JP2011185757A - 漏油遠隔監視装置および方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光の照射により蛍光を発する油の漏洩をリアルタイムで検出する装置であって、監視対象領域をトリガー信号に基づき連続的に撮像する可視光カメラと、可視光カメラによる撮像画像を記憶する記憶手段と、可視光カメラの受光素子に不感の波長の励起光を動作信号に基づき照射する光照射手段と、可視光カメラのシャッター時間幅及びタイミングを決定するトリガー信号、並びにトリガー信号と同期した照射タイミング及び時間幅を決定する動作信号を発生する制御部と、励起光照射時の撮像画像と励起光非照射時の撮像画像の差分画像を取得し、記憶手段に記憶する差分処理手段と、差分画像における輝度の変化に基づいて油の漏洩を判定する判定手段を備えた漏油遠隔監視装置及びその方法。
【選択図】図12
Description
特許文献1には、通常照明下での漏油の検出を可能とする検出方法として、蛍光と吸光の両現象を同時に利用した検出方法であり、紫外線と可視光を交互に試料面に照射し、得られた画像の差分をとることにより、プラント内の配管や機器からの油漏れを検出する方法が開示されている。
特許文献2および3に記載される技術によれば、太陽光下でも油を検出することができる。しかし、特許文献2に記載される技術においては、検出環境下の存在物質に応じてレーザー光の波長を適宜選択する必要があり、しかも検出される偏光蛍光は微弱であるため、短時間で変化する太陽光下において高精度の検出を行うことは困難であった。
特許文献3に記載される技術においては、照明や太陽光等のノイズ光を除去するためにイメージインテンシファイア等な高価な機器が必要となるが、プラント等の広い敷地内を監視するためには多数の機器を配置する必要があるため、安価で汎用的な機器類で構成した漏油遠隔監視装置が求められていた。
[2]上記の光照射手段が、連続する偶数コマと奇数コマのいずれかのトリガー信号と同期して励起光を照射することを特徴とする[1]に記載の漏油遠隔監視装置。
[3]上記の光照射手段の光源が、レーザー装置、LED、ランプから選択されることを特徴とする[1]または[2]に記載の漏油遠隔監視装置。
[4]上記の可視光カメラが、カラーカメラであることを特徴とする[1]ないし[3]のいずれかに記載の漏油遠隔監視装置。
[5]屋外用であることを特徴とする[1]ないし[4]のいずれかに記載の漏油遠隔監視装置。
[6]光の照射により蛍光を発する油の漏洩をリアルタイムで検出する漏油遠隔監視する方法であって、制御部により可視光カメラのシャッター時間幅およびタイミングを決定するトリガー信号、並びにトリガー信号と同期した照射タイミングおよび時間幅を決定する発光動作信号を発生し、監視対象領域を可視光カメラによりトリガー信号に基づき連続的に撮像しながら、可視光カメラの受光素子に不感の波長の励起光を発光動作信号に基づき照射し、励起光照射時の撮像画像と励起光非照射時の撮像画像の差分画像を取得し、差分画像における輝度の変化に基づいて油の漏洩を判定することを特徴とする漏油遠隔監視方法。
[7]連続する偶数コマと奇数コマのいずれかのトリガー信号と同期して励起光を照射することを特徴とする[6]に記載の漏油遠隔監視方法。
[8]上記の監視対象領域が複数の監視対象領域からなり、かつ屋外を含むことを特徴とする[6]または[7]に記載の漏油遠隔監視方法。
[1]燃料オイルの吸光・反射特性
