JP2011178951A - 発泡ポリウレタンおよびその製造方法、ならびに発泡ポリウレタンで構成された自動車用防振部材 - Google Patents

発泡ポリウレタンおよびその製造方法、ならびに発泡ポリウレタンで構成された自動車用防振部材 Download PDF

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Abstract

【課題】耐加水分解性を有し、かつ防振性能および耐ヘタリ性が向上した発泡ポリウレタンおよびその製造方法、ならびに該発泡ポリウレタンで構成された自動車用防振部材を提供すること。
【解決手段】ポリオール組成物とイソシアネート成分とを混合、反応させて得られる発泡ポリウレタンにおいて、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリアクリロニトリル系粒子を含有するポリオール組成物を使用する。好ましくは、ポリオール全量を100重量%としたとき、(ポリテトラメチレングリコールの重量%):(ポリプロピレングリコールの重量%)=80:20〜20:80とし、かつ発泡ポリウレタンの総重量を100重量%としたとき、ポリアクリロニトリル系粒子を5〜17重量%含有するものとする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐加水分解性を有し、かつ防振性能および耐ヘタリ性が向上した発泡ポリウレタンおよびその製造方法、ならびに該発泡ポリウレタンで構成された自動車用防振部材に関する。
例えば、自動車のサスペンションにおいては、車体と車輪との間に生ずる変位量を弾性的に規制するために、弾性体で構成されたマウント部材を備えたマウント装置が配設されており、かかる弾性体としてはゴムが一般的に使用されている。しかし、近年においては、マウント装置の軽量化や、マウント部材が圧縮変形する際に発生する異音防止などの観点から、かかる弾性体として発泡ポリウレタンが使用される傾向がある。
一般的に発泡ポリウレタンは、ポリエステル系ポリオールと、ポリイソシアネートと、発泡剤と、を含有する組成物を原料とし、発泡・硬化させることにより得られる。しかし、ポリエステル系ポリオールを必須成分として合成された発泡ポリウレタンをマウント部材として使用した場合、走行時などにおける水の付着や、空気中の水分の影響で、発泡ポリウレタンが経時的に加水分解を受ける傾向があり、結果として発泡ポリウレタンの弾性的な特性が悪化する、さらには破損する傾向があった。したがって、自動車用防振部材として好適に使用可能であって、耐加水分解性を有し、かつ防振性能および耐ヘタリ性が向上した発泡ポリウレタンを製造することは困難である。
下記特許文献1では、発泡ウレタンとして、ポリエステル系ポリオールと、ポリイソシアネートと、発泡剤と、に加えて、フッ素系撥水剤を必須成分とする発泡性組成物を発泡・硬化させて得られた発泡ポリウレタンが記載されている。この発泡ポリウレタンは、必須成分としてフッ素系撥水剤を使用する点が最大の特徴であり、このような構成により、かかる特許文献1に記載の発明では、発泡ポリウレタンの耐加水分解性を向上することを目的としている。しかしながら、かかる特許文献1に記載の発泡ウレタンは、ポリエステル系ポリオールを必須成分とすることから、依然として加水分解を受け易かった。
なお、下記特許文献2では、ポリプロピレングリコールとポリマー粒子とを含有するポリマーポリオール組成物を原料として製造された発泡ポリウレタンエラストマーが記載されている。しかしながら、この発泡ポリウレンエラストマーは低反発弾性を有する点が特徴であり、耐加水分解性、防振性能および耐ヘタリ性の全てを兼ね備えるものではない。
また、下記特許文献3〜5では、ポリプロピレングリコールとポリマー粒子とを含有するポリマーポリオール組成物を原料として製造されたポリウレタンフォームが記載されている。しかしながら、これらのポリウレタンフォームは軟質フォームであって、主としてクッション材料として使用されるものであるため、やはり耐加水分解性、防振性能および耐ヘタリ性の全てを兼ね備えるものではない。
特開2004−293697号公報 特開2003−119236号公報 特開平8−239445号公報 特開2002−308920号公報 特開2004−263192号公報
