JP2011174734A - 検体反応装置及びバイオチップ - Google Patents
検体反応装置及びバイオチップ Download PDFInfo
- Publication number
- JP2011174734A JP2011174734A JP2010037308A JP2010037308A JP2011174734A JP 2011174734 A JP2011174734 A JP 2011174734A JP 2010037308 A JP2010037308 A JP 2010037308A JP 2010037308 A JP2010037308 A JP 2010037308A JP 2011174734 A JP2011174734 A JP 2011174734A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- chamber
- biochip
- cavity
- rotation axis
- oil
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Automatic Analysis And Handling Materials Therefor (AREA)
Abstract
【課題】バイオチップ内に気泡が存在する場合でも安定したサーマルサイクルを施すことができる検体反応装置及びバイオチップを提供すること。
【解決手段】第1チャンバー50を有するバイオチップ1(2,3,3a)を装着可能に構成された装着部10と、装着部10にバイオチップ1(2,3,3a)を装着した場合に、非水平かつ非重力方向の直線を回転軸としてバイオチップ1(2,3,3a)を回転させる回転部20と、装着部10にバイオチップ1(2,3,3a)を装着した場合に、回転軸に対して温度分布が軸対称になるように第1チャンバー50の少なくとも一部を加熱する加熱部30と、を含む。
【選択図】図1
【解決手段】第1チャンバー50を有するバイオチップ1(2,3,3a)を装着可能に構成された装着部10と、装着部10にバイオチップ1(2,3,3a)を装着した場合に、非水平かつ非重力方向の直線を回転軸としてバイオチップ1(2,3,3a)を回転させる回転部20と、装着部10にバイオチップ1(2,3,3a)を装着した場合に、回転軸に対して温度分布が軸対称になるように第1チャンバー50の少なくとも一部を加熱する加熱部30と、を含む。
【選択図】図1
Description
本発明は、検体反応装置及びバイオチップに関する。
近年、様々な疾患に関与する遺伝子の存在が明らかになり、遺伝子診断や遺伝子治療など遺伝子を利用した医療が注目されている他、農畜産分野においても品種判別や品種改良に遺伝子を用いた手法が多く開発されてきており、遺伝子の利用技術が拡大している。遺伝子を利用するために核酸増幅技術が広く普及している。この技術としては一般的にPCR(Polymerase Chaine Reaction)などが知られており、今日では、PCRは、生体物質の情報解明において必要不可欠な技術となっている。
PCRによる検査では、チューブやチップ(バイオチップ)と称する検体反応用容器を用いて反応を行う手法が一般的である。しかしながら従来の手法においては、必要な試薬等の量が多く、また必要な熱サイクルを実現するために装置が複雑化したり、反応に時間がかかったりするという問題があった。そのため微少量の試薬や検体を用いてPCRを精度よく短時間で行うためのバイオチップや反応装置が必要とされていた。
このような問題を解決するために、特許文献1には、反応液と混和せず反応液よりも比重の軽い液体(ミネラルオイル等)を充填したチューブの中で、液滴の状態で含まれる反応液を往復移動させることによってサーマルサイクルをかけて反応を行うバイオチップ及び装置が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示されたバイオチップは、オイル及び反応液を充填する操作をおこなう際に、気泡も一緒に充填されてしまう場合があった。また、気泡を混入させずに充填することができても、充填された反応液やオイルに含まれる溶存気体などが原因となり、容器内に気泡を生じてしまう場合があった。
バイオチップ中で反応液を重力によって移動させる方式(以下、本明細書において、これを「昇降型」と称する場合がある。)のサーマルサイクラーによって、反応液のサーマルサイクルを行う場合、バイオチップ内に気泡が存在すると、反応液のみならず気泡も重力の作用に基づいてバイオチップ内を移動することになる。そのため、気泡が反応液の液滴の移動を妨げたり、気泡の移動によりバイオチップ内にオイルの不要な流れを生じさせたりして、バイオチップ内の温度制御が乱される場合があった。すなわち、昇降型の装置でサーマルサイクルを行う場合には、気泡がバイオチップ内に存在すると、反応液に所望のサーマルサイクルを施すことができなくなることがあった。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、バイオチップ内に気泡が存在する場合でも安定したサーマルサイクルを施すことができる検体反応装置及びバイオチップを提供することができる。
(1)本発明に係る検体反応装置は、
第1チャンバーを有するバイオチップを装着可能に構成された装着部と、
前記装着部に前記バイオチップを装着した場合に、非水平かつ非重力方向の直線を回転軸として前記バイオチップを回転させる回転部と、
前記装着部に前記バイオチップを装着した場合に、前記回転軸に対して温度分布が軸対称になるように前記第1チャンバーの少なくとも一部を加熱する加熱部と、
を含む。
第1チャンバーを有するバイオチップを装着可能に構成された装着部と、
前記装着部に前記バイオチップを装着した場合に、非水平かつ非重力方向の直線を回転軸として前記バイオチップを回転させる回転部と、
前記装着部に前記バイオチップを装着した場合に、前記回転軸に対して温度分布が軸対称になるように前記第1チャンバーの少なくとも一部を加熱する加熱部と、
を含む。
本発明によれば、非水平かつ非重力方向の直線を回転軸としてバイオチップを回転させることができる。これにより、例えば、バイオチップの第1チャンバー内にオイル及びPCR反応液を充填した場合に、オイルより比重の大きいPCR反応液と容器内に生じた気泡とが異なる経路を通ることになる。したがって、気泡がPCR反応液の移動を妨げにくくなり、安定したサーマルサイクルを施すことができる。
(2)本発明に係るバイオチップは、
この検体反応装置に装着するバイオチップであって、
前記装着部に装着した場合に、前記第1チャンバーの前記回転軸の方向における長さが、2ミリメートル以上4ミリメートル以下である。
この検体反応装置に装着するバイオチップであって、
前記装着部に装着した場合に、前記第1チャンバーの前記回転軸の方向における長さが、2ミリメートル以上4ミリメートル以下である。
本発明によれば、例えば、バイオチップの第1チャンバー内にオイル及びPCR反応液を充填した場合に、オイルより比重の大きいPCR反応液と第1チャンバー内に生じた気泡とが異なる経路を通ることになる。したがって、気泡がPCR反応液の移動を妨げにくくなり、安定したサーマルサイクルを施すことができるバイオチップを実現できる。
