JP2011174105A - 樹脂硬化物複合体のメッキ方法、そのメッキ方法に用いられる樹脂硬化物複合体及びそのメッキ方法でメッキ処理された樹脂硬化物複合体 - Google Patents

樹脂硬化物複合体のメッキ方法、そのメッキ方法に用いられる樹脂硬化物複合体及びそのメッキ方法でメッキ処理された樹脂硬化物複合体 Download PDF

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Abstract

【課題】金属被膜の被メッキ物に対する密着性が向上した化学メッキを提供する。
【解決手段】樹脂硬化物複合体のメッキ方法は、特定のフェノール系化合物を含有する第1樹脂硬化物10と、第1樹脂硬化物に対接して設けられ、特定のフェノール系化合物を含有しない第2樹脂硬化物20とを有し、第1樹脂硬化物が第2樹脂硬化物で被覆されずに露出している部分30が設けられている樹脂硬化物複合体1を、アミン系化合物と接触させる工程と、樹脂硬化物複合体をメッキ触媒の金属イオンと接触させることにより金属イオンを第1樹脂硬化物露出部分の表面で金属原子に還元する工程と、還元した金属原子をメッキ触媒として化学メッキを行うことにより第1樹脂硬化物露出部分の表面に金属被膜40を形成する工程とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂硬化物複合体のメッキ方法、そのメッキ方法に用いられる樹脂硬化物複合体及びそのメッキ方法でメッキ処理された樹脂硬化物複合体に関し、化学メッキの技術分野に属する。
従来、家電製品や自動車部品等に用いられる樹脂部材やセラミック部材等の絶縁体の表面に導電性や装飾性等を付与する方法として化学メッキが知られている。化学メッキは無電解メッキとも称され、およそ次のようにして行われる。まず、パラジウム等のメッキ触媒の金属イオンを含有した触媒液に被メッキ物を浸漬することにより、被メッキ物の表面にメッキ触媒を被着させる。その後、銅等のメッキ被膜の金属イオンを含有したメッキ液に被メッキ物を浸漬することにより、前記メッキ触媒を核として被メッキ物の表面にメッキ金属を析出させて金属被膜を形成する。このような化学メッキは回路基板の回路形成等にも広く用いられている。
近年、化学メッキで形成された金属被膜の被メッキ物に対する密着性の向上が望まれている。そのためにはメッキの核となるメッキ触媒が被メッキ物表面に固定化するのを促進することが重要である。そのための技術として適用し得る発明が特許文献1〜3に記載されている。すなわち、特許文献1,2には、絶縁基板等の化学メッキ用基体の面に、キレート形成能を有する基を含んだ樹脂層を形成することが記載されている。また、特許文献3には、基材上に、触媒金属を吸着できる塗膜層を形成することが記載されている。
特開昭50−140860号公報 特開昭50−141535号公報 特開2008−190026号公報(段落0013)
特許文献1,2に記載の発明によれば、メッキ触媒がキレート形成能を有する基に捕捉されることによって、メッキ触媒の樹脂層への固定化ひいては基体への固定化が促進されると考えられる。また、特許文献3に記載の発明によれば、触媒金属が塗膜層に吸着されることによって、触媒金属の基材への固定化が促進されると考えられる。しかし、これらの発明においては、被メッキ物の表面に前記樹脂層や前記塗膜層を別途形成する必要があり、製品の製造工程が長くなる。また、前記樹脂層や前記塗膜層は製品の性能・機能にとって本来不要なものであり、このような樹脂層や塗膜層を形成することで製品の品質が低下する虞がある。
本発明は、メッキ触媒の被メッキ物表面への固定化を促進するための専用の層を別途形成することなく、化学メッキで形成された金属被膜の被メッキ物に対する密着性の向上を図ることを課題とする。
前記課題を解決するための第1の発明は、式1で表されるフェノール系化合物を含有する第1の樹脂硬化物と、この第1の樹脂硬化物に対接して設けられ、前記フェノール系化合物を含有しない第2の樹脂硬化物とを有し、前記第1の樹脂硬化物が前記第2の樹脂硬化物で被覆されずに露出している部分が設けられている樹脂硬化物複合体を、アミン系化合物と接触させる工程と、前記樹脂硬化物複合体をメッキ触媒の金属イオンと接触させることにより、前記金属イオンを前記第1の樹脂硬化物の露出部分の表面で金属原子に還元する工程と、還元した金属原子をメッキ触媒として化学メッキを行うことにより、前記第1の樹脂硬化物の露出部分の表面に金属被膜を形成する工程と、を有することを特徴とする樹脂硬化物複合体のメッキ方法である。
第2の発明は、前記メッキ方法において、第1の樹脂硬化物はエポキシ樹脂の硬化物であり、前記フェノール系化合物はエポキシ樹脂の硬化剤として含有されたものであることを特徴とするものである。
第3の発明は、前記メッキ方法において、アミン系化合物はジメチルアミンボラン((CHNHBH)であることを特徴とするものである。
第4の発明は、前記メッキ方法において、第1の樹脂硬化物の露出部分は回路パターンを形成していることを特徴とするものである。
