JP2011174104A - 樹脂硬化物のメッキ方法及びそのメッキ方法でメッキ処理された樹脂硬化物 - Google Patents

樹脂硬化物のメッキ方法及びそのメッキ方法でメッキ処理された樹脂硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】金属被膜の被メッキ物に対する密着性が向上した化学メッキを提供する。
【解決手段】樹脂硬化物のメッキ方法は、式1で表されるフェノール系化合物を含有する樹脂硬化物10をアミン系化合物と接触させる工程と、樹脂硬化物10をメッキ触媒の金属イオンと接触させることにより金属イオンを樹脂硬化物10の表面で金属原子に還元する工程と、還元した金属原子をメッキ触媒として化学メッキを行うことにより樹脂硬化物10の表面に金属被膜20を形成する工程とを有する。
【化1】

【選択図】図2

Description

本発明は、樹脂硬化物のメッキ方法及びそのメッキ方法でメッキ処理された樹脂硬化物に関し、化学メッキの技術分野に属する。
従来、家電製品や自動車部品等に用いられる樹脂部材やセラミック部材等の絶縁体の表面に導電性や装飾性等を付与する方法として化学メッキが知られている。化学メッキは無電解メッキとも称され、およそ次のようにして行われる。まず、パラジウム等のメッキ触媒の金属イオンを含有した触媒液に被メッキ物を浸漬することにより、被メッキ物の表面にメッキ触媒を被着させる。その後、銅等のメッキ被膜の金属イオンを含有したメッキ液に被メッキ物を浸漬することにより、前記メッキ触媒を核として被メッキ物の表面にメッキ金属を析出させて金属被膜を形成する。このような化学メッキは回路基板の回路形成等にも広く用いられている。
近年、化学メッキで形成された金属被膜の被メッキ物に対する密着性の向上が望まれている。そのためにはメッキの核となるメッキ触媒が被メッキ物表面に固定化するのを促進することが重要である。そのための技術として適用し得る発明が特許文献1〜3に記載されている。すなわち、特許文献1,2には、絶縁基板等の化学メッキ用基体の面に、キレート形成能を有する基を含んだ樹脂層を形成することが記載されている。また、特許文献3には、基材上に、触媒金属を吸着できる塗膜層を形成することが記載されている。
特開昭50−140860号公報 特開昭50−141535号公報 特開2008−190026号公報(段落0013)
特許文献1,2に記載の発明によれば、メッキ触媒がキレート形成能を有する基に捕捉されることによって、メッキ触媒の樹脂層への固定化ひいては基体への固定化が促進されると考えられる。また、特許文献3に記載の発明によれば、触媒金属が塗膜層に吸着されることによって、触媒金属の基材への固定化が促進されると考えられる。しかし、これらの発明においては、被メッキ物の表面に前記樹脂層や前記塗膜層を別途形成する必要があり、製品の製造工程が長くなる。また、前記樹脂層や前記塗膜層は製品の性能・機能にとって本来不要なものであり、このような樹脂層や塗膜層を形成することで製品の品質が低下する虞がある。
本発明は、メッキ触媒の被メッキ物表面への固定化を促進するための専用の層を別途形成することなく、化学メッキで形成された金属被膜の被メッキ物に対する密着性の向上を図ることを課題とする。
前記課題を解決するための第1の発明は、式1で表されるフェノール系化合物を含有する樹脂硬化物を、アミン系化合物と接触させる工程と、前記樹脂硬化物をメッキ触媒の金属イオンと接触させることにより、前記金属イオンを前記樹脂硬化物の表面で金属原子に還元する工程と、還元した金属原子をメッキ触媒として化学メッキを行うことにより、前記樹脂硬化物の表面に金属被膜を形成する工程と、を有することを特徴とする樹脂硬化物のメッキ方法である。
第2の発明は、前記メッキ方法において、樹脂硬化物はエポキシ樹脂の硬化物であり、前記フェノール系化合物はエポキシ樹脂の硬化剤として含有されたものであることを特徴とするものである。
第3の発明は、前記メッキ方法において、アミン系化合物はジメチルアミンボラン((CHNHBH)であることを特徴とするものである。
第4の発明は、前記メッキ方法で表面がメッキされたことを特徴とするメッキ処理された樹脂硬化物である。
