JP2011175970A - 回路接続材料、及び回路部材の接続構造の製造方法 - Google Patents

回路接続材料、及び回路部材の接続構造の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】回路電極の表面における凹凸の有無に拘わらず、対向する回路電極間の良好な電気的接続を達成でき、回路電極間の電気特性の長期信頼性を十分に高められる回路接続材料等を提供する。
【解決手段】本発明の回路接続材料10は、回路部材の接続構造1における回路接続部材10を形成するために用いられ、接着剤組成物11と、表面側に突起部14を有する導電粒子12とを含有し、導電粒子12と回路電極32,42との間に接着剤組成物11が入り込んでも、突起部14より接着剤組成物11に加えられる圧力が、突起部14が無い導電粒子12より加えられる圧力に比べて十分大きくなるため、突起部14が接着剤組成物11を容易に貫通して回路電極32,42に接触することが可能となる。そして、回路接続材料10が硬化処理されることで、導電粒子12と回路電極32,42とが接触した状態が長期間にわたって保持される。
【選択図】図1

Description

本発明は、回路接続材料、及びこれを用いた回路部材の接続構造に関する。
液晶ディスプレイとテープキャリアパッケージ(Tape Carrier Package:TCP)との接続、フレキシブル回路基板(Flexible Printed Circuit:FPC)とTCPとの接続、又はFPCとプリント配線板との接続といった回路部材同士の接続には、接着剤中に導電粒子を分散させた回路接続材料(例えば、異方導電性接着剤)が使用されている。また、最近では半導体シリコンチップを基板に実装する場合、回路部材同士の接続のためにワイヤボンドを使用することなく、半導体シリコンチップをフェイスダウンして基板に直接実装する、いわゆるフリップチップ実装が行われている。このフリップチップ実装においても、回路部材同士の接続には異方導電性接着剤等の回路接続材料が使用されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
上述した回路接続材料は一般に、接着剤組成物と、導電粒子とを含有しており、導電粒子は、例えば有機高分子化合物からなる核体の表面上に金属メッキ層を形成することにより構成されている。そして、金属メッキ層の表面は、通常平坦となっている。
特開昭59−120436号公報 特開昭60−191228号公報 特開平1−251787号公報 特開平7−90237号公報 特開2001−189171号公報
ところで、近年、電子機器の小型化、薄型化に伴い、回路部材に形成された回路の高密度化が進展し、隣接する電極との間隔や電極の幅が非常に狭くなる傾向がある。回路電極の形成は、回路の元となる金属を基板全面に形成し、回路電極部にレジストを塗布、硬化し、それ以外の部分を酸若しくは塩基でエッチングするという工程で行われるが、上述した高密度化された回路の場合には、基板全面に形成した金属の凹凸が大きいと凹部と凸部でエッチング時間が異なるために、精密なエッチングを行えず、隣接回路間のショートや断線が発生するという問題がある。このため、高密度回路の電極表面では凹凸が小さいこと、すなわち電極表面が平坦であることが望まれている。
しかし、このような相対向する平坦な回路電極同士を、前述した従来の回路接続材料を用いて接続した場合には、回路接続材料中に含まれる導電粒子と平坦電極との間に接着剤樹脂が残り、回路電極間において十分な電気的接続及び長期信頼性を確保できないという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、回路電極の表面が平坦であっても、対向する回路電極同士間の良好な電気的接続を達成できると共に回路電極間の電気特性の長期信頼性を十分に高めることができる回路接続材料及び回路部材の接続構造を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、上記課題の生じる原因が特に導電粒子の表面形状にあることを見出した。すなわち、上記従来の回路接続材料に含まれる導電粒子はその表面が平坦であるため、導電粒子と回路電極との間に接着剤組成物が入り込んだ場合に接着剤組成物に対する圧力が小さく、導電粒子と回路電極とを十分に接触させることが困難となり、回路電極間の電気的接続が不十分となることを見出した。そして、本発明者等は、上記課題を解決すべく更に鋭意研究を重ねた結果、硬化処理により40℃における貯蔵弾性率及び25℃〜100℃における平均熱膨張係数が特定の範囲となることが可能で、且つ、特定の表面形状の導電粒子を有する回路接続材料を用いることで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の回路接続材料は、第1の回路基板の主面上に第1の回路電極が形成された第1の回路部材と、第1の回路部材に対向して配置され、第2の回路基板の主面上に第2の回路電極が形成された第2の回路部材と、第1の回路部材の主面と第2の回路部材の主面との間に設けられ、第1及び第2の回路部材同士を接続する回路接続部材と、を備える回路部材の接続構造における、回路接続部材を形成するための回路接続材料であって、回路接続材料は、接着剤組成物と、表面側に導電性を有する複数の突起部を備えた導電粒子とを含有し、硬化処理により40℃における貯蔵弾性率が0.5〜3GPaとなり、且つ硬化処理により25℃から100℃までの平均熱膨張係数が、30〜200ppm/℃となることが可能である、ことを特徴とする。
この回路接続材料によれば、第1及び第2の回路部材の間に介在され、第1及び第2の回路部材を介して加圧される。このとき、導電粒子と第1及び第2の回路電極との間に接着剤組成物が入り込んでも、導電粒子の持つ突起部より接着剤組成物に加えられる圧力が、突起部が無い導電粒子より加えられる圧力に比べて十分に大きくなるため、導電粒子の突起部が接着剤組成物を容易に貫通して第1及び第2回路電極に接触することが可能となる。このことは、第1及び/又は第2回路電極の表面に凹凸があり、導電粒子と第1及び/又は第2回路電極との間に接着剤組成物が入り込みやすい状態であっても同様である。そして、回路接続材料が硬化処理されることにより、導電粒子と第1及び第2回路電極とが接触した状態が長期間にわたって保持される。
また本発明は、上記回路接続材料をフィルム状に形成してなることを特徴とするフィルム状回路接続材料である。このフィルム状回路接続材料はフィルム状であり、取扱いが容易である。このため、このフィルム状回路接続材料によれば、第1の回路部材と第2の回路部材とを接続する際に、それらの間に容易に介在させることができ、第1の回路部材と第2の回路部材との接続作業を容易に行うことができる。
また本発明は、第1の回路基板の主面上に第1の回路電極が形成された第1の回路部材と、第1の回路部材に対向して配置され、第2の回路基板の主面上に第2の回路電極が形成された第2の回路部材と、第1の回路部材の主面と第2の回路部材の主面との間に設けられ、第1及び第2の回路部材同士を接続する回路接続部材と、を備える回路部材の接続構造であって、回路接続部材が、絶縁性物質と、表面側に導電性を有する複数の突起部を備えた導電粒子とを含有し、回路接続部材の40℃における貯蔵弾性率が0.5〜3GPaであり、且つ、25℃から100℃までの平均熱膨張係数が30〜200ppm/℃であり、第1の回路電極と第2の回路電極とが、導電粒子を介して電気的に接続されていることを特徴とする。
この回路部材の接続構造によれば、回路接続部材の40℃における貯蔵弾性率が0.5〜3GPaであり、且つ、25℃から100℃までの平均熱膨張係数が30〜200ppm/℃であることにより、第1の回路電極又は第2の回路電極との界面の応力緩和により、高い接着強度が実現され、且つその状態を長期間にわたって持続させることが可能となる。
本発明の回路接続材料及び回路部材の接続構造によれば、回路電極の表面が平坦であっても、対向する回路電極同士間の良好な電気的接続を達成できると共に回路電極間の電気特性の長期信頼性を十分に高めることができる。
