JP2002071652A - 化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価方法及び評価装置並びに解析方法及び解析システム - Google Patents

化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価方法及び評価装置並びに解析方法及び解析システム

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JP2002071652A
JP2002071652A JP2000263059A JP2000263059A JP2002071652A JP 2002071652 A JP2002071652 A JP 2002071652A JP 2000263059 A JP2000263059 A JP 2000263059A JP 2000263059 A JP2000263059 A JP 2000263059A JP 2002071652 A JP2002071652 A JP 2002071652A
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sensor
cosmetics
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Yuko Shiomi
祐子 塩見
Kumi Kitahara
紅実 北原
Yusuke Suzuki
祐介 鈴木
Nobutaka Okuma
信隆 大隈
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SHOWA DENKI KENKYUSHO KK
Mandom Corp
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SHOWA DENKI KENKYUSHO KK
Mandom Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 専門パネラーの官能評価により行われている
化粧品や化粧品原料の機能性、使用性、仕上がり感など
の品質評価において、専門パネラーの評価結果と相関関
係を有する結果が高精度且つ再現性よく得られ、官能評
価の代替手段として実際に利用することができる化粧品
又は化粧品原料の官能評価代替評価方法及び評価装置並
びに解析方法及び解析システムを提供することにある。 【解決手段】 化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検
出して電気信号に変換するAEセンサと、該AEセンサ
により検出された電気信号を増幅する増幅手段と、該増
幅手段により増幅された電気信号のうち特定の周波数帯
域を抽出するフィルタ手段と、該フィルタ手段により抽
出された電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換
手段と、該A/D変換手段により変換されたデジタル信
号を解析する解析手段とからなることを特徴とする官能
評価代替評価装置とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化粧品又は化粧品
原料の官能評価代替評価方法及び評価装置並びに解析方
法及び解析システムに係り、その目的は、専門パネラー
の官能評価により行われている化粧品や化粧品原料の機
能性、使用性、仕上がり感などの化粧品や化粧品原料の
特性等の品質評価において、専門パネラーの評価結果と
相関関係を有する結果が高精度且つ再現性よく得られ、
官能評価の代替手段として実際に利用することができる
化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価方法及び評価
装置並びに解析方法及び解析システムを提供することに
ある。尚、本発明においてAEとは、Acoustic emissio
n (弾性波)のことであり、AEセンサとは、Acoustic
emission (弾性波)を検出して電気信号に変換する素
子のことである。
【0002】
【従来の技術】「べたつき」や「なめらかさ」などの化
粧品や化粧品原料の機能性、使用性、仕上がり感などの
特性の評価は、従来から専門パネラーによる官能評価に
より行われている。しかしながら専門パネラーによる官
能評価は、パネラーの個人差、パネラー自身の健康状
態、或いは湿度、温度などの環境条件により大きく左右
されるために、得られる結果にばらつきが生じるという
問題点があった。このために、より信頼性の高い結果を
得るために複数の熟練した専門パネラーによる評価が多
数回必要とされた。
【0003】そこで、近年では、化粧品や化粧品原料の
機能性、使用性、仕上がり感などの特性の評価におい
て、専門パネラーの官能評価に頼らない化粧品又は化粧
品原料の評価方法及び評価装置の開発が盛んに行われて
いる。例えば、化粧品を皮膚や毛髪に塗布した際の「べ
たつき」を評価する方法として、圧縮試験機により化粧
品に荷重を付加したときの接着力を測定して「べたつ
き」を評価する方法が存在している。しかしながら、こ
の仕上がり感の評価方法では、複数の専門パネラーによ
る官能評価の結果と相関関係を有する結果が常に得られ
ないという問題点が存在した。これは、前記した「べた
つき」の評価方法において測定される数値は、荷重によ
る接着力のみであり、その他の微妙な挙動を測定するこ
とはできないからである。つまり、化粧品の使用感、仕
上がり感、風合いといった特徴は、人間の繊細で様々な
要素が複雑に関与した感覚により判断が行われているか
らであり、これは単に一つの要素に置き換えられるもの
ではないからである。例えば、前述の「べたつき」とい
う感覚は、「化粧品の粘性による重さ」や「塗布した部
分を指で触れたときの接着力」など様々な要素に分解で
きる感覚である。このような複合的な感覚を数値化して
評価するためには、これら複数の要素一つ一つに相関の
ある特性値が必要とされた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】即ち、本発明の解決課
題は、微細な変化を測定することができるとともに、多
面的な評価に必要な複数の特性値を取得することがで
き、このために、専門パネラーによる官能評価の結果と
常に相関関係を有する結果が得られる化粧品又は化粧品
原料の官能評価代替評価方法及び評価装置並びに解析方
法及び解析システムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記した課題を
解決するためになされたものであって、請求項1に係る
