JP2007084769A - バインダレス成形用材料及び成形体 - Google Patents
バインダレス成形用材料及び成形体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2007084769A JP2007084769A JP2005278566A JP2005278566A JP2007084769A JP 2007084769 A JP2007084769 A JP 2007084769A JP 2005278566 A JP2005278566 A JP 2005278566A JP 2005278566 A JP2005278566 A JP 2005278566A JP 2007084769 A JP2007084769 A JP 2007084769A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- molding
- temperature
- molding material
- treatment
- molded
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Dry Formation Of Fiberboard And The Like (AREA)
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
Abstract
【課題】 広葉樹木材、特に該広葉樹木材からオリゴ糖を誘導後に得られる残渣を有効に活用し、接着剤等の結合剤を添加しなくても力学的強度及び耐水性に優れた成形体を低温低圧条件で成形可能な成形用材料及び該成形用材料を成形してなる成形体を提供すること。
【解決手段】粉砕された広葉樹を原料とし、該原料に少なくとも水の存在下で高温高圧処理し、ヘミセルロースを加水分解抽出により除去する処理、及びセルロース並びにリグニン及びリグニン由来の成分が有する水酸基をアセチル化する処理を施して得られる成形用材料、及び材成形用材料からなる成形体。
【選択図】なし
【解決手段】粉砕された広葉樹を原料とし、該原料に少なくとも水の存在下で高温高圧処理し、ヘミセルロースを加水分解抽出により除去する処理、及びセルロース並びにリグニン及びリグニン由来の成分が有する水酸基をアセチル化する処理を施して得られる成形用材料、及び材成形用材料からなる成形体。
【選択図】なし
Description
本発明は、広葉樹木片を有効に再利用し、合成樹脂接着剤等の結合剤を含まない成形用材料及び、該成形用材料を成形してなる成形体に関する。
原油価格の不安定化、二酸化炭素濃度の上昇による温暖化、難分解性廃棄物の問題など、石油依存型社会が引き起こす弊害がますます顕著となる中、近年バイオマス資源の利用が見直されている。とりわけ、木質系バイオマスの利用に関して活発に研究開発が行われており、例えば木材を切削加工する際に発生する廃材や端材、樹皮や鋸粉などを有効に利用する試みが行われている。このような廃材等の代表的な利用方法としては、パーティクルボードやファイバーボードなどのボード類の製造や、オリゴ糖の誘導などが挙げられる。
パーティクルボードやファイバーボードなどは通常、細片化された木材にユリア樹脂やフェノール樹脂などからなる合成樹脂接着剤を結合剤として添加して素材間を接合し、熱プレス等により成形することにより製造される。この際の結合剤の配合量はボードの全重量の数10%と多量である。そのため、このようなボード類からは結合剤の原料であるホルムアルデヒドなどの人体に有害な揮発性有機化合物が発生し、これらのボード類を建材として使用した場合は、シックハウスを引き起こすことなどが問題となっている。また、これらのボード類を使用後焼却処分する際には、添加した結合剤により有毒ガスが発生したり、結合剤の燃焼熱により焼却炉を傷めるなどの問題が生じる。
一方、オリゴ糖の誘導の方法としては、例えば木材を高温高圧水処理し、木材に含まれるヘミセルロース成分を加水分解抽出する方法が知られている。通常植物体中のヘミセルロースの含有量は25重量%程度であり、オリゴ糖の誘導後、セルロース及びリグニンを主成分とする多量の残渣が残る。これらの残渣を有効に活用するために、さらに加熱するなどしてすべての成分を有用ケミカルスに変換するか又は、セルロースとリグニンを分離した後、セルロースからはアルコール類を得て、リグニンは炭素繊維として利用する方法などが検討されている。しかし、これらの技術は大型の装置を必要とするなど、採算性の面から事業化は困難な状況である。またこれらの技術はセルロースやリグニンをさらに分解して活用するものであり、資源の流れの下流に位置するものである。資源の流れのより上流、つまり分離・分解を行うことなしに残渣を有効に活用できれば、さらに効率のよい資源利用となる。