本発明によれば、メッキの核となるメッキ触媒が被メッキ物(樹脂硬化物)表面に固定化するのを促進するための専用の層を別途形成することなく、化学メッキで形成された金属被膜の被メッキ物(樹脂硬化物)に対する密着性の向上を図ることができる。
図1(A)は、本発明の実施形態に係る樹脂硬化物の1例を示す斜視図、図1(B)は、本発明の実施形態に係るメッキ処理された樹脂硬化物の1例を示す斜視図である。 図2(A)〜図2(E)は、本発明の実施形態に係る樹脂硬化物のメッキ方法を段階的に拡大して示す概念図である。
本発明者等は、例えば、絶縁基材に搭載された半導体チップを封止するための封止樹脂や、回路基板の絶縁性樹脂として汎用されるエポキシ樹脂に着目し、エポキシ樹脂の硬化物に化学メッキを施す方法の改良に鋭意研究検討を重ねていたところ、式1で表されるフェノール系化合物を硬化剤として用い、かつ、そのエポキシ樹脂の硬化物をジメチルアミンボランで処理したときに、その樹脂硬化物をパラジウム等のメッキ触媒の金属イオンと接触させ、次いで銅等のメッキ被膜の金属イオンと接触させて化学メッキを行うと、密着性に優れた金属被膜が樹脂硬化物の表面に良好に形成されることを見出して本発明を完成したものである。
その理由は、およそ次のようなことに起因すると考察される。
1つは、前記フェノール系化合物がその立体配置ないし結晶構造によりパラジウム等のメッキ触媒の金属イオンないし金属原子を収容するのに適正な大きさの空隙をその分子内に有しているからと考えられる。その結果、前記フェノール系化合物を含有する樹脂硬化物をパラジウム等のメッキ触媒の金属イオンと接触させたときに、樹脂硬化物の表面に位置する前記フェノール系化合物の前記空隙内にメッキ触媒の金属イオンないし金属原子が良好に収容される。これにより、メッキ触媒の樹脂硬化物表面への固定化が促進され、このメッキ触媒を核として形成される金属被膜の樹脂硬化物表面への密着性が向上すると考えられる。
他の1つは、ジメチルアミンボランが前記フェノール系化合物にアミノ基を導入するからと考えられる。その結果、前記フェノール系化合物を含有する樹脂硬化物をジメチルアミンボランで処理したときに、樹脂硬化物の表面に位置する前記フェノール系化合物に非結合電子対を有する(つまり配位能・還元能を有する)アミノ基が導入される。次いで、この樹脂硬化物をパラジウム等のメッキ触媒の金属イオンと接触させたときに、前記アミノ基がパラジウム等のメッキ触媒の金属イオンに配位して金属イオンを捕捉し、かつ金属イオンを金属原子に還元する。これにより、メッキ触媒の樹脂硬化物表面への固定化が促進され、このメッキ触媒を核として形成される金属被膜の樹脂硬化物表面への密着性が向上すると考えられる。
本発明者等は、前記フェノール系化合物を硬化剤として用いたエポキシ樹脂硬化物の線膨張率が、他のフェノール系化合物、例えば式2で表されるフェノール系化合物を硬化剤として用いたエポキシ樹脂硬化物の線膨張率に比べて小さいという知見を得た。この知見から、式1で表されるフェノール系化合物の分子内にはその立体配置ないし結晶構造により空隙が存在し、この空隙が熱変動による炭素−炭素間距離の伸長・収縮を吸収するために樹脂硬化物全体の線膨張率が相対的に小さくなると考察される。
本発明者等は、エポキシ樹脂と式1で表されるフェノール系化合物とを等量比が1:1となるように(つまりエポキシ樹脂のエポキシ基の数と式1で表されるフェノール系化合物の水酸基の数とが一致するように)配合しても反応が100%進まず、前記フェノール系化合物に未反応の水酸基が残存するという知見を得た。この知見から、前記フェノール系化合物を含有する樹脂硬化物をジメチルアミンボランで処理したときに、樹脂硬化物の表面に位置する前記フェノール系化合物の残存水酸基が例えばアミノ基で置換される等して前記フェノール系化合物にアミノ基が導入されると考察される。
