以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
先ず、第1実施形態について説明する。
本実施形態に係る振動発電装置は、振動する振動体に設置される。この振動体としては、例えば、床スラブ、天井ボード、階段、空調ダクト等が挙げられる。以下、床スラブ及び天井ボードに対する振動発電装置の設置例について説明するが、本実施形態に係る振動発電装置は種々の振動体に設置することが可能であり、これらの床スラブ及び天井ボードに限定されるものではない。
図1に示されるように、床スラブ14の上には二重床16が設けられている。二重床16は、パーチクルボード等の板材18の上にフローリング等の床材20を重ねた床部38と、床部38と床スラブ14の間に設けられ、床部38を支持する支持脚40とを備えている。これらの床部38と床スラブ14の間に形成された床下空間42に振動発電装置10が設置されている。
ここで、人の歩行等により床部38に発生した振動や床部38に設置された設備機器の振動は、支持脚40を介して床スラブ14に伝播され、床スラブ14が振動する。この床スラブ14の上面に振動発電装置10が設置されている。
一方、床スラブ14の下には、吊り木44によって天井ボード48が吊り下げられている。吊り木44は、床スラブ14の下面に固定された角材50と、天井ボード48に固定された野縁受け52とに接合されている。これらの天井ボード48と床スラブ14の間に形成された天井裏空間54に振動発電装置10が設置されている。
ここで、人の歩行等により床部38に発生した振動は、床スラブ14や吊り木44を介して天井ボード48に伝播され、天井ボード48が振動する。この天井ボード48の上面に振動発電装置10が設置されている。
<振動発電装置の構成>
以下、床スラブ14の上面に設置された振動発電装置10の構成についてのみ説明する。なお、天井ボード48の上面に設置された振動発電装置10は、床スラブ14の上面に設置された振動発電装置10と同じ構成であるため、説明を省略する。
図2〜図4に示されるように、振動発電装置10は、床スラブ14の上面に固定される基台56と、振動増幅機構68と、振動発電ユニット120を備えている。振動増幅機構68は、基台56上に設けられたコイルばね58(第1弾性体)と、コイルばね58で揺動可能に支持される台座60を備えている。
台座60は平面視にて矩形に形成され、基台56の上に配置されている。この台座60は、取付部62と、台座60の4つの角部に設けられた支持部64を備えている。取付部62と支持部64との間には段差が設けられ、支持部64が取付部62よりも高い位置(基台56から遠い位置)に設けられている。各支持部64は矩形の板状で、平板状の取付部62の縁から立ち上がる2つの側壁92の上端部から水平方向へ張り出している。
隣接する支持部64の間には、リブ94がそれぞれ設けられている。4つのリブ94は枠状に接合され、取付部62の上面に立設されている。これらのリブ94で区画された取付部62の中央部は、振動発電ユニット120が設置されるユニット取付部102とされ、ユニット取付部102の外周部は、錘114が取り付けられる錘取付部104とされている。また、ユニット取付部102の上面は、振動発電ユニット120が取り付けられる取付面102Aとされている。この取付面102Aには、振動発電ユニット120を固定するビス66の取付孔116が形成されている。
図3に示されるように、錘取付部104には、取付棒118が立設されており、当該取付棒118に複数の錘114が固定されている。各錘114の中央部には貫通孔(不図示)が形成され、当該貫通孔に取付棒118を貫通させることにより、複数の錘114が積み重ねられた状態で錘取付部104の上に載置されている。これらの錘114は、取付棒118の上端部に取り付けられた固定金具122によって固定されている。この固定金具122を取り外すことにより、錘114の追加や、取付棒118からの錘114の取り外しが可能となっている。なお、錘114は、支持部64の上に取り付けても良い。
支持部64と基台56との間には、コイルばね58がそれぞれ設けられている。コイルばね58は、伸縮方向(振動方向G)一端58Aが基台56に固定され、伸縮方向他端58Bが支持部64に固定されている。これらのコイルばね58によって、台座60が振動方向Gに揺動可能に支持されている。
なお、コイルばね58の伸縮方向一端58Aは、本実施形態のように基台56等の部材を介して床スラブ14(振動体)に取り付けても良いし、直接床スラブ14に取り付けても良い。これと同様に、コイルばね58の伸縮方向他端58Bは、本実施形態のように直接台座60に取り付けても良いし、部材を介して台座60に取り付けても良い。
また、台座60は、中央部に設けられたユニット取付部102(図2参照)が、コイルばね58の伸縮方向他端58Bよりも床スラブ14側に位置するようにコイルばね58で支持されている。これにより、ユニット取付部102に取り付けられた振動発電ユニット120の下部がコイルばね58の支持高さS内に位置され、振動発電装置10の装置高さHが低く抑えられている。
なお、コイルばね58の支持高さとは、当該コイルばね58の伸縮方向の長さであって、静止した台座60及び振動発電ユニット120の重量によってコイルばね58が圧縮(又は伸張)した状態におけるコイルばね58の伸縮方向の長さである。
<振動発電ユニットの構成>
図5には、ユニット取付部102に取り付けられた振動発電ユニット120が示されている。振動発電ユニット120は、ユニット取付部102の取付面102Aに取り付けられる取付台12と、取付台12に設けられた発電部76と、取付台12に取り付けられ、発電部76を覆う箱型のケース46と、を備えている。取付台12は、ビス66によってユニット取付部102の取付面102Aに固定されている。この発電部76は、所定の振動方向に振動すると発電する。よって、発電部76を説明する際は、発電する振動方向を基準に説明する。
なお、本実施形態では、床スラブ14の上面に振動発電装置10を取り付けた場合、即ち、振動方向が図面の上下方向である場合を例に説明するが、振動方向はこれに限定されない。例えば、振動方向を水平方向とした場合は、各図面を90°回転した状態で発電部76が配置されることになる。また、上下左右、天井、底等を使用して発電部76を説明する場合があるが、これは説明の便宜上、各図における上下方向を基準としているだけであり、この方向に設置することを意味するものでない。
