JP2011178938A - 木質系物質からの液化樹脂原料組成物の製造方法、液化樹脂原料組成物および塗料 - Google Patents

木質系物質からの液化樹脂原料組成物の製造方法、液化樹脂原料組成物および塗料 Download PDF

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Abstract

【課題】 木質系物質から液化樹脂原料組成物を、成分の分離が容易である状態で得ることのできる製造方法を提供する。
【解決手段】 木質系物質に酸を添加して酸分解する酸分解工程を含む液化樹脂原料組成物の製造方法であって、前記酸分解工程を芳香族系グリコールエーテルの存在下で行うことを特徴とする。得られる液化樹脂原料組成物は、リグニン等の従来までは分離が困難であった物質も、分離や精製が容易な液化状態で得ることができる。また、酸分解工程において添加する酸の量を少量とすることができるので、後工程における処理での水、中和剤および溶剤等の使用量を削減することができる。また、得られる液化樹脂原料組成物は、低塩濃度とすることができるので、各種化成品の原料として良好に使用できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、木質系物質からの液化樹脂原料組成物の製造方法、液化樹脂原料組成物および塗料に関する。
地球温暖化や化石資源枯渇の観点から、近年、製材時に排出される樹皮、おが屑、間伐材等の木質材料を有効活用することが検討されている。これらの木質材料は、セルロース、リグノセルロース、ヘミセルロースおよびリグニンなどからなるが、木質材料を液化することで、これら成分の分離・利用に供することが試みられている。木質材料の液化は、高温高圧下や臨界圧下で行われることが多く、大掛かりな装置が必要であった(例えば、特許文献1、2参照)。また、得られた溶液は粘性が強い場合が多く、水を混合して洗浄することも難しいため、各成分を取り出すことは容易ではなかった。そこで、濃酸およびフェノール誘導体の混合系において、室温で前記成分を分離する方法が検討されている(例えば、特許文献3参照)。この方法は、木粉にフェノール誘導体および73%硫酸を混合、攪拌して各成分を分解するものであるが、混合液から各成分を分離するには、大量の溶剤を用いた希釈、洗浄、抽出が必要であった。
特開昭61−261358号公報 特開平11−80367号公報 特開平2−233701号公報
そこで、本発明は、木質系物質から液化樹脂原料組成物を、成分の分離が容易である状態で得ることのできる製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の木質系物質からの液化樹脂原料組成物の製造方法は、木質系物質に酸を添加して酸分解する酸分解工程を含む液化樹脂原料組成物の製造方法であって、前記酸分解工程を芳香族系グリコールエーテルの存在下で行うことを特徴とする。
本発明の液化樹脂原料組成物は、前記本発明の液化樹脂原料組成物の製造方法によって得られる液化樹脂原料組成物であって、水層と油層との二層で得られ、前記水層にはセルロース分解物が含有されており、前記油層にはリグニンが含有されていることを特徴とする。
本発明の塗料は、前記本発明の液化樹脂原料組成物中の、油層成分を含むことを特徴とする。
本発明によると、得られる液化樹脂原料組成物は、セルロースやグルコースにとどまらず、リグニン等の従来までは分離が困難であった物質も、分離や精製が容易な液化状態で得ることができる。また、酸分解工程において添加する酸の量を少量とすることができるので、後工程における処理での水、中和剤および溶剤等の使用量を削減することができる。また、得られる液化樹脂原料組成物は、低塩濃度とすることができるので、各種化成品の原料として良好に使用できる。
図1は、本発明の木質系物質からの液化樹脂原料組成物の製造方法を説明するチャート図である。 図2は、実施例1で得られた液化樹脂原料組成物の写真である。 図3は、本発明の木質系物質からの液化樹脂原料組成物の製造方法により得られた油層についてGPC分析を行った結果のグラフである。(a)は254nmを検出波長としたもの、(b)はRI検出をしたものである。