なお、前記フェノール系化合物にアミノ基が導入される態様としては、フェノール系化合物の水酸基が直接アミノ基で置換されること以外に、例えば、ジメチルアミンボランが分解し、生成した断片でフェノール系化合物の水酸基が置換され、その断片にアミノ基が備わっていることにより、フェノール系化合物にアミノ基が導入される態様、あるいは、ジメチルアミンボランが分解することなく前記フェノール系化合物の空隙に嵌り込み、ジメチルアミンボラン自体にアミノ基が備わっていることにより、フェノール系化合物にアミノ基が導入される態様等が挙げられる。なお、ここで、アミノ基は、−NH、−NHR、−NRR’であることはいうまでもない。
本発明者等は、式1で表されるフェノール系化合物を硬化剤として用いても、その樹脂硬化物をジメチルアミンボランで処理しなかったときは、化学メッキを行っても、金属被膜が形成されないことを見出した。また、樹脂硬化物をジメチルアミンボランで処理しても、その樹脂硬化物が式1で表されるフェノール系化合物以外のフェノール系化合物、例えば式2で表されるフェノール系化合物を硬化剤として用いた樹脂硬化物であるときは、同様に、化学メッキを行っても、金属被膜が形成されないことを見出した。これらのことから、樹脂硬化物の表面に位置するフェノール系化合物の分子内にメッキ触媒の金属イオンないし金属原子を収容するのに適正な大きさの空隙が存在すること、及び、樹脂硬化物の表面に位置するフェノール系化合物にアミノ基が導入されること、の2つの要素が相俟って初めてメッキ触媒の樹脂硬化物表面への固定化が促進され、このメッキ触媒を核として形成される化学メッキの金属被膜の樹脂硬化物表面への密着性が向上するものと考察される。
式1で表されるフェノール系化合物は、例えば、式3に示すように、グリオキサールとフェノールとを酸性触媒下で縮合反応させることにより得ることができる。式1において、nは1,2,3又は4である。nが5以上になると、取り扱いが困難となり、また硬化前の状態においてエポキシ樹脂との相溶性が低下するため、硬化剤として用いることが困難となる。
なお、式3に示す反応によって式1で表されるフェノール系化合物を得ることができるが、反応条件によっては同時に多くの副生成物が生じる場合がある。しかし、その場合でも、反応生成物の中から式1で表されるフェノール系化合物のみを精製して使用する必要はなく、副生成物を含めて使用することができる。
式1で表されるフェノール系化合物は、例えば、明和化成社製の商品名「MEH−7600−4H」にて市場で商業的に入手することもできる。
前記フェノール系化合物に非結合電子対を有するアミノ基を導入するためには、ジメチルアミンボラン(DMAB:(CHNHBH)の他に、例えば、ジエチルアミンボラン(DEAB:(CHCHNHBH)、トリメチルアミンボラン(TMAB:(CHNBH)、トリエチルアミンボラン(TEAB:(CHCHNBH)等のアルキルアミンボランや、他の一般の1級〜3級アミン類等のアミン系化合物が好ましく使用可能と推測される。これらのアミン系化合物で前記フェノール系化合物を含有する樹脂硬化物を処理したときにも、樹脂硬化物の表面に位置する前記フェノール系化合物に非結合電子対を有する(つまり配位能・還元能を有する)アミノ基が導入されるものと推測される。これらのアミン系化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂としては、特に限定されない。具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、アラルキルエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。さらに、難燃性を付与するために臭素化又はリン変性した前記エポキシ樹脂、窒素含有の前記エポキシ樹脂、シリコーン含有の前記エポキシ樹脂等も挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂の硬化剤として、式1で表されるフェノール系化合物に加えて、例えば、ジシアンジアミド、酸無水物系硬化剤、アミノトリアジンノボラック系硬化剤、シアネート樹脂、難燃性を付与するためリン変性したシアネート樹脂等の他の一般の硬化剤を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、例えば、イミダゾール系の硬化触媒を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂と式1で表されるフェノール系化合物との配合比は、等量比で1:1でも構わないが、未反応の水酸基を前記フェノール系化合物に確実に残すという観点からは、エポキシ樹脂のエポキシ基の数よりも前記フェノール系化合物の水酸基の数のほうが多くなるように配合することが好ましい。例えば、エポキシ樹脂のエポキシ基の数:前記フェノール系化合物の水酸基の数(すなわち等量比)が、1:1.2〜1:1.5等が好ましい。未反応の水酸基が過度に多く残存すると、樹脂硬化物の機械的特性(耐熱性等)が低下する傾向となる。
