JP6003025B2 - アクチュエーター、光スキャナーおよび画像形成装置 - Google Patents
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Description
アクチュエーターとしては、捩り振動子を用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、特許文献1には、可動板(可動部)と、支持枠(支持部)と、可動板を支持枠に対して捩り揺動可能に支持する1対の弾性支持部(連結部)とを有し、各弾性支持部が2本の棒(梁部材)で構成された光偏向器が開示されている。
このような可動板、支持枠および1対の弾性支持部は、主面がシリコンの(100)面で構成されたシリコン基板を異方性エッチングすることにより一体形成される。
しかし、平面視形状が八角形をなす可動板は、前述したような異方性エッチングを用いて製造した場合、結晶面との関係から、形状のばらつきが大きくなるという問題があった。
本発明のアクチュエーターは、光反射性を有する光反射部を備え、かつ、揺動軸まわりに揺動可能な板状の可動部と、
前記可動部から延出し、かつ前記可動部の揺動に伴って捩り変形する連結部と、
前記連結部を支持する支持部と、
前記可動部の板面に固着された磁石を含む磁界発生部と、
前記磁石に作用する磁界を発生させて前記可動部を揺動させるコイルとを有し、
前記可動部および前記光反射部は、それぞれ、前記可動部の板厚方向からの平面視にて、前記揺動軸に対して垂直な方向で両側へ突出する1対の第1突出部と、前記揺動軸に対して平行な方向で両側に突出する1対の第2突出部とを有する十字状をなし、
前記磁界発生部は、前記第2突出部の前記光反射部を備える面と反対の面に固着された磁石を含み、
前記平面視における前記回動中心軸に垂直な方向の前記可動部の長さをAとし、前記平面視における前記回動中心軸に平行な方向の前記可動部の長さをBとし、前記平面視における前記回動中心軸に垂直な方向の前記第1突出部の長さをaとし、前記平面視における前記回動中心軸に平行な方向の前記第2突出部の長さをbとしたときに、
0.8×(1−1/√2)A≦a≦2.0×(1−1/√2)A、かつ、
0.8×(1−1/√2)B≦b≦2.0×(1−1/√2)B
をそれぞれ満たすことを特徴とする。
このように構成されたアクチュエーターによれば、製造における可動部の形状ばらつきを従来よりも小さくして、可動部の揺動時の慣性モーメントを低減することができる。
これにより、可動部の揺動に伴う各第2突出部の動たわみを抑制することができる。
これにより、可動部の揺動に伴う可動部全体の動たわみを抑制することができる。
本発明のアクチュエーターでは、前記磁界発生部は、前記1対の第2突出部のうちの一方の第2突出部に固着されるとともに、前記1対の第2突出部のうちの他方の第2突出部に固着された磁石を含むことが好ましい。
これにより、可動部の揺動に伴う各第2突出部の動たわみを抑制することができる。
これにより、可動部の揺動に伴う可動部全体の動たわみを抑制することができる。
本発明のアクチュエーターでは、前記磁石は、前記第2突出部の前記連結部に接続される縁部に固着されていることが好ましい。
これにより、可動部の揺動に伴う各第2突出部の動たわみを効果的に抑制することができる。
これにより、可動部の揺動に伴う各第2突出部の動たわみをより効果的に抑制することができる。
本発明のアクチュエーターでは、前記板厚方向からの平面視における前記揺動軸に対して垂直な方向の前記可動部の長さをAとし、前記板厚方向からの平面視における前記揺動軸に対して垂直な方向の前記各第1突出部の長さをaとし、前記板厚方向からの平面視における前記揺動軸に対して垂直な方向の前記磁石の長さをCとしたときに、C≧(A−2a)/2なる関係を満たすことが好ましい。
これにより、可動部の動たわみを効果的に抑えることができる。
これにより、可動部の動たわみをより効果的に抑えることができる。
本発明のアクチュエーターでは、前記可動部の前記板厚方向からの平面視における外形は、主として、前記揺動軸に平行な線分と、前記揺動軸に対して垂直な線分とで構成されていることが好ましい。
これにより、製造における可動部の形状ばらつきを小さくすることができる。
前記可動部から延出し、かつ前記可動部の揺動に伴って捩り変形する連結部と、
前記連結部を支持する支持部と、
前記可動部の板面に固着された磁石を含む磁界発生部と、
前記磁石に作用する磁界を発生させて前記可動部を揺動させるコイルとを有し、
前記可動部および前記光反射部は、それぞれ、前記可動部の板厚方向からの平面視にて、前記揺動軸に対して垂直な方向で両側へ突出する1対の第1突出部と、前記揺動軸に対して平行な方向で両側に突出する1対の第2突出部とを有する十字状をなし、
前記磁界発生部は、前記第2突出部の前記光反射部を備える面と反対の面に固着された磁石を含み、