木質系バイオマスを利用して結合剤を使用せずにファイバーボードを製造する方法として、木質材料を型枠に充填した後、軟化処理をし、これを所定の圧縮率で圧縮し、最後に高圧水蒸気により形状の固定化処理を施す方法(特許文献1)や、リグノセルロース含有材料を水蒸気処理して得られる熱可塑性材料を加圧加熱する方法が提案されている(特許文献2)。しかし、これらの技術に代表される木質繊維を原料として得られる成形体は成形時に高温高圧を必要とするため、通常の樹脂成形体と共通の設備で製造を行うのが難しく、また得られる成形体の形状等も制限される。さらに、一般に木質繊維を含む成形体は耐水性に劣る。また、該技術はオリゴ糖誘導残渣を利用するものではない。
本発明は、広葉樹木片、特に該広葉樹木片からオリゴ糖を誘導後に得られる残渣を有効に活用し、合成樹脂接着剤等の結合剤を添加しなくても力学的強度及び耐水性に優れた成形体を得ることのできる成形用材料であって、熱流動性に富み成形時に高温高圧を要しない成形用材料を提供することを目的とする。
本発明はさらに又、広葉樹木片、特に広葉樹木片からオリゴ糖を誘導後に得られる残渣を原料とし、合成樹脂接着剤等の結合剤を添加しなくても力学的強度や耐水性に優れた成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、広葉樹木片に対し、水の存在下高温高圧処理しヘミセルロースを加水分解抽出し、得られた抽出残渣にアセチル化処理を施し、セルロース及びリグニン成分分子中の水酸基にアセチル基を導入すると、熱流動性に富んだ成形用材料が得られることを見出し本発明を完成した。
即ち本発明は、粉砕された広葉樹を原料とし、少なくとも水の存在下で高温高圧処理してヘミセルロースを加水分解抽出により除去し、得られた抽出残渣をアセチル化して得られるアセチル化抽出残渣よりなる成形用材料を提供する。
本発明はさらに又、上記成形用材料を成形してなる成形体を提供する。成形は、60〜200℃、1〜60MPaの条件で熱プレスすることにより行うことができる。
本発明によれば、広葉樹の廃材、端材等を最大限に効率よく活用することができる。本発明の成形用材料及び成形体は、合成樹脂接着剤等からなる結合剤を用いる必要がないため、人体に有害な有機化合物が発生せず環境衛生上優れている。また、本発明の成形用材料及び成形体はセルロースの強靱な構造を保持しているので、使用後は資源の流れのより上流に位置するものに再利用することが可能である。本発明の成形用材料は熱流動性に優れ、成形に高温高圧を要しないため、通常の樹脂成形体と同様の条件で成形することも可能である。本発明の成形体は、植物体のみを原料として製造した場合も樹脂様の弾性を示し、力学的強度が高いものである上、耐水性にも優れている。また、合成樹脂接着剤等からなる結合剤を添加しなくてもよいため、成形体として使用後に木質系バイオマスとして更なる再利用も容易である。また、焼却処分する際にも有毒ガスの発生や燃焼熱により焼却炉を傷める心配がない。
本発明の成形用材料は、粉砕された広葉樹を原料とし、該原料に少なくとも水の存在下で高温高圧処理してヘミセルロースを加水分解抽出により除去し、得られた抽出残渣にアセチル化処理を施し、セルロース及びリグニン成分分子中の水酸基にアセチル基を導入して得られる。本発明の原料として用いられる広葉樹を含めほとんどすべての植物体は、主としてセルロース、ヘミセルロース及びリグニンから構成されているが、これらのうちリグニンは高温高圧処理により比較的低温で熱可塑性を発現するようになり、後の加熱成形処理などにより繊維間を結合する接着成分として働く。これは高温高圧処理によりリグニンが低分子量化したり、三次元構造が破壊されるためだと考えられる。本発明においては高温高圧処理と同時に加水分解抽出によりヘミセルロースを除去するため、接着成分として働くリグニン成分の含有量が相対的に上昇し、結合剤を添加することなしに成形が可能な成形用材料が得られる。
従来、木質繊維など植物体を主原料とする成形用材料は一般に熱流動性に劣っていることが知られている。これは植物体中に存在する水酸基により分子間に水素結合が生じているためだと考えられる。本発明ではアセチル化処理により上記分子間水素結合を消失させているため、熱流動性の高い成形用材料が得られる。
本発明の原料として用いられる広葉樹としては、例えば、白樺、ブナ、ミズナラ等があげられる。広葉樹木材は例えば針葉樹木材に比べ、穏和な条件で高温高圧処理を行いヘミセルロースの除去及びリグニンの変性を行うことができるため好ましい。これらの原料の形状は、ヘミセルロースの除去作業を容易にするために例えばチップ状、繊維状等に粉砕されているものが好ましい。
高温高圧処理は、チップ状や繊維状等にに粉砕した原料と水とを、例えばオートクレーブのような高温高圧処理可能な容器に入れ、加熱加圧することにより行われる。この際用いる水の量は特に制限されず、原料が水に浸漬していればよい。例えば、原料の乾燥重量に対して3〜150倍程度、好ましくは10〜150倍程度である。水の量が原料の乾燥重量に対して3倍未満であるとヘミセルロースの加水分解抽出が十分に行えない場合がある。水の量を原料の乾燥重量に対して150倍より多くしてもヘミセルロースの加水分解抽出の効率を上昇させる効果は得られず、また、成形用材料と同時にオリゴ糖を得ようとする場合はオリゴ糖の濃度が希薄になり、後の濃縮精製作業が煩雑となる。