発電部76は振動増幅部78を備えている。振動増幅部78は、錘80と、この錘80を振動方向Gに対して揺動可能に設ける支持部材としてのコイルばね82とを備えている。板状の錘80は、当該錘80と取付台12との間に配置された4つのコイルばね82で支持されている。また、錘80の中央部に形成された貫通孔の内周壁には、第1部材としてのコイル84が設けられている。なお、コイルばね82に替えて、天然ゴム、合成ゴム等のゴム部材を用いても良い。
コイルばね82の伸縮方向一端は取付台12に固定され、コイルばね82の伸縮方向他端は錘80に固定されている。コイルばね82の内部には、円柱形のガイド部材86が配置されている。ガイド部材86の一端は取付台12に固定され、ガイド部材86の他端は錘80に形成されたガイド孔88にスライド可能に挿入されている。このガイド部材86によって錘80がガイドされ、錘80が水平姿勢を保持したまま振動方向Gに揺動可能に設けられている(支持されている)。これにより、錘80の貫通孔80A内に設けられたコイル84が振動方向Gに揺動可能となっている。なお、ガイド部材86は必要に応じて設ければ良く、適宜省略可能である。
また、取付台12には、第2部材としての円柱形の磁石90が設けられている。磁石90は取付台12上に立てられ、その一端が取付台12に固定されると共に、その他端が錘80に設けられたコイル84内に挿入(配置)されている。即ち、コイル84と当該コイル84内に配置された磁石90とが、振動方向Gに相対移動可能になっている。この相対移動によって、コイル84に電磁誘導が発生し、電力が発生するように構成されている。発生した電力は、コイル84に接続された配線(不図示)によってケース46の外へ導かれ、電子機器の動力として使用され、若しくは蓄電池(二次電池)に蓄電される。
なお、電線の先は、電気で駆動する機器に電源として接続されていても良いし、或いは、蓄電池(二次電池)接続して蓄電し、蓄電された電気で機器を駆動するようにしても良い。また、回路を介して、機器や蓄電池に接続されていても良い。
また、上記の説明では、発電部76の振動方向Gを図面上の上下方向にし、且つ、振動方向G下方を重力方向として説明したがこれに限定されない。即ち、上記の説明では、コイルばね82が、錘80及びコイル84を下から支持する圧縮コイルばねとなっているが、これに限定されない。例えば、振動方向G上方を重力方向にし、即ち、図5を上下反転させた構成にしても良い。この場合、コイルばね82が錘80及びコイル84を吊り下げ支持する構成となり、引張コイルばねとなる。更に、振動方向Gを水平方向(図面上の左右方向)にしても良い。この場合、磁石90がコイル84内を水平方向にスムーズに移動可能なように、ガイド部材86を設けることが望ましい。ただし、ガイド部材86のようなガイド機構は必須ではなく、また、ガイド機構を設ける場合には、従来周知の種々のガイド機構を設けることができる。
次に、第1実施形態の作用について説明する。
図3に示されるように、人の歩行等によって床部38(図1参照)に発生した振動が支持脚40を介して床スラブ14に伝播されると、床スラブ14及び当該床スラブ14に固定された基台56が振動方向Gへ振動する。これにより、コイルばね58によって揺動可能に支持された台座60が、基台56に対して振動方向Gへ振動する。また、台座60が振動方向Gへ振動すると、図5に示されるように、台座60のユニット取付部102に取り付けられた取付台12が振動し、コイルばね82によって揺動可能に設けられた錘80が取付台12に対して振動方向Gへ振動する。この結果、錘80に設けられたコイル84と、当該コイル84内に配置された磁石90とが振動方向Gへ相対移動し、コイル84に電磁誘導が発生する。即ち、コイル84に電力が発生し、床スラブ14の振動の振動エネルギーが電気エネルギーに変換される。
次に、振動増幅部78の作用について説明する。
一般に、電磁誘導による発電量Vは、コイルの巻数をN、微小時間Δtでのコイルを貫く磁束密度の変化量をΔΦ/Δtとすると、式(1)に示すファラデーの電磁誘導の法則により求められる。
式(1)により、発電量Vは、単位時間当たりの磁束密度の変化量ΔΦ/Δtに比例することがわかる。そして、磁束密度の変化量ΔΦ/Δtは、磁石又はコイルの振動の振幅(磁石とコイルとの相対移動量)が大きいほど大きくなるので、磁石又はコイルの振動の振幅が大きいほど発電量は大きくなる。この原理に基づけば、発電部76のコイル84の振幅を大きくすれば、大きな電力を発生させることができるが判る。
具体的には、発電部76の錘80及びコイル84の固有振動数を、台座60の振動数と一致又は略一致させ、錘80及びコイル84と台座60とが共振するように、錘80の重量やコイルばね82の長さ(巻き数)、ばね定数(ばね剛性)を設定することで、台座60の振幅が増幅され、発電部76の錘80及びコイル84の振幅が大きくなる。
一方、磁石90とコイル84とが振動方向Gに相対移動して電力を発生する際、コイル84には逆起電力が発生する。この逆起電力は抵抗力となって磁石90に作用し、コイル84と磁石90の相対移動量を減少させる。即ち、逆起電力によって、磁石90に対するコイル84の振幅が減少する。
この対策として、本実施形態では、錘80にコイル84を設けている。これにより、錘80の重量によってコイル84の慣性力が大きくなり、コイル84に発生する逆起電力(抵抗力)に起因するコイル84の振幅の減少が低減される。即ち、錘80及びコイル84の振幅を増幅する振動増幅部78の増幅倍率の低下が低減される。
このように、本実施形態では、振動増幅部78によってコイル84の振幅が大きくなり、また、錘80によって逆起電力(抵抗力)による振動増幅部78の増幅倍率の低下が低減される。従って、コイル84内を移動する磁石90の移動量が増加する。
磁石90の移動量が大きくなると、式(1)を用いて説明したように、発電部76における発電量が大きくなる。換言すれば、床スラブ14の振動エネルギーが電気エネルギーに変換される変換効率が向上する。
次に、振動増幅機構68の作用について説明する。
前述したように、床スラブ14及び当該床スラブ14に固定された基台56が振動すると、コイルばね58で基台56に揺動可能に設けられた台座60が振動方向Gへ振動する。この台座60の振動が、発電部76に伝達され、振動エネルギーが電気エネルギーに変換される。この振動系は、図6に示されるように、台座60及び錘114と、錘80(コイル84を含む)とを質点とする2質点系の振動モデルに置き換えられる。従って、台座60の振動の振幅を大きくし、発電部76に伝達する振動の振幅を大きくすれば、より大きな電力を発生させることができる(式(1)参照)。なお、図6に示す振動モデルには、図3及び図5に示した各部に対応する符号を付している。
