JP2011179964A - イオノグラム電離圏エコーの自動偏波分離、及び自動読取方法 - Google Patents

イオノグラム電離圏エコーの自動偏波分離、及び自動読取方法 Download PDF

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Abstract

【課題】イオノグラム観測データの自動処理を実現する。
【解決手段】画像用曲線抽出アルゴリズムを用いる等してノイズを除去したイオノグラムをOモード点群とXモード点群とに分類するため、それらの点群間の周波数距離及び遅延時間差を推定し、Oモード点群(またはXモード点群)の要素を推定値分移動する。移動先の近くにXモード点群(またはOモード点群)の要素があるかどうかで点群を分類し、分類された点群に、視覚的群化要因に基づく遺伝的アルゴリズムを用いた曲線抽出方法を適用することで、イオノグラムからOモード(またはXモード)電離圏エコーのみを抽出する。
【選択図】図6

Description

本発明はイオノゾンデ電離圏観測機によって取得されるイオノグラム観測データを自動処理するためのイオノグラム電離圏エコーの自動偏波分離、及び自動読取方法に関する。
地球の電離圏の観測にイオノゾンデがよく使われている。イオノゾンデは、図1(a)に示すように、パルス電波を打ち上げてその反射波であるエコーを観測するものである。このイオノゾンデが使用する周波数は、数100kHzから30MHz前後である。その範囲で周波数を連続的に変化させ、周波数ごとのエコーの遅延時間を測定することで、電離圏電子密度の高さプロファイルの概要を得ることができる。
この様なイオノゾンデ電離圏観測機でエコーを受信するまでの遅延時間を周波数ごとにプロットすることによってイオノグラムと呼ばれる観測データが取得される。この観測データは、通常のノイズの他に、放送局からの妨害などを受けて、見づらい画像データとなることが多く、また正常波エコー(Oモードエコー)と異常波エコー(Xモードエコー)が重なり合うことが多く、自動的にデータ処理を行って電離圏電子密度の高さプロファイルを求めることは、これまで困難であった。このため、これまでは、熟練者によって観測データからデータ選択が行われており、自動処理が困難であった。
一般に、電離圏における電波伝搬に伴う電波の屈折率(μ)については、数1のアップルトン・ハートレーの式で与えられることが知られている。
ここで、
M=YT 2/2(1−X)、ただし、
X=(fp/f)2=(e2e/4π2eε0)(1/f)2
Y=fc/f=(eB/2πme)(1/f)
T=Ysinφ、 YL=Ycosφ、で、
φは伝播ベクトルと磁場ベクトルBとの成す角、fpは電子プラズマ周波数、fcは電子サイクロトロン周波数、neはプラズマ電子密度、meは電子の静止質量、ε0は真空の誘電率、eは電荷素量である。
数1は、X→1またはX→(1−Y)に近づくときに、数1の複号が、それぞれ正または負に応じて、μ→0となり、反射が起こることが知られている。X=1のときに反射の起こる周波数(反射周波数)は、プラズマ周波数fpと等しく、このモードは、Oモード(正常波モード:Ordinary mode)と呼ばれる。また、X=1−Yのときの反射周波数は、fp>>fcの場合はプラズマ周波数fpよりほぼ電子サイクロトロン周波数の半分だけ高く、このモードは、Xモード(異常波モード:Extraordinary mode)と呼ばれる。
イオノグラムにはOモード電離圏エコーとXモード電離圏エコーが含まれるため、それぞれを分離し、エコーがどちらのモードに属するかを自動判別することが困難であった。イオノグラムから電子密度の高度分布を得るには、煩雑かつ高度な読取作業を経て、電離圏エコーを抽出する必要がある為、これまで国内においては電離圏電子密度の最大値等、幾つかのパラメータのみが手作業によって読み取られてきた。
従来技術として、非特許文献1には、予め複数のパラメータで構成される電離圏電子密度高度分布モデル関数からOモード及びXモード電離圏エコーを算出し、観測データ(イオノグラム)と最も整合するパラメータを求める、という電離圏エコー自動読取方法が報告されている。しかし、この方法には、表現できる電離圏エコーの形状に制限があり、赤道域で頻繁に見られるF1.5層のように予め設定されたモデル関数から逸脱するような電離圏エコーには対応できないという問題点があった。
また、上記の様に、イオノグラムにはOモードエコーとXモードエコーがあり、自動読取を行う為には、偏波成分を分離する必要がある。非特許文献2には、ハードウェア的に予め偏波分離されたイオノグラムを用いる自動読取技術が報告されている。しかし、これまで蓄積されているイオノグラムは、偏波情報を含まないものが大多数を占める為、データ資源の有効活用の観点から偏波情報を必要としない自動読取技術の方が望ましい。
また、特許文献1には、イオノグラムの1連のデータに関数変換を施し、変換先の相空間において、その1連のデータが直線状に並ぶように、上記の変換関数を決めることで、雑音や他の電波源からの干渉などを排除して物理特性を抽出する方法が開示されている。
また、ノイズを含むイオノグラム観測データから電離圏エコーを抽出する際に、曲線抽出アルゴリズムを利用することができる。例えば、非特許文献3に記載された投票処理による主観的曲線検出方法や、非特許文献4に記載された視覚的群化要因に基づく遺伝的アルゴリズムを用いた曲線抽出方法などである。
ここで、非特許文献3に記載された、投票処理による主観的曲線の検出アルゴリズムとは、以下のものである。
(1)画像を構成する全ての画素に対して、曲線らしさの評価値を累積する為のレジスタを用意する。
(2)始点P0、終点Qに対して、まず、始点P0と終点Q以外の点Pi、点Pjを選ぶ。なお、全点数がNの場合、i、jは、1からN−2までである。
(3)始点P0と点Pi間の距離と、点Piと点Pj間の距離との平均値di(0、j)を求める。
(4)点Piにおいて、始点P0と点Pj間を挟む内角φi(0、j)を求め、
(5)部分曲線P0ij間の曲線らしさEi(0、j)を求める。ただし、ηを平均距離に対する重み係数として、