(3)本発明に係るバイオチップは、
この検体反応装置に装着するバイオチップであって、
前記第1チャンバーの前記回転軸の方向における長さは、
前記第1チャンバーにオイルと反応液とが充填され、前記装着部に装着して回転させた場合に、
気泡と前記反応液の移動する経路が異なるような長さである。
この検体反応装置に装着するバイオチップであって、
前記第1チャンバーの前記回転軸の方向における長さは、
前記第1チャンバーにオイルと反応液とが充填され、前記装着部に装着して回転させた場合に、
気泡と前記反応液の移動する経路が異なるような長さである。
本発明によれば、例えば、バイオチップの第1チャンバー内にオイル及びPCR反応液を充填した場合に、オイルより比重の大きいPCR反応液と第1チャンバー内に生じた気泡とが異なる経路を通ることになる。したがって、気泡がPCR反応液の移動を妨げにくくなり、安定したサーマルサイクルを施すことができるバイオチップを実現できる。
(4)このバイオチップは、
前記第1チャンバーと、
前記装着部に装着した場合に、前記第1チャンバーの前記回転軸から最遠端側であって重力と逆向き側で前記第1チャンバーと連通する第2チャンバーとを含んでもよい。
前記第1チャンバーと、
前記装着部に装着した場合に、前記第1チャンバーの前記回転軸から最遠端側であって重力と逆向き側で前記第1チャンバーと連通する第2チャンバーとを含んでもよい。
本発明によれば、第1チャンバー内に液体が存在する場合に、第1チャンバー内に生じた気泡を第2チャンバーの内部に回収することができる。これにより、例えば、バイオチップの第1チャンバー内にオイル及びPCR反応液を充填した場合に、気泡がPCR反応液の移動を妨げにくくなるとともに、気泡の移動により生じる第1チャンバー内にオイルの不要な流れを抑制することができる。したがって、安定したサーマルサイクルを施すことができるバイオチップを実現できる。
(5)このバイオチップは、
前記第1チャンバーは、狭窄部を介して前記第2チャンバーに連通していてもよい。
前記第1チャンバーは、狭窄部を介して前記第2チャンバーに連通していてもよい。
これにより、第2チャンバーの内部に回収された気泡が第1チャンバーに戻りにくくなる。
(6)このバイオチップは、
前記第1チャンバーは、前記回転軸と平行な方向において前記第1チャンバー内の経路を周回させるために、前記第1チャンバー内の経路を規定する障壁を有していてもよい。
前記第1チャンバーは、前記回転軸と平行な方向において前記第1チャンバー内の経路を周回させるために、前記第1チャンバー内の経路を規定する障壁を有していてもよい。
本発明によれば、例えば、バイオチップの第1チャンバー内にオイル及びPCR反応液を充填した場合に、オイルより比重の大きいPCR反応液と容器内に生じた気泡とが、障壁を隔てて互いに異なる経路を通ることになる。これにより、気泡がPCR反応液の移動を妨げにくくなるとともに、気泡の移動により生じる第1チャンバー内にオイルの不要な流れを抑制することができる。したがって、安定したサーマルサイクルを施すことができるバイオチップを実現できる。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.検体反応装置
図1は、本実施形態に係る検体反応装置を模式的に表した斜視図である。図1において、直交するx軸とy軸とで構成される平面(以下において、「xy平面」と呼ぶことがある。)を水平な平面とし、x軸及びy軸と直交するz軸を重力と逆向きとしている。
図1は、本実施形態に係る検体反応装置を模式的に表した斜視図である。図1において、直交するx軸とy軸とで構成される平面(以下において、「xy平面」と呼ぶことがある。)を水平な平面とし、x軸及びy軸と直交するz軸を重力と逆向きとしている。
また、図2は、本実施形態に係る検体反応装置の要部を模式的に表した分解斜視図、図3は、本実施形態に係る検体反応装置の要部を模式的に表した斜視図である。
本実施形態に係る検体反応装置100は、第1チャンバー50を有するバイオチップ1(2,3,3a)を装着可能に構成された装着部10と、装着部10にバイオチップ1(2,3,3a)を装着した場合に、非水平かつ非重力方向の直線を回転軸Rとしてバイオチップ1(2,3,3a)を回転させる回転部20と、装着部10にバイオチップ1(2,3,3a)を装着した場合に、回転軸Rに対して温度分布が軸対称になるように第1チャンバー50の少なくとも一部を加熱する加熱部30と、を含む。
バイオチップ1(2,3,3a)は、第1チャンバー50を有する。第1チャンバー50には、オイル等の液体を充填することができる空洞が設けられている。第1チャンバー50は、バイオチップ1(2,3,3a)の本体そのものであってもよい。第1チャンバー50を形成するバイオチップ1(2,3,3a)の部位には、第1チャンバー50に液体を注入できるような機構が備えられていてもよい。このような機構としては、例えば、第1チャンバー50の空洞と外部とを連絡する孔およびこれを塞ぐ部材で構成されることができる。
第1チャンバー50の機能の一つとしては、液体が充填されたときに、当該液体を用いて所望の反応を行わせる反応室となることが挙げられる。例えば、第1チャンバー50は、オイルとPCR反応液とが充填された場合には、PCR反応液を反応させる反応室となることができる。
なお、バイオチップ1(2,3,3a)の構成の詳細については後述する。
装着部10は、バイオチップ1(2,3,3a)を装着可能に構成されている。図1及び図3に示す例では、装着部10は、バイオチップ1(2,3,3a)を挿入するための挿入孔として構成されている。図1ないし図3に示す例では、装着部10は、回転部20の円筒形状の外周面に複数形成されている。なお装着部10が形成される数は限定されない。
回転部20は、装着部10にバイオチップ1(2,3,3a)を装着した場合に、非水平かつ非重力方向の直線を回転軸Rとしてバイオチップ1(2,3,3a)を回転させる。図1に示す例では、回転部20は、xy平面と平行とならず、z軸とも平行とはならない仮想直線を回転軸Rとして、所望の回転方向にバイオチップ1(2,3,3a)を回転させる。回転軸Rとxy平面とのなす角は、例えば、45°±15°程度としてもよい。回転軸Rとxy平面とのなす角の大きさがこのような値であれば、例えば、バイオチップ1(2,3,3a)の第1チャンバー50内にオイル及びPCR反応液を充填した場合に、オイルより比重の大きいPCR反応液と第1チャンバー50内に生じた気泡とが異なる経路を通ることになり、かつPCR反応液の移動がスムーズに行われるので、PCR反応がより確実に行える。回転部20は、例えば、図1に示すモーター22により回転されるように構成されていてもよい。
図2に示す例では、回転部20は、回転軸Rを中心とする円筒状の形状に、装着部10となる凹部を備えた形状である。また、回転部20は、図1に示すモーター22によって、回転部20が回転軸Rの周りを回転する構造を有している。