第5の発明は、式1で表されるフェノール系化合物を含有する第1の樹脂硬化物と、この第1の樹脂硬化物に対接して設けられ、前記フェノール系化合物を含有しない第2の樹脂硬化物とを有し、前記第1の樹脂硬化物が前記第2の樹脂硬化物で被覆されずに露出している部分が設けられていることを特徴とする樹脂硬化物複合体である。
第6の発明は、前記メッキ方法で第1の樹脂硬化物の露出部分の表面がメッキされたことを特徴とするメッキ処理された樹脂硬化物複合体である。
本発明によれば、メッキの核となるメッキ触媒が被メッキ物(樹脂硬化物複合体、特に第1の樹脂硬化物の露出部分)表面に固定化するのを促進するための専用の層を別途形成することなく、化学メッキで形成された金属被膜の被メッキ物(樹脂硬化物複合体、特に第1の樹脂硬化物の露出部分)に対する密着性の向上を図ることができる。
図1(A)は、本発明の実施形態に係る樹脂硬化物複合体の1例を示す斜視図、図1(B)は、本発明の実施形態に係るメッキ処理された樹脂硬化物複合体の1例を示す斜視図である。 図2(A)〜図2(E)は、本発明の実施形態に係る樹脂硬化物複合体のメッキ方法を段階的に拡大して示す概念図である。 図3(A)〜図3(E)は、本発明の実施形態に係るメッキ方法を用いて、本発明の実施形態に係るメッキ処理された樹脂硬化物複合体の具体的1例として回路基板を製造する方法を段階的に拡大して示す断面図である。
本発明者等は、例えば、絶縁基材に搭載された半導体チップを封止するための封止樹脂や、回路基板の絶縁性樹脂として汎用されるエポキシ樹脂に着目し、エポキシ樹脂の硬化物に化学メッキを施す方法の改良に鋭意研究検討を重ねていたところ、式1で表されるフェノール系化合物を硬化剤として用い、かつ、そのエポキシ樹脂の硬化物をジメチルアミンボランで処理したときに、その樹脂硬化物をパラジウム等のメッキ触媒の金属イオンと接触させ、次いで銅等のメッキ被膜の金属イオンと接触させて化学メッキを行うと、密着性に優れた金属被膜が樹脂硬化物の表面に良好に形成されることを見出して本発明を完成したものである。
その理由は、およそ次のようなことに起因すると考察される。
1つは、前記フェノール系化合物がその立体配置ないし結晶構造によりパラジウム等のメッキ触媒の金属イオンないし金属原子を収容するのに適正な大きさの空隙をその分子内に有しているからと考えられる。その結果、前記フェノール系化合物を含有する樹脂硬化物をパラジウム等のメッキ触媒の金属イオンと接触させたときに、樹脂硬化物の表面に位置する前記フェノール系化合物の前記空隙内にメッキ触媒の金属イオンないし金属原子が良好に収容される。これにより、メッキ触媒の樹脂硬化物表面への固定化が促進され、このメッキ触媒を核として形成される金属被膜の樹脂硬化物表面への密着性が向上すると考えられる。
他の1つは、ジメチルアミンボランが前記フェノール系化合物にアミノ基を導入するからと考えられる。その結果、前記フェノール系化合物を含有する樹脂硬化物をジメチルアミンボランで処理したときに、樹脂硬化物の表面に位置する前記フェノール系化合物に非結合電子対を有する(つまり配位能・還元能を有する)アミノ基が導入される。次いで、この樹脂硬化物をパラジウム等のメッキ触媒の金属イオンと接触させたときに、前記アミノ基がパラジウム等のメッキ触媒の金属イオンに配位して金属イオンを捕捉し、かつ金属イオンを金属原子に還元する。これにより、メッキ触媒の樹脂硬化物表面への固定化が促進され、このメッキ触媒を核として形成される金属被膜の樹脂硬化物表面への密着性が向上すると考えられる。
本発明者等は、前記フェノール系化合物を硬化剤として用いたエポキシ樹脂硬化物の線膨張率が、他のフェノール系化合物、例えば式2で表されるフェノール系化合物を硬化剤として用いたエポキシ樹脂硬化物の線膨張率に比べて小さいという知見を得た。この知見から、式1で表されるフェノール系化合物の分子内にはその立体配置ないし結晶構造により空隙が存在し、この空隙が熱変動による炭素−炭素間距離の伸長・収縮を吸収するために樹脂硬化物全体の線膨張率が相対的に小さくなると考察される。
本発明者等は、エポキシ樹脂と式1で表されるフェノール系化合物とを等量比が1:1となるように(つまりエポキシ樹脂のエポキシ基の数と式1で表されるフェノール系化合物の水酸基の数とが一致するように)配合しても反応が100%進まず、前記フェノール系化合物に未反応の水酸基が残存するという知見を得た。この知見から、前記フェノール系化合物を含有する樹脂硬化物をジメチルアミンボランで処理したときに、樹脂硬化物の表面に位置する前記フェノール系化合物の残存水酸基が例えばアミノ基で置換される等して前記フェノール系化合物にアミノ基が導入されると考察される。
なお、前記フェノール系化合物にアミノ基が導入される態様としては、フェノール系化合物の水酸基が直接アミノ基で置換されること以外に、例えば、ジメチルアミンボランが分解し、生成した断片でフェノール系化合物の水酸基が置換され、その断片にアミノ基が備わっていることにより、フェノール系化合物にアミノ基が導入される態様、あるいは、ジメチルアミンボランが分解することなく前記フェノール系化合物の空隙に嵌り込み、ジメチルアミンボラン自体にアミノ基が備わっていることにより、フェノール系化合物にアミノ基が導入される態様等が挙げられる。なお、ここで、アミノ基は、−NH、−NHR、−NRR’であることはいうまでもない。