i(0、j)=1/{di(0、j)+η(π−φi(0、j))}、である。
(6)点Piと点Pjに関する全ての組み合わせについて、Ei(0、j)を求め、最大値となる点Piを、始点P0と線分で連結する点P1として、また、点Pjを、点P1と線分で連結する点P2として、採用する。
(7)始点P0、点P1、点P2以外の点を新たに点Pjとして選ぶ。
(8)部分曲線点P12jに関してE2(1、j)を求め、
(9)E2(1、j)が最大となる場合の点Pjを、点P2の次に連結する点P3とする。
(10)以降、上記と同様に順次連結すべき新たな点Pjを求めていき、点Pjが終点Qと一致した時点で連結処理を完了する。
任意の始点と終点の組み合わせ全てについて、
(11)始点と終点間を、上記(1)から(10)までの処理を行って連結し、得られた曲線の曲線らしさFを評価する。
ここで、
F=1/{D+η(π−Φ)}であり、DとΦは、次のように定義される。
D=Σdi/(N−1) (i=0からN−2まで)、
Φ=ΣΦi/(N−2) (i=1からN−2まで)、ただし、
iは点Piと点Pi+1との距離であり、Φiは点Piにおいて点Pi-1と点Pi+1との成す角である。
(12)上記(10)の処理で得られた曲線の通る上記画素のレジスタに上記(11)で得られた曲線らしさの評価値Fの値を累積する。この累積は、Fの値が、所定の閾値を越える場合のみに限定することで、意味をもたない曲線を除外することもできる。
すべての点対の組み合わせについて、上記(12)の投票処理が完了した時点で、レジスタ値が所定の閾値以上の累積値をもつ画素を抽出する事により主観的な曲線を検出する。
また、非特許文献4に記載された、視覚的群化要因に基づく遺伝的アルゴリズムを用いた曲線抽出方法とは、以下のものである。
(1)まず、ノイズを含む観測データ点数MからN個の点を任意に取り出し、その端点を決定する。
(1a)このためには、ある点Piについて、他の任意の2点Pj、Pkをとり、これらの点間の距離との平均値di(j、k)と、2点PjとPkとなす角φi(j、k)を求める。
(1b)点Piが途中点である評価値を次式で求める。ηを正の定数として、
i(j、k)=1/{di(j、k)+η(π−φi(j、k))}。
(1c)次に、全てのjとkに関して、Ei(j、k)の最大値を求める。
(1d)全ての点Piに関して、上記の最大値を求める。これをEimaxとする。
(1e)Eimax部が最小となる点Piを端点候補点P0とする。
次に、端点候補点P0に対して、
(2)まず、始点P0以外の点Pi、点Pkを選ぶ。
(3)始点P0と点Pi間の距離と、点Piと点Pk間の距離との平均値di(0、k)をとる。
(4)点Piにおいて、始点P0と点Pk間を挟む内角φi(0、k)を求め、
(5)部分曲線P0ik間の曲線の候補点らしさCi(0、k)を求める。ただし、εを正の定数として、
i(0、k)=1/{di(0、k)+ε(π−φi(0、k))}、である。
(6)点Piと点Pkに関する全ての組み合わせについて、Ci(0、k)を求め、最大値となる点Piを、端点候補P0と線分で連結する点P1として、また、点Pkを、点P1と線分で連結する点P2として、採用する。
(7)端点P0、点P1、点P2以外の点を新たに点Pkとして選ぶ。
(8)部分曲線点P12kに関してC2(1、k)を求め、
(9)C2(1、k)が最大となる場合の点Pkを、点P2の次に連結する点P3とする。
(10)以降、上記と同様に順次連結すべき新たな点Pkを求めていき、N個すべての点を順に連結する。
(11)点間距離の平均値Dと内角の平均値Φを次式で求める。
iを点Piと点Pi+1間の距離、φiを点Piにおける内角として、
D=Σdi/(N−1) (i=0からN−2まで)、
Φ=Σφi/(N−2) (i=1からN−2まで)。
(12)個体nの適応度F(n)を、次式によって求める。
D(n)、Φ(n)をそれぞれ個体nが表す曲線に関する平均点間距離と平均内角として、
F(n)=1/{D(n)+ε(π−Φ(n))}。
(13)遺伝的アルゴリズムに特有の世代交代の処理を行う。
集団内の個体数をGとし、存続率をS%とする。つまり、次世代には、GS/100個を選択して存続させる。各世代ごとに、上記(1)から(12)を個体数Gに対して実行する。
(14)次世代に存続を許可した個体の中から、ランダムに所定の個数の親個体を選び、2点交叉によって子供個体を生成する。2点交叉では、上記(10)で始点と終点とを連結したリング状連結について、ランダムな2点でそのリング状連結を切断して分離し、1つの連結となるように結合する。2点交叉を行うと同時に、ある確率で情報の反転(曲線候補点と非候補点の変換)を行う。
(15)以上の手順に従って遺伝的アルゴリズムを適用し、進化の各世代において適応度F(n)が最大となる個体を記録する。この最大適応度が所定の世代に亘って一定値を記録した時点で遺伝的アルゴリズムを完了する。
米国特許公開2008/0143571A1明細書
Scotto, C., "Electron density profile calculation technique for Autoscala ionogram analysis" , Advances in Space Research, 44, 756-766, 2009. Reinisch, B. W., X. Huang, I. A. Galkin, V. Paznukhov, and A. Kozlov, "Recent advances in real-time analysis of ionograms and ionospheric drift measurements with digisondes, Journal of Atmospheric and Solar-Terrestrial Physics" , 67, 1054-1062, 2005. 斉藤文彦,「点間の近接と連続性評価に基づく投票処理による主観的曲線の検出」, 電気学会論文誌(C), 120-C, 1257-1264, 2000. 斉藤文彦,「視覚的群化要因に基づくGAを用いた高速な曲線抽出」, 画像電子学会誌, 28, 405-413, 1999.