加熱部30は、装着部10にバイオチップ1(2,3,3a)を装着した場合に、回転軸Rに対して温度分布が軸対称になるように第1チャンバー50の少なくとも一部を加熱する。加熱部30は、複数のヒーターを含んで構成されてもよい。図2に示す例では、加熱部30は、中心軸R付近に高温ヒーター31、円筒状の周辺部に低温ヒーター32を有している。ヒーター(図2に示す例では、高温ヒーター31及び低温ヒーター32)は、適宜円環状に形成されることができる。これにより、回転軸の近傍から外側へ向かうにつれて温度が低くなる温度勾配が形成される。すなわち、図2に示す例では、加熱部30は、装着部10にバイオチップ1(2,3,3a)を装着した場合に、回転軸に対して温度分布が軸対称になるように第1チャンバー50の少なくとも一部を加熱する構成となっている。
ヒーターの設けられる数は、特に限定されない。例えば、ヒーターの数に応じて2水準の温度でのサーマルサイクルや、3水準の温度でのサーマルサイクルを実現することができる。また、各ヒーターに設定される温度についても適宜設定されることができる。
加熱部30は、図1に示す加熱制御部220によって制御されるように構成されていてもよい。例えば、検体反応装置200をリアルタイムPCRに用いる場合には、高温ヒーター31の温度を95℃、低温ヒーター32の温度を60℃となるように制御してもよい。また、図2に示すように、加熱部30は、高温ヒーター31と低温ヒーター32との間に断熱材310を、低温ヒーター32の外周部に断熱材320を有していてもよい。さらに、図2及び図3に示す検体反応装置100の要部の構成(回転部20及び加熱部30の積層構造)を挟むように断熱材が設けられていてもよい。
第1チャンバー50にオイルとPCR反応液が供給されたバイオチップ1(2,3,3a)を装着部10に装着した場合、回転部20がxy平面に対して所定の角度を有しているため、オイルとPCR反応液との比重差により、オイルよりも重いPCR反応液は重力方向における第1チャンバー50内の最下点近傍に移動する。バイオチップ1(2,3,3a)の第1チャンバー50は、加熱部30により、温度分布が軸対称になるように加熱されているので、回転により重力方向における第1チャンバー50内の最下点と回転軸との距離が変化すると異なる温度の領域が最下点となる。したがって、回転部20と加熱部30を適宜制御することにより、PCR反応液を、バイオチップ1(2,3,3a)の第1チャンバー50内の温度の異なる領域間で移動させることができるので、所望のサーマルサイクル中にPCR反応液をおくことができる。
一方、第1チャンバー50内に気泡が生じた場合には、オイルと気泡との比重差により、オイルよりも軽い気泡は重力方向における第1チャンバー50内の最上点近傍に移動する。
本実施形態に係る検体反応装置100によれば、非水平かつ非重力方向の直線を回転軸としてバイオチップを回転させることができる。これにより、例えば、バイオチップの第1チャンバー50内にオイル及びPCR反応液を充填した場合に、オイルより比重の大きいPCR反応液と容器内に生じた気泡とが異なる経路を通ることになる。したがって、気泡がPCR反応液の移動を妨げにくくなり、安定したサーマルサイクルを施すことができる。
2.第1実施形態に係るバイオチップ
図4(A)は、第1実施形態に係るバイオチップの上面図、図4(B)は、第1実施形態に係るバイオチップの左側面図、図4(C)は、図4(A)のA−Aにおける断面図である。
図4(A)は、第1実施形態に係るバイオチップの上面図、図4(B)は、第1実施形態に係るバイオチップの左側面図、図4(C)は、図4(A)のA−Aにおける断面図である。
第1実施形態に係るバイオチップ1は、第1チャンバー50を有する。第1チャンバー50は、内部に空洞500が形成された容器である。第1チャンバー50は、バイオチップ1(2,3,3a)の本体そのものであってもよい。
バイオチップ1は、検体反応装置100に用いるバイオチップであって、検体反応装置100の装着部10に装着できる外形形状を有する。したがって、バイオチップ1の外形形状は、装着部10の形状に従って任意の形状を有することができる。バイオチップ1の大きさは、特に限定されないが、充填されるオイル等の液体の量、熱伝導率、内部に形成される第1チャンバー50の空洞500の形状、および取り扱いの容易さの少なくとも1種を考慮して選択される。
バイオチップ1の材質としては、特に限定されず、無機材料(例えば単結晶シリコン、パイレックスガラス(パイレックスは登録商標))、および有機材料(例えばポリカーボネート、ポリプロピレン等の樹脂)を挙げることができ、これらの複合材料であってもよい。バイオチップ1を、PCRの反応容器(反応チップ)として使用する場合など、蛍光測定を伴う用途に使用する場合には、バイオチップ1は、自発蛍光の小さい材質で形成されることが望ましい。このような自発蛍光の小さい材質としては、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン等が挙げられる。なお、バイオチップ1をPCRの反応容器として用いる場合、バイオチップ1はPCRにおける加熱に耐えられる材質であることが好ましい。
さらに、バイオチップ1の材質には、カーボンブラック、グラファイト、チタンブラック、アニリンブラック、若しくは、Ru、Mn、Ni、Cr、Fe、CoまたはCuの酸化物、Si、Ti、Ta、ZrまたはCrの炭化物などの黒色物質等を配合することができる。バイオチップ1の材質に、このような黒色物質が配合されることにより、樹脂等の有する自発蛍光をさらに抑制することができる。また、バイオチップ1の外部から、内部の第1チャンバー50内を観察するような用途(例えば、リアルタイムPCRなど)にバイオチップ1を用いる場合には、必要に応じて、バイオチップ1の材質を透明なものとすることができる。またなお、バイオチップ1をPCRの反応チップとして使用する場合には、バイオチップ1の材質は、核酸やタンパク質の吸着が少なく、ポリメラーゼ等の酵素反応を阻害しない材質であることが好ましい。
第1チャンバー50の空洞500は、検体反応装置100の装着部10に装着した場合に、第1チャンバー50の空洞500の回転軸の方向における長さHは、2ミリメートル以上4ミリメートル以下となっている。
また、第1チャンバー50の空洞500の回転軸Rの方向における長さHは、第1チャンバー50の空洞500にオイルと反応液とが充填され、検体反応装置100の装着部10に装着して回転させた場合に、気泡と反応液の移動する経路が異なるような長さとなっている。
図4(A)及び図4(B)に示す例では、第1チャンバー50の空洞500の側断面形状は、検体反応装置100の装着部10にバイオチップ1を装着した場合に、第1チャンバー50の空洞500の回転軸Rの方向における長さHが、図4(B)における幅Wよりも長い長方形となっている。幅Wは、オイル中に存在する反応液の液滴の直径より大きく、オイルに対流が起きない程度の大きさとすることで、より好適に反応を行うことができる。図4(B)及び図4(C)に示す例では、重力方向を下(図の上下と対応する)として、第1チャンバー50の空洞500の図における下側の面を下面510、上側の面を上面520としている。なお、第1チャンバー50の空洞500の側断面形状は、長方形には限られない。
