JP2011172385A - アキシャルギャップ型モータおよび圧縮機 - Google Patents

アキシャルギャップ型モータおよび圧縮機 Download PDF

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Abstract

【課題】回転数の増大に応じてスラスト荷重が増大するのを防止する。
【解決手段】ロータ(70)の軸方向両側には巻き線型の上側ステータ(50)と非巻き線型の下側ステータ(60)とが対向配置されている。ロータ(70)の周方向に複数形成されたホルダ室(75)には永久磁石構造体(80)が収納されている。ホルダ室(75)の下側には、径方向外側へいくに従って上方の上側ステータ(50)に接近する傾斜面(91a)を有する傾斜板(91)が設けられている。永久磁石構造体(80)は、傾斜板(91)を径方向にスライド可能に構成されている。各永久磁石構造体(80)に対応するボス部(72)には永久磁石構造体(80)を吸引する電磁石(92)が設けられている。永久磁石構造体(80)は、ロータ(70)の回転数が増大して遠心力が電磁石(92)の吸引力を上回ると、径方向外側へスライド移動し、その移動に伴い、上方へも変位して上側ステータ(50)に近づく。
【選択図】図8

Description

本発明は、アキシャルギャップ型モータおよびそれを用いた圧縮機に関し、特に、スラスト荷重の低減対策に係るものである。
従来より、ステータ(固定子)とロータ(回転子)とが互いにエアギャップ(空隙)を存してロータの回転軸方向に対向配置されたアキシャルギャップ型モータが知られている。このようなモータでは、ステータへの通電により回転磁界が発生し、この回転磁界によりロータの永久磁石が吸引されてロータの回転力が発生する。この回転力によってロータが回転する。ところが、ステータの回転磁界により、ロータの回転力に寄与しない力、即ち回転軸方向の力(軸力)もロータに作用する。この軸力によって、スラスト荷重が増大してしまう。
そこで、例えば特許文献1に開示されているように、2つのステータをそれぞれロータの軸方向両側に対向配置してスラスト荷重を低減するようにしたアキシャルギャップ型モータが知られている。このようなモータでは、ステータの回転磁界により、ロータに対して一方のステータへ向かう軸力と他方のステータへ向かう軸力とが作用する。そのため、ロータに対する軸力が相殺され(バランスし)、スラスト荷重が低減される。
特開2006−353078号公報
ところで、上記特許文献1のようなアキシャルギャップ型モータでは、例えばステータに対していわゆる弱め磁束制御を行った場合、上述したロータに対する軸力のバランスが崩れてスラスト荷重が増大してしまうという問題があった。例えば、2つのステータのうち一方が巻き線型のもので他方が非巻き線型のものである場合に、ロータの回転数の増大に伴い巻き線型のステータの回転磁界(磁束)を減少させる弱め磁束制御が行われると、その巻き線型のステータとロータとの間に作用する軸力が減少する。その結果、非巻き線型のステータとロータとの間に作用する軸力が、巻き線型のステータとロータとの間に作用する軸力よりも大きくなり、ロータに対する軸力のバランスが崩れる。これによって、スラスト荷重が増大する。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロータの軸方向両側にステータが対向配置されたアキシャルギャップ型モータおよびそれを用いた圧縮機において、ロータの回転数の増大に応じてスラスト荷重が増大するのを防止することにある。
第1の発明は、中心に回転軸(41)が固定され且つ周方向に複数の永久磁石(82)が装着された円板状のロータ(70)と、上記ロータ(70)の上記回転軸(41)の軸方向両側にエアギャップを介して対向配置される2つのステータ(50,60)と、上記ロータ(70)の回転数の増大に応じて、上記ロータ(70)において上記各永久磁石(82)を上記2つのステータ(50,60)のうち予め設定された一方のステータ(50,60)に近づくように変位させる磁石変位機構(90)とを備えているものである。
上記第1の発明では、2つのステータ(50,60)の少なくとも一方に通電すると回転磁界が発生し、その回転磁界により、ロータ(70)に対して回転力が作用すると共に各々のステータ(50,60)に向かう軸力(軸方向の磁気吸引力)が作用する。つまり、ロータ(70)が各々のステータ(50,60)へ吸引される。ロータ(70)の回転開始直後においては、それぞれの軸力は同等であり相殺される。したがって、スラスト荷重は殆ど生じない。
ここで、例えば、ロータ(70)の回転数の増大に伴い一方のステータ(50,60)に対して弱め磁束制御を行うと、ロータ(70)と両ステータ(50,60)間に作用する磁束が減少する。そうすると、弱め磁束制御されたステータ(50,60)とロータ(70)との間に作用する軸力が、弱め磁束制御されていないステータ(50,60)とロータ(70)との間に作用する軸力よりも大きく減少する。つまり、弱め磁束制御されたステータ(50,60)とロータ(70)との間に作用する軸力が相対的に小さくなる。その結果、ロータ(70)に対する軸力のバランスが崩れて、スラスト荷重が増大してしまう。
ところが、本発明では、ロータ(70)の回転数の増大に伴い、ロータ(70)の永久磁石(82)が、弱め磁束制御されたステータ(50,60)に近づく。これにより、永久磁石(82)と弱め磁束制御されたステータ(50,60)との距離が小さくなり、両者間に作用する磁束の減少が抑えられる。その結果、弱め磁束制御されたステータ(50,60)とロータ(70)との間に作用する軸力の減少が防止され、スラスト荷重の増大が防止される。この場合、本発明に係る2つのステータ(50,60)のうち予め設定された一方のステータ(50,60)とは弱め磁束制御されるステータ(50,60)である。つまり、本発明において、2つのステータ(50,60)のうち予め設定された一方のステータ(50,60)とは、ロータ(70)との間に作用する軸力がロータ(70)の回転数の増大に応じて減少する方のステータ(50,60)である。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記ロータ(70)は、少なくとも一部が上記永久磁石(82)で構成される複数の永久磁石構造体(80)が装着されている。そして、上記磁石変位機構(90)は、上記ロータ(70)に設けられ、該ロータ(70)の径方向外側または径方向内側へいくに従って上記予め設定された一方のステータ(50,60)に接近する傾斜面を有する傾斜部材(91)を備え、上記ロータ(70)の回転数の増大に応じて上記各永久磁石構造体(80)を上記傾斜部材(91)の傾斜面に対して上記ロータ(70)の径方向にスライド移動させるものである。
上記第2の発明では、例えば図4に示すように、永久磁石(82)単体または永久磁石(82)を一部に有して一体形成された永久磁石構造体(80)がロータ(70)に装着されている。そして、永久磁石構造体(80)は、ロータ(70)の回転数の増大に応じて、傾斜部材(91)をロータ(70)の径方向外側または径方向内側へスライド移動する。これにより、永久磁石構造体(80)は、ロータ(70)の回転数の増大に応じて軸力が減少する所定のステータ(50,60)側に近づく。
第3の発明は、上記第2の発明において、上記各永久磁石構造体(80)は、板状に形成され、その厚み方向両側の面のうち一面が上記傾斜部材(91)の傾斜面に接してスライドする傾斜面であり、他面が上記ロータ(70)の面方向に平行な平行面である。
上記第3の発明では、永久磁石構造体(80)の所定のステータ(50,60)に対向する側の面がロータ(70)の面方向と平行になっている。そのため、永久磁石構造体(80)のステータ(50,60)に対向する側の面全体において、ステータ(50,60)との距離が一定となる。したがって、ステータ(50,60)から永久磁石構造体(80)(ロータ(70))に作用する磁束の大きさが、永久磁石構造体(80)の全体に亘って均一となる。
第4の発明は、上記第2の発明において、上記磁石変位機構(90)は、上記ロータ(70)の上記各永久磁石構造体(80)に対応する径方向内側部と径方向外側部の少なくとも一方に固定配置され、上記永久磁石構造体(80)の永久磁石(82)に対して吸引力または反発力を及ぼす電磁石(92,93)を備えているものである。
上記第4の発明では、例えば図8に示すように、永久磁石構造体(80)に吸引力を及ぼす電磁石(92)が各永久磁石構造体(80)に対応する径方向内側部に固定配置される。この場合、ロータ(70)の回転数の増大に応じて、永久磁石構造体(80)に作用する遠心力が増大する。この遠心力は径方向外側へ向かう力であり電磁石(92)の吸引力に抗する力である。遠心力が電磁石(92)の吸引力を上回ると、永久磁石構造体(80)は傾斜部材(91)を径方向外側へスライド移動する。この移動に伴い、永久磁石構造体(80)はロータ(70)の回転数の増大に応じて軸力が減少する所定のステータ(50,60)側に近づく(図8(B)の状態)。そして、ロータ(70)の回転数が減少して遠心力が電磁石(92)の吸引力を下回ると、永久磁石構造体(80)は電磁石(92)の吸引力によって径方向内側へスライド移動し元の位置に戻る(図8(A)の状態)。
また、ロータ(70)の低回転域では電磁石(92)が永久磁石構造体(80)に対して吸引力を及ぼし、ロータ(70)の高回転域では電磁石(92)が永久磁石構造体(80)に対して反発力を及ぼすようにしてもよい。この場合、遠心力に加えて電磁石(92)の反発力によっても永久磁石構造体(80)が確実に径方向外側へ移動する。
第5の発明は、上記第2の発明において、上記磁石変位機構(90)の傾斜部材(91)は、上記ロータ(70)の径方向外側へいくに従って上記予め設定された一方のステータ(50,60)に接近する傾斜面を有している。そして、上記磁石変位機構(90)は、上記ロータ(70)の上記各永久磁石構造体(80)に対応する径方向内側部に固定配置される磁性部材(94)を備え、上記ロータ(70)の回転数の増大によって、上記上記各永久磁石構造体(80)を上記傾斜部材(91)の傾斜面に対して上記ロータ(70)の径方向内側から径方向外側にスライド移動させるものである。
