JP2000238197A - トレー状複合容器及びその製造方法 - Google Patents

トレー状複合容器及びその製造方法

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JP2000238197A
JP2000238197A JP3995799A JP3995799A JP2000238197A JP 2000238197 A JP2000238197 A JP 2000238197A JP 3995799 A JP3995799 A JP 3995799A JP 3995799 A JP3995799 A JP 3995799A JP 2000238197 A JP2000238197 A JP 2000238197A
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Yasuharu Sugiyama
康晴 杉山
Takayuki Ueki
貴之 植木
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紙容器とプラスチックフィルムを積層したト
レー状複合容器は、食品を密封した状態で電子レンジ又
はオーブンで加熱又は調理した場合、プラスチックフィ
ルムが紙容器から剥離したり、変形したりして外観形状
を損ねる。 【解決手段】 CPP フィルム13a とエチレン−アクリル
酸共重合体フィルム(EAA フィルム12a )を接着層14を
介してラミネートして積層フィルム10a を作製し((a)
図) 、また、カップ原紙を用いて、開口部の周辺にフラ
ンジ4 を有するトレー状の紙容器11を作製する((b)図)
。次に、真空成形機の金型20に紙容器11をセットし、
その金型の上に加熱軟化した積層フィルム10a を配置し
((c)図) 、積層フィルム10a を真空成形すると共に、EA
A フィルム12a を紙容器11に接着して紙容器11と一体化
して、トレー状複合容器1 を作製する((d)図) 。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、未調理食品、半調
理食品、又は調理食品を収納するための紙を基材とする
トレー状容器に関するもので、内容物を収納した状態で
電子レンジ又はオーブンで加熱できるようしたトレー状
複合容器及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子レンジの普及に伴って電子レンジ加
熱又はオーブン加熱により調理する包装食品が多数出回
っている。電子レンジは、弁当や惣菜等を単に温めるだ
けでなく、調理器具としても利用できるので、各種の調
理済食品や半調理済食品も販売されている。また、電子
レンジはマイクロ波による加熱だけでなく、ヒータによ
るオーブン加熱の機能も備えているので、各種食品の調
理器具としても利用されている。特に、米国において調
理済冷凍食品が開発され、電子レンジで温めるだけで食
することができる包装食品が販売されるようになり、電
子レンジ用包装食品として各種の包装食品が販売される
ようになった。
【0003】それに伴って、電子レンジ適性のある各種
の包装材料を組み合わせたものが開発されている。即
ち、紙に耐熱性プラスチック(ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリプロピレン等)を貼り合わせた容器、アルミ
ニウム箔にエポキシ樹脂やビニル系樹脂を塗工して電子
レンジ適性を向上させたもの、加熱調理時に食品から発
生する水蒸気を逃がすために、包装袋に通気性のある包
材を使用したもの、加熱調理時に発生する蒸気の結露、
又は食品から出るドリップを吸収するために、吸水性シ
ートを使用したもの、等がある。
【0004】また、紙製のトレー状容器に、調理済食品
又は半調理済食品を充填、密封し、使用時には、このト
レー状容器をそのまま電子レンジ又はオーブンで加熱、
又は加熱調理して、このトレー状容器を食器として使用
している場合がある。例えば、耐熱性、ヒートシール性
のある合成樹脂としてポリプロピレンを使用し、ポリプ
ロピレンと紙を積層し、ポリプロピレンが内面となるよ
うにトレー状容器にしたものがある。しかし、前記ポリ
プロピレンフィルムを紙の内面に用いた場合、トレー状
容器に成形する際に、コーナー部で折り返し成形するこ
とが困難であり、また、コーナー部を折り返して成形し
た場合フランジ部に段差が生じ、内容物を充填した後、
フランジ部に蓋材をヒートシールして密封することが困
難であった。
【0005】また、熱可塑性樹脂フィルムを加熱軟化し
て、真空成形又は圧空成形等の手段により、紙製の容器
の内面に接着したトレー状容器も提案されている。この
トレー状容器はフランジ部に段差が生じない構造にする
ことができるので、密封性に優れたトレー状容器として
使用することが可能であった。更に、紙製容器と熱可塑
性樹脂フィルムの接着性を良くするために、熱可塑性樹
脂フィルムとして、ポリプロピレンとカルボニル基を有
するエチレン系共重合体との積層フィルムを用いて、カ
ルボニル基を有するエチレン系共重合体層を紙容器と接
着させたトレー状容器も提案されている。しかし、これ
も電子レンジ加熱やオーブン加熱に耐える容器としては
十分でなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記トレー状
容器は、紙でトレー状容器を作製し、この紙製容器を金
型内に載置し、加熱軟化している熱可塑性樹脂フィルム
を真空成形等の手段で、紙製容器に接着して一体化する
際に、加熱軟化している熱可塑性樹脂フィルムが紙製容
器に接触したとき、直ちに冷却されてしまうため、熱可