イオノゾンデ電離圏観測機によって取得されるイオノグラム観測データの自動処理を実現する。特に、イオノグラムから電離圏電子密度高度分布を得るには、イオノグラム上に現れるOモード電離圏エコーとXモード電離圏エコーとを分離し、そのいずれかのみを抽出する必要がある。本発明は、Oモード、Xモード電離圏エコーの形状類似性を利用した信号候補点のモード分離アルゴリズム、及びXモード点情報を利用した抽出Oモード点の信頼性評価アルゴリズムを、公知の汎用画像用曲線抽出アルゴリズムと組み合わせる事で、イオノグラムからOモード電離圏エコーのみを自動的に読み取ることを実現する。
Oモードの反射周波数をf、同じ高度からのXモードの反射周波数をfXとすると、fXは、数2で表される。
これは、f>>fcのときに、数3のように近似することができる。
これから、fcに比べて充分大きなfの場合は、Oモードによる反射とXモードによる反射は、一定の周波数差で起こり、図2に示す様に、イオノグラムにおける2つのグラフはほぼ一定の周波差となる事が分かる。また、電子サイクロトロン周波数fcが一定のときに、反射周波数fの低下に従ってずれが大きくなることが分かる。
電子サイクロトロン周波数fcは、磁気赤道付近で0.7MHz、南北磁極付近で、1.7MHz程度であることが知られている。従って、例えば5MHz以上の領域では、上記の2つのグラフの周波数軸上の距離は一定であると見なすことができる。
このため、本発明は、イオノゾンデ電離圏観測機によって取得されるイオノグラム観測データについて、
(1)上記観測データをデジタル化するステップと、
(2)雑音や外部電波による干渉を低減するステップと、
(3)Oモード点群とXモード点群との周波数距離及び遅延時間距離を推定するステップと、
(4)上記観測データの任意の点について、推定された上記周波数距離及び遅延時間距離移動し、移動先の所定距離範囲内に上記観測データのいずれかの点があるかどうかで複数の点群に分類するステップと、
(5)その分類された複数の点群から遺伝的アルゴリズムを用いた曲線抽出方法により、上記Oモード点群(または上記Xモード点群)を抽出するステップと、
を順に含む手順で処理する。
また、上記の(2)雑音や外部電波による干渉を低減するステップは、
上記イオノグラム観測データに、窓関数にハニングフィルタを用いた高速フーリエ変換を行ってイオノグラムを生成する操作を含むものである。
また、上記の(2)雑音や外部電波による干渉を低減するステップは、
イオノグラム画像の時間軸に沿う1列分のデータを切り出し、各データの平均値からイオノグラム画像全体の強度の平均値を差し引いた値を、個々のイオノグラム観測データから差し引くことで、任意周波数における筋状ノイズを除去する操作を含むものでもよい。
また、上記の(2)雑音や外部電波による干渉を低減するステップは、
投票処理による主観的曲線の検出アルゴリズムを適用してノイズ点を取り除くものでもよい。
より詳しくは、以下の投票処理による主観的曲線の検出アルゴリズムを用いた曲線抽出方法(以下、方法A)について、イオノゾンデ電離圏観測機によって取得されるイオノグラム観測データ上の点に対して曲線らしさの評価値を累積する為のレジスタを用意した後、始点P0と終点Qを設定して、まず、次の(1)から(9)までの処理を考える。
(1)始点P0、終点Qに対して、まず、始点P0と終点Q以外の点Pi、点Pjを選ぶ。なお全点数がNの場合は、i、jは、1からN−2までである。
(2)始点P0と点Pi間の距離と、点Piと点Pj間の距離との平均値di(0、j)を求める。
(3)点Piにおいて、始点P0と点Pj間を挟む内角φi(0、j)を求め、
(4)部分曲線P0ij間の曲線らしさEi(0、j)を求める。ただし、ηを平均距離に対する重み係数として、
i(0、j)=1/{di(0、j)+η(π−φi(0、j))}、である。
(5)点Piと点Pjに関する全ての組み合わせについて、Ei(0、j)を求め、最大値となる点Piを、始点P0と線分で連結する点P1として、また、点Pjを、点P1と線分で連結する点P2として、採用する。
(6)始点P0、点P1、点P2以外の点を新たに点Pjとして選ぶ。
(7)部分曲線点P12jに関してE2(1、j)を求め、
(8)E2(1、j)が最大となる場合の点Pjを、点P2の次に連結する点P3とする。
(9)以降、上記と同様に順次連結すべき新たな点Pjを求めていき、点Pjが終点Qと一致した時点で連結処理を完了する。
任意の始点と終点の組み合わせ全てについて、
(10)始点と終点間を、上記(1)から(9)までの処理を行って連結し、得られた曲線の曲線らしさFを評価する。
ここで、
F=1/{D+η(π−Φ)}であり、DとΦは、次のように定義される。
D=Σdi/(N−1) (i=0からN−2まで)、
Φ=ΣΦi/(N−2) (i=1からN−2まで)。
ただし、