前記平面視における前記回動中心軸に垂直な方向の前記可動部の長さをAとし、前記平面視における前記回動中心軸に平行な方向の前記可動部の長さをBとし、前記平面視における前記回動中心軸に垂直な方向の前記第1突出部の長さをaとし、前記平面視における前記回動中心軸に平行な方向の前記第2突出部の長さをbとしたときに、
0.8×(1−1/√2)A≦a≦2.0×(1−1/√2)A、かつ、
0.8×(1−1/√2)B≦b≦2.0×(1−1/√2)B
をそれぞれ満たすことを特徴とする。
このように構成された光スキャナーによれば、製造における可動部の形状ばらつきを小さくして、可動部の揺動時の慣性モーメントを低減することができる。
前記光源からの光を走査する光スキャナーと、を備え、
前記光スキャナーは、
光反射性を有する光反射部を備え、かつ揺動軸まわりに揺動可能な板状の可動部と、
前記可動部から延出し、かつ前記可動部の揺動に伴って捩り変形する連結部と、
前記連結部を支持する支持部と、
前記可動部の板面に固着された磁石を含む磁界発生部と、
前記磁石に作用する磁界を発生させて前記可動部を揺動させるコイルとを有し、
前記可動部および前記光反射部は、それぞれ、前記可動部の板厚方向からの平面視にて、前記揺動軸に対して垂直な方向で両側へ突出する1対の第1突出部と、前記揺動軸に対して平行な方向で両側に突出する1対の第2突出部とを有する十字状をなし、
前記磁界発生部は、前記第2突出部の前記光反射部を備える面と反対の面に固着された磁石を含み、
前記平面視における前記回動中心軸に垂直な方向の前記可動部の長さをAとし、前記平面視における前記回動中心軸に平行な方向の前記可動部の長さをBとし、前記平面視における前記回動中心軸に垂直な方向の前記第1突出部の長さをaとし、前記平面視における前記回動中心軸に平行な方向の前記第2突出部の長さをbとしたときに、
0.8×(1−1/√2)A≦a≦2.0×(1−1/√2)A、かつ、
0.8×(1−1/√2)B≦b≦2.0×(1−1/√2)B
をそれぞれ満たすことを特徴とする。
このように構成された画像形成装置によれば、製造における可動部の形状ばらつきを小さくして、可動部の揺動時の慣性モーメントを低減することができる。そのため、安価に、高品位な画像を得ることができる。
<第1実施形態>
まず、本発明の光スキャナーの第1実施形態について説明する。
また、基体2は、光反射部211が設けられた可動板(可動部)21と、可動板21から延出する1対の連結部23、24と、1対の連結部23、24とを支持する支持部22とを有している。支持部22は連結部23、24を介して可動板21を支持しているとも言え、1対の連結部23、24は可動板21と支持部22とを連結しているとも言える。
このような光スキャナー1では、駆動部4の駆動力により、各連結部23、24を捩り変形させながら、可動板21を連結部23、24に沿った所定の揺動軸まわりに揺動させる。これにより、光反射部211で反射した光を所定の一方向に走査することができる。
[基体]
基体2は、前述したように、光反射部211が設けられた可動板21と、可動板21を支持する支持部22と、可動板21と支持部22とを連結する1対の連結部23、24とを有する。
また、シリコンは軽量かつSUSなみの剛性を有するため、基体2がシリコンを主材料として構成されていることにより、優れた振動特性を有する基体2が得られる。また、シリコンは後述するようにエッチングにより高精度な寸法精度で加工が可能であるので、シリコン基板を用いて基体2を形成することにより、所望の形状(所望の振動特性)を有する基体2を得ることができる。
支持部22は、図1に示すように、枠状をなしている。より具体的には、支持部22は、四角環状をなしている。このような支持部22は、1対の連結部23、24を介して可動板21を支持する。なお、支持部22の形状としては、1対の連結部23、24を介して可動板21を支持することができれば、特に限定されず、例えば、各連結部23、24に対応して分割された形状をなしていてもよい。
このような支持部22の内側には、可動板21が設けられている。
また、欠損部251と欠損部252とは突出部213を介して対向している。また、欠損部252と欠損部254とは突出部216を介して対向している。また、欠損部253と欠損部254とは突出部214を介して対向している。また、欠損部251と欠損部253とは突出部215を介して対向している。
また、可動板21は、平面視にて可動板21の中心Pを通りかつ可動板21の揺動軸(軸線X)に対して垂直な線分Yに対して対称な形状をなしている。これにより、可動板の設計が容易となる。