塑性樹脂フィルムと紙容器との十分な接着強度が得られ
なかった。特に、電子レンジ加熱やオーブン加熱に耐え
る容器として、耐熱性があり、ヒートシール性のあるポ
リプロピレンフィルムを使用した場合、紙との接着強度
は満足する強度が得られなかった。また、紙との接着層
にカルボニル基を有するエチレン系共重合体を用いた場
合でも、電子レンジやオーブンで加熱したとき、紙との
カルボニル基を有するエチレン系共重合体層間で剥離が
生じ、電子レンジやオーブンによる加熱用容器としては
十分でなかった。
【0007】紙容器と熱可塑性樹脂フィルムの接着強度
が弱い場合、トレー状容器に内容物を充填し、蓋材で密
封した状態で、電子レンジやオーブンで加熱したしたと
き、開封時に熱可塑性樹脂フィルムが紙容器から剥離す
る問題が生じる。そのため、電子レンジやオーブンによ
り、加熱、又は加熱調理できる容器として、紙と耐熱性
の熱可塑性樹脂フィルムからなり、且つ接着強度の高い
紙製容器が要求されている。本発明は、紙と接着する面
にカルボキシル基又は金属で中和されたカルボキシル基
を有するエチレン系共重合体フィルムを用い、内容物と
接する最内層には、ポリプロピレン等の耐熱性熱可塑性
樹脂フィルムを使用することにより、上記問題点を解決
したものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するた
め、トレー状複合容器の構成を以下のようにした。即
ち、内面がプラスチック層で外側が紙からなるトレー状
容器に内容物を充填後、紙、プラスチックフィルム又は
金属箔を基材とする蓋材により封緘して密封するトレー
状複合容器において、前記トレー状容器が、上面に開口
部を有し、開口部の周縁にフランジ部を有する紙を基材
とする容器の内面に、少なくともカルボキシル基又は金
属で中和されたカルボキシル基を有するエチレン系共重
合体層を有する熱可塑性樹脂フィルムを溶融接着したこ
とを特徴とするトレー状複合容器とした。
【0009】また、前記トレー状複合容器の内面の熱可
塑性樹脂フィルムが、カルボキシル基又は金属で中和さ
れたカルボキシル基を有するエチレン系共重合体フィル
ムと、前記エチレン系共重合体フィルムよりも高いビカ
ット軟化点温度を有する熱可塑性樹脂フィルムの積層体
からなり、最内層面が前記ビカット軟化点温度の高い方
の熱可塑性樹脂フィルムであることを特徴とするトレー
状複合容器とした。
【0010】更に、前記カルボキシル基又は金属で中和
されたカルボキシル基を有するエチレン系共重合体フィ
ルムの、紙と接着積層される面における表面自由エネル
ギーが36dyn/cm以上であることを特徴とするト
レー状複合容器とした。
【0011】また、トレー状複合容器の製造方法を以下
のようにした。内面がプラスチック層で外側が紙からな
るトレー状容器に内容物を充填後、紙、プラスチックフ
ィルム又は金属箔を基材とする蓋材により封緘して密封
するトレー状複合容器において、前記トレー状容器が、
上面に開口部を有し、開口部の周縁にフランジ部を有す
る紙を基材とする容器の内面に、少なくともカルボキシ
ル基又は金属で中和されたカルボキシル基を有するエチ
レン系共重合体層を有する熱可塑性樹脂フィルムを、真
空成形、圧空成形、又は真空成形と圧空成形の併用によ
り、溶融接着して一体化したことを特徴とするトレー状
複合容器の製造方法とした。
【0012】即ち、本発明のトレー状複合容器は、外側
が上面に開口部を有し、開口部の周縁にフランジ部を有
する紙製トレー状容器で、その紙製トレー状容器の内面
に、カルボキシル基又は金属で中和されたカルボキシル
基を有するエチレン系共重合体フィルムと耐熱性熱可塑
性樹脂フィルムからなる積層フィルムの、カルボキシル
基又は金属で中和されたカルボキシル基を有するエチレ
ン系共重合体フィルム面を溶融接着して、紙製トレー状
容器と熱可塑性樹脂からなる積層フィルムを一体化した
ものである。そして、カルボキシル基又は金属で中和さ
れたカルボキシル基を有するエチレン系共重合体フィル
ムを紙製トレー状容器に溶融接着することにより、紙容
器と積層フィルムの接着強度を高め、内容物を充填して
加熱したときの問題点を解消したものである。
【0013】また、最内層の耐熱性熱可塑性樹脂とし
て、カルボキシル基又は金属で中和されたカルボキシル
基を有するエチレン系共重合体フィルムのビカット軟化
点温度よりも、10℃以上高いビカット軟化点温度を有
する熱可塑性樹脂フィルムを選定することにより、真空
成形等により、紙製トレー状容器に溶融接着するとき、
積層フィルムの加熱においてドローダウンを抑制するこ
とができ、偏肉の少ない良好な成形品を得るようにし
た。
【0014】更に、前記カルボキシル基又は金属で中和
されたカルボキシル基を有するエチレン系共重合体フィ
ルムの、紙と接着積層される面における表面自由エネル
ギーを36dyn/cm以上、より好ましくは38dy
n/cm以上にすることにより、真空成形等により、紙
製トレー状容器に溶融接着するときに、比較的低温で加
工しても紙との接着強度は十分に得られ、安定したトレ
ー状複合容器が得られるようにした。
【0015】そして、上記トレー状複合容器は、真空成
形、圧空成形、又は真空成形と圧空成形の併用により、
加熱軟化した積層フィルムのエチレン系共重合体フィル
ム面を紙容器に溶融接着して、紙容器と積層フィルムを
一体化して製造したものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照にしながら本発
明を詳細に説明する。図1(a)は本発明のトレー状複
合容器の一例を示した斜視図であり、図1(b)は
(a)図のX−Y線における断面図である。図2は本発
明のトレー状複合容器に内容物を充填し蓋材をヒートシ