具体的には、台座60の固有振動数を床スラブ14の振動数と一致又は略一致させ、台座60と床スラブ14とが共振するように、台座60及び錘114の質量(合計質量)やコイルばね58のばね定数(ばね剛性)を設定することで、床スラブ14の振幅が増幅され、台座60の振動の振幅が大きくなる。この結果、発電部76へ伝達される振動の振幅が大きくなる。
また、前述したように、この台座60の固有振動数と、発電部76の錘80(コイル84を含む)の固有振動数とを一致又は略一致させ、台座60と錘80とが共振するように、錘80の重量やコイルばね82の長さやばね定数を設定することで、台座60の振幅が増幅され、錘80の振動の振幅が更に大きくなる。
従って、振動増幅機構68を備えない構成と比較して、コイル84と磁石90の相対移動量が大きくなるため、発電量が大きくなる。即ち、振動する床スラブ14の振動エネルギーが電気エネルギーに変換される変換効率が向上する。
ここで、台座60と、発電部76の錘80及びコイル84とを共振させた場合のシュミュレーション解析結果を図7に示す。なお、符号70は、本実施形態に係る錘80及びコイル84の共振曲線であり、符号72は、比較例として振動増幅機構68を備えない場合の錘80及びコイル84の共振曲線である。また、台座60の固有振動数、及び発電部76の錘80及びコイル84の固有振動数はいずれも5Hzに設定されている。
図7から分かるように、本実施形態に係る錘80及びコイル84の共振曲線70の振動増幅倍率(床スラブ14の振幅に対する錘80及びコイル84の振幅の割合)は、比較例の共振曲線72よりも広範囲(振動数0〜7.2Hz)で大きくなっている。また、共振曲線70では、振動数5Hz付近に小さい谷が現れ、その両側に2つのピーク(1次固有振動数と2次固有振動数)が現れている。この2つのピークにより、錘80及びコイル84の固有振動数(5Hz)付近の振動数帯域においても、振動増幅倍率が大きくなっている。
ここで、床スラブ14の振動は、床部38を歩く人の体重や歩き方(走ったり、飛び跳ねたり)、若しくは床部38に設置される設備機器の稼動状況に応じて変化するため、卓越振動数帯域が幅広く分布する。この分布に応じて、前述した2つのピークを発生させ、錘80及びコイル84の振動増幅倍率が大きくなる振動数帯域を広げることにより、発電量の安定化を図ることができる。
2つのピークが発生する振動数は、錘80の重量とコイル84の重量とを合計した重量m2を台座60の重量m1で割ったマス比μ12(=m2/m1)を増減することにより変動する。
図8には、マス比μ12をパラメータとして付与したシミュレーション解析結果が示されている。このシミュレーションでは、振動増幅機構68によって構成される振動系と、発電部76によって構成される振動系の固有振動数を共に5Hzとし、パラメータとして付与するマス比μ12を0.01、0.02、0.04、0.08、0.16とした。なお、各共振曲線74A、74B、74C、74D、74Eは、それぞれマス比μ12=0.01、0.02、0.04、0.08、0.16に対応する。
図8から判るように、マス比μ12を小さくすると、2つのピークの間隔が狭くなり、振動増幅倍率が大きくなる振動数帯域が狭くなる。また、2つのピークの間隔が狭くなるに伴って、2つのピークの間の谷が小さくなり、固有振動数付近の振動増幅倍率が大きくなる。一方、マス比μ12を大きくすると、2つのピークの間隔が広くなり、振動増幅倍率が大きくなる振動数帯域が広くなる。また、2つのピークの間隔が広くなるに伴って、2つのピークの間の谷が大きくなり、固有振動数付近の振動増幅倍率が小さくなる。このようにマス比μ12を増減することで、床スラブ14の振動特性に応じた共振曲線にすることにより、発電部76の発電量の安定化を図ることができる。
更に、本実施形態では、台座のユニット取付部102の取付面102Aをコイルばね58の伸縮方向他端58Bよりも床スラブ14側に配置し、コイルばね58の支持高さS(図3参照)内に振動発電ユニット120の下部を位置させたことにより、コイルばね58の伸縮方向他端58Bから突出する振動発電ユニット120の突出量が小さくなっている。従って、振動発電装置10の装置高さHが低くなっている。
また、台座60には錘114が着脱自在に取り付けられている。この錘114によって台座60の固有振動数が調整される。従って、床スラブ14の振動数に応じて台座60の固有振動数を調整することにより、台座60と床スラブ14とを共振させることができるため、振動発電装置10の汎用性が向上する。また、床部38の用途(住居、オフィス、スポーツジム等)の変更や床部38に設置される設備機器の変更等の環境の変化に伴って、床スラブ14の振動数が変化しても、錘114により台座60の固有振動数を調整できるため、台座と床スラブ14とを容易に共振させることができる。従って、振動発電装置10のメンテナンス性が向上する。
次に、第1実施形態に係る発電部76の変形例について説明する。
上記第1実施形態では、図6に示した振動モデルのように、2質点の振動系を構成したがこれに限らない。例えば、図5における振動増幅部78を省略し、台座60とコイルばね58で1質点の振動系を構成しても良いし、図9に示されるように、3質点以上の振動系を構成しても良い。
図9に示される発電部96では、振動増幅部78の錘80の上に、振動増幅部98が設けられている。振動増幅部98は、錘100及びコイルばね102を備えている。錘100は、錘80に設けられたコイルばね102によって振動方向Gに揺動可能に支持されている。また、錘100に形成された貫通孔の内周面にはコイル84が設けられている。このコイル84内に、錘80の上に立てられた磁石90が挿入されている。即ち、本変形例では、2つの振動増幅部78、98が直列に連結されている。
このように、2つの振動増幅部78、98を直列に連結することにより、床スラブ14の振動が、振動増幅部78で増幅され、更に振動増幅部98で増幅される。従って、錘100及びコイル84の振幅が大きくなるため、発電部96の発電効率が向上する。
また、図10(A)には、第1実施形態の発電部76の模式図が示されており、図10(B)〜図10(E)には、発電部の変形例の模式図が示されている。図10(B)〜図10(E)に示される変形例については、図10(A)に示される発電部76と異なる構成についてのみ説明する。なお、図10(A)〜図10(E)では、図が煩雑となるためコイル84を省略している。
図10(B)に示される変形例では、錘80が、ケース46の天井部46Aに設けられたコイルばね82に吊り下げられ、振動方向Gに揺動可能に設けられている。
図10(C)に示される変形例では、錘80が、取付台12に設けられたコイルばね82Aと天井部46Aに設けられたコイルばね82Bの間で支持され、振動方向Gに揺動可能に設けられている。なお、この構成では、コイルばね82A、82Bが圧縮コイルばねとなるため、コイルばね82A、82Bの設計が容易となる。
