JP2002223648A - パイプ型水耕栽培ユニット及びその利用方法 - Google Patents

パイプ型水耕栽培ユニット及びその利用方法

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JP2002223648A
JP2002223648A JP2001062644A JP2001062644A JP2002223648A JP 2002223648 A JP2002223648 A JP 2002223648A JP 2001062644 A JP2001062644 A JP 2001062644A JP 2001062644 A JP2001062644 A JP 2001062644A JP 2002223648 A JP2002223648 A JP 2002223648A
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planting
hydroponic cultivation
unit
water
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Haruo Fujimoto
治生 藤本
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  • Cultivation Of Plants (AREA)
  • Hydroponics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】水、土壌の使用を最小限にとどめ太陽熱、風波
等の自然エネルギーを多面的に利用した多様性、多機能
生に富んだ植物栽培装置及びその方法の提供。 【解決の手段】廃水、液肥等が流れ込みその一部を貯め
るように設計された図1のような植栽パイプを図6,図
7,図8等に示すように接続し植物栽培を行う。また、
図9のように温水を回収したり、図10のようにハウス
的機能と防鳥害対策を持たせ野菜、花器類の栽培を行
う。更に、専ら廃水処理に利用する際は図5の植栽パイ
プ・ジョイントにおいて酸化、脱窒反応や汚泥の引き抜
き下段への移動などを行うことも出来る。図11のよう
な生け垣でこれを行えば家庭排水等の処理機能を持った
生け垣を構成することが出来る。また、内部の液肥が流
出しにくい本発明であれば風波による揺れを植物栽培に
有効に取り込め植物の成長を早めることも可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液肥または廃水を用
いて行う水耕栽培と建造物の緑化、生け垣、太陽熱温水
器等複数の目的を兼ねた植物栽培装置及びその応用分野
に関する物である。
【0002】
【従来の技術】従来の水耕栽培は植物の栽培のみをその
目的とし、本発明の様にパイプ型水耕栽培ユニットによ
り生け垣や屋根、屋上、ベランダ、建造物側壁等の緑化
に応用するようなものはなかった。緑化技術においても
本発明のようなパイプを用いた密閉式の水耕栽培技術は
なかった。
【0003】またハウス内での水耕においてもその植栽
方法はほぼ画一的であり本発明のようにハウス内の熱分
布による効率や作業性により栽培装置その物を上下移動
させる機能等は存在しなかった。
【0004】また、日中、植物栽培用パイプ管内に蓄積
された熱エネルギーを温水という形で回収利用し、熱の
撤去を行うため植栽用パイプの中に別のパイプを入れ温
水を回収する装置などは存在しなかった。
【0005】また、植物を用いた水質浄化法は多数存在
したが本発明のように前記植栽パイプを生け垣状に敷設
し家庭廃水等の処理を平行して行う技術は存在しなかっ
た。
【0006】また、植物の植栽が行われたパイプ型水耕
栽培ユニットに風力、波力その他の自然エネルギーを作
用させ動揺を与え栽培速度を上げる技術もこれまで例を
見なかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】設置及び管理が簡単で
利用法、機能面の双方に於ける多様性、多機能性があ
り、かつ、水資源の使用量を極限まで押さえられる植物
栽培装置及びその応用法の提供である。
【0008】
【課題を解決するための手段】図1に示すような中空且
つ水密構造のパイプ管に給水口を設け液肥となる液体を
流し込む。パイプは通常ほぼ水平に設置し(状況によっ
ては若干の角度を付けてもよい)、流し込む方法は位置
エネルギーによるものでもポンプ等の動力によるもので
も良い。流入した液体は排出口の高さまでパイプ管内部
に保持され、余剰の液体は排水用チューブ5を通りその
ままは排出しても良いし第2,第3の植栽パイプへと移
動させても良い。最終液肥はそのまま排水しても良いが
タンク等に貯めポンプで再循環させることもできる。一
方、パイプ上部には植物を栽培するための栽培穴3が開
けてあり、図3,図4及び図10が示すような土壌保持
方法と植栽方法を用いて野菜、花器類を種子、苗から栽
培する事が出来る。空心采、クレソン、柳のような植物
であれば植栽穴3に苗を直接差し込みその根域が保持し
ている液体に沈む一方、葉の部分が管の外に出るように
する事で液肥による栽培が十分可能となる。
【0009】この様な構造の植栽パイプを図6に示すよ
うに牧柵状に様に組み合わせ生け垣としたり、図7、図
8が示す様に屋根面や建造物の側面に設置し緑化を行っ
たりする事も出来る。ベランダや屋上等も同様の方法で
緑化することが可能である。
【0010】また、植栽パイプのジョイントの部分に図
5の13にあるような装置を付けることによるパイプ内
の液体を任意の深さに貯水し、ここに汚泥を落とし込み
その後汚泥排出用バルブ15を通し引き出すこともでき
る。また、ジョイント底部にエアレーションパイプ等を
差し込みばっきすいることにより液肥全体を好気化する
ことも、逆にばっきしないことにより兼気状態とする事
も出来る。植栽パイプを直列に並べジョイントごとにエ
アレーションを行う好気的ジョイントと行わない兼気的
ジョイントを取り混ぜることにより窒素の硝酸化反応と
脱窒反応の両反応を複数回繰り返すことも出来る。ま
た、ジョイントは生け垣状に植栽パイプを敷設した場
合、植栽用生け垣支柱16内部に組み込むことも出来
る。
【0011】また、図8のように植栽パイプをすだれ状
に吊り下げる方法をハウス内で用いることによりハウス
を立体的に活用することが可能となる。この場合吊り下
げているワイヤーを上下可動式とすることにより作業性
を確保すると同時にハウス内の熱分布に合わせた植栽が
可能となる。
【0012】また、すだれ状に植栽パイプを垂らし風波
等により揺れをある程度許容する構造にすることにより
葉でのガス交換と水中酸素濃度上昇及び液肥中の肥料成
分の攪拌とそれに伴う根との接触機会増加等の効果をも
たらす。
【0013】瓦屋根や屋上などの場所は夏場など50度
以上の高温になる。この様な場所では植栽パイプ内の液
体に多量の熱エネルギーが蓄積されるのが本発明におい
てはこの熱回収と建造物の冷却を促すため植栽パイプ内
に図9に示すように給水管21、温水取り出し管24、
温水保持管22、温水排水バルブ23等からなる簡単な
装置を組み込み水道水等を別途供給し風呂などの温水供
給に利用することもできる。この場合、植栽パイプに断
熱性の高い素材を用い温水の冷却を押さえる事もでき
る。また、温水保持管は図9に示すように植栽パイプ内
部で若干の角度を付けて設置することにより排水速度を
増すこともできる。また、エア抜きパイプ20を用いる
ことにより温水排水バルブ23が閉じた状態で給水する
ことが可能になる。上下の位置関係で複数の植栽パイプ
が用いられている場合このエア抜きパイプは最も下位に
ある植栽パイプに取り付けられ、同エア抜きパイプの最
上部は最も上位の植栽パイプ中温水保持管の最高水面よ
り上にもってくる。
【0014】また、冬季や鳥類の被害が多い地域におい