本発明に係る回路部材の接続構造の一実施形態を示す断面図である。 本発明に係る回路接続材料を構成する導電粒子の種々の形態を示す断面図である。 本発明に係るフィルム状回路接続材料の一実施形態を示す断面図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
図1は、本発明に係る回路部材の接続構造の第1実施形態を示す概略断面図である。本実施形態の回路部材の接続構造1は、相互に対向する第1の回路部材30及び第2の回路部材40を備えており、第1の回路部材30と第2の回路部材40との間には、これらを接続する回路接続部材10が設けられている。
第1の回路部材30は、回路基板(第1の回路基板)31と、回路基板31の主面31a上に形成される回路電極(第1の回路電極)32とを備えている。第2の回路部材40は、回路基板41と、回路基板41の主面41a上に形成される回路電極(第1の回路電極)42とを備えている。回路基板31、41において、回路電極32、42の表面は平坦になっている。なお、本発明において「回路電極の表面が平坦」とは、回路電極の表面の凹凸が20nm以下であることをいう。
回路接続部材10においては、それを構成する材料の40℃における貯蔵弾性率が0.5〜3GPaであり、25℃から100℃までの平均熱膨張係数は30〜200ppm/℃である。なお、本発明における貯蔵弾性率は動的粘弾性測定機(Rhomotorics Scientific社製、RSA−II)を用いて測定されたものであり、本発明における平均熱膨張係数はTMA(セイコーインスツルメンツ社製、TMA/SS6000)を用いて測定されたものである。
また回路接続部材10は、絶縁性物質11と導電粒子12とを含有している。導電粒子12はその詳細については後述するが、図2(a)〜(d)に示すように、その表面側に複数の突起部14を有している。
そして、この回路部材の接続構造1においては、対向する回路電極32と回路電極42とが、導電粒子12を介して電気的に接続されている。即ち、導電粒子12が、回路電極32,42の双方に直接接触している。具体的には、導電粒子12の突起部14が、絶縁性物質11を貫通して第1回路電極32、第2の回路電極42に接触している。
このため、回路電極32,42間の接続抵抗が十分に低減され、回路電極32,42間の良好な電気的接続が可能となる。従って、回路電極32,42間の電流の流れを円滑にすることができ、回路の持つ機能を十分に発揮することができる。
また回路接続部材10の40℃における貯蔵弾性率が0.5〜3GPaであり、且つ、25℃から100℃までの平均熱膨張係数が30〜200ppm/℃であることにより、第1の回路電極32又は第2の回路電極42との界面の応力緩和により、高い接着強度が実現され、且つその状態を長期間にわたって持続させることが可能となる。即ち、第1回路電極32及び第2回路電極42間の距離の経時的変化が十分に防止され、第1回路電極32及び第2回路電極42間の電気特性の長期信頼性を十分に高めることができる。
なお、上記回路接続部材10を構成する材料の40℃における貯蔵弾性率が0.5GPa未満の場合は、接着強度が不十分となり、3GPaを超えると、内部応力によって回路接続部材10での接続抵抗が増大したり、回路接続部材10が第1又は第2の回路部材30,40から剥離したりする。また、上記平均熱膨張係数が30ppm/℃未満の場合は、接着強度が不十分となり、200ppm/℃を超えると、内部応力によって回路接続部材10での接続抵抗が増大したり、回路接続部材10が第1又は第2の回路部材30,40から剥離したりする。
次に、導電粒子12の構成について詳細に説明する。図2は、本発明に係る回路接続材料を構成する導電粒子の種々の形態を示す断面図である。図2(a)に示すように、導電粒子12は、導電性を有する粒子(本体部)12aと、この粒子12aの表面上に形成された複数の突起部14とから構成されている。ここで、複数の突起部14は導電性を有する金属で構成されている。粒子12aは、例えば金属粒子で構成され、金属粒子としては、例えばニッケル、銅、金、銀、コバルト等が挙げられる。なお、粒子12aは、有機高分子化合物からなる核体上に金属層が形成されたものであっても構わない。突起部14を構成する金属は、例えばニッケル、銅、金、銀、コバルト等で構成される。粒子12aと突起部14を構成する金属は同一でも異なっていても構わない。
上記突起部14は、粒子12aの表面に、導電性を有する金属を蒸着又はメッキ等することにより形成することができる。
導電粒子12の突起部14の高さHは50〜500nmであることが好ましく、100〜300nmであることがより好ましい。また、隣接する突起部14間の距離Sは1000nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましい。また、隣接する突起部14間の距離Sは、導電粒子と回路電極との間に接着剤組成物が入り込まず、十分に導電粒子と回路電極とを接触させるためには、少なくとも50nm以上であることが望ましい。なお、導電粒子12の突起部14の高さH及び隣接する突起部14間の距離Sは、電子顕微鏡により測定することができる。
また図2(b)に示すように、導電粒子12は、有機高分子化合物からなる核体21と、核体21の表面上に形成される金属層22とで構成されてもよい。核体21は、中核部21aと、中核部21aの表面上に形成される突起部21bとで構成され、金属層22は、その表面側に、複数の突起部14を有している。
核体21の中核部21aを構成する有機高分子化合物としては、例えばアクリル樹脂、スチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリブタジエン樹脂又はこれらの共重合体が挙げられ、これらを架橋したものを使用してもよい。なお、核体21の中核部21aの平均粒径は50〜500nmであることが好ましい。
核体21の突起部21bを構成する有機高分子化合物としては、例えばアクリル樹脂、スチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリブタジエン樹脂又はこれらの共重合体が挙げられ、これらを架橋したものを使用してもよい。突起部21bを構成する有機高分子化合物は、中核部21aを構成する有機高分子化合物と同一であっても異なっていてもよい。
核体21は、中核部21aの表面に中核部21aよりも小さな径を有する突起部21bを複数個吸着させることにより形成することができる。
核体21上に形成される金属層22は、例えば、銅、ニッケル、ニッケル合金、銀又は銀合金で構成されている。
金属層22は、これらの金属を核体21に対して無電解メッキ法を用いてメッキすることにより形成することができる。
なお、上記ニッケル合金は、メッキ浴中に配合される添加剤により種々のものがある。よく知られているニッケル合金としては、ニッケル−リン、ニッケル−ホウ素等が挙げられる。銀合金も、ニッケル合金と同様にメッキ浴中に配合される添加剤により種々のものがある。
金属層22の厚さ(メッキの厚さ)は50〜170nmであることが好ましく、より好ましくは50〜150nmである。金属層22の厚さをこのような範囲とすることで、回路電極32,42間の接続抵抗をより一層良好なものとすることができる。金属層22の厚さが50nm未満ではメッキの欠損等が発生して接続抵抗が大きくなる傾向があり、170nmを超えると導電粒子間で凝結が発生して隣接する回路電極間で短絡が生じる傾向がある。
更に導電粒子12は、図2(c)に示すように、核体21が中核部21aのみで構成されてもよい。この導電粒子12は、核体21の表面を金属メッキし、核体21の表面上に金属層22が形成されることにより得ることができる。但し、突起部14は、金属メッキの際、メッキ条件を変更して金属層22の厚さを変化させることで金属層22に形成することができる。なお、メッキ条件の変更は、例えば、最初に使用したメッキ液に、これよりも濃度の高いメッキ液を追加することでメッキ液濃度を不均一にすることにより行うことができる。