燃料オイル漏れを監視用カメラで捉えるためには、燃料オイルの吸光と発光特性を測定し、その特性を把握することが必要となる。そこで、燃料オイルを分析用石英セルに注入し、分光光度計を用いて、吸光度と反射率の分光特性を測定した。より詳細には、分析用石英セル(日本石英硝子社製)に燃料オイル(坂出発電所供給品)を注入し、硫酸バリウム粉末をリファレンスとして、紫外線から近赤外線領域の吸光度と反射率を測定した。その結果、燃料オイルは紫外線領域から近赤外線領域の光を90%以上吸収してほぼ黒色を呈すること、また波長に対して特徴な吸収は見られないことが確認できた。これにより、燃料オイルは波長に対して特異な吸収を示さないため、可視光領域の分光測定ではその存在を特定することはできないことが分かった。
分析用石英セル(日本石英硝子社製)に入れた燃料オイル(坂出発電所供給品)に、紫外線(254nmあるいは365nm:4W水銀ランプ)とグリーンレーザー光(532nm:1mW)を照射して蛍光スペクトルを分光器で測定した。分光測定条件は、スリット幅5μm、露光時間10ms、積算回数100回である。分光測定における励起光の遮光には、紫外線励起の場合は吸収式長波長透過フィルター(シャープカット色ガラスフィルター)を使用し、レーザー光励起の場合は干渉式レーザー光遮断フィルター(ホログラフィック・ノッチフィルター)を使用した。その測定結果の蛍光スペクトルを図1に示す。図1から、紫外線励起における蛍光は可視光領域の全波長で観測され、450〜500nmの波長域で比較的強いこと、レーザー励起における蛍光は550〜700nmで観測され580nm近傍にピークを持つことが分かる。なお、レーザー励起蛍光スペクトルの532nmにおけるピークはレーザーの迷光である。
図1の測定結果は、石英セルを通して光線を燃料オイルに照射して得られたものであるため、石英セルの蛍光やラマン散乱光の影響を調べるべく石英セルとオイルの発光を測定した。その結果を図2に示す。図2から、(1)試料が無い場合(AIR)は何も観測されず、(2)空の石英セル(CELL)ではレーザーの迷光が観測され、(3)石英セルにオイルを注入した場合(OIL)は550nmよりも長波長で蛍光が観測されることが確認できる。このことから、燃料オイルの蛍光は550〜700nmで観測され580nm近傍にピークを持つことが判明した。このように、燃料オイルは光照射によって蛍光を発するが、その蛍光スペクトルは可視光波長域全般にわたって観測され、その強度は波長によって異なることから、可視光領域の分光測定(RGBカメラも同様)でその存在を検出できる可能性があることが分かる。
表1に、燃料オイルに対する照射光の波長と発した蛍光の波長の一例を示す。
図3は、燃料オイル表面に785nmのレーザー光を照射したときの発光スペクトルと、532nmのレーザー光を照射したときの発光スペクトル(図1の横軸を波数表示したもの)を示すグラフである。図3に示す発光スペクトルは、蛍光とラマン散乱光が重重して現れており、785nmと532nm励起ともにほぼ同じ波数に分子構造のピークが現れている。因みに、図3に示すラマン散乱光のスペクトル分布は有機系の固体によく見られる形状であり、燃料オイルが高濃度の有機物質であることを示唆している。
また、図3中、ラマン散乱光の強度(図中の凹凸)は蛍光強度に比べて10%以下である。燃料オイルにレーザー光を照射するとラマン散乱光が蛍光に重重して観測されるが、その強度は蛍光強度よりも小さい。ラマン散乱光波長は含有物質の分子結合に起因するが、多種成分の混合物である燃料オイルについては特徴的なピークを特定することはできない。
図4は、阿南PS燃料重油(S:0.16%、SG:0.9182)に波長375nm、照射強度140mWのLED光を照射した際の蛍光スペクトル強度を示すグラフである。図5は、同じ燃料重油に波長532nm、照射強度1mWのレーザー光を照射した際の蛍光スペクトル強度を示すグラフである。図4のスペクトル形状からは蛍光は450nm近傍が強いことが分かり、図5のスペクトル形状からは532nm励起では580nm近傍が強いことが分かる。
LED、レーザーのいずれの光源でも発光する波長550nmと580nmについて、燃料オイルの厚さに対する蛍光強度を図6および図7に示す。
