JP2011177638A - 圧力スイング吸着法によるガス分離方法及びガス分離装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 吸着工程と脱着工程が交互に行われる2基の吸着塔A,Bを用い、各吸着塔A,Bにおいて吸着剤と熱交換させた熱媒体を両吸着塔A,B間で循環させ、この循環する熱媒体により、吸着工程で発生した吸着熱を回収して脱着工程にある吸着剤に与え、脱着工程で発生した冷熱を回収して吸着工程にある吸着剤を冷却する。吸着工程で発生する吸着熱と脱着工程で発生する冷熱を熱媒体で回収し、両工程で相互に有効利用し合うことにより、従来廃棄していた装置内の熱エネルギーを有効利用して、吸着剤の利用効率を向上させることができ、高いエネルギー効率でガス分離を行うことができる。
【選択図】図1
Description
この圧力スイング吸着法は、混合ガスの分離方法として種々の分野で利用されているが、通常は、混合ガスから特定のガス成分を分離することにより、高純度のガスを製造する方法として利用されることが多い。圧力スイング吸着法により混合ガスから吸着・分離(製造)される高純度ガスとしては、例えば、水素、酸素、炭酸ガス、一酸化炭素などがある。
一方、温度変化を利用した物理吸着プロセスが知られており、このプロセスでは、吸着時は外部から冷熱を与えて温度を低下させて吸着を促進し、脱着時は外部から熱を与えることで脱着を促進し、それぞれの熱の授受を繰り返し行うことで、ガスの吸着脱着を行うものである。しかし、このプロセスは外部から熱を加えるものであり、エネルギー効率が悪い。
[1]内部に吸着剤が充填され、吸着工程と脱着工程が交互に行われる2基の吸着塔(A),(B)を用い、圧力スイング吸着法により混合ガス中の1つ以上のガス成分を吸着・分離するガス分離方法であって、
各吸着塔(A),(B)において吸着剤と熱交換させた熱媒体を両吸着塔(A),(B)間で循環させ、この循環する熱媒体により、吸着工程で発生した吸着熱を回収して脱着工程にある吸着剤に与え、脱着工程で発生した冷熱を回収して吸着工程にある吸着剤を冷却することを特徴とする圧力スイング吸着法によるガス分離方法。
[3]上記[1]又は[2]のガス分離方法において、熱媒体は、各吸着塔(A),(B)の内部に原料ガス流れ方向に沿って設けられた熱交換用流路を通過することにより吸着剤と熱交換することを特徴とする圧力スイング吸着法によるガス分離方法。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかのガス分離方法において、熱媒体は、吸着工程にある吸着塔内では、熱交換用流路内を原料ガス流れ方向と反対方向に流れ、脱着工程にある吸着塔内では、熱交換用流路内を原料ガス流れ方向(但し、吸着工程での原料ガス流れ方向)と同一方向に流れることを特徴とする圧力スイング吸着法によるガス分離方法。
各吸着塔(A),(B)の内部に、熱媒体を通過させるための熱交換用流路(1a),(1b)が原料ガス流れ方向に沿って設けられるとともに、両吸着塔(A),(B)の原料ガス入口側における熱交換用流路(1a),(1b)の端部間が導管(2)で連絡され、濃縮ガス出口側における熱交換用流路(1a),(1b)の端部間が導管(3)で連絡されることにより、両吸着塔(A),(B)間で熱媒体を循環させる循環路を形成し、該循環路内で熱媒体を正逆方向切り換え可能に循環させるためのポンプ機構を備えることを特徴とする圧力スイング吸着法によるガス分離装置。
本発明のガス分離装置は、内部に吸着剤が充填され、吸着工程と脱着工程が交互に行われる2基の吸着塔A,Bを備え、圧力スイング吸着法により混合ガス中の1つ以上のガス成分を吸着・分離するものである。図1は吸着塔Aが吸着工程にあり、吸着塔Bが脱着工程にある状態を、図2は吸着塔Aが脱着工程にあり、吸着塔Bが吸着工程にある状態を、それぞれ示している。
仕切板5の下方の空間部は原料ガス流入部7(原料ガス流入領域)であり、この原料ガス流入部7には、開閉弁9を備えた原料ガス供給管8が接続されている。また、仕切板4の上方の空間部はガス流出部10(ガス流出領域)であり、このガス流出部10には、開閉弁12を備えた濃縮ガス導出管11と、開閉弁14及びポンプ15を備えた製品ガス導出管13が、それぞれ接続されている。
前記仕切壁4,5は、ガス吸着部6内に粒状の吸着剤を保持しつつ、ガスを通過させることができる小孔を全面に有する多孔板(例えば、金網やパンチングメタルなど)などで構成される。
また、各熱交換用流路1a,1bは、連続した1本の流路で構成してもよいし、複数の並列した流路で構成し、この複数の流路をその両端側で合流させるような構造としてもよい。いずれにしても、熱交換用流路1a,1bには、それぞれ熱媒体の入口・出口となる2つの端部があり、上記のように各熱交換用流路1a,1bが複数の並列した流路で構成される場合には、両端側で合流した後の流路に熱媒体の入口・出口となる端部が設けられる。
さらに、上記循環路内で熱媒体eを正逆方向切り換え可能に循環させるためのポンプ機構16が設けられている。このポンプ機構16は、入側導管170と出側(吐出側)導管171を有するポンプ17と、前記導管2,3の吸着塔A寄りの位置からそれぞれ分岐し、前記入側導管170に接続される分岐管200,300と、前記導管2,3の吸着塔B寄りの位置からそれぞれ分岐し、前記出側導管171に接続される分岐管201,301と、以上の分岐管200,201,300,301にそれぞれ設けられる開閉弁18,19,20,21などから構成される。