本発明者等は、式1で表されるフェノール系化合物を硬化剤として用いても、その樹脂硬化物をジメチルアミンボランで処理しなかったときは、化学メッキを行っても、金属被膜が形成されないことを見出した。また、樹脂硬化物をジメチルアミンボランで処理しても、その樹脂硬化物が式1で表されるフェノール系化合物以外のフェノール系化合物、例えば式2で表されるフェノール系化合物を硬化剤として用いた樹脂硬化物であるときは、同様に、化学メッキを行っても、金属被膜が形成されないことを見出した。これらのことから、樹脂硬化物の表面に位置するフェノール系化合物の分子内にメッキ触媒の金属イオンないし金属原子を収容するのに適正な大きさの空隙が存在すること、及び、樹脂硬化物の表面に位置するフェノール系化合物にアミノ基が導入されること、の2つの要素が相俟って初めてメッキ触媒の樹脂硬化物表面への固定化が促進され、このメッキ触媒を核として形成される化学メッキの金属被膜の樹脂硬化物表面への密着性が向上するものと考察される。
式1で表されるフェノール系化合物は、例えば、式3に示すように、グリオキサールとフェノールとを酸性触媒下で縮合反応させることにより得ることができる。式1において、nは1,2,3又は4である。nが5以上になると、取り扱いが困難となり、また硬化前の状態においてエポキシ樹脂との相溶性が低下するため、硬化剤として用いることが困難となる。
なお、式3に示す反応によって式1で表されるフェノール系化合物を得ることができるが、反応条件によっては同時に多くの副生成物が生じる場合がある。しかし、その場合でも、反応生成物の中から式1で表されるフェノール系化合物のみを精製して使用する必要はなく、副生成物を含めて使用することができる。
式1で表されるフェノール系化合物は、例えば、明和化成社製の商品名「MEH−7600−4H」にて市場で商業的に入手することもできる。
前記フェノール系化合物に非結合電子対を有するアミノ基を導入するためには、ジメチルアミンボラン(DMAB:(CHNHBH)の他に、例えば、ジエチルアミンボラン(DEAB:(CHCHNHBH)、トリメチルアミンボラン(TMAB:(CHNBH)、トリエチルアミンボラン(TEAB:(CHCHNBH)等のアルキルアミンボランや、他の一般の1級〜3級アミン類等のアミン系化合物が好ましく使用可能と推測される。これらのアミン系化合物で前記フェノール系化合物を含有する樹脂硬化物を処理したときにも、樹脂硬化物の表面に位置する前記フェノール系化合物に非結合電子対を有する(つまり配位能・還元能を有する)アミノ基が導入されるものと推測される。これらのアミン系化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂としては、特に限定されない。具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、アラルキルエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。さらに、難燃性を付与するために臭素化又はリン変性した前記エポキシ樹脂、窒素含有の前記エポキシ樹脂、シリコーン含有の前記エポキシ樹脂等も挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂の硬化剤として、式1で表されるフェノール系化合物に加えて、例えば、ジシアンジアミド、酸無水物系硬化剤、アミノトリアジンノボラック系硬化剤、シアネート樹脂、難燃性を付与するためリン変性したシアネート樹脂等の他の一般の硬化剤を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、例えば、イミダゾール系の硬化触媒を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂と式1で表されるフェノール系化合物との配合比は、等量比で1:1でも構わないが、未反応の水酸基を前記フェノール系化合物に確実に残すという観点からは、エポキシ樹脂のエポキシ基の数よりも前記フェノール系化合物の水酸基の数のほうが多くなるように配合することが好ましい。例えば、エポキシ樹脂のエポキシ基の数:前記フェノール系化合物の水酸基の数(すなわち等量比)が、1:1.2〜1:1.5等が好ましい。未反応の水酸基が過度に多く残存すると、樹脂硬化物の機械的特性(耐熱性等)が低下する傾向となる。
樹脂硬化物としては、エポキシ樹脂の硬化物に限定されない。式1で表されるフェノール系化合物を含有する限り、他の一般の樹脂硬化物でもよい。具体的には、例えば、アクリル樹脂の硬化物、ポリカーボネート樹脂の硬化物、ポリイミド樹脂の硬化物、ポリフェニレンスルフィド樹脂の硬化物、ポリフェニレンエーテル樹脂の硬化物、シアネート樹脂の硬化物、ベンゾオキサジン樹脂の硬化物、ABS樹脂の硬化物、ビスマレイミド樹脂の硬化物等が挙げられる。
樹脂硬化物がエポキシ樹脂硬化物以外の他の一般の樹脂硬化物である場合、式1で表されるフェノール系化合物の含有量は、樹脂硬化物中の水酸基の量(数)と樹脂硬化物の機械的特性(耐熱性等)とのバランスを図る観点から、例えば、樹脂硬化物中、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましく、10〜15質量%がさらに好ましい。