図10(D)に示される変形例では、ケース46の天井部46Aに取り付けられたコイルばね104に磁石106及び錘112が吊り下げられ、振動方向Gに揺動可能になっている。これらのコイルばね104、錘112によって振動増幅部が構成されている。この磁石106は、ケース46に固定されたコイル108内に配置されており、磁石106とコイル108とが振動方向Gに相対移動可能になっている。即ち、磁石106とコイル108とが振動方向Gに相対移動することにより、コイル108に電磁誘導が発生し、電力が発生するように構成されている。なお、本変形例では、第1部材が磁石106となり、第2部材がコイル108となる。
図10(E)に示される変形例では、図10(D)のコイルばね104が取付台12に取り付けられ、当該コイルばね104によって磁石106及び錘112が下から支持されている。
また、第1実施形態では、コイル84と磁石90が相対移動したときに発生する電磁誘導を用いて、振動エネルギーを電気エネルギーに変換したが、これに限らない。即ち、2つの部材の相対移動を利用して、振動エネルギーを電力エネルギーに変換可能な構成であれば良い。以下、電磁誘導と異なる原理を利用した発電部について説明する。なお、第1実施形態に係るガイド機構(ガイド部材86)の変形例についても併せて説明する。
図11には、圧電素子140を用いた発電部220が示されている。発電部220は、振動増幅部136と、振動増幅部136の上に設けられた発電機構138と、を備えている。
振動増幅部136は、錘22と、錘22を振動方向Gに揺動可能に設けるコイルばね20と、コイルばね20をガイドするガイド機構34と、を備えている。ガイド機構34は、取付台12に固定される内ガイド部材26と、錘22の下面に固定される外ガイド部材30と、を備えている。
内ガイド部材26には、上方に向かって開口する円柱状の収容孔24が形成されている。外ガイド部材30には、下方に向かって開口する円柱状の収容孔28が形成されている。この収容孔28には、内ガイド部材26がスライド可能に挿入され、この状態で内ガイド部材26に対して外ガイド部材30が上下方向(振動方向G)に相対移動可能になっている。また、内ガイド部材26によって外ガイド部材30がガイドされるため、錘22の横方向の移動が規制され、錘22が振動方向Gにスムーズに振動するように構成されている。
また、内ガイド部材26の上端部にはゴム部材36が取り付けられている。このゴム部材36は、錘22の上下動が過大になったときに外ガイド部材30の天井部30Aの下面に当たる。これにより、内ガイド部材26と外ガイド部材30との相対移動が規制される結果、錘22の振動が規制される。即ち、ゴム部材36は、錘22の振動を規制するストッパーとして機能する。更に、ゴム部材36が外ガイド部材30の天井部30Aに当たることにより、振動エネルギーが吸収される。従って、ゴム部材36は減衰材としても機能する。
更に、内ガイド部材26の収容孔24と外ガイド部材30の収容孔28とを組み合わせて形成された収容部32には、コイルばね20が配置されている。コイルばね20の下端部は内ガイド部材26の底部26Aに固定され、コイルばね20の上端部は外ガイド部材30の天井部30Aに固定されている。
錘22の上には、発電機構138が設けられている。発電機構138は、圧電素子140と錘142とによって構成されている。圧電素子140は錘22の上面に固定され、この圧電素子140の上に錘142が固定されている。
なお、「圧電素子」とは、圧電体に加えられた力を電圧に変換、又は電圧を力に変換する圧電効果を利用した受動素子とされている。
次に、発電機構138の作用について説明する。
台座60(図3参照)及び取付台12が振動すると、錘22が振動方向Gに振動する。この振動は、圧電素子140を介して錘142に伝達され、錘142が振動方向Gに振動する。これにより、圧電素子140に圧縮応力と引張応力とが繰り返し作用する。この結果、圧電素子140の上下に設けられた電極144A、144Bで電力が発生する。なお、本変形では、圧電素子140の下端部が第1部材となり、錘142が第2部材となる。
また、発電機構138が電力を発生するときに、圧電素子140の下端部の振動を抑える抵抗力が錘142から作用する場合、圧電素子140の振動の振幅は小さくなってしまう。しかし、圧電素子140は錘22に固定されているので、錘22の重量により慣性力が大きくなるため、抵抗力による振動抑制効果が低減される。即ち、錘22の慣性力によって圧電素子140の変形量が増加するため、錘22を備えない場合と比較して、発電効率が向上する。
また、図12には、他の変形例として、圧電素子150を用いた発電部222が示されている。なお、発電部222は、振動増幅部136(図11参照)の錘22の上に発電機構148を設置したものである。
発電機構148は、圧電素子150、錘152、及び支柱154によって構成されている。支柱154は、錘22の上面に固定されて略鉛直に立っており、この支柱154の上端部付近から圧電素子150を介して錘152が左右に張り出すように設けられている。
ここで、柱状体110が振動すると、錘22が振動方向G(図における上下方向)に振動する。そして、この振動が支柱154及び圧電素子150を介して錘152に伝わり錘152が振動方向G方向に振動する。このとき、圧電素子150には、せん断応力が繰り返し作用し、これによって圧電素子150の左右に設けられた電極156A、156Bに電力が発生する。なお、本変形例の場合、支柱154が第1部材とされ、錘152が第2部材とされる。
また、図13には、他の変形例として、静電誘導を用いた発電部224が示されている。この発電部224では、振動増幅部170と、発電機構172とを備えている。
振動増幅部170は、ケース46の天井部46Aに取り付けられたコイルばね20と、当該コイルばね20に吊り下げられ、振動方向Gに揺動可能な錘174と、を備えている。発電機構172は、錘174に設けられた基部176と、ケース46の側壁部46Bに取り付けられ、基部176と対向する対向電極180と、を備えている。基部176には、電荷を半永久的に帯びたエレクトレット178が櫛状に配置されており、このエレクトレット178に対向電極180が対向して配置されている。これらのエレクトレット178と対向電極180とが相対移動することによって起電力が生じ、対向電極180に電力が発生する。即ち、発電機構172は、静電式(静電誘導)の発電機とされている。
