JP2011182680A - 緑化構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】珪藻土およびバイオマスケイク由来のマイクロ気孔と人工的に生成させたミリメートルサイズのトンネル構造孔隙とが相互に連結された二元構造の気孔を持つセラミックス焼結体からなり、帯状に形成されて植物4が植栽されるセラミックス基盤2が、建物の壁面10に複数取り付けられている。複数のセラミックス基盤2は、植物4が植栽される凹部3が形成されていると共に、長さ方向に傾斜し、セラミックス基盤2の傾斜方向の下側の端部の下方には、他のセラミックス基盤2の傾斜の上側の端部が位置している。
【選択図】図1
Description
また、特許文献2および3に開示された壁面緑化方法のように、植物を栽培した基盤や基盤を装着したパネルを建物の壁面に取り付ける場合、基盤内の水分が上方から下方に下りて基盤の上部側が乾いてしまい、潅水の頻度が高くメンテナンスに手間がかかることが考えられる。
また、セラミックス基盤は、フレームなどを使用せずに壁面または支柱に直接設置でき、潅水経路を設ける必要がないので、植物を植栽する基盤をフレームなどに取付けて、このフレームなどを壁面に設置し、潅水経路などを備える従来の緑化構造と比べて構成部材を少なくすることができる。これにより緑化構造の施工が容易となり、施工性を高めると共にコストを低減させることができる。
また、セラミックス基盤を傾斜して設置することにより、デザイン性を高めることができる。
本発明では、セラミックス基盤の傾斜方向下側の端部から、セラミックス基盤の下方に位置する他のセラミックス基盤の傾斜方向上側の端部へ水分を導く導水部材が設けられていることにより、上側のセラミックス基盤から排出された水分が下側のセラミックス基盤へ移動しやすく、確実に導かれるので、全てのセラミックス基盤に確実に潅水することができる。
また、導水部材の位置を調整することで下側のセラミックス基盤への給水位置を設定することができる。
本発明では、セラミックス基盤は、水平に対する傾斜角度が、1°以上15°以下であることにより、セラミックス基盤の傾斜方向上側から下側に急激に水分が移動し、セラミックス基盤の傾斜方向上側の保水がきれることがなく、セラミックス基盤全体に均一に水分を行き渡らせることができる。
本発明では、複数のセラミックス基盤は、側面視で縦方向に延びるジグザグ状に配列されている構成することにより、デザイン性に富み、また所定の幅の壁面や支柱間に多くのセラミックス基盤を設置することができる。
図1(a)、(b)に示すように、第一の実施の形態による緑化構造1では、ビルなどの建物の壁面10に、多孔質のセラミックス焼結体からなる帯状のセラミックス基盤2が複数取り付けられ、セラミックス基盤2に形成された凹部3に植物4(図1(a)参照)が植栽されている。セラミックス基盤2は保水性を有していて、雨水や人為的に潅水された水分を保水し、植物4はこの保水された水分をその根から吸収して育成されている。
また、二元構造の気孔を持つセラミックス焼結体は、切断や穴あけ、釘やネジなどの金物の使用も可能であると共に軽量であるので、加工性および施工性に優れている。
第一の板部材5は、第二の板部材6よりも上側に位置していて、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔7が形成されている。この貫通孔7は、第一の板部材5の下側に第二の板部材6が設置されると、第二の板部材6の上面と共に凹部3を構成する。
なお、本実施の形態では、受金具8は、セラミックス基盤2の両端部2a側の2箇所を保持するように設けられているが、セラミックス基盤2が傾斜している状態を保持できれば他の位置に設けられてもよく、2箇所以外の箇所数で保持してもよい。
配列された複数のセラミックス基盤2のうち、上下方向に隣り合う任意の2つのセラミックス基盤2を、上側セラミックス基盤11、下側セラミックス基盤12とすると、上側セラミックス基盤11は、傾斜方向下側の下端部11bが、下側セラミックス基盤12の傾斜方向上側の上端部12aと鉛直方向に重なっている。