発明は、化粧品又は化粧品原料の特性を評価する化粧品
又は化粧品原料の評価方法において、AEを検出して電
気信号に変換するAEセンサを用いて化粧品又は化粧品
原料に生じるAEを検出することを特徴とする化粧品又
は化粧品原料の官能評価代替評価方法に関する。請求項
2に係る発明は、AEセンサを化粧品又は化粧品原料に
対して略垂直方向に移動させながらAEを検出すること
を特徴とする請求項1に記載の化粧品又は化粧品原料の
官能評価代替評価方法に関する。請求項3に係る発明
は、AEセンサを化粧品又は化粧品原料に対して略水平
方向に移動させながらAEを検出することを特徴とする
請求項1に記載の化粧品又は化粧品原料の官能評価代替
評価方法に関する。請求項4に係る発明は、化粧品又は
化粧品原料の特性を評価する化粧品又は化粧品原料の評
価における電気信号の解析方法であって、該電気信号は
化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検出するAEセン
サにより得られてなり、該電気信号を波形処理した後
に、得られた波形データの特性値を算出することを特徴
とする解析方法に関する。請求項5に係る発明は、化粧
品又は化粧品原料の特性を評価する化粧品又は化粧品原
料の評価における電気信号の解析方法であって、該電気
信号は化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検出するA
Eセンサから得られてなり、該電気信号を波形処理した
後に、解析処理して得られた波形データの特性値を算出
することを特徴とする解析方法に関する。
【0006】請求項6に係る発明は、化粧品又は化粧品
原料に生じるAEを検出して電気信号に変換するAEセ
ンサと、該AEセンサにより検出された電気信号を増幅
する増幅手段と、該増幅手段により増幅された電気信号
のうち特定の周波数帯域を抽出するフィルタ手段と、該
フィルタ手段により抽出された電気信号をデジタル信号
に変換するA/D変換手段と、該A/D変換手段により
変換されたデジタル信号を解析する解析手段とからなる
ことを特徴とする化粧品又は化粧品原料の官能評価代替
評価装置に関する。請求項7に係る発明は、化粧品又は
化粧品原料に生じるAEを検出して電気信号に変換する
AEセンサと、該AEセンサの駆動手段と、該駆動手段
を制御する制御手段と、該AEセンサにより検出された
電気信号を増幅する増幅手段と、該増幅手段により増幅
された電気信号のうち特定の周波数帯域を抽出するフィ
ルタ手段と、該フィルタ手段により抽出された電気信号
をデジタル信号に変換するA/D変換手段と、該A/D
変換手段により変換されたデジタル信号を解析する解析
手段とからなることを特徴とする化粧品又は化粧品原料
の官能評価代替評価装置に関する。請求項8に係る発明
は、化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検出して電気
信号に変換するAEセンサと、該AEセンサにより検出
された電気信号を増幅する第一の増幅手段と、該第一の
増幅手段により増幅された電気信号のうち特定の周波数
帯域を抽出するフィルタ手段と、該フィルタ手段により
抽出された電気信号を増幅する第二の増幅手段と、該第
二の増幅手段により増幅された電気信号をデジタル信号
に変換するA/D変換手段と、該A/D変換手段により
変換されたデジタル信号を解析する解析手段とからなる
ことを特徴とする化粧品又は化粧品原料の官能評価代替
評価装置に関する。請求項9に係る発明は、化粧品又は
化粧品原料に生じるAEを検出して電気信号に変換する
AEセンサと、該AEセンサの駆動手段と、該駆動手段
を制御する制御手段と、該AEセンサにより検出された
電気信号を増幅する第一の増幅手段と、該第一の増幅手
段により増幅された電気信号のうち特定の周波数帯域を
抽出するフィルタ手段と、該フィルタ手段により抽出さ
れた電気信号を増幅する第二の増幅手段と、該第二の増
幅手段により増幅された電気信号をデジタル信号に変換
するA/D変換手段と、該A/D変換手段により変換さ
れたデジタル信号を解析する解析手段とからなることを
特徴とする化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装
置に関する。
【0007】請求項10に係る発明は、化粧品又は化粧
品原料の官能評価代替評価装置において用いられる解析
システムであって、化粧品又は化粧品原料に生じるAE
を検出して得られた電気信号を波形処理する波形処理手
段と、該波形処理手段により得られた波形データの特性
値を算出する算出手段とからなることを特徴とする解析
システムに関する。請求項11に係る発明は、化粧品又
は化粧品原料の官能評価代替評価装置において用いられ
る解析システムであって、化粧品又は化粧品原料に生じ
るAEを検出して得られた電気信号を波形処理する波形
処理手段と、該波形処理手段により得られた波形データ
に対して、信号抽出処理、ノイズ除去処理、絶対値処
理、エンベロープ処理、FFT処理、間引き処理のうち
から選択される1種以上の解析処理を施す解析処理手段
と、該解析処理手段により処理された波形データの特性
値を算出する算出手段とからなることを特徴とする解析
システムに関する。
【0008】
【発明の実施の形態】まず、本発明に係る化粧品又は化
粧品原料の官能評価代替評価方法について説明する。本
発明に係る化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価方
法は、AEセンサによって測定したAEから化粧品や化
粧品原料の機能性、使用性、仕上がり感などの特性を評
価することを特徴としている。化粧品又は化粧品原料の
AEを測定することにより、化粧品又は化粧品原料の評
価の過程における微細な変化を捉えることができるため
に精度の高い測定が可能となる。また、AEを解析する
ことにより得られる単一若しくは複数の特性値により、
化粧品や化粧品原料の機能性、使用性、仕上がり感など
の特性を多面的に分析できるために、複数の専門パネラ
ーの結果と相関関係を有する結果を常に得ることができ
る。
【0009】本発明に係る化粧品や化粧品原料の機能
性、使用性、仕上がり感などの特性の官能評価代替評価
方法において用いられるAEを検出するAEセンサとし
ては、化粧品又は化粧品原料に発生するAEを電気信号
に変換して検出する圧電素子等の圧力センサを例示する
ことができる。化粧品又は化粧品原料に発生するAEを
測定する方法は特に限定はされない。その一例を示す
と、まず、サンプルとなる化粧品又は化粧品原料を被塗
布体の表面に略均一な厚さとなるように塗布する。サン