ールして密封したときの模式断面図である。図3は本発
明のトレー状複合容器を作製するときの説明図である。
図4は実施例1によりトレー状複合容器を作製するとき
の説明図であり、図5はそのトレー状複合容器に内容物
を充填し蓋材をヒートシールして密封したときの説明図
である。図6は実施例2により作製した積層フィルムの
模式断面図であり、図7は実施例3により3層の積層フ
ィルムを作製するときの説明図である。図8は比較例1
により作製した積層フィルムの模式断面図であり、図9
は比較例3により作製した積層フィルムの模式断面図で
あり、図10は比較例5により作製した積層フィルムの
模式断面図である。
【0017】本発明のトレー状複合容器1は、図1
(a)、(b)に示すように、基本的には、紙を基材と
するトレー状の紙容器11の内面に、カルボキシル基又
は金属で中和されたカルボキシル基を有するエチレン系
共重合体フィルム12(以下単にエチレン系共重合体フ
ィルム12とする)と熱可塑性樹脂フィルム13からな
る積層フィルムを、エチレン系共重合体フィルム12が
紙容器11の内面に接着するように積層したものであ
る。そして、紙容器11の内面にエチレン系共重合体フ
ィルム12と熱可塑性樹脂フィルム13からなる積層フ
ィルムを積層する方法として、真空成形、圧空成形、又
は真空成形と圧空成形の併用により、加熱軟化した積層
フィルムのエチレン系共重合体フィルム12面を紙容器
11に接着して、紙容器と積層フィルムを一体化したも
のである。
【0018】また、本発明においては、熱可塑性樹脂フ
ィルム13として、カルボキシル基又は金属で中和され
たカルボキシル基を有するエチレン系共重合体フィルム
12のビカット軟化点温度より高いビカット軟化点温度
を有する熱可塑性樹脂、好ましくは10℃以上高いビカ
ット軟化点温度を有する熱可塑性樹脂を選定することに
より、真空成形等により、積層フィルムを加熱溶融して
紙容器11に接着する際に、積層フィルムを加熱軟化し
たときドローダウンを抑制することができので、紙容器
11の内面に、偏肉の少ない均一な積層フィルムの成形
品を形成することができる。
【0019】更に、エチレン系共重合体フィルム12と
熱可塑性樹脂13の積層フィルムの、紙と接着されるエ
チレン系共重合体フィルム12の表面自由エネルギーを
36dyn/cm以上、より好ましくは38dyn/c
m以上にすることにより、真空成形等により、紙容器に
溶融接着するときに、比較的低温で加工しても紙との接
着強度は十分に得られるので、紙容器と積層フィルムの
安定した接着強度が得られる。エチレン系共重合体フィ
ルム12の表面自由エネルギーを36dyn/cm以上
にする方法としては、コロナ放電処理、フレーム処理、
表面グラフト処理等により行うことができる。
【0020】そして、本発明のトレー状複合容器は、半
調理食品、又は調理食品の容器として使用され、図2に
示すように、トレー状複合容器1に内容物3を充填した
後、トレー状複合容器1のフランジ4に蓋材2をヒート
シールしてヒートシール部5を形成して密封し、更に、
冷凍食品の場合は直ちに急速冷凍し、冷凍食品として販
売される。蓋材としては、トレー状複合容器1の最内層
の熱可塑性樹脂フィルムの種類によって異なるが、一般
的には、紙にトレー状複合容器1の最内層の熱可塑性樹
脂フィルム13とヒートシール可能な材質を積層し、紙
の表面には印刷を施し、更にその上に耐熱性のトップコ
ート層を形成したものが使用される。また、紙の代わり
にアルミニウム箔又はプラスチックフィルム(又はシー
ト)を用いて、内面にヒートシール層を形成し、表面に
は印刷層及び耐熱性のトップコート層を形成した蓋材も
使用される。
【0021】以上説明したとおり、本発明のトレー状複
合容器は、紙容器とプラスチック積層フィルムとの接着
強度が強く、且つ最内層に耐熱性の熱可塑性樹脂フィル
ムが使用されているので、内容物を収納した状態で電子
レンジ又はオーブンで加熱しても、内面のプラスチック
フィルムが変形したり破損することもなく、紙容器とプ
ラスチック製積層フィルムが剥離することもない。従っ
て、本発明のトレー状複合容器は、内容物を収納した状
態で、電子レンジ、オーブン等で加熱処理、加熱調理が
でき、更に、容器をそのまま食器として利用できるの
で、消費者にとっては非常に便利な容器となる。
【0022】以下に、本発明のトレー状複合容器の製造
方法について説明する。先ず、カルボキシル基又は金属
で中和されたカルボキシル基を有するエチレン系共重合
体を用いて、公知の方法で成膜して、エチレン系共重合
体フィルム12を作製する。また、エチレン系共重合体
フィルム12のビカット軟化点温度より高いビカット軟
化点温度を有する熱可塑性樹脂、好ましくは10℃以上
高いビカット軟化点温度を有する熱可塑性樹脂を選定
し、これを公知の方法で成膜して、熱可塑性樹脂フィル
ム13を作製する。次いで、上記エチレン系共重合体フ
ィルム12と熱可塑性樹脂フィルム13をドライラミネ
ーション法によりラミネートして、図3(a)に示すよ
うに、積層フィルム10を作製する。
【0023】上記積層フィルム10は、ドライラミネー
ション法の他に公知の各種ラミネーション法により作製
できる。例えば、カルボキシル基又は金属で中和された
カルボキシル基を有するエチレン系共重合体とビカット
軟化点温度が10℃以上高い熱可塑性樹脂を共押出し法
により2層に押出して、共押出しフィルムとして得るこ
とができる。また、熱可塑性樹脂フィルム13にカルボ
キシル基又は金属で中和されたカルボキシル基を有する
エチレン系共重合体を、エクストルージョン法により押
し出してラミネートして積層フィルムを得ることもでき
る。更に、熱可塑性樹脂フィルム13とエチレン系共重