また、導電粒子12は、図2(d)に示すように、表面が平滑な金属層22上に最外層23を備えていてもよい。この形態では、最外層23の表面側に突起部24が形成されている。最外層23は、金又はパラジウムで構成され、金属層22上を置換メッキすることにより形成することができる。但し、突起部24は、金属メッキの際、上述と同様にメッキ条件を変更して最外層の厚さを変化させることで最外層に形成することができる。また、図2(b)に示す導電粒子12の金属層22の表面に最外層23を備えても良い。この場合は、突起部24は、メッキ条件を変更することなく金属メッキを行えばよい。
最外層の厚さは15〜70nmであることが好ましく、25〜50nmであることがより好ましい。最外層の厚さが15nm未満の場合には、メッキの欠損により十分な効果が得ることが困難となる傾向がある。また、最外層の厚さが70nmを越える場合には、良好な接続抵抗を達成できるが、使用するメッキ液量が相乗的に増加するため非常に製造コストが高くなる傾向がある。また、最外層を設けた場合、金属層22bの膜厚は70〜170nmが好ましい。膜厚が70nm未満では、メッキの欠損(剥がれ)等が発生して接続抵抗が大きくなる傾向があり、170nmを超えると、隣接する回路電極間で短絡が生じる傾向がある。
また、回路電極32,42は通常、その全体が金、銀、錫、白金族の金属又はインジウム−錫酸化物(ITO)で構成されているが、回路電極32,42は、表面のみを上記物質で構成してもよい。更に回路基板31,41の材質は特に制限されないが、通常は有機絶縁性物質、ガラス又はシリコンである。
上記回路部材の接続構造1は、第1回路電極32,第2回路電極42の少なくとも一方の表面積が15000μm2以下であり、且つ、第1の回路電極32と第2の回路電極42との間における平均導電粒子数が3個以上であることが好ましい。ここで、平均導電粒子数とは、回路電極1つあたりの導電粒子数の平均値を言う。この場合、対向する回路電極32,42間の接続抵抗をより十分に低減することができる。また、平均導電粒子数が6個以上である場合には、さらに良好な接続抵抗を達成できる。これは、対向する回路電極32,42間の接続抵抗が十分に低くなるからである。また回路電極32,42間における平均導電粒子数が2個以下の場合には、接続抵抗が高くなりすぎ、電子回路が正常に動作しなくなる虞がある。
また、上記回路部材の接続構造1においては、回路接続部材10のガラス転移温度が60〜200℃であることが好ましい。ガラス転移温度が60℃未満の場合には、高温下で、接着強度が低下し、接続抵抗が上昇する傾向があり、200℃を超える場合には、回路接続部材10にクラックが発生して、第1又は第2の回路部材30、40との界面応力が大きくなり、接着強度が低下する傾向がある。
第1の回路部材30及び第2の回路部材40の具体例としては、半導体チップ、抵抗体チップ、コンデンサチップ等のチップ部品、プリント基板等の基板が挙げられる。これらの回路部材には、回路電極(回路端子)が通常は多数(場合によっては単数でもよい)設けられている。また、接続構造の形態としては、ICチップとチップ搭載基板との接続構造、電気回路相互の接続構造の形態もある。
また、上記実施形態では、回路部材の接続構造1に絶縁層が設けられていないが、第1の回路部材30において、第1の回路電極32に隣接して第1の絶縁層が形成されてもよいし、第2の回路部材40において、第2の回路電極42に隣接して第2の絶縁層が形成されていてもよい。絶縁層は、絶縁材料で構成されていれば特に制限されないが、通常は有機絶縁性物質、二酸化珪素又は窒化珪素から構成される。
[回路部材の接続構造の製造方法]
次に、上述した回路部材の接続構造1の製造方法について説明する。
先ず、上述した第1の回路部材30と、第2の回路部材40と、回路接続材料とを準備する。回路接続材料としては、例えば、フィルム状に成形した回路接続材料(以下、フィルム状回路接続材料と言う。)50を準備する(図3参照)。フィルム状回路接続材料50は、第1の回路部材30及び第2の回路部材40に対して硬化処理により硬化する接着剤組成物51と、導電粒子12とを含有し、且つ硬化処理により40℃における貯蔵弾性率が0.5〜3GPaとなり、25℃から100℃までの平均熱膨張係数が30〜200ppm/℃となることが可能なものである。フィルム状回路接続材料50の厚さは、10〜50μmであることが好ましい。
次に、第1の回路部材30の上に、フィルム状回路接続材料50を載せる。そして、第2の回路部材40を、フィルム状回路接続材料50の上に載せる。これにより、第1の回路部材30と第2の回路部材40との間にフィルム状回路接続材料50を介在させることが可能となる。このとき、フィルム状回路接続材料50はフィルム状であり、取扱いが容易である。このため、このフィルム状回路接続材料50によれば、第1の回路部材30と第2の回路部材40とを接続する際に、それらの間に容易に介在させることができ、第1の回路部材30と第2の回路部材40との接続作業を容易に行うことができる。
次に、第1の回路部材30及び第2の回路部材40を介してフィルム状回路接続材料50を加熱しながら加圧して硬化処理を施し、第1及び第2の回路部材30,40の間に回路接続部材10を形成する。硬化処理は、一般的な方法により行うことが可能であり、その方法は接着剤組成物により適宜選択される。このとき、導電粒子12と第1及び第2の回路電極32,42との間に接着剤組成物が入り込んでも、導電粒子12の持つ複数の突起部14より接着剤組成物に加えられる圧力が、突起部が無い導電粒子より加えられる圧力に比べて十分に大きくなるため、導電粒子12の突起部14が接着剤組成物を容易に貫通して第1及び第2回路電極32,42に接触することが可能となる。このことは、第1及び/又は第2回路電極32,42の表面に凹凸があり、導電粒子12と第1及び/又は第2回路電極32,42との間に接着剤組成物が入り込みやすい状態であっても同様である。そして、回路接続材料が硬化処理されることにより接着剤組成物51が硬化し、第1の回路部材30及び第2の回路部材40に対する高い接着強度が実現され、導電粒子12と第1及び第2回路電極32,42とがしっかりと接触した状態が長期間にわたって保持される。
従って、第1及び/又は第2の回路電極32,42の表面における凹凸の有無に拘わらず、対向する第1及び第2回路電極32,42間の接続抵抗を充分に低減することができ、第1回路電極32と第2回路電極42との良好な電気的接続を達成できると共に第1及び第2回路電極32,42間の電気特性の長期信頼性を十分に高めることができる。
なお、上記実施形態では、フィルム状回路接続材料50を用いて回路部材の接続構造を製造しているが、フィルム状回路接続材料50に代えて、後述する回路接続材料を用いてもよい。この場合でも、回路接続材料を溶媒に溶解させ、その溶液を、第1の回路部材30又は第2の回路部材40のいずれかに塗布し乾燥させれば、第1及び第2の回路部材30、40間に介在させることができる。
[回路接続材料]
次に、上述したフィルム状回路接続材料50の構成について詳細に説明する。
フィルム状回路接続材料50は、回路接続材料をフィルム状に成形してなるものであり、回路接続材料は、表面側に突起部14を有する導電粒子12と、接着剤組成物51とを含有し、硬化処理により40℃における貯蔵弾性率が0.5〜3GPaとなり且つ25℃から100℃までの平均熱膨張係数が30〜200ppm/℃(好ましくは30〜100ppm/℃)となることが可能な材料で構成されている。
硬化処理により40℃における貯蔵弾性率が0.5GPa未満となる回路接続材料では接着強度が不十分となり、上記貯蔵弾性率が3GPaを超える回路接続材料では内部応力によって回路接続部材10での接続抵抗が増大したり、接着剤が剥離したりする。また、硬化処理により25℃から100℃までの平均熱膨張係数が30ppm/℃未満となる回路接続材料では接着強度が不十分となり、上記平均熱膨張係数が200ppm/℃を超えると内部応力によって接続部での接続抵抗が増大したり、接着剤が剥離したりする。
回路接続材料は、硬化処理により40℃における貯蔵弾性率が0.7〜2GPaであることが可能なものであることが好ましい。この場合、適当な凝集力が得られ、且つ、回路電極32,42間と回路接続材料界面における応力緩和による高い接着強度がより期待できる。