本発明の木質系物質からの液化樹脂原料組成物の製造方法において、前記芳香族系グリコールエーテルとして、エチレングリコールモノフェニルエーテルおよびエチレングリコールモノベンジルエーテルから選ばれる少なくとも一つを用いることが好ましい。
本発明の木質系物質からの液化樹脂原料組成物の製造方法において、酸として硫酸を用いることが好ましい。
本発明の木質系物質からの液化樹脂原料組成物の製造方法において、前記酸分解工程に先立ち、木質系物質をアルカリ水で抽出するアルカリ水抽出工程を含むことが好ましい。
本発明の木質系物質からの液化樹脂原料組成物の製造方法において、前記酸分解工程の後に、水抽出工程を含むことが好ましい。
本発明の木質系物質からの液化樹脂原料組成物の製造方法において、前記酸分解工程の後に、加水分解工程および水抽出工程をこの順に含むことが好ましい。
つぎに、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の記載により制限されない。
本発明の木質系物質からの液化樹脂原料組成物の製造方法は、木質系物質に酸を添加して酸分解する酸分解工程を含んでいる。そして、前記酸分解工程を芳香族系グリコールエーテルの存在下で行うことを特徴とする。木質系物質としては、製材時に排出される樹皮、おが屑、木粉、木材チップ、および、間伐材等を使用することができる。また、竹、稲わら、もみ殻、麦わらなども使用することができる。これらの材料は、粉状にすることで好ましく用いられる。
本発明で用いられる芳香族系グリコールエーテルは、一価または二価のフェノールを原料としたポリオールである。芳香族系グリコールエーテルとしては、エチレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル等があげられる。芳香族系グリコールエーテルのうち、エチレングリコールモノフェニルエーテルおよびエチレングリコールモノベンジルエーテルが特に好ましく使用できる。
木質系物質と芳香族系グリコールエーテルの混合割合は両者が均一に混合できれば特に限定されるものではないが、芳香族系グリコールエーテル100重量部に対して木質系物質を好ましくは1〜100重量部、より好ましくは10〜50重量部混合する。
本発明で用いられる酸としては、塩酸、硫酸および硝酸などの鉱酸、ギ酸、酢酸などの有機酸があげられる。また、塩化アルミニウム、塩化第二スズ、三フッ化ホウ素などのルイス酸、あるいは、それらのエーテル、アルコール、フェノール錯体などもあげられる。前記酸の添加量は、芳香族系グリコールエーテル100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましく、0.1〜1重量部であることがより好ましい。
酸分解工程においては、木質系物質、酸および芳香族系グリコールエーテルの含有される混合物を加熱することも好ましい。加熱温度は、使用する芳香族系グリコールエーテルの沸点まで上げることが可能であるが、120〜200℃の範囲が好ましく、より好ましくは、140〜160℃の範囲である。160℃以下であれば、汎用の蒸気ボイラーを使用することができる。木粉等の木質系物質の残渣の残存量で、酸分解の進行状況を把握することができる。分解が進むと、前記混合物に透明感が出てくるので、前記混合物に透明感が出てくるまで加熱を続けることが好ましい。
なお、前記酸分解工程に先立ち、木質系物質を粉砕したものをアルカリ水で抽出することにより、ヘミセルロースを分離しておくことも好ましい。前記酸分解工程において、ヘミセルロースは過分解のおそれがある。ヘミセルロース成分を有効活用するためには、過分解させることなく取り出しておくことが好ましいからである。
前記酸分解工程において得られた液状物は、そのままでも液化樹脂原料組成物としての使用は可能であるが、酸が高濃度で含まれており、また、リグニン、セルロース等が混合した状態となっている。したがって、前記酸分解工程の後に、水抽出工程を、または、加水分解工程および水抽出工程をこの順に含むことが好ましい。
