JP2013100563A - リグニン誘導体及びその二次誘導体 - Google Patents

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Abstract

【課題】フェノール性水酸基の割合を多く含み、反応性基の導入が容易であるリグニン誘導体を提供し、また、樹脂原料として有用な反応性基を導入し、高い架橋密度が期待できるリグニン二次誘導体を提供する。
【解決手段】バイオマスを分解して得られるリグニン誘導体であって、前記リグニン誘導体はフェノール性水酸基とアルコール性水酸基をモル比として9:1から8:2の比率で有するものであることを特徴とするリグニン誘導体。前記リグニン誘導体が、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量が300〜2,000であるリグニン誘導体。前記リグニン誘導体に、反応性基を導入したリグニン二次誘導体。前記反応性基は、エポキシ基であるリグニン二次誘導体。
【選択図】なし

Description

本発明は、リグニン誘導体及びその二次誘導体に関するものである。
一般的な木質成分に、約30%含まれるリグニンは、セルロースに次いで豊富に生合成される物質であるが、有効な活用方法が確立されていない。リグニンは、芳香環や、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基を、豊富に含む構造を有しており、有効利用法のひとつとして樹脂原料が考えられる(例えば、特許文献1参照。)。前記樹脂原料として、リグニンに、エポキシ基等の架橋用官能基を導入する場合、リグニンにおける反応性の低いアルコール性水酸基が、前記官能基の導入を阻害する。舩岡らの報告では、フェノール性水酸基とアルコール性水酸基のモル比は、およそ0.8:1.0〜1.5:1.0程度である(例えば、非特許文献1参照。)。また、リグニンにエポキシ基等の架橋用官能基を導入する場合、アルコール性OH基は反応性が劣るため、予めフェノール化合物を導入する必要があった。長谷川らはリグノフェノールのエポキシ化を検討しているが、フェノール性OH基を増加させているにもかかわらず、エポキシ基の導入率が20%前後と低くなる問題があった(例えば、非特許文献2参照。)。
特開2001−261839号公報
K. Mikame, M. Funaoka, Polym. J.,38, 585−591, 2006J . Kadota, K. Hasegawa, M. Funaoka Journal of Network Polymer. Japan, 27, 118−125, 2006
本発明は、フェノール性水酸基の割合を多く含み、反応性基の導入が容易であるリグニン誘導体を提供するものである。また、本発明は、樹脂原料として有用な反応性基を導入し、高い架橋密度が期待できるリグニン二次誘導体を提供するものである。
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、リグニンにおけるフェノール性水酸基とアルコール性水酸基において、フェノール性水酸基が特定モル比の範囲で多くの割合を含くむことにより、反応性基の導入を容易なものとすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、下記に記載の本発明(1)〜(6)により達成される。
(1) バイオマスを分解して得られるリグニン誘導体であって、前記リグニン誘導体はフェノール性水酸基とアルコール性水酸基をモル比として9:1から8:2の比率で有するものであることを特徴とするリグニン誘導体。
(2) 前記リグニン誘導体は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量が300〜2,000である第(1)項に記載のリグニン誘導体。
(3) 前記リグニン誘導体は、前記バイオマスを、溶媒存在下、高温高圧処理により分解して得られるものである第(1)項又は第(2)項に記載のリグニン誘導体。
(4) 前記バイオマスは、リグニンを含有する植物または植物由来の物質である第(1)項〜第(3)項のいずれか1項に記載のリグニン誘導体。
(5) 第(1)項〜第(4)項のいずれか1項に記載のリグニン誘導体に、反応性基を導入したリグニン二次誘導体。
(6) 前記反応性基は、エポキシ基である第(5)項に記載のリグニン二次誘導体。
本発明によれば、フェノール性水酸基の割合を多く含み、反応性基の導入が容易であるリグニン誘導体を提供でき、また、樹脂原料として有用な反応性基を導入し、高い架橋密度が期待できるリグニン二次誘導体を提供できる。このような高い架橋密度に基づく、すぐれた硬化性と物性等を有するリグニン誘導体ならびにその二次誘導体を得ることで、環境にやさしく、かつ産業上で有用な樹脂を提供しうる。
