JP2011174418A - 密閉型ラッシュアジャスタ - Google Patents

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Abstract

【課題】製造を容易にし、製造コストを低減した密閉型のラッシュアジャスタを提供する。
【解決手段】密閉型のバルブラッシュアジャスタ3Aは、カム1が当接する側とは反対側の端部2bに筒状の組付け穴11Aが形成されたロッカーアーム2と、組付け穴11Aに摺動自在に嵌装され、組付け穴11A内を区画してリザーバ室23Aもしくは高圧室24Aを形成する第1プランジャ21A、第2プランジャ22Aと、リザーバ室23Aと高圧室24Aとの間に位置し、リザーバ室23A側から高圧室24A側への封入油40の流れを許可し、高圧室24A側からリザーバ室23A側への封入油40の流れを遮断するチェック弁25と、高圧室24A内からリザーバ室23Aへリークする封入油40が通る摺動隙間C1Aと、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は密閉型ラッシュアジャスタに関する。
従来、内燃機関の吸排気弁とシリンダヘッドとの間に設けられたバルブクリアランスを自動的に略零に調整するラッシュアジャスタが実用化されている。このラッシュアジャスタには具体的には、エンジンオイルを利用する外部給油型ラッシュアジャスタのほか、作動油が密封された密封型ラッシュアジャスタがある。密封型ラッシュアジャスタとしては、例えば特許文献1で開示されているものがある。特許文献1が開示するラッシュアジャスタでは、プランジャとボディとがそれぞれシール部材を備えており、これにより作動油の外部漏れを防止している。
さらに、特許文献2には、ローカーアームの一端部に下方から開けられた取付穴に、ラッシュアジャスタのアジャスタボディを摺動可能に挿入した密閉型のラッシュアジャスタの一例が開示されている。また、密閉型ではない油圧式ラッシュアジャスタとして、特許文献3に、カムがロッカーアームの一端に当接し、これと反対側のロッカーアーム端部に油圧式ラッシュアジャスタが組み込まれた構成が開示されている。
特開2002−285808号公報 特開昭60−13908号公報 実開昭64−34408号公報
密閉型ではない外部給油型のラッシュアジャスタをロッカーアームに組み込む場合、エンジンオイルの注入量が不適切であったり、劣化したオイルがそのまま使用されていたりするとエアや異物がオイルに混入するおそれがあり、ラッシュアジャスタの機能が損なわれる場合がある。すなわち、外部給油型ラッシュアジャスタにおいては、エンジンオイルのメンテナンスの良否によってラッシュアジャスタの機能が左右されてしまう。さらに、オイルを供給する通路が狭く、加工が困難であるうえに、加工により生じる切り粉により通路が閉塞されることが考えられる。
このような外部給油型のラッシュアジャスタの問題も、密閉型のラッシュアジャスタを用いることで解消する。しかしながら、単に密閉型のラッシュアジャスタをロッカーアームに組み込んだだけでは、装置自体が大型化することが考えられ、依然として改良の余地を有している。
そこで本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、より製造を容易にし、かつ製造コストを低減した密閉型のラッシュアジャスタを提供することを目的とする。
かかる課題を解決する本発明の密閉型ラッシュアジャスタは、筒状の空間が形成されたロッカーアームと、前記空間に摺動自在に嵌装され、前記空間内を区画してリザーバ室もしくは高圧室を形成するプランジャと、前記リザーバ室と前記高圧室との間に位置し、前記リザーバ室側から前記高圧室側への液体の流れを許可し、前記高圧室側から前記リザーバ室側への液体の流れを遮断するチェック弁と、前記高圧室内から前記リザーバ室へリークするオイルが通るリークダウンランドと、を備えたことを特徴とする。
このように、ロッカーアーム自体をラッシュアジャスタのボディとして利用することにより、構成部品の点数を減少することができる。これにより、製造コストが低下し安価なラッシュアジャスタを提供できる。また、部品点数の減少によりラッシュアジャスタをコンパクトにでき、搭載性を向上することができる。また、オイルを封入した密閉型の構造とすることにより、オイル供給用の通路を省略することができる。これにより、製造コストを低減できるとともに、ロッカーアームの剛性を向上できる。