また、可動板21の側面は、主として、シリコンの(111)面で構成されている。これにより、後述するように板面が(100)面で構成されたシリコン基板を異方性エッチングすることにより、シリコンの(111)面をエッチングの停止層として利用し、可動板21、支持部22および1対の連結部23、24を簡単かつ高精度に形成することができる。なお、可動板21の板厚方向からの平面視における外形の角部においては、可動板21の側面は(111)面以外の結晶面を含んでいる。従って、可動板21の側面は、少なくとも当該角部における側面を除いて、シリコンの(111)面で構成されている。
これに対し、長さa、bが前記下限値未満であると、それぞれ、可動板21の揺動時における慣性モーメントを低減する効果が小さい傾向となる。そのため、可動板21の厚さによっては、可動板21の動撓みが大きくなり、光スキャナー1の光学特性を低下させる場合がある。
なお、図3では、上記式(A)、(B)を満たし、a、bをそれぞれ最大とした場合の可動板21Aを鎖線で示し、a、bをそれぞれ最小とした場合の可動板21Bを二点鎖線で示している。
図3に示すように平面視にて可動板21に光Lの円形または楕円形のスポットが内接する場合、各欠損部251〜254が光Lのスポットの外側で面積が最大となるのは、a=(1−1/√2)A、b=(1−1/√2)Bである。
また、かかる場合、欠損部251〜254を形成する効果が発揮される範囲において、aが最大となりbが最小となるのは、軸線Xに対して30°傾斜した線分と光Lのスポットの外周縁との交点P2に各欠損部251〜254の角P3が位置するときである。
さらに、光Lとして通常用いられるレーザーのスポット径の有効範囲は、一般的にピーク輝度の1/e2以上の範囲とされる。したがって、その有効範囲が光反射部211内に収まっていれば、理想的な光反射を行うことができる。
具体的には、上述したように求めたa、bの許容値を−20%以上+200%以下とすることができる。
以上のようなことから、上記式(A)、(B)が得られる。
各連結部23、24は、軸線Xに沿って長い長手形状をなしており、弾性変形可能に構成されている。また、連結部23および連結部24は可動板21を介して対向している。このような連結部23、24は、それぞれ、可動板21を支持部22に対して揺動可能とするように、可動板21と支持部22とを連結している。1対の連結部23、24は、軸線Xに沿って同軸的に設けられており、この軸線Xを揺動軸として、可動板21が支持部22に対して揺動する。
各梁部材231、232は、軸線Xに沿って設けられているとともに、軸線Xを介して対向している。また、各梁部材231、232は、軸線Xに垂直な断面における横断面形状が平行四辺形をなしている。
また、梁部材231、232は、軸線Xに平行な方向からみたときに(言い換えると、図4に示す断面でみたとき)、上下に延び軸線Xを通る線分に対して対称な形状をなしている。
すなわち、1対の梁部材231、232間の距離は、可動板21の揺動軸に平行な方向からみたときに、可動板21の一方の面側から他方の面側に向けて(本実施形態では下側から上側に向けて)漸増している。
支持体3は、前述した基体2を支持する機能を有する。また、支持体3は、後述する駆動部4のコイル42を支持する機能をも有する。
この支持体3は、上方に開放する凹部31を有する箱状をなしている。言い換えると、支持体3は、板状をなす板状部32と、その板状部32の上面の外周部に沿って設けられた枠状をなす枠状部33とで構成されている。
このような支持体3の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、石英ガラス、パイレックスガラス(「パイレックス」は登録商標)、テンパックスガラス等のガラス材料や、単結晶シリコン、ポリシリコン等のシリコン材料、LTCC(低温焼結セラミックス)等が挙げられる。
また、基体2と支持体3との接合方法としては、支持体3の構成材料、形状等に応じて適宜決められるものであり、特に限定されないが、接着剤を用いた方法、陽極接合法、直接接合法等が挙げられる。
駆動部4は、永久磁石41(磁界発生部)およびコイル42を有し、前述した基体2の可動板21を電磁駆動方式(より具体的にはムービングマグネット型の電磁駆動方式)により揺動駆動させるものである。電磁駆動方式は、大きな駆動力を発生させることができる。そのため、電磁駆動方式を採用する駆動部4によれば、低駆動電圧化を図りつつ、可動板21の振れ角を大きくすることができる。
特に、永久磁石41は、前述した可動板21の各突出部213、214(第2突出部)に固着されている。この永久磁石41は、可動板21を補強する機能をも有する。これにより、可動板21の動たわみを抑えることができる。
より具体的に説明すると、図5に示すように、永久磁石41は、互いに分離して設けられた2つの磁石411、412を含む。そして、一方の磁石411は、1対の突出部213、214のうちの一方の突出部213に固着され、他方の磁石412は、1対の突出部213、214のうちの他方の突出部214に固着されている。このように永久磁石41が各突出部213、214に固着されていることにより、可動板21の揺動に伴う各突出部213、214の動たわみを抑制することができる。その結果、可動板21の揺動に伴う可動板21全体の動たわみを抑制することができる。なお、図5では、説明の便宜上、磁石411、412に斜線を付して示している。