樹脂硬化物の形態としては、特に限定されない。具体的には、例えば、シート、フィルム、三次元形状の複合体や成形体等が挙げられる。樹脂硬化物の大きさや厚みも、特に限定されない。具体的には、例えば、縦横の大きさが数mm〜数cm〜数10cm〜数mでもよく、厚みが数μm〜数mm〜数cmでもよい。
樹脂硬化物は、フィラーを含有していてもよい。前記フィラーとしては、無機微粒子であっても、有機微粒子であってもよく、特に限定されない。ガラス繊維であってもよい。フィラーを含有することで、樹脂硬化物の所望の機械的特性が得られる。
前記無機微粒子を構成する材料としては、具体的には、例えば、酸化アルミニウム(Al)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、シリカ(SiO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、酸化チタン(TiO)等の高誘電率充填材;ハードフェライト等の磁性充填材;水酸化マグネシウム(Mg(OH))、水酸化アルミニウム(Al(OH))、三酸化アンチモン(Sb)、五酸化アンチモン(Sb)、グアニジン塩、ホウ酸亜鉛、モリブテン化合物、スズ酸亜鉛等の無機系難燃剤;タルク(Mg(Si10)(OH))、硫酸バリウム(BaSO)、炭酸カルシウム(CaCO)、雲母等が挙げられる。前記無機微粒子としては、上記無機微粒子を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの無機微粒子は、熱伝導性、比誘電率、難燃性、粒度分布、色調の自由度等が高いことから、所望の機能を選択的に発揮させる場合には、適宜配合及び粒度設計を行って、容易に高充填化を行うことができる。また、特に限定はされないが、樹脂硬化物の厚み以下の平均粒径のフィラーを用いるのが好ましく、更には0.01μm〜10μm、更に好ましくは、0.05μm〜5μmの平均粒径のフィラーを用いるのがよい。
樹脂硬化物は、前記無機微粒子の、樹脂硬化物中での分散性を高めるために、分散剤を含有してもよい。前記分散剤としては、特に限定されない。具体的には、例えば、アルキルエーテル系、ソルビタンエステル系、アルキルポリエーテルアミン系、高分子系等の分散剤等が挙げられる。前記分散剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記有機微粒子としては、具体的には、例えば、ゴム微粒子等が挙げられる。
メッキ触媒の触媒金属は、パラジウム(Pd)が好ましいが、特に限定されず、他の金属、例えば、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)等の他の貴金属でもよい。
化学メッキで樹脂硬化物表面に形成される金属被膜としてのメッキ被膜の被膜金属は、特に限定されず、例えば、銅やニッケル、スズ、アルミニウム等が挙げられる。これらのうちでは、例えば、製品に回路を形成して導電性を付与する場合は、銅を主成分とするメッキが導電性に優れている点から好ましい。また、ニッケルを含むメッキは、耐食性や半田との密着性に優れている点から好ましい。
図1(A)は、本実施形態に係る樹脂硬化物複合体1を示す斜視図、図1(B)は、本実施形態に係るメッキ処理された樹脂硬化物複合体2を示す斜視図である。樹脂硬化物複合体1は、式1で表されるフェノール系化合物を含有する第1の樹脂硬化物10と、この第1の樹脂硬化物10に対接して設けられ、式1で表されるフェノール系化合物を含有しない第2の樹脂硬化物20とを有し、第1の樹脂硬化物10が第2の樹脂硬化物20で被覆されずに露出している部分30が設けられている。縦横の大きさは数cm〜数10cm、厚みは数cmである。
第1の樹脂硬化物10は、例えば、エポキシ樹脂に、式1で表されるフェノール系化合物を硬化剤として配合し、加熱することにより得られたエポキシ樹脂硬化物である。あるいは、第1の樹脂硬化物10は、式1で表されるフェノール系化合物を含有するアクリル樹脂硬化物やABS樹脂硬化物等の他の一般の樹脂硬化物である。
これに対し、第2の樹脂硬化物20は、例えば、エポキシ樹脂に、式1で表されるフェノール系化合物以外のフェノール系化合物、例えば式2で表されるフェノール系化合物を硬化剤として配合し、加熱することにより得られたエポキシ樹脂硬化物である。あるいは、第2の樹脂硬化物20は、式1で表されるフェノール系化合物を含有しないアクリル樹脂硬化物やABS樹脂硬化物等の他の一般の樹脂硬化物である。
第2の樹脂硬化物20は、例えば、硬化される前の樹脂組成物の状態で第1の樹脂硬化物10の上に全面的に塗布された後、硬化され、得られた硬化物が部分的に除去されることにより、第1の樹脂硬化物10の露出部分30が設けられたものでもよい。あるいは、第2の樹脂硬化物20は、例えば、硬化される前の樹脂組成物の状態で第1の樹脂硬化物10の上に部分的に塗布された後、硬化されることにより、第1の樹脂硬化物10の露出部分30が設けられたものでもよい。また、第2の樹脂硬化物20は、例えば、硬化された後の硬化物の状態で第1の樹脂硬化物10の上に接着等の手法により全面的に積層された後、部分的に除去されることにより、第1の樹脂硬化物10の露出部分30が設けられたものでもよい。あるいは、第2の樹脂硬化物20は、例えば、硬化された後の硬化物の状態で第1の樹脂硬化物10の上に接着等の手法により部分的に積層されることにより、第1の樹脂硬化物10の露出部分30が設けられたものでもよい。