プルとなる化粧品又は化粧品原料を塗布する被塗布体と
しては、アクリル板等の合成樹脂性の板材の他、皮膚や
毛髪、或いは皮膚モデルや毛髪モデルなどを用いること
ができる。被塗布体として皮膚や皮膚モデル、或いは毛
髪や毛髪モデルを用いた場合は、化粧品を皮膚や毛髪に
塗布する実際の使用条件と略同一の条件で評価をするこ
とが可能となる。
【0010】次に、サンプルとなる化粧品又は化粧品原
料に物理的な力を加えた際に発生するAEをAEセンサ
により測定する。AEの測定は、AEセンサを直接化粧
品又は化粧品原料に接触させて測定することもでき、ま
た、化粧品又は化粧品原料と間接的に接触させた状態で
測定することも可能である。AEセンサを直接化粧品又
は化粧品原料に接触させてAEを測定する方法として
は、AEセンサを化粧品又は化粧品原料に直接接触させ
た状態からAEセンサと化粧品又は化粧品原料を垂直方
向に引き離す又は接触させたAEセンサを被塗布体に対
して水平方向に移動させた際に生じるAEを測定すれば
よい。
【0011】また、AEセンサを化粧品又は化粧品原料
と間接的に接触させてAEを測定する方法としては、A
Eセンサを指や櫛などに直接取り付けて測定すると良
い。具体的には、AEセンサを取り付けた指或いは櫛な
どを化粧品又は化粧品原料と接触させる又は接触させた
指或いは櫛などを化粧品又は化粧品原料から引き離す、
若しくは被塗布体に対して水平方向に移動させた際に生
じるAEを間接的に測定すればよい。尚、皮膚や毛髪、
或いは皮膚モデルや毛髪モデルに塗布した化粧品や化粧
品原料を評価する際には、手に持ちやすく操作が簡便な
治具と組み合わせて使用することも可能である。このよ
うに、AEは、化粧品又は化粧品原料とAEセンサを間
接的に接触させた状態でも測定することが可能である。
このために、AEセンサを指や櫛に取り付けて測定する
ことも可能であり、実際の使用状態に則した測定を簡便
に行うことができる。
【0012】上述した直接的或いは間接的な接触による
いずれの測定においても、AEを測定する際のAEセン
サの動作は、評価する化粧品や化粧品原料の機能性、使
用性、仕上がり感などの特性に応じて任意に設定すると
よい。例えば、化粧品の「べたつき」を評価する場合に
は、化粧品にAEセンサを間接或いは直接的に接触させ
た状態で、AEセンサを化粧品から略垂直方向に引き離
す際に生じるAEを測定するとよい。また、化粧品の
「なめらかさ」などの表面性を評価する場合には、化粧
品とAEセンサを間接或いは直接的に接触させた状態
で、AEセンサを化粧品に対して略水平方向に移動させ
た際に生じるAEを測定するとよい。また、AEを測定
する際には、AEセンサの動作を略一定の条件に維持し
た状態で化粧品又は化粧品原料のAEを測定することが
好ましい。これは、AEセンサの動作を略一定の条件に
維持することにより、測定による誤差を減少することが
できるからである。この場合、図1に示す圧縮・引張試
験機のような駆動手段(4)にAEセンサ(1)を取り
付けて測定するとよい。
【0013】以下、具体的なAEの測定方法を図面を用
いて説明する。まず、化粧品の「べたつき」を測定する
場合を例示する。べたつきを測定する場合は、図2や図
3に示されるように、被塗布体(3)の表面に塗布した
化粧品(2)とAEセンサ(1)を接触させた後に、A
Eセンサ(1)を矢印方向(図では略垂直方向)に移動
させた際に発生するAEを測定するとよい。尚、図2に
示されるように、AEセンサ(1)を指等に取付て化粧
品(2)と間接的に接触させてもよく、また、図3に示
されるように、AEセンサ(1)を化粧品(2)に直接
的に接触させて測定することも可能である。図3のよう
にAEセンサ(1)を化粧品(2)に直接的に接触させ
て測定する場合は、AEセンサを図1に示す圧縮・引張
試験機(4)のような略一定の条件でAEセンサを移動
することができる装置に取り付けて測定してもよい。
尚、図1中、(5)は増幅手段、(6)はフィルタ手
段、(7)はコンピュータなどの解析手段であり、
(8)はプリンタなどの出力手段である。(9)はディ
スプレイなどの表示手段であり、(10)はキーボード
などの入力手段である。
【0014】次に、化粧品の「なめらかさ」等の表面性
を評価する場合について説明する。表面性を評価するに
は、図4や図5に示されるように、被塗布体(3)の表
面に塗布した化粧品(2)とAEセンサ(1)を接触さ
せた後に、AEセンサ(1)を矢印方向(図では略水平
方向)に移動させた際に発生するAEを測定するとよ
い。尚、図4に示されるように、AEセンサ(1)を指
等に取付て化粧品(2)と間接的に接触させてもよく、
また、図5に示されるように、AEセンサ(1)を化粧
品(2)に直接的に接触させることも可能である。尚、
図2乃至図5のいずれの場合においても、化粧品(2)
を塗布する被塗布体(3)としては、前述したいずれも
用いることができ、評価目的に応じて適宜選択するとよ
い。
【0015】この他にも、例えば、毛髪の「まとまり」
を評価する場合には、貫通孔が設けられた筒体などにA
Eセンサを取り付けた後に、この貫通孔に毛髪の束を挿
通させた際に生じるAEを測定するとよい。また、「ご
わつき」を評価する場合には、毛髪を曲げたときに生じ
るAEを測定するとよい。また、毛髪の「櫛通り性」を
評価する場合には、AEセンサを取り付けた櫛を用い
て、毛髪の束を梳いた際に発生するAEを測定するとよ
い。
【0016】こうして測定されたAEは、コンピュータ
ー等の解析手段(7)によって容易に扱うことができる
ように、アナログ信号からデジタル信号への変換が行わ
れる。こうして得られたデジタル信号を処理・解析する
ことにより、化粧品や化粧品原料の機能性、使用性、仕
上がり感などの特性を評価することができる。以下、得
られたデジタル信号などの電気信号の解析方法につい
て、図面を参照しつつ説明する。図6は解析方法のフロ
ーチャート図である。AEを測定して得られた電気信号
を処理する場合、まず、波形処理が行われる。具体的に
は、図7に示すような横軸を時間軸とし、縦軸を電圧値
とした波形処理を例示することができる。
【0017】次に、波形処理して得られた波形データに
対して、必要に応じて、以下の解析処理が施される。こ
の解析処理としては、信号抽出処理、ノイズ除去処理、
絶対値処理、エンベロープ処理、FFT処理(高速フー
リエ交換)、間引き処理等を例示することができる。信
号抽出処理とは、解析に必要な範囲のデータを抽出する
処理であり、例えば、予め定めたレベル以上の信号を検
出したときから一定時間のデータを抽出する処理であ
る。ノイズ除去処理とは、有効データの前後のノイズデ
ータを除去する処理であり、予め定めた信号レベル以下