第1チャンバー50の空洞500の形状は、例えば、図4(A)ないし図4(C)に示すような細長い形状とすることができる。第1チャンバー50の空洞500が、細長い形状であると、例えば、第1チャンバー50の空洞500内に温度の異なる領域が設けられるようにバイオチップ1を温度制御する際に、異なる温度となる領域の間の距離を離間させやすくなる。また、第1チャンバー50の空洞500が細長い形状を有すると、容器の体積に対して、容器の表面積の割合が大きくなるので、例えば、第1チャンバー50の空洞500内にオイル等の液体が充填された場合に、熱の伝導の効率がよくなり、液体の温度調節を容易化することができる。バイオチップ1を、第1チャンバー50の空洞500の長手の方向が検体反応装置100の回転軸Rからの放射方向と一致するように装着部10に装着した場合に、第1チャンバー50の空洞500に、異なる温度の領域を設けることが容易となる。バイオチップ1において、第1チャンバー50の空洞500が設けられる位置は、特に限定されない。
第1チャンバー50の空洞500には、オイル等の液体を充填することができる。第1チャンバー50の空洞500を形成するバイオチップ1の部位には、第1チャンバー50の空洞500に液体を注入できるような機構が備えられていてもよい。このような機構としては、例えば、第1チャンバー50の空洞500と外部とを連絡する孔およびこれを塞ぐ部材で構成されることができる。
第1チャンバー50の機能の一つとしては、第1チャンバー50の空洞500に液体が充填されたときに、当該液体を用いて所望の反応を行わせる反応室となることが挙げられる。例えば、第1チャンバー50は、第1チャンバー50の空洞500にオイルとPCR反応液とが充填された場合には、PCR反応液を反応させる反応室となることができる。そして特に第1チャンバー50の空洞500が細長い場合には、第1チャンバー50の空洞500の中でPCR反応液を移動させることにより、PCR反応液にサーマルサイクルを施すことが容易となる。
図5は、第1実施形態に係るバイオチップ1を検体反応装置100の装着部10に装着した場合に、バイオチップ1が回転する様子を模式的に表す断面図である。図5は、図1におけるy軸方向から見た断面図である。以下の説明における上下は、図5における上下方向と一致するものとする。
以下では、バイオチップ1の第1チャンバー50の空洞500にオイルおよびPCR反応液wが充填され、第1チャンバー50の空洞500内に気泡vが存在する場合について述べる。オイルの種類としては、PCR反応液wよりも比重が小さく、PCR反応液wと相溶しないものが用いられる。PCR反応液wは、例えば、標的核酸(増幅させたい核酸)、標的核酸を増幅するためのプライマー(核酸)、核酸増幅反応を行う酵素、増幅産物量を測定するための蛍光試薬(例えばSYBR GREEN(商標))、および、必要な場合には他の核酸などを含む液体である。そして、バイオチップ1の第1チャンバー50の空洞500内では、オイル中にPCR反応液wが液滴となる形態で液液相分離し、さらに、液体(オイルおよびPCR反応液w)と、気泡vとが気液相分離しているものとする。また、図5に示す例では、PCR反応液w及び気泡vは、直径1mmから1.5mm以下程度の略球形状でオイル中に存在しているものとする。
また、バイオチップ1の状態について、第1チャンバー50の空洞500の回転軸Rに近い側が下となっている状態を状態A、第1チャンバー50の空洞500の回転軸Rに近い側が上となっている状態を状態Bと呼ぶ。
まず、バイオチップ1が状態Aにある場合について説明する。状態Aにおいて、オイルよりも比重の大きいPCR反応液wは、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rに近い側の下面510側に存在する。一方、オイルよりも比重の小さい気泡vは、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rから遠い側の上面520側に存在する。
検体反応装置100の回転部20が回転して、バイオチップ1が状態Aから状態Bに遷移すると、オイルよりも比重の大きいPCR反応液wは、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rに近い側の下面510側から、第1チャンバー50の空洞500内のうち下面510側を移動して、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rから遠い側の下面510側へと達する。一方、オイルよりも比重の小さい気泡vは、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rから遠い側の上面520側から、第1チャンバー50の空洞500内のうち上面520側を移動して、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rに近い側の上面520側へと達する。
検体反応装置100の回転部20がさらに回転して、バイオチップ1が状態Bから状態Aに遷移すると、オイルよりも比重の大きいPCR反応液wは、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rから遠い側の下面510側から、第1チャンバー50の空洞500内のうち下面510側を移動して、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rに近い側の下面510側へと達する。一方、オイルよりも比重の小さい気泡vは、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rに近い側の上面520側から、第1チャンバー50の空洞500内のうち上面520側を移動して、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rから遠い側の上面520側へと達する。
すなわち、オイルよりも比重の大きいPCR反応液wは、第1チャンバー50の空洞500内のうち下面510側を移動し、オイルよりも比重の小さい気泡vは、第1チャンバー50の空洞500内のうち上面520側を移動することになる。
このように、第1実施形態に係るバイオチップ1によれば、第1チャンバー50の空洞500の回転軸の方向における長さHが、2ミリメートル以上4ミリメートル以下であるため、PCR反応液wと気泡vとの衝突を抑制することができる。
また、第1実施形態に係るバイオチップ1によれば、第1チャンバー50の空洞500の回転軸Rの方向における長さHが、第1チャンバー50の空洞500にオイルとPCR反応液wとが充填され、バイオチップ1を検体反応装置100の装着部10に装着して回転させた場合に、気泡とPCR反応液wの移動する経路が異なるような長さであるため、PCR反応液wと気泡vとの衝突を抑制することができる。
したがって、気泡がPCR反応液の移動を妨げにくくなり、安定したサーマルサイクルを施すことができるバイオチップを実現できる。
3.第2実施形態に係るバイオチップ
図6(A)は、第2実施形態に係るバイオチップの上面図、図6(B)は、第2実施形態に係るバイオチップの左側面図、図6(C)は、図6(A)のA−Aにおける断面図である。図4(A)ないし図4(C)及び図5を用いて説明した第1実施形態に係るバイオチップ1と同一の構成には同一の符号を付し、以下では主に第1実施形態に係るバイオチップ1との相違点を中心として説明する。