また、回路接続材料は、硬化処理によりガラス転移温度が60〜200℃となるものが好ましく、60〜180℃となるものがより好ましい。硬化処理によってガラス転移温度が60℃未満となる回路接続材料では、回路部材の接続構造1において、高温における接着強度の低下、接続抵抗の上昇が起こる傾向があり、硬化処理によりガラス転移温度が200℃を超える回路接続材料では、高温且つ長時間で硬化させることとなるため、回路接続部材10における内部応力が増大し、クラックが発生することがある。また、回路部材30又は40との界面応力が大きくなるため回路接続部材10による接着強度が低下する傾向がある。
回路接続材料中に含まれる接着剤組成物は接着性を有し、第1及び第2の回路部材30,40に対する硬化処理により硬化する。また、接着剤組成物は、硬化処理により回路接続材料の40℃における貯蔵弾性率を0.5〜3GPa(好ましく0.7〜2GPa)とし且つ25℃から100℃までの平均熱膨張係数を30〜200ppm/℃(好ましくは30〜100ppm/℃)とし得るものであれば如何なるものでもよいが、このような接着剤組成物としては、(1)エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂の潜在性硬化剤とを含有する組成物、(2)ラジカル重合性物質と、加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤とを含有する組成物、又は(1)と(2)との混合組成物が好ましい。
まず、(1)エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂の潜在性硬化剤とを含有する組成物について説明する。
上記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、ハロゲン化されていてもよく、水素添加されていてもよい。これらのエポキシ樹脂は、2種以上を併用してもよい。
潜在性硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化させることができるものであればよく、このような潜在性硬化剤としては、アニオン重合性の触媒型硬化剤、カチオン重合性の触媒型硬化剤、重付加型の硬化剤等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上の混合物として使用できる。これらのうち、速硬化性において優れ、化学当量的な考慮が不要である点からは、アニオン又はカチオン重合性の触媒型硬化剤が好ましい。
アニオン又はカチオン重合性の触媒型硬化剤としては、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ジアミノマレオニトリル、メラミン及びその誘導体、ポリアミンの塩、ジシアンジアミド等が挙げられ、これらの変成物も使用することができる。重付加型の硬化剤としては、ポリアミン類、ポリメルカプタン、ポリフェノール、酸無水物等が挙げられる。
アニオン重合型の触媒型硬化剤として第3級アミン類やイミダゾール類を配合した場合、エポキシ樹脂は160℃〜200℃程度の中温で数10秒〜数時間程度の加熱により硬化する。このため、可使時間(ポットライフ)が比較的長くなるので好ましい。
カチオン重合型の触媒型硬化剤としては、例えば、エネルギー線照射によりエポキシ樹脂を硬化させる感光性オニウム塩(芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩等が主として用いられる)が好ましい。また、エネルギー線照射以外に加熱によって活性化しエポキシ樹脂を硬化させるものとして、脂肪族スルホニウム塩等がある。この種の硬化剤は、速硬化性という特徴を有することから好ましい。
これらの潜在性硬化剤を、ポリウレタン系又はポリエステル系等の高分子物質や、ニッケル、銅等の金属薄膜及びケイ酸カルシウム等の無機物で被覆してマイクロカプセル化したものは、可使時間が延長できるため好ましい。
次いで、(2)ラジカル重合性物質と、加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤とを含有する組成物について説明する。
ラジカル重合性物質は、ラジカルにより重合する官能基を有する物質である。このようなラジカル重合性物質としては、アクリレート(対応するメタクリレートも含む。以下同じ。)化合物、アクリロキシ(対応するメタアクリロキシも含む。以下同じ。)化合物、マレイミド化合物、シトラコンイミド樹脂、ナジイミド樹脂等が挙げられる。ラジカル重合性物質は、モノマー又はオリゴマーの状態で用いてもよく、モノマーとオリゴマーを併用することも可能である。
上記アクリレート化合物の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、必要によりハドロキノン、メチルエーテルハイドロキノン類などの重合禁止剤を適宜用いてもよい。またさらに、耐熱性の向上の観点から、アクリレート化合物がジシクロペンテニル基、トリシクロデカニル基及びトリアジン環からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有することが好ましい。
上記マレイミド化合物は、分子中にマレイミド基を少なくとも2個以上含有するものである。このようなマレイミド化合物としては、例えば、1−メチル−2,4−ビスマレイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−トルイレンビスマレイミド、N,N’−4,4−ビフェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメチルビフェニレン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジエチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’−3,3’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−s−ブチル−4,8−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス(1−(4−マレイミドフェノキシ)−2−シクロヘキシルベンゼン、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンを挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用できる。
上記シトラコンイミド樹脂は、分子中にシトラコンイミド基を少なくとも1個有するシトラコンイミド化合物を重合させてなるものである。シトラコンイミド化合物としては、例えば、フェニルシトラコンイミド、1−メチル−2,4−ビスシトラコンイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスシトラコンイミド、N,N’−p−フェニレンビスシトラコンイミド、N,N’−4,4−ビフェニレンビスシトラコンイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジメチルビフェニレン)ビスシトラコンイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジメチルジフェニルメタン)ビスシトラコンイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジエチルジフェニルメタン)ビスシトラコンイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスシトラコンイミド、N,N’−4,4−ジフェニルプロパンビスシトラコンイミド、N,N’−4,4−ジフェニルエーテルビスシトラコンイミド、N,N’−4,4−ジフェニルスルホンビスシトラコンイミド、2,2−ビス(4−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−s−ブチル−3,4−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1−ビス(4−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4'−シクロヘキシリデン−ビス(1−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェノキシ)−2−シクロヘキシルベンゼン、2,2−ビス(4−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用できる。