上記第5の発明では、図15に示すように、各永久磁石構造体(80)に対応する径方向内側部に磁性部材(94)が設けられ、永久磁石構造体(80)がその磁性部材(94)に吸引される。そして、ロータ(70)の回転数の増大に応じて、永久磁石構造体(80)に作用する遠心力が増大する。この遠心力は径方向外側へ向かう力であり磁性部材(94)による吸引力に抗する力である。遠心力がその吸引力を上回ると、永久磁石構造体(80)は傾斜部材(91)を径方向外側へスライド移動する。この移動に伴い、永久磁石構造体(80)はロータ(70)の回転数の増大に応じて軸力が減少する所定のステータ(50,60)側に近づく(図15(B)の状態)。そして、ロータ(70)の回転数が減少して遠心力が磁性部材(94)による吸引力を下回ると、永久磁石構造体(80)は磁性部材(94)による吸引力によって径方向内側へスライド移動し元の位置に戻る(図15(A)の状態)。
第6の発明は、上記第2の発明において、上記磁石変位機構(90)の傾斜部材(91)は、上記ロータ(70)の径方向外側へいくに従って上記予め設定された一方のステータ(50,60)に接近する傾斜面を有している。そして、上記磁石変位機構(90)は、上記ロータ(70)の上記各永久磁石構造体(80)に対応する径方向内側部に設けられて該永久磁石構造体(80)を径方向内側へ付勢するバネ部材(96)を備え、上記ロータ(70)の回転数の増大によって、上記バネ部材(96)の付勢力に打ち勝って上記各永久磁石構造体(80)を上記傾斜部材(91)の傾斜面に対して上記ロータ(70)の径方向内側から径方向外側にスライド移動させるものである。
上記第6の発明では、図16に示すように、各永久磁石構造体(80)に対応する径方向内側部にバネ部材(96)の一端が固定され他端が永久磁石構造体(80)に固定される。永久磁石構造体(80)はバネ部材(96)によって径方向内側へ付勢力を受ける。そして、ロータ(70)の回転数の増大に応じて、永久磁石構造体(80)に作用する遠心力が増大する。この遠心力は径方向外側へ向かう力でありバネ部材(96)の付勢力に抗する力である。遠心力がその付勢力を上回ると、永久磁石構造体(80)は傾斜部材(91)を径方向外側へスライド移動する。この移動に伴い、永久磁石構造体(80)はロータ(70)の回転数の増大に応じて軸力が減少する所定のステータ(50,60)側に近づく(図16(B)の状態)。そして、ロータ(70)の回転数が減少して遠心力がバネ部材(96)の付勢力を下回ると、永久磁石構造体(80)はその付勢力によって径方向内側へスライド移動し元の位置に戻る(図16(A)の状態)。
第7の発明は、上記第2の発明において、上記磁石変位機構(90)の傾斜部材(91)は、上記ロータ(70)の径方向外側へいくに従って上記予め設定された一方のステータ(50,60)に接近する傾斜面を有している。そして、上記磁石変位機構(90)は、上記ロータ(70)の上記永久磁石構造体(80)に対応する径方向外側部に設けられて該永久磁石構造体(80)を径方向内側へ付勢するバネ部材(98)を備え、上記ロータの回転数の増大に応じて上記各永久磁石構造体(80)を上記傾斜部材(91)の傾斜面に対して上記ロータ(70)の径方向内側から径方向外側にスライド移動させるものである。
上記第7の発明では、図17に示すように、各永久磁石構造体(80)に対応する径方向外側部にバネ部材(98)の一端が固定され他端が永久磁石構造体(80)に固定される。永久磁石構造体(80)はバネ部材(98)によって径方向内側へ付勢力を受ける。そして、ロータ(70)の回転数の増大に応じて、永久磁石構造体(80)に作用する遠心力が増大する。この遠心力は径方向外側へ向かう力でありバネ部材(98)の付勢力に抗する力である。遠心力がその付勢力を上回ると、永久磁石構造体(80)は傾斜部材(91)を径方向外側へスライド移動する。この移動に伴い、永久磁石構造体(80)はロータ(70)の回転数の増大に応じて軸力が減少する所定のステータ(50,60)側に近づく(図17(B)の状態)。そして、ロータ(70)の回転数が減少して遠心力がバネ部材(96)の付勢力を下回ると、永久磁石構造体(80)はその付勢力によって径方向内側へスライド移動し元の位置に戻る(図17(A)の状態)。
第8の発明は、上記第1の発明において、上記2つのステータ(50,60)は、一方が巻き線型ステータ(50)で、他方が非巻き線型ステータ(60)である。そして、上記磁石変位機構(90)は、上記ロータ(70)の回転数の増大に応じて、上記永久磁石(82)を上記巻き線型ステータ(50)に近づくように変位させるものである。
上記第8の発明では、2つのステータ(50,60)のうち巻き線型ステータ(50)に対して弱め磁束制御が行われる。この弱め磁束制御により、巻き線型ステータ(50)とロータ(70)との間に作用する軸力が相対的に小さくなる。そして、本発明では、ロータ(70)の回転数の増大に応じて、永久磁石(82)が巻き線型ステータ(50)に近づくため、その巻き線型ステータ(50)とロータ(70)との間に作用する軸力の減少が防止される。
第9の発明は、上記第1乃至第8の何れか1の発明のアキシャルギャップ型モータ(40)と、該アキシャルギャップ型モータ(40)の回転軸(41)に連結され、冷媒を圧縮する回転式圧縮機構(20)とを備えているものである。
上記第9の発明では、アキシャルギャップモータ(40)の回転軸(41)に作用するスラスト荷重の増大が抑制される。
以上のように、第1の発明は、ロータ(70)の回転数の増大に応じて軸力(軸方向の磁気吸引力)が減少する所定のステータ(50,60)側に永久磁石(82)を近づけるようにした。そのため、高回転域において、所定のステータ(50,60)とロータ(70)との距離を短くして、両者間に作用する軸力を増大させることができる。つまり、両者間に作用する軸力がロータ(70)の回転数の増大に応じて減少するのを防止することができる。これにより、ロータ(70)と両ステータ(50,60)との間に作用する2つの軸力の関係(バランス)を維持することができる。その結果、特に高回転域において弱め磁束制御によるスラスト荷重(軸力)の増大を防止することができる。よって、アキシャルギャップ型モータ(40)においてスラスト荷重に起因する機械損失を低減することができる。
また、第2の発明は、ロータ(70)の径方向に傾斜する傾斜板(91)を備え、ロータ(70)の回転数の増大に応じて永久磁石構造体(80)を傾斜板(91)に対して径方向にスライド移動させるようにした。そのため、その径方向のスライド移動に伴い、永久磁石構造体(80)をロータ(70)の回転数の増大に応じて軸力が減少する所定のステータ(50,60)側に近づけることができる。このように、本発明は、簡易な構成により、永久磁石構造体(80)を所定のステータ(50,60)へ近づけることができる。
また、第3の発明は、永久磁石構造体(80)の所定のステータ(50,60)に対向する側の面がロータ(70)の面方向と平行になっている。そのため、永久磁石構造体(80)が径方向にスライド移動しても、永久磁石構造体(80)のステータ(50,60)に対向する側の面全体においてステータ(50,60)との距離を一定にすることができる。したがって、永久磁石構造体(80)の全体に対しステータ(50,60)から回転磁界を均一に鎖交させることができる。その結果、回転磁界によるロータ(70)の回転力を安定させることができる。これにより、アキシャルギャップ型モータ(40)の信頼性を向上させることができる。
また、第4の発明は、各永久磁石構造体(80)に対応する径方向内側部または径方向外側部に電磁石(92,93)を設けるようにした。このため、電磁石(92,93)が永久磁石構造体(80)に対して吸引力または反発力を及ぼすように適宜制御することで、確実に永久磁石構造体(80)を径方向内側および径方向外側の任意の方向へスライド移動させることができる。したがって、永久磁石構造体(80)を確実にロータ(70)の回転数の増大に応じて所定のステータ(50,60)へ近づけることができる。また、ロータ(70)の低回転域または停止時においては、確実に永久磁石構造体(80)を所定のステータ(50,60)から遠ざける方向に変位させることができる。その結果、スラスト荷重(軸力)の増大を確実に防止することができる。
また、第5の発明は、各永久磁石構造体(80)に対応する径方向内側部に磁性部材(94)を設けるようにした。そのため、ロータ(70)の低回転域または停止時において、確実に永久磁石構造体(80)を径方向内側へ位置させることができる。つまり、径方向外側へ移動した永久磁石構造体(80)が、ロータ(70)の低回転域等においても径方向外側の位置に留まってしまう状態を確実に回避することができる。これにより、確実に永久磁石構造体(80)をロータ(70)の回転数の増大に応じて径方向外側へ移動させることができる。その結果、磁石変位機構(90)の信頼性を向上させることができる。
また、第5の発明では、ロータ(70)の回転による遠心力を利用して永久磁石構造体(80)を径方向外側へスライド移動させるようにした。そのため、永久磁石構造体(80)を径方向外側へスライド移動させる動力源を別途設ける必要がない。その結果、磁石変位機構(90)をより簡素な構成とすることができ、アキシャルギャップ型モータ(40)の大型化を抑制することができる。
また、第6および第7の発明は、永久磁石構造体(80)を径方向内側へ付勢するバネ部材(96,98)を各永久磁石構造体(80)に対応する径方向内側部または径方向外側部に設けるようにした。そのため、ロータ(70)の低回転域または停止時において、確実に永久磁石構造体(80)を径方向内側へ位置させることができる。つまり、径方向外側へ移動した永久磁石構造体(80)が、ロータ(70)の低回転域等においても径方向外側の位置に留まってしまう状態を確実に回避することができる。これにより、確実に永久磁石構造体(80)をロータ(70)の回転数の増大に応じて径方向外側へ移動させることができる。その結果、磁石変位機構(90)の信頼性を向上させることができる。
また、第6および第7の発明においても、上記第5の発明と同様、ロータ(70)の回転による遠心力を利用して永久磁石構造体(80)を径方向外側へスライド移動させるようにした。そのため、磁石変位機構(90)をより簡素な構成とすることができ、アキシャルギャップ型モータ(40)の大型化を抑制することができる。
