JP2016121895A - 乳液またはクリーム状化粧品の評価方法 - Google Patents

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さやか 辻
ちひろ 林
Chihiro Hayashi
ちひろ 林
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Hiroaki Yamaguchi
裕章 山口
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Abstract

【課題】乳液またはクリーム状化粧品の使用感を客観的に評価し表現することができる方法を提供することを目的とする。【解決手段】乳液またはクリーム状化粧品を定常流動測定により、ずり速度とずり応力の関係を測定し、そのずり速度依存性に対する粘度依存性をHerschel−Bulkley式により得られる値に基づいて、乳液またはクリーム状化粧品を評価すること及び/または得られた値を組合せて二次元グラフにプロットすることによって、前記乳液またはクリーム状化粧品の使用感を客観的に評価することを特徴とする乳液またはクリーム状化粧品の評価方法により上記課題を解決する。【選択図】図1

Description

本発明は乳液またはクリーム状化粧品の評価方法に関し、その使用感を官能評価によらず、動的粘弾性装置を用いた物性測定により数値化し表現することを特徴とする乳液またはクリーム状化粧品の評価方法に関する。
従来、化粧品の使用感は人による官能評価を主体として行われてきた。しかしながら人による官能検査は、先入観や、人の個性に依存する、人の体調に依存する、及び数値化できないという点で客観的かつ定量的な評価方法の開発が求められてきた。特に乳液またはクリーム状化粧料の使用感は、使用者が化粧料を手に取り肌に乗せ、塗り伸ばし広げながら、べたつき、ぬるつき、しっとり感、さらっと感、肌なじみ感などを化粧料の状態変化と同時に経時的かつ多元的に感じて評価しており、客観的かつ定量的に多数の感覚を評価することが求められている。
そこで、化粧品の官能評価を数値化する研究も進められており、例えば化粧料に外力を加えたときに該化粧料のせん断変形が線形域から非線形域に移行するときの移行せん断応力を求め、該移行せん断応力と官能評価者による前記化粧料の使用感の官能評価の評点との相関に基づいて、前記化粧料の使用感を評価する方法(例えば、特許文献1参照。)が提案されているが、化粧料が肌の上で塗り広げられる感触は、主に化粧料の非線形領域での行為であることから、移行せん断応力は実使用に近い使用状況を客観的に評価しているとはいい難い。また、本方法は化粧料の「さらっとした感触」のみを官能評価とつき合わせており、多元的に評価できていない。
またレオメーターを用いて損失正接tanδ値を測定し、それに基づき化粧料の肌への塗布時のぬるつきの程度を評価する方法(例えば、特許文献2参照。)が提唱されているが、レオロジー測定において損失正接tanδ値は貯蔵弾性率G’に対する損失弾性率G”の値であり、化粧料のぬるつきの無さが貯蔵弾性率G’や損失弾性率G”に相関せず、損失正接tanδ値のみに相関する本評価方法は、非常に限られた条件での結果と推測される。このように得られた、ぬるつき無さの評価は、限られた条件でかつぬるつきの程度という一評価項目のみを表しており、化粧料を多元的に客観的に評価することは困難であった。
化粧料を定常流動測定でずり応力を測定し、そのずり速度依存性をHerschel−Bulkley式により得られるn値からさっぱりした感触をみた高分子の例がある(例えば、非特許文献1参照。)。しかし、乳液またはクリーム状化粧料は、高分子や増粘剤とは異なり、乳化物特有の塗り伸び広げながら、べたつき、ぬるつき、しっとり感、さらっと感、肌なじみ感などの状態変化を同時に経時的かつ多元的に評価する方法は、高分子の定常流動測定から得られた結果とは異質のものである。
特許第4721994号公報 特開2012−47667号公報
J.Soc.Cosmet.Chem.Jpn.39(4)282−289(2005)