図6(A)は、第2実施形態に係るバイオチップの上面図、図6(B)は、第2実施形態に係るバイオチップの左側面図、図6(C)は、図6(A)のA−Aにおける断面図である。図4(A)ないし図4(C)及び図5を用いて説明した第1実施形態に係るバイオチップ1と同一の構成には同一の符号を付し、以下では主に第1実施形態に係るバイオチップ1との相違点を中心として説明する。
第2実施形態に係るバイオチップ2は、第1チャンバー50と、第2チャンバー60とを有する。第2チャンバー60は、内部に空洞600が形成された容器である。第1チャンバー50と第2チャンバー60とは、ともにバイオチップ2の本体そのものであってもよい。
図6(A)ないし図6(C)に示すように、第2チャンバー60の空洞600は、検体反応装置100の装着部10に装着した場合に、第1チャンバー50の空洞500の回転軸Rから最遠端側であって重力と逆向き側で第1チャンバー50の空洞500と連通している。
第2チャンバー60の空洞600は、第1チャンバー50の空洞500に隣り合って設けられる。第2チャンバー60の空洞600の形状は、特に限定されず、例えば、直方体状、球状、円柱状などとすることができる。
また、図6(A)ないし図6(C)に示すように、第1チャンバー50の空洞500は、狭窄部610を介して第2チャンバー60の空洞600に連通していてもよい。狭窄部610における連通部分は、第1チャンバー50の空洞500の回転軸Rから最遠端側とすることが好ましい。
さらに、図6(A)ないし図6(C)に示すように、第1チャンバー50の空洞500は、検体反応装置100の装着部10に装着した場合に、第1チャンバー50の空洞500の回転軸Rの方向における長さHが、回転の接線方向における長さWよりも長く構成されていてもよい。
第2チャンバー60の空洞600には、オイル等の液体を充填することができる。第2チャンバー60の空洞600を形成するバイオチップ2の部位には、第2チャンバー60の空洞600に液体を注入できるような機構が備えられていてもよい。このような機構としては、例えば、第2チャンバー60の空洞600と外部とを連絡する孔およびこれを塞ぐ部材で構成されることができる。
第2チャンバー60の機能の一つとしては、オイル等の液体が充填されたときに、第1チャンバー50の空洞500に存在する気泡を、第2チャンバー60の空洞600内に回収することが挙げられる。例えば、第1チャンバー50の空洞500内にオイルとPCR反応液の液滴とが、第2チャンバー60の空洞600内にオイルが充填され、かつ、気泡が混入している場合に、気泡を第2チャンバー60の空洞600内に回収し、回収された気泡が第1チャンバー50の空洞500に戻らないようにすることができる。換言すると、第2チャンバー60の空洞600に充填された液体(オイル)が、気泡と入れ替わりに第1チャンバー50の空洞500に移動することで、PCR反応液の移動の妨げとなる気泡を第1チャンバー50の空洞500から除去し、PCR反応液の液滴に良好なサーマルサイクルを施すことができる。
図7は、第2実施形態に係るバイオチップ2を検体反応装置100の装着部10に装着した場合に、バイオチップ2が回転する様子を模式的に表す断面図である。図7は、図1におけるy軸方向から見た断面図である。以下の説明における上下は、図7における上下方向と一致するものとする。
以下では、バイオチップ2の第1チャンバー50の空洞500にオイルおよびPCR反応液wが、第2チャンバー60の空洞600にオイルが充填され、第1チャンバー50の空洞500内で気泡vが生じた場合について述べる。オイルの種類としては、PCR反応液wよりも比重が小さく、PCR反応液wと相溶しないものが用いられる。そして、バイオチップ2の第1チャンバー50の空洞500内では、オイル中にPCR反応液wが液滴となる形態で液液相分離し、さらに、液体(オイルおよびPCR反応液w)と、気泡vとが気液相分離しているものとする。
また、バイオチップ2の状態について、第1チャンバー50の空洞500の回転軸Rに近い側が下となっている状態を状態A、第1チャンバー50の空洞500の回転軸Rに近い側が上となっている状態を状態Bと呼ぶ。
まず、バイオチップ2が状態Aにある場合について説明する。状態Aにおいて、オイルよりも比重の大きいPCR反応液wは、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rに近い側の下面510側に存在する。一方、オイルよりも比重の小さい気泡vが生じると、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rから遠い側の上面520側を移動して、狭窄部610から第2チャンバー60の空洞600内へと移動し、最終的には第2チャンバー60の空洞600のうち最も高い位置(重力による位置エネルギーが最大となる位置)である、第2チャンバー60の空洞600の上面の回転軸Rから遠い側の近傍に達する。
検体反応装置100の回転部20が回転して、バイオチップ2が状態Aから状態Bに遷移すると、オイルよりも比重の大きいPCR反応液wは、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rに近い側の下面510側から、第1チャンバー50の空洞500内のうち下面510側を移動して、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rから遠い側の下面510側へと達する。一方、オイルよりも比重の小さい気泡vは、第2チャンバー60の空洞600の上面に沿って移動して、第2チャンバー60の空洞600の上面の回転軸Rに近い側の近傍に達する。
また、状態Bにおいて気泡が生じた場合には、オイルよりも比重の小さい気泡vは、第1チャンバー50の空洞500内の気泡vが生じた地点から、第1チャンバー50の空洞500内のうち上面520側を移動して、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rに近い側の上面520側へと達する。
検体反応装置100の回転部20がさらに回転して、バイオチップ2が状態Bから状態Aに遷移すると、オイルよりも比重の大きいPCR反応液wは、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rから遠い側の下面510側から、第1チャンバー50の空洞500内のうち下面510側を移動して、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rに近い側の下面510側へと達する。一方、オイルよりも比重の小さい気泡vは、第2チャンバー60の空洞600内を移動し、第2チャンバー60の空洞600のうち最も高い位置(重力による位置エネルギーが最大となる位置)である、第2チャンバー60の空洞600の上面の回転軸Rから遠い側の近傍に達する。