上記の密閉型ラッシュアジャスタにおいて、前記リークダウンランドは、前記ロッカーアームと前記プランジャとの摺動部に形成される隙間とすることができる。
ラッシュアジャスタの全長が縮小するのに要する時間、すなわち、単位長さあたりのリークダウン時間は、プランジャの長さが長いほど、または、プランジャの外径が大きいほど長くなる。ロッカーアームをラッシュアジャスタのボディとすることにより、ボディとしたロッカーアームの厚さ分だけプランジャ外径を大きくできる。このため、単位長さあたりのリークダウン時間を変更しない場合、リークダウンランド長さ、すなわち、プランジャの長さを相対的に短くできる。その結果、ロッカーアームとラッシュアジャスタとを合わせた長さを短縮でき、エンジン高さを低くできる。
上記の密閉型ラッシュアジャスタにおいて、前記プランジャにより前記空間を区画して前記高圧室が形成され、前記リザーバ室と前記リークダウンランドとを前記ロッカーアームに形成した構成とすることができる。
このようにリザーバ室をロッカーアームに形成することにより、製造時の部品の加工を減らし、簡易な構造とすることができる。これにより、加工負担が低減するので、製造コストを低減することができる。また、このような構造により、ラッシュアジャスタのボディ剛性を向上することができる。
上記の密閉型ラッシュアジャスタにおいて、前記プランジャは、第1プランジャと第2プランジャとからなり、第1プランジャと第2プランジャとにより形成される高圧室が前記空間の中央部に形成された構成とすることができる。
このようにラッシュアジャスタに形成した筒状の空間の中央部に高圧室を形成することにより、オイルが外部に漏れることを抑制することができる。
上記の密閉型ラッシュアジャスタにおいて、前記ロッカーアームに配置された第1シール部材と、前記第1シール部材に対向して前記プランジャに配置された第2シール部材と、を備えた構成とすることができる。
このようにシール部材を備えたことにより、外部からの液体の浸入と、内部からのオイルの漏洩を抑制し、両液の混合を防止することができる。特に摺動するプランジャの速度の変化により外部から液体が浸入し、内部に密封した液体に混入することを防止できる。
さらに、本発明の密閉型ラッシュアジャスタは、筒状の空間が形成されたリフタと、前記空間に摺動自在に嵌装され、前記空間内を区画してリザーバ室もしくは高圧室を形成するプランジャと、前記リザーバ室と前記高圧室との間に位置し、前記リザーバ室側から前記高圧室側への液体の流れを許可し、前記高圧室側から前記リザーバ室側への液体の流れを遮断するチェック弁と、前記高圧室内のオイルが前記リザーバ室へリークするリークダウンランドと、を備えたことを特徴とする。
このように、直打動弁系のリフタ自体をラッシュアジャスタのボディとして利用することができる。これにより、構成部品の点数を減少し、製造コストを低減することができる。
本発明は、ロッカーアームやバルブリフタをラッシュアジャスタのボディとしたことにより、部品点数を減少することができる。これにより、製造を容易にし、かつ製造コストを低減した密閉型のラッシュアジャスタを提供することができる。
実施例1のバルブラッシュアジャスタを組み込んだ動弁機構を示した説明図である。 実施例1のバルブラッシュアジャスタを示した説明図である。 実施例2のバルブラッシュアジャスタを示した説明図である。 実施例2の他の形態のバルブラッシュアジャスタを示した説明図である。 実施例3のバルブラッシュアジャスタを示した説明図である。 実施例4のバルブラッシュアジャスタを示した説明図である。 実施例5のバルブラッシュアジャスタを示した説明図である。 実施例5の他の形態のバルブラッシュアジャスタを示した説明図である。 実施例6のバルブラッシュアジャスタを示した説明図である。 実施例7のバルブラッシュアジャスタを示した説明図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。