の区間のデータを除去する処理である。絶対値処理と
は、得られた全データを絶対値とする処理である。エン
ベロープ処理とは、設定したΔ値に応じてエンベロープ
(包絡線)とする処理である。FFT処理(高速フーリ
エ交換)とは、指定された時間軸領域のデータを周波数
領域のデータに変換する処理である。間引き処理とは、
波形の特徴を損なわないようにデータ量を削減する処理
である。これらの処理は必要に応じて行えばよく、また
複数組み合わせて行うことも可能である。
【0018】次に、波形処理により得られた波形データ
或いは必要に応じて上記したような解析処理が施された
波形データの特性値を算出する。以下、特性値の算出に
ついて図面を参照しつつ説明する。図7は波形処理され
たAEの模式図であり、図8は波形処理されたAEを絶
対値処理した模式図である。尚、図7及び図8の横軸は
時間軸であり、図7の縦軸は電圧値であり、図8の縦軸
は電圧値の絶対値である。算出される特性値としては、
絶対値処理した全データの中の最大値である最大振幅値
(図8のa)、データがしきい値を下回ってから、一定
時間以上しきい値を超えるデータがない場合、次のしき
い値が現れるまでを「イベント」とした場合のイベント
数、一つ目のイベントの中での、予め設定したしきい値
(図8の一点鎖線b)を超えている時間である持続時間
(図8のc)、一つ目のイベントの中での、しきい値
(図7の鎖線d)を超えた回数であるリングダウン数
(図7の場合は12)、全データの2乗和平均であるR
MS値、絶対値処理した全データのピーク面積、絶対値
処理した一つ目のイベントの中でのしきい値を超えた時
間からピークまでの時間である立ち上がり時間(図8の
e)、絶対値処理した一つ目のイベントの中でのしきい
値を超えた時間からピークまでの勾配である立ち上がり
勾配(図8の二点鎖線f)、絶対値処理した一つ目のイ
ベントの中でのサンプリング開始からしきい値を超える
までの時間である発生時間(先頭)(図8のg)、絶対
値処理した一つ目のイベントの中でのサンプリング開始
からピークまでの時間である発生時間(ピーク)(図8
のh)、絶対値処理した一つ目のイベントの中でのサン
プリング開始からしきい値をきるまでの時間である発生
時間(後尾)(図8のi)などを例示することができ
る。
【0019】最後に得られた特性値の平均値、標準偏
差、信頼区間等が算出され、さらに、グラフ化処理(回
帰直線、相関係数)等が行われる。このようにして得ら
れた特性値のうちの1種又は2種以上を用いることによ
り、化粧品又は化粧品原料の特性を評価することができ
る。
【0020】本発明に係る化粧品又は化粧品原料の官能
評価代替評価方法において、評価することができる化粧
品としては、スタイリング剤、ヘアケア剤、育毛剤等の
毛髪用化粧料、乳液、化粧水等の皮膚用化粧料、シャン
プー、ボディシャンプー、洗顔料等の洗浄剤など、あら
ゆる化粧品の機能性、使用性、仕上がり感等を評価する
ことができる。また、前記したような化粧品の原料の評
価に用いることもできる。また、本発明に係る化粧品又
は化粧品原料の官能評価代替評価方法において、評価す
ることができる化粧品の特性としては、パウダーのサラ
サラ感、ネイルエナメルの被膜強度、化粧品を塗布した
後の毛髪のごわつきやくしどおり性、化粧品を塗布した
ときの皮膚や毛髪のなめらかさやべたつきなど、従来で
は専門パネラーの官能評価に頼ることの多かった特性を
評価することができる。
【0021】次に、本発明に係る化粧品又は化粧品原料
の官能評価代替評価装置について、図面を参照しつつ説
明する。まず、本発明の第一実施形態に係る化粧品又は
化粧品原料の官能評価代替評価装置について図面を参照
しつつ説明する。図9及び図10は本発明の第一実施形
態に係る化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置
を示すブロック図である。本発明の第一実施形態に係る
化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置は、AE
センサと、増幅手段と、フィルタ手段と、A/D変換手
段と、解析手段とからなる。AEセンサは、化粧品又は
化粧品原料から発生するAEを検出してアナログ信号に
変換するセンサである。AEセンサを構成する素材とし
ては、圧電素子などの圧力センサが用いられる。
【0022】増幅手段は、AEセンサにより検出された
微弱なアナログ信号を増幅する。フィルタ手段は、増幅
手段により増幅されたアナログ信号を周波数弁別する。
AEは通常の場合、数10KHz〜数100KHzの帯
域であるので、これ以外の帯域の周波数信号をカットす
る。A/D変換手段は、フィルタ手段により周波数弁別
されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0023】化粧品又は化粧品原料に物理的な力が加え
られた際に生じるAEは、AEセンサにより検出され
る。AEセンサにより検出されたAEは、増幅手段によ
り増幅され、そしてフィルタ手段により、周波数弁別さ
れる。フィルタ手段により、周波数弁別されたアナログ
信号は、A/D変換手段によりデジタル信号に変換され
て、解析手段において、所定の解析処理が施され、得ら
れた解析結果から化粧品や化粧品原料の機能性、使用
性、仕上がり感などの特性を評価することができる。
【0024】具体的な解析手段の構成を図11に例示す
る。図11に示す解析手段においては、ディスプレイな
どの表示部、キーボード、マウス等の入力部、プリンタ
ー等の出力部、HD、FD等の記憶部、及び、CPU、
RAM、ROM等から構成されている。A/D変換手段
により変換されたデジタル信号は、入力インターフェー
ス(図示せず)を介して解析手段に入力される。入力さ
れたデジタル信号は、一旦HDやRAMなどに蓄えられ
た後に、予めROMやHDに備えられる解析プログラム
に基づいて、CPUにより所定の処理が加えられる。
【0025】尚、図10に示すように、フィルタ手段で
周波数弁別されたアナログ信号をさらに増幅する第二の
増幅手段を用いても構わない。この場合、フィルタ手段
と第二の増幅手段とが一つの装置内に収納された装置と
して、シグナルコンディショナーを例示することができ
る。
【0026】次に、本発明の第二実施形態に係る化粧品
又は化粧品原料の官能評価代替評価装置について説明す
る。図12及び図13は本発明の第二実施形態に係る化
粧品の官能評価代替評価装置のブロック図である。本発
明の第二実施形態に係る化粧品又は化粧品原料の官能評
価代替評価装置は、AEセンサと、駆動手段と、制御手
段と、増幅手段と、フィルタ手段と、A/D変換手段