また、第9の発明は、回転式圧縮機構(20)を有する圧縮機(10)において、上記第1乃至第8の何れか1の発明のアキシャルギャップ型モータ(40)で回転式圧縮機構(20)を駆動するようにした。したがって、スラスト荷重の小さい、引いては機械損失の小さい圧縮機(10)を提供することができる。
図1は、実施形態1に係る圧縮機の全体構成を示す縦断面図である。 図2は、実施形態1に係る圧縮機構の要部を示す横断面図である。 図3は、実施形態1に係るアキシャルギャップ型モータの構成を示す分解斜視図である。 図4は、実施形態1に係るアキシャルギャップ型モータの構成を示す斜視図である。 図5は、フレームの構成を示す平面図であり、(A)は上方から視て示し、(B)は下方から視て示す。 図6は、実施形態1に係る永久磁石構造体の構成を示す斜視図である。 図7は、実施形態1に係る傾斜板の構成を示す斜視図である。 図8は、実施形態1に係るアキシャルギャップ型モータの構成を示す縦断面図である。 図9は、実施形態1に係るアキシャルギャップ型モータの構成を傾斜板を省略して示す平面図であり、(A)は上方から視て示し、(B)は下方から視て示す。 図10は、フレームの要部を示す斜視図である。 図11は、アキシャルギャップ型モータにおける磁束と軸力の関係を説明するための概略図である。 図12は、実施形態1の変形例2に係るアキシャルギャップ型モータの構成を示す縦断面図である。 図13は、実施形態2に係るアキシャルギャップ型モータの構成を示す縦断面図である。 図14は、実施形態2の変形例1に係るアキシャルギャップ型モータの構成を示す縦断面図である。 図15は、実施形態3に係るアキシャルギャップ型モータの構成を示す縦断面図である。 図16は、実施形態4に係るアキシャルギャップ型モータの構成を示す縦断面図である。 図17は、実施形態4の変形例に係るアキシャルギャップ型モータの構成を示す縦断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態および変形例は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。本実施形態の圧縮機(10)は、冷媒が循環して蒸気圧縮式冷凍サイクルが行われる冷凍装置に用いられる。この圧縮機(10)は、回転式圧縮機であって、いわゆる揺動ピストン型の圧縮機を構成している。圧縮機(10)は、冷媒を圧縮する回転式圧縮機構(20)と、該回転式圧縮機構(20)を駆動するアキシャルギャップ型モータ(40)(以下、単にモータ(40)という。)とを備えている。
図1に示すように、上記圧縮機(10)は、縦長円筒状の密閉ドーム型のケーシング(11)を備えている。ケーシング(11)は、胴部(12)と上壁部(13)と下壁部(14)とが一体的に接合されて構成されている。ケーシング(11)の胴部(12)には2本の吸入管(15,16)が貫通しており、吸入管(15,16)の流出端が回転式圧縮機構(20)に接続されている。また、ケーシング(11)の上壁部(13)の頂部には吐出管(17)が貫通しており、吐出管(17)の流入端がケーシング(11)の内部空間(S)に開口している。一方、ケーシング(11)の下壁部(14)の内部は潤滑油を貯留するための油溜まり部(18)となっている。なお、吸入管(15,16)の流入端および吐出管(17)の流出端は、蒸気圧縮式冷凍サイクルが行われる冷媒回路の冷媒配管に接続される。
上記ケーシング(11)の内部空間(S)には、上述した回転式圧縮機構(20)とモータ(40)が収容されている。回転式圧縮機構(20)は、後述するモータ(40)の回転軸(41)に連結され、モータ(40)よりも下方に配置されている。つまり、ケーシング(11)の内部空間(S)においてモータ(40)の回転軸(41)は上下方向に延びている。
上記モータ(40)の回転軸(41)は、上下に延びる主軸部(42)を有し、該主軸部(42)の下端寄りに2つの偏心部(43,44)が形成されている。これら第1偏心部(43)および第2偏心部(44)は、何れも主軸部(42)よりも大径に形成され、偏心方向が互いに180°ずれている。第2偏心部(44)の下部には、下向きの軸力を受けるためのスラスト軸受部(46)が形成されている。また、主軸部(42)の下端部には遠心ポンプ(45)が設けられている。遠心ポンプ(45)は、油溜まり部(18)の潤滑油を回転軸(41)内の給油路(図示省略)に汲み上げて回転式圧縮機構(20)の各摺動部に供給する。
上記回転式圧縮機構(20)は、互いに同軸に構成された2つの回転式圧縮機構部(21a,21b)を備えている。回転式圧縮機構(20)は、上側から下側に向かって、フロントヘッド(31)、第1回転式圧縮機構部(21a)の第1シリンダ(22a)、ミドルプレート(32)、第2回転式圧縮機構部(21b)の第2シリンダ(22b)、リアヘッド(33)が順に積層されている。そして、これらの部材を回転軸(41)の主軸部(42)が上下方向に貫通している。
上記第1回転式圧縮機構部(21a)および第2回転式圧縮機構部(21b)は、概ね同一の構造となっている。具体的に、図2にも示すように、各回転式圧縮機構部(21a,21b)は、シリンダ(22a,22b)とピストン(23a,23b)と一対のブッシュ(24a,24b)とブレード(25a,25b)とをそれぞれ備えている。
上記第1回転式圧縮機構部(21a)の第1シリンダ(22a)の内部は、軸方向両端がフロントヘッド(31)およびミドルプレート(32)で閉塞されることで、円環状の第1シリンダ室(26a)が区画形成されている。第2回転式圧縮機構部(21b)の第2シリンダ(22b)の内部は、軸方向両端がミドルプレート(32)およびリアヘッド(33)で閉塞されることで、円環状の第2シリンダ室(26b)が区画形成されている。なお、フロントヘッド(31)は、ケーシング(11)の胴部(12)の内周面に溶接固定されている。フロントヘッド(31)およびリアヘッド(33)の中心部は、それぞれ主軸部(42)の軸受け部を構成している。また、主軸部(42)のスラスト軸受部(46)はリアヘッド(33)の上面に当接している。ミドルプレート(32)は円環状の板部材である。
上記各シリンダ(22a,22b)には、吸入管(14,15)が径方向に挿通されてシリンダ室(26a,26b)に連通している。第1シリンダ室(26a)にはフロントヘッド(31)を貫通する第1吐出ポート(31a)が開口し、第2シリンダ室(26b)にはリアヘッド(33)を貫通する第2吐出ポート(33a)が開口している。各ピストン(23a,23b)は、主軸部(42)の各偏心部(43,44)に外嵌する円筒状に形成され、各シリンダ室(26a,26b)に収容されている。各ピストン(23a,23b)は、シリンダ室(26a,26b)の内周面に沿うように偏心回転運動を行うように構成されている。
上記各一対のブッシュ(24a,24b)は、各シリンダ(22a,22b)に形成された円形のブッシュ溝(27a,27b)に内嵌している。一対のブッシュ(24a,24b)は、互いのフラット面が向かい合うように配置され、そのフラット面の間にブレード(25a,25b)が挿通している。各ブレード(25a,25b)は、ピストン(23a,23b)の外周面からシリンダ(22a,22b)の径方向に延出してなり、一対のブッシュ(24a,24b)の間を進退する。そして、各ブレード(25a,25b)は、シリンダ室(26a,26b)を吸入側の空間(低圧室)と吐出側の空間(高圧室)とに仕切っている。
以上のような構成の各回転式圧縮機構部(21a,21b)では、ピストン(23a,23b)がシリンダ室(26a,26b)を偏心回転すると共に、ブレード(25a,25b)がブッシュ(24a,24b)の間を進退し且つブッシュ(24a,24b)がブッシュ溝(27a,27b)で揺動する。その結果、各シリンダ室(26a,26b)では吸入管(14,15)から冷媒が低圧室に吸入されると共に高圧室の冷媒が圧縮される。この高圧室の圧縮冷媒は、各吐出ポート(31a,33a)からケーシング(11)の内部空間(S)に流出する。
図1に示すように、上記リアヘッド(33)の下部には第1マフラー室(34)が形成され、第1マフラー室(34)には第2吐出ポート(33a)が開口している。フロントヘッド(31)の上部には第2マフラー室(35)と第3マフラー室(36)が形成され、第2マフラー室(35)には第1吐出ポート(31a)が開口している。また、図2に示すように、第1マフラー室(34)と第2マフラー室(35)とは、リアヘッド(33)、第2シリンダ(22b)、ミドルプレート(32)、第1シリンダ(22a)およびフロントヘッド(31)を軸方向に連続的に貫通する冷媒案内流路(C)によって連通している。したがって、各吐出ポート(31a,33a)から流出した圧縮冷媒はマフラー室(34,35,36)を介してケーシング(11)の内部空間(S)へ流出する。内部空間(S)に流出した冷媒は、吐出管(17)から排出される。
〈モータの構造〉
図1および図3に示すように、上記モータ(40)は、上述した回転軸(41)と、該回転軸(41)に固定された円板状のロータ(70)と、該ロータ(70)の軸方向両側に配置された上側ステータ(50)および下側ステータ(60)とを備えている。これらロータ(70)、上側ステータ(50)および下側ステータ(60)は、回転軸(41)と同軸に配置されている。そして、上側ステータ(50)および下側ステータ(60)は、それぞれロータ(70)にエアギャップを存して対向配置されている。上側ステータ(50)および下側ステータ(60)は、何れもケーシング(11)の胴部(12)の内面に溶接固定されている。また、本実施形態では、上側ステータ(50)はコイル(後述するアキシャルコイル(56))が巻装された巻き線型ステータを構成し、下側ステータ(60)はコイルが巻装されていない非巻き線型ステータを構成している。
上記上側ステータ(50)は、ステータコア(52)と、該ステータコア(52)を補強する補強板(51)とを備えている。
上記ステータコア(52)は、磁性材料の板状部材からなる円環状のバックヨーク(53)と、磁性材料からなる複数(本実施形態では、12個)のティース(54)とを備えている。バックヨーク(53)は回転軸(41)と同軸に配置されている。各ティース(54)は、柱状体に形成され、バックヨーク(53)の下面において周方向に等間隔に固定されている。つまり、各ティース(54)はバックヨーク(53)の下面から回転軸(41)と同軸方向にロータ(70)に向かって延びている(突出している)。このような構成により、各ティース(54)は互いにバックヨーク(53)を介して磁気的に接続されている。
