式会社製)
6)テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル(高級アルコール工業株式会社製)
7)トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル(高級アルコール工業株式会社製)
8)オクチルドデカノール(高級アルコール工業株式会社製)
[すべり易さ及びざらつき感の評価試験]
各モデル化粧料のすべり易さ及びざらつき感を、摩擦感テスター(KES−SE、カトーテック社製)と、検出部用治具(前記テスターの付属品であり、人間の指を想定し凸凹を施したシリコーンゴム)、及び人工皮革(人工皮革サプラーレ、出光テクノファイン社製)を用いて測定した。先ず、人工皮革上に、各モデル化粧料を置き、治具をモデル化粧料に当てた。次いで、該治具を1mm/秒の速度で3回往復させた(治具の移動距離は1往復で約20mmであり、各モデル化粧料の温度は25℃、人口皮革及び試料台の温度は35℃とした)。平均摩擦係数(MIU)及び平均摩擦係数の変動値(MMD)を1往復する毎に測定した。該測定を3回実施し、MIU及びMMDの平均値を求めた。結果を図1及び図2に示す。
平均摩擦係数(MIU)はすべり易さの指標であり、該値が大きいほど、摩擦抵抗が高くすべり難い事を示す。平均摩擦係数の変動値(MMD)は、ざらつき感の指標であり、該値が大きいほど、表面がざらざらしている事を示す。口紅では、すべり易さの指標であるMIUが3.0以下であることが好ましく、MMDは0に近ければ近いほど良い。口紅の使用感を比較した時に、MIUに0.5以上の差がある口紅、または、MMDに0.2以上の差がある口紅の間では、使用感として塗りやすさの違いが感じられる。図1及び図2によれば、ワックス合計量20質量%であるモデル化粧料Dは2回往復時及び3回往復時において非常に伸び難く、ざらつき感も大きく使用感が重い。また、モデル化粧料Dは、上記表1に示す通り硬すぎるため、皮膚や唇上に化粧料が塗布できず口紅として機能できない。ワックス合計量15質量%であるモデル化粧料Cは、3回往復時のすべり易さがモデル化粧料B及びAに比べて重く、また、ざらつき感も大きい。ワックス合計量10質量%であるモデル化粧料Bは、3往復させた後でもすべり易さが軽く、ざらつき感が少ない。また、上記表1に示す通り適度な硬度を有するため口紅として良好に機能する。ワックス合計量7.5質量%であるモデル化粧料Aは、すべり易さ及びざらつき感は良好であるが、上記表1に示す通り柔らかすぎるため、実際の使用テストにおいて付着時に口紅が折れ曲がってしまう傾向がある。
[せん断応力測定]
各モデル化粧料を最長辺が1.0mmとなる大きさに切断し、先端開口部の径が2.1mmであり、容量が10mlであるシリンジ(ニプロシリンジGA(ニプロ株式会社製))の中に入れた。その後、25℃、60%RH下にて70Nの圧力をプランジャーに加えて、シリンジの先端開口部からペースト状になった化粧料を押し出した。ペースト状になった化粧料を直ちに、粘弾性測定装置に備えられている2枚のパラレルプレート(直径20mm)間に挟み込んだ。パラレルプレート間の距離は0.2mmである。せん断速度を1分間で0から200(1/s)まで連続的に増加させ、次いで1分間で200から0(1/s)まで連続的に減少させる工程を3回繰り返し、その間のせん断応力τ(Pa)を測定した。測定時間(s)をX軸に、得られたせん断応力τ(Pa)の値をY軸にプロットしてグラフを描いた。結果を図3に示す。
図3において、感触の評価は3回目の往復時に描かれた曲線で行った。図3によれば、グラフにおける曲線のピークの高さは、モデル化粧料D>モデル化粧料C>モデル化粧料B>モデル化粧料Aの順で高くなっている。上記の通り、図1及び図2に示される評価結果を総合すると、3回往復時の化粧料の使用感は、モデル化粧料D>モデル化粧料C>モデル化粧料B>モデル化粧料Aの順に重くなる。すなわち、本発明の方法で描かれた曲線のピークの高さとモデル化粧料の使用感の評価結果との間に相関性がある。せん断応力測定により得られたグラフにおけるX軸に対する曲線のピークが高いほど、化粧料の使用感が重くなる。