本発明の実施例1について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施例のバルブラッシュアジャスタ3Aを組み込んだ動弁機構10を示した説明図である。図1に示すように、カム1がロッカーアーム2の端部2aに当接し、これと反対側の端部2bに油圧式のバルブラッシュアジャスタ3Aが構成されている。
図2は図1中におけるバルブラッシュアジャスタ3Aを拡大して示した説明図である。バルブラッシュアジャスタ3Aは、第1プランジャ21Aと第2プランジャ22Aとを備えている。第1プランジャ21A、及び第2プランジャ22Aは、ロッカーアーム2の端部2bに形成された組付け穴11Aに摺動自在に嵌入されている。組付け穴11Aは有底円筒状をした空間である。また、第1プランジャ21Aは、第2プランジャ22Aよりも組付け穴11Aの底側に位置している。第1プランジャ21Aと第2プランジャ22Aとの間には高圧室24Aが形成されている。この高圧室24Aは、組付け穴11Aの略中央に形成されて内部に封入される封入油40の漏れが抑制される。なお、図2のバルブラッシュアジャスタ3Aは、組み付けた状態を示しているため、図2中において、組付け穴11Aの開口部111Aが下側に位置し、底部112Aが上側に位置する。
さらに、組付け穴11Aの底側には、組付け穴11Aよりも径の小さな小径部12Aが形成されており、この小径部12Aと第1プランジャ21Aとにより区画されてリザーバ室23Aが形成されている。このリザーバ室23A内に封入油40と空気とが注入される。封入油40には例えばシリコンオイルを適用できる。小径部12Aの底部112Aには封入油40の注入用の供給孔14Aが形成されており、封入油40の注入後に供給孔14Aに止め栓32Aを圧入して封入油40やリザーバ室23Aの空間を占める気体を密封する。
また、第1プランジャ21Aにはリザーバ室23Aと高圧室24Aとを接続する導入口211Aが形成されており、リザーバ室23Aと高圧室24Aとの間、いわば、導入口211Aには、チェック弁25が配置されている。チェック弁25はリテーナ26によって取り付けられており、リザーバ室23A側から高圧室24A側への封入油40の流れを許可し、高圧室24A側からリザーバ室23A側への封入油40の流れを遮断する。高圧室24A内に配置されたリターンスプリング28がリテーナ26を介してチェック弁25を第1プランジャ21A側に付勢し、チェック弁25が第1プランジャ21Aと第2プランジャ22Aとの間で適当な荷重下に置かれている。また、第2プランジャ22Aの端部221Aにはバルブステム4が当接する。
ロッカーアーム2に形成された組付け穴11Aと第1プランジャ21Aの摺動面には隙間(摺動隙間C1A)が形成されている。高圧室24A内の圧力が上昇した際に、この摺動隙間C1Aを通り、高圧室24Aからリザーバ室23Aへと高圧室24A内の封入油40がリークする、すなわち、リークダウンが生じる構成となっている。第1プランジャ21Aのリザーバ室23A側には切り欠き212Aが形成されており、高圧室24Aからリークする封入油40をリザーバ室23Aへ導くようになっている。高圧室24A内の封入油40がリークすることにより、その減少した容積分だけ、第2プランジャ22Aが変位し、バルブラッシュアジャスタ3Aが収縮する。このとき、ロッカーアーム2に形成された組付け穴11Aと第1プランジャ21Aとの摺動隙間C1Aは封入油40がリークする通路に相当するリークダウンランドとして機能する。
また、ロッカーアーム2の組付け穴11Aの開口部111A付近にストッパ222Aが組み込まれており、第2プランジャ22Aがストッパ222Aへ当接するとき、第2プランジャ22Aの移動が規制される。これにより、第2プランジャ22Aが組付け穴11Aから外れることが防止される。なお、第2プランジャ22Aとロッカーアーム2との間にできる隙間C2Aはリークダウンには影響しないため、摺動隙間C1Aに対して幾分か大きくすることができ、公差などの精度要求が減少して製造時の負担、および製造コストが軽減する。
第2プランジャ22Aの溝223Aにはシールリング30が装着され、ロッカーアーム2側の溝13Aにはシールリング31が装着されており、封入油40の外部への流出を防ぐ。また、バルブラッシュアジャスタ3A内に潤滑用エンジンオイルが浸入することを防止する。