高温高圧処理する際の温度は制限されないが、例えば150〜300℃、好ましくは180〜220℃、特に好ましくは180〜200℃の範囲内である。また、この際の処理時間も特に制限されないが、例えば0.5〜120分、好ましくは1〜60分、特に好ましくは5〜20分程度である。この高温高圧処理により原料中のヘミセルロースが加水分解抽出され、ヘミセルロース加水分解抽出液(オリゴ糖溶液)と、抽出残渣(リグニン成分及びセルロースからなる固体成分)が得られる。
なお、上記高温高圧処理時には、原料と水の他に他の成分、例えば有機溶媒や酸や塩基などの触媒などが含まれていてもよい。
高温高圧処理終了後は、冷却コイルなどを用いて速やかに処理液を冷却するのがよい。冷却後はろ過や遠心分離などの処理によりヘミセルロース加水分解抽出液と抽出残渣とに分離する。分離後の抽出残渣は熱水等で洗浄してもよい。
上述のようにして得られた抽出残渣を乾燥し、さらにアセチル化処理を施す。抽出残渣は粉砕機などを用いて例えば粒径1mm以下の木粉の状態にしておくとアセチル化処理を効率よく行うことができる上、得られた成形用材料を用いて成形体を得る際にも作業効率が向上する。
アセチル化処理は酢酸や無水酢酸などのアセチル化剤と抽出残渣とを接触させ、必要に応じて加熱又は冷却することにより行うことができる。アセチル化処理は気相で行ってもよく、液相で行ってもよい。アセチル化処理は上記アセチル化剤に加えて、適宜な触媒を用いて行うこともできる。触媒としては例えば、硫酸、酢酸ナトリウム、塩化亜鉛、ピリジンなどが挙げられ、これらの中でもピリジンは原料溶解性の点から特に好適に使用できる。ピリジンは大過剰量用いて溶媒として使用することもできる。アセチル化処理に際してはピリジンの他、適宜な有機溶媒を使用してもよい。有機溶媒としてはアセチル化剤に対して不活性であれば特に制限されないが、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
アセチル化処理におけるアセチル化剤の使用量は特に制限されないが、例えばアセチル化処理を液相で行う場合であれば抽出残渣がアセチル化剤又はアセチル化剤と有機溶媒との混液に浸漬していることが好ましい。アセチル化処理の反応条件は特に制限されず、抽出残渣の状態やアセチル化剤及び触媒等の性質に応じて得られる成形用材料の性質が所望のものになるよう適宜選択すればよい。例えば反応温度は20〜160℃程度、反応時間は5分〜30時間程度である。アセチル化処理終了後は、反応液を冷水中に滴下し、不溶分を遠心分離、ろ過などの操作により回収することによりアセチル化抽出残渣が得られる。反応液を冷水中に滴下することにより余剰のアセチル化剤等を除去すると共に、例えばピリジンなどの材料溶解性に優れた溶媒を使用した場合は、溶媒中に溶解したリグニン成分等が析出し、回収可能となる。なお、アセチル化処理終了後の反応液を水中に滴下する際の温度が高いと加水分解反応が進行し、導入したアセチル基が脱離する場合があるため冷水中に滴下するのが好ましい。
通常広葉樹の植物体は、約50%のセルロースと、約25%のヘミセルロースと、約25%のリグニン及びその他の微量成分により構成されている。本発明の成形用材料はヘミセルロースを加水分解抽出により除去しているため、リグニン成分の含有量がが相対的に上昇する。本発明の成形用材料において、植物由来の成分のみから成り結合剤を添加しなくても樹脂様の成形体を製造することができるのは、このように接着成分として機能するリグニン成分の含有量が相対的に上昇しているためだと考えられる。また、高温高圧処理に加えてアセチル化処理により、セルロース及びリグニン成分中の水酸基による分子間水素結合が消失しており、比較的低温で高い熱流動性を発現し、成形作業時には高温高圧を要さず容易に成形体を得ることができる。
抽出残渣と分離したヘミセルロース加水分解抽出液(オリゴ糖溶液)は、必要に応じて酵素処理や精製処理を施し、濃縮して高濃度のオリゴ糖溶液にして又は単離して、食品として供することができる。
上述のようにして得られた本発明の成形用材料は、該材料中の、主にリグニン及びリグニンの分解等により得られた成分が加熱により可塑性を発現するため、所望の形状に成形することにより成形体を製造することができる。またアセチル化処理により成形用材料の流動性が飛躍的に高まっているため成形性に優れており、比較的低温低圧で成形可能である。成形は公知の成形方法により行うことができ、例えば射出成形機を用いて加熱溶融した成形用材料を型内に吹き付けることにより成形する射出成形や、二枚の熱板で成形用材料を挟み込み圧縮することにより板状に成形したり、互いに形状の等しい凹部と凸部からなる一組の押し型の間に材料を挟み込み圧縮し、所望の形状に成型する熱プレスなどが挙げられる。
熱プレスにより本発明の成形体を製造する場合は、例えば30〜300℃、1〜100MPaの条件で、好ましくは60〜200℃、1〜60MPaの条件で、特に好ましくは60〜140℃、30〜60MPaの条件で成形することができる。熱プレスにより成形する際の圧縮時間は例えば1〜30分程度、好ましくは3〜15分程度である。
