JP5431879B2 - スティック状化粧料の評価方法 - Google Patents

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Description

本発明はスティック状化粧料の評価方法に関し、更に詳細には、口紅などのスティック状化粧料の使用感を官能評価によらず、数値化して表現しうるスティック状化粧料の評価方法に関する。
口紅などのスティック状化粧料に対する市場の要求品質は、使用時に滑らかで、好みの濃さで発色し、使用後の塗布膜は落ちにくくツヤをはじめ塗布直後の仕上がりが持続することなどが挙げられる。そして、このようなステイック状化粧料に対する要求品質について、化粧料の開発現場では、のび、ツヤ、べたつきといった項目についての官能検査を主体とした評価を行なっているのが現状である。
しかし、官能検査は使用感を総合的に評価するのに長けている反面、視覚(色づき)や先入観、さらにはパネルの日々の体調などの影響を受けやすいという問題がある。そしてその結果、同一サンプルにおいて、官能本来の因子とは異なった要因に左右されることで、熟練検査員でも判断が分かれることがあり、官能評価をサポートするような客観的かつ定量的な評価方法の開発が求められていた。
このような背景から、評価方法について様々検討がされてはきている。例えば、棒状化粧料のバルク状態のものをストレス制御式のレオメーターにて粘弾性挙動を測定する方法(特許文献1)や、棒状化粧料を相対的に回転する平板に押し付け粘弾性を評価する方法(特許文献2)などが挙げられる。
しかし、実際の口紅の塗布作業は口唇上を往復させる行為であり、上記測定方法は実際の使用方法を完全に再現した運動と言えるものではない。従ってこれまでには口紅を塗布する行為を完全に再現し、評価する方法は存在せず、塗布後の化粧膜についての評価方法や一方向の運動による評価方法しか存在しなかった。
特開2003−83873 特開2006−126143
従って本発明は、官能評価によらず、スティック状化粧料の特性を把握することができ、これにより使用感を正確に数値で表現することのできるスティック状化粧料の評価方法の提供をその課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、サンプルの応力特性をロードセルにて検知する汎用機器であるテクスチャーアナライザを、スティック化粧料を把持しつつ往復運動させ、被塗布体に塗布できるよう改良することにより、化粧始めと化粧直し時の使用感の違いを再現できることおよびこの運動により得られるデータを解析することで、官能評価と高い相関をもってスティック状化粧料を評価しうることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、スティック状化粧料を、水平方向に往復運動する装置に取り付け、一定圧力をかけつつ、塗布時間間隔を段々と広げながら被塗布体に塗布し、各塗布での塗布抵抗を測定して塗布時間の間隔(t)と塗布抵抗(F)の関係を求め、この関係を、次の式、
[数1]
F=α(1−exp(−t/τ))+γ
を用いる回帰分析を行って、α、τおよびγの数値を求め、これらの数値に基づいてスティック化粧料の特性を判断するスティック状化粧料の評価方法である。
本発明によれば、機械的な運動から導き出せる数値により、スティック化粧料の特性を表現できるので、官能評価によることなくスティック化粧料を評価することができる。
本発明で使用する測定器具を模式的に示した図面である。 図1の測定器具におけるスティック化粧料の保持部を拡大して示した正面図である。 図1の測定器具におけるスティック化粧料の保持部を拡大して示した側面図である。 図1の測定器具のスティック化粧料の保持部において、スティック状化粧料を保持した状態の正面図である 5種の口紅についての、再塗布までの時間と塗布抵抗の関係を示す図面である。 5種の口紅についての、α値およびγ値の関係(A)および定着感の強さとのびの関係(B)を示す図面である。 5種の口紅についての、α値およびτ値の関係(A)および定着感の強さと定着の速さの関係(B)を示す図面である。
本発明のスティック状化粧料の評価方法を実施するには、まず、スティック状化粧料を、水平方向に運動する装置に取り付け、一定圧力をかけつつ塗布することのできる装置を準備することが必要である。この一定圧力は、化粧料の減りに追随しながらスティック状化粧料を塗布するために必要な圧力であり、スティック化粧料の種類によっても相違するが、一般には、スティック化粧料の塗布部分の圧力が面積1cmあたり、10ないし2000gf程度となるのが好ましい。