すなわち、可動板21の連結部23、24側の部分は、理想面に対して、可動板21の中央部側の部分とは反対側に撓む。
また、可動板21の板厚方向からの平面視における軸線Xに対して平行な方向の各磁石411、412の長さ(図5に示すD1)は、可動板21の板厚方向からの平面視における軸線Xに対して平行な方向の各突出部213、214の長さ(図5に示すb)と同等である。これにより、可動板21の揺動に伴う可動板21全体の動たわみを抑制することができる。
また、磁石411は、可動板21の板面(上面)における各突出部213の全域に固着され、同様に、磁石412は、可動板21の板面(上面)における各突出部214の全域に固着されている。これにより、可動板21の揺動に伴う各突出部213、214の動たわみをより効果的に抑制することができる。
このような磁石411、412としては、特に限定されず、例えば、ネオジウム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石、ボンド磁石などの、硬磁性体を着磁してなる磁石を好適に用いることができる。
このような駆動部4によって、次のように可動板21が揺動する。
第1の磁界では、永久磁石41のS極側がコイル42に引きつけられ、反対にN極側がコイル42から遠ざかるように、可動板21が軸線Xを中心に図2にて反時計回りに揺動する(第1の状態)。反対に、第2の磁界では、永久磁石41のN極側がコイル42に引きつけられ、反対にS極側がコイル42から遠ざかるように、可動板21が軸線Xを中心に図2にて時計回りに揺動する(第2の状態)。このような第1の状態と第2の状態とが交互に繰り返され、可動板21が軸線Xを中心に揺動する。
以上のような光スキャナー1は、例えば、次のようにして製造することができる。以下、本発明のアクチュエーターの製造方法の一例として、図7および図8に基づいて、光スキャナー1の製造方法を説明する。なお、図7および図8は、それぞれ、図2に対応する断面で示されている。
光スキャナー1の製造方法は、基体2を形成する工程を有する。
−A1−
まず、図7(a)に示すように、シリコン基板102を用意する。
このシリコン基板102は、後述するエッチングを経ることにより基体2となるものである。
具体的には、シリコン基板102は、その主面がシリコンの(100)面で構成されたものである。
次に、図7(b)に示すように、シリコン基板102の上面上に窒化膜71を形成するとともに、シリコン基板102の下面上に窒化膜72を形成する。
この窒化膜71、72は、それぞれ、例えば、SiNで構成されている。
また、窒化膜71、72の形成方法は、ぞれぞれ、特に限定されないが、例えば、プラズマCVD等の気相成膜法を用いることができる。
また、窒化膜71、72の厚さは、特に限定されないが、0.01μm以上0.2μm以下程度である。
なお、窒化膜71、72に代えて、SiOで構成された酸化膜を例えば熱酸化法により形成してもよい。
次に、図7(c)に示すように、窒化膜71上にレジスト膜81を形成する。
このレジスト膜81は、ポジ型またはネガ型のレジスト材料で構成されている。
−A4−
次に、レジスト膜81を露光および現像することにより、レジスト膜81の可動板21、支持部22および1対の連結部23、24の形成領域に対応した部分が残存するように、レジスト膜81の一部を除去する。これにより、図7(d)に示すように、開口811を有するレジスト膜81Aを得る。なお、図7(d)では図示しないが、レジスト膜81Aには、1対の梁部材231、232の上端同士の間の隙間に対応して形成された開口も形成されている。
次に、レジスト膜81Aをマスクとして用いて、窒化膜71の一部をエッチングにより除去する。これにより、図7(e)に示すように、開口711を有する窒化膜71Aを得る。なお、図7(e)では図示しないが、窒化膜71Aには、1対の梁部材231、232の上端同士の間の隙間に対応して形成された開口も形成されている。
上記エッチング(開口711の形成方法)としては、特に限定されないが、例えば、リアクティブイオンエッチング(RIE)、CF4を用いたドライエッチング等が挙げられる。
次に、レジスト膜81Aを除去する。これにより、図7(f)に示すように、シリコン基板102は、その上面が窒化膜71Aで覆われ、下面が窒化膜72で覆われた状態となる。
レジスト膜81Aの除去方法としては、特に限定されないが、例えば、硫酸による洗浄、O2アッシング等が挙げられる。
次に、図8(a)に示すように、窒化膜72上にレジスト膜82を形成する。
このレジスト膜82は、ポジ型またはネガ型のレジスト材料で構成されている。
−A8−
