JP2011175043A - 光スキャナーおよび画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の駆動パターンで駆動可能であり、利便性の高い光スキャナーおよび画像形成装置を提供すること。
【解決手段】光スキャナー1は、光反射部22を有する可動板2と、可動板2を支持する支持部3と、可動板2の両側に設けられ、可動板2と支持部3とを連結する一対の連結部4、5と、可動板2を変位させる変位手段6とを有し、連結部4、5は、支持部3に対して回動可能な駆動部41、51と、駆動部41、51および可動板2を連結する第1の軸部42、52とを有し、第1の軸部42、52は、その長手方向の途中で可動板2の厚さ方向へ屈曲可能であり、変位手段6によって駆動部41、51を回動させ、当該回動によって第1の軸部42、52を屈曲させることにより、可動板2を変位させるように構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、光スキャナーおよび画像形成装置に関する。
例えば、レーザープリンター等にて光走査により描画を行うための光スキャナーとして、捩り振動子で構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、枠状の支持基板と、支持基板の内側に設けられた走査ミラーと、支持基板と走査ミラーとを連結し同軸的に設けられた一対のトーションバーと、走査ミラーに設けられた永久磁石と、永久磁石に作用する磁界を発生させるコイルとを有する光スキャナー(光偏光器)を有している。この特許文献1の光スキャナーでは、コイルに交番電圧を印加して永久磁石に作用する磁界の極を交互に切り替えることにより、一対のトーションバーを捩じれ変形させつつ走査ミラーを中心軸まわりに回動させるように構成されている。
しかしながら、特許文献1の光スキャナーでは、中心軸まわりに走査ミラーを回動させることができるが、この中心軸を変位(移動)させることができない。具体的には、特許文献1の光スキャナーでは、その構造上、走査ミラーの中心軸を、走査ミラー(非駆動状態)の厚さ方向に任意に移動させることができない。また、例えば、走査ミラーを回動させていない状態において、走査ミラーを、その姿勢を保ったまま、その厚さ方向に変位させることもできない。すなわち、特許文献1の光スキャナーでは、走査ミラーの駆動パターンが、1箇所に固定された回動中心軸まわりの回動のみであるため、その利便性が低いという問題がある。
特開2005−181395号公報
本発明の目的は、複数の駆動パターンで駆動可能であり、利便性の高い光スキャナーおよび画像形成装置を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の光スキャナーは、光反射性を有する光反射部を有する可動板と、
前記可動板を支持する支持部と、
前記可動板の両側に設けられ、前記可動板と前記支持部とを連結する一対の連結部と、
前記可動板を変位させる変位手段とを有し、
各前記連結部は、前記支持部に対して回動可能な駆動部と、前記駆動部および前記可動板を連結する軸部とを有し、
各前記連結部の前記軸部は、該軸部の長手方向の途中で前記可動板の厚さ方向へ屈曲可能であり、
前記変位手段によって各前記連結部の前記駆動部を回動させ、当該回動によって前記軸部を屈曲させることにより、前記可動板を変位させるように構成されていることを特徴とする。
これにより、複数の駆動パターンで駆動可能であり、利便性の高い光スキャナーを提供することができる。
本発明の光スキャナーでは、前記可動板の平面視にて直交する2軸をX軸およびY軸としたとき、
前記一対の連結部は、それぞれ、前記可動板とX軸方向に離間配置された前記駆動部と、前記可動板と前記駆動部とを連結しX軸方向に延在する前記軸部である第1の軸部と、前記駆動部と前記支持部とを連結しY軸方向に延在する第2の軸部とを有し、
前記変位手段によって、前記第2の軸部を捩じり変形させつつ前記駆動部をY軸まわりに回動させることにより、前記第1の軸部を屈曲させるように構成されていることが好ましい。
これにより、連結部の構成が簡単となる。
本発明の光スキャナーでは、各前記連結部が有する前記第1の軸部は、延在方向の途中に設けられた節部と、前記節部と前記可動板とを連結する可動板側軸部と、前記節部と前記駆動部とを連結する駆動部側軸部とを有し、前記節部で屈曲することが好ましい。
これにより、第1の軸部を簡単に屈曲させることができる。
本発明の光スキャナーでは、各前記連結部が有する前記第1の軸部は、前記可動板の厚さ方向の一方側に凸のV字状となるように前記節部で屈曲する第1の変形と、他方側に凸のV字状となるように前記節部で屈曲する第2の変形とをし得ることが好ましい。
このように各第1の軸部を屈曲させることにより、可動板を効率的に変位させることができる。
本発明の光スキャナーでは、前記変位手段によって、各前記連結部が有する前記第1の軸部の一方の前記第1の軸部に前記第1の変形をさせるとともに、他方の前記第1の軸部に前記第2の変形をさせる状態と、前記一方の第1の軸部に前記第2の変形をさせるとともに、前記他方の第1の軸部に前記第2の変形をさせる状態とを交互に繰り返すことにより、前記可動板を前記Y軸まわりに回動させることが好ましい。
これにより、可動板をスムーズに回動させることができる。
本発明の光スキャナーでは、前記変位手段によって、各前記連結部が有する前記第1の軸部に前記第1の変形をさせた状態と、各前記連結部が有する前記第1の軸部に前記第2の変形をさせた状態とを交互に繰り返すことにより、前記可動板を該可動板の厚さ方向へ振動させることが好ましい。
これにより、可動板をスムーズに振動させることができる。
本発明の光スキャナーでは、各前記連結部の前記節部は、Y軸まわりに捩じり変形する捩じり変形部を有することが好ましい。
これにより、第1の軸部の屈曲時に、捩じり変形部が捩じり変形することにより、屈曲により発生する応力を効果的に緩和することができる。
本発明の光スキャナーでは、各前記連結部の前記節部は、前記捩じり変形部を一対有し、
前記一対の捩じり変形部のうちの一方の前記捩じり変形部は、前記可動板側軸部に連結され、他方の前記捩じり変形部は、前記駆動部側軸部に連結されていることが好ましい。
これにより、第1の軸部の屈曲時に、捩じり変形部が捩じり変形することにより、屈曲により発生する応力を効果的に緩和することができる。
本発明の光スキャナーでは、各前記連結部の前記節部は、前記一対の捩じり変形部の間に設けられ、Y軸方向に延在しY軸まわりに捩じり変形しない非変形部を有していることが好ましい。
これにより、非変形部を軸にして第1の軸部を局所的に屈曲させることができる。そのため、第1の軸部を簡単かつ確実に屈曲させることができ、可動板を安定して変位(回動)させることができる。
本発明の光スキャナーでは、各前記連結部の前記可動板側軸部および前記駆動部側軸部は、それぞれ、実質的に変形しないことが好ましい。
これにより、第1の軸部を節部で簡単に屈曲させることができる。そのため、安定した可動板の変位(回動)を行うことができる。
