JP2011178681A - 皮膚洗浄剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】次の成分(A)〜(E):
(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩 0.25〜18質量%、
(B)成分(A)以外のカルボキシル基を有するアニオン界面活性剤 2〜15質量%、
(C)両性界面活性剤 0.5〜15質量%、
(D)アクリル酸/メタクリル酸アルキル共重合体 0.1〜1.2質量%、
(E)水
を含有し、成分(B)及び(C)の質量割合が(C)/(B)=0.2〜1.5であり、かつ成分(A)、(B)及び(C)の質量割合が(A)/((B)+(C))=0.1〜0.6である皮膚洗浄剤組成物。
【選択図】なし
Description
洗浄剤を手で直接体に塗る洗浄方法は、道具による摩擦が無いことから肌にやさしく、道具に剤を付けたり使用後に道具をすすいだりする必要が無いことから、簡便で、入浴時間を短縮できるなどの利点がある。
すなわち、泡立ち、すすぎ性といった洗浄性能に加えて、使用に適当な粘度特性を有することもまた非常に重要である。このような問題に対し、いくつか検討されている。
(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩 0.25〜18質量%、
(B)成分(A)以外のカルボキシル基を有するアニオン界面活性剤 2〜15質量%、
(C)両性界面活性剤 0.5〜15質量%、
(D)アクリル酸/メタクリル酸アルキル共重合体 0.1〜1.2質量%、
(E)水
を含有し、成分(B)及び(C)の質量割合が(C)/(B)=0.2〜1.5であり、かつ成分(A)、(B)及び(C)の質量割合が(A)/((B)+(C))=0.1〜0.6である皮膚洗浄剤組成物を提供するものである。
高級脂肪酸又はその塩としては、次の一般式(2)で表されるものが好ましい。
また、nは1又は2の数を示し、nが1の場合は、N−アシルグリシン塩、nが2の場合は、N−アシル−β−アラニン塩である。両者は併用してもよいが、泡量が良好であることから、N−アシルグリシン塩がより好ましい。
成分(B)は、1種又は2種以上を用いることができ、酸として全組成中に2〜15質量%、好ましくは5〜10質量%含有される。この範囲内であれば、粘度を高めることができ、良好な泡立ちを得ることができる。
カルボン酸型両性界面活性剤としては、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられ、スルホン酸型両性界面活性剤としては、アルキルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられ、リン酸エステル型両性界面活性剤としては、アルキルヒドロキシホスホベタイン等が挙げられる。
具体的には、例えばカーボポールETD−2020、カーボポール1342、カーボポール1382、ペムレンTR−1、ペムレンTR−2(以上、ノベオン(NOVEON)社製)等が挙げられる。
本発明のこのような特徴は、そのレオロジー特性と密接に関係している。
本発明において、成分(C)と成分(B)とを組み合わせ、成分(E)に溶解することにより、成分(C)と成分(B)は棒状ミセルを形成する。棒状ミセルは、球状ミセルに比べて移動が制限されるために粘性を有する。また、本発明で用いる成分(D)のポリマーは、塩類や界面活性剤の存在によって十分に膨潤することができず、洗浄剤組成物に粒子分散液のような性質を付与する。この結果、粒子とみなされる界面活性剤がつくる棒状ミセルとポリマー粒子の間で、粒子の体積分率に応じて、粒子間の3次元的な架橋が生じ、元の粒子よりも大きな流動の単位が形成される。この結果、高い貯蔵弾性率を有し、擬塑性流動を示す液体になると考えられる。特に、成分(B)及び(C)の質量割合が、(C)/(B)=0.2〜1.5、好ましくは0.3〜1である場合、貯蔵弾性率を高めることができ、使用時に垂れ難くすることができる。
また、剤を手で肌に塗布するという工程は、剤に剪断力を付与することに相当する。剤に剪断力を付与した際には、上述した剤(溶液)中に形成された粒子間の3次元的な架橋が破壊され、更には、粒子が静止時に比べて細分化されると考える。このため、剤は急激な粘度低下を起こすと考えられる。
粒子分散液を手と肌の間に挟んで手を動かすと、静止状態からの急激な粘度低下により、伸びが良い感じ、軽く伸びる感じ、なじみがいい感じなどを認知すると考えられる。
皮膚洗浄剤組成物を手で肌の上に伸ばし拡げているときを考える。これは、二つのプレート(肌と手に相当するモデル)の間に剤を挟み、一方のプレート(手)のみを動かす場合に相当する(図1)。固定されているプレート(肌)の表面において、剤の移動速度は0である。一方、動いているプレート(手)の表面における剤の移動速度は最大となる。動いているプレート(手)の表面では、せん断によって伸長して流動方向に配向した高分子鎖や棒状ミセルが元の形に戻ろうとする力(張力)に由来する応力も最大となっている。一方、固定されているプレート(肌)の表面では、何ら応力を生じていない。このような二つの表面(手と肌)間の応力差は、手の表面から肌の表面に向かう圧力を生じる。このような圧力が大きいと、手と肌が接触しにくいという感じを付与し、特殊なマイルド感や、コク感を使用者に強く感じさせることができる。この感触は、本発明のように、成分(B)及び(C)の質量割合が、(C)/(B)=0.2〜1.5にあるとき、より強く感じることができる。