本発明におけるリグニン誘導体はバイオマスを分解して得られるものであって、前記リグニン誘導体はフェノール性水酸基とアルコール性水酸基をモル比として9:1から8:2の比率で有するものであることを特徴とするリグニン誘導体である。前記フェノール性水酸基とアルコール性水酸基は共に主としてリグニン骨格由来のものであり、本発明によれば、フェノール性水酸基が前記モル比のように多くの割合を含み、反応性基の導入を容易なものとすることができる。反応性基を多く導入できるため、架橋密度の高い樹脂を提供することが可能になる。
本発明におけるバイオマスとは、リグニンを含有する植物または前記植物の加工品である。前記植物としては、例えば、ブナ、白樺及びナラなどの広葉樹、杉、松及び桧などの針葉樹、竹及び稲わらなどのイネ科植物などが挙げられる。本発明に用いるバイオマスの形状としては、ブロック、チップ、粉末等が挙げられる。
本発明におけるリグニン誘導体は、前記バイオマスを、溶媒存在下、高温高圧処理により分解することにより得ることができる。
リグニン誘導体の製造方法の具体例としては、まず、前記バイオマスを一定の大きさに調整し、次いで、これを、溶媒、任意に触媒、と共に、撹拌機及び加熱装置付の耐圧容器に入れて、加熱及び加圧をしながら、撹拌して、前記バイオマスの分解処理を行う。次いで、耐圧容器の内容物をろ過して、ろ液を除去し、水不溶分を水で洗浄、分離する。次いで、前記水不溶分を、リグニンが可溶な溶媒、例えば、アセトンなどに浸漬して、リグニン誘導体をアセトンに抽出して、前記アセトンを留去することにより、リグニン誘導体を得ることができる。
前記分解処理におけるバイオマスの大きさとしては、100μm〜1cm程度が好ましく、200μm〜500μmがより好ましい。このときバイオマスの形状としては、上記のように、ブロック状、チップ状、粉末状等のいずれであってよい。
前記分解処理における溶媒としては、水、メタノール及びエタノールなどのアルコール類、フェノール及びクレゾールなどのフェノール類、ケトン類、エーテル類などを挙げることができ、特に水を使用することが好ましい。溶媒の使用量としては、バイオマスに対して多量に用いるほど好ましいが、バイオマス重量の2重量倍から10重量倍程度が好ましく、3重量倍から5重量倍程度がより好ましい。また触媒として炭酸ナトリウムなどの無機塩基類を添加してもよい。
前記バイオマスを高温高圧で処理する条件としては、処理温度としては通常は150℃から400℃が好ましく、さらに好ましくは200℃から380℃である。前記処理温度は、前記範囲外でも使用できるが、リグニン誘導体の分子量は処理温度で制御可能であり、高温で処理すると低分子量体に、低温で処理すると高分子量体になる傾向となる。前記処理時間としては通常は0分から480分が好ましく、さらに好ましくは30分から120分である。前記処理時間は、前記範囲外でも使用できるが、リグニン誘導体のOH当量は処理時間で制御可能であり、短時間処理でOH当量は大きく、長時間処理では小さくなる傾向となる。前記圧力としては1.0MPaから40MPaが好ましく、さらに好ましくは1.5MPaから25MPaである。前記圧力は、前記範囲外でも使用できるが、より高圧で処理することで、長時間処理を施した場合と同等の効果が得られる。
上記範囲内の条件でバイオマスを処理することで、300から2,000程度と好ましい範囲の数平均分子量となると共に、さらには、本発明のリグニン誘導体として、好ましいOH当量である100から200程度のOH当量に制御しやすくなる。
また、本発明においては、OH当量と分子量は独立に制御が可能であり、例えば、処理温度にかかわらず、短時間処理によりOH当量(主にフェノール性水酸基)が200前後と大きいものが得られ、長時間処理により100前後で飽和して小さなOH当量が得られる。
上記分解して得られたリグニン誘導体は、フェノール性水酸基とアルコール性水酸基をモル比として9:1から8:2の比率で有するものであることを特徴とする。前記リグニン誘導体は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量が300〜2,000であることが好ましい。前記範囲外でも良いが、300より小さいと架橋用官能基を導入した場合、単官能のリグニン二次誘導体が生成し、硬化しない問題が発生する場合があり、2,000より大きいとリグニン二次誘導体の軟化点が高すぎて成形しにくくなる問題が発生する場合がある。
また、本発明は、上記で得られたリグニン誘導体に、反応性基を導入したリグニン二次誘導体である。このようなリグニン二次誘導体樹脂原料として有用な反応性基を導入し、高い架橋密度が期待できる。