上記ナジイミド樹脂は、分子中にナジイミド基を少なくとも1個有しているナジイミド化合物を重合してなるものである。ナジイミド化合物としては、例えば、フェニルナジイミド、1−メチル−2,4−ビスナジイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスナジイミド、N,N’−p−フェニレンビスナジイミド、N,N’−4,4−ビフェニレンビスナジイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジメチルビフェニレン)ビスナジイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジメチルジフェニルメタン)ビスナジイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジエチルジフェニルメタン)ビスナジイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスナジイミド、N,N’−4,4−ジフェニルプロパンビスナジイミド、N,N’−4,4−ジフェニルエーテルビスナジイミド、N,N’−4,4−ジフェニルスルホンビスナジイミド、2,2−ビス(4−(4−ナジイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−s−ブチル−3,4−(4−ナジイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1−ビス(4−(4−ナジイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4'−シクロヘキシリデン−ビス(1−(4−ナジイミドフェノキシ)フェノキシ)−2−シクロヘキシルベンゼン、2,2−ビス(4−(4−ナジイミドフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用できる。
また、上記ラジカル重合性物質に下記化学式(I)で示されるリン酸エステル構造を有するラジカル重合性物質を併用することが好ましい。この場合、金属等の無機物表面に対する接着強度が向上するため、回路電極同士の接着に好適である。
Figure 2011175970

[上記式中、nは1〜3の整数を示す。]
リン酸エステル構造を有するラジカル重合性物質は、無水リン酸と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応させることにより得られる。リン酸エステル構造を有するラジカル重合性物質として、具体的には、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート、ジ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート等がある。これらは単独で又は2種以上を混合して使用できる。
上記化学式(I)で示されるリン酸エステル構造を有するラジカル重合性物質の配合量は、ラジカル重合性物質と必要により配合するフィルム形成材との合計100質量部に対して、0.01から50質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
上記ラジカル重合性物質は、アリルアクリレートと併用することもができる。この場合、アリルアクリレートの配合量は、ラジカル重合性物質と、必要により配合されるフィルム形成材との合計100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤は、加熱により分解して遊離ラジカルを発生する硬化剤である。このような硬化剤としては、過酸化化合物、アゾ系化合物等が挙げられる。このような硬化剤は、目的とする接続温度、接続時間、ポットライフ等により適宜選定される。高反応性とポットライフの向上の観点から、半減期10時間の温度が40℃以上、かつ、半減期1分の温度が180℃以下の有機過酸化物が好ましく、半減期10時間の温度が60℃以上、かつ、半減期1分の温度が170℃以下の有機過酸化物がより好ましい。
上記硬化剤の配合量は、接続時間を25秒以下とする場合、充分な反応率を得るためにラジカル重合性物質と必要により配合されるフィルム形成材との合計100質量部に対して、2〜10質量部程度であることが好ましく、4〜8質量部がより好ましい。なお、接続時間を限定しない場合の硬化剤の配合量は、ラジカル重合性物質と必要により配合されるフィルム形成材との合計100質量部に対して、0.05〜20質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。
加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤として、より具体的には、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステルパーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイド等が挙げられる。また、回路電極32、42の腐食を抑えるという観点から、硬化剤は、硬化剤中に含有される塩素イオンや有機酸の濃度が5000ppm以下であることが好ましく、さらに、加熱分解後に発生する有機酸が少ないものがより好ましい。このような硬化剤として、具体的には、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイド等が挙げられ、高反応性が得られるパーオキシエステルから選定されることがより好ましい。なお、上記硬化剤は、適宜混合して用いることができる。
パーオキシエステルとしては、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシノエデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノデート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。
ジアルキルパーオキサイドとしては、α,α’ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。
ハイドロパーオキサイドとして、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
ジアシルパーオキサイドとしては、イソブチルパーオキサイド、2,4―ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシニックパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシトルエン、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
パーオキシジカーボネートとしては、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシメトキシパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等が挙げられる。
パーオキシケタールとしては、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1―(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)デカン等が挙げられる。