本発明は、乳液またはクリーム状化粧品の使用感を客観的に評価し表現することができる方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を達成するために鋭意検討を行った結果、乳液またはクリーム状化粧品の特性を把握し、使用感を客観的に表現することができる乳液またはクリーム状化粧品の評価方法として、粘弾性液体の降伏応力を求める式であるHerschel−Bulkley式から得られる値を用いることを見出した。
粘弾性液体の降伏応力値を求める方法は上記手法の他、一定温度下で一定応力を与え続け、時間による変位量を測定するクリープ測定があるが、この手法により導かれた数値は、物質の線形域と非線形域を精査した値であり、真の降伏応力値とされている。クリープ測定により導かれた値においても、化粧料を肌の上に乗せてから伸ばし始める状態の感触をみるのに有効である。
すなわち、本発明は乳液またはクリーム状化粧品を定常流動測定により、ずり速度とずり応力の関係を測定し、そのずり速度依存性に対する粘度依存性をHerschel−Bulkley式により得られる値に基づいて、乳液またはクリーム状化粧品を評価すること及び/または得られた値を組合せて二次元グラフにプロットすることによって、前記乳液またはクリーム状化粧品の使用感を客観的に評価することができる。
本発明の評価方法によれば、官能評価に頼ることなく、乳液またはクリーム状化粧品を定常流動測定により、ずり速度とずり応力の関係を測定し、そのずり速度依存性に対する粘度依存性をHerschel−Bulkley式(下記の数式1)にあてはめて解析することにより得られた値をもとに乳液またはクリーム状化粧品の使用感を客観的に評価することができる。
Figure 2016121895
図1は乳液またはクリーム状化粧品の官能評価と機器測定値の相関を取った図である。 図2は乳液またはクリーム状化粧品の官能評価と機器測定値の相関を取った図である。 図3は乳液またはクリーム状化粧品の官能評価と機器測定値の相関を取った図である。 図4は乳液またはクリーム状化粧品の官能評価と機器測定値の相関を取った図である。 図5は乳液またはクリーム状化粧品の官能評価と機器測定値の相関を取った図である。 図6は機器測定値を数式1にあてはめて波形解析し、得られたパラメータの値に基づき二次元グラフで使用感を表現した図である。 図7は機器測定値を数式1にあてはめて波形解析し、得られたパラメータの値に基づき二次元グラフで使用感を表現した図である。
以下、本発明につき詳細を説明する。
本発明の乳液またはクリーム状化粧品の評価方法は、乳液またはクリーム状化粧品を定常流動測定により、ずり速度とずり応力の関係を測定し、そのずり速度依存性に対する粘度依存性によって評価することができる。(以下、本評価方法とする)
本評価方法において使用する装置は、市販の回転型レオメーターで、動的粘弾性のせん断速度依存性が測定できるものであれば特に制限するものではないが、例えば株式会社アントンパール社製のMCR−302が使用することができる。また測定冶具はパラレルプレート、コーンプレート等が使用できる。測定に際しての条件設定として、化粧品を使用する環境を考慮して、測定温度は30〜35℃が好ましい。せん断速度は使用者が乳液またはクリーム状化粧品を、塗り伸ばし広げる動作を想定し、0.01〜1000sec−1の範囲で測定することが好ましい。
上記のようにして測定されたせん断粘度と、せん断速度を数式1にあてはめて解析を行い、乳液またはクリーム状化粧品の使用感を客観的に表すことができる。ここでいうσは降伏応力、kは非ニュートン粘性係数、nは粘度指数である。これらの値のうち、官能評価と相関の高いパラメータを用いて乳液またはクリーム状化粧品の使用感を客観的に表すことができる。
乳液またはクリーム状化粧品を使用する際の評価項目としては、指つき感、伸ばしやすさ、なじみやすさ、さらっと感、コク感、保湿感が代表的なものとして挙げられる。指つき感はクリームを手に取る際に想定通りの量とることができるかどうかの感覚を指す。伸ばしやすさは手に取ったクリームを塗布する際に軽く滑る感覚を指す。なじみやすさとは、クリームを伸ばし塗り広げる際に肌に馴染んでいく(クリームが消えていく)感覚を指す。さらっと感はクリームを伸ばし塗り広げる際に感じるみずみずしさの感覚を指す。コク感はクリームを伸ばし塗り広げる際に感じるリッチ感(高級感)を指す。保湿感はクリームを塗り広げた後に、感じるしっとり感を指す。