次に、バルブラッシュアジャスタ3Aの作動時の状態について説明する。カム1の回転に従ってロッカーアーム2がシャフトを中心に回転し、バルブラッシュアジャスタ3Aを介してバルブステム4にバルブを開弁する方向の力が加わるとバルブが開弁する。このとき、バルブスプリング(図示しない)の作用により、高圧室24Aの封入油40の圧力が上昇し、高圧室24Aの封入油40はロッカーアーム2に形成された組付け穴11Aと第1プランジャ21Aとの摺動隙間C1Aを通りリザーバ室23Aへリークする。高圧室24Aからリークした封入油40に対応して、第2プランジャ22Aが相対的に変位する。
さらに、カム1が回転すると、ロッカーアーム2の回転が戻り、バルブステム4が元の位置に戻る。このとき、リターンスプリング28の反発力により第2プランジャ22Aが押し出され、高圧室24Aが負圧になる。これにより、チェック弁25が開弁して、リザーバ室23Aから高圧室24Aへ封入油40が流れ込み、バルブ開弁前の状態に戻る。
次に本実施例のバルブラッシュアジャスタ3Aの奏する効果について説明する。バルブラッシュアジャスタ3Aはロッカーアーム2自体をボディとしたことにより、部品点数を減少して、製造コストを低減できる。
ボディをロッカーアーム2としたことにより、ボディ肉厚及び、プランジャ外径を大きくすることができ、リークダウンランド長さを相対的に短くして、エンジンの全高を低くすることができる。以下にこれを詳しく述べる。ラッシュアジャスタの全長が縮小するのに要する時間、すなわち、単位長さあたりのリークダウン時間tは次式(1)のように表わされる。
t=1/K・24μLD/{C(P−P)} (1)
μ:粘度係数
L:プランジャ長さ
D:プランジャ外径
C:プランジャとボディ間の直径クリアランス
P:高圧室内圧力
:大気圧
上記(1)式によれば、プランジャの長さが長いほど、またはプランジャ外径Dが大きいほど、リークダウン時間tが長くなる。したがって、本実施例のバルブラッシュアジャスタ3Aによれば、ボディをロッカーアーム2としたため、最低でもロッカーアーム2の肉厚分、プランジャの外径を大きくできるため、リークダウンランドの長さ、すなわち第1プランジャ21Aの長さを相対的に短くできる。その結果、ロッカーアーム2とバルブラッシュアジャスタ3Aとを組み合わせた場合の全長を短くでき、エンジン全高を低くできる。
また、ボディの厚さが従来のラッシュアジャスタに比べて増加できるため、シールリング30、31も大きなものを装着可能となり、シール性能が向上できる。
また、バルブラッシュアジャスタ3Aは、作動油である封入油40をバルブラッシュアジャスタ3A内に密封する構造であるため、作動油を供給する通路の加工を不要とする。このため、加工作業に費やす労力、時間を削減でき、生産性を向上できる。また、作動油を供給する通路が不要であることから、ボディ剛性を向上することができる。
次に、本発明の実施例2について説明する。本実施例のバルブラッシュアジャスタ3Bは実施例1のバルブラッシュアジャスタ3A同様に、カム1が当接する側と反対側のロッカーアーム2の端部2bに構成されている。図3は実施例2のバルブラッシュアジャスタ3Bの概略構成を示した説明図である。
バルブラッシュアジャスタ3Bは、第1プランジャ21Aを取り除いた代わりにロッカーアーム2の一部を第1プランジャ21Aの様に形成した点で実施例1のバルブラッシュアジャスタ3Aと異なる。また、実施例1の組付け穴11Aに代えて、組付け穴11Aよりも底の浅い有底円筒状の組付け穴11Bがロッカーアーム2に形成されている。組付け穴11Bには、第2プランジャ22Bが摺動自在に嵌入され、組付け穴11Bと第2プランジャ22Bとにより区画されて、高圧室24Bが形成されている。また、組付け穴11Bが形成された面の反対側の面には組付け穴11Bと同軸となるように、穴12Bが形成されている。穴12Bの開口部121Bには、封入油40の供給孔14Bが形成されたプレート122Bが圧入された後溶接されており、封入油40の注入後、供給孔14Bに止め栓32Bを圧入して封入油40や気体を密封する。このような穴12Bとプレート122Bとはリザーバ室23Bを区画し形成する。