本発明の成形体としては例えば、パーティクルボードやファイバーボードなどのボード類の他、皿や椀、スプーン等の食器類などが挙げられ、その他プラスチック成形品の代替品として幅広い用途に本発明の成形用材料を活用することができる。
上述のようにして得られた本発明の成形体は、セルロース部分が分解されず強靱な構造を保持しているので、力学的強度、可とう性、柔軟性及び耐水性に優れている。また、熱流動性に優れ、合成樹脂接着剤等の結合剤を添加する必要がないため、人体に有害な揮発性有機化合物を発生せず、使用後焼却処分する際にも有毒ガスの発生等の問題を生じない。また、植物体成分のみで構成できるため、該成形体を他の成形体に加工し直したり、さらに分離分解して再利用することも可能である。つまり、木材資源としての寿命を延ばすことができ、資源をより有効に活用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
(実施例1)
[成形用材料の製造]
粉砕機でチップ状にした広葉樹木片と該広葉樹木片の乾燥重量に対して約10倍の純水をオートクレーブに入れ、バンドヒーターで190℃に加熱した。オートクレーブ内の温度が190℃に達してから10分間この温度を保持し、高温高圧処理を行った。高温高圧処理終了後速やかに室温まで冷却した。得られたヘミセルロース加水分解抽出液と、抽出残渣とを遠心分離により分離した。抽出残渣を熱水で洗浄した後、70℃の乾燥機で24時間乾燥した。乾燥後の抽出残渣を粉砕機で粒径1mm以下の粉末状にし、残渣木粉を得た。得られた残渣木粉30gを、ピリジン300mlと無水酢酸300mlとからなるアセチル化処理液に浸漬し、室温にて24時間撹拌しアセチル化処理を行った。アセチル化処理終了後、反応液を冷水中に滴下し、不溶分を遠心分離により回収してアセチル化抽出残渣を得た。得られたアセチル化抽出残渣を70℃の乾燥機で24時間乾燥し、成形用材料を得た。
[成形体の製造]
この成形用材料5gを5cm×5cmの型押し金型にいれ、60℃、30MPaの条件で、10分間熱プレスして密度1.07(g/cm3)の板状成形体を得た。
[成形用材料の製造]
粉砕機でチップ状にした広葉樹木片と該広葉樹木片の乾燥重量に対して約10倍の純水をオートクレーブに入れ、バンドヒーターで190℃に加熱した。オートクレーブ内の温度が190℃に達してから10分間この温度を保持し、高温高圧処理を行った。高温高圧処理終了後速やかに室温まで冷却した。得られたヘミセルロース加水分解抽出液と、抽出残渣とを遠心分離により分離した。抽出残渣を熱水で洗浄した後、70℃の乾燥機で24時間乾燥した。乾燥後の抽出残渣を粉砕機で粒径1mm以下の粉末状にし、残渣木粉を得た。得られた残渣木粉30gを、ピリジン300mlと無水酢酸300mlとからなるアセチル化処理液に浸漬し、室温にて24時間撹拌しアセチル化処理を行った。アセチル化処理終了後、反応液を冷水中に滴下し、不溶分を遠心分離により回収してアセチル化抽出残渣を得た。得られたアセチル化抽出残渣を70℃の乾燥機で24時間乾燥し、成形用材料を得た。
[成形体の製造]
この成形用材料5gを5cm×5cmの型押し金型にいれ、60℃、30MPaの条件で、10分間熱プレスして密度1.07(g/cm3)の板状成形体を得た。
(実施例2)
[成形体の製造]において熱プレス時の条件を80℃、30MPaとした以外は実施例1と同様の手順により密度1.09(g/cm3)の板状成形体を得た。
[成形体の製造]において熱プレス時の条件を80℃、30MPaとした以外は実施例1と同様の手順により密度1.09(g/cm3)の板状成形体を得た。
(実施例3)
[成形体の製造]において熱プレス時の条件を100℃、30MPaとした以外は実施例1と同様の手順により密度1.17(g/cm3)の板状成形体を得た。
[成形体の製造]において熱プレス時の条件を100℃、30MPaとした以外は実施例1と同様の手順により密度1.17(g/cm3)の板状成形体を得た。
(実施例4)
[成形体の製造]において熱プレス時の条件を140℃、60MPaとした以外は実施例1と同様の手順により密度1.21(g/cm3)の板状成形体を得た。
[成形体の製造]において熱プレス時の条件を140℃、60MPaとした以外は実施例1と同様の手順により密度1.21(g/cm3)の板状成形体を得た。
(比較例1)
高温高圧処理を行っていない広葉樹木片を、粉砕機により粒径1mm以下の粉末状にして木粉を得た。この木粉5gを実施例で使用したものと同じ5cm×5cmの型押し金型に入れ、180℃、60MPaの条件で熱プレスして密度1.21(g/cm3)の板状成形体を得た。
高温高圧処理を行っていない広葉樹木片を、粉砕機により粒径1mm以下の粉末状にして木粉を得た。この木粉5gを実施例で使用したものと同じ5cm×5cmの型押し金型に入れ、180℃、60MPaの条件で熱プレスして密度1.21(g/cm3)の板状成形体を得た。