ここで、電力を発生させるときに、基部176の振動を抑える抵抗力が対向電極180から作用する場合、基部176の振動の振幅が小さくなってしまう。しかし、基部176は錘174に固定されているので、錘174の重量により慣性力が大きくなり、これによって抵抗力による振動抑制効果が低減される。
次に、第1実施形態に係る振動増幅部の変形例について説明する。
図14(A)、図14(B)、及び図15には、静電誘導を用いた発電部226を備える振動発電ユニットが示されている。この発電部226は、振動増幅部と、発電機構とを備えている。
振動増幅部は、移動部材124と、床スラブ14(図15参照)に設けられ、移動部材124をコイルばね58の伸縮方向(振動方向G)と直交する方向(以下、「移動方向K」という)へスライド可能に支持するスライド機構126と、平板状の台座128及び移動部材124の各々に回転可能に連結されるリンク部材130と、を備えている。
移動部材124は板状で水平又は略水平に配置されている。移動部材124の移動方向Kに沿った端部124Aの上下面には、当該端部124Aに沿ったガイド溝132(図14(B)参照)がそれぞれ形成されている。
移動部材124の両側には支持部材158が設けられている。支持部材158は、床スラブ14の上面に固定される固定台160と、固定台160に設けられ、移動部材124の端部124Aにスライド可能に取り付けられるボールスライダ162とを備えている。ボールスライダ162は、断面C形の本体164と、本体164の上下の内壁に取り付けられたベアリングボール166を備えている。本体164内には移動部材124の端部124Aが挿入され、当該端部124Aのガイド溝132にベアリングボール166が係合されている。このボールスライダ162によって、移動部材124がガイド溝132に沿って移動方向Kへスライド可能に支持されている。これらのガイド溝132及びボールスライダ162によってスライド機構126が構成されている。なお、スライド機構126に替えて、リニアスライダ等の種々のスライド機構を用いることができる。
図15に示されるように、移動部材124には、棒状のリンク部材130の一端がピン182で回転可能に取り付けられている。リンク部材130は、移動部材124の移動方向Kに対して所定の傾斜角θ(本実施形態では、約60度)で傾斜され、その他端が台座128の床スラブ14側の取付面128Aにピン184で回転可能に取り付けられている。このリンク部材130によって、台座128の上下振動が、移動部材124の移動方向Kの振動に変換される。
発電機構は、移動部材124の下面に取り付けられたエレクトレット178と、床スラブ14に取り付けられ、エレクトレット178と対向する対向電極180と、を備えている。これらのエレクトレット178と対向電極180とが相対移動することによって起電力が生じ、対向電極180に電力が発生する。即ち、発電機構172は、静電式(静電誘導)の発電機とされている。なお、発電機構に接続される配設等の図示は省略されている。
次に、振動増幅部の作用について説明する。
台座128が振動方向Gへ振動すると、台座128によってリンク部材130が押し引きされ、移動部材124が移動方向Kへ往復移動する。具体的には、台座128が振動方向G下方へ移動すると、台座128と移動部材124との間隔が狭くなり、リンク部材130がピン182、184を回転軸として傾斜角θが小さくなる方向へ回転する。これにより、移動部材124が図15において移動方向K左側へ移動し、移動部材124に設けられたエレクトレット178が床スラブ14に設けられた対向電極180に対して相対移動する。この結果、対向電極180に電力が発生する。
一方、台座128が振動方向G上方へ移動すると、台座128と移動部材124との間隔が広くなり、リンク部材130がピン182、184を回転軸として傾斜角θが大きくなる方向へ回転する。これにより、移動部材124が図15において移動方向K右側へ移動し、移動部材124に設けられたエレクトレット178が床スラブ14に設けられた対向電極180に対して相対移動する。この結果、対向電極180に電力が発生する。
また、台座128の振動方向Gの振動が、リンク部材130の回転運動に変換され、移動部材124の移動方向Kの変位として出力されるため、台座128の振動の振幅が増幅され、移動部材124の変位量が大きくなる。従って、対向電極180に対するエレクトレット178の相対移動量が大きくなるため、発電効率が向上する。なお、本実施形態では、リンク部材130の傾斜角θを約60度に設定したが、傾斜角θが45以上であれば、リンク部材130によって台座128の振動が増幅される。
更に、移動部材124が移動方向K(水平方向)へ移動するため、即ち、移動部材124が振動発電装置の装置高さH方向(振動方向G)へ移動しないため、発電部226の高さを小さくすることができる。従って、発電部226の収納スペースが小さくなるため、振動発電装置全体の装置高さHを低く抑えることができる。
また、図16及び図17には、他の変形例として、電磁誘導を用いた発電部228を備える振動発電ユニットが示されている。この発電部228では、振動増幅部と、発電機構とを備えている。
振動増幅部は、回転体186と、回転体186を回転させる回転機構188とを備えている。回転機構188は、円盤状の回転体186の外周に取り付けられ、当該回転体186を回転可能に支持するボールベアリング190と、平板状の台座128に固定され、回転体186の中央部に形成されたネジ孔192に捻じ込まれるネジ部材194と、を備えている。
ボールベアリング190は、外側リング190Aと、当該外側リング190A内に配置された内側リング190Bとを備えている。外側リング190Aと内側リング190Bの間には複数のベアリングボール196が設けられ、当該ベアリングボール196が回転することにより、外側リング190Aと内側リング190Bとが相対回転可能となっている。この外側リング190Aは、取付台12に設けられた支持脚198によって基台56に固定されている。
ネジ部材194は、軸方向を振動方向Gとして、台座128の床スラブ14側の取付面128Aに取り付けられている。このネジ部材194は、台座128の振動に伴って、回転体186のネジ孔192に対して挿抜される。これにより、ネジ部材194及びネジ孔192のネジ機構によって、ネジ部材194の直線運動が回転体186の回転運動に変換されるように構成されている。なお、ネジ部材194及びネジ孔192のネジ機構に替えて、ボールネジ機構等を用いても良い。