高圧室24Bとリザーバ室23Bとは、導入口211B、及び連通路224により連通されている。導入口211B、連通路224のいずれも組付け穴11B、穴12Bの底面に開口している。導入口211Bには、チェック弁25が配置されている。チェック弁25は、リザーバ室23B側から高圧室24B側への封入油40の流れを許可し、高圧室24B側からリザーバ室23B側への封入油40の流れを遮断する。連通路224内には、ロッカーアーム2を構成する材質より熱膨張係数が大きい材質で構成され、温度変化に伴う膨張収縮により連通路224を開閉させる流量調整部材(図示しない)が配置されている。このような連通路224は高圧室24Bからリザーバ室23Bへ封入油40がリークするリークダウンランドであり、上記(1)式のリークダウンタイムtの設定値に応じて、通路を複数形成してもよい。
本実施例のバルブラッシュアジャスタ3Bは、実施例1のバルブラッシュアジャスタ3Aと同様の効果を奏し、製造コストの低減、エンジンの全高の縮小化、シール性能の向上、ボディ剛性の向上が図られる。さらに、バルブラッシュアジャスタ3Bは、リークダウンランドとする連通路224を備えたことにより、実施例1のように摺動隙間C1Aをリークダウンランドとする場合に比べ、リークダウン調整が容易となる。また、実施例1のように組付け穴11Aと第1プランジャ21Aの隙間を精度良く製造することが要求されないため、製造負担が軽減され、製造コストも低減する。
また、本実施例は他の形態によっても実現可能である。図4は、本実施例の他の形態を示した説明図である。図4のバルブラッシュアジャスタ3B2は、連通路225の位置が異なる点で、バルブラッシュアジャスタ3Bと異なる。バルブラッシュアジャスタ3B2の連通路225は、組付け穴11Bの側面と穴12Bの側面とに開口する。なお、その他の構成はバルブラッシュアジャスタ3Bと同一であり、その詳細な説明は省略する。
次に、本発明の実施例3について説明する。本実施例のバルブラッシュアジャスタ3Cは実施例1のバルブラッシュアジャスタ3A同様に、カム1が当接する側と反対側のロッカーアーム2の端部2bに構成されている。図5は実施例3のバルブラッシュアジャスタ3Cの概略構成を示した説明図である。
ロッカーアーム2の端部2bには、組付け穴11Cが形成されている。組付け穴11Cは円筒状をした空間である。組付け穴11Cの開口部111Cとは反対側には、組付け穴11Cよりも大径の穴12Cが形成されており、組付け穴11Cと穴12Cとによりロッカーアーム2の端部2bは貫通している。穴12Cの開口部121Cには、封入油40を注入する供給孔14Cが形成されたプレート122Cが圧入される。組付け穴11Cには、第2プランジャ22Cが摺動自在に嵌入されている。第2プランジャ22Cの内部には摺動可能に第1プランジャ21Cが嵌入されている。第1プランジャ21Cと第2プランジャ22Cとの間には高圧室24Cが形成されている。また、第1プランジャ21Cとプレート122Cとによりリザーバ室23Cが形成されている。リザーバ室23C、高圧室24Cには封入油40が注入されている。第1プランジャ21Cにはリザーバ室23Cと高圧室24Cとを接続する導入口211Cが形成されており、リザーバ室23Cと高圧室24Cとの間、いわば、導入口211Cには、チェック弁25が配置されている。チェック弁25は、リザーバ室23C側から高圧室24C側への封入油40の流れを許可し、高圧室24C側からリザーバ室23C側への封入油40の流れを遮断する。
第1プランジャ21Cと第2プランジャ22Cとの摺動面には隙間(摺動隙間C1C)が形成されている。高圧室24C内の圧力が上昇した際に、この摺動隙間C1Cを通り、高圧室24Cからリザーバ室23Cへと高圧室24C内の封入油40がリークする構成となっている。第1プランジャ21Cには貫通孔212Cが形成されており、摺動隙間C1Cを通る封入油40をリザーバ室23Cへ導くようになっている。高圧室24C内の封入油40がリークすることにより、その減少した容積分だけ、第2プランジャ22Cが変位し、バルブラッシュアジャスタ3Cが収縮し、リークダウンが生じる。このとき、ロッカーアーム2と第1プランジャ21Cとの摺動隙間C1Cは封入油40がリークする通路に相当するリークダウンランドとして機能する。