励起光源波長375nm(図6)、532nm(図7)のいずれにおいても、油膜厚が0.4mm以上では蛍光強度が飽和することが確認された。前記[1]で検討したように、燃料オイルは吸光度が高く、蛍光の発生は極浅い部分に限定されるからであると考えられる。
大気に曝した燃料オイルの蛍光の経時変化を図8に示す。励起光源はLED(375nm)であり、蛍光強度は520nm±5nmの強度を410nm±5nmの強度で除した比率である。燃料オイルの蛍光は乾燥すると弱くなることが確認された。図8から、漏洩から約2時間以内に燃料オイルの検出することが好ましいことが分かる。なお、蛍光強度の分布を検討することにより、強い蛍光を発する面積に対応する箇所が新しく漏洩した箇所に対応していることを判定してもよい。
野外にあるプラント類の油漏洩を検出は、屋外用の防滴型または防雨型の可視光カメラを用いて行うことができるが、太陽光による影響が問題となる。そこで、100W太陽灯(XC−100;セリック社)の光を55cmの距離から照射してレーザー誘起蛍光測定を行った。試料は燃料重油(S:0.16%、SG:0.9182)を使用し、油膜厚は1mmである。また、励起レーザー光は波長532nm、照射強度1mWである。
図9に太陽灯とレーザーの同時照射した場合の蛍光強度(上方曲線)、太陽灯だけを照射した場合の蛍光強度(下方曲線)を示す。図9から、太陽光が当たっている場合でも、レーザー光照射における蛍光は優位性をもって観測できることが確認できた。
図10に、太陽光・励起光を同時照射した場合の蛍光強度から太陽灯だけを照射した場合の蛍光強度を差し引いた値(差分)と、レーザー光だけを照射した場合の蛍光強度を示す。図10から、太陽光・励起光同時照射時と太陽光のみ照射時の差分を求めることで、太陽光の影響を排除することが可能であることが確認できた。
前記[1]ないし[5]における燃料オイルの特性検討結果から以下のことが判明した。
燃料オイルは、前記[1]で述べたように、紫外線領域から近赤外線領域に吸収を示し、この吸収したエネルギーによって前記[2]および[3]で述べた蛍光やラマン光を発する。しかし、燃料オイルのラマン散乱光については、蛍光に重重して観測され、その強度は蛍光強度よりも小さいため、オイルを特定できる明確な発光ピークが観測できない。また、燃料オイルの吸収は紫外線領域から近赤外線領域にわたっており、特徴的な吸収バンドは認めなれないため、吸収分光測定では燃料オイルの存在を検出できない。他方で、発明者は、燃料オイルの反射率は低く黒色に見えることから、周辺との輝度の違いでその存在を検出できる可能性があることの知見を得た。すなわち、発明者は、燃料オイルの蛍光スペクトルは可視光波長域全般にわたって観測され、その強度が波長によって異なることから、可視光領域の分光測定(RGBカメラも同様)でその存在を検出できる可能性があると考え、本発明をなした。
可視光カメラ(例えば、シリコン系CCDカメラと一般的なカメラレンズ)で観察できる400nm〜700nmの波長範囲で、燃料オイルを検出するために、次の手法を用いることが考えられる。
(1)燃料オイルと周辺の輝度の違いを観測する。
(2)レーザー照射による発光強度(誘起蛍光とラマン散乱光の合計)を異なる観測波長で測定する。
(3)レーザー光を照射した場合と照射していない場合の差分を求める。
ここで、(1)の輝度の違いを利用する手法については、照明や太陽光の影響(入射角度や強度)を受けるため、実運用は難しいと考えられる。また、(2)(3)のレーザー誘起蛍光(ラマン光も含む)を利用する手法については、照射レーザー波長の選択(カメラが不感の波長を選ぶ)と観測波長の選択(カメラのRGB感度との兼ね合い)により実用化の可能性がある。