iは点Piと点Pi+1との距離であり、Φiは点Piにおいて点Pi-1と点Pi+1との成す角である。
(11)上記(9)の処理で得られた曲線の通る上記画素のレジスタに上記(10)で得られた曲線らしさの評価値Fの値を累積する。この累積は、Fの値が、所定の閾値を越える場合のみに限定することで、意味をもたない曲線を除外することもできる。
すべての点対の組み合わせについて、上記(11)の投票処理が完了した時点で、レジスタ値が所定の閾値以上の累積値をもつ画素を抽出する事により雑音や外部電波による干渉を低減する。
上記の(3)Oモード点群とXモード点群との周波数距離及び遅延時間距離を推定するステップは、次のようにしてもよい。
(イ)上記の(2)雑音や外部電波による干渉を低減するステップによって得られる上記観測データを点群Cとするとき、点群Cの全点(f,h)をOモードに属するものと見なし、
(ロ)f及びfcをそれぞれ上記点群Cの任意の点の周波数及び電子サイクロトロン周波数とするとき、
(ハ)全点に対応するXモードの周波数fXを、
2fX=fc+(fc 2+4f21/2
から計算して得られる点(fX,h)で構成される点群Dについて、
点群Dの全点を点群Cと最も相関が高くなるように高さ方向にずらしていき、最も相関が高くなる時の高さ方向シフト量Δhを求め、
(ニ)点群C上の全点(f,h)に対し、
X=h+Δh、
としてhXを求め、
(ホ)点(fx,hx)の近傍に点群Cのいずれかの点(f’,h’)が所定の距離範囲内に見出せる場合は、
点(f’,h’)をXモード点群に分類すると同時に、点(f、h)をOモード点群に分類する。
また、
(ヘ)Δfを、Δf=fX−f、から求め、
Xモード点群に分類された上記の点(f’,h’)を更にΔf、Δhだけシフトさせた点(f’’、h’’)の近傍にも点群Cのいずれかの点が見つかる場合には、上記の点(f’,h’)を、Oモード点群とXモード点群の両方に属する点と見なし、
(ト)また、上記の操作で対応が取れなかった点をOモード点群、Xモード点群の何れとも判断の付かなかった点として分類することで、
イオノグラム電離圏エコーの各データを、Oモード点群、Xモード点群、OモードとXモードが重なった点群、及びOモードともXモードとも判断の付かなかった点群とに分類することができる。
また、上記のように4つに分類された点群のうち、OモードとXモードが重なった点群、及び判断の付かなかった点群については、点の連結において、「周波数的に所定の側にある点と連結する」、つまり「より高(または低)周波数側にある点と連結する」、という制約条件をつけた視覚的群化要因に基づく遺伝的アルゴリズムを用いた曲線抽出方法を適用して、Oモードエコーを抽出すること、並びにノイズ点を取り除くことを特徴とする方法を適用することができる。
より詳しくは、以下のようにする。なお、以下の方法を、点群連結方向制約付きの視覚的群化要因に基づく遺伝的アルゴリズムを用いた曲線抽出方法(以下、方法B)と称する。
(1)まず、ノイズを含む観測データ点数MからN個の点を任意に取り出し、最も低(または高)周波数側の点を始点P0とする。
次に、始点P0に対して、
(2)まず、始点P0以外でより高(または低)周波数側にある点Pi、さらに高(または低)周波数側にある点Pkを選ぶ。
(3)始点P0と点Pi間の距離と、点Piと点Pk間の距離との平均値di(0、k)をとる。
(4)点Piにおいて、始点P0と点Pk間を挟む内角φi(0、k)を求め、
(5)部分曲線P0ik間の曲線の候補点らしさCi(0、k)を求める。ただし、εを正の定数として、
i(0、k)=1/{di(0、k)+ε(π−φi(0、k))}、である。
(6)点Piと点Pkに関する全ての組み合わせについて、Ci(0、k)を求め、最大値となる点Piを、端点候補P0と線分で連結する点P1として、また、点Pkを、点P1と線分で連結する点P2として、採用する。
(7)端点P0、点P1、点P2以外のより高(または低)周波数側にある点を新たに点Pkとして選ぶ。
(8)部分曲線点P12kに関してC2(1、k)を求め、
(9)C2(1、k)が最大となる場合の点Pkを、点P2の次に連結する点P3とする。
(10)以降、上記と同様に順次連結すべき新たな点でより高(または低)周波数側にあるPkを求めていき、N個すべての点を順に連結する。
(11)点間距離の平均値Dと内角の平均値Φを次式で求める。
iを点Piと点Pi+1間の距離、φiを点Piにおける内角として、
D=Σdi/(N−1) (i=0からN−2まで)、
Φ=ΣΦi/(N−2) (i=1からN−2まで)。
(12)個体nの適応度F(n)を、次式によって求める。
D(n)、Φ(n)をそれぞれ個体nが表す曲線に関する平均点間距離と平均内角として、
F(n)=1/{D(n)+ε(π−Φ(n))}。
(13)遺伝的アルゴリズムに特有の世代交代の処理を行う。