さらに、穴12Cの一部の面123に、第2プランジャ22Cに組み込まれたストッパ222Cが当接することにより、第2プランジャ22Cの移動が規制され、組付け穴11Cから外れてしまうことが防止される。
バルブラッシュアジャスタ3Cの組付け作業は、穴12Cの開口部121C側から行う。第1プランジャ21C、第2プランジャ22Cの組付けを終えると、プレート122Cを圧入して溶接する。プレート122Cの圧入後、リザーバ室23Cへ封入油40を注入し、供給孔14Cに止め栓32Cを圧入して、封入油40や気体が密封される。
このようなバルブラッシュアジャスタ3Cは、実施例1のバルブラッシュアジャスタ3Aと同様に動作し、同様の作用効果を奏する。すなわち、製造コストの低減、エンジンの全高の縮小化、シール性能の向上、ボディ剛性の向上が図られる。
次に、本発明の実施例4について説明する。本実施例のバルブラッシュアジャスタ3Dは実施例1のバルブラッシュアジャスタ3A同様に、カム1が当接する側と反対側のロッカーアーム2の端部2bに構成されている。図6は実施例4のバルブラッシュアジャスタ3Dの概略構成を示した説明図である。
ロッカーアーム2の端部2bには、組付け穴11Dが形成されている。組付け穴11Dは有底円筒状をした空間である。組付け穴11D内に組み付ける第1プランジャ21D、第2プランジャ22D、チェック弁25は実施例3のバルブラッシュアジャスタ3Cのものと同様である。また、第2プランジャ22Dの溝221Dに嵌装されるシールリング30、ロッカーアーム2側の溝13Dに嵌装されるシールリング31も実施例3のバルブラッシュアジャスタ3Cのものと同様である。
組付け穴11Dの底部112Dには、封入油40の注入用の供給孔14Dが形成されており、封入油40の注入後に供給孔14Dに止め栓32Dを圧入して封入油40やリザーバ室23Dの空間を占める気体を密封する。また、ロッカーアーム2の組付け穴11Dの開口部111D付近にストッパ222Dが組み込まれており、第2プランジャ22Dがストッパ222Dへ当接するとき、第2プランジャ22Dの移動が規制される。これにより、第2プランジャ22Dが組付け穴11Dから外れることが防止される。
バルブラッシュアジャスタ3Dでは、バルブラッシュアジャスタ3C同様に、第1プランジャ21Cと第2プランジャ22Cとの摺動隙間C3Dがリークダウンランドとして機能し、バルブクリアランスを調整する。なお、バルブラッシュアジャスタ3Dは、バルブラッシュアジャスタ3Cと同様の効果を奏する。
次に、本発明の実施例5について説明する。本実施例のバルブラッシュアジャスタ3Eは実施例1のバルブラッシュアジャスタ3A同様に、カム1が当接する側と反対側のロッカーアーム2の端部2bに構成されている。図7は実施例5のバルブラッシュアジャスタ3Eの概略構成を示した説明図である。
バルブラッシュアジャスタ3Eでは、ロッカーアーム2の端部2bに有底円筒状をした組付け穴11Eが形成されている。組付け穴11Eの底側には、組付け穴11Eよりも径の小さな小径部12Eが形成されている。組付け穴11E内には第1プランジャ21Eが嵌装されている。第1プランジャ21Eも有底円筒状の形状をしており、内部に第2プランジャ22Eが摺動可能に嵌装されている。第1プランジャ21Eと小径部12Eとにより区画されてリザーバ室23Eが形成されている。また、第1プランジャ21Eと第2プランジャ22Eとにより区画されて高圧室24Eが形成されている。組付け穴11Eの底部112Eには、封入油40の注入用の供給孔14Eが形成されており、リザーバ室23Eと高圧室24Eとには、供給孔14Eから注入された封入油40が封入される。封入油40の注入後に供給孔14Eに止め栓32Eを圧入して封入油40やリザーバ室23Eの空間を占める気体を密封する。
第1プランジャ21Eにはリザーバ室23Eと高圧室24Eとを接続する導入口211Eが形成されており、リザーバ室23Eと高圧室24Eとの間、いわば、導入口211Eには、チェック弁25が配置されている。チェック弁25は、リザーバ室23E側から高圧室24E側への封入油40の流れを許可し、高圧室24E側からリザーバ室23E側への封入油40の流れを遮断する。