ては図10に示すような方法で透明ケース25を取り付
け保温性と防鳥対策の両方を行うことが出来る。本発明
においてはペットボトルの底の部分とキャップの上部を
切り取り、ストッキングのような素材の極薄ネットをキ
ャップとペットボトル本体の間に挟みこみキャップを締
めてネットを固定し、これを植栽穴に逆さに突っ込み土
壌材を入れ簡単に作ることが出来た。
【0015】いずれの場合もそうであるが土壌を用いる
場合土壌保持ネットの一部は図10の様に絶えず液肥中
にあり植物に水分と養分の両方を供給するものとしなけ
ればならない。
【0016】植栽パイプ内部の清掃は給水口から水道水
等を流しつつ開閉可能な非常排水口6を開けここからの
汚泥を排出させることもできるし、図2のようにパイプ
両端を外して簡単に水洗することもできる。以上の様に
して構造、設置及び管理が簡単で多機能、且つ多目的な
パイプ型水耕栽培栽培ユニットおよびその応用技術とし
ての方法を提供するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】図1に示すような中空且つ水密構
造のパイプ管(パイプ管断面の形状は任意である。)を
水平に設置して給水用チューブ1を通し液肥となるよう
な液体を送り込む。送水方法は位置エネルギーによるも
のでもポンプ等の動力によるものでも良い。液肥として
流入した液体は流入口の反対側にある排出口の高さまで
パイプ管内部に保持され、それを上回る分は排水口に取
り付けられた排水用チューブ5から排出される。通常は
この排水用チューブを次のパイプの給水口に繋ぎ一部保
水と余剰水排水を繰り返す。最終的にはそのまま排水し
ても良いし排水溜タンク26に貯めポンプで再循環させ
ることもできる。一方、パイプ上部には植物を栽培する
ための穴を開け、図3,4が示すような土壌保持方法を
用いて土壌材等を保持し野菜、花器類を種子から栽培す
る。図4のような下部が若干閉じた形状の土壌保持キャ
ップ9の内側に土壌保持ネット10を取り付け土壌材を
入れ植栽穴3に差し込みネット下部が保持されている液
体に接触するようにセットすることで土壌の乾燥を防ぐ
と共に植物に対する養分の供給を行うことが可能とな
る。
【0018】当然、通常の水耕栽培で用いられているよ
うなロックウール等の素材に種を埋め込んでも植栽穴に
丁度入るようなウレタン片を切断し種を挟み込んでから
重ね合わせ植栽穴に挿入しておくといった方法で発芽さ
せることも可能である。空心采、クレソンのような水性
の植物であれば植栽穴3に苗を直接差し込みその根域が
パイプ内に保持している液体に浸かり葉の部分が管の外
に出るように植栽する事で液肥による栽培が可能であ
る。
【0019】この様な構造の植栽パイプを図6に示すよ
うに植栽用生け垣支柱16により複数本を牧柵状に組み
合わせ給水と排水チューブを直列に接続することにより
水耕栽培による生け垣を構成することが出来る。この場
合、最上段の植栽パイプからの排水を第2段の植栽パイ
プの給水口に接続する方法を用いることで複数の植栽パ
イプを自由に配置することが可能である。また、排水口
と給水口の高さを同じにすれば同一の水平レベルに設置
された植栽パイプへの給水も可能であり生け垣を連続的
に横に延ばすことも出来る(図示せず)。
【0020】一方、図7の様に屋根面に設置し屋根緑化
を行ったりする事も出来るし、屋上であればフェンス下
部に植栽パイプを設置しツル科のアサガオ、豆等をフェ
ンスを支え棒に利用して栽培することもできる。
【0021】また、図8のようにパイプ型水耕栽培ユニ
ットをワイヤー等ですだれ状に連結し、植栽を施し南面
のベランダなどに吊り下げ夏場の日除けに利用したり、
ビルなどであればコンクリートの壁面に沿って固定する
事も出来る。いずれの場合上部固定フック21と下部固
定フック23の両方で固定し風による極度な動揺を抑え
る必要がある。
【0022】しかし、液肥として有機性廃水等を多量に