本発明の光スキャナーでは、各前記連結部は、第1のSi層、SiO層および第2のSi層をこの順で積層してなるSOI基板から形成されていることが好ましい。
これにより、各連結部を簡単に形成することができる。
本発明の光スキャナーでは、各前記連結部の前記可動板側軸部、前記非変形部、前記駆動部側軸部および前記駆動部は、それぞれ、前記第1のSi層、前記SiO層および前記第2のSi層で構成されており、前記捩じり変形部および第2の軸部は、それぞれ、前記第2のSi層で構成されていることが好ましい。
これにより、各連結部を簡単に形成することができる。
本発明の光スキャナーでは、前記変位手段は、前記一対の連結部に対応して一対設けられており、
各前記変位手段は、前記駆動部に設けられた永久磁石と、前記永久磁石に作用する磁界を発生するコイルとを有していることが好ましい。
これにより、変位手段の構成が簡単となる。
本発明の光スキャナーでは、各前記変位手段において、前記永久磁石は、前記可動板の厚さ方向に両極が対向するように設けられており、前記コイルは、X軸方向の磁界を発生させるように設けられていることが好ましい。
これにより、可動板を安定して変位させることができる。
本発明の光スキャナーでは、各前記変位手段において、前記永久磁石は、前記駆動部を貫通して設けられていることが好ましい。
これにより、可動板を安定して変位させることができる。
本発明の画像形成装置は、光反射性を有する光反射部を有する可動板と、
前記可動板を支持する支持部と、
前記可動板の両側に設けられ、前記可動板と前記支持部とを連結する一対の連結部と、
前記可動板を変位させる変位手段とを有し、
各前記連結部は、前記支持部に対して回動可能な駆動部と、前記駆動部および前記可動板を連結する軸部とを有し、
各前記連結部の前記軸部は、該軸部の長手方向の途中で前記可動板の厚さ方向へ屈曲可能であり、
前記変位手段によって各前記連結部の前記駆動部を回動させ、当該回動によって前記軸部を屈曲させることにより、前記可動板を変位させるように構成された光スキャナーを備えることを特徴とする。
これにより、複数の駆動パターンで駆動可能であり、利便性の高い画像形成装置を提供することができる。
本発明の光スキャナーの第1実施形態を示す平面図である。 図1に示す光スキャナーの断面図(図1中A−A線断面図)である。 図1に示す光スキャナーが有する連結部の斜視図である。 図1に示す光スキャナーが有する振動系の製造方法を説明する断面図である。 図1に示す光スキャナーが有する振動系の製造方法を説明する断面図である。 図1に示す光スキャナーが有する変位手段を説明する図である。 図1に示す光スキャナーの駆動を説明する図である。 図1に示す光スキャナーの駆動を説明する図である。 図1に示す光スキャナーの駆動を説明する図である。 本発明の光スキャナーの第2実施形態を示す平面図である。 本発明の光スキャナーの第3実施形態を示す平面図である。 本発明の光スキャナーの第4実施形態を示す斜視図である。 本発明の画像形成装置の概略を示す図である。
以下、本発明の光スキャナーおよび画像形成装置の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の光スキャナーの第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の光スキャナーの第1実施形態を示す平面図、図2は、図1に示す光スキャナーの断面図(図1中A−A線断面図)、図3は、図1に示す光スキャナーが有する連結部の斜視図、図4および図5は、それぞれ、図1に示す光スキャナーが有する振動系の製造方法を説明する断面図、図6は、図1に示す光スキャナーが有する変位手段を説明する図、図7、図8および図9は、それぞれ、図1に示す光スキャナーの駆動を説明する図である。
なお、以下では、説明の便宜上、図1中の左側を「左」、右側を「右」と言い、図2〜図9中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、図1に示すように互いに直交する3軸を、X軸、Y軸およびZ軸とし、非駆動状態の可動板の面と、X軸およびY軸で形成される面とが一致し(平行であり)、可動板の厚さ方向とZ軸とが一致する。また、以下では、X軸に平行な方向を「X軸方向」と言い、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」と言い、Z軸方向に平行な方向を「Z軸方向」と言う。
図1および図2に示す光スキャナー1は、可動板2、可動板2を支持する支持部3および可動板2と支持部3とを連結する一対の連結部4、5で構成された振動系8と、振動系8を支持する基台9と、可動板2を変位させる変位手段6とを有している。
なお、光スキャナー1では、可動板2の変位として、大きく分けて、図1に示す回動中心軸J1まわりに回動するパターンと、可動板2がその姿勢を保ちつつZ軸方向に振動するパターンと、可動板2が自然状態の位置からずれた位置で静止するパターンとを選択することができるが、以下の説明では、特に限定の無い限り、可動板2の「変位」には、これら3つのパターンが含まれる。
以下、光スキャナー1の各構成について順次詳細に説明する。
1−1.振動系8
本実施形態では、振動系8(すなわち、可動板2、支持部3および一対の連結部4、5)は、SOI基板の不要部位をドライエッチングおよびウェットエッチング等の各種エッチング法により除去することにより、一体的に形成されている。なお、振動系8の製造方法については、後に詳述する。
支持部3は、可動板2を支持する機能を有する。このような支持部3は、枠状をなしており、可動板2の周囲を囲むように設けられている。なお、支持部3の形状としては、可動板2を支持することができれば、特に限定されず、例えば、可動板2を介してX軸方向またはY軸方向に対向するように一対設けられていてもよい。
支持部3の内側には、可動板2が設けられている。可動板2は、平板状をなし、一方の面(基台9と反対側の面)21には、光反射性を有する光反射部22が形成されている。光反射部22は、例えば、面21上に金、銀、アルミニウム等の金属膜などを蒸着等により形成することにより得られる。
なお、本実施形態では、可動板2の平面視形状は、円形であるが、可動板2の平面視形状としては、特に限定されず、例えば長方形、正方形等の多角形、楕円形等であってもよい。
このような可動板2は、連結部4、5によって支持部3に連結されている。連結部4、5は、可動板2に対して互いに反対側に位置し、可動板2を両持ち支持している。具体的には、連結部4は、図1中左側にて可動板2と支持部3とを連結し、連結部5は、図1中右側にて可動板2と支持部3とを連結している。このような連結部4、5は、可動板2(回動中心軸J1)に対して対称的に形成されている。
連結部4は、駆動板(駆動部)41と、駆動板41と可動板2とを連結する第1の軸部42と、駆動板41と支持部3とを連結する一対の第2の軸部43とを有している。同様に、連結部5は、駆動板(駆動部)51と、駆動板51と可動板2とを連結する第1の軸部52と、駆動板51と支持部3とを連結する一対の第2の軸部53とを有している。連結部4をこのような構成とすることにより、簡単かつ確実に、可動板2を前述のような複数のパターンで変位させることができる。