シリルパーオキサイドとしては、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジメチルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリビニルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジビニルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)ビニルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリアリルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジアリルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)アリルシリルパーオキサイド等が挙げられる。
これらの硬化剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができ、分解促進剤、抑制剤等を混合して用いてもよい。また、これらの硬化剤をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化してもよい。マイクロカプセル化した硬化剤は、可使時間が延長されるために好ましい。
本実施形態の回路接続材料には、必要に応じて、フィルム形成材を添加して用いてもよい。フィルム形成材とは、液状物を固形化し構成組成物をフィルム形状とした場合に、そのフィルムの取扱いを容易とし、容易に裂けたり、割れたり、べたついたりしない機械的特性等を付与するものであり、通常の状態(常温常圧)でフィルムとしての取扱いができるものである。フィルム形成材としては、フェノキシ樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、キシレン樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、接着性、相溶性、耐熱性、機械的強度に優れることからフェノキシ樹脂が好ましい。
フェノキシ樹脂は、2官能フェノール類とエピハロヒドリンを高分子化するまで反応させるか、又は2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール類を重付加させることにより得られる樹脂である。フェノキシ樹脂は、例えば2官能フェノール類1モルとエピハロヒドリン0.985〜1.015モルとをアルカリ金属水酸化物等の触媒の存在下、非反応性溶媒中で40〜120℃の温度で反応させることにより得ることができる。また、フェノキシ樹脂としては、樹脂の機械的特性や熱的特性の観点からは、特に2官能性エポキシ樹脂と2官能性フェノール類の配合当量比をエポキシ基/フェノール水酸基=1/0.9〜1/1.1とし、アルカリ金属化合物、有機リン系化合物、環状アミン系化合物等の触媒の存在下、沸点が120℃以上のアミド系、エーテル系、ケトン系、ラクトン系、アルコール系等の有機溶剤中で、反応固形分が50質量部以下の条件で50〜200℃に加熱して重付加反応させて得たものが好ましい。
上記2官能エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニルジグリシジルエーテル、メチル置換ビフェニルジグリシジルエーテル等が挙げられる。2官能フェノール類は、2個のフェノール性水酸基を有するものである。2官能フェノール類としては、例えば、ハイドロキノン類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ビスフェノールフルオレン、メチル置換ビスフェノールフルオレン、ジヒドロキシビフェニル、メチル置換ジヒドロキシビフェニル等のビスフェノール類等が挙げられる。フェノキシ樹脂は、ラジカル重合性の官能基や、その他の反応性化合物により変性(例えば、エポキシ変性)されていてもよい。フェノキシ樹脂は、単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態の回路接続材料は、更に、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及びアクリロニトリルのうち少なくとも一つをモノマー成分とした重合体又は共重合体を含んでいてもよい。ここで、応力緩和に優れることから、グリシジルエーテル基を含有するグリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートを含む共重合体系アクリルゴムを併用することが好ましい。これらのアクリルゴムの重量平均分子量は、接着剤の凝集力を高める点から20万以上が好ましい。
導電粒子12の配合量は、接着剤組成物100体積部に対して0.1〜30体積部であることが好ましく、その配合量は用途により使い分けることができる。過剰な導電粒子12による回路電極の短絡等を防止する観点から、導電粒子12の配合量は0.1〜10体積部であることがより好ましい。
本実施形態の回路接続材料には、更に、ゴム微粒子、充填剤、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤、カップリング剤、フェノール樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート類等を含有することもできる。
ゴム微粒子は、粒子の平均粒径が、配合する導電粒子12の平均粒径の2倍以下であり、且つ室温(25℃)での貯蔵弾性率が導電粒子12及び接着剤組成物の室温での貯蔵弾性率の1/2以下であるものであればよい。特に、ゴム微粒子の材質が、シリコーン、アクリルエマルジョン、SBR、NBR、ポリブタジエンゴムである微粒子は、単独で又は2種以上を混合して用いることが好適である。3次元架橋したこれらゴム微粒子は、耐溶剤性が優れており、接着剤組成物中に容易に分散される。
回路接続材料に充填剤を含有させる場合、接続信頼性等が向上するので好ましい。充填剤は、その最大径が導電粒子12の粒径の1/2以下であれば使用できる。その最大径が導電粒子の粒径の1/2以下であれば使用できる。また、導電性を持たない粒子を併用する場合には、導電性を持たない粒子の直径以下であれば使用できる。充填剤の配合量は、接着剤組成物100体積部に対して5〜60体積部であることが好ましい。配合量が60体積部を超えると、接続信頼性向上効果が飽和する傾向があり、他方、5体積部未満では充填剤添加の効果が不充分となる傾向がある。
上記カップリング剤としては、ビニル基、アクリル基、エポキシ基又はイソシアネート基を含有する化合物が、接着性が向上するので好ましい。
上記回路接続材料においては、導電粒子12は、上記接着剤組成物100体積部に対して0.1〜30体積部添加することが好ましく、その添加量は用途により使い分ける。なお、過剰な導電粒子12による隣接回路電極の短絡等を防止するためには、0.1〜10体積部添加することがより好ましい。
なお、フィルム状回路接続材料50は、支持体(PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等)上に塗工装置(図示せず)を用いて上記回路接続材料を塗布し、所定時間熱風乾燥することにより作製することができる。
(導電粒子の作製)
テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジビニルベンゼン及びスチレンモノマーの混合比を変えて、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイドを用いて懸濁重合し、得られた重合体を分級することで約5μmの粒径を有する核体を得た。
得られた核体の表面を無電解Niメッキ処理をして、均一な厚さ100nmのNi層(金属層)を有する導電粒子No.1を得た。
また、Niメッキ処理の際のメッキ液の仕込量、処理温度及び時間によりメッキ厚を変更することにより、導電粒子No.1の表面に突起部を形成し、導電粒子No.2を得た。
また、導電粒子No.1上にAuを25nm置換メッキすることにより、均一な厚さを有するAu層を形成し、導電粒子No.3を得た。
さらに、導電粒子No.2上にAuを置換メッキすることにより、複数の突起部を有するAu層を形成し、導電粒子No.4を得た。