図2を参照して、本実施形態に係る樹脂硬化物複合体1のメッキ方法を段階的に説明する。
図2(A)は、樹脂硬化物複合体1における第1の樹脂硬化物10の露出部分30を示している。より詳しくは、式1で表されるフェノール系化合物を含有する第1の樹脂硬化物10の表面のメッキ前の状態を拡大して概念的に示している。第1の樹脂硬化物10の表面に位置する前記フェノール系化合物の水酸基が第1の樹脂硬化物10の表面に存在している。
樹脂硬化物複合体1をアミン系化合物と接触させることにより、第1の樹脂硬化物10の表面に位置する前記フェノール系化合物の水酸基が例えばアミノ基で置換される等して前記フェノール系化合物にアミノ基が導入される。この状態を図2(B)に拡大して概念的に示している。
樹脂硬化物複合体1をアミン系化合物と接触させるためには、具体的には、例えば、樹脂硬化物複合体1をアミン系化合物の溶液に所定時間(例えば数分〜数10分)浸漬すればよい。溶液中のアミン系化合物の濃度は数質量%(例えば1〜5質量%)、溶液温度は室温程度(例えば25〜35℃)でよい。その他、樹脂硬化物複合体1の表面、特に第1の樹脂硬化物10の表面にアミン系化合物の溶液をスプレー、シャワー、液流ししてもよい。
次いで、この樹脂硬化物複合体1をメッキ触媒の金属イオン(例えばパラジウムイオン等)と接触させることにより、前記フェノール系化合物に導入されたアミノ基をその配位能により前記金属イオンに配位させて、前記金属イオンを第1の樹脂硬化物10の表面に捕捉する。この状態を図2(C)に拡大して概念的に示している。
樹脂硬化物複合体1をメッキ触媒の金属イオンと接触させるためには、具体的には、例えば、樹脂硬化物複合体1をメッキ触媒の金属の溶液(触媒液)に所定時間(例えば数分〜数10分)浸漬すればよい。溶液中のメッキ触媒の金属の濃度は1質量%以下(例えば0.01〜0.5質量%)、溶液温度は室温程度(例えば25〜35℃)でよい。また、溶液のpHは1〜2程度に調整する。その他、樹脂硬化物複合体1の表面、特に第1の樹脂硬化物10の表面に触媒液をスプレー、シャワー、液流ししてもよい。
そして、補足した金属イオンは前記アミノ基の還元能により金属原子に還元される。この状態を図2(D)に拡大して概念的に示している。
次いで、還元した金属原子をメッキ触媒として化学メッキを行うことにより、第1の樹脂硬化物10の表面に金属被膜40(例えば0.01〜0.05μm程度の膜厚)が形成される。つまり、メッキ処理された樹脂硬化物複合体2が得られる。この場合の化学メッキは、従来実施される化学メッキを特に限定なく採用できる。メッキ処理温度は例えば50〜60℃、メッキ処理時間は例えば15〜20分程度でよい。この状態を図2(E)に拡大して概念的に示している。また、図1(B)に、図1(A)に示した樹脂硬化物複合体1において、第1の樹脂硬化物10の露出部分30の表面に金属被膜40が形成された状態、つまりメッキ処理された樹脂硬化物複合体2を示している。
なお、樹脂硬化物複合体1をアミン系化合物と接触させる前に、第1の樹脂硬化物10の表面を例えばサンドペーパー等で軽く研磨しておくことが好ましい。第1の樹脂硬化物10の表面に位置する前記フェノール系化合物の水酸基を確実に露出させてその水酸基を第1の樹脂硬化物10の表面に確実に存在させるためである。
また、樹脂硬化物複合体1をアミン系化合物と接触させた後に、樹脂硬化物複合体1の表面、特に第1の樹脂硬化物10の表面を例えば酸性液(数%の塩酸溶液等)で洗浄することが好ましい。第1の樹脂硬化物10の表面に残る未反応のアミン系化合物を除去するためである。洗浄温度は25〜30℃、洗浄時間は10分程度でよい。
同様に、樹脂硬化物複合体1をメッキ触媒の金属イオンと接触させた後に、樹脂硬化物複合体1の表面、特に第1の樹脂硬化物10の表面を例えば酸性液(数%の塩酸溶液等)で洗浄することが好ましい。第1の樹脂硬化物10の表面に残る未捕捉のメッキ触媒の金属イオンを除去するためである。洗浄温度は25〜30℃、洗浄時間は10分程度でよい。
また、形成された金属被膜40の上に、さらに厚膜(例えば10μm以上の膜厚)の化学メッキを行ってもよい。あるいは、形成された金属被膜40の上に、電解メッキを行って厚膜(例えば100μm以上の膜厚)の金属被膜を形成してもよい。
ところで、近年、携帯電話をはじめとする携帯情報端末機器、コンピュータ及びその周辺機器、各種情報家電製品等の電気機器においては、高機能化が急速に進行している。それに伴い、これらの電気機器に搭載される回路基板には回路の高密度化・高微細化がますます要求されている。このような高密度化・高微細化された回路を実現するために、より狭い線幅及びより狭い線間隔(ピッチ)を有する回路を高精度に形成する方法が求められている。高密度化・高微細化された回路においては、配線間における短絡やマイグレーションが発生し易くなる。