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐加水分解性を有し、かつ防振性能および耐ヘタリ性が向上した発泡ポリウレタンおよびその製造方法、ならびに該発泡ポリウレタンで構成された自動車用防振部材を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下に示す発泡ポリウレタンにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明に係る発泡ポリウレタンは、ポリオール組成物とイソシアネート成分とを混合、反応させて得られる発泡ポリウレタンであって、前記ポリオール組成物が、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリアクリロニトリル系粒子を含有することを特徴とする。かかるポリオール組成物から得られた発泡ポリウレタンは、ポリエステル系ポリオールを含有しないため、優れた耐加水分解性を有する。
一方、ポリオール組成物が、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリアクリロニトリル系粒子のいずれかでも含有しない場合、防振性能および耐ヘタリ性の少なくとも1つの特性が悪化する。具体的には、ポリオール組成物が、ポリテトラメチレングリコールを含有しない場合、発泡ポリウレタンの圧縮永久歪が増大し、耐ヘタリ性が悪化する。また、ポリオール組成物が、ポリプロピレングリコールを含有しない場合、発泡ポリウレタンの耐ヘタリ性に加えて防振性能が悪化する。さらに、ポリオール組成物が、ポリアクリロニトリル系粒子を含有しない場合、発泡ポリウレタンの防振性能が悪化する。したがって、本発明においては、発泡ポリウレタンの原料となるポリオール組成物中、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリアクリロニトリル系粒子を必須の構成として含有することが肝要である。
上記発泡ポリウレタンにおいて、ポリオール全量を100重量%としたとき、(前記ポリテトラメチレングリコールの重量%):(前記ポリプロピレングリコールの重量%)=80:20〜20:80であり、かつ前記発泡ポリウレタンの総重量を100重量%としたとき、前記ポリアクリロニトリル系粒子を5〜17重量%含有することが好ましい。ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリアクリロニトリル系粒子の含有量をこれらの範囲内に設定することで、防振性能および耐ヘタリ性を特にバランス良く向上することができる。
本発明に係る自動車用防振部材は、上記記載の発泡ポリウレタンで構成されたものであるため、耐加水分解性を有し、かつ防振性能および耐ヘタリ性に優れる。
また、本発明に係る発泡ポリウレタンの製造方法は、ポリオール組成物とイソシアネート成分とを含有する気泡分散ウレタン組成物を機械発泡法により調整する発泡工程を含む発泡ポリウレタンエラストマーの製造方法であって、前記ポリオール組成物が、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリアクリロニトリル系粒子を含有することを特徴とする。かかる製造方法によれば、微細かつ均一な発泡状態を有する発泡ポリウレタンを製造することができる。その結果、耐加水分解性を有し、かつ防振性能および耐ヘタリ性が特にバランス良く向上した発泡ポリウレタンを製造することができる。加水分解に伴う発泡ポリウレタンの物性低下に起因した、防振性能および耐ヘタリ性の悪化を防止するためには、発泡剤としての水を含有しないポリオール組成物を使用することが好ましい。
本発明に係る発泡ポリウレタンは、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリアクリロニトリル系粒子を含有するポリオール組成物とイソシアネート成分とを混合、反応させて得られる。
