以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る振動発電システムについて説明する。
先ず、第1実施形態について説明する。
<ダクトの構成>
図1には、天井14に吊り下げられたダクト10が示されている。ダクト10は、天井14から吊り材(支持部材)16で吊り下げられた複数のアングル18の上に載置されている。このダクト10は、鉄板、鋼板、ステンレス鋼板等からなる角型筒状のダクトユニット50を複数備えている。なお、アングル18はダブルナット44で吊り材16に固定されている。
図2に示されるように、隣接するダクトユニット50は、端部に設けられた枠状のフランジ(リブ)52を突き合わせ、これらのフランジ52を溶接又はボルト(不図示)等で接合することにより連結されている。フランジ52は、ダクトユニット50の側面から突出しており、ダクトユニット50の4つの側壁50A、50B、50C、50Dの面外変形を抑制するリブとしても機能している。
各ダクトユニット50の内部の流路56には、図示せぬファンから送風された流体(気体、粉体等)が流れるようになっている。この流路56を形成する(囲む)ダクトユニット50の側壁50A、50B、50C、50Dの外面及び内面は、ファンの駆動力(ファンモータ等)の振動や、流路56を流れる流体が当たることにより振動する振動面となっている。本実施形態では、このような振動面を有するダクトユニット50の上側の側壁50Aに、振動発電装置60が取り付けられている。なお、振動発電装置60は、ダクトユニット50の何れの側壁50A、50B、50C、50Dにも取り付けることができる。
具体的には、ダクトユニット50の上側の側壁50Aには、流路56に通じる開口54が形成されている。この開口54内には板状の蓋体58が配置され、開口54が塞がれている。即ち、蓋体58は、流路56を囲むダクトユニット50の側壁50Aの一部となっている。蓋体58の内面はダクトユニット50の側壁50Aの内面と面一又は略面一となるように開口54内に配置され、板ばね等の弾性体からなる取付部材62によりダクトユニット50の側壁50Aに取り付けられている。
図3に示されるように、取付部材62は、蓋体58及びダクトユニット50の側壁50Aにまたがり、ビス64によって蓋体58及び側壁50Aにそれぞれ固定されている。これにより、蓋体58が面外方向(振動方向G)に揺動可能になっている。また、蓋体58の重量や取付部材62のばね定数(ばね剛性)は、蓋体58が側壁50Aと共振するように設定されている。これらの蓋体58と取付部材62によって振動増幅手段68が構成されており、この蓋体58の外面に振動発電装置60が取り付けられている。
なお、蓋体58は、ダクトユニット50の側壁50Aに開口54を形成する際に、切り取られた側壁50Aの一部を使用しても良いし、ダクトユニット50とは別に、同一又は異なる材料で製作しても良い。
<振動発電装置の構成>
図3には、蓋体58に取り付けられた振動発電装置60が示されている。振動発電装置60は、ダクトユニット50の側壁50Aに取り付けられる基台12と、基台12に設けられた発電部76と、基台12に取り付けられ、発電部76を覆う箱型のケース46と、を備えている。基台12は、ビス66によってダクトユニット50の側壁50Aに固定されている。この発電部76は、所定の振動方向に振動すると発電する。よって、発電部76を説明する際は、発電する振動方向を基準に説明する。
なお、本実施形態では、ダクトユニット50の上側の側壁50Aに振動発電装置60を取り付けた場合、即ち、振動方向が図面の上下方向である場合を例に説明するが、振動方向はこれに限定されない。例えば、振動方向を水平方向とした場合は、各図面を90°回転した状態で発電部76が配置されることになる。また、上下左右、天井、底等を使用して発電部76を説明する場合があるが、これは説明の便宜上、各図における上下方向を基準としているだけであり、この方向に設置することを意味するものでない。