次に、レジスト膜82を露光および現像することにより、レジスト膜82の可動板21、支持部22および1対の連結部23、24の形成領域に対応した部分が残存するように、レジスト膜82の一部を除去する。これにより、図8(b)に示すように、開口821を有するレジスト膜82Aを得る。なお、図8(b)では図示しないが、レジスト膜82Aには、1対の梁部材231、232の下端同士の間の隙間に対応して形成された開口も形成されている。
次に、レジスト膜82Aをマスクとして用いて、窒化膜72の一部をエッチングにより除去する。これにより、図8(c)に示すように、開口721を有する窒化膜72Aを得る。なお、図8(c)では図示しないが、窒化膜72Aには、1対の梁部材231、232の下端同士の間の隙間に対応して形成された開口も形成されている。
上記エッチング(開口721の形成方法)としては、特に限定されないが、例えば、リアクティブイオンエッチング(RIE)、CF4を用いたドライエッチング等が挙げられる。
次に、レジスト膜82Aを除去する。これにより、図8(d)に示すように、シリコン基板102は、その上面が窒化膜71Aで覆われ、下面が窒化膜72Aで覆われた状態となる。
レジスト膜82Aの除去方法としては、特に限定されないが、例えば、硫酸による洗浄、O2アッシング等が挙げられる。
次に、窒化膜71A、72Aをマスクとして用いて、シリコン基板102を異方性エッチングする。これにより、図8(e)に示すように、基体2を得る。すなわち、本工程の異方性エッチングでは、第1のマスクである窒化膜72Aと第2のマスクである窒化膜71Aとを介してシリコン基板102をその両面側から異方性エッチングすることにより、可動板21、支持部22および1対の連結部23、24を形成する。
上記異方性エッチング(基体2の形成方法)は、特に限定されないが、例えば、KOH水溶液等を用いたウェットエッチングにより行うことができる。
次に、窒化膜71A、72Aを除去する。これにより、図8(f)に示すように、基体2の上面および下面が露出した状態となる。
窒化膜71A、72Aの除去方法としては、特に限定されないが、例えば、リアクティブイオンエッチング(RIE)、CF4を用いたドライエッチング、熱りん酸によるウェットプロセス等が挙げられる。
また、必要に応じて、基体2の角部を丸める処理を行う。
次に、図8(g)に示すように、可動板21の下面に、接着剤を介して永久磁石41(磁石411、412)を固定する。なお、可動板21の下面に、接着剤を介して硬磁性体を固定し、その後、この硬磁性体を着磁することにより、永久磁石41としてもよい。
また、図示しないが、支持体3上にコイル42を設け、支持体3と基体2とを接合する。
以上の工程により、光スキャナー1が得られる。
また、このような平面視形状をなす可動板21は、シリコン基板を異方性エッチングすることにより簡単かつ高精度に形成することができる。
また、可動板21の突出部213、214が永久磁石41により補強されるため、この点でも、可動板21の動たわみを抑えることができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図9は、本発明の第2実施形態に係る光スキャナー(アクチュエーター)の可動板および磁石を説明するための裏面図である。
以下、第2実施形態の光スキャナーについて、前述した実施形態の光スキャナーとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態の光スキャナー1Aは、図9に示すように、可動板21の板面に固着された永久磁石41A(磁界発生部)を有する。
本実施形態では、可動板21の板厚方向からの平面視における軸線Xに対して平行な方向の各磁石411A、412Aの長さ(図9に示すD1)は、可動板21の板厚方向からの平面視における軸線Xに対して平行な方向の各突出部213、214の長さ(図9に示すb)よりも長い。これにより、可動板21の連結部23、24側の部分の動たわみだけでなく、可動板21の中央部側の部分の動たわみを効果的に抑制することができる。その結果、可動板21の揺動に伴う可動板21全体の動たわみを抑制することができる。
以上説明したような第2実施形態の光スキャナー1Aによっても、光反射領域を確保しながら可動板21の揺動時の慣性モーメントを低減するとともに、可動板21の寸法精度を簡単に優れたものとすることができる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図10は、本発明の第3実施形態に係る光スキャナー(アクチュエーター)の可動板および磁石を説明するための裏面図である。
以下、第3実施形態の光スキャナーについて、前述した実施形態の光スキャナーとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態の光スキャナー1Bは、図10に示すように、可動板21の板面に固着された永久磁石41B(磁界発生部)を有する。