本発明のガス分離方法は、2基の吸着塔A,Bで吸着工程と脱着工程を交互に行い、圧力スイング吸着法により混合ガス中の1つ以上のガス成分を吸着・分離するものであるが、各吸着塔A,Bにおいて吸着剤xと熱交換させた熱媒体eを両吸着塔A,B間で循環させ、この循環する熱媒体eにより、吸着工程で発生した吸着熱を回収して脱着工程にある吸着剤xに与え、脱着工程で発生した冷熱を回収して吸着工程にある吸着剤xを冷却する。このように、吸着工程で発生する吸着熱と脱着工程で発生する冷熱を熱媒体eで回収し、両工程で相互に有効利用し合うことにより、装置内の熱エネルギーを有効利用して、吸着剤の利用効率を向上させることができ、高いエネルギー効率でガス分離を行うことができる。
熱媒体eとしては、水や水溶液、油などの液体、蒸気などの気体、その他特殊な熱媒体など、任意の流体を用いることができるが、取り扱いや設備コストの観点から、水又は水溶液を用いることが好ましい。
図1のように、吸着塔Aが吸着工程にあり、吸着塔Bが脱着工程にある場合、吸着塔Aでは、原料ガス(混合ガス)が原料ガス供給管8を通じてガス流入部7に導入される。このガス流入部7に導入された原料ガスは、仕切板5を通じてガス吸着部6に流入し、ここで原料ガス中の特定のガス成分が吸着剤xに吸着され、ガス相に非吸着成分が濃縮される。濃縮されたガスは、仕切板4を通じてガス流出部10に流出した後、濃縮ガス導出管11を通じて排出される。一方、吸着塔Bでは、ポンプ15により塔内が減圧され、吸着されていたガス成分が吸着剤xから脱離し、このガス(製品ガス)はガス流出部10を経由して製品ガス導出管13を通じて排出される。
脱着工程にある吸着塔Bのガス吸着部6では、原料ガス入口(原料ガス流入部7)に近い側ほど吸熱反応が大きいので、前記吸着工程で熱媒体eにより回収した熱をここで吸着剤xに与えることにより、脱着量を増大させることができる。熱交換用流路1bを流れる熱媒体eは、脱着工程で発生した冷熱を回収した後、導管3を経由して吸着塔Aの熱交換用流路1aに流れ、吸着工程にある吸着剤xを冷却することにより、吸着量を増大させる。
以上のように、2基の吸着塔A,Bで吸着工程と脱着工程を交互に繰り返し行い、その都度、吸着塔A,B間での熱媒体eの循環を正逆方向に切り換える。
1a,1b 熱交換用流路
2,3 導管
4,5 仕切板
6 ガス吸着部
7 原料ガス流入部
8 原料ガス供給管
9 開閉弁
10 ガス流出部
11 濃縮ガス導出管
12 開閉弁
13 製品ガス導出管
14 開閉弁
15 ポンプ
16 ポンプ機構
17 ポンプ
18,19,20,21 開閉弁
170 入側導管
171 出側導管
200,201,300,301 分岐管
x 吸着剤
e 熱媒体
Claims (5)
- 内部に吸着剤が充填され、吸着工程と脱着工程が交互に行われる2基の吸着塔(A),(B)を用い、圧力スイング吸着法により混合ガス中の1つ以上のガス成分を吸着・分離するガス分離方法であって、
各吸着塔(A),(B)において吸着剤と熱交換させた熱媒体を両吸着塔(A),(B)間で循環させ、この循環する熱媒体により、吸着工程で発生した吸着熱を回収して脱着工程にある吸着剤に与え、脱着工程で発生した冷熱を回収して吸着工程にある吸着剤を冷却することを特徴とする圧力スイング吸着法によるガス分離方法。 - 熱媒体が水又は水溶液であることを特徴とする請求項1に記載の圧力スイング吸着法によるガス分離方法。
- 熱媒体は、各吸着塔(A),(B)の内部に原料ガス流れ方向に沿って設けられた熱交換用流路を通過することにより吸着剤と熱交換することを特徴とする請求項1又は2に記載の圧力スイング吸着法によるガス分離方法。
- 熱媒体は、吸着工程にある吸着塔内では、熱交換用流路内を原料ガス流れ方向と反対方向に流れ、脱着工程にある吸着塔内では、熱交換用流路内を原料ガス流れ方向(但し、吸着工程での原料ガス流れ方向)と同一方向に流れることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の圧力スイング吸着法によるガス分離方法。
- 内部に吸着剤が充填され、吸着工程と脱着工程が交互に行われる2基の吸着塔(A),(B)を備え、圧力スイング吸着法により混合ガス中の1つ以上のガス成分を吸着・分離するガス分離装置であって、
各吸着塔(A),(B)の内部に、熱媒体を通過させるための熱交換用流路(1a),(1b)が原料ガス流れ方向に沿って設けられるとともに、両吸着塔(A),(B)の原料ガス入口側における熱交換用流路(1a),(1b)の端部間が導管(2)で連絡され、濃縮ガス出口側における熱交換用流路(1a),(1b)の端部間が導管(3)で連絡されることにより、両吸着塔(A),(B)間で熱媒体を循環させる循環路を形成し、該循環路内で熱媒体を正逆方向切り換え可能に循環させるためのポンプ機構を備えることを特徴とする圧力スイング吸着法によるガス分離装置。
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