以下、連結部4、5について具体的に説明するが、連結部4、5の構成は、互いに同様であるため、連結部4について代表して説明し、連結部5については、その説明を省略する。
図3に示すように、一対の第2の軸部43は、駆動板41を介してY軸方向に対向配置されており、駆動板41を両持ち支持している。また、一対の第2の軸部43は、それぞれ、Y軸方向に延在する棒状をなしている。また、一対の第2の軸部43は、中心軸まわりに捩じり変形可能となっている。このような一対の第2の軸部43は、同軸的に設けられており、この軸(以下、「回動中心軸J2」とも言う)を中心として、一対の第2の軸部43が捩じり変形するとともに駆動板41が回動する。
駆動板41は、可動板2に対してX軸方向に離間して設けられている。また、駆動板41は、前述したように一対の第2の軸部43によって両持ち支持されている。このような駆動板41には貫通孔411が形成されており、この貫通孔に永久磁石611が挿通、固定されている。永久磁石611は、例えば、嵌合(圧入)や、接着剤によって、駆動板41に固定されている。永久磁石611は、変位手段6の構成の一部であるため、永久磁石611については、後に説明する。
また、本実施形態では、駆動板41の平面視形状は、Y軸方向を長手とする長方形である。駆動板41をこのような形状とすることにより、永久磁石611を固定するスペースを確保しつつ、駆動板41の幅(X軸方向の長さ)を抑えることができる。駆動板41の幅を抑えることにより、駆動板41が回動中心軸J2まわりに回動する際に発生する慣性モーメントを抑えることができ、駆動板41の反応性が高まり、より高速な回動が可能となる。また、駆動板41の反応性が高まると、駆動板41の回動(特に回動方向が切り替わる切り返しの時)によって、不本意な振動が発生するのを抑えることができる。そのため、光スキャナー1を安定して駆動することができる。
なお、駆動板41の平面視形状としては、特に限定されず、例えば、正方形や五角形以上の多角形であってもよいし、円形であってもよい。
このような駆動板41は、第1の軸部42によって可動板2と連結している。第1の軸部42は、全体的にX軸方向に延在するように設けられている。このような第1の軸部42は、駆動板41と可動板2との間に設けられた節部421と、節部421と可動板2とを連結する可動板側軸部422と、節部421と駆動板41とを連結する駆動板側軸部(駆動部側軸部)423とを有している。
可動板側軸部422および駆動板側軸部423は、それぞれ、X軸方向に延在する棒状をなしている。また、可動板側軸部422および駆動板側軸部423は、同軸的に設けられている。これら可動板側軸部422および駆動板側軸部423は、それぞれ、光スキャナー1の駆動時に大きな変形が起こらない硬さに設定されているのが好ましく、実質的に変形しない硬さに設定されているのがより好ましい。これにより、後述するように、可動板2を安定して変位させることができる。なお、前記「変形」とは、Z軸方向への屈曲または湾曲および中心軸まわりの捩じり変形を言う。
このような可動板側軸部422および駆動板側軸部423は、節部421を介して連結している。節部421は、可動板側軸部422と駆動板側軸部423の間に設けられ、これらを連結している。図3に示すように、節部421は、一対の捩じり変形部4211、4212と、これらの間に設けられた非変形部4213と、捩じり変形部4211を非変形部4213に接続する一対の接続部4214と、捩じり変形部4212を非変形部4213に接続する一対の接続部4215とを有している。
非変形部4213は、Y軸方向に延在する棒状をなしている。このような非変形部4213は、光スキャナー1の駆動時に実質的に変形しない硬さに設定されている。これにより、後述するように、非変形部4213の中心軸J4を中心に第1の軸部42を屈曲させることができ、光スキャナー1を安定して駆動させることができる。なお、前記「変形」とは、非変形部4213のZ軸方向への屈曲・湾曲および中心軸J4まわりの捩じり変形を言う。
このような非変形部4213に対して対称的に一対の捩じり変形部4211、4212が配置されている。捩じり変形部4211、4212は、それぞれ、Y軸方向に延在する棒状をなしている。また、捩じり変形部4211、4212は、互いにX軸方向に離間して並設されている。
また、可動板2側に位置する捩じり変形部4211は、その長手方向のほぼ中央にて可動板側軸部422の一端と連結し、同様に、駆動板41側に位置する捩じり変形部4212は、その長手方向のほぼ中央にて駆動板側軸部423の一端と連結している。このような捩じり変形部4211、4212は、それぞれ、その中心軸まわりに捩じり変形可能となっている。
このような捩じり変形部4211は、一対の接続部4214によって非変形部4213に接続されており、捩じり変形部4212は、一対の接続部4215によって非変形部4213に接続されている。
一対の接続部4214の一方の接続部は、捩じり変形部4211および非変形部4213の一端部同士を連結するように設けられており、他方の接続部は、捩じり変形部4211および非変形部4213の他端部同士を連結するように設けられている。また、一対の接続部4215の一方の接続部は、捩じり変形部4212および非変形部4213の一端部同士を連結するように設けられており、他方の接続部は、捩じり変形部4212および非変形部4213の他端部同士を連結するように設けられている。
このような各接続部4214、4215は、X軸方向に延在する棒状をなしている。また、各接続部4214、4215は、Z軸方向に湾曲可能でかつその中心軸まわりに捩じり変形可能となっている。
以上、振動系8の構成(形状)について具体的に説明した。
前述したように、このような構成の振動系8は、SOI基板から一体的に形成されている。これにより、振動系8の形成が容易となる。具体的には、前述したように、振動系8には、積極的に変形させる部位と、変形させない(変形させたくない)部位とが混在している。一方、SOI基板は、第1のSi層と、SiO層と、第2のSi層とがこの順に積層した基板である。そこで、変形させない部位を前記3つの層の全てで構成し、積極的に変形させる部位を第2のSi層のみで構成することにより、すなわち、SOI基板の厚さを異ならせることにより、変形させる部位と変形させない部位が混在する振動系8を簡単に形成することができる。なお、積極的に変形させる部位は、第2のSi層とSiO層の2層で構成されていてもよい。
前記「積極的に変形させる部位」には、第2の軸部43、53、捩じり変形部4211、4212、5211、5212および各接続部4214、4215、5214、5215が含まれ、前記「変形させない部位」には、可動板側軸部422、522、駆動板側軸部423、523、駆動板41、51および非変形部4213、5213が含まれる。また、連結部4、5以外の可動板2および支持部3も前記「変形させない部位」に含まれる。
以下、図4および図5に基づいて、振動系8の製造方法の一例を簡単に説明する。なお、振動系8の製造方法は、これに限定されない。