上記各導電粒子No.1〜4を、電子顕微鏡(日立製作所製、S−800)を用いて観察し、突起部の高さと隣接する突起部間の距離を計測した。結果を表1に示す。
Figure 2011175970
(実施例1)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂50質量部と、エポキシ樹脂の潜在性硬化剤(旭チバ株式会社製、商品名ノバキュア3941HPS)50質量部とを混合した。この接着剤組成物100体積部に対して導電粒子No.2を5体積部分散させて回路接続材料No.1を得た。なお、潜在性硬化剤であるノバキュア3941HPSは、イミダゾール変性体を核とし、その表面をポリウレタンで被覆してなる平均粒径5μmのマイクロカプセル型硬化剤を、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂中に分散したマスターバッチ型硬化剤である。
(実施例2)
実施例1における導電粒子No.2の代わりに導電粒子No.4を用いた他は、実施例1と同様の方法により回路接続材料No.2を得た。
(実施例3)
フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド株式会社製、商品名PKHC、平均重量分子量45,000)50gを、トルエン/酢酸エチル=50/50(質量比)の混合溶剤に溶解して、固形分40質量%のフェノキシ樹脂溶液とした。
次いで、上記溶液から固形分質量が10g含まれるように量り取ったフェノキシ樹脂溶液と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂40gと、エポキシ樹脂の潜在性硬化剤(旭チバ株式会社製、商品名ノバキュア3941HPS)50gとを混合し、接着剤組成物含有液を得た。この接着剤組成物含有液100体積部に対して導電粒子No.2を5体積部分散させて回路接続材料含有液を調製した。
そして、この回路接続材料含有液を、片面を表面処理した厚み80μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃で10分の熱風乾燥により、PETフィルム上に厚みが20μmのフィルム状回路接続材料No.3を得た。
(実施例4)
平均重量分子量800のポリカプロラクトンジオール400質量部、2−ヒドロキシプロピルアクリレート131質量部、触媒としてのジブチル錫ジラウレート0.5質量部および重合禁止剤としてのハイドロキノンモノメチルエーテル1.0質量部を攪拌しながら50℃に加熱して混合した。次いで、この混合液に、イソホロンジイソシアネート222質量部を滴下し更に攪拌しながら80℃に昇温してウレタン化反応を行った。イソシアネート基の反応率が99%以上になったことを確認した後、反応温度を下げてウレタンアクリレートを得た。
次いで、上記実施例3において調整したフェノキシ樹脂溶液から固形分質量が50g含まれるように量り取ったフェノキシ樹脂溶液と、上記ウレタンアクリレート49gと、リン酸エステル型アクリレート1gと、加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤としてのt−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート5gとを混合して接着剤組成物含有液を得た。そして、この接着剤組成物含有液100体積部に対して導電粒子No.2を5体積部分散させて回路接続材料含有液を調製した。
そして、この回路接続材料含有液を、片面を表面処理した厚み80μmのPETフィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃で10分の熱風乾燥により、PETフィルム上に厚みが20μmのフィルム状回路接続材料No.4を得た。
(比較例1)
実施例1における導電粒子No.2の代わりに導電粒子No.1を用いた他は、実施例1と同様の方法により回路接続材料No.5を得た。
(比較例2)
実施例1における導電粒子No.2の代わりに導電粒子No.3を用いた他は、実施例1と同様の方法により回路接続材料No.6を得た。
(回路部材の接続)
第1の回路部材として、ポリイミドフィルム(厚さ40μm)と、銅箔(厚さ18μm)と、ポリイミドフィルム及び銅箔を接着する接着剤と、からなる3層構造を有するフレキシブル回路板(FPC)を準備した。このフレキシブル回路板の銅回路については、ライン幅7μm、ピッチ30μmとした。
次いで、ガラス基板(厚さ1.1mm)上にインジュウム−錫酸化物(ITO)を蒸着により形成し、第2の回路部材として、表面上にITO回路電極を備えるガラス基板(表面抵抗<20Ω)を作製した(以下、第2の回路部材Aと言う)。この第2の回路部材Aについて、電子顕微鏡(日立製作所製、S−800)を用いてITO回路電極の表面を観察し、ITO回路電極の表面の凹凸の高低差(厚さの差)を計測したところ、その高低差は4nmであった。
一方、ガラス基板(厚さ1.1mm)上にインジュウム−亜鉛酸化物(IZO)を蒸着により形成し、第2の回路部材として、表面にIZO回路電極を備えるガラス基板(表面抵抗<20Ω)を作製した(以下、第2の回路部材Bと言う)。この第2の回路部材Bについて、IZO回路電極の表面の凹凸の高低差(厚さの差)を上記と同様にして測定したところ、その高低差は1.0nmであった。
そして、第2の回路部材A,B上に幅1mmになるように実施例1〜2及び比較例1〜2の回路接続材料を塗布して乾燥させた。その後、第2の回路部材AとBを並べて配置し、これら第2の回路部材A,Bに対し、第1の回路部材であるFPCと第2の回路部材A及びBとで回路接続材料を挟むようにFPCを配置した。次いで、回路接続材料をFPC及び第2の回路部材A,Bを介して180℃、3MPaで10秒間加熱しながら加圧してFPCと第2の回路部材A,Bとを接続した。こうして、FPC上に2つの第2の回路部材A,Bが並列に配置された回路部材の接続構造を得た。
また、実施例3〜4のフィルム状回路接続材料(幅1mm)においては、その接着面を第2の回路部材A,B上に貼り付けた後、70℃、0.5MPaで5秒間加熱しながら加圧してフィルム状回路接続材料を第2の回路部材A,Bに仮接続した。次いで、PETフィルムを剥離した後、FPCと第2の回路部材A,Bとでフィルム状回路接続材料を挟むようにFPCを配置した。次いで、フィルム状回路接続材料をFPC及び第2の回路部材A,Bを介して180℃、3MPaで10秒間加熱しながら加圧してFPCと第2の回路部材とを接続した。こうして、FPC上に2つの第2の回路部材A,Bが並列に配置された回路部材の接続構造を得た。
(接続抵抗の測定)
上記のようにして得られた回路部材の接続構造について、FPCの回路電極と、第2の回路部材A,Bの回路電極との間の接続抵抗値をマルチメータを用いて測定した。接続抵抗値は、初期(接続直後)と、80℃、95%RHの高温高湿槽中に1000時間保持(高温高湿処理)した後に測定した。接続抵抗値の測定結果を表2に示す。なお、表2において、接続抵抗値は、隣接回路間の抵抗150点の平均値と標準偏差を3倍した値との和(x+3σ)で示した。
(回路電極上に存在する導電粒子数)
上記回路部材の接続構造における各回路電極上に存在する導電粒子数を顕微鏡による目視にて計数した。なお、151個の電極上に存在する導電粒子の数の平均値を回路電極上の導電粒子数とした。結果を表2に示す。
(回路接続部材の貯蔵弾性率及び平均熱膨張係数の測定)
実施例1〜4及び比較例1〜3の回路接続材料の硬化処理後の40℃における貯蔵弾性率は0.5〜3GPaの範囲内にあり、25℃から100℃までの平均熱膨張係数は30〜200ppm/℃の範囲内にあることを確認した。
Figure 2011175970
表2に示す結果から明らかなように、実施例1に係る回路接続材料を用いた回路部材の接続構造における初期の接続抵抗が、第2の回路部材に形成される回路電極がITO回路電極であるとIZO回路電極であるとにかかわらず、比較例1に係る回路接続材料を用いた回路部材の接続構造における初期の接続抵抗に比べて十分に低減されることが分かった。このことから、本発明の回路接続材料によれば、回路電極の表面が平坦あっても、突起部を有しない導電粒子を含有する回路接続材料に比べて回路電極間の接続抵抗を十分に低減でき、回路電極間の電気的接続を良好なものにすることができることが分かった。