図17に示されるように、回転体186の下には、筒状の支持台200が設けられている。支持台200は基台56に固定され、その内部にネジ部材194が挿抜可能となっている。支持台200の上端には、第2部材としての渦巻き状のコイル202が設けられている。一方、回転体186の下面には、第1部材としての磁石204が設けられている。これらのコイル202及び磁石204は、回転体186の回転が所定の回転角になったときに、対向するように配置されている。即ち、回転体186の回転に伴って、コイル202に対して磁石204が相対移動し、コイル202に電磁誘導が発生するように構成されている。なお、コイル202に接続される配線等の図示は省略されている。
次に、振動増幅部の作用について説明する。
台座128が振動方向Gへ振動すると、台座128の取付面128Aに取り付けられたネジ部材194が、回転体186のネジ孔192に対して挿抜される。これにより、回転体186の外周に取り付けられた内側リング190Bが、外側リング190Aに対して相対回転し、回転体186が回転する。この結果、支持台200の上端に設けられたコイル202に対して、回転体186の下面に設けられた磁石204が相対移動し、コイル202に電磁誘導が発生する。即ち、コイル202に電力が発生し、台座128の振動の振動エネルギーが電気エネルギーに変換される。
また、ネジ部材194及びネジ孔192のネジ機構によって、台座128の振動方向Gの振動が、回転体186の回転運動に変換される。従って、台座128の振動の振幅が増幅され、コイル202に対する磁石204の相対移動量が大きくなる。よって、発電部228の発電効率が向上する。
なお、磁石204は、回転体186の外周に設けることが望ましい。磁石204が描く円形の移動軌跡の円周が長くなり、磁石204とコイル202の相対移動量が大きくなるためである。この際、コイル202は、回転体186の回転が所定の回転角になったときに、磁石204と対向するように配置すれば良い。
次に、第1実施形態に係る台座の変形例について説明する。
図18(A)には、第1実施形態の振動増幅機構68が模式的に示されており、図18(B)〜図18(E)には、振動増幅機構の変形例が模式的に示されている。図18(B)〜(E)に示される変形例については、図18(A)に示される振動増幅機構68と異なる構成についてのみ説明する。
図18(B)に示される変形例では、台座206は、ユニット取付部208と、ユニット取付部208よりも高い位置に設けられた支持部210とを備えている。この支持部210は、ユニット取付部208の取付面208Aがコイルばね58の伸縮方向他端58Bよりも床スラブ14側に位置するように、コイルばね58によって支持されている。これにより、振動発電ユニット120の下部が、コイルばね58の支持高さS内に位置している。
一方、コイルばね58の支持高さSが低くなっているため、当該コイルばね58の伸縮方向他端58Bから振動発電ユニット120の上部が突出している。即ち、振動発電ユニット120の上部は、コイルばね58の支持高さS内に位置していない。このような構成であっても、振動発電ユニット120の一部(下部)がコイルばね58の支持高さS内に位置しているため、振動発電装置の装置高さHが低くなっている。即ち、振動発電ユニット120の少なくとも一部を、コイルばね58の支持高さS内に位置させることにより、振動発電装置の装置高さHを低くすることができる。
また、図18(A)及び図18(B)に示す構成では、後述する図18(C)に示す変形例と比較して、台座60、206に対して、当該台座60の上方から振動発電ユニット120を取り付けることができるため、取付作業が容易となる。また、振動発電ユニット120のメンテナンス性が向上すると共に、錘114(図2参照)の着脱作業等の容易となる。
図18(C)に示される変形例では、台座212が平板状に形成されている。この台座212は、同じ高さのユニット取付部214及び支持部216を備え、ユニット取付部214の床スラブ14側の取付面214Aに、振動発電ユニット120が取り付けられている。これにより、振動発電ユニット120の全部がコイルばね58の支持高さS内に位置している。従って、振動発電装置の装置高さHが低くなっている。
図18(D)に示される変形例では、床スラブ14の下面に、図18(A)に示される振動発電装置が、上下を反転させた状態で取り付けられている。即ち、床スラブ14の下面に固定されたコイルばね58に台座60が吊り下げられている。この場合、後述する図18(E)の変形例と比較して、台座60に対して、当該台座60の下方から振動発電ユニット120を取り付けることができるため、取付作業が容易となる。また、振動発電ユニット120のメンテナンス性が向上すると共に、錘114(図2参照)の着脱作業等の容易となる。
図18(E)に示される変形例では、床スラブ14の下面に、図18(C)に示される振動発電装置が、上下を反転させた状態で取り付けられている。即ち、床スラブ14の下面に固定されたコイルばね58に台座212が吊り下げられている。これにより、振動発電ユニット120の全部がコイルばね58の支持高さS内に位置している。従って、振動発電装置の装置高さHが低くなっている。
また、図19(A)に示される変形例では、台座230の中央部に形成された溝232の底壁がユニット取付部234とされ、溝232の両側が支持部236とされている。ユニット取付部234は、コイルばね58の伸縮方向他端58B(図3参照)よりも床スラブ14(図3参照)側に位置しており、その上面が取付面234Aとされている。この取付面234Aに振動発電ユニット120が取り付けられている。
また、図19(B)に示される変形例は、図19(A)に示した台座230を上下反転させたものであり、溝232の底壁が支持部238とされ、溝232の両側がユニット取付部240とされている。ユニット取付部240は、コイルばね58の伸縮方向他端58B(図3参照)よりも床スラブ14(図3参照)側に位置しており、その上面が取付面240Aとされている。この取付面240Aに振動発電ユニット120が取り付けられている。
なお、本変形例では、2つのコイルばね58で台座230を支持しているが、一つのコイルばね58で台座230の中央部を支持しても良い。このように、台座230の形状や、コイルばね58の数量、配置は適宜変更可能である。
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同じ構成のものは同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図20及び図21に示されるように、第2実施形態に係る振動発電装置250の振動増幅機構は、第1弾性体としてのゴム部材254と、第2弾性体としてのゴム部材256と、台座60を備え、これらのゴム部材254、256によって台座60が振動方向Gに揺動可能に支持されている。