ポリテトラメチレングリコールは、一般にテトラヒドロフランの開環重合により得られる。本発明においては、数平均分子量(Mn)が1000〜3000であるポリテトラメチレングリコールの使用が好適である。ポリテトラメチレングリコールのMnが1000未満であると、得られる発泡ポリウレタンの脆さが増大し、圧縮永久歪が大きくなり、その結果発泡ポリウレタンの耐ヘタリ性が悪化する場合がある。また、ポリテトラメチレングリコールのMnが3000を超えると、ポリオール組成物の粘度上昇および結晶性増大に起因して、ポリオール組成物とイソシアネート成分との撹拌性が悪化する場合がある。発泡ポリウレタンの耐ヘタリ性と、ポリオール組成物とイソシアネート成分との撹拌性と、を考慮した場合、ポリテトラメチレングリコールのMnは1000〜2000がより好ましい。なお、ポリテトラメチレングリコールは、ポリオール組成物中に配合されても良く、あるいは予めイソシアネート成分と反応させて得られるイソシアネート末端プレポリマーとして配合されても良い。
ポリプロピレングリコールは、一般にプロピレンオキシドの開環重合により得られる。本発明においては、数平均分子量(Mn)が3000〜5000であるポリプロピレングリコールの使用が好適である。ポリプロピレングリコールのMnが3000未満であると、得られる発泡ポリウレタンの脆さが増大し、圧縮永久歪が大きくなり、その結果発泡ポリウレタンの耐ヘタリ性が悪化する場合がある。また、ポリプロピレングリコールのMnが5000を超えると、ポリオール組成物の粘度上昇に起因して、ポリオール組成物とイソシアネート成分との撹拌性が悪化する場合がある。また、ポリプロピレングリコールの平均官能基数は、2.5〜3.5であることが好ましく、3であることが特に好ましい。ポリプロピレングリコールの平均官能基数が少ない(特に2以下である)と、得られる発泡ポリウレタンの脆さが増大し、圧縮永久歪が大きくなり、その結果発泡ポリウレタンの耐ヘタリ性が悪化する場合がある。一方、ポリプロピレングリコールの平均官能基数が多い(特に4以上である)と、ポリオール組成物の粘度上昇に起因して、ポリオール組成物とイソシアネート成分との撹拌性が悪化する場合がある。
ポリオール組成物中、ポリテトラメチレングリコールとポリプロピレングリコールとの重量比は、ポリオール全量を100重量%、ポリテトラメチレングリコールの重量%をA、ポリプロピレングリコールの重量%をBとしたとき、A:B=80:20〜20:80であることが好ましく、A:B=70:30〜30:70であることがより好ましい。ポリテトラメチレングリコールおよびポリプロピレングリコールの含有量をこれらの範囲内に設定することで、防振性能および耐ヘタリ性を特にバランス良く向上することができる。
ポリアクリロニトリル系粒子は、アクリロニトリルモノマーを主成分とする重合性不飽和基含有モノマーを重合させて得られたポリマー粒子である。本発明において、ポリアクリロニトリル系粒子は、ポリテトラメチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコール中に分散させた状態(ポリマーポリオール)でポリオール組成物に含有される。ポリアクリロニトリル系粒子を含有する、ポリテトラメチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコールの製造方法としては、アクリロニトリルモノマーを主成分とする重合性不飽和基含有モノマーを重合して得られたポリマー粒子をポリテトラメチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコール中に添加して分散させる方法、ポリテトラメチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコール中でアクリロニトリルモノマーを主成分とする重合性不飽和基含有モノマーを重合しつつ分散させる方法などが挙げられる。
ポリアクリロニトリル系粒子を製造する際、アクリロニトリルモノマーとともに共重合可能な重合性不飽和基含有モノマーとしては、スチレン、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、グリシジルアクリレートなどが挙げられる。ただし、最終的な発泡ポリウレタンの脆性などを考慮した場合、原料モノマー100モル%中、アクリロニトリルモノマーを80モル%含有することが好ましく、原料モノマーの全てがアクリロニトリルモノマーであることが特に好ましい。