上記各ティース(54)には、回転軸(41)と平行な方向を軸としてアキシャルコイル(56)が巻装されている。アキシャルコイル(56)は、多相コイル(例えば、三相コイル)に構成されており、インバータ回路(図示せず)を介して電源(図示せず)に接続されている。アキシャルコイル(56)が通電されると、上側ステータ(50)が励磁され回転磁界が発生する。なお、本実施形態では、アキシャルコイル(56)とは導線が一纏まりに巻装された態様を指す。また、本実施形態では、アキシャルコイル(56)の各々が1つのティース(54)に巻装されたいわゆる集中巻を例示しているが、これに限られず、例えば分布巻であってもよい。
また、上記各ティース(54)の先端部(ロータ(70)側の端部)には、ロータ(70)に対向する磁性体板(55)が取り付けられている。この磁性体板(55)は、平面形状がティース(54)よりも大きい台形状に形成されている。これにより、ティース(54)のロータ(70)に対する対向面の面積が拡大される。このような磁性体板(55)を設けることにより、後述するロータ(70)の永久磁石(82)からの界磁磁束が各アキシャルコイル(56)に鎖交し易くなる。
上記補強板(51)は、バックヨーク(53)の外径と同径の円板状に形成されている。補強板(51)は、バックヨーク(53)の上面に当接して固定されている。そして、バックヨーク(53)および補強板(51)の外周面がケーシング(11)の胴部(12)の内周面に固定されることで、上側ステータ(50)がケーシング(11)に固定される。なお、アキシャルコイル(56)の外周側とケーシング(11)の胴部(12)との間には隙間が形成されている。バックヨーク(53)の外縁部には、上下方向に貫通する複数の切欠き部(53a)(即ち、コアカット)が形成されている。また、補強板(51)の外縁部においても、上記バックヨーク(53)の切欠き部(53a)に対応する位置に切欠き部(51a)が形成されている。つまり、これら切欠き部(51a,53a)は、バックヨーク(53)および補強板(51)の上側の空間と下側の空間とを連通させる。
上記下側ステータ(60)は、磁性材料の板状部材からなる円環状のステータコア(61)と、該ステータコア(61)に取り付けられる円環状の板状部材である磁性体(62)とを有している。この磁性体(62)は、ステータコア(61)のロータ(70)側の対向面に嵌め込まれてロータ(70)に対向している。磁性体(62)は、ステータコア(61)からロータ(70)に向かって突出する状態でステータコア(61)に嵌合している。なお、ステータコア(61)の外縁部には、上下方向に貫通する複数の切欠き部(61a)(即ち、コアカット)が形成されている。この切欠き部(61a)は上側ステータ(50)の切欠き部(51a,53a)に対応する位置に形成されている。つまり、この切欠き部(61a)は下側ステータ(60)の上側の空間と下側の空間とを連通させる。本実施形態の圧縮機(10)では、回転式圧縮機構(20)からケーシング(11)の内部空間(S)へ吐出された圧縮冷媒が、上側ステータ(50)および下側ステータ(60)の各切欠き部(51a,53a,61a)を通って吐出管(17)から流出する。
次に、本発明の特徴である上記ロータ(70)について、図4〜図11も参照しながら説明する。ロータ(70)は、フレーム(71)と、複数(本実施形態では、8つ)の永久磁石構造体(80)と、磁石変位機構(90)とを備えている。ロータ(70)は、その中心部に回転軸(41)の主軸部(42)が挿通されて固定されている。
図4や図5に示すように、上記フレーム(71)は、ボス部(72)とスポーク部(73)とリム部(74)とを有し、それらが一体形成されている。ボス部(72)は、フレーム(71)の中心部に形成された円筒部材であり、回転軸(41)の主軸部(42)に外嵌して固定されている。スポーク部(73)は、ボス部(72)の外周面から放射状に延びる複数(本実施形態では、8つ)の棒状部材である。リム部(74)は、各スポーク部(73)の外側端を連結する円環状の部材である。このフレーム(71)には、その周方向に等間隔に複数(永久磁石構造体(80)と同数)のホルダ室(75)が形成されている。つまり、ホルダ室(75)はボス部(72)とスポーク部(73)とリム部(74)とで囲まれてなる平面視が略扇形の空間である。なお、ここでいう略扇形とは、円環形状を径方向に切断してなる形状を指す(以下、同様)。フレーム(71)では、ホルダ室(75)の上側開放部が上側開口部(76)となっており、ホルダ室(75)の下側開放部が下側開口部(77)となっている。そして、各ホルダ室(75)には上記永久磁石構造体(80)が装着される。
上記各永久磁石構造体(80)は、図6に示すように、バックアイアン(81)と永久磁石(82)と磁石台(83)の3つの部材により構成されている。これら部材は、平面視が同形の略扇形に形成された板状部材である。永久磁石構造体(80)は、バックアイアン(81)、永久磁石(82)および磁石台(83)の順に積層され、それらが互いに接着剤等で固着して一体的に構成されている。バックアイアン(81)および永久磁石(82)は、何れも板厚が一定である。一方、磁石台(83)は板厚が内周側(図6の右側)から外周側(図6の左側)に向かって漸次薄くなるテーパ形状となっている。つまり、永久磁石構造体(80)は、平面視が略扇形の厚板部材に形成され、板厚が内周面(80b)側から外周面(80a)側にいくに従って薄くなっている。また、バックアイアン(81)は磁性材料からなり、磁石台(83)は非磁性材料からなる。
上記各永久磁石構造体(80)は、上述したように各ホルダ室(75)に装着される。図4や図8に示すように、永久磁石構造体(80)は、その積層方向とロータ(70)の厚み方向(図4の上下方向)とが同一となる状態でホルダ室(75)に装着される。そして、永久磁石構造体(80)は、上面(81a)(即ち、バックアイアン(81))が上側ステータ(50)側に位置し、下面(83a)(即ち、磁石台(83))が下側ステータ(60)側に位置するように装着される。また、永久磁石構造体(80)は、内周面(80b)がボス部(72)側に位置し、外周面(80a)がリム部(74)側に位置するように装着される。
上記各永久磁石構造体(80)の永久磁石(82)は、その板厚方向に着磁されており、その両面にN極またはS極の磁極を呈している。そして、各永久磁石構造体(80)は、隣り合う永久磁石構造体(80)の永久磁石(82)の磁極の極性が異なるように構成されている。また、各永久磁石構造体(80)のバックアイアン(81)は、励磁された上側ステータ(50)の外部磁界によって各永久磁石(82)に作用する減磁界の影響を緩和し、各永久磁石(82)が減磁するのを防止する。なお、下側ステータ(60)はコイルを有さず励磁されないため、永久磁石構造体(80)の下側ステータ(60)側に位置する磁石台(83)が非磁性材料であっても永久磁石(82)への減磁界の影響はない。
上記磁石変位機構(90)は、傾斜板(91)と複数(8つ)の電磁石(92)を備えている。
図4や図7に示すように、上記傾斜板(91)は、平面視円環状の非磁性材料からなる板状部材である。また、傾斜板(91)は、上面が傾斜面(91a)となっており、板厚が外周側から内周側にいくに従って薄くなっている。つまり、傾斜板(91)は扁平なすり鉢状に形成されている。この傾斜板(91)は、フレーム(71)の下側に嵌め込まれる。これにより、フレーム(71)の下側開口部(77)が傾斜板(91)によって閉塞される。即ち、ホルダ室(75)の下側が塞がれる。なお、この嵌め込まれた状態では、傾斜板(91)の下面とフレーム(71)の下面とが面位置になる。このように、本実施形態の傾斜板(91)は、ロータ(70)の径方向外側へいくに従って上側ステータ(50)に接近する傾斜面(91a)を有する傾斜部材を構成している。
図4に示すように、上記各電磁石(92)は、各ホルダ室(75)に対応してボス部(72)に埋め込まれている。つまり、各電磁石(92)は、各永久磁石構造体(80)に対応する径方向内側部であるボス部(72)に固定配置され、ホルダ室(75)に面している。電磁石(92)は電源に接続されて電流が供給される。この電磁石(92)は、後述するコントローラ(100)によって電流制御されて、永久磁石構造体(80)(バックアイアン(81)および永久磁石(82))に対して吸引力を及ぼすように構成されている。
図4や図8、図9にも示すように、上記ホルダ室(75)において、永久磁石構造体(80)はその下面(83a)が傾斜板(91)の傾斜面(91a)と当接した状態で収納されている。永久磁石構造体(80)はホルダ室(75)よりも小さめに形成されている。永久磁石構造体(80)は、ホルダ室(75)において傾斜部材(91)の傾斜面(91a)に対してロータ(70)の径方向(図8の左右方向)へスライド移動可能である。そして、永久磁石構造体(80)は、ロータ(70)の回転数の増大に応じて、ロータ(70)の径方向内側(図8(A)および図9(A)の状態)から径方向外側(図8(B)および図9(B)の状態)へスライド移動するように構成されている。即ち、ホルダ室(75)において、永久磁石構造体(80)はロータ(70)の回転による遠心力によって傾斜板(91)を径方向外側へスライド移動する。この径方向移動に伴い、永久磁石構造体(80)は上方へも変位する。その結果、永久磁石構造体(80)、即ち永久磁石(82)は上側ステータ(50)に接近する。このように、本実施形態の永久磁石構造体(80)は、ロータ(70)の回転数の増大に応じて、2つのステータ(50,60)のうち巻き線型ステータである上側ステータ(50)に近づくように構成されている。
また、本実施形態のロータ(70)では、永久磁石構造体(80)の上面(81a)がロータ(70)の面方向に平行な平行面となっている。つまり、永久磁石構造体(80)は、下面(83a)を傾斜板(91)の傾斜面(91a)に対応する傾斜面に形成し、板厚の厚い側を傾斜板(91)の内周側に位置させ板厚の薄い側を傾斜板(91)の外周側に位置させることで、永久磁石構造体(80)の上面(81a)がロータ(70)の面方向と平行となるようにしている。したがって、永久磁石構造体(80)がロータ(70)の径方向にスライド移動しても、永久磁石構造体(80)の上面(81a)と上側ステータ(50)との距離が永久磁石構造体(80)全体に亘って一定となる。そのため、上側ステータ(50)による回転磁界が永久磁石構造体(80)全体に均一に作用する。