樹脂硬化物としては、エポキシ樹脂の硬化物に限定されない。式1で表されるフェノール系化合物を含有する限り、他の一般の樹脂硬化物でもよい。具体的には、例えば、アクリル樹脂の硬化物、ポリカーボネート樹脂の硬化物、ポリイミド樹脂の硬化物、ポリフェニレンスルフィド樹脂の硬化物、ポリフェニレンエーテル樹脂の硬化物、シアネート樹脂の硬化物、ベンゾオキサジン樹脂の硬化物、ABS樹脂の硬化物、ビスマレイミド樹脂の硬化物等が挙げられる。
樹脂硬化物がエポキシ樹脂硬化物以外の他の一般の樹脂硬化物である場合、式1で表されるフェノール系化合物の含有量は、樹脂硬化物中の水酸基の量(数)と樹脂硬化物の機械的特性(耐熱性等)とのバランスを図る観点から、例えば、樹脂硬化物中、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましく、10〜15質量%がさらに好ましい。
樹脂硬化物の形態としては、特に限定されない。具体的には、例えば、シート、フィルム、三次元形状の複合体や成形体等が挙げられる。樹脂硬化物の大きさや厚みも、特に限定されない。具体的には、例えば、縦横の大きさが数mm〜数cm〜数10cm〜数mでもよく、厚みが数μm〜数mm〜数cmでもよい。
図1(A)に示す樹脂硬化物10は、直方体形状である。縦横の大きさは数cm、厚みは数mmである。この樹脂硬化物10は、例えば、エポキシ樹脂に、式1で表されるフェノール系化合物を硬化剤として配合し、加熱することにより得られたエポキシ樹脂硬化物である。あるいは、この樹脂硬化物10は、式1で表されるフェノール系化合物を含有するアクリル樹脂硬化物やABS樹脂硬化物等の他の一般の樹脂硬化物である。
樹脂硬化物は、フィラーを含有していてもよい。前記フィラーとしては、無機微粒子であっても、有機微粒子であってもよく、特に限定されない。ガラス繊維であってもよい。フィラーを含有することで、樹脂硬化物の所望の機械的特性が得られる。
前記無機微粒子を構成する材料としては、具体的には、例えば、酸化アルミニウム(Al)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、シリカ(SiO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、酸化チタン(TiO)等の高誘電率充填材;ハードフェライト等の磁性充填材;水酸化マグネシウム(Mg(OH))、水酸化アルミニウム(Al(OH))、三酸化アンチモン(Sb)、五酸化アンチモン(Sb)、グアニジン塩、ホウ酸亜鉛、モリブテン化合物、スズ酸亜鉛等の無機系難燃剤;タルク(Mg(Si10)(OH))、硫酸バリウム(BaSO)、炭酸カルシウム(CaCO)、雲母等が挙げられる。前記無機微粒子としては、上記無機微粒子を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの無機微粒子は、熱伝導性、比誘電率、難燃性、粒度分布、色調の自由度等が高いことから、所望の機能を選択的に発揮させる場合には、適宜配合及び粒度設計を行って、容易に高充填化を行うことができる。また、特に限定はされないが、樹脂硬化物の厚み以下の平均粒径のフィラーを用いるのが好ましく、更には0.01μm〜10μm、更に好ましくは、0.05μm〜5μmの平均粒径のフィラーを用いるのがよい。
樹脂硬化物は、前記無機微粒子の、樹脂硬化物中での分散性を高めるために、分散剤を含有してもよい。前記分散剤としては、特に限定されない。具体的には、例えば、アルキルエーテル系、ソルビタンエステル系、アルキルポリエーテルアミン系、高分子系等の分散剤等が挙げられる。前記分散剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記有機微粒子としては、具体的には、例えば、ゴム微粒子等が挙げられる。
