JP2011178446A - 紙容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】胴ピース10について本体11の内面から起立部13の外面にかけては全面ラミネート面14とするが、他面については非ラミネート面とする。底ピース20について本体21の上面から垂下部22の外面にかけては全面ラミネート面23とするが、他面については合成樹脂のドットが等分布に点在するドット面24とする。胴ピース10と底ピース20を接着した際にも、胴ピース10の非ラミネート面および底ピース20のドット面24のドットの間から蒸気が逃げるため、デラミネーションは防止される。底ピース20の垂下部22のドットが溶融して接着剤として機能することで、胴ピース10との接着が強化される。
【選択図】図2
Description
またこの発明は、2ピースの紙材同士を接着する紙の接着方法に関する。
この種の紙容器は、収納した飲料等の水分が紙素材に浸み込まないように、たとえば胴ピースおよび底ピースの両面全面に、ポリエチレン(PE)などの合成樹脂によりラミネートが施されている。
こうして組み合わされた状態で、胴ピース10と底ピース20のラミネート面14、23の合成樹脂は、加熱加圧により当該接触箇所が溶融することで接着剤として機能し、両者は接着されている。
これを一般にデラミネーション(delamination 層間剥離)と称し、デラミネーションが発生すると見栄えが悪く、また紙素材への水浸みや破損等の問題が生じる。そのため、紙容器としての商品価値が著しく低下してしまう。
しかし、接着剤として機能するラミネート素材が片面にしかないため、両面ラミネートに比べて接着が悪く、底ピースが胴ピースから外れやすくなる結果、紙容器の底抜け等が生じる問題がある。
このように構成すると、胴ピースと底ピースを接着した際にも、胴ピースの非ラミネート面および底ピースのドット面のドットの間から蒸気が逃げるため、デラミネーションは防止される。
そのうえ、胴ピースと底ピースの接着時には、底ピースの垂下部のドットが溶融して接着剤として機能することで、胴ピースとの接着が強化されている。
すなわち、前記胴ピースの本体の高さをH、前記底ピースの本体の面積をSとしたとき、0.005≦H/S≦0.46を満足する寸法関係とすることが可能となる。
接着剤として機能するラミネート面に、耐熱性に優れるPETを採用することで、紙容器のまま電子レンジにかけて冷凍食品をはじめとする収納食品を直接加熱することができる。
図1に示す実施形態の紙容器1は、冷凍食品などの食品の収納に好適に用いられ、紙容器1ごと食品を電子レンジにより加熱できるようになっている。
実施形態の紙容器1は、飲料を収納する一般的な紙コップとは異なり、固形食品の収納に用いるのに好適なように、底が浅くかつ広く形成されている。このような形状としては、その底面積をS、高さをHとしたとき、0.005≦H/S≦0.46を満足するものが好ましい。
この紙容器1は、略円筒形の胴ピース10の開放された下端を、略円板形の底ピース20により閉塞することで作製されており、底ピース20が容器の底壁を、胴ピース10が容器の周壁をそれぞれ構成している。
胴ピース10の本体11は、原紙から短冊形に打ち抜かれた紙片を、その長手方向に沿って円筒形に巻き両端部同士を接着することで形成されている。さらに、縁巻き部12は、本体11の上端部を外向きにカールさせることで形成され、起立部13は、本体11の下端部を内向きに折り返して形成されている。
ここで、短冊形の紙片の片面全面には合成樹脂によるラミネートが施されており、もう一方の面は何ら処理が施されず紙素材が露出している。胴ピース10の本体11の形成時には、このラミネートされた面が円筒の内面となるように巻かれることで、本体11の内面全面および起立部13の外面全面がラミネート面14となっている。
底ピース20は、原紙から円板形に打ち抜かれた紙片の周縁を折り下げることで、周縁以外が本体21として、周縁が垂下部22として、それぞれ形成されている。
なお、底ピース20の本体21の径は、胴ピース10の本体11の下側開口の径とほぼ等しく、底ピース20の垂下部22の垂下長さは、胴ピース10の起立部13の起立長さとほぼ等しくなっている。
また、円板形の紙片の一面全面には合成樹脂によるラミネートが施されており、図3のように、他面全面には多数の合成樹脂のドット24aが等分布となるように、所定の径rおよび所定の中心間距離dでアンカーコートされている。
そして底ピース20の形成時には、ラミネートされた面を上面にドットが施された面を下面にして周縁を折り下げることで、本体21においては上面がラミネート面23に下面がドット面24になり、垂下部22においては外面がラミネート面23に内面がドット面24になっている。
そしてこの状態において、垂下部22の部分を胴ピース10の外側からと内側から加熱加圧せしめ、ラミネート面14、23およびドット面24の合成樹脂が溶融することで、胴ピース10の本体11の内面下部と底ピース20の垂下部22の外面、および底ピース20の垂下部22の内面と胴ピース10の起立部13の外面が接着している。なお、図2は接合部を模式的に示したものであり、実際には胴ピース10と底ピース20とは密着している。