まず、図4(a)に示すように、第1のSi層110と、SiO層120と、第2のSi層130とがこの順で上側から積層してなるSOI基板(シリコン基板)100を用意する。
次いで、図4(b)に示すように、SOI基板100の両面にSiO膜M1、M2を形成する。次いで、図4(c)に示すように、SiO膜M2をエッチングすることにより、可動板2、支持部3および一対の連結部4、5の平面視形状にパターニングするとともに、SiO膜M1をエッチングすることにより、可動板2、支持部3、駆動板41、51、可動板側軸部422、522、駆動板側軸部423、523および非変形部4213、5213に対応する形状にパターニングする。
次いで、図5(a)に示すように、SiO膜M1を介してSOI基板100をエッチングする。この際、SOI基板100の中間層たるSiO層120は、前記エッチングのストップ層として機能する。このエッチングが終了した後、今度は、SiO膜M2を介してSOI基板100をエッチングする。この際も、SOI基板100の中間層たるSiO層120は、前記エッチングのストップ層として機能する。
なお、エッチング方法としては、特に限定されず、例えば、プラズマエッチング、リアクティブイオンエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチング等の物理的エッチング法、ウェットエッチング等の化学的エッチング法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、以下の各工程におけるエッチングにおいても、同様の方法を用いることができる。
次いで、図5(b)に示すように、BFH(バッファードフッ酸)等によって、SiO膜M1、M2およびSiO層120の露出している部分をエッチング除去することにより、可動板2、支持部3および一対の連結部4、5の外形形状に加工される。
さらに、図5(c)に示すように、可動板2の上面21に金属膜を形成し、光反射部22を形成する。金属膜(光反射部22)の形成方法としては、真空蒸着、スパッタリング(低温スパッタリング)、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電解メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、金属箔の接合等が挙げられる。
このようにして振動系8が得られる。
1−2.基台9
図2に示すように、基台9は、平板状の基部91と、基部91の縁部に沿って設けられた枠部92とを有しており、箱状(枡状)をなしている。このような基台9は、枠部92にて振動系8の支持部3の下面と接合されている。これにより、基台9によって振動系8が支持される。このような基台9は、例えば、ガラスやシリコンを主材料として構成されている。なお、基台9と支持部3の接合方法としては、特に限定されず、例えば接着剤を用いて接合してもよく、陽極接合等の各種接合方法を用いてもよい。
1−3.変位手段6
図1に示すように、変位手段6は、永久磁石611、コイル612および電源613を有する第1の変位手段61と、永久磁石621、コイル622および電源623を有する第2の変位手段62とを有している。第1の変位手段61は、連結部4に対応して設けられており、第2の変位手段62は、連結部5に対応して設けられている。これにより、変位手段6の構成が簡単となる。
なお、第1の変位手段61および第2の変位手段62の構成は互いに同様であるため、以下では、第1の変位手段61について代表して説明し、第2の変位手段62については、その説明を省略する。
図6に示すように、永久磁石611は、棒状をなしており、その長手方向に磁化している。すなわち、永久磁石611は、その長手方向の一端側がS極となっており、他端側がN極となっている。このような永久磁石611は、駆動板41に形成された貫通孔411に挿通されており、長手方向のほぼ中央で駆動板41に固定されている。そして、永久磁石611が、駆動板41の上下に同じ長さだけ突出し、かつ駆動板41を介してS極とN極が対向する。これにより、後述するように、可動板2を安定して変位させることができる。
また、永久磁石611は、その長手方向が駆動板41の面方向に直交するように設けられている。また、永久磁石611は、その中心軸が回動中心軸J2と交わるように設けられている。
このような永久磁石611としては、特に限定されず、例えば、ネオジウム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石、ボンド磁石などの、硬磁性体を着磁したものを好適に用いることができる。
なお、本実施形態では、永久磁石611は、棒状をなしているが、永久磁石の形状としては、特に限定されず、例えば、板状をなしていてもよい。この場合には、永久磁石611を面方向に磁化させ、その面方向がX軸方向と直交するように駆動板41に固定すればよい。これにより、永久磁石611のX軸方向長さを短くすることができるため、駆動板41の回動に伴って発生する慣性モーメントを抑えることができる。
コイル612は、永久磁石611に作用する磁界を発生する。このようなコイル612は、振動系8の外側近傍に、X軸方向にて永久磁石611と対向するように配置されている。また、コイル612は、X軸方向の磁界を発生させることができるように、すなわち、コイル612の永久磁石611側がN極となりその反対側がS極となる状態と、コイル612の永久磁石611側がS極となりその反対側がN極となる状態とを発生させることができるように設けられている。
本実施形態の光スキャナー1は、振動系8の外側に基台9と固定的に設けられたコイル固定部64を有しており、このコイル固定部64が有するX軸方向に延在する突出部641にコイル612が巻き付けられている。このような構成とすることにより、コイル612を振動系8に対して固定でき、かつ、簡単に前述のような磁界を発生させることができる。また、突出部641を鉄などの軟磁性体で構成することにより、突出部641をコイル612の磁心して用いることができ、前述のような磁界をより効率的に発生させることもできる。
電源613は、コイル612に電気的に接続されている。そして、電源613からコイル612に所望の電圧を印加することにより、コイル612から前述したような磁界を発生させることができる。本実施形態では、電源613は、交番電圧および直流電圧を選択して印加できるようになっている。また、交番電圧を印加する際には、その強さ、周波数を変更できるようになっており、さらにオフセット電圧(直流電圧)を重畳させることもできるようになっている。
2.光スキャナー1の作動
次いで、光スキャナーの作動について説明する。
前述したように、光スキャナー1では、可動板2を回動させるパターンと、可動板2を振動させるパターンと、可動板2を所定位置で静止させるパターンとを選択することができるようになっている。以下、これら3つのパターンについて順次説明する。なお、以下では、説明の便宜上、永久磁石611、621が共に、N極を上側にして配置された構成について代表して説明する。
2−1.回動