〈試験評価〉
実施例及び比較例で得られた板状成形体に対して以下の試験を行った。
(強度特性)
板状成形体を手で折り曲げて破断するか等を確認し評価した。結果を表1に示す。強靱であり破断できなかった場合は○、非常にもろく、容易に破断できた場合は×と評価した。
(吸水膨潤率)
板状成形体を室温において24時間水に浸漬し、前後の厚みを測定して吸水による膨潤率を下記式(1)に求めた。
式(1):膨潤率(%)=(浸漬後厚み−浸漬前厚み)×100/(浸漬前厚み)
結果を表1に示す。
(吸水後の状態)
24時間吸水後の板状成形体の様子を目視により観察した。吸水前との形状・大きさの変化が見られない場合は○、吸水中に崩壊し板状の形状を保持していない場合は崩壊、板状の形状は保持しているが厚みや大きさ等の変化が見た目に明らかな場合は膨潤と評価した。結果を表1に示す。
表1には特許文献2(特開2003−165844)実施例8で得られた成形体の特性の一部を合わせて示す。
実施例及び比較例で得られた板状成形体に対して以下の試験を行った。
(強度特性)
板状成形体を手で折り曲げて破断するか等を確認し評価した。結果を表1に示す。強靱であり破断できなかった場合は○、非常にもろく、容易に破断できた場合は×と評価した。
(吸水膨潤率)
板状成形体を室温において24時間水に浸漬し、前後の厚みを測定して吸水による膨潤率を下記式(1)に求めた。
式(1):膨潤率(%)=(浸漬後厚み−浸漬前厚み)×100/(浸漬前厚み)
結果を表1に示す。
(吸水後の状態)
24時間吸水後の板状成形体の様子を目視により観察した。吸水前との形状・大きさの変化が見られない場合は○、吸水中に崩壊し板状の形状を保持していない場合は崩壊、板状の形状は保持しているが厚みや大きさ等の変化が見た目に明らかな場合は膨潤と評価した。結果を表1に示す。
表1には特許文献2(特開2003−165844)実施例8で得られた成形体の特性の一部を合わせて示す。
実施例1及び比較例1で得られた板状成形体の表面の様子を電子顕微鏡で観察した。図1に実施例1の、図2に比較例1の電子顕微鏡写真を示す。高温高圧処理及びアセチル化処理を行っている実施例1では、成形体表面は滑らかであり樹脂様に固まっているのが観察されるが、高温高圧処理及びアセチル化処理を行っていない比較例1では繊維同士が絡みあうことにより形状を保持している。
高温高圧処理及びアセチル化処理を行っている実施例で得られた板状成形体は何れも強度特性及び耐水性に優れており、特に実施例1で得られた板状成形体は60℃と低温で成形しているが、強靱である上、吸水膨潤率はMDFに関するJIS規格(吸水膨潤率17%以下)を満たしている。また、実施例で得られた板状成形体は何れも柔軟性及び可とう性に富んでいる。先行技術である特許文献2との比較によっても、本発明の成形用材料は従来の木質繊維よりなる成形用材料に比べて低温低圧で成形可能であり、しかも得られる成形用材料は力学的強度及び耐水性共に優れていることがわかる。
Claims (3)
- 粉砕された広葉樹を原料とし、少なくとも水の存在下で高温高圧処理してヘミセルロースを加水分解抽出により除去し、得られた抽出残渣をアセチル化して得られるアセチル化抽出残渣よりなる成形用材料。
- 請求項1記載の成形用材料を成形してなる成形体。
- 60〜200℃、1〜60MPaの条件で熱プレスして得られる請求項2記載の成形体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005278566A JP2007084769A (ja) | 2005-09-26 | 2005-09-26 | バインダレス成形用材料及び成形体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005278566A JP2007084769A (ja) | 2005-09-26 | 2005-09-26 | バインダレス成形用材料及び成形体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007084769A true JP2007084769A (ja) | 2007-04-05 |
Family
ID=37972075
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005278566A Pending JP2007084769A (ja) | 2005-09-26 | 2005-09-26 | バインダレス成形用材料及び成形体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007084769A (ja) |
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009084320A (ja) * | 2007-09-27 | 2009-04-23 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | リグニン誘導体及びその二次誘導体 |