集団内の個体数をGとし、存続率をS%とする。つまり、次世代には、GS/100個を選択して存続させる。各世代ごとに、上記(1)から(12)を個体数Gに対して実行する。
(14)次世代に存続を許可した個体の中から、ランダムに所定の個数の親個体を選び、2点交叉によって子供個体を生成する。2点交叉では、上記(10)で始点と終点とを連結したリング状連結について、ランダムな2点でそのリング状連結を切断して分離し、1つの連結となるように結合する。2点交叉を行うと同時に、ある確率で情報の反転(曲線候補点と非候補点の変換)を行う。
(15)以上の手順に従って遺伝的アルゴリズムを適用し、進化の各世代において適応度F(n)が最大となる個体を記録する。この最大適応度が所定の世代に亘って一定値を記録した時点で遺伝的アルゴリズムを完了する。
上記の方法を適用して得られたOモード点群(またはXモード点群)に対して、
点の連結においては、「周波数的に所定の側にある点と連結する」、つまり「より高(または低)周波数側にある点と連結する」、という制約条件をつけた遺伝的アルゴリズムを用いた曲線抽出方法を適用する事により、ノイズ点を取り除くことが望ましい。つまり、上記の方法を適用して得られたOモード点群(またはXモード点群)に対して上記方法Bを適用する。
イオノグラムから電離圏の高度分布情報を得るには、ノイズ点を含むイオノグラムから煩雑かつ高度な読取作業を行い電離圏エコーを抽出する必要がある為、これまで電離圏電子密度の最大値等、幾つかのパラメータのみが手作業によって読み取られてきた。しかしながら本発明のデータ処理アルゴリズムを用いれば、人の手を離れた自動読取が可能となり、客観的な電離圏電子密度の高度分布を連続、かつリアルタイムで取得する事が可能となる。本発明によって得られるデータは、超高層大気物理研究分野、及びGPS信号等の電離圏遅延補正の用途に利用できると考えられる。
地球の電離圏の観測によく使われるイオノゾンデは、パルス電波を打ち上げてその反射波であるエコーを観測するものであることを示す図である。 Oモードによる反射とXモードによる反射は、一定の周波数差で起こり、イオノグラムにおける2つのグラフはほぼ一定の周波数を介して並行するものであることを示す図である。 (a)は、電離圏観測装置の観測データにFFT(高速フーリエ変換)処理を施したイオノグラムを、(b)は、イオノグラム画像全体の強度を2乗し、それを256階調に再配分することにより、エコートレースに対するノイズレベルを全体的に更に下げたイオノグラムを示す図である。 本発明を実現するためのアルゴリズムに沿ったデータ処理の途中経過を示す図であり、(c):ノイズを除去した後のイオノグラム、(d):(c)をOモードデータとして、それからXモードデータを計算した図(w):(c)と(d)を周波数方向は一致させ、両図の相関が最も高くなるように遅延時間方向(高さ方向)にずらして重ねた図、(e):Oモードエコーと判別された点、Xモードエコーと判別された点、OモードエコーとXモードエコーが重なっていると判別された点、Oモード及びXモード電離圏エコーの何れとも判断のつかない点を分離した結果、(f)点群連結方向制約条件付きの遺伝的アルゴリズムを用いた曲線抽出方法を適用し、Oモードエコーのみ抽出した結果、(g)(f)に対して遺伝的アルゴリズムを用いた曲線抽出方法を再適用して得られた最終出力結果、を示す。 本発明のアルゴリズムにより自動抽出されたOモード電離圏エコーを、未加工のイオノグラムに重ねて表示した図である。 本発明の自動読取アルゴリズムを用いたイオノグラム処理の流れを示す図である。
本発明のイオノグラム電離圏エコーの自動偏波分離、及び自動読取方法の手順を、以下に説明する。ここでは、よく知られたイオノゾンデ電離圏観測機を用いてイオノグラム電離圏エコーデータを取得する。また、以下に示すデータ処理は、コンピュータを用いて、プログラム処理することを、想定している。
[1] 電離圏観測装置の観測データから、FFT(高速フーリエ変換)を用いてイオノグラムを生成する際に、適切な窓関数の使用及び画像処理によって、ノイズ除去を行う。
[2] ノイズ除去後のイオノグラムをデジタル値化し、信号処理によって細線化し、画像処理によって電離圏エコー候補点のみを導出する。ここで、非特許文献3に記載された投票処理による主観的曲線の検出アルゴリズムを適用してもよい。
[3] Oモード及びXモード電離圏エコーの周波数関係、及び形状類似性を利用し、電離圏エコー候補点を
(a)Oモードエコーの点、
(b)Xモードエコーの点、
(c)O、Xモードエコーの重なった点、及び
(d)O、Xモードエコーの何れとも判断のつかない点、
の4種類に分類する。