まず、コイル612の永久磁石611側がN極、コイル622の永久磁石621側がS極となる第1の状態と、コイル612の永久磁石611側がS極、コイル622の永久磁石621側がN極となる第2の状態とが交互にかつ周期的に切り替わるように、電源613、623からコイル612、622に交番電圧を印加する。電源613、623からコイル612、622に印加される交番電圧は、互いに同じ波形(強さおよび周波数が同じ)であるのが好ましい。
図7(a)に示す第1の状態では、永久磁石611のS極がコイル612に引き付けられるとともにN極がコイル612から遠ざかるため、一対の第2の軸部43を捩じり変形させつつ、駆動板41がその上面を可動板2側に向けるように回動中心軸J2まわりに傾斜する。これとともに、永久磁石621のN極がコイル622に引き付けられるとともにS極がコイル622から遠ざかるため、一対の第2の軸部53を捩じり変形させつつ、駆動板51がその下面を可動板2側に向けるように回動中心軸J3まわりに傾斜する。すなわち、駆動板41、51がともに図7(a)中時計回りに傾斜する。
この駆動板41、51の傾斜とともに、駆動板側軸部423は、可動板2側の端が下側を向くように傾斜し、駆動板側軸部523は、可動板2側の端が上側を向くように傾斜する。これにより、駆動板側軸部423、523の可動板2側の端同士がZ軸方向にずれた状態となる。
そして、駆動板側軸部423、523の可動板2側の端同士がZ軸方向にずれることによって、捩じり変形部4211、4212、5211、5212をその中心軸まわりに捩じり変形させるとともに各接続部4214、4215、5214、5215を湾曲変形させながら、可動板側軸部422、522および可動板2が一体的に図7(a)中反時計回りに傾斜する。
このように、第1の状態では、連結部4の第1の軸部42がその途中にある節部421を中心に下側に屈曲するように(すなわち、下側に凸のV字状に)変形するとともに、連結部5の第1の軸部52がその途中にある節部521を中心に上側に屈曲するように(すなわち、上側に凸のV字状に)変形することにより、回動中心軸J1を中心として、可動板2が図7(a)中反時計回りに傾斜する。
一方、図7(b)に示す第2の状態では、前述した第1の状態と逆の変形が起こる。すなわち、第2の状態では、連結部4の第1の軸部42が節部421を中心として上側に屈曲変形するとともに、連結部5の第1の軸部52が節部521を中心として下側に屈曲変形することにより、回動中心軸J1を中心として、可動板2が図7(b)中反時計回りに傾斜する。
このような第1の状態と、第2の状態とを交互に切り替えることによって、可動板2を回動中心軸J1まわりに回動させることができる。
なお、コイル612、622に印加する交番電圧の周波数としては特に限定されず、可動板2および連結部4、5で構成される振動系の共振周波数と等しくても、それ以下であってもよいが、前記共振周波数以下であるのが好ましい。すなわち、光スキャナー1を非共振で駆動するのが好ましい。これにより、光スキャナー1のより安定した駆動が可能となる。
ここで、本実施形態の光スキャナー1では、連結部4において、駆動板側軸部423と可動板側軸部422がそれぞれ実質的に変形しないため、第1の軸部42を節部421で簡単に屈曲させることができる。連結部5についても同様である。そのため、上述のような安定した可動板2の回動を行うことができる。
また、連結部4において、節部421が非変形部4213を有しているため、この非変形部4213を軸にして第1の軸部42を局所的に屈曲させることができる。連結部5についても同様である。そのため、第1の軸部42、52を簡単かつ確実に屈曲させることができ、可動板2を安定して回動させることができる。
また、連結部4において、節部421が可動板側軸部422と連結する捩じり変形部4211と、駆動板側軸部423と連結する捩じり変形部4212とを有し、第1の軸部42の屈曲時に、捩じり変形部4211、4212が捩じり変形することにより、屈曲により発生する応力を効果的に緩和(キャンセル)している。連結部5についても同様である。そのため、前述のように第1の軸部42、52を確実に屈曲させることができるとともに、第1の軸部42、52の破壊を防止することができる。すなわち、光スキャナー1を安定して駆動することができる。
なお、可動板2の回動は、次のようにして行うこともできる。すなわち、電源613、623からコイル612、622に印加される交番電圧に(+)または(−)のオフセット電圧(直流電圧)を重畳してもよい。言い換えれば、永久磁石611、621のN極がコイル612、622に引き付けられる強さ(以下、単に「N極引き付け強さ」とも言う)と、永久磁石611、621のS極がコイル612、622に引き付けられる強さ(以下、単に「S極引き付け強さ」とも言う)とを異ならせてもよい。
以下、具体的に説明するが、前述したような、N極引き付け強さおよびS極引き付け強さが等しい状態を「通常状態」と言う。
コイル612、622のS極引き付け強さがN極引き付け強さよりも大きい場合には、通常状態と比較して、駆動板41、51の回動の上死点および下死点(回動方向が切り替わる点)がそれぞれ上側に移動する。その結果、図8に示すように、可動板2の回動中心軸J1が通常状態に比べて上側に移動する。逆に、コイル612、622のS極引き付け強さがN極引き付け強さよりも弱い場合には、通常状態と比較して、駆動板41、51の回動の上死点および下死点がそれぞれ下側に移動する。その結果、可動板2の回動中心軸J1が通常状態に比べて下側に移動する。
このように、電源613、623からコイル612、622に印加される交番電圧にオフセット電圧を重畳することにより、可動板2の回動中心軸J1をZ軸方向にずらすことができる。これにより、例えば、光スキャナー1がプロジェクター等の画像形成装置に組み込まれている場合に、画像形成装置を組み立てた後でも、光源から出射される光の可動板2までの光路長を調整することができる。すなわち、画像形成装置の組み立て時には、光源と可動板2との位置決めを精密に行うが、仮にこれらの位置が設定値に対してずれしまった場合でも、組み立て後に、光源と可動板2との位置を補正することができる。
2−2.振動
まず、コイル612の永久磁石611側およびコイル622の永久磁石621側が共にN極となる第1の状態と、コイル612の永久磁石611側およびコイル622の永久磁石621側が共にS極となる第2の状態とが、交互にかつ周期的に切り替わるように、電源613、623からコイル612、622に交番電圧を印加する。電源613、623からコイル612、622に印加される交番電圧は、互いに同じ波形であるのが好ましい。
図9(a)に示す第1の状態では、前述した回動の場合と同様にして、駆動板41、51は、共にその上面を可動板2側に向けるように回動中心軸J2、J3まわりに傾斜する。このような駆動板41、51の傾斜に伴って、駆動板側軸部423、523は、共に可動板2側の端が駆動板41側の端よりも下側に位置するように傾斜する。これにより、駆動板側軸部423、523の可動板2側の端が自然状態に対して下側へ同じ距離移動する。