前記加水分解工程においては、前記酸分解工程によって得られた生成物に、水を加えて希釈し、加水分解を行う。水の添加量は、前記酸分解時で添加した酸が、水を加えることで1〜5%の範囲に希釈されるように調整することが好ましい。前記酸濃度に希釈して加水分解することで、木質系物質中に含有されるセルロースがグルコースに分解することも期待できる。
加水分解は、70〜100℃の範囲に加熱して行うことが好ましい。例えば、硫酸濃度が3%程度の条件下で、加熱温度を80℃とすると、効率よくグルコースに分解することができる。
前記酸分解工程後、または、前記加水分解工程後に、水を加え、水による抽出工程を行う。水を加えた系は、上層に水層、下層に油層と2層に分かれている。前記水層を分離し、残った油層にさらに水を加え、攪拌、静置して分液し、上層の水層を分離する。この操作を数回行い、分離した水層は集めておく。本発明の製造方法によると、油層と水層の分液が容易であり、水による洗浄、抽出が可能である。水による抽出を行った後の油層には、主にリグニンが含まれている。このリグニンは、酸分解工程で添加した酸が水とともに抽出されるため、酸による影響を嫌う用途にも使用が可能である。前記集められた水層には、セルロースやグルコースが含まれている。得られた水層を水酸化ナトリウム等で中和し、濃縮することで、高濃度のセルロース、グルコース含有溶液が得られる。
なお、従来においても木質系物質を液化する検討がなされてきたが、得られた溶液から、リグニンあるいはセルロース系分解物を取り出すことは容易ではなかった。すなわち、余剰の酸を洗浄・抽出しようとしても、水を混ぜて洗浄することが難しいほどドロドロになってしまっていた。本発明の製造方法によって得られる液化樹脂原料組成物は、低粘度の状態で得ることも可能であり、前述のとおり、分離等の操作が容易にできる。
図1に、以上で説明した本発明の木質系物質からの液化樹脂原料組成物の製造方法のチャートを示す。
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は、下記の実施例および比較例によってなんら限定ないし制限されない。また、各実施例および各比較例における各種特性および物性の測定および評価は、下記の方法により実施した。
(GPC分析)
得られた試料について、GPC分析を行った。GPC分析は試料の濃度が0.1wt%となるようにTHFで希釈し、下記の条件で行った。
GPC (株)島津製作所製
本体 CBM−20A
UV SRD−20A(検出波長254nm)
RI RID−10A
摂取量 約0.1ml 流量 1.0ml/1min 溶媒THF
カラム温度 40℃
測定可能 分子量1000万迄
[実施例1]
(酸分解工程)
木粉(杉、富山森林組合 80ME(平均粒子径150μm))60g、エチレングリコールモノフェニルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「フェニル グリコール(PhG)」、沸点244.7℃)240g、95%硫酸3.2gをフラスコに計量し、150℃で1時間攪拌した。このとき系に含まれている水分(木粉起因のものと思われる)を系外へ放出すると、水分が出て行くにしたがって系の透明感が増した。
(水抽出工程)
前記混合物は100℃以下に冷却し、水200gを加えて水抽出を行った。系は2〜3時間で2液に分かれた(水は上層)。また、残渣は見られず、木粉が液化していた。
[実施例2]
エチレングリコールモノフェニルエーテルに代えて、エチレングリコールモノベンジルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「ベンジルグリコール(BzG)」、沸点256℃)を用いた以外は、実施例1と同様な方法にて、液化樹脂原料組成物の製造を行った。
[実施例3]
エチレングリコールモノフェニルエーテルに代えて、プロピレングリコールモノフェニルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「フェニルプロピレングリコール(PhFG)」、沸点242.7℃)を用いた以外は、実施例1と同様な方法にて、液化樹脂原料組成物の製造を行った。