図3を参照して、本実施形態に係るメッキ方法を用いて、本実施形態に係るメッキ処理された樹脂硬化物複合体2の具体的1例として回路基板を製造する方法を段階的に説明する。
図3(A)は、例えばガラスエポキシ積層板等のような基板50の上に第1の樹脂硬化物10を形成した状態を示している。第1の樹脂硬化物10は、例えば、エポキシ樹脂に、式1で表されるフェノール系化合物を硬化剤として配合して得られた第1の樹脂組成物、あるいはアクリル樹脂やABS樹脂等の他の一般の樹脂に、式1で表されるフェノール系化合物を含有させて得られた第1の樹脂組成物を、基板50の片面に全面的に塗布した後、硬化させることにより得られる。第1の樹脂硬化物10の厚みは、例えば10〜200μm程度である。
次いで、図3(B)は、第1の樹脂硬化物10の上に第2の樹脂硬化物20を形成した状態を示している。第2の樹脂硬化物20は、例えば、エポキシ樹脂に、式1で表されるフェノール系化合物以外のフェノール系化合物、例えば式2で表されるフェノール系化合物を硬化剤として配合して得られた第2の樹脂組成物、あるいはアクリル樹脂やABS樹脂等の他の一般の樹脂に、式1で表されるフェノール系化合物を含有させないで得られた第2の樹脂組成物を、第1の樹脂硬化物10の上に全面的に塗布した後、硬化させることにより得られる。第2の樹脂硬化物20の厚みは、例えば10〜50μm程度である。
次いで、図3(C)は、第1の樹脂硬化物10が第2の樹脂硬化物20で被覆されずに露出している部分30を形成した状態を示している。つまり、本実施形態に係る樹脂硬化物複合体1が得られた状態である。ここで、第1の樹脂硬化物10の露出部分30は回路パターンを形成している。したがって、この第1の樹脂硬化物10の露出部分30の表面に化学メッキにより金属被膜40が形成されることによって、回路基板の回路が形成されることになる。回路パターンは、主として配線用の溝を含むが、例えば電極用パッド用の穴や層間接続用の孔を含んでもよい。
第1の樹脂硬化物10の露出部分30は、例えば、レーザー加工、ダイシング加工、型押し加工等の機械的又は光学的手法を用いて形成することができる。その場合、第2の樹脂硬化物20の外表面側から、第2の樹脂硬化物20の厚み以上の深さの溝、穴、孔を形成する。図3(C)は、第2の樹脂硬化物20の厚みを超える深さの溝等を形成した場合を示している。その結果、第1の樹脂硬化物10の露出部分30においては、第1の樹脂硬化物10には所定深さの溝が形成されている。一方、第2の樹脂硬化物20の厚みと同じ深さの溝等を形成した場合は、第1の樹脂硬化物10の露出部分30においては、第1の樹脂硬化物10には溝が形成されない。
高密度化・高微細化された回路を高精度に形成するためには、レーザー加工が好ましい。レーザー加工によれば、レーザーの出力を制御することにより、回路パターンの掘り込み深さ等を容易に調整することができる。回路パターンにおける配線用の溝の幅は特に限定されないが、レーザー加工を用いた場合は、例えば、線幅20μm以下のような微細な溝を、50μm以下の狭い線間隔で容易に形成できる。
レーザー加工としては、例えば、炭酸ガスレーザー、エキシマレーザー、UV−YAGレーザー等が好ましく用いられる。これらのうちでは、UV−YAGレーザーが微細加工に好適である。
レーザー加工により回路パターンを形成する場合は、第2の樹脂硬化物20及び第1の樹脂硬化物10としては、100nm〜400nm波長領域でのレーザー光の吸収率が良い樹脂を用いることが好ましい。例えば、具体的には、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
なお、レーザー加工を行うと、第1の樹脂硬化物10の露出部分30の上に、第2の樹脂硬化物20の残渣であるスミアが残る。スミアは導通不良の原因となるため、デスミア処理により除去することが好ましい。デスミア処理としては、例えば、過マンガン酸溶液に浸漬することによりスミアを溶解除去する等の公知の方法が限定なく用いられる。ただし、状況に応じて、サンドブラストを用いてデスミア処理をしたり、あるいはデスミア処理を省略してもよい。
型押し加工としては、例えば、ナノインプリントの分野において用いられるような微細樹脂型による型押し加工等が好ましく用いられる。
次いで、図3(D)は、第1の樹脂硬化物10の露出部分30の表面にメッキ触媒60を形成した状態を示している。つまり、樹脂硬化物複合体1をアミン系化合物と接触させて第1の樹脂硬化物10の露出部分30の表面にアミノ基を導入した後、樹脂硬化物複合体1をメッキ触媒60の金属イオンと接触させて第1の樹脂硬化物10の露出部分30の表面に前記金属イオンを捕捉し金属原子に還元した状態である。
次いで、図3(E)は、第1の樹脂硬化物10の露出部分30の表面に化学メッキにより金属被膜40を形成した状態を示している。つまり、メッキ触媒60を核として化学メッキを行って本実施形態に係るメッキ処理された樹脂硬化物複合体2が得られた状態である。これにより、回路が形成されて回路基板が製造される。