このように、駆動板側軸部423、523の可動板2側の端がともに下側へ同じ距離移動することにより、節部421の捩じり変形部4211、4212および節部521の捩じり変形部5211、5212にその中心軸まわりの捩じり変形を生じさせながら、可動板側軸部422、522および可動板2が一体的に、かつ、可動板2の姿勢(すなわち面方向)を一定に保ちつつ下側に移動する。
一方、図9(b)に示す第2の状態では、駆動板41、51は、共にその下面を可動板2側に向けるように回動中心軸J2、J3まわりに傾斜する。このような駆動板41、51の傾斜に伴って、駆動板側軸部423、523は、共に可動板2側の端が駆動板41側の端よりも上側に位置するように傾斜する。これにより、駆動板側軸部423、523の可動板2側の端が自然状態に対して上側へ同じ距離移動する。
このように、駆動板側軸部423、523の可動板2側の端がともに上側へ同じ距離移動することにより、節部421の捩じり変形部4211、4212および節部521の捩じり変形部5211、5212にその中心軸まわりの捩じり変形を生じさせながら、可動板側軸部422、522および可動板2が一体的に、かつ、可動板2の姿勢を一定に保ちつつ上側に移動する。
このような第1の状態と、第2の状態とを交互に切り替えることによって、可動板2をその姿勢を保ちつつ、すなわち光反射部22の表面(反射面)をX−Y平面と平行に保ちつつ、Z軸方向に振動させることができる。
なお、コイル612、622に印加する交番電圧の周波数としては特に限定されず、可動板2および連結部4、5で構成される振動系の共振周波数と等しくても、それ以下であってもよいが、前記共振周波数と等しいのが好ましい。すなわち、光スキャナー1を共振で駆動するのが好ましい。これにより、光スキャナー1のより安定した駆動が可能となる。
このような振動パターンでも、前述した回動パターンと同様に、コイル612、622に印加する交番電圧にオフセット電圧を重畳させることにより、自然状態から上側(基台9と反対側)にシフトして可動板2を振動させたり、自然状態から下側(基台9側)にシフトして可動板2を振動させたりすることができる。
2−3.静止パターン
例えば、コイル612の永久磁石611側およびコイル622の永久磁石621側が共にN極となる状態となるように電源613、613からコイル612、622に直流電圧を印加する。電源613、623からコイル612、622に印加される直流電圧は、互いに同じ強さであるのが好ましい。このような電圧をコイル612、622に印加すると図9(a)に示すような状態で可動板2が静止する。一方、コイル612の永久磁石611側およびコイル622の永久磁石621側が共にS極となる状態となるように電源613、613からコイル612、622に直流電圧を印加すると、図9(b)に示すような状態で可動板2が静止する。すなわち、可動板2が、自然状態とは異なる位置に維持される。
このような駆動によれば、例えば光反射部22で反射した光の光路を自然状態のときに対してずらすことができるため、例えば、光スキャナー1を光スイッチとして利用するときに特に有効である。
また、例えば、光スキャナー1がプロジェクター等の画像形成装置に組み込まれている場合に、光源から異常なレーザーが出射されるなどの理由から、レーザーの装置外部への出射を停止しなければならない場合に、可動板2を自然状態とは異なる位置(レーザーの光路と交わらない位置)に退避させることにより、光反射部22によるレーザーの反射を防止する。これにより、装置外部へのレーザーの出射を防止することができる。また、可動板2を変位させることにより光反射部22で反射されたレーザーの光路を変更することにより、装置外部へのレーザーの出射を防止してもよい。これにより、このような問題を解決するための安全機構を別途組み込まなくてもよくなり、画像形成装置の製造工程が簡易化されるとともに、製造コストを削減することができる。
このような可動板2の静止駆動を応用し、コイル612、622に印加する直流電圧の強さを互いに異ならせることにより、可動板2を自然状態に対して傾けた状態で維持することもできる。また、コイル612、622に印加する直流電圧の強さを経時的に変化させることにより、可動板2を連続的または段階的に不規則に変位させることもできる。
以上、光スキャナー1の駆動について詳細に説明した。
ここで、光スキャナー1の構成の説明に戻るが、図1に示すように、回動中心軸J1と非変形部4213の中心軸J4との離間距離をL1とし、非変形部4213の中心軸J4と回動中心軸J2との離間距離をL2としたとき、L1とL2の大小関係は特に限定されず、L1>L2であってもよい、L1=L2であってもよく、L1<L2であってもよい(連結部5についても同様である)。
L1=L2の場合には、可動板2を回動させた際(第1の軸部42が屈曲した際)のX軸に対する可動板側軸部422および駆動板側軸部423の傾きが互いに等しくなる。そのため、この場合には、捩じり変形部4211、4212にほぼ等しいトルクがかかることとなり、その結果、第1の軸部42をより効率的に屈曲させることができる。L1>L2の場合には、L1=L2の場合と比較して可動板2の回動角を小さくすることができ、逆に、L1<L2の場合には、L1=L2の場合と比較して可動板2の回動角を大きくすることができる。このように、L1、L2の関係は、光スキャナー1の使用用途に基づいて適宜設定すればよい。
また、前述したように、L1=L2の場合には、捩じり変形部4211、4212にほぼ等しいトルクがかかることとなるため、捩じり変形部4211、4212を互いに同じ形状(物理的特性:捩じり変形のし易さ)を示すように構成するのが好ましい。これにより、捩じり変形部4211、4212のいずれか一方に過度な捩じれが生じたり、反対にいずれか一方の捩じれが不足したりするのを防止でき、第1の軸部42をスムーズに屈曲することができる。
また、L1>L2の場合には、第1の軸部42が屈曲した際のX軸に対する駆動板側軸部423の傾きが可動板側軸部422の傾きよりも大きくなるため、捩じり変形部4211に加わるトルクよりも、捩じり変形部4212に加わるトルクの方が大きくなる。従って、この場合には、捩じり変形部4212が捩じり変形部4211よりも捩じり変形し易くなるように構成するのが好ましい。具体的には、例えば、捩じり変形部4212の幅を捩じり変形部4211の幅よりも細くするのが好ましい。これは、前述したように、連結部4は、SOI基板100をその厚さ方向にエッチングすることにより形成されるため、SOI基板100の面方向と一致する幅の制御は、簡単かつ、工程を増やさずに行うことができるためである。
また、L1<L2の場合には、L1>L2の場合とは逆に、捩じり変形部4211が捩じり変形部4212よりも捩じり変形し易くなるように構成するのが好ましい。
<第2実施形態>
次に、本発明の光スキャナーの第2実施形態について説明する。
図10は、本発明の光スキャナーの第2実施形態を示す平面図である。
以下、第2実施形態の光スキャナーについて、前述した実施形態の光スキャナーとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2実施形態の光スキャナーは、コイル固定部の構成が異なる以外は、第1実施形態の光スキャナー1とほぼ同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