第1プランジャ21Eと第2プランジャ22Eとの摺動面には隙間(摺動隙間C1E)が形成されている。また、ロッカーアーム2に形成された組付け穴11Eと第1プランジャ21Eとの摺動面にも隙間C2Eが形成されている。高圧室24E内の圧力が上昇した際に、摺動隙間C1Eを通り、高圧室24E内の封入油40がリークする。リークした封入油40は、第1プランジャ21Eに形成された貫通孔51を通り、隙間C2Eへリークする。封入油40は隙間C2Eを通り、リザーバ室23Eへ到達する。このとき、摺動隙間C1Eはリークダウンランドとして機能する。
第2プランジャ22Eの溝223Eにはシールリング30が装着され、第1プランジャ21E側の溝213Eにはシールリング31が装着されており、封入油40の外部への流出を防ぐ。また、バルブラッシュアジャスタ3E内に潤滑用エンジンオイルが浸入することを防止する。さらに、第1プランジャ21Eが嵌装される組付け穴11E側の面には、溝113が形成されており、溝113にはシールリング33が嵌装されている。第1プランジャ21Eは組付け穴11Eに対して摺動しないため、シールリング33は、封入油40の漏れ防止を行うものである。また、シールリング33は、組付け時の脱落防止機能を有する。また、ロッカーアーム2の組付け穴11Eの開口部111Eにストッパ222Eが組み込まれている。第2プランジャ22Eがストッパ222Eへ当接するとき、第2プランジャ22Aの移動が規制されて、第2プランジャ22Eが外れることが防止される。
このような構成により、バルブラッシュアジャスタ3Eのボディ構造を簡略にすることができる。ボディ構造が簡略化されることにより、ボディ剛性の向上、及び、コストの低下が実現できる。なお、バルブラッシュアジャスタ3Eは、第1プランジャ21E内にチェック弁25、第2プランジャ22E等を組み込んだサブアセンブリを組付け穴11Eへ嵌装させることにより、製造される。
また、本実施例は他の形態によっても実現可能である。図8は、本実施例の他の形態を示した説明図である。図8のバルブラッシュアジャスタ3E2は、シールリング31を取り除いた点で、バルブラッシュアジャスタ3Eと異なる。本形態はシールリングを1つにしてコストの低下を実現する構成である。その他の構成はバルブラッシュアジャスタ3Eと同一であり、その詳細な説明は省略する。なお、本実施例の形態はシールリング31を残し、シールリング30を取り除く構成であっても良い。
次に、本発明の実施例6について説明する。本実施例のバルブラッシュアジャスタ3Fは実施例1のバルブラッシュアジャスタ3A同様に、カム1が当接する側と反対側のロッカーアーム2の端部2bに構成されている。図9は実施例6のバルブラッシュアジャスタ3Fの概略構成を示した説明図である。
本実施例のバルブラッシュアジャスタ3Fは、プランジャ60、ボディ70、蓋80とを組み合わせたサブアセンブリ90を、ロッカーアーム2に形成された組付け穴11Fに嵌装したものである。プランジャ60と蓋80とにより、リザーバ室23Fが形成され、プランジャ60とボディ70とにより、高圧室24Fが形成されている。プランジャ60とボディ70との摺動面には隙間(摺動隙間C1F)が形成されており、リークダウンランドとして機能する。サブアセンブリ90は、組付け穴11Fの開口部111F付近に組み込まれたストッパ222Fにより、移動が規制されて組付け穴11Fから外れることが防止される。また、蓋80に設けられた供給孔14Fから封入油40がリザーバ室23F、高圧室24Fへ注入された後、供給孔14Fが止め栓32Fに圧入されて密封される。
このようなサブアセンブリ90を構成することにより、ロッカーアーム2への取り付け前に、ラッシュアジャスタの性能を検査することができ、製造上の歩留まりが改善される。
次に、本発明の実施例7について説明する。本実施例のバルブラッシュアジャスタ3Gは、実施例1のバルブラッシュアジャスタ3Aと同様の構成をバルブリフタ5内に組み込んだものである。図10は実施例7のバルブラッシュアジャスタ3Gの概略構成を示した説明図である。