以上説明したように、本実施形態に係る樹脂硬化物複合体1のメッキ方法は、式1で表されるフェノール系化合物を含有する第1の樹脂硬化物10と、この第1の樹脂硬化物10に対接して設けられ、前記フェノール系化合物を含有しない第2の樹脂硬化物20とを有し、前記第1の樹脂硬化物10が前記第2の樹脂硬化物20で被覆されずに露出している部分30が設けられている樹脂硬化物複合体1を、ジメチルアミンボラン等のアミン系化合物と接触させる工程と、樹脂硬化物複合体1をパラジウム等のメッキ触媒60の金属イオンと接触させることにより、前記金属イオンを第1の樹脂硬化物10の露出部分30の表面で金属原子に還元する工程と、還元した金属原子をメッキ触媒60として化学メッキを行うことにより、第1の樹脂硬化物10の露出部分30の表面に金属被膜40を形成する工程と、を有することを特徴としている。これにより、メッキの核となるメッキ触媒60が樹脂硬化物複合体1の表面、特に第1の樹脂硬化物10の露出部分30の表面に固定化するのを促進するための専用の層を別途形成することなく、化学メッキで形成された金属被膜40の樹脂硬化物複合体1の表面、特に第1の樹脂硬化物10の露出部分30の表面に対する密着性の向上を図ることができる。そして、製品の性能・機能にとって本来不要な層を別途形成することによる製品の製造工程が長くなることを抑制できる。また、そのような層を形成することで製品の品質が低下する虞が軽減される。
本実施形態に係る樹脂硬化物複合体1のメッキ方法は、第1の樹脂硬化物10をエポキシ樹脂の硬化物とし、前記フェノール系化合物をエポキシ樹脂の硬化剤として含有したときには、エポキシ樹脂硬化物に本来必要な硬化剤を利用して金属被膜40の第1の樹脂硬化物10の露出部分30の表面への密着性の向上を図ることができるから、無駄のない合理的なメッキ方法となる。また、第1の樹脂硬化物10は本来必要な成分のみ含有するから、製品の性能・機能に悪影響を及ぼすことが抑制され、製品の品質低下の虞が軽減される。
本実施形態に係る樹脂硬化物複合体1のメッキ方法は、アミン系化合物としてジメチルアミンボランを用いたときには、その高い還元性により、前記フェノール系化合物にアミノ基を確実に導入することができる。また、導入されたアミノ基によるメッキ触媒60の金属イオンへの配位ないしその金属イオンの捕捉及び金属原子への還元が確実に行われる。
本実施形態に係る樹脂硬化物複合体1のメッキ方法は、第1の樹脂硬化物10の露出部分30が回路パターンを形成しているときには、回路基板の回路が形成されて回路基板が製造されることになる。その場合、金属被膜40は、第1の樹脂硬化物10の露出部分30の表面にのみ形成され、第2の樹脂硬化物20の外表面側、つまり樹脂硬化物複合体1の外表面側までは至らない。したがって、狭い線間隔で線幅が狭い配線を複数本形成するような高密度化・高微細化された回路においても、隣接する配線間に不要な金属被膜が残らず、配線間における短絡やマイグレーションの発生を抑制することができる。
本実施形態に係る樹脂硬化物複合体1(図1(A)参照)は、式1で表されるフェノール系化合物を含有する第1の樹脂硬化物10と、この第1の樹脂硬化物10に対接して設けられ、前記フェノール系化合物を含有しない第2の樹脂硬化物20とを有し、前記第1の樹脂硬化物10が前記第2の樹脂硬化物20で被覆されずに露出している部分30が設けられていることを特徴としている。これにより、以上のようなメッキ方法に好適に用いられる。
本実施形態に係るメッキ処理された樹脂硬化物複合体2(図1(B)参照)は、以上のようなメッキ方法で第1の樹脂硬化物10の露出部分30の表面に金属被膜40が形成されているので、第1の樹脂硬化物10の露出部分30の表面へのメッキ触媒60の固定化を促進するための専用の層が別途形成されておらず、かつ、化学メッキで形成された金属被膜40の第1の樹脂硬化物10の露出部分30の表面に対する密着性が向上している。そして、製品の性能・機能にとって本来不要な層が別途形成されていないから、製品の性能・機能は悪影響を受けておらず、製品の品質は維持されている。本実施形態に係るメッキ処理された樹脂硬化物複合体2は、回路基板の他、例えば、製品に回路が形成されて導電性が付与された家電製品や、製品に金属光沢等の装飾性あるいは耐食性が付与された自動車部品等に好ましく用いられる。
本実施形態に係る樹脂硬化物複合体1のメッキ方法において、形成された金属被膜40の上に、さらに厚膜の化学メッキを行ったり、あるいは電解メッキを行って、厚膜の金属被膜を形成したときには、メッキ処理された樹脂硬化物複合体2の製品としての用途の拡大が図られる。
以下、本発明を実施例を通してさらに具体的に説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施例により何ら限定されて解釈されるものではない。
エポキシ樹脂として、多官能エポキシ樹脂(DIC社製の「EPPN−502H」)を用い、硬化剤として、式1で表されるフェノール系化合物(明和化成社製の「MEH−7600−4H」)を用い、これらを等量比(エポキシ樹脂のエポキシ基の数:前記フェノール系化合物の水酸基の数)が1:1.5となるように配合した。樹脂成分の総量に対して、硬化触媒として、0.03質量%のイミダゾール化合物(四国化成社製の「2E4MZ」)を添加した。得られた第1の樹脂組成物を市販の基板(パナソニック電工社製のガラスエポキシ積層板「R−1705」)の片面に100μmの厚みに全面的に塗布した。塗布後、180℃で、1時間、加熱して硬化させることにより、基板上に第1の樹脂硬化物(エポキシ樹脂硬化物)を形成した。