本実施形態の光スキャナー1では、コイル固定部64Aは、コイル612および永久磁石611を囲むように(第1の軸部42に当たる部分を欠損させて)形成された本体部642Aを有している。このような本体部642Aは、コイル612から発生する磁力が永久磁石611に作用しつつ、コイル固定部64Aの外側に漏れ出すのを防止または抑制する。すなわち、本体部642Aは、防磁性を有している。これにより、例えば、コイル612から発生した磁界が反対側の永久磁石621に作用するのを防止することができ、光スキャナー1を安定して駆動することができる。
本体部642Aの構成は、前述の効果を発揮することができれば特に限定されず、例えば、コア材料として利用される軟磁性体で構成されていてもよいし、表面に防磁性の塗料が塗布されていてもよい。
なお、コイル622を固定する図示しないコイル固定部についても、コイル固定部64Aと同様の構成である。
このような第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の光スキャナーの第3実施形態について説明する。
図11は、本発明の光スキャナーの第3実施形態を示す平面図である。
以下、第3実施形態の光スキャナーについて、前述した実施形態の光スキャナーとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第3実施形態の光スキャナーは、変位手段の構成が異なる以外は、前述した光スキャナーとほぼ同様である。なお、本実施形態では、変位手段が有する第1の変位手段と第2の変位手段の構成が互いに同様であるため、第1の変位手段について代表して説明し、第2の変位手段については、その説明を省略する。また、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
図11に示すように、第1の変位手段61Bは、永久磁石611Bと、コイル612Bと、電源613Bとを有している。永久磁石611Bは、平板状をなしており、駆動板41の下面(基台9側の面)に固定されている。また、永久磁石611Bは、駆動板41に固定された状態で、回動中心軸J2に対してS極とN極とが対向するように設けられている。
コイル612Bは、永久磁石611の下側に設けられている。このコイル612Bは、電源613Bから電圧が印加されることにより、X軸方向の磁界を発生させることができる。そして、コイル612Bから発生した磁界の作用により、永久磁石611BのS極およびN極の一方をコイル612Bに引き寄せ、他方をコイル612Bから遠ざけることにより、駆動板41を回動中心軸J2まわり傾斜させることができる。
このような第3実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の光スキャナーの第4実施形態について説明する。
図12は、本発明の光スキャナーの第4実施形態を示す斜視図である。
以下、第4実施形態の光スキャナーについて、前述した実施形態の光スキャナーとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第4実施形態の光スキャナーは、各連結部の節部が有する非変形部の構成が異なる以外は、前述した光スキャナーとほぼ同様である。なお、本実施形態では、各連結部4、5における非変形部の構成が互いに同様であるため、連結部4について代表して説明し、連結部5については、その説明を省略する。また、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
図12に示すように、連結部4Cの節部421Cでは、非変形部4213Cが一対設けられている。一対の非変形部4213Cは、互いにY軸方向に離間し、Y軸と平行な1つの軸線上に位置している。このような構成の連結部4Cでも、一対の非変形部4213C結んだ線分を軸にして第1の軸部42Cを局所的に屈曲させることができる。
このような第4実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
以上説明したような光スキャナーは、例えば、プロジェクター、レーザープリンター、イメージング用ディスプレイ、バーコードリーダー、走査型共焦点顕微鏡などの画像形成装置に好適に適用することができる。その結果、優れた描画特性を有する画像形成装置を提供することができる。
具体的に、図13に示すようなプロジェクター200について説明する。なお、説明の便宜上、スクリーンSCの長手方向を「横方向」といい、長手方向に直角な方向を「縦方向」という。
プロジェクター200は、レーザーなどの光を照出する光源装置210と、クロスダイクロイックプリズム220と、1対の本発明の光スキャナー230、240(例えば、光スキャナー1と同様の構成の光スキャナー)と、固定ミラー250とを有している。
光源装置210は、赤色光を照出する赤色光源装置211と、青色光を照出する青色光源装置212と、緑色光を照出する緑色光源装置213とを備えている。
クロスダイクロイックプリズム220は、4つの直角プリズムを貼り合わせて構成され、赤色光源装置211、青色光源装置212、緑色光源装置213のそれぞれから照出された光を合成する光学素子である。
このようなプロジェクター200は、赤色光源装置211、青色光源装置212、緑色光源装置213のそれぞれから、図示しないホストコンピュータからの画像情報に基づいて照出された光をクロスダイクロイックプリズム220で合成し、この合成された光が光スキャナー230、240によって走査され、さらに固定ミラー250によって反射されてスクリーンSC上でカラー画像を形成するように構成されている。
ここで、光スキャナー230、240の光走査について具体的に説明する。
まず、クロスダイクロイックプリズム220で合成された光は、光スキャナー230によって横方向に走査される(主走査)。そして、この横方向に走査された光は、光スキャナー240によってさらに縦方向に走査される(副走査)。これにより、2次元カラー画像をスクリーンSC上に形成することができる。
このような走査方法は、いわゆるラスタースキャンと言われる方法であり、その他、いわゆるベクタースキャンを用いてスクリーンSCに光を走査してもよい。ベクタースキャンとは、光源装置210から出射した光をスクリーンSC対し、当該スクリーンSC上の異なる2点を結ぶ線分を順次形成するように走査する手法である。すなわち、微少な直線を集合させることにより、スクリーンSCに所望の画像を形成する手法である。ここで、本発明の光スキャナーでは、前述したように、可動板2不規則に連続的に変位させることができるため、このようなベクタースキャンにも適している。
このような光スキャナー230、240として本発明の光スキャナーを用いることで、極めて優れた描画特性を発揮することができる。
ただし、プロジェクター200としては、光スキャナーにより光を走査し、対象物に画像を形成するように構成されていれば、これに限定されず、例えば、固定ミラー250を省略してもよい。
