JP2011176230A - ブラケット固定構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板10に穿設された取付穴11にブラケット20の脚部21の一部を挿入して半田付けで固定するようにしたブラケットの固定構造であって、脚部21は、その内側に略T字状の割り溝22Rが形成されるように、ブラケットの側面22下部に設けた一対の脚基部23a,23bと、該脚基部の下端から互いに接近する方向に延びる一対の脚先部24,24と、脚先部の内側端部から屈曲部24b,24bを介して下方に延び取付穴内に挿入される脚先端部24a,24aとからなり、該脚先端部が取付穴に挿入された状態で、脚先端部の膨出部24c,24cと脚先部下端の肩部23a’,23b’とにより基板が挟持される。
【選択図】図2
Description
このようなブラケットを基板上に固定するには、コストの面を考慮すると、ネジ止めではなくカシメ固定が適当であり、そのカシメ部分を基板に対して強固に固定したり、あるいは接地を取ったりする必要から、そのカシメ部分に半田付けが行われる。
カシメ作業の際、先端部4aの捻り作業を容易にするために、基板1をひっくり返そうとすると、ブラケット3の脚部4は取付穴2に上方から挿入してあるだけなので、この脚部4が取付穴2から抜けてブラケット3が落下してしまう。したがって、このカシメ作業は、基板1の裏側から専用の治具を用いて行う必要があるだけでなく、作業状況が作業者に見え難い不便さがある。また、調整や修理のために一旦装着したブラケット3を取り外して再度取り付けるには、先端部4aを元の状態まで逆方向に捻り、再びカシメ変形させることとなるので、繰返しの塑性変形により先端部4aが破断し易くなるという欠点も生じる。
また、放熱板に別部品を組み付けたときの、脚部の半田に対する応力を吸収することも考慮されていない。
前記脚部は、前記基板の取付穴の長手方向両側に位置しそれぞれ上下方向に延びる一対の脚基部と、各脚基部の下端から互いに接近する方向に延びる一対の脚先部と、各脚先部の内側端部から屈曲部を介して下方に延び前記基板の取付穴に挿入されて半田付けされる一対の脚先端部とからなり、各脚基部と各脚先部および各脚先端部の内側に略T字状の割り溝が形成されており、
前記各脚先端部の前記取付穴の長手方向外側に向く端面には、外方に突出する膨出部が設けられているとともに、前記各脚先部の下端には前記脚先端部が前記取付穴に挿入された際に前記基板と接する肩部が形成されており、
前記各脚先端部の膨出部間の幅寸法は前記取付穴の長手方向の寸法よりも大きく、前記各脚先端部を前記割り溝により互いに接近する方向へ撓ませて前記取付穴に挿入した状態で、前記脚先端部の弾性復元力により前記膨出部と前記肩部とで前記基板が挟持されることを特徴とするブラケットの固定構造である。
特に、脚部の一方の脚基部の上端に、基板と略平行に延びる延長部が設けられている構成では、延長部による応力の吸収作用が高いので、半田付け部に対するストレスをより低減することができる。
本発明のブラケットの固定構造は、図1ないし図2に示すように、ブラケット20の脚部21をプリント基板などの基板10の取付穴11に挿入し、該基板10裏側から半田をディップすることにより、ブラケット20を該基板10上に固定するものである。
そして、そのように固定されたブラケット20に形成される保持面20aには、各種IC素子30あるいは図示しないコネクタ等の部品が係合して保持される。
該脚部21a,21cは、その内側に略T字状の割り溝22Rが形成されるように、側面22の下部から下方に突出する一対の脚基部23a,23bと、それぞれの脚基部23a,23bの下端から互いに接近する方向に延びる一対の脚先部24,24と、各脚先部24,24の内側端部からそれぞれ屈曲部24b,24bを介して下方に延びる脚先端部24a,24aとが一体形成されて構成されており、該脚先端部24a,24aが基板1に穿設された長穴形状の取付穴11に挿入されるようになっている。脚先端部24a,24aが基板1の取付穴11に挿入された状態で、一対の脚基部23a,23bは、取付穴11の長手方向両側の位置で上下方向に延びるものである。