発泡ポリウレタン中、ポリアクリロニトリル系粒子の含有量は、発泡ポリウレタンの総重量を100重量%としたとき、5〜17重量%であることが好ましく、5〜15重量%であることがより好ましい。ポリアクリロニトリル系粒子の含有量が5重量%未満であると、防振性能が十分に向上しない場合があり、17重量%を超えると、得られる発泡ポリウレタンの脆さが増大し、圧縮永久歪が大きくなり、その結果発泡ポリウレタンの耐ヘタリ性が悪化する場合がある。
本発明に係るポリオール組成物は、上記ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリアクリロニトリル系粒子に加えて、必要に応じて任意成分として、鎖延長剤、触媒、整泡剤、可塑剤、分散剤、相溶化剤、プロセスオイル、顔料、酸化防止剤などの安定剤、補強材、着色剤、加水分解防止剤、滑剤、充填剤、帯電防止剤、連通化剤などを含有してもよい。
鎖延長剤としては、2官能の直鎖型ジオールを好適に使用することができる。ただし、鎖延長剤の反応性の低下を抑制し、防振性能および耐ヘタリ性の悪化を防止するためには、分子量が118以下である2官能の直鎖型ジオールを使用することが好ましい。分子量が118以下である2官能の直鎖型ジオールとしては、例えば1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオールなどが挙げられる。2官能の直鎖型ジオールの分子量の好ましい下限としては、例えば68程度が挙げられる。ポリオール組成物中の鎖延長剤の含有量は、ポリオール全量を100重量%としたとき、5〜10重量%であることが好ましい。
整泡剤としては、特に、ポリアルキルシロキサン、またはアルキルシロキサンとポリエーテルアルキルシロキサンとの共重合体であるシリコン系界面活性剤が好ましい。かかるシリコン系界面活性剤としては、SH−192、L−5340、およびSF−2937F(東レダウコーニングシリコン社製)、B−8443(ゴールドシュミット社製)などが好適な化合物として例示される。
触媒としては、第3級アミン系、金属系などの公知のポリウレタン反応を促進する触媒が使用可能であるが、混合工程後、所定形状の型に流し込む流動時間を考慮して、種類、添加量を選択する。
発泡ポリウレタンの原料として、ポリオール組成物とともに使用されるイソシアネート成分としては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、ナフタレンジイソシアネート、ジメチルジフェニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの各種イソシアネート;過剰のイソシアネートとポリオールとから製造されたイソシアネート末端プレポリマーなどが挙げられる。ただし、得られる発泡ポリウレタンの物理的特性を考慮した場合、イソシアネート成分としてイソシアネート末端プレポリマーを使用することが好ましい。
ポリオール組成物とイソシアネート成分との配合比(NCO INDEX)は、特に限定されるものではないが、90〜120が例示される。
本発明に係る発泡ポリウレタンの製造方法としては、機械発泡法(メカニカルフロス法を含む)、SCF法(Super Critical Fluid)法、中空ビーズを添加させる方法、化学的発泡法などが挙げられる。これらの中で、微細かつ均一な発泡状態を有する発泡ポリウレタンを簡易に製造できることから、機械発泡法、特にはメカニカルフロス法が好ましい。以下に、機械発泡法(メカニカルフロス法)により発泡ポリウレタンを製造する方法について例示する。
機械発泡法(メカニカルフロス法を含む)において、発泡ポリウレタンは、ポリオール組成物(整泡剤、触媒などを含む)を非反応性気体の存在下で機械撹拌を行い、非反応性気体を微細気泡として分散させて気泡分散液とする。そして、該気泡分散液にイソシアネート成分を添加し、混合して気泡分散ウレタン組成物を調整する。加水分解に伴う発泡ポリウレタンの物性低下に起因した、防振性能および耐ヘタリ性の悪化を防止するためには、機械発泡法(メカニカルフロス法を含む)において、発泡剤としての水を含有しないポリオール組成物を使用することが好ましい。