メッキ触媒の触媒金属は、パラジウム(Pd)が好ましいが、特に限定されず、他の金属、例えば、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)等の他の貴金属でもよい。
化学メッキで樹脂硬化物表面に形成される金属被膜としてのメッキ被膜の被膜金属は、特に限定されず、例えば、銅やニッケル、スズ、アルミニウム等が挙げられる。これらのうちでは、例えば、製品に回路を形成して導電性を付与する場合は、銅を主成分とするメッキが導電性に優れている点から好ましい。また、ニッケルを含むメッキは、耐食性や半田との密着性に優れている点から好ましい。
図2を参照して、本実施形態に係る樹脂硬化物10のメッキ方法を段階的に説明する。
図2(A)は、式1で表されるフェノール系化合物を含有する樹脂硬化物10の表面のメッキ前の状態を拡大して概念的に示している。樹脂硬化物10の表面に位置する前記フェノール系化合物の水酸基が樹脂硬化物10の表面に存在している。この樹脂硬化物10は、例えば、エポキシ樹脂に、式1で表されるフェノール系化合物を硬化剤として配合し、加熱することにより得られたエポキシ樹脂硬化物である。あるいは、この樹脂硬化物10は、式1で表されるフェノール系化合物を含有するアクリル樹脂硬化物やABS樹脂硬化物等の他の一般の樹脂硬化物である。
この樹脂硬化物10をアミン系化合物と接触させることにより、樹脂硬化物10の表面に位置する前記フェノール系化合物の水酸基が例えばアミノ基で置換される等して前記フェノール系化合物にアミノ基が導入される。この状態を図2(B)に拡大して概念的に示している。
樹脂硬化物10をアミン系化合物と接触させるためには、具体的には、例えば、樹脂硬化物10をアミン系化合物の溶液に所定時間(例えば数分〜数10分)浸漬すればよい。溶液中のアミン系化合物の濃度は数質量%(例えば1〜5質量%)、溶液温度は室温程度(例えば25〜35℃)でよい。その他、樹脂硬化物10の表面にアミン系化合物の溶液をスプレー、シャワー、液流ししてもよい。
次いで、この樹脂硬化物10をメッキ触媒の金属イオン(例えばパラジウムイオン等)と接触させることにより、前記フェノール系化合物に導入されたアミノ基をその配位能により前記金属イオンに配位させて、前記金属イオンを樹脂硬化物10の表面に捕捉する。この状態を図2(C)に拡大して概念的に示している。
樹脂硬化物10をメッキ触媒の金属イオンと接触させるためには、具体的には、例えば、樹脂硬化物10をメッキ触媒の金属の溶液(触媒液)に所定時間(例えば数分〜数10分)浸漬すればよい。溶液中のメッキ触媒の金属の濃度は1質量%以下(例えば0.01〜0.5質量%)、溶液温度は室温程度(例えば25〜35℃)でよい。また、溶液のpHは1〜2程度に調整する。その他、樹脂硬化物10の表面に触媒液をスプレー、シャワー、液流ししてもよい。
そして、補足した金属イオンは前記アミノ基の還元能により金属原子に還元される。この状態を図2(D)に拡大して概念的に示している。
次いで、還元した金属原子をメッキ触媒として化学メッキを行うことにより、樹脂硬化物10の表面に金属被膜20(例えば0.01〜0.05μm程度の膜厚)が形成される。つまり、メッキ処理された樹脂硬化物10が得られる。この場合の化学メッキは、従来実施される化学メッキを特に限定なく採用できる。メッキ処理温度は例えば50〜60℃、メッキ処理時間は例えば15〜20分程度でよい。この状態を図2(E)に拡大して概念的に示している。また、図1(B)に、図1(A)に示した直方体形状の樹脂硬化物10の表面に金属被膜20が形成された状態、つまりメッキ処理された樹脂硬化物10を示している。
なお、樹脂硬化物10をアミン系化合物と接触させる前に、樹脂硬化物10の表面を例えばサンドペーパー等で軽く研磨しておくことが好ましい。樹脂硬化物10の表面に位置する前記フェノール系化合物の水酸基を確実に露出させてその水酸基を樹脂硬化物10の表面に確実に存在させるためである。