と、解析手段とからなる。本発明の第二実施形態に係る
化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置が、第一
実施形態に係る化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評
価装置と異なる点は、AEセンサは駆動手段に取り付け
られ、この駆動手段は制御手段により駆動を制御される
点にある。
【0027】駆動手段は、AEセンサを上下方向又は水
平方向に予め定めた速度で予め定めた荷重により自在に
駆動することができる。このような駆動手段としては、
特に限定されず、圧縮・引張試験機等を例示することが
できる。制御手段は、駆動手段の駆動を制御し、駆動速
度、荷重、駆動方向、移動距離などを自在に制御するこ
とができる。例えば、駆動手段として圧縮・引張試験機
を用いた場合は、センサがサンプルに接触するまでの速
度、接触してからの圧縮速度、センサをサンプルから引
き離すときの速度、圧縮荷重、圧縮時間などを制御する
ことができる。
【0028】さらに、図13に示すブロック図では、駆
動手段からの情報、例えば、付加荷重や試験開始信号を
解析手段に伝達する構成としている。これは、解析手段
による解析を精度の高いものとすることができるからで
ある。
【0029】尚、図13のブロック図に示されるよう
に、フィルタ手段で周波数弁別されたアナログ信号をさ
らに増幅する第二の増幅手段を用いても構わない。この
場合、フィルタ手段と第二の増幅手段とが一つの装置内
に収納された装置として、シグナルコンディショナーを
例示することができる。
【0030】第二実施形態に係る化粧品又は化粧品原料
の官能評価代替評価装置においては、予め定められた制
御項目に従って駆動手段が駆動することにより、サンプ
ルである化粧品又は化粧品原料のAEをAEセンサによ
り検出する。例えば、AEセンサを一定荷重でサンプル
である化粧品又は化粧品原料に接触させた後に、AEセ
ンサを一定速度で化粧品又は化粧品原料から引き離す際
に発生するAEを測定する。検出されたAEは、増幅手
段により増幅され、フィルタ手段により周波数弁別さ
れ、そしてA/D変換手段により、デジタル信号に変換
されて、解析手段により所定の解析処理を施される。得
られた解析結果から化粧品又は化粧品原料の特性を評価
することができる。
【0031】尚、以上説明した以外の構成は、本発明に
係る第一実施形態に係る化粧品又は化粧品原料の官能評
価代替評価装置と同様であり、説明を省略する。
【0032】次に、上述したようなAEを測定する化粧
品又は化粧品原料の官能評価代替評価において好適に用
いられる、電気信号の解析システムについて説明する。
この解析システムは、AEを測定して得られる電気信号
を解析して化粧品の評価に必要な特性値を算出するもの
である。本発明に係る解析システムは、波形処理手段
と、解析手段と、算出手段とから構成される。波形処理
手段はAEを測定して得られたデジタル信号を波形処理
し、具体的な波形処理としては、図7の模式図に示され
るような、横軸を時間軸とし、縦軸を電圧値とした波形
処理を例示することができる。解析手段は、波形処理さ
れた波形データに対して解析処理を加える。この解析処
理としては、解析に必要な範囲のデータを抽出する信号
抽出処理、予め設定したレベル以下の信号を除去するノ
イズ除去処理、得られたデジタル信号を絶対値処理する
絶対値処理、予め設定したΔ値に応じてエンベロープ処
理するエンベロープ処理、指定された時間軸領域のデー
タを周波数領域のデータに変換するFFT(高速フーリ
エ交換)処理、波形の特徴を損なわないようにデータ量
を削減する間引き処理等を例示することができる。尚、
解析処理は必要に応じて行われる。算出手段は、波形処
理された波形データの特性値を算出する。算出される特
性値としては、絶対値処理した全データの中の最大値で
ある最大振幅値、データがしきい値を下回ってから、一
定時間以上しきい値を超えるデータがない場合、次のし
きい値が現れるまでをイベントとした場合のイベント
数、一つ目のイベントの中での、予め設定したしきい値
を超えている時間である持続時間、一つ目のイベントの
中での、しきい値を超えた回数であるリングダウン数、
全データの2乗和平均であるRMS値、絶対値処理した
全データの面積である面積、絶対値処理した一つ目のイ
ベントの中でのしきい値を超えた時間からピークまでの
時間である立ち上がり時間、絶対値処理した一つ目のイ
ベントの中でのしきい値を超えた時間からピークまでの
勾配である立ち上がり勾配、絶対値処理した一つ目のイ
ベントの中でのサンプリング開始からしきい値を超える
までの時間である発生時間(先頭)、絶対値処理した一
つ目のイベントの中でのサンプリング開始からピークま
での時間である発生時間(ピーク)、絶対値処理した一
つ目のイベントの中でのサンプリング開始からしきい値
をきるまでの時間である発生時間(後尾)などを例示す
ることができる。
【0033】次に、本発明に係る解析システムの動作に
ついて説明する。AEセンサにより検出されたAEは、
A/D変換手段によりデジタル信号に変換される。デジ
タル信号に変換されたAEは、まず波形処理手段により
波形処理が行われる。次に、波形処理が施された波形デ
ータに必要に応じて解析手段により解析処理が加えられ
る。最後に、算出手段により、必要に応じて解析処理が
加えられた波形データの特性値を算出する。このように
して得られた特性値、好ましくは複数の特性値から化粧
品の機能性、使用性、仕上がり感や化粧品原料の品質、
性状、特性等を評価することができる。
【0034】次に、本発明に係る化粧品又は化粧品原料
の官能評価代替評価装置及び解析システムの具体的な使
用方法について説明する。尚、官能評価代替評価装置と
しては、図13に示される官能評価代替評価装置を用
い、また駆動手段としては、圧縮試験機を用いて、化粧
品の「べたつき」を評価する場合を例示して説明する。
化粧品の「べたつき」の評価は、化粧品にAEセンサを
接触させた後に化粧品からAEセンサを引き抜く際に発
生するAEを検出するものとする。本発明に係る化粧品
又は化粧品原料の官能評価代替評価装置を用いて化粧品
又は化粧品原料の特性等を評価するには、まず、駆動手
段である圧縮試験機の駆動条件を制御手段によって設定
する。設定する条件としては、例えば、AEセンサがサ
ンプルに接触するまでの速度、サンプルからAEセンサ
を引き離すときの速度、圧縮時間、圧縮速度、圧縮荷
重、AEセンサとサンプルの距離などの必要条件を設定
する。
【0035】次に、駆動手段として圧縮試験機を用いる
場合、本試験を行う前に、予備試験を行う。これは、本