JP2011032492A (ja) * | 2010-11-16 | 2011-02-17 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | リグニン誘導体の製造方法およびリグニン二次誘導体の製造方法 |
JP2011042806A (ja) * | 2010-11-16 | 2011-03-03 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | リグニン誘導体の製造方法およびリグニン二次誘導体の製造方法 |
JP2013100563A (ja) * | 2013-03-08 | 2013-05-23 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | リグニン誘導体及びその二次誘導体 |
JP2017025338A (ja) * | 2015-03-19 | 2017-02-02 | 国立大学法人京都大学 | 化学修飾セルロースナノファイバー及び熱可塑性樹脂を含有する繊維強化樹脂組成物 |
EP3323575A1 (de) * | 2016-11-14 | 2018-05-23 | Fraunhofer Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. | Acetyliertes lignocellulose-material mit autoadhäsiven eigenschaften |
CN111971153A (zh) * | 2018-04-13 | 2020-11-20 | 特里高亚科技有限公司 | 乙酰化木材及其制备方法 |
CN112080016A (zh) * | 2020-09-21 | 2020-12-15 | 中国科学院长春应用化学研究所 | 一种生物质材料及其制备方法 |
WO2024058246A1 (ja) * | 2022-09-16 | 2024-03-21 | 国立大学法人京都大学 | 組成物 |
-
2005
- 2005-09-26 JP JP2005278566A patent/JP2007084769A/ja active Pending
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009084320A (ja) * | 2007-09-27 | 2009-04-23 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | リグニン誘導体及びその二次誘導体 |
JP2011032492A (ja) * | 2010-11-16 | 2011-02-17 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | リグニン誘導体の製造方法およびリグニン二次誘導体の製造方法 |
JP2011042806A (ja) * | 2010-11-16 | 2011-03-03 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | リグニン誘導体の製造方法およびリグニン二次誘導体の製造方法 |
JP2013100563A (ja) * | 2013-03-08 | 2013-05-23 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | リグニン誘導体及びその二次誘導体 |
JP2017025338A (ja) * | 2015-03-19 | 2017-02-02 | 国立大学法人京都大学 | 化学修飾セルロースナノファイバー及び熱可塑性樹脂を含有する繊維強化樹脂組成物 |
EP3323575A1 (de) * | 2016-11-14 | 2018-05-23 | Fraunhofer Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. | Acetyliertes lignocellulose-material mit autoadhäsiven eigenschaften |
CN111971153A (zh) * | 2018-04-13 | 2020-11-20 | 特里高亚科技有限公司 | 乙酰化木材及其制备方法 |
EP3774241B1 (en) * | 2018-04-13 | 2023-05-31 | Tricoya Technologies Ltd | Acetylated wood and method of making same |
EP4234190A3 (en) * | 2018-04-13 | 2023-12-06 | Tricoya Technologies Ltd | Acetylated wood and method of making same |