特に、永久磁石41Bは、可動板21の本体部212にも固着されている。これにより、可動板21の連結部23、24側の部分の動たわみだけでなく、可動板21の中央部側の部分の動たわみを効果的に抑制することができる。その結果、可動板21の揺動に伴う可動板21全体の動たわみを抑制することができる。
本実施形態では、永久磁石41Bは、可動板21の板厚方向からの平面視にて、軸線Xに平行な1対の辺と、軸線Xに直交する1対の辺とを含む四角形をなしている。そして、永久磁石41Bは、各突出部215、216には固着されずに、可動板21の板面における本体部212および各突出部213、214の全域に固着されている。
以上説明したような第3実施形態の光スキャナー1Bによっても、光反射領域を確保しながら可動板21の揺動時の慣性モーメントを低減するとともに、可動板21の寸法精度を簡単に優れたものとすることができる。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図11は、本発明の第4実施形態に係る光スキャナー(アクチュエーター)の可動板および磁石を説明するための裏面図である。
以下、第4実施形態の光スキャナーについて、前述した実施形態の光スキャナーとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態の光スキャナー1Cは、図11に示すように、可動板21の板面に固着された永久磁石41C(磁界発生部)を有する。
本実施形態では、可動板21の板厚方向からの平面視における軸線Xに対して平行な方向の各磁石411C、412Cの長さ(図11に示すD1)は、可動板21の板厚方向からの平面視における軸線Xに対して平行な方向の各突出部213、214の長さ(図11に示すb)より短いが、磁石411Cは、突出部213の連結部23に接続される縁部に固着され、同様に、磁石412Cは、突出部214の連結部24に接続される縁部に固着されている。
以上説明したような第4実施形態の光スキャナー1Cによっても、光反射領域を確保しながら可動板21の揺動時の慣性モーメントを低減するとともに、可動板21の寸法精度を簡単に優れたものとすることができる。
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
図12は、本発明の第5実施形態に係る光スキャナー(アクチュエーター)の可動板および磁石を説明するための裏面図である。
以下、第5実施形態の光スキャナーについて、前述した実施形態の光スキャナーとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態の光スキャナー1Dは、図12に示すように、可動板21の板面に固着された永久磁石41D(磁界発生部)を有する。
本実施形態では、磁石411Dは、突出部213の連結部23と接続する縁部を除いて可動板21に固着され、同様に、磁石411Dは、突出部213の連結部23と接続する縁部を除いて可動板21に固着されている。
以上説明したような第5実施形態の光スキャナー1Dによっても、光反射領域を確保しながら可動板21の揺動時の慣性モーメントを低減するとともに、可動板21の寸法精度を簡単に優れたものとすることができる。
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
図13は、本発明の第6実施形態に係る光スキャナー(アクチュエーター)の可動板および磁石を説明するための裏面図である。
以下、第6実施形態の光スキャナーについて、前述した実施形態の光スキャナーとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態の光スキャナー1Eは、図13に示すように、可動板21の板面に固着された永久磁石41E(磁界発生部)を有する。
本実施形態では、永久磁石41Eは、その中央部に厚さ方向に貫通する貫通孔413が形成されている。これにより、永久磁石41E全体の質量を抑えつつ、永久磁石41Eの剛性を高めることができる。
以上説明したような第6実施形態の光スキャナー1Eによっても、光反射領域を確保しながら可動板21の揺動時の慣性モーメントを低減するとともに、可動板21の寸法精度を簡単に優れたものとすることができる。
次に、本発明の第7実施形態について説明する。
図14は、本発明の第7実施形態に係る光スキャナー(アクチュエーター)の可動板および磁石を説明するための裏面図である。
以下、第7実施形態の光スキャナーについて、前述した実施形態の光スキャナーとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態の光スキャナー1Fは、図14に示すように、可動板21の板面に固着された永久磁石41F(磁界発生部)を有する。