次に、エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型臭素化エポキシ樹脂(DOW社製の「DER514」)を用い、硬化剤として、式2で表されるフェノール系化合物(明和化成社製の「MEH−7600H」)を用い、これらを等量比(エポキシ樹脂のエポキシ基の数:前記フェノール系化合物の水酸基の数)が1:1となるように配合した。樹脂成分の総量に対して、硬化触媒として、0.05質量%のイミダゾール化合物(四国化成社製の「2E4MZ」)を添加した。得られた第2の樹脂組成物を第1の樹脂硬化物の上に35μmの厚みに全面的に塗布した。塗布後、170℃で、1時間、加熱して硬化させることにより、第1の樹脂硬化物上に第2の樹脂硬化物(エポキシ樹脂硬化物)を形成した。
得られた樹脂硬化物複合体の第2の樹脂硬化物の外表面側から、炭酸ガスレーザーを用いてレーザー加工することにより、深さ50μm、線幅20μmの溝を、50μmの線間隔で複数本形成した。これにより、溝の部分においては、第2の樹脂硬化物が除去され、第1の樹脂硬化物が露出した。この第1の樹脂硬化物の露出部分においては、第1の樹脂硬化物には深さ15μmの溝が形成された。
サンドブラストを用いてデスミア処理をした後、樹脂硬化物複合体をジメチルアミンボランの1質量%溶液(30℃)に15分間浸漬した。樹脂硬化物複合体の表面を水洗いした後、30℃の3%塩酸溶液で、10分間、酸洗浄を行い、さらに水洗いした。
次いで、樹脂硬化物複合体を塩化パラジウムの0.02質量%溶液(触媒液、35℃、pH:1〜2)に15分間浸漬した。樹脂硬化物複合体の表面を水洗いした後、30℃の3%塩酸溶液で、10分間、酸洗浄を行い、さらに水洗いした。
次いで、樹脂硬化物複合体を無電解銅メッキ液(上村工業社製の「スルカップELC−SP」)に浸漬することにより、樹脂硬化物複合体(特に第1の樹脂硬化物の露出部分)に化学メッキを施した。建浴温度(メッキ処理温度)は50℃、メッキ処理時間は20分とした。その結果、樹脂硬化物複合体における第1の樹脂硬化物の露出部分の表面に銅の被膜(厚み:約0.03μm)が欠けることなく均一厚みに密着性よく良好に形成された。
さらに、樹脂硬化物複合体を厚膜用の無電解銅メッキ液(上村工業社製の「スルカップPSY」)に浸漬することにより、形成された銅の被膜の上に化学メッキを施した。建浴温度(メッキ処理温度)は35℃、メッキ処理時間は30分とした。その結果、最初に形成された銅の被膜の上にさらに厚膜の銅の被膜(厚み:約15μm)が形成された。これにより、第1の樹脂硬化物の露出部分において、第1の樹脂硬化物に形成された溝が銅メッキで埋まった。ただし、銅メッキは、第2の樹脂硬化物の外表面側、つまり樹脂硬化物複合体の外表面側までは至らなかった。
1 樹脂硬化物複合体
2 メッキ処理された樹脂硬化物複合体
10 第1の樹脂硬化物
20 第2の樹脂硬化物
30 第1の樹脂硬化物の露出部分
40 金属被膜
50 基板
60 メッキ触媒

Claims (6)

  1. 式1で表されるフェノール系化合物を含有する第1の樹脂硬化物と、この第1の樹脂硬化物に対接して設けられ、前記フェノール系化合物を含有しない第2の樹脂硬化物とを有し、前記第1の樹脂硬化物が前記第2の樹脂硬化物で被覆されずに露出している部分が設けられている樹脂硬化物複合体を、アミン系化合物と接触させる工程と、
    前記樹脂硬化物複合体をメッキ触媒の金属イオンと接触させることにより、前記金属イオンを前記第1の樹脂硬化物の露出部分の表面で金属原子に還元する工程と、
    還元した金属原子をメッキ触媒として化学メッキを行うことにより、前記第1の樹脂硬化物の露出部分の表面に金属被膜を形成する工程と、
    を有することを特徴とする樹脂硬化物複合体のメッキ方法。
  2. 第1の樹脂硬化物はエポキシ樹脂の硬化物であり、前記フェノール系化合物はエポキシ樹脂の硬化剤として含有されたものであることを特徴とする請求項1に記載のメッキ方法。
  3. アミン系化合物はジメチルアミンボランであることを特徴とする請求項1又は2に記載のメッキ方法。
  4. 第1の樹脂硬化物の露出部分は回路パターンを形成していることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のメッキ方法。
  5. 式1で表されるフェノール系化合物を含有する第1の樹脂硬化物と、
    この第1の樹脂硬化物に対接して設けられ、前記フェノール系化合物を含有しない第2の樹脂硬化物とを有し、
    前記第1の樹脂硬化物が前記第2の樹脂硬化物で被覆されずに露出している部分が設けられていることを特徴とする樹脂硬化物複合体。
  6. 請求項1から4のいずれか1項に記載のメッキ方法で第1の樹脂硬化物の露出部分の表面がメッキされたことを特徴とするメッキ処理された樹脂硬化物複合体。
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