メカニカルフロス法とは、原料成分をミキシングヘッドの混合室内に入れるとともに非反応性気体を混入させ、オークスミキサーなどのミキサーで混合撹拌することにより、非反応性気体を微細気泡状態にして原料混合物中に分散させる方法である。メカニカルフロス法は、非反応性気体の混合量を調整することにより、容易に発泡ポリウレタンの密度を調整することができるため好ましい方法である。
その後、上記方法で調整した気泡分散ウレタン組成物を所定形状の型に流し込み(または射出し)、該気泡分散ウレタン組成物を反応硬化させて発泡ポリウレタンを形成する。
上記微細気泡を形成するために使用される非反応性気体としては、可燃性でないものが好ましく、具体的には窒素、酸素、炭酸ガス、ヘリウムやアルゴンなどの希ガスやこれらの混合気体が例示され、乾燥して水分を除去した空気の使用がコスト的に最も好ましい。
非反応性気体を微細気泡状にして分散させる撹拌装置としては、公知の撹拌装置を特に限定なく使用可能であり、具体的にはホモジナイザー、ディソルバー、2軸遊星型ミキサー(プラネタリーミキサー)、メカニカルフロス発泡機などが例示される。撹拌装置の撹拌翼の形状も特に限定されないが、ホイッパー型の撹拌翼使用にて微細気泡が得られ好ましい。
なお、発泡工程において気泡分散液を調整する撹拌と、ポリオール組成物とイソシアネート成分とを混合する撹拌とにおいて、異なる撹拌装置を使用することも好ましい態様である。混合工程における撹拌は気泡を形成する撹拌でなくても良く、大きな気泡を巻き込まない撹拌装置の使用が好ましい。このような撹拌装置としては、遊星型ミキサーが好適である。気泡分散液を調整する発泡工程と各成分を混合する混合工程の撹拌装置を同一の撹拌装置を使用しても支障はなく、必要に応じて撹拌翼の回転速度を調整するなどの撹拌条件の調整を行って使用することも好適である。
発泡ポリウレタンの製造方法においては、気泡分散ウレタン組成物を型に流し込んで流動しなくなるまで反応した発泡体を、加熱、ポストキュアすることは、発泡体の物理的特性を向上させる効果があり好適である。型に気泡分散ウレタン組成物を流し込んで直ちに加熱オーブン中に入れてポストキュアを行う条件としても良く、そのような条件下でもすぐに反応成分に熱が伝達されないので、気泡径が大きくなることはない。硬化反応は、常圧で行うことが気泡状態が安定するために好ましい。
次に、SCF法(Super Critical Fluid)法により発泡ポリウレタンを製造する方法について例示する。SCF法とは、熱力学的不安定現象を用いて微細気泡プラスチックを作るプロセス全般を指して呼称するものとする。具体的には、不活性ガスをプラスチック中に多量に溶かし、急激にその圧力または温度などを変化させることによりガス溶解度の低下を招き、それを駆動力として微細で均一な発泡プラスチックを作り出すものである。不活性ガスをポリオール組成物内で温度、(高)圧力の調整下において超臨界状態(または亜臨界状態)に調整し、所定量溶解させ、イソシアネート成分と混合撹拌した後、減圧下の型に流し込み成形するプロセスである。
本発明に係る発泡ポリウレタンは、耐加水分解性を有し、かつ防振性能および耐ヘタリ性が向上したものであるため、自動車用防振部材、特にはストラットマウント、アッパーサポート、バウンドストッパ、あるいはバンパスプリングなどとして特に有用である。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例などについて説明する。なお、発泡ポリウレタンの諸物性の評価は、以下のようにして行った。
(1)硬度(Shore A)
JISK 7312に準拠して測定を行った。
(2)耐ヘタリ性(圧縮永久歪)
直径30mm×厚さ12.5mmの直円柱形状の発泡ウレタン試験片を作製して、JIS K7312に準拠して圧縮永久歪(%)を測定した。圧縮永久歪が小さいほど、耐ヘタリ性に優れることを意味する。
(3)tanδおよびtanδのピーク温度
所定荷重をかけた状態から常温にて、JIS K6385に準拠して、動的性質測定試験の非共振方式において、周波数15Hz、振幅±2.0mmで撓みを加えて、荷重−撓みの関係を測定し、この関係を用いて、JIS K6385に記載の計算方法により、tanδを算出した。tanδが高いほど、防振性能が優れることを意味する。
次に、動的粘弾性測定装置(メトラー・トレド社製、DMA861e)を用いて下記条件にてtanδのピーク温度を測定した。tanδのピーク温度が低いほど、防振性能の温度依存性が小さい(防振性能が優れる)ことを意味する。