(ア)カメラ撮影と同期して1コマおきに特定波長の励起光を所定の時間(例えば、10ミリ秒間程度)照射し、励起光が当たった画像(Gn)の輝度から励起光が当たっていない画像(Gn+1)の輝度を差し引いて、外乱光の影響を排除する(例えば、一般的なCCDセンサの場合、2コマで60ミリ秒程度なので、太陽光の変化も無視できる)と共にオイルの蛍光画像を取得する。なお、監視領域の撮影はカメラを固定して行えば足りる。
(イ)最新の蛍光画像(Gn)を1つ前の蛍光画像(Gn−2)の輝度、面積を比較し、輝度あるいは面積の増加があればオイル漏れと判断する。
(ウ)前記(ア)(イ)の画像を記憶装置に連続的に記録することにより、過去の画像を呼び出して現在の画像と比較することにより、漏洩開始時間や漏洩量等を分析することができる。
表2に励起光源(レーザー光源)の照射のタイミングと、コマ番号の関係の一例を示す。表2では奇数コマではレーザー装置をOFFとし、偶数コマでレーザー装置をONとし、奇数コマと偶数コマの差分処理を行って漏油の判別を行っている。このように、表2ではレーザー光を照射時の検査領域画像および非照射時の検査領域画像を取得し、両画像の差分がない場合には油漏れはないものと判断して演算画像は消去し、差分があるときにはその面積を算出して演算画像を記録すると共に油漏れの警報を発する。監視員は過去の差分画像との比較を行うことにより、油漏れがあったことを確実に判断すると共に算出面積に基づき漏油の拡大状況を確認することができる。
(1)光源に473nmのレーザー光を使用した場合、カラーカメラの赤(R)の信号を用いて蛍光の強度を測定して、漏油の有無を判別することができる。
(2)光源に375nmや365nmのLEDあるいは355nmのレーザーを使用した場合、カラーカメラの青(B)や緑(G)の信号を用いて蛍光の強度を測定して、漏油の有無を判別することができる。
(3)光源にHgランプを用いた場合、カラーカメラの緑(G)や赤(R)の信号を用いて蛍光の強度を測定して、漏油の有無を判別することができる。
(4)白黒カメラの場合、レンズを透過しない380nm以下の光源を利用するか、あるいは光源の波長をカットする超波長透過フィルターを通して観測する。
なお、カラーカメラの波長感度特性(フィルター特性)はメーカーによって異なるため、カメラ毎に具体的な組み合わせを決める必要がある。
本実施例の漏油遠隔検出装置は、図12に示す如く構成され、各機器の仕様は次に示すとおりである。
レーザー装置1:波長532nm、出力1mW
CCDカメラ(可視光カメラ)3:KP−M1AN(日立国際電気)
エッジフィルタ4:波長532nm
CCDコントローラ5:ジャンクションボックス(JU−MIA)
レンズ6:25mm(F1.4)、f=150mm
音響光変調器(AOM)7:514nm用
AOMドライバ8:D−100L(HOYA)
制御部10:発振器(型番:SPG8651A)、分周器(型番:74HC4040)、パルス幅調整器(型番:74LS123)、制御用PC等
ここで、AOM7はレーザー光などを振幅変調(パルス状にも切り出し可能)するものである。本来ならレーザーやLEDを直接電気的に変調して任意のパルス時間幅の光を発生させればよいが、外部同期(CCDと同期)で変調できる装置が手元になかったため、本実施例では技術検証実験のためにAOM7を使用した。発振器からの基準信号に基づきCCDカメラ3による撮影を行い、AOM7によりCCDゲート信号(撮影トリガー信号)と同期させて一コマおきにAOMゲート信号(光源の発光動作信号)を発生させ、励起光を照射した。
CCDカメラ3の動作モードはフィールド・オン・デマンド(ONEトリガーモード)に設定した。
レーザー装置1からのレーザー光を音響光変調器(AOM)7によってパルス状に変調し、変調光をレンズ6で拡大して燃料オイルに照射した。レーザー照射によって発生するオイルの蛍光をCCDカメラ3で観測した。CCDカメラ3のレンズ前に532nm用のエッジフィルタ4を配置して、レーザー光を減衰させた。