[4] (a)に分類された点、及び(c)、(d)点の中から任意に選択した点から成る候補点群を連結して得られる曲線について、視覚的な曲線らしさの評価、及びOモード電離圏エコーらしさの評価を(b)の点を利用しながら行う。この際、候補点群は必ず最も低周波数の点を出発点として、低周波数側から高周波数側へ向かって連結されるという制約を課すことで、公知の汎用点連結アルゴリズムをそのまま適用する場合に生じる恐れのある電離圏エコーとして不適切な連結の防止、並びに大幅な高速化を図っている。(c)、及び(d)に分類された点の多数の選び方の中から、最高評価値を持つ選び方を探し出し、その場合に(c)、(d)から選択されていた点と、(a)、及びそれらの点を結んだ直線状に存在する(c)に分類された点を過程[5]へ渡す。
[5] 過程[3]において、誤ってOモードエコーの点と判断された可能性のある点が最終候補点として出力されるケースを防ぐ為、上記の方法で残された候補点について、曲線らしさのみに基づき各候補点を再評価し、最終候補点として出力する。
本発明は、以下の3つのサブアルゴリズムから構成される。
<1> 低S/N比イオノグラムデータから信号成分を抽出するノイズ除去アルゴリズム、
<2> ノイズ除去後のイオノグラムから正常波(Oモード)と異常波(Xモード)を分離する偏波分離アルゴリズム、及び
<3> 偏波分離されたイオノグラムからOモード電離圏エコーを構成するアルゴリズム、
各アルゴリズムの原理は以下の通りである。
<1>ノイズ除去アルゴリズム
電離圏観測装置の観測生データからイオノグラムを生成する際に、以下の3段階の手順でノイズを除去する。
1A: 電離圏観測装置の観測データにFFT処理を施しイオノグラムを生成する際に、元データにハニングフィルタを掛けることにより、エコートレースに対するノイズレベルを全体的に下げる。
1B: 生成されたイオノグラム(図3(a)の点群A)には、エコートレースの他に放送電波等による縦筋ノイズが多数重なっている。イオノグラム画像の縦1列分のデータIonogram(i,j)を切り出し、その強度の平均値をMean(i)、イオノグラム画像全体の強度の平均値をMeanallとして、数4による処理を行うことにより、縦筋ノイズを除去する。
1C: 更に、イオノグラム画像全体の強度を2乗し、それを256階調に再配分することにより、エコートレースに対するノイズレベルを全体的に更に下げ、図3(b)の点群Bを得る。
次に、点群Bに対して二値化/細線化を施す。細線化を施した後、非特許文献3に記載の投票処理による主観的曲線の検出アルゴリズムを適用し、処理<1>ノイズ除去アルゴリズムで取り除けずに残されたノイズを除去し、図4(c)の点群Cを得る。
つまり、二値化/細線化を施された点群Bに対して上記方法Aを適用する。
<2>偏波分離アルゴリズム
上記処理<1>ノイズ除去アルゴリズムを経た点群Cには、若干のノイズ、Oモード電離圏エコー、及びXモード電離圏エコーの点が含まれている。この点群CについてOモードとXモードの周波数関係、及び形状類似性を利用し、電離圏エコーの偏波成分の分離を行う。
始めに、点群Cを構成する全点(f,h)をOモードと見なし、全点に対応するXモードの周波数を数5から計算する。
ここで、f、fX、及びfcはそれぞれ点群Cを構成する任意の点の周波数、周波数fの点に対応するXモード周波数、及び電子サイクロトロン周波数である。なお、上記の計算をする場合、fcは、イオノグラム上の見かけの高さを利用し、ダイポール磁場モデルから算出する。この計算で得られる点群(fX,h)は、fXからfを引いた差分量Δfだけ点群Cを周波数軸方向にずらしたものである。
なお、Δfはfの関数である事に注意を要する。この計算された点(fX,h)で構成される点群を図4(d)の点群Dとする。次に、図4(w)に示すように、点群Dの全点を点群Cと最も相関が高くなるように高さ方向にずらしていき、最も相関が高くなる時の上方向シフト量Δhを求める。ここで、Δhは点群Dの全点について一定の値である。以上の過程から点群Cの全点に対するΔf、Δhが一意に定まる。次に、点群C上の全点(f,h)に対し、低周波数の点から順に以下の式で定義される点(fX,hX)を計算する。
点群Cを構成する任意の点(f,h)がOモード電離圏エコーであるならば、その点に対応する点(fx,hx)の近傍に別の点群Cの点(f’,h’)が存在するはずである。このようにして対応がとれた場合、点(f,h)を(a)Oモード電離圏エコー、点(f’,h’)を(b)Xモード電離圏エコーと見なす。
なお、Xモード電離圏エコー(b)と見なされた点(f’,h’)を更にΔf、Δhだけシフトさせた点(f’’、h’’)の近傍にも対応する点群Cの点が見つかる場合がある。その場合は(b)と見なされた点(f’,h’)を、(c)Oモード、Xモードの重なった点と見なす。また、対応が取れなかった点は(d)Oモード、Xモードの何れとも判断の付かない点とする。
以上の過程を経て点群Cを構成する全点を
(a)Oモード電離圏エコーの点、
(b)Xモード電離圏エコーの点、
(c)Oモード、Xモード電離圏エコーの重なった点、及び
(d)Oモード、Xモード電離圏エコーの何れとも判断の付かない点