[比較例1]
エチレングリコールモノフェニルエーテルに代えて、エチレングリコール2−エチルヘキシルエーテル(日本乳化剤株式会社製、沸点228.3℃)を用いた以外は、実施例1と同様な方法にて、液化樹脂原料組成物の製造を試みた。
[比較例2]
エチレングリコールモノフェニルエーテルに代えて、エチレングリコールヘキシルエーテル(日本乳化剤株式会社製、沸点208.1℃)を用いた以外は、実施例1と同様な方法にて、液化樹脂原料組成物の製造を試みた。
[比較例3]
エチレングリコールモノフェニルエーテルに代えて、エチレングリコールブチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、沸点171.2℃)を用いた以外は、実施例1と同様な方法にて、液化樹脂原料組成物の製造を試みた。本比較例では、攪拌時に、溶剤と木粉との馴染みがよく、攪拌開始時からさらさらとした感触であった(他のものは、攪拌開始時はもそもそとした感触だった。)。
[比較例4]
エチレングリコールモノフェニルエーテルに代えて、プロピレングリコールブチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、沸点170.2℃)を用いた以外は、実施例1と同様な方法にて、液化樹脂原料組成物の製造を試みた。
[比較例5]
エチレングリコールモノフェニルエーテルに代えて、芳香族系溶剤であるソルベッソ#100(商品名、エクソンモービル社製)180gにn−ブタノール60gを加えた溶剤を用いた以外は、実施例1と同様な方法にて、液化樹脂原料組成物の製造を試みた。本比較例では、攪拌時に、溶剤と木粉との馴染みがよく、攪拌開始時からさらさらとした感触であった(他のものは、攪拌開始時はもそもそとした感触だった。)。
[比較例6]
エチレングリコールモノフェニルエーテルに代えて、芳香族系溶剤であるソルベッソ#100(商品名、エクソンモービル社製)180gにエチレングリコール60gを加えた溶剤を用いた以外は、実施例1と同様な方法にて、液化樹脂原料組成物の製造を試みた。本比較例では、攪拌時に、溶剤と木粉との馴染みがよく、攪拌開始時からさらさらとした感触であった(他のものは、攪拌開始時はもそもそとした感触だった。)。
[比較例7]
エチレングリコールモノフェニルエーテルに代えて、芳香族系溶剤であるソルベッソ#100(商品名、エクソンモービル社製)180gにプロピレングリコール60gを加えた溶剤を用いた以外は、実施例1と同様な方法にて、液化樹脂原料組成物の製造を試みた。
表1に、実施例1〜3、比較例1〜7の結果を示す。実施例1〜3においては、残渣が認められず、良好に液化が起こっていることがわかる。図2に、実施例1で得られた液化樹脂原料組成物の写真を示す。上層は水層、下層は油層である。なお、実施例1〜3において、水層と油層とは、実施例1の系で最も速く分離ができ、次いで実施例2の系、実施例3の系の順に遅くなった。実施例1の系と実施例2の系では、2層に容易に分離したが、実施例3の系では、分離に数時間から十数時間を要した。比較例1、2、6および7では、150℃加熱時に、リフラックスが起こった。何らかの分解が起こっていると推察されるが、留分はあるものの、木粉は残っていた。実施例1〜3では、系が2液に分かれるため、水の添加、分液、抽出の工程を行うことにより、油層から、酸、残留の塩、その他の水溶性の成分の除去を容易に行うことができる。
[実施例4]
(酸分解工程)
木粉(杉、富山森林組合 80ME)20g、エチレングリコールモノフェニルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「フェニル グリコール(PhG)」)80g、95%硫酸1gをフラスコに計量し、150℃で30分間攪拌した。このとき系に含まれている水分(木粉起因のものと思われる)を系外へ放出すると、水分が出て行くにしたがって系の透明感が増した。
(加水分解工程)
前記混合物は100℃以下に冷却し、水30.7gを加えて硫酸濃度を3%に調整し、80℃3時間攪拌した。少し浮遊物はあるが、系は2液に分かれていた(水は上層)。また、残渣はわずかであり、殆どの成分が液化していた。