制御部10では、水晶振動子を用いた発振器で基準信号を発生し、分周器を用いて1/2周期を発生させ、パルス幅調整器でCCDのトリガーパルスとシャッター時間およびAOM7のゲート時間を調整した。
図13(a)は、本実施例の装置において、CCDトリガー信号とAOMゲート幅を最短に設定した場合の信号波形(発振周波数:60Hz)を示すグラフであり、(b)は(a)の拡大図である。図13に示すように、CCDトリガー信号の時間幅は0.4ms(シャッター時間:1/1000秒)であり、AOMのゲート幅(レーザー照射時間幅)は1.7msである。
図14(a)は、本実施例の装置において、CCDトリガー信号とAOMゲート幅を最長に設定した場合の信号波形(発振周波数:60Hz)を示すグラフであり、(b)は(a)の拡大図である。図14に示すように、CCDトリガー信号の時間幅は6ms(シャッター時間:1/150秒)であり、AOMのゲート幅(レーザー照射時間幅)は14msである。
制御部10における信号発生、分周、パルス幅制御の回路図とタイムチャートを図15に示す。発振出力のデューティ比は1:1である。分周器の出力は2パルス入力1パルスが出力され、入力信号の同期は「↓」である。パルス幅はRCで調整される。本実施例によって測定した仕様を以下に示す。
結合タイミング:立ち下がり
周波数範囲: 0.0005Hz〜60kHz
分周率:12−Stage (Binary)
AOMゲート信号t1(ゲート幅とタイミングを決める):1.7ms(VR=0Ω)〜24ms(VR=25kΩ)(レーザー光の照射時間を可変としている)
CCDゲート信号t2(シャッター時間幅とタイミングを決める):0.4ms(VR=0Ω)〜6.0ms(VR=25kΩ)(画像取り込みレートによって露光時間(シャッター開放時間)が異なるために時間幅を可変としている)
(ア)発振器(SPG8651A)によって画像撮影フレームレート用信号(基準信号)を発生させ、パルス幅調整器(74LS123)の片チャンネルでCCDカメラ3のシャッター時間幅を調整する。
(イ)発振器(SPG8651A)からの基準信号を分周器(74HC4040)を通して、周波数を半分にし、CCDカメラ3の1フレームおきの信号を発生させ、パルス幅調整器(74LS123)の片チャンネルで照射するレーザー光の照射時間(AOM7のゲート幅)を調整する。
(ウ)表2の例で説明すると、1コマ目にはAOM7を動作させずにCCDカメラ3により背景画像を取得し、次のコマ(2コマ目)ではレーザーを照射してCCDカメラ3により励起画像を取得する。
(エ)これを繰り返すことで、表2のレーザー照射と撮影、演算等が実現できる。
本実施例の装置により、奇数コマではレーザーを照射しない背景を撮影し、偶数コマでレーザー誘起蛍光を発生させ、その差分からオイルを判別した。CCDカメラ3のシャッター時間とレーザー照射時間は共に1msである。
図16aは本実施例の装置により取得した背景画像であり、図16bはレーザー照射時の画像である。いずれも実験室内の蛍光灯照明下で取得した画像である。図16bでは燃料オイルの蛍光が明瞭に示されている。
以上に示すように、市販の可視光カメラを用いて構成した本実施例の装置により、照明光等のノイズ環境下において燃料オイルを検出可能であることが確認された。
CCDカメラ3の画像取込は30Hzで行い、1コマおきにレーザー光(波長532nm、強度1mW)を5msの照射時間で照射した。
まず、基準信号と同期してレーザー光照射なしの奇数フレーム画像を取得し、取得した画像を表示する(図18a)。次に、レーザー光照射有りの偶数フレーム画像を取得し、取得した画像を表示する(図18b)。そして、取得した偶数フレーム画像から奇数フレーム画像を除する差分処理を行い、その結果を表示する(図18c)。制御部10は、差分画像に予め設定した閾値を超える輝度あるいは面積の増加があればオイル漏れがあると判定する。