合体フィルムを接着性樹脂を介してサンドラミネーショ
ン法で積層することもできる。
【0024】本発明に用いられるカルボキシル基を有す
るエチレン系共重合体としては、例えば、エチレン−ア
クリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、
等が挙げられる。また、金属で中和されたカルボキシル
基を有するエチレン系共重合体としては、エチレンとメ
タクリル酸とを共重合させて、ナトリウムや亜鉛を作用
させたアイオノマーがあり、代表的なものとしては、デ
ュポン社が開発したサーリン(商品名)がある。日本で
は三井デュポンポリケミカル社が国産化しているハイミ
ラン(商品名)がある。上記エチレン系共重合体フィル
ムの厚さは、10〜100μmの範囲で使用されるが、
好ましくは20〜60μmである。
【0025】本発明に用いられる熱可塑性樹脂として
は、カルボキシル基又は金属で中和されたカルボキシル
基を有するエチレン系共重合体フィルムの種類によっ
て、それよりビカット軟化点温度が10℃以上高い熱可
塑性樹脂が選定されるが、一般的には、耐熱性の熱可塑
性樹脂が使用される。例えば、ポリプロピレンとして、
ホモポリプロピレン、ランダムブロックポリプロピレン
共重合体、ブロックポリプロピレン共重合体が使用さ
れ、その中でもランダムブロックポリプロピレン共重合
体が好ましい。フィルムとして使用する場合は、無延伸
ポリプロピレンフィルム(以下CPPとする)が好適で
ある。
【0026】また、ポリプロピレン以外の耐熱性の熱可
塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ナイ
ロン、エチレンービニルアルコール共重合体ケン化物等
が使用され、特に、これらの樹脂のフィルムが多く使用
される。例えば、無延伸ポリエチレンテレフタレートフ
ィルム、弱延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、
無延伸ナイロンフィルム、非晶性ポリエチレンテレフタ
レートフィルム、エチレンービニルアルコール共重合体
フィルムが挙げられる。容器の要求性能によっては上記
熱可塑性樹脂層を複数積層して利用することが望まし
い。
【0027】一方、公知の方法により、図3(b)に示
すように、適度な剛度を有する紙を用いてトレー状の紙
容器11を作製する。紙容器11としては、上部に開口
部を有し、開口部の周縁にフランジ4を設けて、このフ
ランジを利用して蓋材をヒートシールして密封できる形
状にする。また、紙容器11は、真空成形等により、紙
容器の内面にプラスチック積層フィルムを熱融着したと
きも、変形せずに紙容器としての形状を保持できるよう
に、適度の剛度を有する必要がある。また、本発明に用
いられる紙容器11は、電子レンジ、オーブン等によ
り、加熱されるので、加熱したとき、紙からの臭気の発
生が少ないこと、及び紙の端面から加熱時に発生する蒸
気の吸収量が少ないことが要求される。そのため、紙基
材としては、バージンパルプにより製紙したもので、坪
量200〜500g/m2 のカップ原紙が好適である。
【0028】上記のように紙容器に耐水性を持たせるこ
とにより、冷蔵庫等で冷蔵保存したとき、又は、消費者
が冷凍食品を購入して持ち帰るまでの間に、容器表面に
結露して、その水分が紙の端面から吸収されて容器が劣
化されることを防止することができる。また、紙容器に
は必要に応じて耐油性を持たせる場合もある。
【0029】次に、上記トレー状に成形した紙容器11
の内面には、図3(c)に示すように、前述したカルボ
キシル基又は金属で中和されたカルボキシル基を有する
エチレン系共重合体フィルム(エチレン系共重合体フィ
ルム12)とビカット軟化点温度がエチレン系共重合体
フィルムより10℃以上高い熱可塑性樹脂フィルム13
からなる積層フィルム10が接着される。紙容器11の
内面に積層フィルム10を接着積層する方法としては、
真空成形、圧空成形、又は真空成形と圧空成形の併用が
使用される。即ち、真空成形の場合は、真空成形用金型
内に紙容器11を配置した後、通常の真空成形と同様
に、加熱軟化した積層フィルム10をエチレン系共重合
体フィルム面が金型内の紙容器11に接するように、金
型内に真空で吸引して金型形状に合わせて積層フィルム
10を成形すると同時に、積層フィルムのエチレン系共
重合体フィルム12を紙容器11内面に接着する。
【0030】また、圧空成形の場合も、金型内に紙容器
11を配置した後、真空成形と同様に、圧空成形により
積層フィルム10を紙容器11の内面に接着することが
できる。更に、真空成形と圧空成形の併用する場合は、
金型内に紙容器11を配置した後、積層フィルム10を
成形する際に、真空と圧空を併用して使用することによ
り、真空成形と同様に、積層フィルム10を紙容器11
の内面に接着することができる。
【0031】本発明においては、エチレン系共重合体フ
ィルム12と積層されている熱可塑性樹脂フィルム13
のビカット軟化点温度が、エチレン系共重合体フィルム
12のビカット軟化点温度より10℃以上高いので、積
層フィルムを加熱し、エチレン系共重合体フィルム12
が十分溶融した状態でも、熱可塑性樹脂フィルム13は
未だ軟化点に達していないので、積層フィルムのドロウ
ダウンは抑止されて、真空成形したとき、偏肉の少ない
良好な成形品を得ることができる。それと同時に、エチ
レン系共重合体フィルム12が十分溶融した状態で真空
成形されて紙容器と接着するので、紙容器11との接着
力が強固になる。そのため、本発明により作製したトレ
ー状複合容器は、内容物を充填した状態で、電子レンジ
やオーブンで加熱しても、紙容器と積層フィルムが剥離
するようなことがなくなる。