流す場合などは攪拌による酸素供給とそれにともなう好
気的水処理能力向上や植物の根域への酸素供給の為にも
適度な動揺は必要である。また、適度な動揺は植物の葉
を通して行われるガス交換を活発かしその成長を早める
効果もある。本発明の様な水耕栽培であれば揺れを積極
的に利用することで栽培速度を速めることが出来る。
【0023】瓦屋根や屋上など夏場の気温が50度以上
になるような場所においては植栽パイプ内の液体に熱エ
ネルギーが多量に蓄積され夜間の高温化と植物への弊害
なども考えられる。その対策としての熱回収と建造物の
夜間温度の低下を促すため、植栽パイプ内部に図9に示
すように給水管21、温水排水管24、温水保持管2
2、温水排水バルブ23等からなる簡単な太陽熱温水装
置を組み込み液肥ではなく水道水等を別途供給し風呂な
どへの給水に利用することもできる。
【0024】図9は植栽パイプをハウス内での通常の栽
培に利用した際の使用方法に関するものである。通常ハ
ウス内では様々な野菜が水耕栽培によって作られている
が冬場などは適温を得るためにヒーターを使っている場
合が非常に多い。この場合、栽培される植物の高さは人
間の作業性で決められているが最も熱が蓄積するのはハ
ウスの上部である。この様なことから任意の方法で前記
すだれ状に連結した植栽パイプを上下させる事により熱
エネルギーの効率的な利用を同時に作業性を確保でき
る。
【0025】植栽パイプ内部の清掃は給水口から水道水
等を流し非常排水口6からの汚泥を排出させることもで
きるし、図2が示すようにパイプ両端を外し傾けて汚泥
等の取り出しをすることも出来る。
【0026】水処理装置的な用いで家庭廃水等を流す場
合は流入口から入り植物が多数植栽された植栽パイプの
上段から下段にジグザグに流れる落ちる。各パイプは一
定量の廃水を保持する仕組みになっており新たな廃水が
入った場合その分との混合液が押し出される。この様な
回分式による処理によりパイプの中の廃水は下段に行く
ほど植物の根域、微生物担体を入れた場合は担体に付着
したバクテリアによる分解と植物の根からの養分吸収等
により浄化される。栽培穴にはヘデラ、柳等の植物を直
接挿し木形式で栽培することが出来るが挿し木時期には
夏場を避け、又、植裁パイプ内での蚊の繁殖を押さえる
ため不織布、ロックウールのような物を枝の間に詰める
ことも出来る。
【0027】
【発明の実施例】実験においては図1に示すように上部
に栽培穴3を設けた塩ビ菅を用意し、その両端を市販の
塩ビ製蓋で閉じた。水密性を上げるためシリコーンコー
キング材を若干用いた。そしてこの蓋にホルソーで穴を
開け真鍮性のジョイントをねじ込み、硬質のホースを接
続し図に示すような給水用チューブ1及び排水用チュー
ブ5を形成した。実施例に於いては流入側を流出側より
1cm程高く設置し段差を付けた。これにより流入した
液肥は排出用チューブの高さまで保持されそれ以上の水
量が入った場合は排出用チューブから流れ出る構造とし
た。給水用、及び排出用にはチューブを用いたが規模や
設置場所によってはパイプ管、ホース等を使うこともで
きる。さらに塩ビ管上部に直径30mm程の穴を25c
m間隔で開け、0.5mm厚のプラスティック板を図4
が示すように上の径が下の径より大きくなる様に筒状に
丸め接着剤で固定し土壌保持キャップとした。ナイロン
製の薄手のストッキングを適当な大きさに切り土壌保持
キャップ内部に入れ抜け落ちないように接着剤で固定し
土壌保持ネット10とした。ここに土壌材を入れ植裁パ
イプの栽培穴に差し込み土壌保持ネット内の土壌が植裁
パイプ内の液肥に浸る図3が示すような状態を作り上げ
た。栽培穴の大きさ、及び間隔、プラスティック板(材
質は金属でも他の物でも良い)の厚み等は植栽する植物
により任意に変えることが出来る。以上のようなパイプ
型水耕栽培ユニットを図6のように3本生け垣上に連結
した。この用にして作られたパイプ型水耕栽培ユニット
に米のとぎ汁等の廃水を流し込み土壌保持部分図3の土