図17では、レーザー光の照射を偶数フレームで行うこととしているが、実際には装置の初期化後、レーザー光の照射と取得フレームの関係は一義的に決まらず、レーザー光の照射が奇数フレーム、偶数フレームのいずれで行われているのかは必ずしも特定できない。そこで、本実施例では、画像差分処理は(i)奇数フレームから偶数フレームを引く、(ii)偶数フレームから奇数フレームを引く、のいずれかを選択可能とする方式とした。
以上に示すように、市販の可視光カメラを用いて構成した本実施例の装置により、照明光等のノイズ環境下においてリアルタイム(30コマ/秒)で燃料オイルを検出可能であることが確認された。
本発明で検出対象となる油は、光を照射することにより蛍光を発する特性を有するものであればいかなる種類のものであってもよいが、例えば、石油、軽油、重油、ガソリンなどの燃料オイル、潤滑油、作動油などの工業用油、食品加工上の植物油などがあげられる。
2:レーザー光
3:CCDカメラ
4:エッジフィルタ
5:CCDコントローラ
6:レンズ
7:音響光変調機(AOM)
8:AOMドライバ
9:遮蔽板
10:制御部
Claims (8)
- 光の照射により蛍光を発する油の漏洩をリアルタイムで検出する漏油遠隔監視装置であって、
監視対象領域をトリガー信号に基づき連続的に撮像する可視光カメラと、
可視光カメラによる撮像画像を記憶する記憶手段と、
可視光カメラの受光素子に不感の波長の励起光を発光動作信号に基づき照射する光照射手段と、
可視光カメラのシャッター時間幅およびタイミングを決定するトリガー信号、並びにトリガー信号と同期した照射タイミングおよび時間幅を決定する発光動作信号を発生する制御部と、
励起光照射時の撮像画像と励起光非照射時の撮像画像の差分画像を取得し、記憶手段に記憶する差分処理手段と、
差分画像における輝度の変化に基づいて油の漏洩を判定する判定手段を備えたことを特徴とする漏油遠隔監視装置。 - 上記の光照射手段が、連続する偶数コマと奇数コマのいずれかのトリガー信号と同期して励起光を照射することを特徴とする請求項1に記載の漏油遠隔監視装置。
- 上記の光照射手段の光源が、レーザー装置、LED、ランプから選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の漏油遠隔監視装置。
- 上記の可視光カメラが、カラーカメラであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の漏油遠隔監視装置。
- 屋外用であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の漏油遠隔監視装置。
- 光の照射により蛍光を発する油の漏洩をリアルタイムで検出する漏油遠隔監視する方法であって、
制御部により可視光カメラのシャッター時間幅およびタイミングを決定するトリガー信号、並びにトリガー信号と同期した照射タイミングおよび時間幅を決定する発光動作信号を発生し、監視対象領域を可視光カメラによりトリガー信号に基づき連続的に撮像しながら、可視光カメラの受光素子に不感の波長の励起光を発光動作信号に基づき照射し、励起光照射時の撮像画像と励起光非照射時の撮像画像の差分画像を取得し、差分画像における輝度の変化に基づいて油の漏洩を判定することを特徴とする漏油遠隔監視方法。 - 連続する偶数コマと奇数コマのいずれかのトリガー信号と同期して励起光を照射することを特徴とする請求項6に記載の漏油遠隔監視方法。
- 上記の監視対象領域が複数の監視対象領域からなり、かつ屋外を含むことを特徴とする請求項6または7に記載の漏油遠隔監視方法。
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