例えば、内径φ12mmのスティック状口紅の場合は、面積1cmあたり50gf〜300gfが好ましい。更に、100gf〜200gfが好ましい。圧力が大きすぎると、サンプルの折れ等破断の原因となり接触面積が変化するため好ましくない。また、少なすぎると、被塗布体を上滑りし口紅と被塗布体間に十分な接触が得られないことがあるので、よくない。
このような装置の一例としては、図1に示すような測定器具を挙げることができる。また、図2ないし4には、図1の装置において、上記加圧機構5および保持機構6より構成される塗布装置の正面図、側面図およびスティック状化粧料を保持した状態を示す図面を示す。
各図中、1は、塗布抵抗測定装置、2は基台、3はスライドアーム、4は一軸スライドレール、5は加圧機構、6は保持機構、7はスティック状化粧料、8は被塗布体、9はおもり、10は固定保持台、11はストッパ、12は蛇腹、13は水平調整脚、14は固定ネジ、15は保持部をそれぞれ示す。
図1の装置では、スライドアーム3が基台2に対して水平方向に往復運動し、この運動は固定保持台10を介して、加圧機構5および保持機構6より構成される塗布装置に伝えられる。この加圧機構5には、おもり9により任意の力を加えられるようになっており、この力は、固定保持台10との間で上下方向に運動しうる一軸スライドレール4により、保持機構6を介して、スティック化粧料7の先端に伝えられる。
このようにして、任意の圧力を掛けながら水平方向に往復するスティック化粧料7の先端は、被塗布体8の上にスティック化粧料の皮膜を形成する。ここで使用される被塗布体としては、スティック化粧料の皮膜が形成しうるものであれば、特に制限はないが、人工皮膚や、ウレタンシート、紙等を用いることが好ましい。また、スライドアーム3が基台2に対して水平方向に往復運動する装置としては、テクスチャーアナライザー(英弘精機製、TA−XT plus)の使用が好ましい。
ここで、被塗布体とは、表面の凹凸が人の皮膚に近い感触のものが好ましく、大きさとしては被塗布体の接触面及び水平方向の往復運動より大きいものでなければならない。また、材質としては人工皮膚や、ウレタンシート、紙等が挙げられる。
本発明方法における特徴の一つは、上記のように一定の圧力を掛けながら水平方向に往復するスティック化粧料が受ける塗布抵抗を、再塗布時間を変えつつ、測定していく点である。すなわち、例えば最初は、塗布1秒後に次の塗布(再塗布)を行うが、その後再塗布までの時間間隔を、例えば1秒ずつ増やして行き、例えば最大500秒の再塗布時間までこれに対応する塗布抵抗を測定する点である。
このようにする理由は、圧力をかけて口紅等のスティック化粧料を塗布する場合、塗布直後は液状であるが、その後塗布膜はゲル状となり抵抗性が高まると考えられ、この抵抗性の高まり度合いが、塗布膜の性質の変化の部分を反映していると考えられるからである。
また、本発明の別の特徴は、上記のようにして測定された、塗布時間の間隔(t)(再塗布時間)と塗布抵抗(F)の関係を求めるだけでなく、これらの数値を下式、
[数2]
F=α(1−exp(−t/τ))+γ
を用いる回帰分析を行って、α、τおよびγの数値を求め、これらの数値と官能評価により求めたスティック状化粧料の使用感のいくつかとの相関関係を求める点である。
この回帰分析は、周知の方法によって行うことができる。なお、上記式におけるαは回復強度、τは回復時定数、γは粘塑性であると考えられる。
次に、上記のようにして求められた、α、τおよびγについて、これらの数値と官能評価での結果との相関関係を求める。この方法としては、例えば、上記数値の2つをX軸およびY軸として用い、基準として選定したスティック状化粧料をその中心においたグラフを作成し、このグラフの上に他のスティック状化粧料の対応する2つの数値を表示する。一方、官能評価の結果についても、行った官能評価を数値化した後、その結果のうち、任意に選んだ2つの結果を、X軸およびY軸に取り、その中心に基準として選択したスティック状化粧料をおき、基準としたスティック状化粧料から見た他のスティック状化粧料の相対的な離れ度合いを表示する。
そして、α、τおよびγから求めた図と、任意の2つの官能評価から求めた図を比較し、高い相関を示すものを見つけ出し、α、τおよびγの値を、特定の官能評価項目に当てはめて行くのである。本発明者が行った実験の結果では、αはスティック化粧料の定着感に、γはスティック化粧料ののびに、τはスティック化粧料の定着の速さに対応することが明らかになった。
ここで、定着感とは、口唇に塗布された化粧膜が、塗布直後は液状であるが、時間の経過と共に化粧膜の粘度が上昇し、口唇に馴染むことによりハリを感じることをいう。
以上説明した本発明方法は、スティック状化粧料が、口紅、リップクリーム、アイライナー、アイブロウ、ファンデーション、美白スティック、ヘアチック等のスティック状化粧料で好ましく用いることができ、特に、のびや定着感をもっとも重要視する口紅、リップクリーム等の口唇用スティック状化粧料に好ましく用いられる。