また、上記ホルダ室(75)の上側開口部(76)は、開口の大きさが永久磁石構造体(80)の平面形状よりも一回り小さく形成されている。したがって、永久磁石構造体(80)が上側開口部(76)から抜け出ることはない。
また、上記ロータ(70)では、ホルダ室(75)において永久磁石構造体(80)が適切にスライド移動するための工夫がされている。図10に示すように、ホルダ室(75)において、スポーク部(73)の側壁のうち外周側の部分が永久磁石構造体(80)のガイド面(73a)となっている。このガイド面(73a)は、内側(ホルダ室(75)側)へ向かって傾斜している。そして、このガイド面(73a)は、ホルダ室(75)において永久磁石構造体(80)がガタつくことなくロータ(70)の径方向に確実に移動するようにガイドする。
本実施形態の圧縮機(10)はコントローラ(100)を備えており、該コントローラ(100)には第1制御部(101)と第2制御部(102)が設けられている。第1制御部(101)は、上側ステータ(50)のアキシャルコイル(56)に流れる電流を制御する。第2制御部(102)は、上述したように電磁石(92)の供給電流を制御する。これら制御部(101,102)の詳細な動作については後述する。
−運転動作−
次に、上記圧縮機(10)の運転動作について説明する。
先ず、第1制御部(101)によって上側ステータ(50)のアキシャルコイル(56)に電流が流れると、上側ステータ(50)に回転磁界が発生する。該回転磁界により、ロータ(70)が回転駆動され、回転軸(41)が回転する。
回転軸(41)の回転に伴い、各ピストン(23a,23b)が各シリンダ室(26a,26b)の内周面に沿うように回転する。このようにしてピストン(23a,23b)が回転すると、各吸入管(15,16)から各シリンダ室(26a,26b)へ冷媒が吸入される。各シリンダ室(26a,26b)では、ピストン(23a,23b)とブレード(25a,25b)によって区画される空間の容積が変化することで、冷媒が圧縮される。高圧側の空間の冷媒の圧力が所定値以上になると、各吐出ポート(31a,33a)のリード弁(図示省略)が開放され、高圧の冷媒が各吐出ポート(31a,33a)から流出する。各吐出ポート(31a,33a)から流出した高圧の冷媒は、各マフラー室(34,35,36)を介してケーシング(11)の内部空間(S)へ吐出される。内部空間(S1)へ吐出された冷媒は、下側ステータ(60)および上側ステータ(50)の各切欠き部(51a,53a,61a)を通って吐出管(17)からケーシング(11)の外部へ流出する。
〈モータにおいて作用する軸力〉
図11に示すように、モータ(40)では、上側ステータ(50)の回転磁界によって磁束φ1,φ2が作用する。磁束φ1は、上側ステータ(50)からロータ(70)の永久磁石(82)を鎖交して上側ステータ(50)に戻るものである。磁束φ2は、上側ステータ(50)からロータ(70)の永久磁石(82)と下側ステータ(60)とを順に鎖交して上側ステータ(50)に戻るものである。この磁束φ1,φ2によって、上側ステータ(50)とロータ(70)の間、下側ステータ(60)とロータ(70)の間にそれぞれ磁気吸引力が生じる。この磁気吸引力により、ロータ(70)が回転駆動される。
そして、ロータ(70)には、上述した磁気吸引力のうち回転駆動に寄与しない軸方向成分の磁気吸引力BF1,BF2も作用する。磁気吸引力BF1は、ロータ(70)に対して軸方向上向き(上側ステータ(50)側)へ作用する軸力である。磁気吸引力BF2は、ロータ(70)に対して軸方向下向き(下側ステータ(60)側)へ作用する軸力、即ち磁気吸引力BF1と反対方向に作用する軸力である。
モータ(40)においては、両者の磁気吸引力BF1,BF2が同等となるように、または常に一定方向にのみ軸力を作用させるため両者の磁気吸引力BF1,BF2に若干の差がつくように設計される。軸力の作用する方向が変化すると、スラスト軸受が複数必要となり不経済であるが、予め軸力の作用する方向を一定に制限すればスラスト軸受の数量を低減できる。本実施形態の場合、上述したように下向きの軸力を受けるスラスト軸受部(46)を設けているため、常に下向きの軸力が作用するように磁気吸引力BF2を若干大きく設計する。その場合、例えば、下側ステータ(60)とロータ(70)との間のエアギャップ(下側エアギャップ)の長さが上側ステータ(50)とロータ(70)との間のエアギャップ(上側エアギャップ)の長さよりも短く設計される。つまり、エアギャップの長さが長くなるに従って、そのギャップ間に作用する磁気吸引力が小さくなる。
〈弱め磁束制御〉
第1制御部(101)は、上述したように上側ステータ(50)に回転磁界が形成されるようにアキシャルコイル(56)の電流制御を行うが、ロータ(70)が高回転できるように弱め磁束制御も行う。なお、弱め磁束制御とは、ロータ(70)の回転数の増大に伴ってアキシャルコイル(56)に流れる電流の位相を進めていく制御をいう。
ロータ(70)の回転数が増加すると、ロータ(70)の永久磁石(82)からの磁束によって各アキシャルコイル(56)に生じる逆起電力が増大する。そして、逆起電力が供給電力を上回ると、各アキシャルコイル(56)に電流が流れなくなり、ロータ(70)を回転駆動できなくなる。そこで、上述した弱め磁束制御を行うと、ロータ(70)の回転数の増大に伴ってアキシャルコイル(56)に流れる電流の位相が進んでいく。つまり、アキシャルコイル(56)においてロータ(70)の回転数が増大するにつれて対向するロータ(70)の永久磁石(82)からの磁束と逆極性の磁束が増加する。これにより、永久磁石(82)からの磁束が弱められ、永久磁石(82)によって各アキシャルコイル(56)に生じる逆起電力を低減することができる。これによって、ロータ(70)を高回転で駆動することが可能となる。
〈永久磁石構造体の変位〉
上述した弱め磁束制御を行うと、予め設定された磁気吸引力BF1,BF2の関係(バランス)が崩れて、スラスト荷重が増大してしまう。そこで、本実施形態では、この磁気吸引力BF1,BF2の関係を維持すべく永久磁石構造体(80)が変位する。以下、この点について詳細に説明する。
弱め磁束制御が行われると、上述したようにアキシャルコイル(56)においてロータ(70)の永久磁石(82)からの磁束と逆極性の磁束が増加するため、その結果、図11に示す磁束φ1,φ2がそれぞれ弱まる。ここで、磁束φ1は、下側ステータ(60)よりも近いロータ(70)と上側ステータ(50)との間に作用するものであるため、磁束φ2よりも磁力が強い。したがって、弱め磁束制御による磁束φ1の弱まり度合いは磁束φ2の弱まり度合いに比べて大きくなる。即ち、弱め磁束制御が行われることによって、上側ステータ(50)とロータ(70)との間に作用する磁束の方が下側ステータ(60)とロータ(70)との間に作用する磁束よりも弱まる。これにより、図11に示す磁気吸引力BF1,BF2は共に低下するが、磁気吸引力BF1の低下量が磁気吸引力BF2の低下量よりも大きくなる。その結果、磁気吸引力BF2が相対的に大きくなり、予め設定された磁気吸引力BF1,BF2の関係(バランス)が崩れてしまう。このため、モータ(40)ではロータ(70)の回転数の増大に応じて軸方向下向きのスラスト荷重(軸力)が増大することとなる。
そこで、本実施形態では、永久磁石構造体(80)が磁石変位機構(90)によって変位する。先ず、上側ステータ(50)のアキシャルコイル(56)への通電開始時は、永久磁石構造体(80)は図8(A)および図9(A)に示す状態にある。この状態では、第2制御部(102)によって電磁石(92)が永久磁石構造体(80)を吸引するように制御され、永久磁石構造体(80)がホルダ室(75)の最も径方向内側に位置する。ホルダ室(75)においては、永久磁石構造体(80)との間に径方向隙間L1と厚さ方向隙間L2が形成される。また、永久磁石構造体(80)の内周面(80b)および側面(80c)はボス部(72)およびスポーク部(73)に当接する一方、外周面(80a)はリム部(74)と離隔している。
そして、ロータ(70)の回転数が増大していくと、永久磁石構造体(80)に作用する遠心力も増大していく。この遠心力は電磁石(92)の吸引力に抗する力である。この遠心力が電磁石(92)の吸引力を上回ると、ホルダ室(75)において永久磁石構造体(80)は傾斜板(91)を径方向外側(図8(A),図9(A)に示す矢印の方向)へスライド移動する。永久磁石構造体(80)は、径方向隙間L1だけ径方向外側へスライド移動し、その移動に伴い、厚さ方向隙間L2だけ上方(上側ステータ(50)側)へも変位する。そして、永久磁石構造体(80)は図8(B)および図9(B)に示す状態となる。この状態では、永久磁石構造体(80)はホルダ室(75)の最も径方向外側に位置し、ホルダ室(75)においては永久磁石構造体(80)との間に径方向隙間L3が形成されるが厚さ方向隙間はなくなる。また、永久磁石構造体(80)の外周面(80a)がリム部(74)に当接する一方、内周面(80b)および側面(80c)はボス部(72)およびスポーク部(73)と離隔している。
このように、永久磁石構造体(80)(永久磁石(82))は、遠心力によって径方向外側へ変位すると共に上方へ変位して上側ステータ(50)に接近する。これにより、永久磁石構造体(80)(永久磁石(82))と上側ステータ(50)との距離は短くなり、永久磁石構造体(80)(永久磁石(82))と下側ステータ(60)との距離は長くなる。そのため、上側ステータ(50)とロータ(70)との間に作用する磁束の磁力は増大する一方、下側ステータ(60)とロータ(70)との間に作用する磁束の磁力は減少する。その結果、図11に示す磁気吸引力BF1は増大し磁気吸引力BF2は低下し、予め設定された磁気吸引力BF1,BF2の関係(バランス)が維持される。つまり、弱め磁束制御によって相対的に小さくなった上向きの磁気吸引力BF1を増大させ、弱め磁束制御によって相対的に大きくなった下向きの磁気吸引力BF2を低下させるため、磁気吸引力BF1,BF2の両者の関係(バランス)が維持される。よって、ロータ(70)の回転数の増大に応じて軸方向下向きのスラスト荷重(軸力)が増大するという事態が防止される。