以上、本発明の光スキャナーおよび画像形成装置について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明の光スキャナーおよび画像形成装置では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。また、例えば、本発明の光スキャナーでは、前述した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
1……光スキャナー 2……可動板 21……面 22……光反射部 3……支持部 4、4C、5……連結部 41、51……駆動板 411……貫通孔 42、42C、52……第1の軸部 421、421C、521……節部 4211、4212、5211、5212……捩じり変形部 4213、4213C、5213……非変形部 4214、4215、5214、5215……接続部 422、522……可動板側軸部 423、523……駆動板側軸部 43、53……第2の軸部 6……変位手段 61、61B……第1の変位手段 62……第2の変位手段 611、611B、621……永久磁石 612、612B、622……コイル 613、613B、623……電源 64、64A……コイル固定部 641……突出部 642A……本体部 8……振動系 9……基台 91……基部 92……枠部 100……SOI基板 110……第1のSi層 120……SiO層 130……第2のSi層 200……プロジェクター 210……光源装置 211……赤色光源装置 212……青色光源装置 213……緑色光源装置 220……クロスダイクロイックプリズム 230、240……光スキャナー 250……固定ミラー M1、M2……SiO膜 J1、J2……回動中心軸 J3、J4……中心軸 SC……スクリーン

Claims (16)

  1. 光反射性を有する光反射部を有する可動板と、
    前記可動板を支持する支持部と、
    前記可動板の両側に設けられ、前記可動板と前記支持部とを連結する一対の連結部と、
    前記可動板を変位させる変位手段とを有し、
    各前記連結部は、前記支持部に対して回動可能な駆動部と、前記駆動部および前記可動板を連結する軸部とを有し、
    各前記連結部の前記軸部は、該軸部の長手方向の途中で前記可動板の厚さ方向へ屈曲可能であり、
    前記変位手段によって各前記連結部の前記駆動部を回動させ、当該回動によって前記軸部を屈曲させることにより、前記可動板を変位させるように構成されていることを特徴とする光スキャナー。
  2. 前記可動板の平面視にて直交する2軸をX軸およびY軸としたとき、
    前記一対の連結部は、それぞれ、前記可動板とX軸方向に離間配置された前記駆動部と、前記可動板と前記駆動部とを連結しX軸方向に延在する前記軸部である第1の軸部と、前記駆動部と前記支持部とを連結しY軸方向に延在する第2の軸部とを有し、
    前記変位手段によって、前記第2の軸部を捩じり変形させつつ前記駆動部をY軸まわりに回動させることにより、前記第1の軸部を屈曲させるように構成されている請求項1に記載の光スキャナー。
  3. 各前記連結部が有する前記第1の軸部は、延在方向の途中に設けられた節部と、前記節部と前記可動板とを連結する可動板側軸部と、前記節部と前記駆動部とを連結する駆動部側軸部とを有し、前記節部で屈曲する請求項1または2に記載の光スキャナー。
  4. 各前記連結部が有する前記第1の軸部は、前記可動板の厚さ方向の一方側に凸のV字状となるように前記節部で屈曲する第1の変形と、他方側に凸のV字状となるように前記節部で屈曲する第2の変形とをし得る請求項1ないし3のいずれかに記載の光スキャナー。
  5. 前記変位手段によって、各前記連結部が有する前記第1の軸部の一方の前記第1の軸部に前記第1の変形をさせるとともに、他方の前記第1の軸部に前記第2の変形をさせる状態と、前記一方の第1の軸部に前記第2の変形をさせるとともに、前記他方の第1の軸部に前記第2の変形をさせる状態とを交互に繰り返すことにより、前記可動板を前記Y軸まわりに回動させる請求項4に記載の光スキャナー。
  6. 前記変位手段によって、各前記連結部が有する前記第1の軸部に前記第1の変形をさせた状態と、各前記連結部が有する前記第1の軸部に前記第2の変形をさせた状態とを交互に繰り返すことにより、前記可動板を該可動板の厚さ方向へ振動させる請求項4に記載の光スキャナー。
  7. 各前記連結部の前記節部は、Y軸まわりに捩じり変形する捩じり変形部を有する請求項3ないし6のいずれかに記載の光スキャナー。
  8. 各前記連結部の前記節部は、前記捩じり変形部を一対有し、
    前記一対の捩じり変形部のうちの一方の前記捩じり変形部は、前記可動板側軸部に連結され、他方の前記捩じり変形部は、前記駆動部側軸部に連結されている請求項7に記載の光スキャナー。
  9. 各前記連結部の前記節部は、前記一対の捩じり変形部の間に設けられ、Y軸方向に延在しY軸まわりに捩じり変形しない非変形部を有している請求項8に記載の光スキャナー。
  10. 各前記連結部の前記可動板側軸部および前記駆動部側軸部は、それぞれ、実質的に変形しない請求項3ないし9のいずれかに記載の光スキャナー。
  11. 各前記連結部は、第1のSi層、SiO層および第2のSi層をこの順で積層してなるSOI基板から形成されている請求項9または10に記載の光スキャナー。
  12. 各前記連結部の前記可動板側軸部、前記非変形部、前記駆動部側軸部および前記駆動部は、それぞれ、前記第1のSi層、前記SiO層および前記第2のSi層で構成されており、前記捩じり変形部および第2の軸部は、それぞれ、前記第2のSi層で構成されている請求項11に記載の光スキャナー。
  13. 前記変位手段は、前記一対の連結部に対応して一対設けられており、
    各前記変位手段は、前記駆動部に設けられた永久磁石と、前記永久磁石に作用する磁界を発生するコイルとを有している請求項1ないし12のいずれかに記載の光スキャナー。
  14. 各前記変位手段において、前記永久磁石は、前記可動板の厚さ方向に両極が対向するように設けられており、前記コイルは、X軸方向の磁界を発生させるように設けられている請求項13に記載の光スキャナー。
  15. 各前記変位手段において、前記永久磁石は、前記駆動部を貫通して設けられている請求項14に記載の光スキャナー。
  16. 光反射性を有する光反射部を有する可動板と、
    前記可動板を支持する支持部と、
    前記可動板の両側に設けられ、前記可動板と前記支持部とを連結する一対の連結部と、
    前記可動板を変位させる変位手段とを有し、
    各前記連結部は、前記支持部に対して回動可能な駆動部と、前記駆動部および前記可動板を連結する軸部とを有し、
    各前記連結部の前記軸部は、該軸部の長手方向の途中で前記可動板の厚さ方向へ屈曲可能であり、
    前記変位手段によって各前記連結部の前記駆動部を回動させ、当該回動によって前記軸部を屈曲させることにより、前記可動板を変位させるように構成された光スキャナーを備えることを特徴とする画像形成装置。
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