上記で述べた通り、モデル化粧料Dは硬すぎるため皮膚や唇上に化粧料を塗布することができない。即ち、上記モデル化粧料においては、モデル化粧料Dのグラフの曲線のピークは高すぎるということになる。一方、モデル化粧料Bは口紅として良好な機能を有する。従って、口紅のせん断応力を測定してグラフを描いたときに、該グラフにおける曲線の形がモデル化粧料Bのグラフの曲線の形に近い口紅が、良好な機能を有する口紅となる。
[実施例2]
下記市販品のスティック状口紅の感触を評価した。
(1)S社の製品I
(2)D社の製品A
(3)S社の製品M
[スティック状口紅のせん断応力測定]
上記(1)〜(3)の口紅を最長辺が1.0mmとなる大きさに切断し、先端開口部の径が2.1mmであり、容量が10mlであるシリンジ(ニプロシリンジGA(ニプロ株式会社製))の中に入れた。その後、25℃、60%RH下にて70Nの圧力をプランジャーに加えて、シリンジの先端開口部からペースト状になった口紅を押し出した。ペースト状になった口紅を直ちに、粘弾性測定装置に備えられている2枚のパラレルプレート(直径20mm)間に挟み込んだ。パラレルプレート間の距離は0.2mmであった。せん断速度を1分間で0から200(1/s)まで連続的に増加させ、次いで1分間で200から0(1/s)まで連続的に減少させる工程を3回繰り返し、その間のせん断応力τ(Pa)を測定した。測定時間(s)をX軸とし、得られたせん断応力τ(Pa)の値をY軸にプロットしてグラフを描いた。結果を図4に示す。
[スティック状口紅の官能評価]
10人の官能試験パネラーによって、上記(1)〜(3)の口紅を唇に塗付した時のすべり易さ及び密着感を官能評価した。官能評価試験時の環境の温度は25±5℃、湿度は50±10%であり、口紅を唇に塗布する回数は3回(1往復半)である。評価は、下記の基準で点数付けすることで行い、平均値を求めた。結果を表2に示す。
1.すべり易さの評価
「重い」…5点
「やや重い」…4点
「普通」…3点
「やや軽い」…2点
「軽い」…1点
2.密着感の評価
「フィット」…5点
「ややフィット」…4点
「普通」…3点
「ややスムース」…2点
「スムース」…1点
図4に示すグラフにおいて、感触の評価は2回目の往復時に描かれた曲線で行った。表2及び図4によれば、ピークの高さが最も高い、あるいは面積が最も大きい製品Mは、官能評価において密着感が最も強く重い感触を有する。ピークの高さが最も低い、あるいは面積が最も小さい製品Iは、官能評価において密着感が最も弱く軽い感触を有する。また、ピークの高さが製品Mと製品Iの中間である製品Aは、官能評価においても使用感が製品Mと製品Iの中間に位置する。即ち、本発明の方法で描かれたグラフにおける曲線のピークの高さが小さい程、あるいは曲線で囲まれる面積が小さい程、フィット感が弱く、口紅を塗布した時に唇が感じる感触が軽くなる。
[実施例3]
下記市販品のパレット状口紅の感触を評価した。
(4)D社の製品A
(5)E社の製品P
[パレット状口紅のせん断応力測定]
上記(4)及び(5)の口紅を、先端開口部の径が2.1mmであり、容量が10mlであるシリンジ(ニプロシリンジGA(ニプロ株式会社製))の中に入れた。その後、25℃、60%RH下にて70Nの圧力をプランジャーに加えて、シリンジの先端開口部からペースト状になった口紅を押し出した。ペースト状になった口紅を直ちに、粘弾性測定装置に備えられている2枚のパラレルプレート(直径20mm)間に挟み込んだ。パラレルプレート間の距離は0.2mmであった。せん断速度を1分間で0から200(1/s)まで連続的に増加させ、次いで1分間で200から0(1/s)まで連続的に減少させる工程を3回繰り返し、その間のせん断応力τ(Pa)を測定した。測定時間(s)をX軸とし、得られたせん断応力τ(Pa)の値をY軸にプロットしてグラフを描いた。結果を図5に示す。