各脚先端部24aには、該脚先端部24aを取付穴11に挿入したときに該取付穴11の長手方向内側面と対接する外側の端面に、外方に凸状(鎌首状)となる膨出部24cが形成されている。この膨出部24cの形状は、半円形状、三角形状など適宜選択可能である。
屈曲部24bは、脚先部24,24の内側端部と脚先端部24aの上端部とを繋ぐ円弧形状部である。そして、屈曲部24b,24bから下方へ延びた各脚先端部24a,24aは線Lを中心に所定の間隙tを介して対称に背中合わせとなるように形成されている。また、略T字状の割り溝22Rが存在することにより脚先端部24a,24aが互いに接近する方向および上方向に弾性力を持って撓むが、屈曲部24bを脚部21a,21cの他の部分より細幅に形成することで、脚先端部24a,24aをより撓み易くしている。なお、屈曲部24bの形状は円弧形状に限らず、L字形状等でも良い。
略T字状の割り溝22Rの間隙tは、ブラケット本体20bと一体に板金で形成されている脚部21の脚先端部24aが、基板10の取付穴11に押し込まれて挿入される場合に、該取付穴11を損傷することなく互いに内方に撓むことができる距離に設定されている。
また、脚先部24,24の下部側には、脚先端部24aが取付穴11に挿入された状態において、基板10と接する肩部23a’,23b’が設けられている。該肩部23a’,23b’は、脚先端部24aが取付穴11に挿入された状態において、基板11の表面と面接触することができるように平坦な端面で形成される。但し、肩部23a’,23b’の表面は、例えば波形形状など、基板11の表面に対して複数の点で接触するような形状であっても良い。
ブラケット20を基板10に仮固定するのに先立ち、図1に示すように各種IC素子30の端子を基板10の端子挿入穴に挿入してIC素子30を所定位置に装填する。本実施例では、IC素子30として発熱素子であるパワーICが使用される。
次に、脚先端部24a,24aを基板10の取付穴11上に位置させてブラケット20全体を基板10の上方から押し込むと、その脚先端部24aが取付穴11にしだいに挿入されるのに従って、取付穴11の長手方向両端の内側面に膨出部24cの外側面が沿うように各脚先端部24a,24aが弾性的に撓み、それに伴い間隙tが狭められていく。
このとき、略T字状の割り溝22Rの存在により、両脚先端部24a,24aは互いに接近する方向だけでなく屈曲部24b,24bと共にそれぞれ線Lに向かって斜め上方向にも弾性的に撓むようになっている。したがって、上下方向に長い割り溝を形成しなくても両脚先端部24a,24aの撓み量を充分に確保できるので、脚部21の基板10表面からの高さ寸法に制限がある場合でも、脚先端部24a,24aの取付穴11への挿入作業性が悪化することがない。
両脚先端部24aが更に挿入され、膨出部24cの円弧状頂部が取付穴11を通過すると、両脚先端部24の弾性復元力により、該両脚先端部24は互いに離れる方向へ広がっていき、脚先部24,24の肩部23a’,23b’が基板10の表面に接した時点でスナップイン作業が終了する。このとき、IC素子30の基板10に対して垂直な平面がブラケット20の保持面20aに対して僅かな隙間を介して対向し、また、IC素子30の上端部がブラケット20の上端縁に折曲形成された保持片20e(図2参照)に把持され、よって、後述する半田付け工程においてIC素子30の基板10からの浮き、或いは倒れ等が規制されるようになっている。
この時点では、脚先端部24の弾性復元力が残されている状態(両脚先端部24a,24aが開ききっていない状態)とされており、取付穴11の長手方向の内縁の下面に膨出部24c,24cの外面が圧接し、且つ、肩部23a’,23b’が取付穴11周囲の基板10の表面と面接触或いは複数個所で点接触して、これら肩部23a’,23b’と膨出部24c,24cとにより基板10を弾性的に挟持した状態となる。これにより、基板10に対するブラケット20の倒れや傾きが生じ難くなり、謂わば座りの良い状態でブラケット20が基板10に仮固定されることとなる。