試験における計測時間とトリガレベル、即ちAE信号の
入力開始のタイミングを決定するために行われる。図1
4は、予備試験の際の設定事項を入力する画面の一例で
ある。図14では、サンプリング数、サンプリング速
度、自動検出レベル、トリガソース、トリガレベル、ト
リガ極性、計測時間を入力するように構成されている。
サンプリング速度とは、A/D変換手段においてアナロ
グ信号からデジタル信号に変換する際の時間周期であ
り、ここでは周波数で設定する。サンプリング数とは、
入力するデジタル信号数であり、サンプリング速度とサ
ンプリング数により、後述する計測時間が決定される。
自動検出レベルとは、一番高い電圧からこの設定値マイ
ナスした電圧値をトリガレベルとする値である。(圧縮
試験機を用いたテストにおいては、荷重が付加されて、
サンプルから離れるタイミングを決定する機能であ
る。)トリガソースとは、入力開始のタイミングにどの
信号を使用するのかを選択するものであり、ここでは、
外部トリガ、即ち、圧縮試験機からの信号を監視するよ
うに設定されている。外部トリガを選択すると、信号レ
ベルが一定値を超えた場合、又は下回った場合に入力を
開始する。トリガレベルとは、入力を開始するタイミン
グに使用される信号の強度であり、この値を超えた場合
に入力を開始する。尚、トリガレベルはトリガソースと
して内部トリガを選択した場合に有効であり、予備試験
では設定は不要である。トリガ極性とは、トリガレベル
より下回った(−↓)場合、或いは、上回った場合(+
↑)、どちらの場合に測定を開始するのかを定めるもの
である。尚、トリガソースとして外部トリガを選択した
場合は、信号が立ち上がった場合、又は立ち下がった場
合に測定を開始する。予備試験においては、トリガソー
スとして外部トリガ、即ち、圧縮試験機からの信号を感
知しており、ここでは、信号が立ち上がった(+↑)と
きからサンプリングを行うように選択されている。各設
定値の入力が終了したら、スタートボタンを押して測定
を開始する。
【0036】図15は、予備試験から得られたチャート
図の一例である。上段は圧縮試験機から伝達される荷重
信号であり、下段は、測定したAEの波形である。上段
のように、圧縮試験機の荷重信号の全てが計測時間内に
納まるように、計測時間を調整する。計測時間は、サン
プリング速度とサンプリング数により調整することがで
きる。また、荷重信号が減少する箇所と自動検出レベル
を示す横線Jとの交点が本試験の測定開始位置となるの
で、自動検出レベルの調整を適宜行う。
【0037】このようにしてトリガレベルと計測時間が
定まったら、本試験に移る。図16は、本試験の際の設
定事項を入力する画面の一例である。図16では、サン
プリング数、サンプリング速度、トリガソース、トリガ
レベル、トリガ極性、計測時間を入力するように構成さ
れている。トリガレベルは予備試験の結果から決定され
る。また、トリガソースは、内部トリガを選択する。内
部トリガを選択した場合は、圧縮試験機からの荷重信号
がトリガレベルを越えた場合(+↑)、又は下回った場
合(−↓)にAE信号の入力を開始する。トリガ極性
は、トリガレベル以下(−↓)となったときにサンプリ
ングを開始するように選択されている。これは、本試験
では、AEセンサを化粧品又は化粧品原料と接触させた
後に、センサを引き抜く際に発生するAEを測定するか
らである。
【0038】必要な設定が終了したら測定を開始する。
測定を開始すると、予め設定された制御項目に従って制
御手段により制御された駆動手段により、一定の条件下
でAEセンサによるAEの測定がなされる。測定された
AEは増幅手段により増幅され、フィルタ手段により周
波数弁別された後に、A/D変換手段によりデジタル信
号に変換される。次に、波形処理手段により波形処理さ
れた後に、必要に応じて解析手段により解析処理がなさ
れる。解析手段による解析処理では、まず解析処理方法
の選択がなされる。選択される解析処理方法としては、
信号抽出、ノイズ除去、絶対値処理、エンベロープ処
理、FFT処理、間引き処理である。
【0039】図17は解析処理の選択を行う際の設定事
項を入力する画面の一例である。左欄(A0,W1〜W
5)は、解析処理後の各データの格納場所であり、左か
ら二列目の欄において、必要な解析処理が選択される。
尚、A0(最上段)には波形処理後、即ち、何も解析処
理が行われていない波形データが格納されており、各解
析処理はこの波形データを利用して解析がなされる。以
下、それぞれの解析処理について説明する。信号抽出処
理を行う際には、自動処理と手動処理を選択でき、自動
処理を選択する場合は、信号レベルと抽出時間を入力
し、この信号レベルを超えた時間から抽出時間において
定められた時間の範囲を自動的に抽出する。手動処理を
選択した場合は、画面に表示される波形から、マウス等
の入力装置により必要な部分を選択して抽出を行う。
【0040】ノイズ除去処理を行う際には、自動処理と
手動処理を選択でき、自動処理を選択する場合は、信号
レベルに記入した信号レベル以下となる区間を自動的に
除去する。手動処理を選択した場合は、画面に表示され
る波形から、マウス等の入力装置により必要な部分を選
択して抽出を行う。エンベロープ処理を行う際には、自
動処理と手動処理を選択でき、手動処理を選択する場合
は、包絡線の時定数であるΔtを入力する。また、自動
処理を選択した場合は、予め設定されたΔt(例えば、
サンプリング周期の100倍)によりエンベロープ処理
が行われる。間引き処理を行う際のには、間引き数の入
力を行い、この数値に基づいて算出される。この他の処
理、例えば、絶対値処理の場合は、設定事項を入力する
必要はない。
【0041】次に、上記したように必要に応じて解析処
理が行われた波形データの特性値の算出が行われる。図
18は特性値の算出を行う際の設定事項を入力する画面
の一例である。図18においては、最大振幅値、持続時
間、リングダウン値、RMS値、面積、立ち上がり時
間、立ち上がり勾配、イベント数、発生時間(先頭)、
発生時間(ピーク)、発生時間(後尾)の特性値を算出
することができる。まず、必要とされる特性値をどのよ
うな解析処理が行われたデータ或いは行われなかったデ
ータから算出するのかを、中央の欄において選択又は入
力する。即ち、図17における左欄に表示されるデータ
格納場所の選択が行われる。例えば、最大振幅値は、絶
対値処理された全データの中の最大振幅であるので、絶
対処理されたデータ(ここではW3)を選択する。次
に、しきい値とΔtを入力する。Δtはイベント数を算
出するために用いられる。Δtを予め定めた値(例え
ば、サンプリング周期の10000倍)に自動設定する
こともできる。設定が終了したら、決定ボタンを押すと