ここで、加熱や加圧の温度や圧力は特に限定されないが、たとえば〜500℃、3.0×106〜8.0×106N/m2である。
またラミネート面14、23の合成樹脂として、PETを選択した場合には、耐熱性に優れるため、紙容器1ごと食品を電子レンジで加熱するのに好適となる。
ラミネートの方式は特に限定されず、押し出しラミネート、ドライラミネートが例示できるが、押し出しラミネートの場合には、紙面にコロナ処理等を施して密着性を高めることが好ましい。
ラミネート面14、23の厚みも特に限定されないが、20μm〜50μmが例示できる。
ドット24aの形成の方式は特に限定されず、グラビア印刷、オフセット印刷が例示できる。
ドット面24の各ドット24aの径rおよび隣接するドット24aの中心間距離dは特に限定されないが、図3のように、径rは0.3mm〜1.3mm、中心間距離dは0.5mm〜2.0mmが好ましい。
ドット24aの径が小さすぎるとばらつきなく形成することが容易でなくなり、大きすぎると接着ムラが生じる虞がある。
また、中心間距離が近すぎるとドット24aの間から蒸気が抜けにくくなり、離れすぎると接着強化の程度が小さくなる虞がある。
これをドット面24の開口率に換算すると、30%〜80%くらいとなる。
紙の坪量も特に限定されないが、200g〜350gが例示できる。
また、底ピース20の垂下部22のドットが溶融して接着剤として機能することで、胴ピース10との接着が簡単な構成で強化されている。
カップ原紙230gの一面にPETにより厚さ30μmのラミネートを施し、他面に版深40μmでもって径が0.8mm中心間距離が1.19mmのドットをアンカーコートした。ドットには、三菱化学社製のBK−2180を用いた。
これを15mm幅の試験片に切断して実施例を準備した。
(比較例1)
カップ原紙230gの一面にPETにより厚さ30μmのラミネートを施し、他面には何も処理を施さなかった。
これを15mm幅の試験片に切断して比較例1を準備した。
(比較例2)
カップ原紙230gの両面にPETにより厚さ30μmのラミネートを施したものを、15mm幅の試験片に切断して比較例2を準備した。
実施例および比較例1、2の試験片をそれぞれ同じ向きに2枚重ねにし、時間、圧力、および温度を変化させて熱シールし、3分経過後、引張試験機にて剥離強度(ピーク値のみ、N)を測定した。
結果を、表1に示す。表から、時間、圧力、温度を変化させたいずれの場合においても、比較例1よりも実施例のほうが剥離強度(接着強度)が高いことが確認され、且つ、比較例2とほぼ同等の剥離強度が得られた。
実施例ならびに比較例1および2の試験片を、オーブンで焼成したときのデラミネーションの発生の有無を目視により観察した。オーブンは、シャープ社製のRE−MA1−Nを用いた。なお、一般の調理における容器の仕様としては、220℃までの焼成温度において、デラミネーションが発生しないことが要求される。
結果を、表2に示す。表中○はデラミネーションが発生しないことを、×はデラミネーションが発生することを示す。表から比較例2の試験片では、220℃のオーブン設定温度でデラミネーションが発生し、実施例の試験片ではテストした何れの設定温度でもデラミネーションが発生しないことが確認された。
2 従来の紙容器
10 胴ピース
11 本体
12 縁巻き部
13 起立部
14 ラミネート面
20 底ピース
21 本体
22 垂下部
23 ラミネート面
24 ドット面
24a ドット
r ドットの径
d ドットの中心間距離
Claims (6)
- 筒形の本体および本体の下端内側から起立する起立部を有する紙製の胴ピースと、
板形の本体および本体の周縁から垂下する垂下部を有する紙製の底ピースと、からなる紙容器であって、
前記胴ピースは、本体の内面から起立部の外面にかけて全面に合成樹脂のラミネートが施されたラミネート面を有し、
前記底ピースは、本体の上面から垂下部の外面にかけて全面に合成樹脂のラミネートが施されたラミネート面を有し、かつ本体の下面から垂下部の内面にかけて全面に合成樹脂のドットが等分布で施されたドット面を有し、
胴ピースの本体内面下部と底ピースの垂下部外面、および底ピースの垂下部内面と胴ピースの起立部外面が、前記ラミネート面およびドット面の合成樹脂により接着している紙容器。 - 前記底ピースのドットの径は、0.3mm〜1.3mmであり、
隣接するドットの中心間距離は、0.5mm〜2.0mmである請求項1に記載の紙容器。 - 前記胴ピースの本体の高さをH、前記底ピースの本体の面積をSとしたとき、0.005≦H/S≦0.46を満足する請求項1または2に記載の紙容器。
- 前記ラミネートの合成樹脂は、ポリエチレンテレフタレートである請求項1から3のいずれかに記載の紙容器。
- 請求項1から4のいずれかに記載の紙容器と、
この紙容器に収納された食品と、からなる食品包装体。 - 片面全面にのみ合成樹脂のラミネートが施された紙製の第1ピース、および一面全面に合成樹脂のラミネートが施され他面全面に合成樹脂のドットが等分布で施された紙製の第2ピースを準備する工程と、
前記第1ピースを折り曲げて前記第2ピースの両面に沿わせ、前記ラミネートおよびドットの合成樹脂を溶融させて第1ピースと第2ピースを接着する工程と、を含む紙の接着方法。
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