第1弾性体としてのゴム部材254は円柱形で、第1実施形態に係るコイルばね58と同じ位置に設けられ、伸縮方向一端254A(図21参照)が基台56に固定され、伸縮方向他端254Bが台座60の支持部64に固定されている。
第2弾性体としてのゴム部材256は、錘取付部104に設けられた錘114の間にそれぞれ配置されている。このゴム部材256は円筒形で、その内部に貫通孔256Aが形成されている。
ゴム部材256を固定する受け部材258は、基台56に立設された棒状の軸部262と、軸部262にスライド可能に取り付けられる円盤状の受け部264を備えている。軸部262は、錘取付部104に形成された貫通孔260を貫通しており、当該軸部262に沿って台座60が振動方向Gへ揺動可能となっている。この軸部262をゴム部材256の貫通孔256Aに貫通させることにより、軸部262にゴム部材256が取り付けられている。
軸部262が貫通されたゴム部材256の上端部には、受け部264が載置されている。受け部264は、その中央部に形成された貫通孔(不図示)に軸部262を貫通させることにより、軸部262にスライド可能に取り付けられている。受け部264を貫通した軸部262の上端部には、ネジ部262A(調整手段)が設けられている。このネジ部262Aに取り付けられるナット266(調整手段)によって、受け部264が軸部262から抜け落ちないようになっている。この受け部264と錘取付部104との間に設けられたゴム部材256によって、台座60が床スラブ14側へ付勢されている。即ち、台座60は、第1弾性体としてのゴム部材254と第2弾性体としてのゴム部材256によって両側から支持され、振動方向Gへ揺動可能となっている。なお、ゴム部材254、256としては、天然ゴム、合成ゴム、粘弾性体等を用いることができる。
次に、第2実施形態の作用について説明する。
床スラブ14及び当該床スラブ14に固定された基台56が振動方向Gへ振動すると、ゴム部材254、256によって揺動可能に支持された台座60が基台56に対して振動方向Gへ振動する。従って、台座60の固有振動数を床スラブ14の振動数と一致又は略一致させ、台座60と床スラブ14とが共振するように、台座60及び錘114の質量やゴム部材254、256のばね定数(ばね剛性)を設定することで、床スラブ14の振幅が増幅され、台座60の振動の振幅が大きくなる。これにより、台座60の取付面102A(図20参照)に取り付けられた振動発電ユニット120に振動が伝達され、床スラブ14の振動の振動エネルギーが電気エネルギーに変換される。従って、振動発電ユニット120の発電効率が向上する。
また、ゴム部材254、256で台座60を両側から付勢することにより、ゴム部材254、256が圧縮ばねとなる。従って、一方が圧縮ばねで他方が引張ばねの場合と比較して、ゴム部材254、256の設計(剛性の調整等)が容易になる。
次に、調整手段の作用について説明する。
軸部262に取り付けられたナット266を捻じ込むと、受け部264が錘取付部104側へ移動し、受け部264と錘取付部104との間に設けられたゴム部材256が圧縮されると共に、台座60を介してゴム部材254が圧縮される。この結果、台座60及び当該台座60に取り付けられた振動発電ユニット120の位置が床スラブ14側へ移動し、振動発電装置250の装置高さH(図3参照)が低くなる。
一方、軸部262に取り付けられたナット266を緩めると、ゴム部材254、256の弾性力(復元力)によって受け部264が軸部262の上端部側へ移動し、ゴム部材254、256に付与された圧縮力が開放される。この結果、台座60及び当該台座60に取り付けられた振動発電ユニット120の位置が床スラブ14から離れる方向へ移動し、振動発電装置250の装置高さH(図3参照)が高くなる。
この調整手段により、床下空間42(図1参照)や天井裏空間54の高さに応じて振動発電装置250の装置高さHを調整することにより、振動発電装置250の設置作業が容易となる。
また、ナット266により、ゴム部材254、256の圧縮量を増減することにより、ゴム部材254、256の剛性が調整可能となっている。従って、床スラブ14の振動数に応じて、台座60の固有振動数を増減し、台座60と床スラブ14とを共振させることができる。更に、前述したように、環境の変化に伴って、床スラブ14の振動数が変化しても、ナット266により台座60の固有振動数を調整できるため、台座60と床スラブ14とを容易に共振させることができる。従って、振動発電装置250のメンテナンス性が向上する。
なお、本実施形態では、受け部材258の軸部262に取り付けられたナット266によって、振動発電装置250の装置高さH等を調整したがこれに限らない。例えば、イモネジ等で軸部262に受け部264を固定しても良いし、軸部262の軸方向に沿って複数の貫通孔を形成し、当該貫通孔に挿入されたピンによって受け部264が抜けないように、抜け留めしても良い。この場合、ピンを挿入する貫通孔を選択することにより、ゴム部材254、256の圧縮量を調整することができる。
また、図22に示されるように、振動発電ユニット120とゴム部材254を設ける位置を変更しても良い。この場合、錘取付部104の上面が、振動発電ユニット120が取り付けられる取付面104Aとなる。この構成では、台座60の中央部にゴム部材254及び調整手段としてのナット266が位置しているため、台座60の位置を調整したときに、台座60の傾きが抑制される。
更に、ゴム部材254、256の形状は上記したものに限らず、角柱形等でも良い。また、ゴム部材254、256に替えて、第1実施形態で用いたコイルばね58を用いても良い。
次に、第3実施形態について説明する。なお、第1、第2実施形態と同じ構成のものは同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
第3実施形態では、振動発電装置10が設置される床ユニットについて説明する。
<床ユニットの構成>
図23及び図24には、床ユニット270が示されている。床ユニット270は、ケース272と、ケース272内に収容され、振動発電装置10が取り付けられる設置パネル274と、ケース272の上に載置される格子状の支持フレーム276と、支持フレーム276の上に載置される床パネル278と、を備えている。この床ユニット270は、図24に示されるように、床スラブ14の上に設置された防振ゴム280の上に載置される。この床ユニット270を床スラブ14の上に複数敷き並べることにより、床が構築される。