【0032】また、本発明においては、上記積層フィル
ム10のエチレン系共重合体フィルム12の面をコロナ
放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、又は表面グラ
フト処理等により、その表面自由エネルギーを36dy
n/cm以上にしているので、積層フィルムを比較的低
い温度で加熱処理しても、紙容器との十分な接着強度が
得られる。即ち、積層フィルムの加熱温度が加熱ムラ等
により規定の温度よりも僅かに低い部分ができた場合で
も、積層フィルムと紙容器との接着強度が低下しないの
で、安定した接着強度が得られる。従って、本発明のト
レー状複合容器は、加工工程が安定しているので、不良
品が少なくなり、作業能率が向上し、生産コストを低減
させることができる。
【0033】次に、以上のようにして作製したトレー状
複合容器1は、半調理食品、又は調理食品の容器として
使用され、図3(d)に示すように、トレー状複合容器
1に内容物3を充填した後、蓋材2をヒートシールして
ヒートシール部5を形成して内容物3を密封する。蓋材
としては、トレー状複合容器1の最内層の熱可塑性樹脂
フィルムの種類によって異なるが、一般的には、紙にト
レー状複合容器1の最内層の熱可塑性樹脂フィルム13
とヒートシール可能な材質を積層し、紙の表面には印刷
を施し、更にその上に耐熱性のトップコート層を形成し
たものが使用される。
【0034】
【実施例】以下、実施例に基づいて、本発明を更に詳細
に説明する。 (実施例1)先ず、厚さ100μmの無延伸ポリプロピ
レンフィルム(以下CPPとする)と厚さ30μmのエ
チレン−アクリル酸共重合体フィルム(以下EAAとす
る)をドライラミネーション法でラミネートして、図4
(a)に示すように、積層フィルム10aを作製した。
これに用いたCPPとEAAのビカット軟化点温度は、
それぞれ148℃と76℃であった。次いで、この積層
フィルム10aのEAA面をコロナ放電処理して、表面
自由エネルギーを38dyn/cmにした。
【0035】一方、坪量300g/m2 のカップ原紙を
用いて、図4(b)に示すように、開口部が四角形で開
口部の周辺にフランジを有するトレー状の紙容器11を
作製した。紙容器11は上部の開口部を100mm×1
30mmにし、開口部周辺のフランジ4の幅を10m
m、紙容器の深さを40mmとした。
【0036】次に、図4(c)に示すように、真空成形
機の金型20内に、上記紙容器11を載置し、常法に従
って、上記積層フィルム10aのEAA面が金型側にな
るようにして、真空成形機に装備したヒーターにより加
熱し、積層フィルム10aのEAA層が軟化溶融される
状態にして、金型内に真空成形し、図4(d)に示すよ
うに、紙容器11と積層フィルム10aを接着して一体
化した。次いで、常法に従って、積層フィルム10aを
紙容器11のフランジの形状に合わせて打ち抜いて、図
5(a)に示すようなトレー状複合容器1を得た。尚、
真空成形用金型20は、図4(c)に示すように、金型
の底の部分には電鋳品等の多孔質部材21を使用し、そ
の多孔質部材21の下には真空成形用の排気孔22を設
け、その排気孔22を利用して金型内を真空にして、加
熱した積層フィルムを真空成形する方式とした。
【0037】次に、坪量100g/m2 のカップ原紙を
用いて、図5(b)に示すように、紙16の片面に、グ
ラビア印刷により絵柄層17とその上にトップコート層
18を形成した。更に、紙16の反対側(図5(b)に
おいては下側)に、ポリオレフィン系樹脂を主成分とす
る塗工液(大日本化学工業(株)製)を塗布し、CPP
とヒートシール性があり、且つイージピール性のあるヒ
ートシール層15を形成して、蓋材2を作製した。そし
て、図5(c)に示すように、前記トレー状複合容器1
に内容物3として冷凍ハンバーグを入れ、前記蓋材2を
用いてトレー状複合容器1の開口部をヒートシールして
密封し、内容物3の入ったトレー状複合容器1を作製し
た。
【0038】(実施例2)実施例1と同様に、積層フィ
ルム10a及び紙容器11を作製し、積層フィルム10
aにコロナ放電処理を施さずに、実施例1と同様に、真
空成形法によりトレー状複合容器1を作製した。更に、
実施例1と同様に、トレー状複合容器1に内容物3を充
填した後、蓋材をヒートシールして、内容物3の入った
トレー状複合容器1を作製した。尚、コロナ放電処理し
ないときの積層フィルム10aのEAA面の表面自由エ
ネルギーは34dyn/cmであった。
【0039】(実施例3)厚さ100μmの非晶性ポリ
エチレンテレフタレート(以下A−PETとする)フィ
ルムにエチレン−メタクリル酸共重合体(以下EMAA
とする)をエクストルージョン法により押出しラミネー
トして、厚さ30μmのEMAAフィルム12bを積層
して、図6(a)に示すような積層フィルム10bを作
製した。この積層フィルム10bのAPETとEMAA
のビカット軟化点温度は、それぞれ73℃と60℃であ
った。次いで、この積層フィルム10bのEMAA面を
コロナ放電処理して、表面自由エネルギーを38dyn
/cmにした。
【0040】次に、実施例1と同様に、紙容器11を作
製し、該紙容器11と前記積層フィルム10bを用い
て、真空成形法により、トレー状複合容器1を作製し
た。更に、実施例1と同様に、前記トレー状複合容器1
に内容物3を充填後蓋材2をヒートシールして、内容物
3の入ったトレー状複合容器1を作製した。尚、蓋材2
のヒートシール層は、ポリエステル系ヒートシール剤を
塗工して形成した。
【0041】(実施例4)実施例3と同様に、積層フィ
ルム10b及び紙容器11を作製し、積層フィルム10
bにコロナ放電処理を施さずに、実施例3と同様に、真