すなわち、オイルよりも比重の大きいPCR反応液wは、第1チャンバー50の空洞500内のうち下面510側を移動し、オイルよりも比重の小さい気泡vは、第1チャンバー50の空洞500内のうち上面520側を移動して第2チャンバー60の空洞600内に達した後は、気泡vの容積が第2チャンバー60の空洞600の容積を超えない限り、第2チャンバー60の空洞600内に存在し続けることになる。
このように、第2実施形態に係るバイオチップ2によれば、第1チャンバー50の空洞500内に液体が存在する場合に、第1チャンバー50の空洞500内に生じた気泡を第2チャンバー60の空洞600の内部に回収することができる。これにより、例えば、バイオチップ2の第1チャンバー50の空洞500内にオイル及びPCR反応液を充填した場合に、気泡がPCR反応液の移動を妨げにくくなるとともに、気泡の移動により生じる第1チャンバー50の空洞500内でのオイルの不要な流れを抑制することができる。したがって、安定したサーマルサイクルを施すことができるバイオチップを実現できる。
また、第2実施形態に係るバイオチップ2においては、第1チャンバー50の空洞500は、狭窄部610を介して第2チャンバー60の空洞600に連通している。このため、狭窄部610により第2チャンバー60の空洞600内に回収された気泡が再び第1チャンバー50の空洞500内に戻ることを抑制することができる。これにより、さらに安定したサーマルサイクルを施すことができるバイオチップを実現できる。
4.第3実施形態に係るバイオチップ
図8(A)は、第3実施形態に係るバイオチップの上面図、図8(B)は、第3実施形態に係るバイオチップの左側面図、図8(C)は、図8(A)のA−Aにおける断面図である。図4(A)ないし図4(C)及び図5を用いて説明した第1実施形態に係るバイオチップ1と同一の構成には同一の符号を付し、以下では主に第1実施形態に係るバイオチップ1との相違点を中心として説明する。
図8(A)は、第3実施形態に係るバイオチップの上面図、図8(B)は、第3実施形態に係るバイオチップの左側面図、図8(C)は、図8(A)のA−Aにおける断面図である。図4(A)ないし図4(C)及び図5を用いて説明した第1実施形態に係るバイオチップ1と同一の構成には同一の符号を付し、以下では主に第1実施形態に係るバイオチップ1との相違点を中心として説明する。
第3実施形態に係るバイオチップ3は、第1チャンバー50を含む。第1チャンバー50は、内部に空洞500が形成された容器である。第1チャンバー50は、バイオチップ3の本体そのものであってもよい。
第1チャンバー50は、回転軸Rと平行な方向において第1チャンバー50の空洞500内の経路を周回させるために、第1チャンバー50の空洞500内の経路を規定する障壁530を有するように構成されている。
障壁530は、第1チャンバー50の内壁の離間した2箇所を接続するように形成される。すなわち、障壁530は、第1チャンバー50の内壁の一部と、当該内壁の一部と離間した他の一部とを繋ぐように形成される。したがって、第1チャンバー50の空洞500は、障壁530によって、ループ状の空洞となることができる。すなわち、障壁530が形成された第1チャンバー50の空洞500には、障壁530を周回する経路が形成される。障壁530は、バイオチップ3と同一の材質で形成されることができる。
なお、このような周回する経路を複数有するように第1チャンバー50を構成してもよい。図9(A)は、第3実施形態に係るバイオチップの変形例の上面図、図9(B)は、第3実施形態に係るバイオチップの変形例の左側面図、図9(C)は、図9(A)のA−Aにおける断面図である。図9(A)ないし図9(C)に示すように、第3実施形態に係るバイオチップの変形例となるバイオチップ3aの第1チャンバー50は、複数の障壁530によって、ループ状となる経路を複数有する空洞500が形成された容器となることができる。
図10は、第3実施形態に係るバイオチップ3を検体反応装置100の装着部10に装着した場合に、バイオチップ3が回転する様子を模式的に表す断面図である。図10は、図1におけるy軸方向から見た断面図である。以下の説明における上下は、図10における上下方向と一致するものとする。
以下では、バイオチップ3の第1チャンバー50の空洞500にオイルおよびPCR反応液wが充填され、第1チャンバー50の空洞500内に気泡vが存在する場合について述べる。オイルの種類としては、PCR反応液wよりも比重が小さく、PCR反応液wと相溶しないものが用いられる。そして、バイオチップ3の第1チャンバー50の空洞500内では、オイル中にPCR反応液wが液滴となる形態で液液相分離し、さらに、液体(オイルおよびPCR反応液w)と、気泡vとが気液相分離しているものとする。
また、バイオチップ3の状態について、第1チャンバー50の空洞500の回転軸Rに近い側が下となっている状態を状態A、第1チャンバー50の空洞500の回転軸Rに近い側が上となっている状態を状態Bと呼ぶ。
まず、バイオチップ3が状態Aにある場合について説明する。状態Aにおいて、オイルよりも比重の大きいPCR反応液wは、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rに近い側の下面510側に存在する。一方、オイルよりも比重の小さい気泡vは、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rから遠い側の上面520側に存在する。
検体反応装置100の回転部20が回転して、バイオチップ3が状態Aから状態Bに遷移すると、オイルよりも比重の大きいPCR反応液wは、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rに近い側の下面510側から、第1チャンバー50の空洞500内のうち障壁530に対して下側となる下面510側を移動して、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rから遠い側の下面510側へと達する。一方、オイルよりも比重の小さい気泡vは、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rから遠い側の上面520側から、第1チャンバー50の空洞500内のうち障壁530に対して上側となる上面520側を移動して、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rに近い側の上面520側へと達する。
検体反応装置100の回転部20がさらに回転して、バイオチップ3が状態Bから状態Aに遷移すると、オイルよりも比重の大きいPCR反応液wは、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rから遠い側の下面510側から、第1チャンバー50の空洞500内のうち障壁530の下側となる下面510側を移動して、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rに近い側の下面510側へと達する。一方、オイルよりも比重の小さい気泡vは、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rに近い側の上面520側から、第1チャンバー50の空洞500内のうち障壁530の上側となる上面520側を移動して、第1チャンバー50の空洞500内のうち回転軸Rから遠い側の上面520側へと達する。