また、樹脂硬化物10をアミン系化合物と接触させた後に、樹脂硬化物10の表面を例えば酸性液(数%の塩酸溶液等)で洗浄することが好ましい。樹脂硬化物10の表面に残る未反応のアミン系化合物を除去するためである。洗浄温度は25〜30℃、洗浄時間は10分程度でよい。
同様に、樹脂硬化物10をメッキ触媒の金属イオンと接触させた後に、樹脂硬化物10の表面を例えば酸性液(数%の塩酸溶液等)で洗浄することが好ましい。樹脂硬化物10の表面に残る未捕捉のメッキ触媒の金属イオンを除去するためである。洗浄温度は25〜30℃、洗浄時間は10分程度でよい。
また、形成された金属被膜20の上に、さらに厚膜(例えば10μm以上の膜厚)の化学メッキを行ってもよい。あるいは、形成された金属被膜20の上に、電解メッキを行って厚膜(例えば100μm以上の膜厚)の金属被膜を形成してもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る樹脂硬化物10のメッキ方法は、式1で表されるフェノール系化合物を含有する樹脂硬化物10を、ジメチルアミンボラン等のアミン系化合物と接触させる工程と、樹脂硬化物10をパラジウム等のメッキ触媒の金属イオンと接触させることにより、前記金属イオンを樹脂硬化物10の表面で金属原子に還元する工程と、還元した金属原子をメッキ触媒として化学メッキを行うことにより、樹脂硬化物10の表面に金属被膜20を形成する工程と、を有することを特徴としている。これにより、メッキの核となるメッキ触媒が樹脂硬化物10の表面に固定化するのを促進するための専用の層を別途形成することなく、化学メッキで形成された金属被膜20の樹脂硬化物10の表面に対する密着性の向上を図ることができる。そして、製品の性能・機能にとって本来不要な層を別途形成することによる製品の製造工程が長くなることを抑制できる。また、そのような層を形成することで製品の品質が低下する虞が軽減される。
本実施形態に係る樹脂硬化物10のメッキ方法は、樹脂硬化物10をエポキシ樹脂の硬化物とし、前記フェノール系化合物をエポキシ樹脂の硬化剤として含有したときには、エポキシ樹脂硬化物に本来必要な硬化剤を利用して金属被膜20の樹脂硬化物10の表面への密着性の向上を図ることができるから、無駄のない合理的なメッキ方法となる。また、樹脂硬化物10は本来必要な成分のみ含有するから、製品の性能・機能に悪影響を及ぼすことが抑制され、製品の品質低下の虞が軽減される。
本実施形態に係る樹脂硬化物10のメッキ方法は、アミン系化合物としてジメチルアミンボランを用いたときには、その高い還元性により、前記フェノール系化合物にアミノ基を確実に導入することができる。また、導入されたアミノ基によるメッキ触媒の金属イオンへの配位ないしその金属イオンの捕捉及び金属原子への還元が確実に行われる。
本実施形態に係るメッキ処理された樹脂硬化物10(図1(B)参照)は、以上のようなメッキ方法で樹脂硬化物10の表面に金属被膜20が形成されているので、樹脂硬化物10の表面へのメッキ触媒の固定化を促進するための専用の層が別途形成されておらず、かつ、化学メッキで形成された金属被膜20の樹脂硬化物10の表面に対する密着性が向上している。そして、製品の性能・機能にとって本来不要な層が別途形成されていないから、製品の性能・機能は悪影響を受けておらず、製品の品質は維持されている。本実施形態に係るメッキ処理された樹脂硬化物10は、例えば、製品に回路が形成されて導電性が付与された家電製品や、製品に金属光沢等の装飾性あるいは耐食性が付与された自動車部品等に好ましく用いられる。
本実施形態に係る樹脂硬化物10のメッキ方法において、形成された金属被膜20の上に、さらに厚膜の化学メッキを行ったり、あるいは電解メッキを行って、厚膜の金属被膜を形成したときには、メッキ処理された樹脂硬化物10の製品としての用途の拡大が図られる。
以下、本発明を実施例を通してさらに具体的に説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施例により何ら限定されて解釈されるものではない。
[実施例1]
エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型臭素化エポキシ樹脂(DOW社製の「DER514」)を用い、硬化剤として、式1で表されるフェノール系化合物(明和化成社製の「MEH−7600−4H」)を用い、これらを等量比(エポキシ樹脂のエポキシ基の数:前記フェノール系化合物の水酸基の数)が1:1.2となるように配合した。樹脂成分の総量に対して、硬化触媒として、0.05質量%のイミダゾール化合物(四国化成社製の「2E4MZ」)を添加し、170℃で、1時間、加熱して硬化させることにより、縦横の大きさが3cm×5cm、厚みが5mmのエポキシ樹脂硬化物を得た。
得られた樹脂硬化物の表面を♯800のサンドペーパーで軽く研磨した後、樹脂硬化物をジメチルアミンボランの1質量%溶液(30℃)に15分間浸漬した。樹脂硬化物の表面を水洗いした後、30℃の3%塩酸溶液で、10分間、酸洗浄を行い、さらに水洗いした。
次いで、樹脂硬化物を塩化パラジウムの0.02質量%溶液(触媒液、35℃、pH:1〜2)に15分間浸漬した。樹脂硬化物の表面を水洗いした後、30℃の3%塩酸溶液で、10分間、酸洗浄を行い、さらに水洗いした。
次いで、樹脂硬化物を無電解銅メッキ液(上村工業社製の「スルカップELC−SP」)に浸漬することにより、樹脂硬化物に化学メッキを施した。建浴温度(メッキ処理温度)は60℃、メッキ処理時間は15分とした。その結果、樹脂硬化物の表面に銅の被膜(厚み:約0.03μm)が欠けることなく均一厚みに密着性よく良好に形成された。
[実施例2]
エポキシ樹脂として、多官能エポキシ樹脂(DIC社製の「EPPN−502H」)を用い、硬化剤として、式1で表されるフェノール系化合物(明和化成社製の「MEH−7600−4H」)を用い、これらを等量比(エポキシ樹脂のエポキシ基の数:前記フェノール系化合物の水酸基の数)が1:1.5となるように配合した。樹脂成分の総量に対して、硬化触媒として、0.03質量%のイミダゾール化合物(四国化成社製の「2E4MZ」)を添加し、190℃で、1時間、加熱して硬化させることにより、縦横の大きさが3cm×5cm、厚みが5mmのエポキシ樹脂硬化物を得た。
得られた樹脂硬化物の表面を♯800のサンドペーパーで軽く研磨した後、樹脂硬化物をジメチルアミンボランの1質量%溶液(30℃)に15分間浸漬した。樹脂硬化物の表面を水洗いした後、30℃の3%塩酸溶液で、10分間、酸洗浄を行い、さらに水洗いした。
次いで、樹脂硬化物を塩化パラジウムの0.02質量%溶液(触媒液、35℃、pH:1〜2)に15分間浸漬した。樹脂硬化物の表面を水洗いした後、30℃の3%塩酸溶液で、10分間、酸洗浄を行い、さらに水洗いした。
次いで、樹脂硬化物を無電解銅メッキ液(上村工業社製の「スルカップELC−SP」)に浸漬することにより、樹脂硬化物に化学メッキを施した。建浴温度(メッキ処理温度)は50℃、メッキ処理時間は20分とした。その結果、樹脂硬化物の表面に銅の被膜(厚み:約0.03μm)が欠けることなく均一厚みに密着性よく良好に形成された。
10 樹脂硬化物
20 金属被膜

Claims (4)

  1. 式1で表されるフェノール系化合物を含有する樹脂硬化物を、アミン系化合物と接触させる工程と、
    前記樹脂硬化物をメッキ触媒の金属イオンと接触させることにより、前記金属イオンを前記樹脂硬化物の表面で金属原子に還元する工程と、
    還元した金属原子をメッキ触媒として化学メッキを行うことにより、前記樹脂硬化物の表面に金属被膜を形成する工程と、
    を有することを特徴とする樹脂硬化物のメッキ方法。
  2. 樹脂硬化物はエポキシ樹脂の硬化物であり、前記フェノール系化合物はエポキシ樹脂の硬化剤として含有されたものであることを特徴とする請求項1に記載のメッキ方法。
  3. アミン系化合物はジメチルアミンボランであることを特徴とする請求項1又は2に記載のメッキ方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のメッキ方法で表面がメッキされたことを特徴とするメッキ処理された樹脂硬化物。
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