壌中に10月上旬、中華野菜の紅菜帯の種を入れたとこ
ろ約1週間ほどで発芽し、1ヶ月で5cmほどの草丈と
なり、土壌保持キャップを引き抜いたところ土壌保持ネ
ットの編み目から出根していることが確認された。前記
栽培穴3にヘデラや柳の枝を数本束ねたものを直接入れ
たところ順調に成長することが確認出来た。種からでな
く苗からの栽培であれば土壌を使わず直接水耕栽培が可
能であることも判明した。また、ペットボトルのキャッ
プの上部とボトルの底部全て、または一部を切り取り、
キャップとボトル本体の間に極薄ネット28を挟んで固
定しこれを植栽穴3に逆さまにして差し込み土壌を入れ
図10の様な構造とすることにより防鳥害と保温の両効
果をもたらすことが出来た。また、春から秋にかけては
湿地を好み害虫の被害が少なく且つ短期間で成長するエ
ンサイ(空心采)などをこの様な栽培法で栽培すれば非
常に良く成長し水質浄化効果がもたらされることが判明
した。以上の様にしてパイプ型水耕栽培ユニットを用い
ての各種植物の栽培が効率よく行えることが実証でき
た。
【0028】前記植栽穴3に直接苗を差し込む方法にお
いてその隙間から蚊が入りボウフラが繁殖したり、液肥
の蒸発、揺れによるこぼれ、あるいは植栽穴の縁の部分
で苗の痛み等の問題に対応するためロックウールや脱脂
綿、不織布その他の緩衝剤を用いることが出来る。
【0029】パイプの断面形状は円形でなくてもよく特
に屋上、ベランダ等に直置きするような場合は三角形と
した方が安定性が計られ当然施工も簡単である。また、
植裁する植物が高温を好むか低温を好むかで植裁パイプ
の色を黒や白とアルベドを考慮したものにする事も出来
る。例えばアルベドが正反対のカバーを被せ季節に応じ
カレンダーをまくるようにワンタッチで変えることも考
えられる。
【0030】植栽パイプの管内には礫、セラミック片、
木炭、貝殻またはそれらをミックスしたものを入れた方
が有機性の廃水などを液肥として用いる場合などには有
効であり、pH調整にも重要であることが判明した。当
然、植物の根部はパイプ管内に繁殖するわけであるから
この様なものを入れる事はパイプ管から外に出ている部
分が大きい植物ほど植物体と植栽パイプへの固着度を高
めると言う物理的意義も持つ。
【0031】以上のようなパイプ栽培型水耕栽培ユニッ
トを図6のように連結すれば水耕栽培による生け垣を構
成でき、本発明ではここに一般家庭排水を流し込んだと
ころ流入口と流出口の水質に大きな違いが見られ本発明
が廃水を処理し、野菜等の栽培が可能であることが判明
した。植裁用生け垣支柱16は垂直に立てても良いが、
受光面積を増やすため斜めにしても良い。
【0032】同様にパイプ型水耕栽培ユニットを図7の
ように屋根上に配置したり、ベランダのフェンス部分
(図示せず)、屋上のコンクリート面(図示せず)に設
置することによる屋根、屋上、ベランダにおいて土壌を
殆ど使用せず、当然その分土壌からの水分の蒸散を押さ
えた緑化・水耕栽培装置となった。
【0033】また、図8のように十分強度のあるワイヤ
ー等ですだれ状に連結し、少なくとも上部と下部の2ヶ
所を固定し屋上等に固定した液肥供給タンク19より給
水チューブを通し液肥を供給することによりビルの側面
の緑化を簡単に行える事も判明した。
【0034】屋上や屋根面などにパイプ型水耕栽培ユニ
ットを設置する場合夏場の温度上昇による植物への悪影
響が考えられる。また、日中パイプ管内の液肥に蓄えら
れた熱が夜まで蓄熱され建造物の高温化を維持すること
も考えられる。この様な問題に対処すると同時に温水を
回収するため図9のように植栽パイプ管内部に温水保持
管22に給水管パイプ21を繋ぎ水道水等を供給する。
温水排水バルブ23を開くことにより温水取水管24を
通し温水が必要なところに供給される。温水を効率よく
取り出すため温水保持管を植栽パイプ内で図9が示すよ
うに若干角度を付ける事も出来る。また、温水を回収後
バルブを閉めた空の状態から新たに水を供給するためエ