界面活性剤濃度の高い水溶液や、超高分子の水溶液は、曳糸性を発現することがある。曳糸性は、使用時、容器や使用場所を汚すため、非常に問題となる。本発明においても、界面活性剤とポリマーの相互作用により、擬似的に超高分子を形成し、曳糸性を発現しやすい。しかし、成分(C)と成分(B)が形成する棒状ミセルに成分(A)が加わり、本発明のように、成分(A)、(B)及び(C)の質量割合が、(A)/((B)+(C))=0.1〜0.6、好ましくは0.15〜0.4であるとき、曳糸性が抑制され、使用感が向上する。
上記の効果は、(A)の添加により水溶液中の界面活性剤分子の会合構造が変化することに由来していると考えられる。例えば、ミセルの表面電荷の変化、ミセル内部のパッキング構造の変化などによって、棒状ミセルの会合数や棒状ミセル鎖同士の絡み合い構造が変化すると考えられる。
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、垂れにくく、伸びが良く、塗布時の厚み感・コク感に優れるという観点から、30℃においてB型粘度計(東京計器社製)で測定したときの粘度が、600〜5000mPa・s、特に1000〜3000mPa・sであるのが好ましい。
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、特に、全身をぬらした後、適量を手にとって直接肌に伸ばし、シャワーで洗い流す使用方法に好適である。
表1及び表2に示す組成の皮膚洗浄剤組成物を製造し、初期粘度、pHを測定するとともに、官能評価を行った。また、実施例1〜2及び比較例1〜2については、レオロジー測定を行った。結果を表1及び表2に併せて示す。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
一部の精製水に水酸化カリウムを添加し、75℃に加温する。この水溶液に70℃で予備溶解した脂肪酸を添加し、次にポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸を添加して完全に溶解させ、均一にする。アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体は、一部の精製水に分散させ、上記界面活性剤溶液に添加した。次に、両性界面活性剤を添加し、完全に均一になるまで攪拌する。室温まで冷却し、他の成分を添加して、皮膚洗浄剤組成物を得た。
(1)粘度の測定:
各皮膚洗浄剤組成物を30℃の恒温槽につけて十分に馴化させた後、B型粘度計(東京計器社製)(ローター:M2、回転数:30又は12rpm)を用い、1分間測定した。
各皮膚洗浄剤組成物を30℃の恒温槽につけて十分に馴化させた後、サンプル瓶に1gを精秤し、精製水で20倍に希釈し(5%)、室温(25℃)で、水溶液のpHを測定した(堀場製作所社製、型番F−22)。
使用感は、サンプルを手に採り、泡立てて泡立ちを評価した後、水道水で流してすすぎ性を評価した。続いて、水道水で予備洗浄した前腕部内側に手で皮膚洗浄剤組成物を塗布し、垂れにくさ、伸ばしやすさ、塗布感(厚み感・コク感)、曳糸性を評価した後、水道水で流して、すすぎ性を評価した。
専門パネリスト2名に各皮膚洗浄剤組成物を実際に使用してもらい、下記の5段階評価基準で垂れにくさを官能評価し、評点の平均値を求めた。
(5段階評価基準)
5;剤が垂れない。
4;剤が垂れにくい。
3;剤がやや垂れにくい。
2;剤がやや垂れやすい。
1;剤が垂れる。
専門パネリスト2名に各皮膚洗浄剤を実際に使用してもらい、下記の5段階評価基準で伸ばしやすさを官能評価し、評点の平均値を求めた。
(5段階評価基準)
5;剤が非常に伸ばしやすい。
4;剤が伸ばしやすい。
3;剤がやや伸ばしやすい。
2;剤が伸びにくい。
1;剤が伸びない。
専門パネリスト2名に各皮膚洗浄剤を実際に使用してもらい、下記の5段階評価基準で塗布感を官能評価し、評点の平均値を求めた。
(5段階評価基準)
5;剤に非常に塗布感がある。
4;剤に塗布感がある。
3;剤にやや塗布感がある。
2;剤にやや塗布感がない。
1;剤に塗布感がない。
専門パネリスト2名に各皮膚洗浄剤を実際に使用してもらい、下記の5段階評価基準で曳糸性を官能評価し、評点の平均値を求めた。
(5段階評価基準)
5;剤が糸を曳かない。
4;剤がやや糸を曳かない。
3;剤がやや糸を曳く。
2;剤が糸を曳く。
1;剤が非常に糸を曳く。
専門パネリスト2名に各皮膚洗浄剤を実際に使用してもらい、下記の5段階評価基準で泡立ちを官能評価し、評点の平均値を求めた。
(5段階評価基準)
5;剤が非常によく泡立つ。
4;剤がよく泡立つ。
3;剤がやや泡立つ。
2;剤がやや泡立ちにくい。
1;剤が泡立ちにくい。
専門パネリスト2名に各皮膚洗浄剤を実際に使用してもらい、下記の5段階評価基準ですすぎ性を官能評価し、評点の平均値を求めた。