本件発明の固定構造では、上記したように基板10に対してブラケット20を倒れや傾きの無い状態(座りの良い状態)で仮固定した後にディップ半田付け作業を行うことができるので、各脚先端部24aの突出量にバラツキが無く、安定した半田付け作業を行うことができる。
また、取付穴11周囲のランド5’に対し、脚先端部24aの外側角部(図5中、符号Pで示す部位)が4箇所で対向することになるので、図11に示す従来例とは異なり、半田が入り込む部分は線L、L’を中心にそれぞれ線対称となり均等になる。このため、半田が部分的に偏在することが無く、半田凝固時の収縮量の差からクラックが発生することがない。
また、脚先端部24aの破断面(打ち抜き加工時の切断面)には半田が良く付着することとなるが、本件発明の脚先端部24aは膨出部24cを有して円弧状或いは三角形状に形成されているため半田の付着面積が大きく、しかも上記したように4点でランド5’に対向するため、半田によって脚先端部24aを取付穴11周囲の下面に保持するアンカー効果に優れている。
さらに、脚先端部24aの上端部には幅細の屈曲部24bが接続されているため、半田付け時に脚先端部24aに加わる熱がブラケット本体20b側に逃げるのを抑制して脚先端部24aの半田の濡れ性を向上させることができ、この点でも安定した半田付け作業が可能となる。
上述したようなブラケット20の仮固定状態から、基板10の裏面にディップ半田付けが行われ、脚先端部24aおよびランド5’が半田により接続されることで基板10に対するブラケット20の固定作業が終了する。これと同時に、IC素子30の端子も基板10のランド(図示せず)に半田付けされ、IC素子30が基板10に対して電気的および機械的に接続される。
上述した側面22の下部に設けられた脚部21a,21cでは、一対の脚基部23a,23bのうちの一方の上端部に延長部23a’’を設けているが、保持面20aの下部に設けられた脚部21bには延長部23a’’が形成されておらず、図4に示すように両脚基部23,23が線Lを中心に対称な形状となっている。この脚部21bは、脚基部23,23だけでなく、脚先部24,24、屈曲部24b,24b、脚先端部24a,24aがいずれも線Lに対して線対称となり、保持面20aに平行な略T字状の割り溝22R’が形成される。
この脚部21bの構造でも、上記脚部21a,21cと同様に、上下方向に長い割り溝を形成しなくても両脚先端部24a,24aの撓み量を充分に確保できるので、脚部21bの基板10表面からの高さ寸法に制限がある場合でも、脚先端部24a,24aの取付穴11への挿入作業性が悪化することがない。また、座りの良い状態でブラケット20が基板10に仮固定されるため、各脚先端部24aの突出量にバラツキが無く、安定した半田付け作業を行うことができる。さらに、半田が部分的に偏在することが無く、半田凝固時の収縮量の差からクラックが発生することがない。
但し、この脚部21bは、側面22の下部に設けられた脚部21a,21cのように一対の脚基部23,23のうちの一方の上端部に延長部を設けていないため、半田付け後のブラケット20に対して保持面20aが傾けられるような応力が加わった場合に、この応力を吸収する能力は小さい。一方、脚基部23,23の弾性変形が少ない分、基板10に対する固定を強固にすることができる。したがって、図2,3に示すように、該脚部21bは保持面20aと平行な面に用いると好適である。
前記ブラケット20が固定された基板10は、図6,7に示すように、先ず、上方が開放されたシャシ40内の底部に配置される。
ブラケット20にはその保持面20aにIC素子30等が保持されているが、該IC素子30等が稼働して発熱する場合は、該IC素子30の側面にヒートシンク50を密着させて該熱を放散することが必要になる。