空成形法によりトレー状複合容器1を作製した。更に、
実施例1と同様に、トレー状複合容器1に内容物3を充
填した後、蓋材をヒートシールして、内容物3の入った
トレー状複合容器1を作製した。尚、コロナ放電処理な
しの積層フィルム10bのEMAA面の表面自由エネル
ギーは34dyn/cmであった。
【0042】(実施例5)厚さ50μmのCPPフィル
ムと厚さ25μmのエチレンービニルアルコール共重合
体(以下EVOHとする)フィルムをドライラミネーシ
ョン法によりラミネートして図7(a)に示すように、
積層フィルム10cを作製し、更に積層フィルム10c
のEVOH面にアイオノマー(三井デュポンポリケミカ
ル社のハイミラン)を押出しラミネートして、図7
(b)に示すように、厚さ30μmのアイオノマーフィ
ルム12c(以下IOフィルム12cとする)を積層し
て3層の積層フィルム10dを作製した。次いで、この
積層フィルム10dのIOフィルム12c面をコロナ放
電処理して、表面自由エネルギーを38dyn/cmに
した。
【0043】次に、実施例1と同様に、紙容器11を作
製し、該紙容器11と前記積層フィルム10dを用い
て、真空成形法により、トレー状複合容器1を作製し
た。更に、実施例1と同様に、前記トレー状複合容器1
に内容物3を充填後蓋材2をヒートシールして、内容物
3の入ったトレー状複合容器1を作製した。尚、蓋材2
は実施例1と同じものを用いた。
【0044】(実施例6)実施例5と同様に、積層フィ
ルム10d及び紙容器11を作製し、積層フィルム10
dにコロナ放電処理を施さずに、実施例5と同様に、真
空成形法によりトレー状複合容器1を作製した。更に、
実施例5と同様に、トレー状複合容器1に内容物3を充
填した後、蓋材をヒートシールして、内容物3の入った
トレー状複合容器1を作製した。尚、コロナ放電処理な
しの積層フィルム10dのアイオノマー面の表面自由エ
ネルギーは34dyn/cmであった。
【0045】(比較例1)厚さ100μmのCPPフィ
ルム13aと厚さ30μmのエチレンー酢酸ビニル共重
合体(以下EVAとする)フィルム12dをドライラミ
ネーション法でラミネートして、図8に示すように、積
層フィルム10eを作製した。この積層フィルム10e
のCPPとEVAのビカット軟化点温度は、それぞれ1
48℃と66℃であった。更に、上記積層フィルム10
eのEVA面にコロナ放電処理を施して、表面自由エネ
ルギーを38dyn/cmにした。また、実施例1と同
様に、紙容器11を作製し、該紙容器11と上記積層フ
ィルム10eを用いて、実施例1と同様に、真空成形法
によりトレー状複合容器1を作製し、更に、トレー状複
合容器1に内容物3を充填した後蓋材2をヒートシール
して、密封したトレー状複合容器1を作製した。尚、蓋
材2は実施例1と同じものを用いた。
【0046】(比較例2)比較例1と同様に、積層フィ
ルム10e及び紙容器11を作製し、積層フィルム10
eにコロナ放電処理を施さずに、比較例1と同様に、真
空成形法によりトレー状複合容器1を作製した。更に、
比較例1と同様に、トレー状複合容器1に内容物3を充
填した後、蓋材をヒートシールして、内容物3の入った
トレー状複合容器1を作製した。尚、コロナ放電処理な
しの積層フィルム10eのEVA面の表面自由エネルギ
ーは34dyn/cmであった。
【0047】(比較例3)厚さ100μmのA−PET
フィルム13aと厚さ30μmのエチレンーメタクリル
酸メチル共重合体(以下EMMAとする)フィルム12
eをドライラミネーション法でラミネートして、図9に
示すように、積層フィルム10fを作製した。この積層
フィルム10fのA−PETとEMMAのビカット軟化
点温度は、それぞれ73℃と75℃であった。更に、上
記積層フィルム10fのEMMA面にコロナ放電処理を
施して、表面自由エネルギーを38dyn/cmにし
た。また、実施例1と同様に、紙容器11を作製し、該
紙容器11と上記積層フィルム10fを用いて、実施例
1と同様に、真空成形法によりトレー状複合容器1を作
製し、更に、トレー状複合容器1に内容物3を充填した
後、実施例2と同じ蓋材2を用いてヒートシールして、
密封したトレー状複合容器1を作製した。
【0048】(比較例4)比較例3と同様に、積層フィ
ルム10f及び紙容器11を作製し、積層フィルム10
fにコロナ放電処理を施さずに、比較例3と同様に、真
空成形法によりトレー状複合容器1を作製した。更に、
比較例1と同様に、トレー状複合容器1に内容物3を充
填した後、蓋材をヒートシールして、内容物3の入った
トレー状複合容器1を作製した。尚、コロナ放電処理な
しの積層フィルム10fのEMMA面の表面自由エネル
ギーは34dyn/cmであった。
【0049】(比較例5)厚さ50μmのCPPフィル
ム13aと厚さ30μmのEVOHフィルム16をドラ
イラミネーション法でラミネートし、更にEVOHフィ
ルム16面に、エチレン−メタクリル酸メチル−無水マ
レイン酸共重合体(以下E−MMA−MAHとする)を
押出しラミネートして、図10に示すように、厚さ30
μmのE−MMA−MAHフィルムを積層して3層の積
層フィルム10gを作製した。次いで、この積層フィル
ム10gのE−MMA−MAH面をコロナ放電処理し
て、表面自由エネルギーを38dyn/cmにした。こ
の積層フィルム10gのビカット軟化点温度は、CPP
が148℃、EVOHが155℃、E−MMA−MAH
が68℃であった。また、実施例1と同様に、紙容器1
1を作製し、該紙容器11と上記積層フィルム10gを
用いて、実施例1と同様に、真空成形法によりトレー状
複合容器1を作製し、更に、トレー状複合容器1に内容
物3を充填した後蓋材2をヒートシールして、密封した
トレー状複合容器1を作製した。