バルブリフタ5には、組付け穴11Gが形成されている。組付け穴11Gは有底円筒状の空間であり、その底側に小径部12Gが形成されている。組付け穴11Gには第3プランジャ21G、第4プランジャ22Gが摺動可能に嵌入されており、第3プランジャ21Gとバルブリフタ5とにより、リザーバ室23Gが形成され、第3プランジャ21Gと第4プランジャ22Gとにより、高圧室24Gが形成されている。リザーバ室23Gと高圧室24Gとには、バルブリフタ5の側面に形成された供給孔14Gから封入油40が注入される。高圧室24Gは、組付け穴11Gの略中央に形成されて内部に封入される封入油40の漏れが抑制される。第3プランジャ21Gにはリザーバ室23Gと高圧室24Gとを接続する導入口211Gが形成されており、リザーバ室23Gと高圧室24Gとの間、いわば、導入口211Gには、チェック弁25が配置されている。チェック弁25は、リザーバ室23G側から高圧室24G側への封入油40の流れを許可し、高圧室24G側からリザーバ室23G側への封入油40の流れを遮断する。供給孔14Gから封入油40が注入された後、止め栓32Gを圧入してリザーバ室23G内に封入油40や気体を密封している。バルブリフタ5と第3プランジャ21Gとの隙間(摺動隙間C1G)はリークダウンランドとして機能し、高圧部24Gの圧力上昇時に封入油40が高圧室24Gからリザーバ室23Gへとリークする。第4プランジャ22Gの溝223Gにはシールリング30が装着され、バルブリフタ5側の溝13Gにはシールリング31が装着されており、封入油40の外部への流出を防ぐ。また、バルブラッシュアジャスタ3G内に潤滑用エンジンオイルが浸入することを防止する。
このようにバルブラッシュアジャスタ3Gは、直打動弁系のバルブリフタ5をボディとして構成されたことにより、部品数を削減でき、製造コストを低減することができる。
上述した実施例は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
1 カム
2 ロッカーアーム
3 バルブラッシュアジャスタ
5 バルブリフタ
10 動弁機構
11 組付け穴
12 小径部(穴)
21 第1プランジャ
22 第2プランジャ
23 リザーバ室
24 高圧室
25 チェック弁
30、31 シールリング
40 封入油
C1 摺動隙間

Claims (6)

  1. 筒状の空間が形成されたロッカーアームと、
    前記空間に摺動自在に嵌装され、前記空間内を区画してリザーバ室もしくは高圧室を形成するプランジャと、
    前記リザーバ室と前記高圧室との間に位置し、前記リザーバ室側から前記高圧室側への液体の流れを許可し、前記高圧室側から前記リザーバ室側への液体の流れを遮断するチェック弁と、
    前記高圧室内から前記リザーバ室へリークするオイルが通るリークダウンランドと、
    を備えたことを特徴とする密閉型ラッシュアジャスタ。
  2. 前記リークダウンランドは、前記ロッカーアームと前記プランジャとの摺動部に形成される隙間であることを特徴とする請求項1記載の密閉型ラッシュアジャスタ。
  3. 前記プランジャにより前記空間を区画して前記高圧室が形成され、前記リザーバ室と前記リークダウンランドとを前記ロッカーアームに形成したことを特徴とする請求項1記載の密閉型ラッシュアジャスタ。
  4. 前記プランジャは、第1プランジャと第2プランジャとからなり、第1プランジャと第2プランジャとにより形成される高圧室が前記空間の中央部に形成されたことを特徴とする請求項1または2記載の密閉型ラッシュアジャスタ。
  5. 前記ロッカーアームに配置された第1シール部材と、
    前記第1シール部材に対向して前記プランジャに配置された第2シール部材と、
    を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の密閉型ラッシュアジャスタ。
  6. 筒状の空間が形成されたリフタと、
    前記空間に摺動自在に嵌装され、前記空間内を区画してリザーバ室もしくは高圧室を形成するプランジャと、
    前記リザーバ室と前記高圧室との間に位置し、前記リザーバ室側から前記高圧室側への液体の流れを許可し、前記高圧室側から前記リザーバ室側への液体の流れを遮断するチェック弁と、
    前記高圧室内のオイルが前記リザーバ室へリークするリークダウンランドと、
    を備えたことを特徴とする密閉型ラッシュアジャスタ。
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