設置パネル274は平面視にて矩形に形成され、2つのリブ282で区画された4つの角部に振動発電装置10が取り付けられている。設置パネル274の中央部には、収納ボックス284が設けられ、当該収納ボックス284の外周部には環状の収納ボックス286が設けられている。これらの収納ボックス284、286には、振動発電装置10から出力された電気を蓄電する蓄電池や各種の配線等が収納されている。
次に、第3実施形態の作用について説明する。
図24に示されるように、敷き並べられた複数の床ユニット270の上を人が歩行すると、防振ゴム280によって支持されたケース272及び設置パネル274が振動方向Gへ振動する。この結果、設置パネル274に取り付けられた振動発電装置10に振動が伝達され、床ユニット270の振動の振動エネルギーが電気エネルギーに変換される。
また、防振ゴム280と床ユニット270によって振動系が構成される。従って、振動発電装置10の台座60(図3参照)や、振動発電ユニット120(図5参照)の発電部76の錘80(コイル84を含む)の固有振動数を、床ユニット270の振動数に一致又は略一致させ、発電部76の錘80を床ユニット270に共振させることにより、床ユニット270の振幅が増幅され、発電部76の錘80及びコイル84の振幅が大きくなる。従って、発電部76の発電効率が向上する。
次に、床ユニット270に対する振動発電装置10の取り付け位置について説明する。
図25(A)〜図25(D)及び図26(A)〜図26(D)には、床ユニット270の平面図が模式的に示されている。なお、説明の便宜上、床ユニット270に取り付けられた4つの振動発電装置10をそれぞれ振動発電装置10A、10B、10C、10Dとする。
床ユニット270では、加振される位置によってロッキング振動が発生する。ここで、ロッキング振動とは、所定の軸を回転軸として床ユニット270が回転運動を繰り返すことをいい、本実施形態に係る床ユニット270では、ロッキング振動の回転軸として、図25(A)〜図25(D)及び図26(A)〜図26(D)に示される回転軸Rが考えられる。
なお、図25(A)〜図25(D)及び図26(A)〜図26(D)では、床ユニット270を剛体として単純化した場合の回転軸Rが示されている。また、実際には、ロッキング振動以外に、水平方向の振動やねじれ振動が床ユニット270に発生するが、これらの振動は考慮していない。
床ユニット270の振動の振幅は、回転軸Rから離れるほど大きくなる。逆に、回転軸R上では、床ユニット270の振動の振幅が小さくなる。従って、図25(A)では、床ユニット270の対角線上の回転軸Rを回転軸としてロッキング振動した場合、回転軸Rから離れた振動発電装置10A、10Cでは床ユニット270の振幅が大きくなるため、発電量が大きくなる。一方、回転軸R上にある振動発電装置10B、10Dでは床ユニット270の振幅が小さくなり、発電量が小さくなる。
また、図25(B)では、図25(A)に示す床ユニット270とは異なる対角線上に回転軸Rがある。この場合、振動発電装置10A、10Cで発電量が小さくなり、振動発電装置10B、10Dで発電量が大きくなる。同様に、図25(C)及び図25(D)では、振動発電装置10A、10B、10C、10Dの発電量は、何れも等しくなる。
更に、振動発電装置10A、10B、10C、10Dの配置を変えた図26(A)及び図26(B)では、振動発電装置10A、10B、10C、10Dの発電量は何れも等しくなる。一方、図26(C)では、振動発電装置10A、10Cで発電量が大きくなり、振動発電装置10B、10Dで発電量が小さくなる。逆に、図26(D)では、振動発電装置10A、10Cで発電量が小さくなり、振動発電装置10B、10Dで発電量が大きくなる。
このような回転軸Rを回転軸とするロッキング振動を考慮して、振動発電装置10を配置することが望ましい。図25(A)〜図25(D)及び図26(A)〜図26(D)に示した振動発電装置10の配置では、何れの回転軸Rでロッキング振動が発生しても、少なくとも2つの振動発電装置10で発電量を大きくすることができる。また、床ユニット270の支持構造によって、ロッキング振動を特定の回転軸Rに限定することも可能である。
なお、上記第1、第2実施形態では、床スラブ14に振動発電装置を設置した場合を例に説明したがこれに限らない。例えば、図1に示す床部38の上面や下面に振動発電装置を設置しても良いし、天井ボード48の下面に振動発電装置を設置しても良い。
また、参考例として、図27(A)に示される振動発電装置300では、台座302が板バネ304によって揺動可能に支持されている。具体的には、振動発電装置300は、台座302と、板バネ304と、振動発電ユニット120を備えている。台座302は、床スラブ14に設けられた一対の支持部材306の間に配置されている。この台座302と支持部材306との間には、板バネ304が水平又は略水平に配置されており、その一端が支持部材306に固定され、その他端が台座302に固定されている。この板バネ304よって台座302が板バネ304の面外方向(矢印T方向)に揺動可能に支持されている。また、台座302の上には、振動発電ユニット120がその振動方向Gを板バネ304の面外方向にして配置されている。これらの板バネ304及び台座302によって、台座を質量とした振動系が構成されている。
従って、台座302の固有振動数を、床スラブ14の振動数と一致又は略一致させ、台座302と床スラブ14とが共振するように、台座302の重量や板バネ304のばね定数(ばね剛性)を設定することで、床スラブ14の振幅が増幅され、台座302の振幅が大きくなる。この結果、台座302に取り付けられた振動発電ユニット120の振幅が大きくなり、振動発電ユニット120に入力される振動エネルギーが大きくなる。従って、振動発電ユニット120で変換される電気エネルギーが大きくなるため、振動発電ユニット120の発電効率が向上する。
ここで、図27(A)に示されるように、振動発電ユニット120を台座302の上に載置すると、振動発電装置300の装置高さL1が大きくなる。これに対して、図27(B)に示すように、台座302に切欠き308を形成し、この切欠き308の底壁308Aに振動発電ユニット120を載置することにより、振動発電装置300の装置高さL2を低く抑えることができる。
なお、板バネ304はその面外方向に振動するため、振動発電ユニット120はその振動方向Gを板バネ304の面外方向にして配置されていれば良い。
以上、本発明の第1〜第3の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、第1〜第3の実施形態を組み合わせて用いてもよいし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。