なお、バイオチップ3が状態Bにある場合において、障壁530と下面510に挟まれた領域で気泡vが発生した場合には、気泡vは障壁530に沿って第1チャンバー50の空洞500内の回転軸Rに近い側まで移動し、第1チャンバー50の上面520の近傍へと移動する。検体反応装置100の回転部20の回転に伴うその後の気泡v及びPCR反応液wの振る舞いは、上述した振る舞いと同様である。
すなわち、オイルよりも比重の大きいPCR反応液wは、第1チャンバー50の空洞500内のうち下面510側を移動し、オイルよりも比重の小さい気泡vは、第1チャンバー50の空洞500内のうち上面520側を移動することになる。第3実施形態に係るバイオチップ3においては、第1チャンバー50は、回転軸Rと平行な方向において第1チャンバー50の空洞500内の経路を周回させるために、第1チャンバー50の空洞500内の経路を規定する障壁530を有するように構成されているため、PCR反応液wと気泡vとの衝突を抑制することができる。
このように、第3実施形態に係るバイオチップ3によれば、例えば、バイオチップの第1チャンバー50の空洞500内にオイル及びPCR反応液を充填した場合に、オイルより比重の大きいPCR反応液と第1チャンバー50の空洞500内に生じた気泡とが異なる経路を通ることになる。これにより、気泡がPCR反応液の移動を妨げにくくなるとともに、気泡の移動により生じる第1チャンバー50の空洞500内でのオイルの不要な流れを抑制することができる。したがって、安定したサーマルサイクルを施すことができるバイオチップを実現できる。
なお、図9(A)ないし図9(C)を用いて説明した第3実施形態に係るバイオチップの変形例となるバイオチップ3aにおいても、上記第3実施形態に係るバイオチップ3と同様の効果を奏する。さらに、バイオチップ3aが状態Bにある場合において、障壁530と下面510に挟まれた領域で気泡vが発生した場合には、気泡vは障壁530の間を通って上面520側に移動することができる。これにより、速やかにPCR反応液wと気泡vとを分離することができる。したがって、バイオチップ3よりもさらに効果的にPCR反応液wと気泡vとの衝突を抑制することができる。
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、複数を適宜組み合わせることが可能である。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
例えば、本発明は、PCR以外にも、サーマルサイクルを繰り返して行う様々な反応に利用することができる。
1,2,3,3a バイオチップ、10 装着部、20 回転部、22 モーター、30 加熱部、31 高温ヒーター、32 低温ヒーター、50 第1チャンバー、60 第2チャンバー、100 検体反応装置、220 加熱制御部、310,320 断熱材、500 空洞、510 下面、520 上面、530 障壁、600 空洞、610 狭窄部
Claims (6)
- 第1チャンバーを有するバイオチップを装着可能に構成された装着部と、
前記装着部に前記バイオチップを装着した場合に、非水平かつ非重力方向の直線を回転軸として前記バイオチップを回転させる回転部と、
前記装着部に前記バイオチップを装着した場合に、前記回転軸に対して温度分布が軸対称になるように前記第1チャンバーの少なくとも一部を加熱する加熱部と、
を含む、検体反応装置。 - 請求項1に記載の検体反応装置に装着するバイオチップであって、
前記装着部に装着した場合に、前記第1チャンバーの前記回転軸の方向における長さが、2ミリメートル以上4ミリメートル以下である、バイオチップ。 - 請求項1に記載の検体反応装置に装着するバイオチップであって、
前記第1チャンバーの前記回転軸の方向における長さは、
前記第1チャンバーにオイルと反応液とが充填され、前記装着部に装着して回転させた場合に、
気泡と前記反応液の移動する経路が異なるような長さである、バイオチップ。 - 請求項2又は請求項3に記載の検体反応装置に装着するバイオチップにおいて、
前記第1チャンバーと、
前記装着部に装着した場合に、前記第1チャンバーの前記回転軸から最遠端側であって重力と逆向き側で前記第1チャンバーと連通する第2チャンバーとを含む、バイオチップ。 - 請求項4に記載のバイオチップにおいて、
前記第1チャンバーは、狭窄部を介して前記第2チャンバーに連通する、バイオチップ。 - 請求項2ないし請求項5のいずれか1項に記載の検体反応装置に装着するバイオチップであって、
前記第1チャンバーは、前記回転軸と平行な方向において前記第1チャンバー内の経路を周回させるために、前記第1チャンバー内の経路を規定する障壁を有する、バイオチップ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010037308A JP2011174734A (ja) | 2010-02-23 | 2010-02-23 | 検体反応装置及びバイオチップ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010037308A JP2011174734A (ja) | 2010-02-23 | 2010-02-23 | 検体反応装置及びバイオチップ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011174734A true JP2011174734A (ja) | 2011-09-08 |
Family
ID=44687731
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010037308A Withdrawn JP2011174734A (ja) | 2010-02-23 | 2010-02-23 | 検体反応装置及びバイオチップ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2011174734A (ja) |
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013201965A (ja) * | 2012-03-28 | 2013-10-07 | Seiko Epson Corp | 熱サイクル装置 |
JP2013201966A (ja) * | 2012-03-28 | 2013-10-07 | Seiko Epson Corp | 熱サイクル装置 |
JP2013208066A (ja) * | 2012-03-30 | 2013-10-10 | Seiko Epson Corp | 熱サイクル装置及び熱サイクル装置の制御方法 |
JP2013208068A (ja) * | 2012-03-30 | 2013-10-10 | Seiko Epson Corp | 熱サイクル装置 |
JP2013208067A (ja) * | 2012-03-30 | 2013-10-10 | Seiko Epson Corp | 熱サイクル装置及び熱サイクル装置の制御方法 |