発電部76は振動増幅機構78を備えている。振動増幅機構78は、錘80と、この錘80を振動方向Gに対して揺動可能に設ける支持部材としてのコイルばね82とを備えている。板状の錘80は、当該錘80と基台12との間に配置された4つのコイルばね82で支持されている。また、錘80の中央部に形成された貫通孔の内周壁には、第1部材としてのコイル84が設けられている。なお、コイルばね82に替えて、天然ゴム、合成ゴム等のゴム部材を用いても良い。
コイルばね82の伸縮方向一端は基台12に固定され、コイルばね82の伸縮方向他端は錘80に固定されている。コイルばね82の内部には、円柱形のガイド部材86が配置されている。ガイド部材86の一端は基台12に固定され、ガイド部材86の他端は錘80に形成されたガイド孔88にスライド可能に挿入されている。このガイド部材86によって錘80がガイドされ、錘80が水平姿勢を保持したまま振動方向Gに揺動可能に設けられている(支持されている)。これにより、錘80の貫通孔80A内に設けられたコイル84が振動方向Gに揺動可能となっている。なお、ガイド部材86は必要に応じて設ければ良く、適宜省略可能である。
また、基台12には、第2部材としての円柱形の磁石90が設けられている。磁石90は基台12上に立てられ、その一端が基台12に固定されると共に、その他端が錘80に設けられたコイル84内に挿入(配置)されている。即ち、コイル84と当該コイル84内に配置された磁石90とが、振動方向Gに相対移動可能になっている。この相対移動によって、コイル84に電磁誘導が発生し、電力が発生するように構成されている。発生した電力は、コイル84に接続された配線(不図示)によってケース46の外へ導かれ、電子機器の動力として使用され、若しくは蓄電池(二次電池)に蓄電される。
なお、電線の先は、電気で駆動する機器に電源として接続されていても良いし、或いは、蓄電池(二次電池)接続して蓄電し、蓄電された電気で機器を駆動するようにしても良い。また、回路を介して、機器や蓄電池に接続されていても良い。
また、上記の説明では、発電部76の振動方向Gを図面上の上下方向にし、且つ、振動方向G下方を重力方向として説明したがこれに限定されない。即ち、上記の説明では、コイルばね82が、錘80及びコイル84を下から支持する圧縮コイルばねとなっているが、これに限定されない。例えば、振動方向G上方を重力方向にし、即ち、図3を上下反転させた構成にしても良い。この場合、コイルばね82が錘80及びコイル84を吊り下げ支持する構成となり、引張コイルばねとなる。更に、振動方向Gを水平方向(図面上の左右方向)にしても良い。この場合、磁石90がコイル84内を水平方向にスムーズに移動可能なように、ガイド部材86を設けることが望ましい。ただし、ガイド部材86のようなガイド機構は必須ではなく、また、ガイド機構を設ける場合には、従来周知の種々のガイド機構を設けることができる。
次に、第1実施形態の作用について説明する。
図2に示されるように、図示せぬファンの駆動力等の振動がダクトユニット50に伝達され、若しくは流路56を流れる流体がダクトユニット50に当たると、ダクトユニット50の側壁50Aが振動する。この側壁50Aが振動すると、当該側壁50Aに取付部材62で取り付けられた蓋体58及び当該蓋体58に固定された基台12が振動方向G(図3参照)へ振動する。これにより、コイルばね82によって揺動可能に設けられた錘80が振動方向Gに振動し、当該錘80が基台12に対して振動方向Gに相対移動する。この結果、錘80に設けられたコイル84と、当該コイル84内に配置された磁石90とが振動方向Gへ相対移動し、コイル84に電磁誘導が発生する。即ち、コイル84に電力が発生し、側壁50Aの振動の振動エネルギーが電気エネルギーに変換される。
次に、振動増幅機構78の作用について説明する。
一般に、電磁誘導による発電量Vは、コイルの巻数をN、微小時間Δtでのコイルを貫く磁束密度の変化量をΔΦ/Δtとすると、式(1)に示すファラデーの電磁誘導の法則により求められる。