そして、ロータ(70)の回転数が低速域まで減少したり、ロータ(70)が停止して、永久磁石構造体(80)に作用する遠心力が電磁石(92)の吸引力を下回ると、永久磁石構造体(80)は再び図8(A)および図9(A)に示す状態に戻る。
−実施形態1の効果−
以上のように、本実施形態に係るモータ(40)では、ロータ(70)の回転数の増大に応じて、ロータ(70)において永久磁石構造体(80)(永久磁石(82))を予め設定された巻き線型ステータである上側ステータ(50)に近づくように変位させる磁石変位機構(90)を備えるようにした。そのため、特に高回転域において、上側ステータ(50)と永久磁石構造体(80)との距離を短くして、ロータ(70)に対する軸方向上向きの磁気吸引力BF1を増大させることができる。これにより、高回転域においても、ロータ(70)に対して軸方向に作用する2つの磁気吸引力BF1,BF2の関係(バランス)を維持することができる。その結果、特に高回転域において弱め磁束制御によるスラスト荷重(軸力)の増大を防止することができる。よって、モータ(40)においてスラスト荷重による機械損失を低減することができ、その結果、圧縮機(10)の運転効率を向上させることができる。
特に、本実施形態のモータ(40)では、ロータ(70)の径方向外側へいくに従って上側ステータ(50)に接近する傾斜面(91a)を有する傾斜板(91)を備えるようにした。そして、このモータ(40)ではロータ(70)の回転数の増大に応じて永久磁石構造体(80)を傾斜板(91)に対して径方向外側へスライド移動させるようにした。そのため、径方向外側へのスライド移動に伴い、永久磁石構造体(80)を上側ステータ(50)側へ変位させて近づけることができる。このように、簡易な構成により、永久磁石構造体(80)を上側ステータ(50)へ近づけることができる。
さらに、本実施形態のモータ(40)では、ロータ(70)の回転による遠心力を利用して永久磁石構造体(80)を径方向外側へスライド移動させるようにした。これにより、別途スライド移動させる動力源を設けなくてもよいため、磁石変位機構(90)をより簡素な構成とすることができる。その結果、モータ(40)引いては圧縮機(10)の大型化を抑制することができる。
また、本実施形態のモータ(40)では、永久磁石構造体(80)を吸引するための電磁石(92)をロータ(70)のボス部(72)に固定配置するようにした。そのため、ロータ(70)の停止時ないし低速回転域において、確実に永久磁石構造体(80)をホルダ室(75)の径方向内側へ位置させることができる。つまり、ロータ(70)の停止時等において永久磁石構造体(80)がホルダ室(75)の径方向外側の位置に留まってしまう状態を確実に回避することができる。これにより、確実に永久磁石構造体(80)をロータ(70)の回転数の増大に応じて径方向外側へ移動させることができる。その結果、高回転域においてスラスト荷重(軸力)の増大を確実に防止することができる。
また、本実施形態のロータ(70)では、永久磁石構造体(80)の上面(81a)がロータ(70)の面方向に平行な平行面となっている。そのため、永久磁石構造体(80)が径方向にスライド移動しても、永久磁石構造体(80)の上面(81a)と上側ステータ(50)との距離を永久磁石構造体(80)全体に亘って一定とすることができる。これにより、上側ステータ(50)による回転磁界を永久磁石構造体(80)全体に均一に鎖交させることができる。その結果、回転磁界によるロータ(70)の回転力を安定させることができる。
−実施形態1の各変形例−
〈変形例1〉
この変形例1は、図示しないが、上記実施形態1に係る第2制御部(102)の制御動作を変更したものである。上記実施形態1に係る第2制御部(102)は、常に電磁石(92)が永久磁石構造体(80)に対して吸引力を及ぼすように該電磁石(92)の電流制御を行うようにした。これに対し、本変形例の第2制御部(102)は、ロータ(70)の停止時ないし低速回転域においては電磁石(92)が永久磁石構造体(80)に対して吸引力を及ぼすように電流制御を行い、ロータ(70)の低速回転域を超える回転域においては電磁石(92)が永久磁石構造体(80)に対して反発力を及ぼすように電流制御を行う。
この変形例では、永久磁石構造体(80)(永久磁石(82))は、ロータ(70)の回転数が増大するにつれて、遠心力だけでなく電磁石(92)の反発力によっても径方向外側へスライド移動する。つまり、上記実施形態1に比して、永久磁石構造体(80)をスライド移動させる力が増す。そのため、ロータ(70)の回転数の増大に応じて、確実に永久磁石構造体(80)を径方向外側へ変位させて上側ステータ(50)へ近づけることができる。その結果、磁石変位機構(90)の信頼性が向上する。その他の構成、作用および効果は上記実施形態1と同様である。
〈変形例2〉
この変形例2は、図12に示すように、上記実施形態1に係るロータ(70)において電磁石(93)を追加するようにしたものである。
具体的に、本変形例に係るロータ(70)の磁石変位機構(90)は、各ホルダ室(75)に対応してボス部(72)に埋め込まれる電磁石(92)(ここでは、内側電磁石(92)という。)の他に、各ホルダ室(75)に対応してリム部(74)に埋め込まれる電磁石(93)(ここでは、外側電磁石(93)という。)を備えている。外側電磁石(93)は、内側電磁石(92)と同数の8つ設けられている。つまり、本変形例において、各内側電磁石(92)は各永久磁石構造体(80)に対応する径方向内側部であるボス部(72)に固定配置され、各外側電磁石(93)は各永久磁石構造体(80)に対応する径方向外側部であるリム部(74)に固定配置されている。内側電磁石(92)および外側電磁石(93)は何れもホルダ室(75)に面している。
内側電磁石(92)および外側電磁石(93)は、それぞれ電源に接続されて電流が供給される。そして、本変形例の第2制御部(102)は、内側電磁石(92)が永久磁石構造体(80)に対して吸引力を及ぼし、外側電磁石(93)が永久磁石構造体(80)に対して反発力を及ぼすように、各電磁石(92,93)の電流制御を行う。そのため、ロータ(70)の停止時ないし低速回転域において、より確実に永久磁石構造体(80)をホルダ室(75)の径方向内側へ位置させることができる。その結果、磁石変位機構(90)の信頼性が向上する。なお、本変形例では、ロータ(70)の回転による遠心力が各電磁石(92,93)の吸引力および反発力の合力を上回ると、永久磁石構造体(80)が径方向外側へスライド移動することとなる。その他の構成、作用および効果は上記実施形態1と同様である。
また、本変形例では、上記変形例1と同様の考え方により、ロータ(70)の低速回転域を超える回転域において、内側電磁石(92)は永久磁石構造体(80)に反発力を及ぼし、外側電磁石(93)は永久磁石構造体(80)に吸引力を及ぼすように電流制御を行ってもよいことは勿論である。
〈変形例3〉
この変形例3は、図示しないが、上記実施形態1に係るロータ(70)において電磁石(92)をボス部(72)ではなく各ホルダ室(75)に対応してリム部(74)に固定配置するようにしたものである。つまり、本変形例では、各電磁石(92)が各永久磁石構造体(80)に対応する径方向外側部であるリム部(74)に固定配置される。この場合、電磁石(92)は永久磁石構造体(80)に対して反発力を及ぼすように電流制御が行われる。そして、ロータ(70)の回転による遠心力が電磁石(92)の反発力を上回ると、永久磁石構造体(80)が径方向外側へスライド移動する。
また、この変形例においても、上記変形例1と同様の考え方により、ロータ(70)の低速回転域を超える回転域において、電磁石(92)が永久磁石構造体(80)に対して吸引力を及ぼすように電流制御を行ってもよいことは勿論である。
〈変形例4〉
この変形例4は、図示しないが、上記実施形態1に係るロータ(70)において電磁石(92)を省略するようにしたものである。この変形例の場合、ロータ(70)の停止時ないし低速回転域においては永久磁石構造体(80)はその自重によってホルダ室(75)の最も径方向内側に位置する。そして、ロータ(70)の回転数が増大していくと、遠心力によって永久磁石構造体(80)が径方向外側へスライド移動する。その後、低速回転域ないし停止状態になると、永久磁石構造体(80)はその自重で径方向内側へ移動して元の位置に戻る。その他の構成、作用および効果は上記実施形態1と同様である。
《実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。本実施形態の圧縮機(10)は、上記実施形態1においてモータ(40)の永久磁石構造体(80)および磁石変位機構(90)の構成を変更したものである。
図13に示すように、本実施形態の永久磁石構造体(80)は、上記実施形態1のものと比べて、磁石台(83)のテーパ形状が変更されている。本実施形態の磁石台(83)は、板厚が内周側(フレーム(71)のボス部(72)側)から外周側(フレーム(71)のリム部(74)側)に向かって漸次厚くなるテーパ形状となっている。つまり、永久磁石構造体(80)は板厚が内周面(80b)側から外周面(80a)側にいくに従って厚くなっている。
本実施形態の磁石変位機構(90)は、傾斜板(91)と複数(8つ)の電磁石(92)を備えている。この傾斜板(91)は、上記実施形態1のものと比べて傾斜方向が逆になっており、傾斜面(91a)がロータ(70)の径方向内側へいくに従って上側ステータ(50)に接近する。つまり、本実施形態の傾斜板(91)は扁平な円錐台状に形成されている。また、電磁石(92)は、上記実施形態1と同様、各永久磁石構造体(80)に対応する径方向内側部であるボス部(72)に固定配置され、ホルダ室(75)に面している。電磁石(92)は、コントローラ(100)の第2制御部(102)によって電流制御されて、永久磁石構造体(80)(バックアイアン(81)および永久磁石(82))に対して吸引力を及ぼすように構成されている。