JP2013240302A (ja) * | 2012-05-22 | 2013-12-05 | Seiko Epson Corp | 熱サイクル装置 |
JP2013252092A (ja) * | 2012-06-06 | 2013-12-19 | Seiko Epson Corp | 熱サイクル装置 |
JP2016136973A (ja) * | 2016-05-11 | 2016-08-04 | セイコーエプソン株式会社 | 熱サイクル装置 |
US9427738B2 (en) | 2012-03-30 | 2016-08-30 | Seiko Epson Corporation | Thermal cycler and control method of thermal cycler |
US9789459B2 (en) | 2014-02-20 | 2017-10-17 | Seiko Epson Corporation | Nucleic acid amplification reaction vessel and nucleic acid amplification reaction apparatus |
-
2010
- 2010-02-23 JP JP2010037308A patent/JP2011174734A/ja not_active Withdrawn
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013201965A (ja) * | 2012-03-28 | 2013-10-07 | Seiko Epson Corp | 熱サイクル装置 |
JP2013201966A (ja) * | 2012-03-28 | 2013-10-07 | Seiko Epson Corp | 熱サイクル装置 |
JP2013208066A (ja) * | 2012-03-30 | 2013-10-10 | Seiko Epson Corp | 熱サイクル装置及び熱サイクル装置の制御方法 |
JP2013208068A (ja) * | 2012-03-30 | 2013-10-10 | Seiko Epson Corp | 熱サイクル装置 |
JP2013208067A (ja) * | 2012-03-30 | 2013-10-10 | Seiko Epson Corp | 熱サイクル装置及び熱サイクル装置の制御方法 |
US9278356B2 (en) | 2012-03-30 | 2016-03-08 | Seiko Epson Corporation | Thermal cycler and control method of thermal cycler |
US9427738B2 (en) | 2012-03-30 | 2016-08-30 | Seiko Epson Corporation | Thermal cycler and control method of thermal cycler |
JP2013240302A (ja) * | 2012-05-22 | 2013-12-05 | Seiko Epson Corp | 熱サイクル装置 |
JP2013252092A (ja) * | 2012-06-06 | 2013-12-19 | Seiko Epson Corp | 熱サイクル装置 |
US9789459B2 (en) | 2014-02-20 | 2017-10-17 | Seiko Epson Corporation | Nucleic acid amplification reaction vessel and nucleic acid amplification reaction apparatus |
JP2016136973A (ja) * | 2016-05-11 | 2016-08-04 | セイコーエプソン株式会社 | 熱サイクル装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2011174734A (ja) | 検体反応装置及びバイオチップ | |
JP5773119B2 (ja) | バイオチップ | |
US11952618B2 (en) | Integrated multiplex target analysis | |
Kaminski et al. | Controlled droplet microfluidic systems for multistep chemical and biological assays | |
US10495656B2 (en) | Integrated multiplex target analysis | |
JP5196126B2 (ja) | 生体試料反応装置および生体試料反応方法 | |
JP5764870B2 (ja) | バイオチップ、反応装置及び反応方法 | |
JP5862006B2 (ja) | 熱サイクル装置及び熱サイクル方法 | |
CN105964312A (zh) | 复合液体池 | |
JP7423696B2 (ja) | アッセイデバイス及びその使用方法 | |
JP2011147411A (ja) | 核酸増幅方法および核酸増幅装置、ならびに核酸増幅用チップ | |
JP5967361B2 (ja) | 熱サイクル装置 | |
US20190193079A1 (en) | Systems and methods for heating biological samples | |
US20120301367A1 (en) | Reaction vessel | |
JP2012170348A (ja) | 反応容器 | |
JP6020860B2 (ja) | バイオチップ | |
Hołyst et al. | Micro-engineered liquid flow dissolves solids without dispersing them | |
JP2011200828A (ja) | 反応装置 | |
Spitzack et al. | Polymerase chain reaction in miniaturized systems: big progress in little devices | |
Slyadnev | Microchip-based systems for molecular genetic analysis | |
Li et al. | Insights and Advancements in Microfluidics | |
JP2015097512A (ja) | 核酸抽出用デバイス | |
US20160152969A1 (en) | Nucleic acid extraction device | |
ITRM20070574A1 (it) | Ciclatore termico miniaturizzato per amplificazione ed analisi di molecole biologiche biochip operante attraverso elettrosmosi ac |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20130507 |