次に実施例および参考例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例等に何ら制約されるものではない。
参 考 例 1
実験用スティック状口紅の調製:
下記に示す処方及び製造方法により、実験用スティック状口紅を製造した。
[ 口紅A ] スティック状口紅
( 成 分 ) (%)
1.エチレンプロピレンコポリマー*1
2.ポリエチレンワックス*2
3.フィッシャートロプシュワックス 7
4.ダイマージリノール酸(フィトステリル/
イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル) 2
5.ラウロイルグルタミン酸ジ
(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル) 2
6.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 残 量
7.リンゴ酸ジイソステアリル 15
8.トリイソステアリン酸ジグリセリル 5
9.デカイソステアリン酸デカグリセリル 30
10.重質流動イソパラフィンン 5
11.トリイソステアリン酸グリセリル 2
12.煙霧状シリカ*3 1.5
13.セリサイト 3
14.赤色202号 0.1
15.黄色4号 0.6
16.酸化チタン 1.5
17.黒酸化鉄 0.1
18.パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 1
19.パラオキシ安息香酸プロピル 0.1
20.2,6−ジ−ターシャリーブチル−パラクレゾール 0.05
21.dl−α−トコフェロール 0.1
22.香料 0.1
*1:EP−700(ニューフェーズテクノロジー社製)
*2:Performaren 655(ニューフェーズテクノロジー社製)
*3:AEROSIL 380S(日本アエロジル社製)
( 製造方法 )
A:成分1〜11を110〜120℃にて加熱溶解後、成分12〜17を加えて、
均一混合する。
B:Aに成分18〜21を加えて均一に混合する。
C:Bに成分22を加えて加熱し、脱泡後、内径φ12mmの繰り出し容器に流し
込み、冷却して成型する。
[ 口紅B ] スティック状口紅
( 成 分 ) (%)
1.マイクロクリスタリンワックス 2
2.ポリエチレンワックス*2
3.エチレンプロピレンコポリマー*1
4.キャンデリラワックス 4
5.水添アビエチン酸グリセリル*4
6.イソノナン酸イソトリデシル 7
7.トリイソステアリン酸ジグリセリル 残 量
8.リンゴ酸ジイソステアリル 15
9.重質流動イソパラフィンン 10
10.煙霧状シリカ*5 0.5
11.セリサイト 3
12.赤色202号 0.1
13.黄色4号 0.6
14.酸化チタン 1.5
15.黒酸化鉄 0.1
16.パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 1
17.パラオキシ安息香酸プロピル 0.1
18.2,6−ジ−ターシャリーブチル−パラクレゾール 0.05
19.dl−α−トコフェロール 0.1
20.香料 0.1
*4:パインクリスタルKE−311(荒川化学工業社製)
*5:AEROSIL 976S(日本アエロジル社製)
( 製造方法 )
A:成分1〜9を110〜120℃にて加熱溶解後、成分10〜15を加えて、均一
混合する。
B:Aに成分16〜19を加えて均一に混合する。
C:Bに成分20を加えて加熱し、脱泡後、内径φ12mmの繰り出し容器に流し
込み、冷却して成型する。
[ 口紅C ] スティック状口紅
( 成 分 ) (%)
1.エチレンプロピレンコポリマー*1
2.ポリエチレンワックス*2
3.キャンデリラワックス 1
4.フィッシャートロプシュワックス 4
5.ダイマージリノール酸(フィトステリル/
イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル) 2
6.ラウロイルグルタミン酸ジ
(フィトステリル/2−オクチルドデシル) 2
7.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 残 量
8.リンゴ酸ジイソステアリル 18
9.デカイソステアリン酸デカグリセリル 30
10.重質流動イソパラフィンン 5
11.イソノナン酸イソトリデシル 3
12.煙霧状シリカ*3 1.5
13.煙霧状シリカ*5 0.5
14.アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.1
15.セリサイト 3
16.赤色202号 0.1
17.黄色4号 0.6
18.酸化チタン 1.5
19.黒酸化鉄 0.1