そして、永久磁石構造体(80)は、ロータ(70)の回転数の増大に応じて、ロータ(70)の径方向外側(図13(A)の状態)から径方向内側(同図(B)の状態)へスライド移動するように構成されている。即ち、ホルダ室(75)において、永久磁石構造体(80)は電磁石(92)の吸引力によって傾斜板(91)を径方向内側へスライド移動する。この径方向移動に伴い、永久磁石構造体(80)は上方へ変位する。その結果、永久磁石構造体(80)、即ち永久磁石(82)は上側ステータ(50)に接近する。
具体的に、本実施形態では、上側ステータ(50)のアキシャルコイル(56)への通電開始時は、永久磁石構造体(80)はホルダ室(75)において最も径方向外側に位置する(図13(A)の状態)。この状態では、電磁石(92)に電流は供給されず、電磁石(92)は永久磁石構造体(80)に対して吸引力も反発力も及ぼさない。そして、ホルダ室(75)においては、永久磁石構造体(80)との間に径方向隙間L1と厚さ方向隙間L2が形成される。また、永久磁石構造体(80)の外周面(80a)および側面(80c)はリム部(74)およびスポーク部(73)に当接する一方、内周面(80b)はボス部(72)と離隔している。
そして、ロータ(70)の回転数が増大し所定値以上になると、第2制御部(102)によって電磁石(92)に通電される。そうすると、電磁石(92)にロータ(70)の遠心力よりも大きな吸引力が発生し、その吸引力によって永久磁石構造体(80)が傾斜板(91)を径方向内側(図13(A)に示す矢印の方向)へスライド移動する。つまり、永久磁石構造体(80)は遠心力に抗して移動する。永久磁石構造体(80)は、径方向隙間L1だけ径方向内側へスライド移動し、その移動に伴い、厚さ方向隙間L2だけ上方(上側ステータ(50)側)へも変位する。そして、永久磁石構造体(80)は図13(B)に示す状態となる。この状態では、永久磁石構造体(80)はホルダ室(75)の最も径方向内側に位置し、ホルダ室(75)においては永久磁石構造体(80)との間に径方向隙間L3が形成されるが厚さ方向隙間はなくなる。また、永久磁石構造体(80)の内周面(80b)がボス部(72)に当接する一方、外周面(80a)および側面(80c)はリム部(74)およびスポーク部(73)と離隔している。
このように、永久磁石構造体(80)は、電磁石(92)の吸引力によって径方向内側へ変位すると共に上方へ変位して上側ステータ(50)に接近する。これにより、上記実施形態1と同様、永久磁石構造体(80)(永久磁石(82))と上側ステータ(50)との距離は短くなり、永久磁石構造体(80)(永久磁石(82))と下側ステータ(60)との距離は長くなる。そのため、図11に示す磁気吸引力BF1は増大する一方、磁気吸引力BF2は低下し、予め設定された磁気吸引力BF1,BF2の関係(バランス)が維持される。よって、ロータ(70)の回転数の増大に応じて軸方向下向きのスラスト荷重(軸力)が増大するのを防止することができる。
そして、ロータ(70)の回転数が減少し上記所定値未満になると、電磁石(92)への通電が停止される。そうすると、永久磁石構造体(80)はその自重とロータ(70)の遠心力とによって径方向外側へスライド移動して再び図13(A)の状態に戻る。このように、本実施形態では、永久磁石構造体(80)をその自重だけでなくロータ(70)の遠心力を利用して径方向外側へ移動させる。そのため、簡易な構成により、ロータ(70)の停止時ないし低速回転域において確実に永久磁石構造体(80)をホルダ室(75)の径方向内側へ位置させることができる。つまり、ロータ(70)の停止時等において永久磁石構造体(80)がホルダ室(75)の径方向内側の位置に留まってしまう状態を確実に回避することができる。その他の構成、作用および効果は上記実施形態1と同様である。
−実施形態2の各変形例−
〈変形例1〉
この変形例1は、図14に示すように、上記実施形態2に係るロータ(70)において電磁石(93)を追加するようにしたものである。
具体的に、本変形例に係るロータ(70)の磁石変位機構(90)は、各ホルダ室(75)に対応してボス部(72)に埋め込まれる電磁石(92)(ここでは、内側電磁石(92)という。)の他に、各ホルダ室(75)に対応してリム部(74)に埋め込まれる電磁石(93)(ここでは、外側電磁石(93)という。)を備えている。外側電磁石(93)は、内側電磁石(92)と同数の8つ設けられている。つまり、本変形例において、各内側電磁石(92)は各永久磁石構造体(80)に対応する径方向内側部であるボス部(72)に固定配置され、各外側電磁石(93)は各永久磁石構造体(80)に対応する径方向外側部であるリム部(74)に固定配置されている。内側電磁石(92)および外側電磁石(93)は何れもホルダ室(75)に面している。
内側電磁石(92)および外側電磁石(93)は、それぞれ電源に接続されて電流が供給される。そして、本変形例の第2制御部(102)は、ロータ(70)の回転数が上記所定値以上になると、内側電磁石(92)が永久磁石構造体(80)に対して吸引力を及ぼし、外側電磁石(93)が永久磁石構造体(80)に対して反発力を及ぼすように、各電磁石(92,93)へ通電する。そのため、ロータ(70)の高回転域において、より確実に永久磁石構造体(80)を径方向内側へスライド移動させることができる。その他の構成、作用および効果は上記実施形態1と同様である。
〈変形例2〉
この変形例2は、図示しないが、上記実施形態2に係るロータ(70)において電磁石(92)をボス部(72)ではなく各ホルダ室(75)に対応するリム部(74)に固定配置するようにしたものである。つまり、本変形例では、各電磁石(92)が各永久磁石構造体(80)に対応する径方向外側部であるリム部(74)に固定配置される。この場合、第2制御部(102)は、ロータ(70)の回転数が上記所定値以上になると、各電磁石(92)が永久磁石構造体(80)に対して反発力を及ぼすように、各電磁石(92)へ通電する。
《実施形態3》
本発明の実施形態3について説明する。本実施形態の圧縮機(10)は、上記実施形態1においてモータ(40)の磁石変位機構(90)の構成を変更したものである。
図15に示すように、本実施形態の磁石変位機構(90)は、上記実施形態1のものと比べて、電磁石(92)の代わりに磁性部材(94)を備えている。なお、傾斜板(91)は上記実施形態1のものと同様である。磁性部材(94)は、上記実施形態1の電磁石(92)と同様、各永久磁石構造体(80)に対応する径方向内側部であるボス部(72)に固定配置され、ホルダ室(75)に面している。この磁性部材(94)は、永久磁石構造体(80)の永久磁石(82)との間で吸引力が作用するものである。
本実施形態の永久磁石構造体(80)は、上側ステータ(50)のアキシャルコイル(56)への通電開始時は、上記実施形態1と同様にホルダ室(75)の最も径方向内側に位置する(図15(A)の状態)。そして、ロータ(70)の回転数が増大していくと、永久磁石構造体(80)に作用する遠心力も増大していく。この遠心力は磁性部材(94)と永久磁石構造体(80)(永久磁石(82))との間の吸引力に抗する力である。この遠心力がその吸引力を上回ると、ホルダ室(75)において永久磁石構造体(80)は傾斜板(91)を径方向外側(図15(A)に示す矢印の方向)へスライド移動する。これにより、上記実施形態1と同様、永久磁石構造体(80)は上方(上側ステータ(50)側)へ変位する(図15(B)の状態)。このように、本実施形態においても、ロータ(70)の回転数の増大に応じて永久磁石構造体(80)が上側ステータ(50)に接近するため、ロータ(70)の回転数の増大に応じて軸方向下向きのスラスト荷重(軸力)が増大するのを防止することができる。
そして、ロータ(70)の回転数が低速域まで減少したり、ロータ(70)が停止して、遠心力が永久磁石構造体(80)と磁性部材(94)との間の吸引力を下回ると、永久磁石構造体(80)は径方向内側へスライド移動して再び図15(A)の状態に戻る。なお、本実施形態では第2制御部(102)が省略される。その他の構成、作用および効果は上記実施形態1と同様である。
《実施形態4》
本発明の実施形態4について説明する。本実施形態の圧縮機(10)は、上記実施形態1においてモータ(40)の磁石変位機構(90)の構成を変更したものである。
図16に示すように、本実施形態の磁石変位機構(90)は、上記実施形態1のものと比べて、電磁石(92)の代わりにバネ部材(96)を備えている。なお、傾斜板(91)は上記実施形態1のものと同様である。バネ部材(96)は、上記実施形態1の電磁石(92)と同様、各永久磁石構造体(80)に対応する径方向内側部であるボス部(72)に設けられている。具体的に、各永久磁石構造体(80)に対応するボス部(72)には凹状のバネ室(95)が形成され、該バネ室(95)に上記バネ部材(96)の一端(基端)が取り付けられている。このバネ部材(96)の他端(先端)は永久磁石構造体(80)に取り付けられている。そして、バネ部材(96)は永久磁石構造体(80)を径方向内側へ付勢するように構成されている。
本実施形態の永久磁石構造体(80)は、上側ステータ(50)のアキシャルコイル(56)への通電開始時は、上記実施形態1と同様にホルダ室(75)の最も径方向内側に位置する(図16(A)の状態)。そして、ロータ(70)の回転数が増大していくと、永久磁石構造体(80)に作用する遠心力も増大していく。この遠心力はバネ部材(96)の付勢力に抗する力である。この遠心力がバネ部材(96)の付勢力を上回ると、ホルダ室(75)において永久磁石構造体(80)は傾斜板(91)を径方向外側(図16(A)に示す矢印の方向)へスライド移動する。つまり、永久磁石構造体(80)に作用する遠心力がバネ部材(96)の付勢力に打ち勝つことで永久磁石構造体(80)が移動する。これにより、上記実施形態1と同様、永久磁石構造体(80)は上方(上側ステータ(50)側)へ変位する(図16(B)の状態)。このように、本実施形態においても、ロータ(70)の回転数の増大に応じて永久磁石構造体(80)が上側ステータ(50)に接近するため、ロータ(70)の回転数の増大に応じて軸方向下向きのスラスト荷重(軸力)が増大するのを防止することができる。
そして、ロータ(70)の回転数が低速域まで減少したり、ロータ(70)が停止して、遠心力がバネ部材(96)の付勢力を下回ると、永久磁石構造体(80)はバネ部材(96)の付勢力によって径方向内側へスライド移動して再び図16(A)の状態に戻る。なお、本実施形態では第2制御部(102)が省略される。その他の構成、作用および効果は上記実施形態1と同様である。