(5段階評価基準)
5;剤が非常にすすぎやすい。
4;剤がすすぎやすい。
3;剤がややすすぎやすい。
2;剤がややすすぎにくい。
1;剤がすすぎにくい。
レオロジー測定には、Paar Physica製のMCR500を使用した。測定セルは直径65mmのコーン・プレートを用いた。動的粘弾性の周波数依存性は、歪率0.1%、線形歪みにて角周波数ωが0.0135〜628s-1の範囲で測定した。測定前には、サンプルマウント操作などによる外乱が消えるだけの十分な待ち時間を設けた。全ての測定は25℃で行った。
剤を手にとって肌に塗布する際に、手から垂れにくいという観点を、角周波数0.292s-1、25℃において測定される貯蔵弾性率を性能評価の指標とした。
貯蔵弾性率が0.4Pa以上で、数値が大きくなるほど、剤の垂れ難さを実感できる。
伸ばしやすいという観点を、手による剤の伸ばし始めをひずみ速度0.216s-1とし、ひずみ速度0.216s-1における粘度、及び伸ばしている時をひずみ速度46.4s-1として、ひずみ速度46.4s-1における粘度からひずみ速度−粘度の対数プロットを作成し、変化の傾きを絶対値として伸ばしやすさの性能評価の指標とした。
ひずみ速度−粘度の対数プロットにおける変化の傾きが0.04以上であることが好ましい。
塗布時に特殊な厚み感・コク感があるという観点から、25℃、ひずみ速度216s-1において測定される第一法線応力の有無、若しくは大きさを性能評価の指標とした。第一法線応力が大きいほど、特殊な厚み感・コク感を感じることができ、好ましい。
表1に示したとおり、実施例1の皮膚洗浄剤組成物は、貯蔵弾性率が15.9Paであった。これは、剤が緩やかな動きに対して保型性が高いことを意味する。官能評価でも、本発明の皮膚洗浄剤組成物は、手に取って肌に塗布する際、垂れにくいものであった。これに対し、比較例1の皮膚洗浄剤組成物は、貯蔵弾性率が小さく、保型性を示さなかった。官能評価でも、手の上で垂れやすいものであった。
実施例1の皮膚洗浄剤組成物は、ひずみ速度−粘度の対数プロットにおける傾きの絶対値は0.63であり、動きに対して粘度が低下する傾向が大きい。官能評価では、実施例1の皮膚洗浄剤組成物は、手に取って肌に塗布する際、伸ばしやすいものであった。これに対し、比較例2の洗浄剤組成物は、ひずみ速度に対する粘度変化の傾きは0.02であり、動きに対して粘度が低下しにくい。官能評価でも比較例2の皮膚洗浄剤組成物は、伸びの良さが感じられなかった。
実施例1の皮膚洗浄剤組成物は、第一法線応力が51Paであった。官能評価では、厚み感・コク感(塗布時に、剤の厚みが感じられ、手と肌が接触しない感じ)に優れ、洗浄実感が高く感じられた。一方、比較例1は、第一法線応力が2Paであった。官能評価では、塗布時の厚み感・コク感が十分ではなかった。
実施例3の皮膚洗浄剤組成物に比べて、ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテル酢酸を含まない比較例3では、使用時に糸曳きを感じ、また伸びにくく感じられた。
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を含まない比較例4や、ラウリルヒドロキシスルホベタインを含まない比較例5では、十分な粘度を得ることができず、使用時に垂れやすく、塗布感も悪かった。
成分(B)のアニオン界面活性剤として、N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウムを用いた実施例4についても、実施例3と同様の性能を示すことが確かめられた。また、ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテル酢酸を含まない比較例6では、使用時に糸曳き性を感じ、また伸びにくく感じられた。アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を含まない比較例7や、ラウリルヒドロキシスルホベタインを含まない比較例8では、十分な粘度を得ることができず、使用時に垂れやすく、塗布感も悪かった。
Claims (3)
- 次の成分(A)〜(E):
(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩 0.25〜18質量%、
(B)成分(A)以外のカルボキシル基を有するアニオン界面活性剤 2〜15質量%、
(C)両性界面活性剤 0.5〜15質量%、
(D)アクリル酸/メタクリル酸アルキル共重合体 0.1〜1.2質量%、
(E)水
を含有し、成分(B)及び(C)の質量割合が(C)/(B)=0.2〜1.5であり、かつ成分(A)、(B)及び(C)の質量割合が(A)/((B)+(C))=0.1〜0.6である皮膚洗浄剤組成物。 - 30℃においてB型粘度計(東京計器社製)で測定したときの粘度が、600〜5000mPa・sである請求項1記載の皮膚洗浄剤組成物。
- 全身をぬらした後、適量を手にとって直接肌に伸ばし、シャワーで洗い流すために使用する請求項1又は2記載の皮膚洗浄剤組成物。
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