20.パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 1
21.パラオキシ安息香酸プロピル 0.1
22.2,6−ジ−ターシャリーブチル−パラクレゾール 0.05
23.dl−α−トコフェロール 0.1
24.香料 0.1
( 製造方法 )
A:成分1〜11を110〜120℃にて加熱溶解後、成分12〜19を加えて、
均一混合する。
B:Aに成分20〜23を加えて均一に混合する。
C:Bに成分24を加えて加熱し、脱泡後、内径φ12mmの繰り出し容器に流し
込み、冷却して成型する。
[ 口紅D ] スティック状口紅
( 成 分 ) (%)
1.ポリエチレンワックス*2
2.エチレンプロピレンコポリマー*1
3.キャンデリラワックス 1
4.リンゴ酸ジイソステアリル 20
5.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 残 量
6.トリイソステアリン酸ジグリセリル 10
7.イソノナン酸イソトリデシル 10
8.メチルフェニルポリシロキサン 5
9.α−オレフィンオリゴマー 10
10.煙霧状シリカ*5 0.1
11.マイカ 0.1
12.セリサイト 0.1
13.赤色202号 0.1
14.黄色4号 0.6
15.酸化チタン 1.5
16.黒酸化鉄 0.1
17.パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 1
18.パラオキシ安息香酸プロピル 0.1
19.2,6−ジ−ターシャリーブチル−パラクレゾール 0.05
20.dl−α−トコフェロール 0.1
21.香料 0.1
( 製造方法 )
A:成分1〜9を110〜120℃にて加熱溶解後、成分10〜16を加えて、均一
混合する。
B:Aに成分17〜20を加えて均一に混合する。
C:Bに成分21を加えて加熱し、脱泡後、内径φ12mmの繰り出し容器に流し
込み、冷却して成型する。
[ 口紅E ] スティック状口紅
( 成 分 ) (%)
1.エチレンプロピレンコポリマー*1
2.フィッシャートロプシュワックス 4
3.キャンデリラワックス 1
4.デカイソステアリン酸デカグリセリル 20
5.トリイソステアリン酸モノグリセリル 10
6.トリイソステアリン酸ジグリセリル 10
7.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 残 量
8.ダイマージリノール酸(フィトステリル/
イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル) 2
9.イソノナン酸イソトリデシル 10
10.リンゴ酸ジイソステアリル 15
11.重質流動イソパラフィンン 5
12.テトライソステアリン酸スクロース 5
13.ダイマージリノール酸
ダイマージリシノレイルビスイソステアリル 10
14.煙霧状シリカ*4 0.5
15.セリサイト 3
16.赤色202号 0.1
17.黄色4号 0.6
18.酸化チタン 1.5
19.黒酸化鉄 0.1
20.パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 1
21.パラオキシ安息香酸プロピル 0.1
22.2,6−ジ−ターシャリーブチル−パラクレゾール 0.05
23.dl−α−トコフェロール 0.1
24.香料 0.1
( 製造方法 )
A:成分1〜13を110〜120℃にて加熱溶解後、成分14〜19を加えて、
均一混合する。
B:Aに成分20〜23を加えて均一に混合する。
C:Bに成分24を加えて加熱し、脱泡後、内径φ12mmの繰り出し容器に流し
込み、冷却して成型する。
実 施 例 1
得られた各スティック状口紅(以下、「口紅」という)について、本発明による下記特性評価方法の結果と、従来の官能評価による評価方法について比較した。
[ 本発明評価方法 ]
図1に示すような、水平方向の運動と加圧を行うことができる装置を用いて、塗布抵抗を測定した。まず、内径φ12mmの容器に充填した口紅を保持装置に固定した。この保持装置に、上から1cmあたり150gfの力を掛けながら、40mm/秒で10回程度水平方向に往復運動させ、人工皮膚(スキンプレート#10;ビューラックス社製)上に口紅を塗布し十分な量の化粧膜を形成した。
次に、再塗布までの塗布間隔(t;秒)を、1秒から30秒まで順次長くし、これに対応する塗布抵抗値(F;gf)を測定し、塗布抵抗と再塗布までの時間の関係を示すグラフを得た(図3)。
塗布抵抗値が、式、
[数3]
F=α(1−exp(−t/τ))+γ
で表されることを仮定し、最小自乗法によりα、τおよびγの値を求めた。
各口紅について求めた、α、τおよびγの値を下表に示す。
Figure 0005431879