周波数:15Hz
振幅:30μm
昇温速度:2.5℃/min
測定温度領域:−80℃〜50℃
サンプル形状:チャック間長さ19.5mm、幅3.0mm、厚み2mm
(4)静的バネ定数Ks(N/mm)
所定荷重をかけた状態から常温にて、JIS K6385に準拠して、静的特性試験の両方向負荷方式において、変位速度5mm/分でサンプル厚みの20%(0.25mm)の撓みを3回負荷し、3回目の負荷過程での荷重−撓みの関係を測定し、この関係を用いて、JIS K6385に記載の計算方法により、静的バネ定数を算出した。
(5)耐加水分解性(湿熱劣化による引張強度保持率の半減期)
発泡ポリウレタンサンプル(100×50×3mmのスキン層を含まないシート形状)を、温度80℃/湿度95%の恒温恒湿槽内にて168時間(1週間)、504時間(3週間)、1008時間(6週間)、2016時間(12週間)、3024時間(18週間)養生し、その後恒温恒湿槽から取り出して、引張試験をJIS K−7312に準じて行い、引張強度を測定した。恒温恒湿槽で養生前のサンプルで測定した引張強度に対する養生後のサンプルの引張強度の保持率を算出して、横軸に養生時間、縦軸に引張強度保持率のグラフを作成し、その曲線において引張強度保持率が50%となるときの養生時間(引張強度保持率の半減期)を読み取った。なお、3024時間養生後の引張強度保持率が50%超の場合は、半減期を3000時間以上とする。発泡ポリウレタンの引張強度保持率の半減期が長時間であるほど、耐加水分解性を有する発泡ポリウレタンであることを意味する。
(6)独泡率
発泡ポリウレタンを、スキン層を含まないように20×20×25mmのサンプル形状にて切り出し、空気比較式比重計930型(ベックマン社製)を使用して測定した。独泡率は、測定で得たカウンター値と、サンプル容積値とに基づき、以下の式より算出した。
(独泡率(%))=100×(カウンター値)/(サンプル容積値)
表1〜表3の上段に記載した組成にて、イソシアネート成分およびポリオール組成物を調製した。使用した原料の内容、特性は以下のとおりである。
(イソシアネート成分)
a)ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)
b)イソシアネート末端プレポリマー
(i)MDIとポリテトラメチレングリコール(数平均分子量1000)とを原料として得られたイソシアネート末端プレポリマー(NCO%=15.3%、「C−4370」、日本ポリウレタン社製)
(ii)MDIとポリカプロラクトンジオール(「プラクセル210N(数平均分子量1000)」と「プラクセル220N(数平均分子量2000)」との50:50混合物(重量比)、いずれもダイセル化学社製)とを原料として得られたイソシアネート末端プレポリマー(NCO%=10.6%)
c)ナフタレンジイソシアネート(NDI)
(ポリオール組成物)
d)ポリテトラメチレングリコール (「PTMG1000」(数平均分子量1000)、三菱化学社製)
e)ポリプロピレングリコール(PPG)
(i)「EX−1020」(数平均分子量1000、平均官能基数2)、旭硝子社製
(ii)「EX−230」(数平均分子量3000、平均官能基数3)、旭硝子社製
(iii)「EX−820」(数平均分子量5000、平均官能基数3)、旭硝子社製
(iv)「EX−910」((数平均分子量5000、平均官能基数3)のポリプロピレングリコール中にポリアクリロニトリル粒子を20重量%含有するポリマーポリオール)、旭硝子社製
f)鎖延長剤(2官能の直鎖型ジオール)
(i)1,4−ブタンジオール
(ii)1,6−ヘキサンジオール
(iii)エチレングリコール
(iv)ジエチレングリコール
g)整泡剤 「SF−2937F」、東レダウコーニングシリコン社製
h)触媒 「カオーライザーNo.25」、花王社製
i)ポリカプロラクトンジオール 「プラクセル210N(数平均分子量1000)」、ダイセル化学社製
j)ポリカーボネートジオール 「ニッポラン981(数平均分子量1000)」、日本ポリウレタン社製
k)ポリエチレンアジペート 「商品名ニッポラン4040(数平均分子量2000)」、日本ポリウレタン社製