【0050】(比較例6)比較例5と同様に、積層フィ
ルム10g及び紙容器11を作製し、積層フィルム10
gにコロナ放電処理を施さずに、比較例5と同様に、真
空成形法によりトレー状複合容器1を作製した。更に、
比較例5と同様に、トレー状複合容器1に内容物3を充
填した後、蓋材をヒートシールして、内容物3の入った
トレー状複合容器1を作製した。尚、コロナ放電処理な
しの積層フィルム10gのE−MMA−MAH面の表面
自由エネルギーは34dyn/cmであった。
【0051】(性能評価試験)実施例1〜6及び比較例
1〜6で作製したトレー状複合容器の性能について比較
試験を行った。 トレー状複合容器を作製するとき、積層フィルムの
成形性を目視により観察して良否を○、△、×で判定し
た。 ○:良好、△:やや不良、×:不良 トレー状複合容器の積層フィルムと紙容器との接着
性を手で剥離して良否を○、△、×で判定した。 ○:接着力が強力で剥離困難、△:接着力やや弱く剥離
可能、×:接着力が弱く剥離が容易 内容物を充填したトレー状複合容器を、蓋材で密封
した状態で電子レンジで加熱し、そのときのトレー状複
合容器を目視により観察して加熱適性の良否を○、△、
×で判定した。 ○:積層フィルムの剥離もなく容器形状が良好、△:積
層フィルムの一部に剥離が生じ、容器形状が少し変形し
やや不良、×:積層フィルムの剥離が多く、容器形状が
変形して外観不良
【0052】
【表1】
【0053】実施例1〜6及び比較例1〜6で作製した
積層フィルム及びトレー状複合容器の性能評価試験の結
果は表1に示した。表1に示したように、実施例1、
3、5で作製した積層フィルムは成形性が良好であり、
紙容器との接着性も良好であった。また、実施例1、
2、3、4、5、6で作製したトレー状複合容器は電子
レンジの加熱適性が良好であり、本発明により作製した
トレー状複合容器は、内容物を充填して密封した状態で
電子レンジで加熱しても問題ないことが分かった。
【0054】即ち、積層フィルムの紙容器と接する面
に、カルボキシル基又は金属で中和されたカルボキシル
基を有するエチレン系共重合体を使用し、その表面をコ
ロナ放電処理等により表面自由エネルギーを38dyn
/cmにすることにより、積層フィルムと紙容器との接
着強度が強くなった。そのため、トレー状複合容器に内
容物を充填して密封した状態で電子レンジで加熱して
も、積層フィルムが紙容器から剥離することもなく、容
器形状が変形することもなくなった。しかし、積層フィ
ルムの紙容器と接する面に、カルボキシル基又は金属で
中和されたカルボキシル基を有するエチレン系共重合体
を使用し、その表面を処理せずに、表面自由エネルギー
を36dyn/cm未満にした場合(実施例2、4、6
の場合)は、電子レンジの加熱適性は良好であるが、積
層フィルムと紙容器との接着力がやや弱いので、電子レ
ンジで加熱したとき、内容物によっては剥離が生じる可
能性があるので、注意を要する。
【0055】これに対して、比較例1のように、積層フ
ィルムの紙容器と接する面に、エチレンー酢酸ビニル共
重合体(カルボニル基を有するエチレン系共重合体)を
用いた場合は、表面処理した場合でも、紙容器との接着
強度が十分でなく、内容物を充填して密封した状態で電
子レンジで加熱すると、積層フィルムが剥離して変形
し、電子レンジ用容器としては不適切であった。また、
比較例3に示すように、積層フィルムとして、A−PE
T/EMMAを用いた場合、A−PETのビカット軟化
点が73℃で、EMMAのビカット軟化点より低いの
で、真空成形の際、積層フィルムを加熱したとき、ドロ
ーダウンが生じて、積層フィルムの成形性がやや不良と
なった。また、紙容器との接着性もやや弱いため、電子
レンジの加熱適性は不良であった。更に、比較例5に示
すように、積層フィルムとしてCPP/EVOH/E−
MMA−MAHを使用した場合も、積層フィルムの成形
性は良好であったが、積層フィルムと紙容器との接着性
がやや弱いため、電子レンジの加熱適性はやや不良とな
った。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、紙容器と接着する面
に、カルボキシル基又は金属で中和されたカルボキシル
基を有するエチレン系共重合体フィルムを用いたので、
紙との接着強度は強力となり、また、内容物と接触する
面にはCPP等の耐熱性の熱可塑性樹脂フィルムを用い
たので、トレー状複合容器に内容物を充填し、蓋材で密
封した状態で電子レンジやオーブンで加熱したしても、
積層フィルムが剥離したり変形したりすることがない。
従って、本発明のトレー状複合容器は電子レンジやオー
ブンにより、加熱、又は加熱調理できる容器として、非
常に優れた容器である。
【0057】また、本発明のトレー状複合容器は、最内
層の耐熱性熱可塑性樹脂として、カルボキシル基又は金
属で中和されたカルボキシル基を有するエチレン系共重
合体フィルムのビカット軟化点温度よりも、10℃以上
高いビカット軟化点温度を有する熱可塑性樹脂フィルム
を用いるので、真空成形等の際に、積層フィルムを加熱
したとき、ドローダウンが抑制され、偏肉の少ない良好
な成形品を得ることができる。そのため、成形加工工程
において作業能率が向上し、製品のコストダウンを図る
ことができる。
【0058】更に、前記カルボキシル基又は金属で中和
されたカルボキシル基を有するエチレン系共重合体フィ
ルムの、紙と接着積層される面における表面自由エネル
ギーを36dyn/cm以上、より好ましくは38dy
n/cm以上にすることにより、真空成形等により、紙
製トレー状容器に溶融接着するときに、比較的低温で加
工しても紙との十分な接着強度が得られるので、安定し