本実施形態では、永久磁石41Fは、可動板21の板厚方向からの平面視にて、軸線Xに平行な方向の途中に、軸線Xに対して垂直な方向の幅が他の部分(軸線Xに平行な方向での端部)よりも狭い部分414を有する。これにより、永久磁石41E全体の質量および揺動時の可動板21の慣性モーメントを抑えつつ、永久磁石41Eの剛性を高めることができる。
以上説明したような光スキャナーは、例えば、プロジェクター、レーザープリンター、イメージング用ディスプレイ、バーコードリーダー、走査型共焦点顕微鏡などの画像形成装置に好適に適用することができる。その結果、優れた描画特性を有する画像形成装置を提供することができる。
ここで、本発明の画像形成装置の実施形態を説明する。
(プロジェクター)
図15は、本発明の画像形成装置の実施形態(プロジェクター)を示す概略図である。なお、以下では、説明の便宜上、スクリーンSCの長手方向を「横方向」といい、長手方向に直角な方向を「縦方向」という。
光源装置91は、赤色光を照出する赤色光源装置911と、青色光を照出する青色光源装置912と、緑色光を照出する緑色光源装置913とを備えている。
このようなプロジェクター9は、赤色光源装置911、青色光源装置912、緑色光源装置913のそれぞれから、図示しないホストコンピューターからの画像情報に基づいて照出された光をクロスダイクロイックプリズム92で合成し、この合成された光が、光スキャナー93、94によって走査され、さらに固定ミラー95によって反射され、スクリーンSC上でカラー画像を形成するように構成されている。
まず、クロスダイクロイックプリズム92で合成された光は、光スキャナー93によって横方向に走査される(主走査)。そして、この横方向に走査された光は、光スキャナー94によってさらに縦方向に走査される(副走査)。これにより、2次元カラー画像をスクリーンSC上に形成することができる。このような光スキャナー93、94として本発明の光スキャナーを用いることで、極めて優れた描画特性を発揮することができる。
このように構成されたプロジェクター9によれば、前述した光スキャナー1と同様の構成の光スキャナー93、94を備えるので、安価に、高品位な画像を得ることができる。
図16は、本発明の画像形成装置の実施形態(ヘッドアップディスプレイ)を示す概略図である。なお、以下では、前述したプロジェクター9と同様の構成については、その説明を省略する。
図16に示すヘッドアップディスプレイ9Aは、自動車、飛行機等の移動体において、各種情報をフロントウインドウSC1に投影する装置である。
ここで、固定ミラー95Aは、凹面ミラーであり、光スキャナー94からの光をフロントウインドウSC1に投影する。すると、移動体の操縦者は、フロントウインドウSC1に対して前方に位置する仮想面SC2に虚像として表示像を視認することができる。
また、前述した実施形態では、本発明のアクチュエーターを光スキャナーに適用した場合を例に説明したが、本発明のアクチュエーターは、これに限定されず、例えば、光スイッチ、光アッテネータ等の他の光学デバイスに適用することも可能である。
例えば、各連結部が1つの梁部材で構成される場合であっても、その梁部材の横断面が台形状をなすものとすると、前述した実施形態と同様、(100)シリコン基板をエッチングすることにより、高精度に連結部を形成することができる。
また、前述した実施形態では可動部の板厚方向からの平面視における形状は、可動部の各第2突出部に磁石が固着していれば、前述した実施形態に限定されず、例えば、円形、楕円形、五角形以上の多角形であってもよい。また、磁石は、可動部の各第2突出部に磁石が固着していれば、磁石の可動部側の面の一部が可動部に固着していなくてもよい。
また、前述した実施形態では可動部に固着された磁石の数が1つまたは2つである場合を説明したが、可動部に固着された磁石の数は、これに限定されず、3つ以上であってもよい。
Claims (12)
- 光反射性を有する光反射部を備え、かつ、揺動軸まわりに揺動可能な板状の可動部と、
前記可動部から延出し、かつ前記可動部の揺動に伴って捩り変形する連結部と、
前記連結部を支持する支持部と、
前記可動部の板面に固着された磁石を含む磁界発生部と、
前記磁石に作用する磁界を発生させて前記可動部を揺動させるコイルとを有し、
前記可動部および前記光反射部は、それぞれ、前記可動部の板厚方向からの平面視にて、前記揺動軸に対して垂直な方向で両側へ突出する1対の第1突出部と、前記揺動軸に対して平行な方向で両側に突出する1対の第2突出部とを有する十字状をなし、
前記磁界発生部は、前記第2突出部の前記光反射部を備える面と反対の面に固着された磁石を含み、
前記平面視における前記回動中心軸に垂直な方向の前記可動部の長さをAとし、前記平面視における前記回動中心軸に平行な方向の前記可動部の長さをBとし、前記平面視における前記回動中心軸に垂直な方向の前記第1突出部の長さをaとし、前記平面視における前記回動中心軸に平行な方向の前記第2突出部の長さをbとしたときに、
0.8×(1−1/√2)A≦a≦2.0×(1−1/√2)A、かつ、