(抽出工程)
前記上層の水分をスポイドで集めた。さらに水を50g加えよく攪拌し静置、分液、上層の水をスポイドで集めた。この操作をもう一度行い、集めた水はひとつにして容器に入れ、NaOHで中和し、50℃のホットプレート上で約50mlまで濃縮した。
(水層:発酵)
濃縮した水溶液にビール酵母(上面イースト菌)0.1gを加え28℃の恒温層で10日間放置した。放置後、水溶液は微かにアルコールの臭気がし、ガスクロマトグラフィーにより測定すると0.2%濃度でエタノールを含んでいることがわかった。
(油層)
得られた油層について、GPC分析を行った結果を図3に示す。油層には、リグニン、リグノセルロースおよびセルロース由来のグルコース(油層中の残留分)が含まれていることが特定できた。油層は、リグノセルロースとして使用したり、燃料として活用することもできる。リグニンは、溶液の状態で取り出すことができるので、広く利用が可能である。
[実施例5]
木粉に代えて、竹粉末(バン株式会社製、商品名「竹パウダー」)を用いた以外は、実施例1と同様な方法にて、液化樹脂原料組成物の製造を行った。酸分解工程後に実施例1と同様に冷却し、水抽出を行うと、系は2〜3時間で2液に分かれた(水は上層)。また、残渣は見られず、竹粉末が液化していた。
[実施例6]
木粉に代えて、稲わら(約20mmに切断したもの)を用い、エチレングリコールモノフェニルエーテルを480g、95%硫酸を3.2g用いた以外は、実施例1と同様な方法にて、液化樹脂原料組成物の製造を行った。酸分解工程後に実施例1と同様に冷却し、水抽出(水200gを添加)を行うと、系は2〜3時間で2液に分かれた(水は上層)。稲わらは一部残ったものがあったが、液化していた。本実施例では、稲わらは切断したものを用いたが、粉砕して粉状にしておくと、より良好に液化したものと考えられる。
本発明によると、得られる液化樹脂原料組成物は、リグニン等、従来までは分離が困難であった物質を、分離や精製が容易な液化状態で得ることができる。また、酸分解の工程において添加する酸の量を少量とすることができるので、後工程における処理での水、中和剤および溶剤等の使用量を削減することができる。また、得られる液化樹脂原料組成物は、低塩濃度とすることができるので、各種化成品の原料として良好に使用できる。また、バイオエタノールへの展開も可能である。

Claims (7)

  1. 木質系物質に酸を添加して酸分解する酸分解工程を含む液化樹脂原料組成物の製造方法であって、前記酸分解工程を芳香族系グリコールエーテルの存在下で行うことを特徴とする木質系物質からの液化樹脂原料組成物の製造方法。
  2. 前記芳香族系グリコールエーテルとして、エチレングリコールモノフェニルエーテルおよびエチレングリコールモノベンジルエーテルから選ばれる少なくとも一つを用いる、請求項1記載の木質系物質からの液化樹脂原料組成物の製造方法。
  3. 前記酸分解工程に先立ち、木質系物質をアルカリ水で抽出するアルカリ水抽出工程を含む、請求項1または2に記載の木質系物質からの液化樹脂原料組成物の製造方法。
  4. 前記酸分解工程の後に、水抽出工程を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の木質系物質からの液化樹脂原料組成物の製造方法。
  5. 前記酸分解工程の後に、加水分解工程および水抽出工程をこの順に含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の木質系物質からの液化樹脂原料組成物の製造方法。
  6. 請求項4または5記載の液化樹脂原料組成物の製造方法によって得られる液化樹脂原料組成物であって、前記液化樹脂原料組成物が水層と油層との二層で得られ、前記水層にはセルロース分解物が含有されており、前記油層にはリグニンが含有されていることを特徴とする液化樹脂原料組成物。
  7. 請求項6記載の液化樹脂原料組成物中の、油層成分を含むことを特徴とする塗料。
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