CN112080016A (zh) * | 2020-09-21 | 2020-12-15 | 中国科学院长春应用化学研究所 | 一种生物质材料及其制备方法 |
CN112080016B (zh) * | 2020-09-21 | 2021-09-21 | 中国科学院长春应用化学研究所 | 一种生物质材料及其制备方法 |
WO2024058246A1 (ja) * | 2022-09-16 | 2024-03-21 | 国立大学法人京都大学 | 組成物 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2007084769A (ja) | バインダレス成形用材料及び成形体 | |
Periyasamy et al. | Chemical, physical and biological methods to convert lignocellulosic waste into value-added products. A review | |
Mahmood et al. | Pretreatment of oil palm biomass with ionic liquids: a new approach for fabrication of green composite board | |
CN102076772B (zh) | 通过加热、加压固化的组合物 | |
JP2018048333A (ja) | リグノセルロース系バイオマスから、燃料ペレットおよびその他の製品を製造する方法 | |
de Lima Mesquita et al. | Eco-particleboard manufactured from chemically treated fibrous vascular tissue of acai (Euterpe oleracea Mart.) Fruit: A new alternative for the particleboard industry with its potential application in civil construction and furniture | |
JP4081579B2 (ja) | リグノセルロース系材料及びその利用 | |
JP2007021972A (ja) | バインダレスボード | |
JPH0622803B2 (ja) | パーティクルボード等の原料の製造方法およびパーティクルボードの製造方法 | |
WO1996019328A1 (fr) | Planche fabriquee a partir d'un vegetal liberien malvace et procede de fabrication | |
JP2007261159A (ja) | 木質系材料からなる成形体の製造方法 | |
JPWO2013190777A1 (ja) | バガス成形体 | |
Xu et al. | Valorization of sewage sludge for facile and green wood bio-adhesives production | |
Zeleke et al. | Chemical composition and extraction of micro crystalline cellulose from outer skin isolated coffee husk | |
JP5146799B2 (ja) | リグノフェノールの製造方法 | |
RU2381244C2 (ru) | Пресс-масса, способ ее получения и способ получения плитных материалов на ее основе | |
JP2007076335A (ja) | バインダレス成形用材料及び成形体 | |
JP2015214035A (ja) | 成形品の製造方法 | |
KR101292521B1 (ko) | 고체연료대체재의 제조방법 | |
JP2014005237A (ja) | リグニン製造方法、リグニン、及び油脂の製造方法 | |
RU2656067C2 (ru) | Способ получения плитных материалов на основе кавитированного растительного сырья и синтетических связующих | |
JPH02131591A (ja) | リグノセルロース系バイオマスの処理方法 | |
JP4945716B2 (ja) | リグノセルロース系材料の分離方法 | |
JP2008007622A (ja) | リグノフェノール誘導体を利用した樹脂組成物 | |
WO2001074949A1 (fr) | Composition lignocellulosique comprenant un derive de lignophenol et un agent cellulosique |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20070704 |