導水部材9は、上側セラミックス基盤11の下端部11bから排出された水分を下側セラミックス基盤12へ導く部材である。導水部材9は、上端9aが上側セラミックス基盤11の下端部11bと接し、下端9bが下側セラミックス基盤12の傾斜方向上側の凹部3に挿入されている。
なお、導水部材9の下端9bは、下側セラミックス基盤12の上端部12a側の上面や上面の上方に間をあけて位置していてもよい。また、導水部材9は、上端9aおよび下端9bが上側セラミックス基盤11または下側セラミックス基盤12の内部に挿し込まれていてもよい。
このとき、上側セラミックス基盤11の下端部11bから排出された水分は、導水部材9を伝わって下側セラミックス基盤12へ移動し、下側セラミックス基盤12に吸収される。
このように、一番上に設置されたセラミックス基盤2へ潅水を行うと、下方のセラミックス基盤2へ水分が移動し、複数のセラミックス基盤2が順次潅水されることになる。
なお、下端部12bから排出された水分をタンクなどに収容し、ポンプなどで一番上のセラミックス基盤2へ循環させる機構を構成してもよい。
また、一番上に設置されるセラミックス基盤2の傾斜方向上側の端部2aには、潅水用の給水管14などを設置し、潅水作業時に給水管14から潅水を行う。
まず、図2に示すような凹部3が形成されたセラミックス基盤2を製作する。
そして、図1に示す壁面10に受金具8を固定する。このとき、受金具8に保持されるセラミックス基盤2の傾斜が1°以上15°以下の所定の角度となるように、受金具8の位置を調整する。また、上下方向にセラミックス基盤2がジグザグ上に配列するように受金具8を配置する。
そして、この受金具8上にセラミックス基盤2を載せて位置を合わせる。
また、一番上に位置するセラミックス基盤2の傾斜方向上側の端部2aに給水管14を設置し、一番下に位置するセラミックス基盤2の傾斜方向下側の端部2aの下方には、排水溝13や排水溝につながる排水管などを設ける。なお、既設の排水溝13の位置に合わせてセラミックス基盤2の位置を設定してもよい。
なお、一番下のセラミックス基盤2から排出された水分を一番上のセラミックス基盤2へ循環させる場合には、排水タンクやポンプなどの循環機構を設ける。
このようにして、本実施の形態による緑化構造1が完成する。
本実施の形態による緑化構造1によれば、セラミックス基盤2が保水性を有するため、植物4がセラミックス基盤2に含まれる水分を吸収して育成される。
また、セラミックス基盤2は、二元構造の気孔を持つセラミックス焼結体から形成されているので、従来のセラミックス焼結体よりも保水性が高く、潅水の頻度を少なくすることができる。
これにより、一番上に設置されたセラミックス基盤2に潅水を行うことで、その下方に設置された他のセラミックス基盤2へ順次潅水が行われるので、潅水作業を容易に行うことができる。
また、セラミックス基盤2は、側面から水分を排出する構成であるので、凹部3には側方から水分が流入し、凹部3内の植物4に給水することができる。
また、植物4は、凹部3に配設されているので、位置が安定し風などによってセラミックス基盤2から離れることがない。
また、本実施の形態による緑化構造1は、必ずしも土壌を必要としないので、土壌を使用しない場合は、土壌が飛散してその土壌を回収する必要がなく、雑草などが侵入することを防ぐことができる。
また、セラミックス焼結体から形成されたセラミックス基盤2を使用しているため、可燃物は植物4だけであるので、耐火性が高い。
また、セラミックス基盤2を傾斜させて設置しているので、デザイン性を高めることができる。
図3および図4に示すように、第二の実施の形態による緑化構造21では、パーティションのフレーム22内にセラミックス基盤2が複数配設されている。
フレーム22は、正面視で長方形状に組まれている左右の縦材23および上下の横材24と、上下の横材24の前後に固定され上下方向に延びる複数の補強材(支柱)25とから構成される。ここで、図4の矢印A4の方向を前後方向とする。
フレーム22は、地面または床面に設置された脚部26に支持されている。
図3に示すように、セラミックス基盤2の傾斜方向下側の端部2aには、セラミックス基盤2から排出された水分を受ける水受金物31が設けられている。水受金物31は、セラミックス基盤2の傾斜方向下側の端部2aを覆う箱状に形成されている。