[ 官能評価方法 ]
本発明評価方法で用いたのと同じスティック状口紅について、パネラーにより、下記に示す評価方法で官能評価した。
官能評価は、下記の評価項目(イ)〜(ハ)について、専門パネル2名による使用テストを行い、パネル各人が、4cmヴィジュアルアナログスケール法という評価ツールを用いて、評価用スケールの中心を、標準口紅(口紅A)の評価として、各試料を比較してどの程度異なるのかを評価用スケール上に印を記入してもらった。中心から左をマイナスとし、右をプラスとして距離を測定して値を求めた。各項目で下記評価項目に示すように(左−右)軸を決めた。
尚、(ロ)の定着感の強さについては、1分後、塗布部にどれくらいはりを感じるか、すなわち化粧膜の形成を感じられる度合いを観察した。また、(ハ)の定着の速さについては、液状に変化した塗布部にはりを感じるまでの速さについて評価した。
( 評価項目 )
(イ)のび(軽い−重い)
(ロ)定着感の強さ(ない−ある)
(ハ)定着の速さ(速い−遅い)
[ 本発明による評価と官能評価との相関 ]
上記本発明評価方法で得られた各口紅のα−γの値を、口紅Aを中心に置き、XY座標で図を作成し、他の口紅を、それぞれの値の点にプロットした(α−γマップ;図6(A))。同様、各口紅のα−τの値も同様XY座標状にプロットした(α−τマップ;図7(A))。
一方、官能評価項目から任意の2つを選択し、これらの項目について、口紅Aを中心に置き、XY座標で図を作成し、他の口紅を、それぞれの値の点にプロットした。
本発明方法による評価では、口紅Bは口紅Aと比較して、αはほぼ同等、γ、τはかなり大きい値であり、口紅Cは口紅Aと比較して、αは大きく、γはほぼ同等、τはかなり小さい値であり、口紅Dは口紅Aと比較してα、γはかなり小さく、τはやや大きい口紅であり、口紅Eのαはかなり小さく、γはかなり大きく、τはかなり小さい値である口紅であることが判明した。
一方、官能評価では、口紅Bは口紅Aと比較して、口唇への定着をやや感じるがその感じ方はゆっくりで、のびのある口紅であり、口紅Cは口紅Aと比較して、口唇への定着を強く、速やかに感じ、のびはほぼ同等である口紅であり、口紅Dは口紅Aと比較して、定着、のび、ともに感じにくい口紅であり、口紅Eは口紅Aと比較して、口唇への定着をやや感じにくく、また感じる速さはほぼ同等で、のびがややある口紅であることが判明した。
上記結果から得られた官能評価の図を、前記α−γマップおよびα−τマップと対比した結果、図6および図7に示すように、αは化粧膜の定着感の強さと、τは定着の速さと、γはのびと相関が高いことが判明した。
この結果から本発明の評価方法は、官能評価方法と近い結果を得ることができるものであり、官能評価方法に置き換え可能であることが明らかになった。
本発明方法によれば、スティック化粧料の使用感の一部を、客観的に測定できる数値として表現することが可能である。従って、従来個人個人の官能評価に頼っていたスティック化粧料の評価を客観的なものとすることができ、スティック化粧料の開発に有利に使用することができるものである。
1 … … 塗布抵抗測定装置
2 … … 基台
3 … … スライドアーム
4 … … 一軸スライドレール
5 … … 加圧機構
6 … … 保持機構
7 … … ステイック状化粧料
8 … … 被塗布体
9 … … おもり
10 … … 固定保持台
11 … … ストッパ
12 … … 蛇腹
13 … … 水平調整脚
14 … … 固定ネジ
15 … … 保持部

Claims (5)

  1. スティック状化粧料を水平方向に往復運動する装置に取り付け、一定圧力をかけつつ、塗布時間間隔を段々と広げながら被塗布体に塗布し、各塗布での塗布抵抗を測定して塗布時間の間隔(t)と塗布抵抗(F)の関係を求め、この関係を、次の式、
    [数1]
    F=α(1−exp(−t/τ))+γ
    を用いる回帰分析を行って、α、τおよびγの数値を求め、これらの数値に基づいてスティック化粧料の特性を判断するスティック状化粧料の評価方法。
  2. スティック化粧料の塗布圧力が面積1cmあたり10ないし2000gfである請求項1記載のスティック状化粧料の評価方法。
  3. 塗布時間間隔を、1ないし500秒とする請求項1または2記載のスティック状化粧料の評価方法。
  4. スティック状化粧料が、口紅、リップクリーム、アイライナー、アイブロウ、ファンデーション、美白スティック、ヘアチックである請求項1ないし3の何れかの項記載のスティック状化粧料の評価方法。
  5. 前記スティック化粧料の特性が、定着感、のび、定着の速さであることを特徴とする請求項1ないし3の何れかの項記載のスティック状化粧料の評価方法。

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