たトレー状複合容器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトレー状複合容器の一例を示した図
で、(a)は斜視図である。(b)は(a)図のX−Y
線における断面図である。
【図2】本発明のトレー状複合容器に内容物を充填し蓋
材をヒートシールして密封したときの模式断面図であ
る。
【図3】本発明のトレー状複合容器を作製するときの説
明図である。
【図4】実施例1によりトレー状複合容器を作製すると
きの説明図である。
【図5】実施例1によりトレー状複合容器に内容物を充
填し蓋材をヒートシールして密封したときの説明図であ
る。
【図6】実施例2により作製した積層フィルムの模式断
面図である。
【図7】実施例3により3層の積層フィルムを作製する
ときの説明図である。
【図8】比較例1により作製した積層フィルムの模式断
面図である。
【図9】比較例3により作製した積層フィルムの模式断
面図である。
【図10】比較例5により作製した積層フィルムの模式
断面図である。
【符号の説明】
1 トレー状複合容器 2 蓋材 3 内容物 4 フランジ 5 ヒートシール部 10 積層フィルム 10a 積層フィルム 10b 積層フィルム 10c 積層フィルム 10d 積層フィルム 10e 積層フィルム 10f 積層フィルム 10g 積層フィルム 11 紙容器 12 エチレン系共重合体フィルム 12a EAAフィルム 12b EMAAフィルム 12c IOフィルム 12d EVAフィルム 12e EMMAフィルム 12f E−MMA−MAHフィルム 13 熱可塑性樹脂フィルム 13a CPPフィルム 13b A−PETフィルム 14 接着層 15 アンカーコート層 16 EVOHフィルム 20 金型 21 多孔質部材 22 排気孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B65D 1/34 B65D 5/20 Z 5/20 81/34 U 81/34 B65D 1/00 C // B29L 22:00 Fターム(参考) 3E033 AA10 BA10 BA13 BA16 BB08 CA07 DA06 DA08 DD01 FA04 GA03 3E060 AB12 BC01 DA30 4F100 AK01C AK70B BA02 BA03 BA07 BA10A BA10C BA13 BA26C DA01 DG10A EC032 EJ242 EJ392 EJ422 GB16 GB23 JA04C JA20A JB16C JJ03 YY00A 4F208 AA21 AD03 AD05 AD06 AH56 MA01 MA02 MA03 MB01 MB11 MG01 MG04 MJ30 MK08 MK15

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内面がプラスチック層で外側が紙からな
    るトレー状容器に内容物を充填後、紙、プラスチックフ
    ィルム又は金属箔を基材とする蓋材により封緘して密封
    するトレー状複合容器において、前記トレー状複合容器
    が、上面に開口部を有し、開口部の周縁にフランジ部を
    有する紙を基材とする容器の内面に、少なくともカルボ
    キシル基又は金属で中和されたカルボキシル基を有する
    エチレン系共重合体層を有する熱可塑性樹脂フィルムを
    溶融接着したことを特徴とするトレー状複合容器。
  2. 【請求項2】 前記トレー状複合容器の内面の熱可塑性
    樹脂フィルムが、カルボキシル基又は金属で中和された
    カルボキシル基を有するエチレン系共重合体フィルム
    と、前記エチレン系共重合体フィルムよりも高いビカッ
    ト軟化点温度を有する熱可塑性樹脂フィルムとの積層体
    からなり、最内層面が前記ビカット軟化点温度の高い方
    の熱可塑性樹脂フィルムであることを特徴とする請求項
    1に記載のトレー状複合容器。
  3. 【請求項3】 前記カルボキシル基又は金属で中和され
    たカルボキシル基を有するエチレン系共重合体フィルム
    の、紙と接着積層される面における表面自由エネルギー
    が36dyn/cm以上であることを特徴とする請求項
    1又は請求項2に記載のトレー状複合容器。
  4. 【請求項4】 内面がプラスチック層で外側が紙からな
    るトレー状容器に内容物を充填後、紙、プラスチックフ
    ィルム又は金属箔を基材とする蓋材により封緘して密封
    するトレー状複合容器において、前記トレー状複合容器
    が、上面に開口部を有し、開口部の周縁にフランジ部を
    有する紙を基材とする容器の内面に、少なくともカルボ
    キシル基又は金属で中和されたカルボキシル基を有する
    エチレン系共重合体層を有する熱可塑性樹脂フィルム
    を、真空成形、圧空成形、又は真空成形と圧空成形の併
    用により、溶融接着して一体化したことを特徴とするト
    レー状複合容器の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002166920A (ja) * 2000-11-29 2002-06-11 Lining Container Kk 蓋付きプラスチック容器及びその製造方法
JP2003312632A (ja) * 2002-04-25 2003-11-06 Toppan Printing Co Ltd トレー状容器
JP2007283710A (ja) * 2006-04-19 2007-11-01 Denki Kagaku Kogyo Kk 複合シート

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