導水パイプ36には、チェーンや紐などの導水部材37が挿入されていて、導水部材37の上端37aは、セラミックス基盤2または水受金物31の底板32または導水パイプ36の内周面に連結されている。また、図3に示すように、導水部材37の下端37bは、下側の他のセラミックス基盤2の凹部3内に挿入されている。
また、第二の実施の形態では、一番下側に設置されたセラミックス基盤2の下側に、このセラミックス基盤2から排出された水を収容する受水層38が設けられており、受水層内の水はポンプ39(図3参照)によって一番上のセラミックス基盤2へ給水される。
例えば、上述した実施の形態では、セラミックス基盤2は、貫通孔7を備える第一の板部材5と第二の板部材とを張り合わせた2層構造で、貫通孔7の内部が凹部3となっているが、2層構造のセラミックス基盤2に代わって、凹部3が形成された単層構造のセラミックス基盤2としてもよい。
また、上述した実施の形態では、セラミックス基盤2は、第一の板部材5と第二の板部材とが1枚ずつ張り合わせされているが、植物4を保持する凹部3が形成されていれば、図5(a)、(b)に示すように、貫通孔7が形成された複数の第一の板部材5Bが、第二の板部材6上に長さ方向A1へ互いに間隔をあけて配設されていてもよい。
また、上述した実施の形態では、複数のセラミックス基盤2が正面視でジグザグ状に配列されているが、図6に示すように、同じ方向に傾斜する複数のセラミックス基盤2が正面視で斜めに連なるように設置されてもよい。またデザインに合わせて、傾斜方向や傾斜角度を設定してもよい。
また、上述した実施の形態では、上側セラミックス基盤11の下端部11bと下側セラミックス基盤12の上端部12aとが鉛直方向に重なっているが、導水部材9によって上側セラミックス基盤11から排出された水分が下側セラミックス基盤12に導かれる構成であれば、上側セラミックス基盤11の下端部11bと下側セラミックス基盤12の上端部12aとは鉛直方向に重ならなくてもよい。
また、上述した第二の実施の形態では、フレーム22内にセラミックス基盤2が設置された緑化パーティションとしているが、立設された支柱やパネル(壁面)などの片側や両側に、複数のセラミックス基盤2を設置する緑化パーティションや緑化フェンスとしてもよい。また、壁面10の両側にセラミックス基盤2を設置してもよい。
2 セラミックス基盤
2a 端部
3 凹部
4 植物
8、27 受金具
9、37 導水部材
10 壁面
11 上側セラミックス基盤
12 下側セラミックス基盤
25 補強材(支柱)
Claims (4)
- 珪藻土およびバイオマスケイク由来のマイクロ気孔と人工的に生成させたミリメートルサイズのトンネル構造孔隙とが相互に連結された二元構造の気孔を持つセラミックス焼結体からなり、帯状に形成されて植物が植栽される複数のセラミックス基盤が、壁面または互いに間隔をあけて配列された複数の支柱間に取り付けられた緑化構造であって、
前記複数のセラミックス基盤は、植物が植栽される凹部が形成されていると共に、長さ方向が水平方向に対して傾斜し、前記セラミックス基盤の傾斜方向下側の端部の下方には、他の前記セラミックス基盤の傾斜方向上側の端部が位置していることを特徴とする緑化構造。 - 前記セラミックス基盤の傾斜方向下側の端部から、前記セラミックス基盤の下方に位置する他のセラミックス基盤の傾斜方向上側の端部へ水分を導く導水部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の緑化構造。
- 前記セラミックス基盤は、水平方向に対する傾斜角度が、1°以上15°以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の緑化構造。
- 前記複数のセラミックス基盤は、側面視で縦方向に延びるジグザグ状に配列されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の緑化構造。
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