[半固体状口紅の官能評価]
10人の官能試験パネラーによって、上記(4)及び(5)の口紅を唇に塗付した時のすべり易さ及び密着感を官能評価した。官能評価試験時の環境の温度は25±5℃、湿度は50±10%であり、口紅を唇に塗布する回数は3回(1往復半)である。評価は実施例2と同様の指標で行い、平均値を求めた。結果を表3に示す。
図5に示すグラフにおいて、感触の評価は2回目の往復時に描かれた曲線で行った。図5に示す通り、製品Aに対して製品Pの方が、X軸と曲線で囲まれる面積がやや小さい。また、表3に示す通り、官能評価においては、すべり易さにおいて製品Pの方がやや軽い感触であった。即ち、本発明の方法で描かれたグラフにおける曲線で囲まれる面積が小さい程、口紅を塗布した時に唇が感じる感触が軽くなる。
本発明の評価方法は、評価者の主観及び外的環境等に影響されずに、化粧料塗布時に唇または手が感じる感触を客観的に評価することができる。また、本発明の評価方法によれば、化粧料の形状に影響されることなく化粧料の使用感を定量的に評価することが可能になる。本発明の評価方法は信頼性の高い評価を提供することができるため、化粧料の開発または製造をする上で化粧料の性能評価または品質管理に有効に使用することができる。本発明の評価方法を用いて化粧料を選定することにより、使用感に優れた化粧料を提供することができる。また、本発明の評価方法の対象は化粧料に限られず、食品や塗料などの性能評価または品質管理にも使用することができる。

Claims (8)

  1. 化粧料の評価方法において、粘弾性測定装置のパラレルプレート間に化粧料を挟み、せん断速度を0から連続的に増加させ、次いで0まで連続的に減少させる工程を1回以上繰り返し、この間の該化粧料のせん断応力τを測定し、時間に対してせん断応力τの値をプロットし、描かれたグラフの形によって化粧料塗布時に塗布対象の唇または皮膚が感じる感触を評価する評価方法。
  2. 化粧料を先端開口部の径が0.5〜4mmであるシリンジの中に入れ、次いで10〜200Nの力をプランジャーに加えてシリンジの先端開口部からペースト状になった化粧料を押し出し、該ペースト状になった化粧料をパラレルプレート間に挟みせん断応力τを測定する、請求項1に記載の評価方法。
  3. せん断速度を10秒〜2分間のいずれか1の時間で0から200(1/s)まで連続的に増加させ、次いで10秒〜2分間のいずれか1の時間で200から0(1/s)まで連続的に減少させる工程を1回以上繰り返す、請求項1または2に記載の評価方法。
  4. せん断速度を0から連続的に増加させ、次いで0まで連続的に減少させる工程を2〜7回繰り返す、請求項1〜3のいずれか1項に記載の評価方法。
  5. パラレルプレートが直径10〜50mmを有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の評価方法。
  6. パラレルプレート間の間隙距離が0.1〜0.5mmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の評価方法。
  7. グラフにおいて、時間軸に対するせん断応力曲線のピークの高さで化粧料塗布時に唇または手が感じる感触を評価する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の評価方法。
  8. グラフにおいて、時間軸とせん断応力曲線で囲まれる領域の面積の大小で化粧料塗布時に唇または手が感じる感触を評価する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の評価方法。
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