0.8×(1−1/√2)B≦b≦2.0×(1−1/√2)B
をそれぞれ満たすことを特徴とするアクチュエーター。 - 前記磁界発生部は、2つの磁石を含み、前記2つの磁石は、一方の磁石が前記1対の第2突出部のうちの一方の第2突出部に固着され、他方の磁石が前記1対の第2突出部のうちの他方の第2突出部に固着されている請求項1に記載のアクチュエーター。
- 前記板厚方向からの平面視における前記揺動軸に対して平行な方向の前記各磁石の長さは、前記板厚方向からの平面視における前記揺動軸に対して平行な方向の前記各第2突出部の長さと等しいかそれよりも長い請求項2に記載のアクチュエーター。
- 前記磁界発生部は、前記1対の第2突出部のうちの一方の第2突出部に固着されるとともに、前記1対の第2突出部のうちの他方の第2突出部に固着された磁石を含む請求項1に記載のアクチュエーター。
- 前記板厚方向からの平面視における前記揺動軸に対して平行な方向の前記磁石の長さは、前記板厚方向からの平面視における前記揺動軸に対して平行な方向の前記可動部の長さに等しい請求項4に記載のアクチュエーター。
- 前記磁石は、前記第2突出部の前記連結部に接続される縁部に固着されている請求項1ないし5のいずれかに記載のアクチュエーター。
- 前記磁石は、前記可動部の前記板面における前記第2突出部の全域に固着されている請求項6に記載のアクチュエーター。
- 前記板厚方向からの平面視における前記揺動軸に対して垂直な方向の前記可動部の長さをAとし、前記板厚方向からの平面視における前記揺動軸に対して垂直な方向の前記各第1突出部の長さをaとし、前記板厚方向からの平面視における前記揺動軸に対して垂直な方向の前記磁石の長さをCとしたときに、C≧(A−2a)/2なる関係を満たす請求項1ないし7のいずれかに記載のアクチュエーター。
- C≦A−2aなる関係を満たす請求項8に記載のアクチュエーター。
- 前記可動部の前記板厚方向からの平面視における外形は、主として、前記揺動軸に平行な線分と、前記揺動軸に対して垂直な線分とで構成されている請求項1ないし9のいずれかに記載のアクチュエーター。
- 光反射性を有する光反射部を備え、かつ揺動軸まわりに揺動可能な板状の可動部と、
前記可動部から延出し、かつ前記可動部の揺動に伴って捩り変形する連結部と、
前記連結部を支持する支持部と、
前記可動部の板面に固着された磁石を含む磁界発生部と、
前記磁石に作用する磁界を発生させて前記可動部を揺動させるコイルとを有し、
前記可動部および前記光反射部は、それぞれ、前記可動部の板厚方向からの平面視にて、前記揺動軸に対して垂直な方向で両側へ突出する1対の第1突出部と、前記揺動軸に対して平行な方向で両側に突出する1対の第2突出部とを有する十字状をなし、
前記磁界発生部は、前記第2突出部の前記光反射部を備える面と反対の面に固着された磁石を含み、
前記平面視における前記回動中心軸に垂直な方向の前記可動部の長さをAとし、前記平面視における前記回動中心軸に平行な方向の前記可動部の長さをBとし、前記平面視における前記回動中心軸に垂直な方向の前記第1突出部の長さをaとし、前記平面視における前記回動中心軸に平行な方向の前記第2突出部の長さをbとしたときに、
0.8×(1−1/√2)A≦a≦2.0×(1−1/√2)A、かつ、
0.8×(1−1/√2)B≦b≦2.0×(1−1/√2)B
をそれぞれ満たすことを特徴とする光スキャナー。 - 光を出射する光源と、
前記光源からの光を走査する光スキャナーと、を備え、
前記光スキャナーは、
光反射性を有する光反射部を備え、かつ揺動軸まわりに揺動可能な板状の可動部と、
前記可動部から延出し、かつ前記可動部の揺動に伴って捩り変形する連結部と、
前記連結部を支持する支持部と、
前記可動部の板面に固着された磁石を含む磁界発生部と、
前記磁石に作用する磁界を発生させて前記可動部を揺動させるコイルとを有し、
前記可動部および前記光反射部は、それぞれ、前記可動部の板厚方向からの平面視にて、前記揺動軸に対して垂直な方向で両側へ突出する1対の第1突出部と、前記揺動軸に対して平行な方向で両側に突出する1対の第2突出部とを有する十字状をなし、
前記磁界発生部は、前記第2突出部の前記光反射部を備える面と反対の面に固着された磁石を含み、
前記平面視における前記回動中心軸に垂直な方向の前記可動部の長さをAとし、前記平面視における前記回動中心軸に平行な方向の前記可動部の長さをBとし、前記平面視における前記回動中心軸に垂直な方向の前記第1突出部の長さをaとし、前記平面視における前記回動中心軸に平行な方向の前記第2突出部の長さをbとしたときに、
0.8×(1−1/√2)A≦a≦2.0×(1−1/√2)A、かつ、
0.8×(1−1/√2)B≦b≦2.0×(1−1/√2)B
をそれぞれ満たすことを特徴とする画像形成装置。
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