の4種類に分類する(図4(e)の点群E)。
なお、ノイズ点同士でO、Xモードの対応が取れてしまうことにより、ノイズ点が上記(a)、(b)に含まれてしまう場合、及びOモード電離圏エコーとXモード電離圏エコーの重なる領域近傍において誤った分類をしてしまう場合があるが、そのような不適切に分類された点は、次の処理<3>Oモード電離圏エコー構成アルゴリズムの最終過程で取り除かれる。
<3>Oモード電離圏エコー構成アルゴリズム
処理<2>において、上記(d)と分類された点の中に信号欠落等の理由によりXモード電離圏エコーと対応の取れなかったOモード電離圏エコーが含まれている可能性がある為、上記(c)及び(d)と分類された点から更にOモード電離圏エコーを取り出す必要がある。
この分類を行う為、様々な上記(c)の点、及び上記(d)の点の選び方に対して、曲線らしさFを評価する評価A、及び下記の評価Bを行い、評価値の合計が最も高くなる場合に選択されていた点をOモード電離圏エコーの点(e)と見なし、上記(a)、(e)、の点、及びそれらの点を結んだ直線状に存在する上記(c)に分類された点を図4(f)の点群Fとする。
まず、上記(c)及び(d)に分類された点の中から任意に選択した点に上記(a)に分類された点を加えた点群を連結して得られる曲線について、視覚的な曲線らしさFを評価する(上記評価A)。この評価には、非特許文献4に記載の視覚的群化要因に基づく遺伝的アルゴリズムを用いた曲線抽出方法における視覚的な曲線らしさを適用する。
ここでイオノグラム上の電離圏エコー曲線は、必ず、例えば低周波数側から高周波数側への一方向に向かうのに対し、非特許文献4に記載の上記アルゴリズムをそのまま適用した場合、高周波数側から低周波数側へ逆戻りして向かうような電離圏エコーとして不適切な曲線を抽出する恐れがあり、更に視覚的に明らかにXモード電離圏エコーと分類されるべき上記(d)の点をOモード電離圏エコー候補として選択してしまう恐れがある。
そこで、非特許文献4に記載の視覚的群化要因に基づく遺伝的アルゴリズムを用いた曲線抽出方法に、「低(あるいは高)周波数側から高(あるいは低)周波数側へ点を連結する」という制約条件を課すと同時に、評価Bとして、上記(b)と分類された点群と、Oモード電離圏エコー候補曲線をΔf、Δhだけずらして得られるXモード電離圏エコー候補曲線と、の相関係数の大小によってOモード電離圏エコーらしさを評価する。
ここで用いられる視覚的群化要因に基づく遺伝的アルゴリズムを用いた曲線抽出方法は、上記方法Bである。
このように制約条件と上記評価Bを、非特許文献4に記載の上記アルゴリズムに組み込む事により、高周波数側から低周波数側へ向かうような電離圏エコーとして不適切な曲線抽出してしまう可能性、並びに視覚的に明らかにXモード電離圏エコーと分類されるべき上記(d)中の点をOモード電離圏エコー候補点として出力してしまう可能性を排除することができる。
また、この組込の実行により、候補点連結の順序の組み合わせ数が削減され、計算時間も大幅に短縮される。
最後に点群Fに対し、上記評価Aのみを上記方法Bを適用しながら再度行い、処理<2>の過程で上記(a)、(e)に含まれてしまった恐れのあるノイズ点、及び偏波分離アルゴリズムによって不適切に分類された点を取り除き、最終出力(図4(g)の点群G)を得る。
上記、<2>偏波分離アルゴリズム、において、点群Cを構成する全点(f,h)をOモードと見なし、全点に対応するXモードの周波数を計算した。これとは逆に、点群Cを構成する全点(f,h)をXモードと見なし、全点に対応するOモードの周波数を計算することによっても、上記と同様な処理を行うことができることは明らかである。
図3から図5に本発明の自動読取アルゴリズムを用いたイオノグラム処理の具体例を示す。また、図6に処理の流れを示す。図3(a)は、赤道域のコトタバン/インドネシアにおいて取得されたF1.5層電離圏エコーを含むイオノグラムであり、図6のステップF1に当たる。各図右下に示した図3(a)の点群Aから図4(f)の点群Fの表記は上記<1>から<3>で述べた各点群に対応している。自動処理は図6のステップF1からF6の順に進み、その途中結果が図3(a)、図3(b)、図4(c)、図4(e)、図4(f)、図4(g)に相当する。図6のF3からF6、また図4の(c)から(g)及び(w)は、偏波分離アルゴリズム及び偏波分離されたイオノグラムからOモード電離圏エコーを構成するアルゴリズムに相当する部分を表している。図5(h)は本発明のアルゴリズムにより自動抽出されたOモード電離圏エコー(図4の(g))を、未加工のイオノグラム(図3の(a))に重ねて表示した図である。
本発明は、1つのグラフの中に互いに相関のある2つの曲線が含まれる事象の観測データにおけるノイズ除去アルゴリズムとして適用できることは明らかである。また、3以上の複数の互いに相関のある曲線が含まれる場合にも、任意の2つを選択することによって、順次本発明を適用することは容易であり、結局、この場合にも本発明を拡張することは容易である。