ア抜きパイプ20を取り付ける。このエア抜きパイプは
屋根上での設置の場合のように植栽パイプを上下差を設
け直列的につなぐ場合最も下の温水保持管にのみ取り付
け、エア抜きパイプ上部の高さが最上部の植栽パイプ管
内の温水保持管の設定水面より上に来るようにする事に
より全温水保持管に一気に給水を行うことが出来る。屋
上面等の水平な場所に並べる場合は任意の管の任意の場
所に取り付ければよい。
【0035】パイプ型水耕栽培ユニットはハウス内です
だれ状に設置することにより栽培スペースを立体酌に利
用出来る一方、冬季に暖房を行う場合に於いては専らハ
ウス上部に溜まりがちな熱の有効利用も出来る。また、
すだれ状に垂らしたパイプ型水耕栽培ユニットを支える
上部ワイヤーに滑車を用い上下移動を行えるようにする
事により作業性の向上を図る事も出来る。
【0036】パイプ型水耕栽培ユニットを水平に接続す
るに当たり、図5のようなT字型の植裁パイプ・ジョイ
ント(上方から見た角度角度は直線でも良いし、直角で
もよく直角の場合パイプを四角形に設置できる。)の下
部を密閉し排水用バルブ15を取り付けたものを用い、
水深の深くなった部分に送気管を入れエアレーションを
行うことにより水中に酸素を供給したり、逆に行わない
ことにより兼気状態にしたりする事が出来る。つまり酸
化、脱窒の両反応がこの部分で行える。また、廃水を導
入する場合この様な場所には汚泥が溜まりやすく排水用
バルブを通し汚泥回収、下段植裁パイプへの移動などを
行う事も出来る。また、パイプ型水耕栽培ユニットを生
け垣として用いる場合このジョイントを図11が示すよ
うに生け垣の支柱16内部に納める事も出来、こうする
事により外部から見た目では通常の生け垣となり違和感
を無くすことが出来る。
【0037】パイプ型水耕栽培ユニットの液肥代わりに
家庭廃水を供給したところ流入口と流出口では目視に於
いても大きな改善が見られることが判明した。家庭排水
よりBODの低い汚濁河川又は湖沼等の水を液肥代わり
に通し都市周辺の河川の浄化、都市緑化及び食糧生産等
が同時に行える。
【0038】植栽が行われたパイプ型水耕栽培ユニット
を外部に於いて壁等にぶつからないところですだれ状に
吊し上部はしっかり固定するが下部はある程度植栽パイ
プ群が自由に揺れるように自由度を持たせる。植栽パイ
プは風により前後左右に揺れ植栽パイプ内の液肥の撹拌
と液肥への酸素供給、植物の葉周辺でのガス交換を促し
植物の生長を助長することが判明した。栽培穴の部分を
土壌もしくはロックウールのようなもので密閉状態にし
ておけばある程度の揺れであっても液肥の飛散がないこ
とも明らかになった。揺れ発生のメカニズムはモーター
等自然エネルギー以外の物であっても良い。また、この
原理はすべての溶液栽培に用いることが可能であり、そ
の場合、従来のように培養液に酸素を供給するため薄い
溶液をポンプにより循環させるのと同様の効果をもたら
す。
【0039】以上のようなパイプ型水耕栽培ユニットに
供給する液肥は水耕栽培に用いる市販のものでも良いが
植物性廃棄物や鶏糞、油粕を水を貯めたタンク等に入れ
腐敗いさせたものの上澄み液を供給する事も出来る。一
例としてタンクには定期的に枯れ葉、植物性の残飯など
を入れておき雨水などを導き、固形物は沈殿させ上澄み
液をオーバーフローとして給水用パイプにつなぐ構造に
しておくと降雨の度に液肥の供給が計られつつ有機物は
徐々に水中で分解される。降雨がない場合は前記タンク
に水道水等を供給しても良い。この方法によればゴミの
減量と雨水利用の両方の効果がもたらされるもので規模
を拡大すれば現在各地で問題になっている畜産廃棄物で
ある糞尿の処理にも利用できる。その場合、糞尿をその
規模に応じた大きさのタンクに集め牛舎屋根上より集め
た降雨をここに導き液肥化し、牧柵を兼ねた前記パイプ
型水耕栽培ユニットに導き牧草の栽培と糞尿処理の両方
を行うことが可能であり全体として循環型システムを構