結果が左の欄に表示される。
【0042】最後に得られた特性値の平均値、標準偏
差、信頼区間等が算出され、さらに、グラフ化処理(回
帰直線、相関係数)等が行われる。このようにして算出
された特性値を用いて化粧品又は化粧品原料の特性を評
価することが可能となる。
【0043】
【実施例】以下、実施例を示して本発明を詳細に説明す
る。但し、本発明は、以下の実施例により何ら限定され
るものではない。 (実施例;シリコンを用いたべたつき評価試験)図13
に示されるような官能評価代替評価装置を用いて、シリ
コンのべたつきを評価した。まず、検体であるシリコン
100cs、シリコン500cs、シリコン1000c
s(いずれも信越化学社製)それぞれ20μlを人工皮
革の表面に滴下し、φ30mmの面積に均一に広げた。
次に、恒温恒湿室(温度;23℃、湿度;60%)内に
おいて、AEセンサ(商品名;F217L2、株式会社
昭和電気研究所製)を取り付けた圧縮試験機(テクスチ
ャーアナライザーTA−XT2i、SMS社製)によ
り、300gの荷重を1秒間付加させた後に、AEセン
サを引き離す際に発生するAEを測定する方法により、
それぞれ各10回測定した。AEの計測は、圧縮試験機
からの荷重電圧が0.35vより立ち上がった時から取
り込みを開始した。尚、感度は60dB(元波形の10
00倍)であった。
【0044】得られた波形データの一例を図19〜21
に示す。また、10回の測定から得られた波形データを
ノイズカットや部分抽出を行い、特性値を算出した。1
0回の平均値を表1〜3に示す。また、各特性値と粘度
の関係を示すグラフを図22〜図24に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】表1〜3の結果及び図22〜24に示され
るように、化粧品のAEを測定することにより得られる
各特性値は、化粧品の粘度と相関関係を有することが分
かる。従って、化粧品の「べたつき」の評価において、
従来の官能評価の代替評価方法として好適に用いられる
ことが分かる。しかも、AEから得られる特性値は多数
存在し、「べたつき」を多面的に評価することが可能で
ある。
【0049】
【発明の効果】本発明に係る化粧品又は化粧品原料の官
能評価代替評価方法は、化粧品や化粧品原料に生じるA
Eを測定するものであるから、微細な変化を関知するこ
とができるために、精度の高い測定を行うことができ
る。しかも、AEからは複数の特性値を得ることができ
るために、単一の試験結果を多面的に評価することがで
き、従来の官能評価の代替方法として、好適に用いるこ
とができる。
【0050】本発明に係る化粧品又は化粧品原料の官能
評価代替評価装置は、AEセンサで測定した微弱なAE
を増幅してデジタル信号に変換するものであるから、コ
ンピュータ等の解析装置において解析処理することが可
能となる。また、制御手段と駆動手段を用いた化粧品又
は化粧品原料の官能評価代替評価装置は、略同一の条件
で化粧品又は化粧品原料のAEを測定することができる
ために、測定誤差を減少することができるとともに、異
なる測定を比較することもできる。
【0051】本発明に係る解析方法及び解析処理システ
ムは、AEセンサにより測定されたAEから、化粧品や
化粧品原料の機能性、使用性、仕上がり感などの特性に
関する評価に必要な各種特性値を算出することが可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る化粧品又は化粧品原料の官能評価
代替評価方法において、AEを測定する好適な実施形態
を示す模式図である。
【図2】本発明に係る化粧品又は化粧品原料の官能評価
代替評価方法において、化粧品又は化粧品原料のAEを
測定する方法の一例を示した図である。
【図3】本発明に係る化粧品又は化粧品原料の官能評価
代替評価方法において、化粧品又は化粧品原料のAEを
測定する方法の一例を示した図である。
【図4】本発明に係る化粧品又は化粧品原料の官能評価
代替評価方法において、化粧品又は化粧品原料のAEを
測定する方法の一例を示した図である。
【図5】本発明に係る化粧品又は化粧品原料の官能評価
代替評価方法において、化粧品又は化粧品原料のAEを
測定する方法の一例を示した図である。
【図6】本発明の解析処理方法を示したフローチャート
図である。
【図7】波形処理したAEを示す模式図である。
【図8】波形処理したAEをさらに絶対値処理した波形
を示す模式図である。
【図9】本発明の第一実施形態に係る化粧品又は化粧品
原料の官能評価代替評価装置のブロック図である。
【図10】本発明の第一実施形態に係る化粧品又は化粧
品原料の官能評価代替評価装置のブロック図である。
【図11】本発明に係る化粧品又は化粧品原料の官能評
価代替評価装置の解析手段の構成を示すブロック図であ
る。
【図12】本発明の第二実施形態に係る化粧品又は化粧
品原料の官能評価代替評価装置のブロック図である。
【図13】本発明の第二実施形態に係る化粧品又は化粧
品原料の官能評価代替評価装置のブロック図である。
【図14】予備試験の設定事項を入力する画面の一例で
ある。
【図15】予備試験から得られたチャート図の一例であ
る。
【図16】本試験の設定事項を入力する画面の一例であ
る。
【図17】信号抽出処理を行う際の設定事項を入力する
画面の一例である。
【図18】特性値の算出を行う際の設定事項を入力する
画面の一例である。
【図19】実施例で測定したシリコン100csのAE
の波形チャートである。
【図20】実施例で測定したシリコン500csのAE
の波形チャートである。
【図21】実施例で測定したシリコン1000csのA
Eの波形チャートである。
【図22】実施例において算出した各特性値とシリコン
の粘度の相関関係を示すグラフである。
【図23】実施例において算出した各特性値とシリコン
の粘度の相関関係を示すグラフである。
【図24】実施例において算出した各特性値とシリコン
の粘度の相関関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・・AEセンサ 4・・・駆動手段 5・・・増幅手段 6・・・フィルタ手段 7・・・解析手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北原 紅実 大阪市中央区十二軒町5番12号 株式会社 マンダム内 (72)発明者 鈴木 祐介 福岡県福岡市西区愛宕1丁目14−35 株式 会社昭和電気研究所内 (72)発明者 大隈 信隆 福岡県福岡市西区愛宕1丁目14−35 株式 会社昭和電気研究所内 Fターム(参考) 2G047 AA01 BA05 GG09 GG12 GG17 GG24 GG25 GG33