リグニン二次誘導体における反応性基は、反応性を有する基であり、その反応性基が自己反応性を有し、2個以上の同じ反応性基が互いに反応しうるもの、他の官能基との間で反応しうるものであればよく、好ましくは炭素−炭素不飽和結合を有するビニル基、同じくエチニル基、マレイミド基など、その他にエポキシ基、シアネート基、イソシアネート基等が例示されるが、特にこれらに限定されるものではない。特に好ましい反応性基としてエポキシ基が挙げられる。
リグニン二次誘導体の製造方法は、当業者において、フェノール性水酸基に前記反応性基を導入することができる公知の方法を用いることができ、適宜、反応性基の導入方法は選択することができる。
以下に、それぞれの反応性基の導入方法の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
例えば、エポキシ基を導入する場合、前記リグニン誘導体をエピクロロヒドリンに溶解し、減圧還流下、NaOHなどの塩基触媒を添加することで得られる。
また、ビニル基を導入する場合、ハロゲン化アリルまたはハロゲン化ビニルベンジル等のビニル基を含むハロゲン化合物と、前記リグニン誘導体を、溶剤に溶解し、加熱攪拌下でNaOHなどの塩基触媒を添加することで得られる。
エチニル基を導入する場合は、ハロゲン化プロパルギルまたはハロゲン化フェニルアセチレン等のエチニル基を含むハロゲン化合物と、前記リグニン誘導体を、溶剤に溶解し、加熱攪拌下でNaOHなどの塩基触媒を添加することで得られる。
さらに、マレイミド基を導入する場合、パラクロロニトロベンゼンを、前記リグニン誘導体のフェノール性OH基に反応させ、エーテル結合を介して結合したポリニトロ化リグニンを得る。次いで、ポリニトロ化リグニンを還元することで、ポリアミノ化リグニンに変換し、無水マレイン酸と反応させることで、マレイミド基を持つリグニン二次誘導体が得られる。
シアネート基を導入する場合、前記リグニン誘導体と、ハロゲン化シアネートを、溶剤に溶解し、加熱攪拌下でNaOHなどの塩基触媒を添加することで得られる。
また、イソシアネート基を導入する場合、リグニンを無水マレイン酸で処理することで、リグニンのOH基をカルボキシル基に変換し、ジフェニルリン酸アジド存在下加熱することで得られる。
本発明のリグニン誘導体は、フェノール性OH基を豊富に含むため、従来より、フェノール樹脂が用いられる用途には全般的に適用可能であり、また、リグニン二次誘導体は、導入される反応性基により、例えば、エポキシ樹脂をはじめとする多様な用途に適用可能となる。さらに、従来のリグニン誘導体と比較して、フェノール性OH基を豊富に含むため、二次誘導体化した後、リグニン二次誘導体を硬化した際の架橋密度を高めることが可能である。
このような用途として具体的には、自動車、電気部品、電子部品、半導体に用いられる成形材料、封止材料、積層板、FRP用樹脂等が例示される。
実際の使用においては、前記リグニン誘導体は、単独でフェノール樹脂の用途に使用することや、他のフェノール樹脂と混合して使用することも可能である。
また、前記リグニン二次誘導体においては、前記反応性基として、エポキシ基を導入した場合、エポキシ樹脂として使用することが可能であり、このようなリグニン二次誘導体に、硬化剤として、前記リグニン誘導体や他のフェノール樹脂、あるいは当業者で公知の酸無水物等の硬化剤を併用すること、さらには他のエポキシ樹脂と併用することも可能である。
さらには、前記反応性基として、ビニル基を導入した場合、ラジカル、カチオン及びアニオン等の硬化性の樹脂として使用することができ、さらには、前記反応性基として、前記エチニル基、マレイミド基、シアネート基、イソシアネート基などを導入した場合、これらの反応性基を有する公知の樹脂として用いることができ、これらの樹脂は、前記各種用途に使用することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
孟宗竹粉(60メッシュアンダー)15gと純水80gを、300mlオートクレーブに導入し、内容物を300rpmで攪拌しながら、8.0MPa、300℃で120分間処理して、孟宗竹を分解した。次いで、分解物をろ過し、純水で洗浄することで、水不溶部10.0gを分離した。この水不溶部をアセトン200mlに一晩浸漬し、ろ過することでアセトン可溶部を回収した。次いで、前記アセトン可溶部より、アセトンを留去後、乾燥することで、リグニン誘導体2.7gを得た。ここで得られたものについて、1H−NMRにより測定した結果から、7から8ppmに芳香環、3.5から4ppm付近にメトキシ基、0.5から3ppmにかけてアルキル基のピークが見られ、リグニン誘導体であることを確認した。