−実施形態4の変形例−
この変形例は、図17に示すように、上記実施形態4においてバネ部材(98)をボス部(72)ではなくリム部(74)に取り付けるようにしたものである。
具体的に、本変形例は、各永久磁石構造体(80)に対応する径方向外側部であるリム部(74)に凹状のバネ室(97)が形成されている。そのバネ室(97)に上記バネ部材(98)の一端(基端)が取り付けられている。バネ部材(98)の他端(先端)は永久磁石構造体(80)に取り付けられている。そして、このバネ部材(98)は永久磁石構造体(80)を径方向内側へ付勢するように構成されている。
本実施形態の永久磁石構造体(80)は、上側ステータ(50)のアキシャルコイル(56)への通電開始時は、上記実施形態1と同様にホルダ室(75)の最も径方向内側に位置する(図17(A)の状態)。そして、ロータ(70)の回転数が増大していくと、永久磁石構造体(80)に作用する遠心力も増大していく。この遠心力はバネ部材(96)の付勢力に抗する力である。この遠心力がバネ部材(96)の付勢力を上回ると、ホルダ室(75)において永久磁石構造体(80)は傾斜板(91)を径方向外側(図17(A)に示す矢印の方向)へスライド移動する。つまり、永久磁石構造体(80)に作用する遠心力がバネ部材(96)の付勢力に打ち勝つことで永久磁石構造体(80)が移動する。これにより、上記実施形態1と同様、永久磁石構造体(80)は上方(上側ステータ(50)側)へ変位する(図17(B)の状態)。このように、ロータ(70)の回転数の増大に応じて永久磁石構造体(80)が上側ステータ(50)に接近するため、ロータ(70)の回転数の増大に応じて軸方向下向きのスラスト荷重(軸力)が増大するのを防止することができる。
そして、ロータ(70)の回転数が低速域まで減少したり、ロータ(70)が停止して、遠心力がバネ部材(96)の付勢力を下回ると、永久磁石構造体(80)はバネ部材(96)の付勢力によって径方向内側へスライド移動して再び図17(A)の状態に戻る。その他の構成、作用および効果は上記実施形態1と同様である。
《その他の実施形態》
本発明は、上記実施形態について以下のように構成してもよい。
上記実施形態では永久磁石構造体(80)を巻き線型である上側ステータ(50)に近づくように変位させるようにしたが、本発明はこれに限られない。
例えば、上側ステータ(50)を非巻き線型で構成し下側ステータ(60)を巻き線型で構成した場合、同様に弱め磁束制御を行うことによって、図11における軸方向下向きの磁気吸引力BF2が軸方向上向きの磁気吸引力BF1よりも小さくなる。そうすると、軸方向上向きのスラスト荷重が増大してしまう。この場合は、ロータ(70)の回転数の増大に応じて、永久磁石構造体(80)を下側ステータ(60)に近づくようにロータ(70)の径方向に変位させる。具体的に、上記実施形態1の場合、フレーム(71)のリム部(74)に電磁石を固定配置し、下側ステータ(60)のアキシャルコイルへの通電時には永久磁石構造体(80)をホルダ室(75)の径方向外側に位置させる。そして、ロータ(70)の回転数が増大し所定値以上になると、電磁石が永久磁石構造体(80)に対して遠心力よりも大きな反発力を及ぼすように電磁石に通電する。これにより、永久磁石構造体(80)は、ホルダ室(75)において径方向外側から径方向内側へスライド移動し、その移動に伴い下方(下側ステータ(60)側)へも変位する。そのため、永久磁石構造体(80)と下側ステータ(60)との距離が短くなり、永久磁石構造体(80)と上側ステータ(50)との距離が長くなる。その結果、軸方向の磁気吸引力BF1,BF2の関係(バランス)が維持される。
また、本発明は、上側ステータ(50)および下側ステータ(60)の両方を巻き線型で構成した場合でも適用することができる。この場合、何れか一方のステータ(50,60)に対して弱め磁束制御を行うと、その制御が行われた方のステータ(50,60)に向かって作用する軸方向の磁気吸引力が相対的に小さくなる。また、両方のステータ(50,60)に対して弱め磁束制御を行う場合であってもその制御量に差がある場合には、何れか一方のステータ(50,60)に向かって作用する磁気吸引力が相対的に小さくなる。このような場合も、ロータ(70)の回転数の増大に応じて、永久磁石構造体(80)を磁気吸引力BF1,BF2が小さくなる方のステータ(50,60)に近づくように径方向に変位させる。
以上のように、本発明は、2つのステータ(50,60)のうちロータ(70)の回転数の増大に応じて軸方向の磁気吸引力BF1,BF2が小さくなるステータ(50,60)が予め設計段階で設定されるため、その設定されたステータ(50,60)に永久磁石構造体(80)を近づけるように変位させる。
また、本発明は、上記各実施形態において、回転式圧縮機構(20)は例えばスクロール式等の他の回転式の圧縮機構であってもよい。
以上説明したように、本発明は、ロータの軸方向両側にステータを備えたアキシャルギャップ型モータおよびそれを用いた回転式の圧縮機について有用である。
10 圧縮機
20 回転式圧縮機構
40 アキシャルギャップ型モータ
41 回転軸
50 上側ステータ(ステータ、巻き線型ステータ)
60 下側ステータ(ステータ、非巻き線型ステータ)
70 ロータ
80 永久磁石構造体
82 永久磁石
90 磁石変位機構
91 傾斜板(傾斜部材)
92 電磁石
93 電磁石
94 磁性部材
96 バネ部材
98 バネ部材

Claims (9)

  1. 中心に回転軸(41)が固定され且つ周方向に複数の永久磁石(82)が装着された円板状のロータ(70)と、
    上記ロータ(70)の上記回転軸(41)の軸方向両側にエアギャップを介して対向配置される2つのステータ(50,60)と、
    上記ロータ(70)の回転数の増大に応じて、上記ロータ(70)において上記各永久磁石(82)を上記2つのステータ(50,60)のうち予め設定された一方のステータ(50,60)に近づくように変位させる磁石変位機構(90)とを備えている
    ことを特徴とするアキシャルギャップ型モータ。
  2. 請求項1において、
    上記ロータ(70)は、少なくとも一部が上記永久磁石(82)で構成される複数の永久磁石構造体(80)が装着され、
    上記磁石変位機構(90)は、上記ロータ(70)に設けられ、該ロータ(70)の径方向外側または径方向内側へいくに従って上記予め設定された一方のステータ(50,60)に接近する傾斜面を有する傾斜部材(91)を備え、上記ロータ(70)の回転数の増大に応じて上記各永久磁石構造体(80)を上記傾斜部材(91)の傾斜面に対して上記ロータ(70)の径方向にスライド移動させる
    ことを特徴とするアキシャルギャップ型モータ。
  3. 請求項2において、
    上記各永久磁石構造体(80)は、板状に形成され、その厚み方向両側の面のうち一面が上記傾斜部材(91)の傾斜面に接してスライドする傾斜面であり、他面が上記ロータ(70)の面方向に平行な平行面である
    ことを特徴とするアキシャルギャップ型モータ。
  4. 請求項2において、
    上記磁石変位機構(90)は、上記ロータ(70)の上記各永久磁石構造体(80)に対応する径方向内側部と径方向外側部の少なくとも一方に固定配置され、上記永久磁石構造体(80)の永久磁石(82)に対して吸引力または反発力を及ぼす電磁石(92,93)を備えている
    ことを特徴とするアキシャルギャップ型モータ。
  5. 請求項2において、
    上記磁石変位機構(90)の傾斜部材(91)は、上記ロータ(70)の径方向外側へいくに従って上記予め設定された一方のステータ(50,60)に接近する傾斜面を有し、
    上記磁石変位機構(90)は、上記ロータ(70)の上記各永久磁石構造体(80)に対応する径方向内側部に固定配置される磁性部材(94)を備え、上記ロータ(70)の回転数の増大によって、上記各永久磁石構造体(80)を上記傾斜部材(91)の傾斜面に対して上記ロータ(70)の径方向内側から径方向外側にスライド移動させる
    ことを特徴とするアキシャルギャップ型モータ。
  6. 請求項2において、
    上記磁石変位機構(90)の傾斜部材(91)は、上記ロータ(70)の径方向外側へいくに従って上記予め設定された一方のステータ(50,60)に接近する傾斜面を有し、
    上記磁石変位機構(90)は、上記ロータ(70)の上記各永久磁石構造体(80)に対応する径方向内側部に設けられて該永久磁石構造体(80)を径方向内側へ付勢するバネ部材(96)を備え、上記ロータ(70)の回転数の増大によって、上記バネ部材(96)の付勢力に打ち勝って上記各永久磁石構造体(80)を上記傾斜部材(91)の傾斜面に対して上記ロータ(70)の径方向内側から径方向外側にスライド移動させる
    ことを特徴とするアキシャルギャップ型モータ。
  7. 請求項2において、
    上記磁石変位機構(90)の傾斜部材(91)は、上記ロータ(70)の径方向外側へいくに従って上記予め設定された一方のステータ(50,60)に接近する傾斜面を有し、
    上記磁石変位機構(90)は、上記ロータ(70)の上記永久磁石構造体(80)に対応する径方向外側部に設けられて該永久磁石構造体(80)を径方向内側へ付勢するバネ部材(98)を備え、上記ロータの回転数の増大に応じて上記各永久磁石構造体(80)を上記傾斜部材(91)の傾斜面に対して上記ロータ(70)の径方向内側から径方向外側にスライド移動させる
    ことを特徴とするアキシャルギャップ型モータ。
  8. 請求項1において、
    上記2つのステータ(50,60)は、一方が巻き線型ステータ(50)で、他方が非巻き線型ステータ(60)であり、
    上記磁石変位機構(90)は、上記ロータ(70)の回転数の増大に応じて、上記永久磁石(82)を上記巻き線型ステータ(50)に近づくように変位させる
    ことを特徴とするアキシャルギャップ型モータ。
  9. 請求項1乃至8の何れか1項のアキシャルギャップ型モータ(40)と、該アキシャルギャップ型モータ(40)の回転軸(41)に連結され、冷媒を圧縮する回転式圧縮機構(20)とを備えている
    ことを特徴とする圧縮機。
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