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化粧品又は化粧品原料の特性を評価する
    化粧品又は化粧品原料の評価方法において、AEを検出
    して電気信号に変換するAEセンサを用いて化粧品又は
    化粧品原料に生じるAEを検出することを特徴とする化
    粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価方法。
  2. 【請求項2】 AEセンサを化粧品又は化粧品原料に対
    して略垂直方向に移動させながらAEを検出することを
    特徴とする請求項1に記載の化粧品又は化粧品原料の官
    能評価代替評価方法。
  3. 【請求項3】 AEセンサを化粧品又は化粧品原料に対
    して略水平方向に移動させながらAEを検出することを
    特徴とする請求項1に記載の化粧品又は化粧品原料の官
    能評価代替評価方法。
  4. 【請求項4】 化粧品又は化粧品原料の特性を評価する
    化粧品又は化粧品原料の評価における電気信号の解析方
    法であって、該電気信号は化粧品又は化粧品原料に生じ
    るAEを検出するAEセンサにより得られてなり、該電
    気信号を波形処理した後に、得られた波形データの特性
    値を算出することを特徴とする解析方法。
  5. 【請求項5】 化粧品又は化粧品原料の特性を評価する
    化粧品又は化粧品原料の評価における電気信号の解析方
    法であって、該電気信号は化粧品又は化粧品原料に生じ
    るAEを検出するAEセンサから得られてなり、 該電気信号を波形処理した後に、解析処理して得られた
    波形データの特性値を算出することを特徴とする解析方
    法。
  6. 【請求項6】 化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検
    出して電気信号に変換するAEセンサと、該AEセンサ
    により検出された電気信号を増幅する増幅手段と、該増
    幅手段により増幅された電気信号のうち特定の周波数帯
    域を抽出するフィルタ手段と、該フィルタ手段により抽
    出された電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換
    手段と、該A/D変換手段により変換されたデジタル信
    号を解析する解析手段とからなることを特徴とする化粧
    品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置。
  7. 【請求項7】 化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検
    出して電気信号に変換するAEセンサと、該AEセンサ
    の駆動手段と、該駆動手段を制御する制御手段と、該A
    Eセンサにより検出された電気信号を増幅する増幅手段
    と、該増幅手段により増幅された電気信号のうち特定の
    周波数帯域を抽出するフィルタ手段と、該フィルタ手段
    により抽出された電気信号をデジタル信号に変換するA
    /D変換手段と、該A/D変換手段により変換されたデ
    ジタル信号を解析する解析手段とからなることを特徴と
    する化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置。
  8. 【請求項8】 化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検
    出して電気信号に変換するAEセンサと、該AEセンサ
    により検出された電気信号を増幅する第一の増幅手段
    と、該第一の増幅手段により増幅された電気信号のうち
    特定の周波数帯域を抽出するフィルタ手段と、該フィル
    タ手段により抽出された電気信号を増幅する第二の増幅
    手段と、該第二の増幅手段により増幅された電気信号を
    デジタル信号に変換するA/D変換手段と、該A/D変
    換手段により変換されたデジタル信号を解析する解析手
    段とからなることを特徴とする化粧品又は化粧品原料の
    官能評価代替評価装置。
  9. 【請求項9】 化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検
    出して電気信号に変換するAEセンサと、該AEセンサ
    の駆動手段と、該駆動手段を制御する制御手段と、該A
    Eセンサにより検出された電気信号を増幅する第一の増
    幅手段と、該第一の増幅手段により増幅された電気信号
    のうち特定の周波数帯域を抽出するフィルタ手段と、該
    フィルタ手段により抽出された電気信号を増幅する第二
    の増幅手段と、該第二の増幅手段により増幅された電気
    信号をデジタル信号に変換するA/D変換手段と、該A
    /D変換手段により変換されたデジタル信号を解析する
    解析手段とからなることを特徴とする化粧品又は化粧品
    原料の官能評価代替評価装置。
  10. 【請求項10】 化粧品又は化粧品原料の官能評価代替
    評価装置において用いられる解析システムであって、化
    粧品又は化粧品原料に生じるAEを検出して得られた電
    気信号を波形処理する波形処理手段と、該波形処理手段
    により得られた波形データの特性値を算出する算出手段
    とからなることを特徴とする解析システム。
  11. 【請求項11】 化粧品又は化粧品原料の官能評価代替
    評価装置において用いられる解析システムであって、化
    粧品又は化粧品原料に生じるAEを検出して得られた電
    気信号を波形処理する波形処理手段と、該波形処理手段
    により得られた波形データに対して、信号抽出処理、ノ
    イズ除去処理、絶対値処理、エンベロープ処理、FFT
    処理、間引き処理のうちから選択される1種以上の解析
    処理を施す解析処理手段と、該解析処理手段により処理
    された波形データの特性値を算出する算出手段とからな
    ることを特徴とする解析システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011185950A (ja) * 2011-06-16 2011-09-22 Kokyu Alcohol Kogyo Co Ltd 化粧料の評価方法
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