上記で得られたリグニン誘導体のOH当量は、以下の方法で決定した。共栓三角フラスコに、無水酢酸/ピリジン(1/3容量比)混合溶液4.0gと、上記で得たリグニン誘導体1.0gを入れて溶解させた。この溶液を60℃で3時間保持した後、純水1mlを添加した。このようにして得られた溶液を、pH=10を終点として、0.1mol/LのNaOH水溶液で滴定したところ、リグニン誘導体のOH当量は118であった。
また、上記で得られたリグニン誘導体中のフェノール性OH基とアルコール性OH基のモル比(以下P/A比)は以下の方法で決定した。上記で得られたリグニン誘導体1.0gを、無水酢酸/ピリジン(1/3容量比)混合溶液4.0gを用いて、前記リグニン誘導体をアセチル化した。この反応溶液より、未反応の無水酢酸およびピリジンを留去し、乾燥して得られたアセチル化したリグニン誘導体を用いて、1H−NMRにより測定した。アセチル基由来のプロトンの積分比(フェノール性OH基に結合したアセチル基由来:2.2〜2.6ppm、アルコール性OH基に結合したアセチル基由来:1.6〜2.2ppm)から、モル比を決定したところ、前記P/A比は9.0:1.0であった。
また、上記で得られたリグニン誘導体の分子量は、テトラヒドロフランを溶離液として、ポリスチレン換算のゲル浸透クロマトグラフィーにより測定したところ、数平均分子量(Mn)=560、分子量分布(Mw/Mn)=1.18であった。
実施例2
実施例1において、処理温度300℃を150℃に変更した他は、実施例1と同様に行い、リグニン誘導体3.5gを得た。ここで得られたリグニン誘導体を、実施例1と同様にして評価のところ、OH当量=122、P/A比=8.8:1.2、Mn=1800、Mw/Mn=1.82であった。
実施例3
実施例1において、処理温度300℃を200℃に、処理圧力を8.0MPaから1.5MPaに変更した他は、実施例1と同様に行い、リグニン誘導体3.2gを得た。ここで得られたリグニン誘導体を、実施例1と同様にして評価のところ、OH当量=124、P/A比=8.9:1.1、Mn=1000、Mw/Mn=2.02であった。
実施例4
実施例1において、処理温度300℃を400℃に、処理圧力を8.0MPaから25MPaに変更した他は、実施例1と同様に行い、リニン誘導体2.1gを得た。ここで得られたリグニン誘導体を、実施例1と同様にして評価のところ、OH当量=131、P/A比=9.0:1.0、Mn=280、Mw/Mn=1.80であった。
実施例5
実施例1において、処理時間120分を30分に変更した他は、実施例1と同様に行い、リグニン誘導体3.2gを得た。ここで得られたリグニン誘導体を、実施例1と同様にして評価のところ、OH当量=202、P/A比=8.9:1.1、Mn=620、Mw/Mn=1.35であった。
実施例6
実施例1において、処理時間120分を60分に変更した他は、実施例1と同様に行い、リグニン誘導体3.6gを得た。ここで得られたリグニン誘導体を、実施例1と同様にして評価のところ、OH当量=171、P/A比=8.5:1.5、Mn=570、Mw/Mn=1.24であった。
実施例7
実施例1において、溶媒の純水をフェノールに変更した他は、実施例1と同様に行い、リグニン誘導体5.2gを得た。ここで得られたリグニン誘導体を、実施例1と同様にして評価のところ、OH当量=102、P/A比=9.0:1.0、Mn=680、Mw/Mn=1.53であった。
実施例8
攪拌装置、冷却器、滴下ロートの付いた100mlの三つ口フラスコに、実施例1と同様にして得たリグニン誘導体1.2gと、エピクロロヒドリン100.0gを導入し、100mmHgの圧力下で減圧還流しながら、20%濃度のNaOH水溶液2.0gを30分かけて滴下した。その後、90分間減圧還流状態を保持して反応混合物を得た。反応混合物は、不溶部を濾過して取り除き、エピクロロヒドリン可溶部を単離した。このエピクロロヒドリン可溶部からエピクロロヒドリンを留去し、乾燥することで、リグニン二次誘導体(エポキシ化リグニン)0.8gを得た。
上記で得られたリグニン二次誘導体の構造を1H−NMRで確認したところ、リグニン誘導体のピークに加えて2.7、2.9、3.3、3.5、3.9ppmにエポキシ基由来のピークが観測された。
リグニン二次誘導体の分子量は、ポリスチレン換算のゲル浸透クロマトグラフィーにより測定したところ、Mn=600、Mw/Mn=1.67であった。
リグニン二次誘導体のエポキシ基導入率は、1H−NMRで測定のところ、30%であった。
実施例9
攪拌装置、冷却器、滴下ロートの付いた100mlの三つ口フラスコに、実施例1と同様にして得たリグニン誘導体1.2gとN,N’−ジメチルホルムアミド100mlを導入し、20%濃度のNaOH水溶液2.0gを添加し、混合した。この混合溶液を60℃に加熱、攪拌しながら、臭化アリル1.3gを30分間かけて滴下し、さらに60℃で90分間攪拌を続け、反応させた。反応混合物をメチルイソブチルケトン(MIBK)に溶解させた後、MIBK溶液を水で洗浄後、溶剤を留去乾燥することで、リグニン二次誘導体(アリル化リグニン)0.8gを得た。得られたリグニン二次誘導体を実施例8と同様にして評価のところ、Mn=610、官能基導入率は45%であった。