築するものである。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば以下のよう効果がもたら
される。 1.生け垣、牧柵に廃水処理と緑化機能を持たせること
が出来、野菜、花器類以外に牧草等も栽培することも可
能となり循環型システムとして利用出来る。 2.本発明を都市部で多用することにより緑化によるヒ
ートアイランド対策となる。 3.実施例のように枯れ葉や植物性の残飯等を液肥作り
に用いての野菜、花器類等の有価物の生産が可能となり
ゴミの減量としての効果がある。 4.屋上緑化として用いる際、土壌を殆ど用いず、水の
節約効果がある。 5.ハウス内で水耕栽培を行う場合スペースと熱分布の
効率的利用と作業性向上としての効果がある。 6.富栄養化河川・湖沼水を導入することによる水質浄
化効果がある。 7.屋根、屋上等に溜まる熱エネルギーから温水回収を
行える。 8.パイプ型水耕栽培ユニットであれば揺れによる植物
成長効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例に於けるパイプ型水耕栽培ユニッ
トの基本構造を示す概念図。
【図2】本発明実施例に於ける植栽パイプの組立構造を
示す概念図。
【図3】本発明実施例に於ける植栽パイプ上部植栽穴で
の栽培状態を示す概念図。
【図4】本発明実施例に於ける植栽に用いる土壌保持キ
ャップの斜視図。
【図5】本発明実施例に於ける酸化、脱窒両反応、汚泥
引き抜き等が出来るバルブの付いた植栽パイプ・ジョイ
ント部の概念図。
【図6】本発明実施例に於ける植栽パイプを生け垣状に
配した状況及び液肥流路を示す概念図。
【図7】本発明実施例に於ける植栽パイプを屋根上に配
した状況及び液肥流路を示す概念図。
【図8】本発明実施例に於ける植栽パイプをすだれ状に
配した状況及び液肥流路を示す概念図。
【図9】本発明実施例に於ける植栽パイプ内に温水保持
管を入れた状況を示す概念図。
【図10】本発明実施例に於ける植栽パイプの栽培穴に
保温及び防鳥害効果のある土壌保持材を用いた状況を示
す概念図。
【図11】本発明実施例に於ける植栽パイプ・ジョイン
トを植栽用生け垣支柱に組み込んだ状況を示す概念図。
【符号の説明】
1 給水用チューブ 2 植栽パイプ 3 栽培穴 4 植物支持体 5 排水用チューブ 6 非常排水口 7 給水側蓋 8 排水側蓋 9 土壌保持キャップ 10 土壌保持ネット 11 土壌材 12 液肥となる液体 13 植栽パイプ・ジョイント 14 汚泥 15 汚泥排水用バルブ 16 植栽用生け垣支柱 17 植栽パイプ固定用ワイヤー 18 液肥経路を示す矢印 19 液肥供給タンク 20 エア抜きパイプ 21 給水管 22 温水保持管 23 温水排水バルブ 24 温水取り出し管 25 透明ケース 26 キャップ外側 27 キャップ内側 28 極薄ネット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A01G 1/00 303 A01G 1/00 303A 31/06 31/00 605

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】図1に示すように上部に栽培穴3を設けた
    パイプ管の両端を閉じ水密構造としその一端に給水用チ
    ューブ1を反対側(設置状況によっては同一端)且つ給
    水管差込口の下(圧送する場合は下でなくても良い)に
    排水用チューブ5を取り付け、給水用チューブより液肥
    となるような液体を連続的または非連続的に流し込みパ
    イプ内に一定量の液体を保持し余剰分を排水用チューブ
    5を経て排出するもので前記栽培穴に直接苗や切り枝を
    差し込んだり図3,図4のような土壌保持方法を用いて
    植物を種子から水耕栽培することが出来るだけでなく図
    10が示すような保温と防鳥害となる器具のアタッチが