l)ポリアクリロニトリル粒子 ALDRICH社製
実施例1〜8、比較例1〜6
表1〜表2に記載のポリオール組成物とイソシアネート組成物とを撹拌混合し、所定の形状を備える金型に射出することで、無発泡のポリウレタンサンプルを製造した。具体的には、ポリオール組成物およびイソシアネート組成物を共に、40℃雰囲気下の真空乾燥オーブンにて脱水および脱泡し、40℃に加温した所定の金型に射出した。40℃雰囲気下、1時間のキュアー(硬化)後、70℃雰囲気下で12時間キュアーし、無発泡のポリウレタンエラストマーサンプルを製造した。
実施例9〜12
表3に記載のポリオール組成物とイソシアネート成分とを含有する気泡分散ウレタン組成物を機械発泡法(メカニカルフロス法)により調整し、かかる気泡分散ウレタン組成物を所定の形状を備える金型に射出することで発泡ポリウレタンサンプルを製造した。具体的には、ポリオール組成物およびイソシアネート成分を共に、40℃雰囲気下の真空オーブンにて脱水し、ポリオール組成物を撹拌翼を使用して、回転数900rpmで液中に気泡を取り込むように約4分間激しく撹拌を行った。その後、上述の無発泡ポリウレタンエラストマーと同様、40℃の金型に射出し、70℃の雰囲気下でキュアーし、発泡ポリウレタンサンプルを製造した。
比較例7
容器にポリエチレンアジペート、エチレングリコール、SF−2937F,カオーNo.25および発泡剤としての水を入れ、ポリオール組成物として混合撹拌した後、ナフタレンジイソシアネートと混合撹拌した。その後、100℃に温度調整したモールドへ注入した。100℃のオーブン内で1時間キュアーを行い、その後脱型し、さらに100℃のオーブン内で12時間キュアーし、発泡ポリウレタンを得た。
Figure 2011178951
Figure 2011178951
表1の結果から、実施例1〜8の無発泡ポリウレタンは、防振性能および耐ヘタリ性が優れることがわかる。なお、実施例1〜8と同じ配合で、機械発泡法(メカニカルフロス法)により発泡ポリウレタンを製造したところ、無発泡ポリウレタンと同様に防振性能および耐ヘタリ性が優れる発泡ポリウレタンが得られた。一方、表2の結果から、比較例1の無発泡ポリウレタンは、PPGを含有しないため防振性能および耐ヘタリ性が悪化し、比較例2〜3の無発泡ポリウレタンは、PTMGを含有しないため耐ヘタリ性が悪化した。また、ポリアクリロニトリル系粒子を含有しない比較例6の無発泡ポリウレタンは、防振性能が悪化した。なお、比較例1〜6と同じ配合で、機械発泡法(メカニカルフロス法)により製造した発泡ポリウレタンにおいて、比較例1〜6の無発泡ポリウレタンと同様、各特性の悪化が見られた。
Figure 2011178951
表3の結果から、実施例9〜12の発泡ポリウレタンは、防振性能および耐ヘタリ性に加えて、優れた耐加水分解性を有することがわかる。一方、比較例7の発泡ポリウレタンは、耐加水分解性が悪化した。

Claims (4)

  1. ポリオール組成物とイソシアネート成分とを混合、反応させて得られる発泡ポリウレタンであって、
    前記ポリオール組成物が、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリアクリロニトリル系粒子を含有することを特徴とする発泡ポリウレタン。
  2. ポリオール全量を100重量%としたとき、(前記ポリテトラメチレングリコールの重量%):(前記ポリプロピレングリコールの重量%)=80:20〜20:80であり、かつ前記発泡ポリウレタンの総重量を100重量%としたとき、前記ポリアクリロニトリル系粒子を5〜17重量%含有する請求項1に記載の発泡ポリウレタン。
  3. 請求項1または2に記載の発泡ポリウレタンで構成された自動車用防振部材。
  4. ポリオール組成物とイソシアネート成分とを含有する気泡分散ウレタン組成物を機械発泡法により調整する発泡工程を含む発泡ポリウレタンエラストマーの製造方法であって、
    前記ポリオール組成物が、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリアクリロニトリル系粒子を含有することを特徴とする発泡ポリウレタンの製造方法。
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