比較例1
非特許文献1(K. Mikame, M. Funaoka, Polym. J., 38, 585−591, 2006J)を参考に、リグノフェノール誘導体を以下の方法で合成した。孟宗竹粉10gを、500ml容ビーカーにとり、p−クレゾールのアセトン溶液(リグニンC9単位当たり3モル倍量のフェノール誘導体を含む)を加え、ガラス棒で撹拌し、24時間静置させた。その後、アセトンを完全に留去して、p−クレゾール収着木粉を得た。この竹粉に対して、72wt%硫酸100mlを加え、30℃で、1時間激しく撹拌した後、混合物を、大過剰の水に投入、不溶解区分を回収、脱酸し、乾燥して、リグノフェノール誘導体を得た。このリグノフェノール誘導体を、実施例1と同様にして評価のところ、Mn=3600、OH当量=143g/eq、P/A比=5.8:4.2であった。
比較例2
非特許文献2(Kadota, K. Hasegawa, M. Funaoka Journal of Network Polymer. Japan, 27, 118−125, 2006)を参考に、比較例1で得たリグノフェノール誘導体を以下の方法でエポキシ化した。攪拌装置、冷却器、滴下ロートの付いた100mlの三つ口フラスコに、比較例1で得たリグノフェノール誘導体1.4gとエピクロロヒドリン100.0gを導入し、100mmHgに減圧還流しながら、20%NaOH水溶液1.0gを30分かけて滴下した。その後、90分間減圧還流状態を保持した。反応混合物から不溶部を濾過して除き、エピクロロヒドリン可溶部からエピクロロヒドリンを留去、乾燥することで、エポキシ化リグノフェノール1.3gを得た。得られたリグニン二次誘導体を実施例8と同様にして評価のところ、Mn=2400、エポキシ基導入率は19%であった。
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、リグニンにおけるフェノール性水酸基とアルコール性水酸基において、フェノール性水酸基が特定モル比の範囲で多くの割合を含くむことにより、反応性基の導入を容易なものとすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、下記に記載の本発明(1)〜(6)により達成される。
(1) バイオマスを溶媒存在下において温度150〜400℃、圧力1.0〜40MPaの高温高圧処理により分解して得られるリグニン誘導体であって、前記リグニン誘導体はフェノール性水酸基とアルコール性水酸基をモル比として9:1から8:2の比率で有し、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量が300〜2,000のものであることを特徴とするリグニン誘導体。
(2) 前記リグニン誘導体は、分子量分布が1.18〜2.02である第(1)項に記載のリグニン誘導体。
(3) 前記溶媒の量は、前記バイオマスの2重量倍以上の量である第(1)項又は第(2)項に記載のリグニン誘導体。
(4) 前記バイオマスは、リグニンを含有する植物または植物由来の物質である第(1)項〜第(3)項のいずれか1項に記載のリグニン誘導体。
(5) 第(1)項〜第(4)項のいずれか1項に記載のリグニン誘導体に、反応性基を導入したリグニン二次誘導体。
(6) 前記反応性基は、エポキシ基である第(5)項に記載のリグニン二次誘導体。

Claims (6)

  1. バイオマスを分解して得られるリグニン誘導体であって、前記リグニン誘導体はフェノール性水酸基とアルコール性水酸基をモル比として9:1から8:2の比率で有するものであることを特徴とするリグニン誘導体。
  2. 前記リグニン誘導体は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量が300〜2,000である請求項1に記載のリグニン誘導体。
  3. 前記リグニン誘導体は、前記バイオマスを、溶媒存在下、高温高圧処理により分解して得られるものである請求項1又は2に記載のリグニン誘導体。
  4. 前記バイオマスは、リグニンを含有する植物または植物由来の物質である請求項1〜3のいずれか1項に記載のリグニン誘導体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のリグニン誘導体に、反応性基を導入したリグニン二次誘導体。
  6. 前記反応性基は、エポキシ基である請求項5に記載のリグニン二次誘導体。
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