Claims (7)

  1. イオノゾンデ電離圏観測機によって取得されるイオノグラム観測データについて、
    (1)上記観測データをデジタル化するステップと、
    (2)雑音や外部電波による干渉を低減するステップと、
    (3)Oモード点群とXモード点群との周波数距離及び遅延時間距離を推定するステップと、
    (4)上記観測データの任意の点について、推定された上記周波数距離及び遅延時間距離移動し、移動先の所定距離範囲内に上記観測データのいずれかの点があるかどうかで複数の点群に分類するステップと、
    (5)その分類された複数の点群から遺伝的アルゴリズムを用いた曲線抽出方法により、上記Oモード点群(または上記Xモード点群)を抽出するステップと、
    を順に含むことを特徴とするイオノグラム電離圏エコーの自動偏波分離及び自動読取方法。
  2. 上記の(2)雑音や外部電波による干渉を低減するステップは、
    上記イオノグラム観測データに、窓関数にハニングフィルタを用いた高速フーリエ変換を行ってイオノグラムを生成する操作を含むことを特徴とする請求項1に記載のイオノグラム電離圏エコーの自動偏波分離及び自動読取方法。
  3. 上記の(2)雑音や外部電波による干渉を低減するステップは、
    イオノグラム画像の時間軸に沿う1列分のデータを切り出し、各データの平均値からイオノグラム画像全体の強度の平均値を差し引いた値を、個々のイオノグラム観測データから差し引くことで、任意周波数における筋状ノイズを除去する操作を含むことを特徴とする請求項1あるいは2のいずれか1つに記載のイオノグラム電離圏エコーの自動偏波分離及び自動読取方法。
  4. 上記の(2)雑音や外部電波による干渉を低減するステップは、
    投票処理による主観的曲線の検出アルゴリズムを適用してノイズ点を取り除くことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載のイオノグラム電離圏エコーの自動偏波分離及び自動読取方法。
  5. 上記の(3)Oモード点群とXモード点群との周波数距離及び遅延時間距離を推定するステップは、
    (イ)上記の(2)雑音や外部電波による干渉を低減するステップによって得られる上記観測データを点群Cとするとき、点群Cの全点(f,h)をOモードに属するものと見なし、
    (ロ)f及びfcをそれぞれ上記点群Cの任意の点の周波数及び電子サイクロトロン周波数とするとき、
    上記点群Cの任意の点の周波数fに対する数8の変換で得られる点(fx,h)で構成される点群Dに対し、
    (ハ)点群Dと点群Cとを高さh方向にずらして、最も相関が高くなる時の高さh方向シフト量Δhを求め、
    (ニ)点群Cの任意の点(f,h)に対し、数9からhxを求め、
    (ホ)点(fx,hx)の近傍に点群Cのいずれかの点(f’,h’)を所定の距離範囲内に見出せる場合は、点(f’,h’)をXモード点群に分類すると同時に、点(f,h)をOモード点群に分類し、
    (ヘ)数10からΔfを求め、
    Xモード点群に分類された上記点群Cの点(f’,h’)を更にΔf、Δhだけシフトさせた点(f’’、h’’)の近傍にも点群Cの点が見つかる場合には、上記の点(f’,h’)を、Oモード点群とXモード点群の両方に属する点と見なし、
    (ト)また、上記の操作で対応が取れなかった点をOモード点群、Xモード点群の何れとも判断の付かなかった点として分類する操作を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載のイオノグラム電離圏エコーの自動偏波分離及び自動読取方法。
  6. 上記(4)のステップにより分類された点群に対し、曲線らしさの評価にXモード点群(またはOモード点群)を利用する点群連結方向制約付きの視覚的群化要因に基づく遺伝的アルゴリズムを用いた曲線抽出方法を適用し、Oモード点群(またはXモード点群)を抽出すると同時にノイズ点を取り除くことを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載のイオノグラム電離圏エコーの自動偏波分離及び自動読取方法。
  7. 請求項1から6のいずれか1つに記載のイオノグラム電離圏エコーの自動偏波分離及び自動読取方法を適用して抽出されたOモード点群(またはXモード点群)に対して、
    点群連結方向制約付きの視覚的群化要因に基づく遺伝的アルゴリズムを用いた曲線抽出方法を適用することにより、ノイズ点を取り除く事を特徴とするイオノグラム電離圏エコーの自動偏波分離及び自動読取方法。
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