これらの官能評価項目と、機器測定により得られたレオロジーパラメータとの相関を求めると、σは伸ばしやすさ、なじみやすさと、kは保湿感と、nはさらっと感、コク感に相当する。
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例になんら制約されるものでない。
(本評価方法)
機器測定はMCR−302((株)アントンパール社製)を用いて、せん断速度依存によるせん断粘度を測定した。
パラレルプレート(直径:35mmまたは50mm)を用い、測定温度は30℃でせん断速度は0.01〜100sec−1の範囲で測定を行った。
これにより得られた測定データを数式1にあてはめ、σ、k及びnの値を求めた。
求めた値を表1に示す。
Figure 2016121895
(官能評価)
官能評価は5名のパネルにより、市販および試作品の保湿クリーム5種(a〜e)を用いて、指つき(取りにくい−取りやすい)、伸ばしやすさ(伸ばしにくい−伸ばしやすい)、なじみやすさ(なじみにくいーなじみやすいい)、さらっと感(さらっとしない−さらっとする)、コク感(コクがない−コクがある)、保湿感(保湿感がないー保湿感がある)について評価を実施した。評価は市販品aを標準品とし、同等であれば3として5段階で評価を実施した。(最もよいものを5とした)
得られた結果を表2に示す。
Figure 2016121895
(本発明による評価方法と官能評価との相関)
本発明により得られた測定値と、官能評価結果を2軸マッピングしたところ、図1〜3より明らかなように、σは伸ばしやすさ、なじみやすさに、kは保湿感に、nはみずみずしさ、コク感に相当する。
(本発明による評価方法の二次元グラフ)
機器測定により得られた値を組合せて二次元グラフで乳液またはクリーム状化粧品の使用感を評価したところ、図6〜7より明らかなように官能評価との相関が高く、乳液またはクリーム状化粧品の使用感を客観的に表現することが可能となった。
上記結果より、本発明の評価方法は、官能評価と近い結果を得ることができるものであり、官能評価の代替試験法として用いることができる。
本発明の評価方法によれば、乳液またはクリーム状化粧品の使用感を機器測定に基づき表現することができる。これにより人の感覚に左右されることなく客観的な評価をすることが可能であり、産業上貢献大である。

Claims (4)

  1. 乳液またはクリーム状化粧品を定常流動測定により、ずり速度とずり応力の関係を測定し、そのずり速度依存性に対する粘度依存性を下記の数式1を用いて解析することにより得られる値に基づいて乳液またはクリーム状化粧品の使用感を評価することを特徴とする乳液またはクリーム状化粧品の評価方法。
    Figure 2016121895
  2. 物性測定装置を用いて測定されたクリープ試験のデータから降伏応力を算出した後、官能評価との相関関係を調べることによって評価することを特徴とする請求項1記載の乳液またはクリーム状化粧品の評価方法。
  3. 数式1を用いた波形解析により得られた値がσ,k,nの値であることを特徴とする請求項1または2記載の乳液またはクリーム状化粧品の評価方法。
  4. 数式1を用いた解析により得られた値及び/または請求項2で得られた降伏応力を組合せて二次元グラフにプロットすることにより、乳液またはクリーム状化粧品の使用感を評価することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の乳液またはクリーム状化粧品の評価方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019522546A (ja) * 2016-08-01 2019-08-15 ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニーThe Procter & Gamble Company 懸濁した粒子を含む相安定で噴霧可能なフレッシュニング組成物及びこれらを用いて空気又は表面を清浄にする方法
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