    出来る事と特徴とするパイプ型水耕栽培ユニット。
  2. 【請求項2】前記植栽穴3にロックウールにくるんだ種
    子や苗を入れたり、縦に切れ込みを入れたウレタンの隙
    間の部分に種子や苗を入れ水耕栽培を行うことを特徴と
    するパイプ型水耕栽培ユニット。
  3. 【請求項3】請求項1のパイプ管の断面形状に図1に示
    す円形以外の任意形状、色(透明を含む)を用いること
    を特徴とするパイプ型水耕栽培ユニット。
  4. 【請求項4】請求項1及び請求項3のパイプ管内部に
    礫、セラミック片、木炭等またはこれらを混ぜたもの入
    れパイプ内での根の活着状況を強化することを特徴とす
    る前記パイプ型水耕栽培ユニット。
  5. 【請求項5】請求項1のパイプ型水耕栽培ユニットを図
    6のように牧柵状に配置し液肥栽培による生け垣を構成
    する事を特徴とするパイプ型水耕栽培ユニット利用生け
    垣及びその方法。
  6. 【請求項6】請求項1のパイプ型水耕栽培ユニットを図
    7のように屋根上に配置したり、ベランダのフェンス部
    分(図示せず)、屋上のコンクリート面(図示せず)に
    設置することによる屋根、屋上、ベランダで土壌の使用
    を押さえた事を特徴とする水耕栽培兼緑化装置及び方
    法。
  7. 【請求項7】請求項1のパイプ型水耕栽培ユニットを図
    8のようにビル、その他建造物の側面にワイヤー等によ
    りすだれ状に配置し給水、排水チューブを連結し上下を
    固定し、使用出来ることを特徴とする建造物緑化装置及
    びその方法。
  8. 【請求項8】請求項1のパイプ型水耕栽培ユニット管内
    部に図9の22のような温水保持管を入れ、屋根上また
    はコンクリートの屋上、その他蓄熱しやすい場所等に設
    置し、温水を回収し同時に植物体や建物の高温化を防ぐ
    ことを特徴とする太陽熱温水器を兼ねたパイプ型水耕栽
    培ユニットによる温水取得装置及びその方法。
  9. 【請求項9】ハウス内部での水耕栽培において請求項7
    のようにパイプ型水耕栽培ユニットをすだれ状に垂ら
    し、且つ、すだれ全体を上げ下ろしできる構造とするこ
    とによるハウスの立体的利用と作業性の向上を可能とす
    る請求項1のパイプ型水耕栽培ユニット及びその利用
    法。
  10. 【請求項10】パイプ型水耕栽培ユニットを接続するに
    当たり、図5のような植裁パイプ・ジョイント(水平面
    での角度は直角でもよくその場合パイプを四角形にも設
    置できる。)の下部を密閉し汚泥排水用バルブ15を取
    り付けたものを用いこの水深の深くなった部分に空気を
    送り込むための空気管を通しエアレーションを行えると
    同時に汚泥の引き抜きや他の植栽パイプへの移動を行え
    るパイプ型水耕栽培ユニットの利用法であって、図11
    に示すように植栽用生け垣支柱16に組み込んで使用す
    ることもできる事を特徴とするジョイント装置及びその
    使用法。
  11. 【請求項11】各種廃水、富栄養化河川、湖沼水等を専
    ら液肥としてパイプ内に導き、チッ素、リン等を回収後
    排水するを特徴とする水質浄化装置としてのパイプ型水
    耕栽培ユニット。
  12. 【請求項12】植栽が行われたパイプ型水耕栽培ユニッ
    トを任意の手段(風、波等を含む)で揺らすことにより
    植物の根域に於ける酸素と養分の接触機会の増加及び有
    機性廃水投入時に於ける好気的分解を活性化させる一
    方、葉でのガス交換を活発化させ植栽植物の成長を促し
    且つ請求項11に於ける水質浄化効果を高めることを特
    徴とするパイプ型水耕栽培ユニットの設置法。
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