また、実施例1に係る回路接続材料を用いた回路部材の接続構造においては、第2の回路部材に形成される回路電極がITO回路電極であるとIZO回路電極であるとにかかわらず、高温高湿処理後の接続抵抗値と初期の接続抵抗値との差は十分に小さく、初期の接続抵抗値からの上昇が十分に抑えられているのに対し、比較例1に係る回路接続材料を用いた回路部材の接続構造においては、高温高湿処理後の接続抵抗値と初期の接続抵抗値との差は小さいとは言えず、初期の接続抵抗値からの上昇が十分に抑えられていないことが分かった。特に、比較例1に係る回路接続材料を用いた回路部材の接続構造において、回路電極としてIZO回路電極を用いた場合には、高温高湿処理後の接続抵抗値と初期の接続抵抗値との差は極めて大きくなっていた。このことから、本発明の回路接続材料により、回路電極の表面が平坦であっても、突起部を有しない導電粒子を含有する回路接続材料に比べて回路電極間の接続抵抗を十分に低減できるだけでなく、その接続抵抗を長期間にわたって維持できることが分かった。
更に、実施例2〜4に係る回路接続材料を用いた回路部材の接続構造においても、第2の回路部材に形成される回路電極がITO回路電極であるとIZO回路電極であるとにかかわらず、初期における接続抵抗が十分に低減されることが分かった。
また、実施例2〜4に係る回路接続材料を用いた回路部材の接続構造においては、第2の回路部材に形成される回路電極がITO回路電極であるとIZO回路電極であるとにかかわらず、高温高湿処理後の接続抵抗値と初期の接続抵抗値との差は十分に小さく、初期の接続抵抗値からの上昇が十分に抑えられることが分かった。これに対し、比較例2に係る回路接続材料を用いた回路部材の接続構造においては、第2の回路部材に形成される回路電極がITO回路電極であるとIZO回路電極であるとにかかわらず、高温高湿処理後の接続抵抗値と初期の接続抵抗値との差は小さいとは言えず、初期の接続抵抗値からの上昇が十分に抑えられていないことが分かった。特に、比較例2に係る回路接続材料を用いた回路部材の接続構造において、回路電極としてIZO回路電極を用いた場合には、高温高湿処理後の接続抵抗値と初期の接続抵抗値との差は極めて大きくなっていた。
本発明の回路接続材料は、半導体チップ、抵抗体チップ、コンデンサチップ等のチップ部品、プリント基板等の基板等の回路部材同士の接続に有用である。
1…回路部材の接続構造、10…回路接続部材、11…絶縁性物質、12…導電粒子、12a…核体、12b…金属層、14…突起、30…第一の回路部材、31…回路基板(第一の回路基板)、31a…主面、32…回路電極(第一の回路電極)、40…第二の回路部材、41…回路基板(第二の回路基板)、41a…主面、42…回路電極(第二の回路電極)、43…絶縁層(第二の絶縁層)、50…フィルム状回路接続材料、51…接着剤組成物。

Claims (12)

  1. 第1の回路基板の主面上に第1の回路電極が形成された第1の回路部材と、
    前記第1の回路部材に対向して配置され、第2の回路基板の主面上に第2の回路電極が形成された第2の回路部材と、
    前記第1の回路基板の主面と前記第2の回路基板の主面との間に設けられ、前記第1の回路電極と前記第2の回路電極とが対向配置した状態で前記第1及び第2の回路部材同士を接続する回路接続部材と、
    を備える回路部材の接続構造における、前記回路接続部材を形成するための回路接続材料であって、
    接着剤組成物と、表面側に導電性を有する複数の突起部を備えた導電粒子とを含有し、
    硬化処理により40℃における貯蔵弾性率が0.5〜3GPaとなり、且つ、硬化処理により25℃から100℃までの平均熱膨張係数が30〜200ppm/℃となることが可能であり、
    隣接する前記突起部間の距離が1000nm以下であることを特徴とする回路接続材料。
  2. 第1の回路基板の主面上に第1の回路電極が形成された第1の回路部材と、
    前記第1の回路部材に対向して配置され、第2の回路基板の主面上に第2の回路電極が形成された第2の回路部材と、
    前記第1の回路基板の主面と前記第2の回路基板の主面との間に設けられ、前記第1の回路電極と前記第2の回路電極とが対向配置した状態で前記第1及び第2の回路部材同士を接続する回路接続部材と、
    を備える回路部材の接続構造における、前記回路接続部材を形成するための回路接続材料であって、
    接着剤組成物と、表面側に導電性を有する複数の突起部を備えた導電粒子とを含有し、
    硬化処理により40℃における貯蔵弾性率が0.5〜3GPaとなり、且つ、硬化処理により25℃から100℃までの平均熱膨張係数が30〜200ppm/℃となることが可能であり、
    前記突起部の高さが50〜500nmであることを特徴とする回路接続材料。
  3. 前記導電粒子が、導電性を有する本体部を有し、
    前記複数の突起部が、前記本体部の表面上に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の回路接続材料。
  4. 前記導電粒子が、有機高分子化合物からなる核体と、前記核体上に形成された銅、ニッケル、ニッケル合金、銀又は銀合金からなる金属層とを備えており、
    前記複数の突起部が、前記金属層の表面側に設けられ、
    前記金属層の厚さが50〜170nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の回路接続材料。
  5. 前記導電粒子が金又はパラジウムからなる最外層を備えており、前記複数の突起部が前記最外層の表面側に設けられ、
    前記最外層の厚さが15〜70nmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の回路接続材料。
  6. 前記接着剤組成物が、エポキシ樹脂と、前記エポキシ樹脂の潜在性硬化剤とを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の回路接続材料。
  7. 前記接着剤組成物が、ラジカル重合性物質と、加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤とを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の回路接続材料。
  8. 硬化処理によりガラス転移温度が60〜200℃となることが可能であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の回路接続材料。
  9. フィルム形成材を更に含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の回路接続材料。
  10. 前記フィルム形成材がフェノキシ樹脂であることを特徴とする請求項9に記載の回路接続材料。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の回路接続材料をフィルム状に形成してなることを特徴とするフィルム状回路接続材料。
  12. 第1の回路基板の主面上に第1の回路電極が形成された第1の回路部材と、
    前記第1の回路部材に対向して配置され、第2の回路基板の主面上に第2の回路電極が形成された第2の回路部材と、
    前記第1の回路基板の主面と前記第2の回路基板の主面との間に設けられ、前記第1の回路電極と前記第2の回路電極とが対向配置した状態で前記第1及び第2の回路部材同士を接続する回路接続部材と、
    を備える回路部材の接続構造の製造方法であって、
    前記第1の回路基板の主面と前記第2の回路基板の主面との間に請求項1〜10のいずれか一項に記載の回路接続材料を配置した状態で、前記第1及び第2の回路部材を介して前記回路接続材料を加熱及び加圧して硬化処理し、前記第1の回路部材と前記第2の回路部材とを接続することを特徴とする回路部材の接続構造の製造方法。
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