このため、本実施例では、図6〜9に示すように、ブラケット20を、その保持面20a側、つまりIC素子30の側面がシャシ40の立側面40aに対向するように基板10上に固定し、ヒートシンク50を、該シャシ40の該立側面40aを介してブラケット20と対向させる。そして、該ヒートシンク50は、ネジ51aによりシャシ40の立側面40aにネジ止めされると共に、同じくネジ51bによりブラケット20の両側に保持面20aと平行に設けた取付片20cにネジ止めされ、IC素子30をブラケット20の保持面20aとヒートシンク50の内面とで挟み込むようにしている。これにより、IC素子30の側面にヒートシンク50の内面が密着する。
その後、シャシ40の上方が図示しないカバーで覆われ、例えば電子機器として完成されることになる。
このように構成されているので、ヒートシンク50の組み付け時、ネジ51bをブラケット20の取付片20cにねじ込むことにより、ブラケット20には、脚部21a,21cが設けられている下端側を支点に保持面20aがヒートシンク50側に傾けられる方向の応力が加わる。しかしながら、上述したように延長部23a’’が僅かに撓んでこの応力を吸収するので、脚先端部24aまで応力が伝わって半田割れやランド5’の剥がれが発生するのを回避できる。
10 基板
11 取付穴
20 ブラケット
20a 保持面
21a,21b,21c 脚部
22 側面
23,23a,23b 脚基部
23a’,23b’ 肩部
23a’’延長部
24 脚先部
24a 脚先端部
24b 屈曲部
24c 膨出部
30 IC素子
40 シャシ
50 ヒートシンク
Claims (3)
- 基板に対して略垂直に形成され該基板に取付けられた部品を保持する保持面と、該保持面よりも下部に設けられた脚部とを備えた板金製のブラケットを、前記脚部の先端を基板に穿設された長穴形状の取付穴に挿入して該基板の裏面に半田付けすることで固定するようにしたブラケットの固定構造であって、
前記脚部は、前記基板の取付穴の長手方向両側に位置しそれぞれ上下方向に延びる一対の脚基部と、各脚基部の下端から互いに接近する方向に延びる一対の脚先部と、各脚先部の内側端部から屈曲部を介して下方に延び前記基板の取付穴に挿入されて半田付けされる一対の脚先端部とからなり、各脚基部と各脚先部および各脚先端部の内側に略T字状の割り溝が形成されており、
前記各脚先端部の前記取付穴の長手方向外側に向く端面には、外方に突出する膨出部が設けられているとともに、前記各脚先部の下端には前記脚先端部が前記取付穴に挿入された際に前記基板と接する肩部が形成されており、
前記各脚先端部の膨出部間の幅寸法は前記取付穴の長手方向の寸法よりも大きく、前記各脚先端部を前記割り溝により互いに接近する方向へ撓ませて前記取付穴に挿入した状態で、前記脚先端部の弾性復元力により前記膨出部と前記肩部とで前記基板が挟持されることを特徴とするブラケットの固定構造。 - 請求項1記載のブラケットの固定構造において、前記脚部は、前記保持面と垂直な側面の下部に形成されており、前記一対の脚基部は前記取付穴の長手方向において前記保持面を挟んで両側に位置しており、そのうち一方の前記脚基部の上端には、前記保持面に向かって前記基板と略平行に延び前記側面に接続される延長部が設けられていることを特徴とするブラケットの固定構造。
- 請求項1記載のブラケットの固定構造において、前記脚部は、前記保持面の下部と、前記保持面の両側にそれぞれ設けられた該保持面と垂直な一対の側面の下部とにそれぞれ形成されており、前記各側面に設けられた前記脚部の前記一対の脚基部は、前記取付穴の長手方向において前記保持面を挟んで両側に位置しており、そのうち一方の前記脚基部の上端には、前記保持面に向かって前記基板と略平行に延び前記側面に接続される延長部が設けられていることを特徴とするブラケットの固定構造。
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