式(1)により、発電量Vは、単位時間当たりの磁束密度の変化量ΔΦ/Δtに比例することがわかる。そして、磁束密度の変化量ΔΦ/Δtは、磁石又はコイルの振動の振幅(磁石とコイルとの相対移動量)が大きいほど大きくなるので、磁石又はコイルの振動の振幅が大きいほど発電量は大きくなる。この原理に基づけば、発電部76のコイル84の振幅を大きくすれば、大きな電力を発生させることができるが判る。
具体的には、発電部76の錘80及びコイル84の固有振動数を、蓋体58の振動数と一致又は略一致させ、錘80及びコイル84と蓋体58とが共振するように、錘80の重量やコイルばね82の長さ(巻き数)、ばね定数(ばね剛性)を設定することで、蓋体58の振幅が増幅され、発電部76の錘80及びコイル84の振幅が大きくなる。
一方、磁石90とコイル84とが振動方向Gに相対移動して電力を発生する際、コイル84には逆起電力が発生する。この逆起電力は抵抗力となって磁石90に作用し、コイル84と磁石90の相対移動量を減少させる。即ち、逆起電力によって、磁石90に対するコイル84の振幅が減少する。
この対策として、本実施形態では、錘80にコイル84を設けている。これにより、錘80の重量によってコイル84の慣性力が大きくなり、コイル84に発生する逆起電力(抵抗力)に起因するコイル84の振幅の減少が低減される。即ち、錘80及びコイル84の振幅を増幅する振動増幅機構78の増幅倍率の低下が低減される。
このように、本実施形態では、振動増幅機構78によってコイル84の振幅が大きくなり、また、錘80によって逆起電力(抵抗力)による振動増幅機構78の増幅倍率の低下が低減される。従って、コイル84内を移動する磁石90の移動量が増加する。
磁石90の移動量が大きくなると、式(1)を用いて説明したように、発電部76における発電量が大きくなる。換言すれば、ダクトユニット50の側壁50Aの振動エネルギーが電気エネルギーに変換される変換効率が向上する。
次に、振動増幅手段68の作用について説明する。
前述したように、ダクトユニット50の側壁50Aが振動すると、取付部材62で側壁50Aに取り付けられた蓋体58が振動方向Gに振動する。この蓋体58の振動が、発電部76に伝達され、振動エネルギーが電気エネルギーに変換される。この振動系は、図4に示されるように、蓋体58及び錘80(コイル84を含む)を質点とする2質点系の振動モデルに置き換えられる。従って、蓋体58の振動の振幅を大きくし、発電部76に伝達する振動の振幅を大きくすれば、より大きな電力を発生させることができる(式(1)参照)。なお、図4に示す振動モデルには、図3に示した各部に対応する符号を付している。
具体的には、蓋体58の固有振動数をダクトユニット50の側壁50Aの振動数と一致又は略一致させ、蓋体58と側壁50Aとが共振するように、蓋体58の質量や取付部材62のばね定数(ばね剛性)を設定することで、側壁50Aの振幅が増幅され、蓋体58の振動の振幅が大きくなる。この結果、発電部76へ伝達される振動の振幅が大きくなる。
また、前述したように、この蓋体58の固有振動数と、発電部76の錘80及びコイル84の固有振動数とを一致又は略一致させ、蓋体58と錘80とが共振するように、錘80の重量やコイルばね82の長さやばね定数を設定することで、蓋体58の振幅が増幅され、錘80の振動の振幅が更に大きくなる。
従って、振動増幅手段68を備えない構成と比較して、コイル84と磁石90の相対移動量が大きくなるため、発電量が大きくなる。即ち、振動するダクトユニット50の側壁50Aの振動エネルギーが電気エネルギーに変換される変換効率が向上する。更に、ダクトユニット50の側壁50Aの振動エネルギーが電気エネルギーに変換される結果、ダクトユニット50の側壁50Aの振動が低減される。
ここで、蓋体58と、発電部76の錘80及びコイル84とを共振させた場合のシュミュレーション解析結果を図5に示す。なお、符号70は、本実施形態に係る錘80及びコイル84の共振曲線であり、符号72は、比較例として振動増幅手段68を備えない場合の錘80及びコイル84の共振曲線である。また、蓋体58の固有振動数、及び発電部76の錘80及びコイル84の固有振動数はいずれも5Hzに設定されている。
図5から分かるように、本実施形態に係る錘80及びコイル84の共振曲線70の振動増幅倍率(ダクトユニット50の側壁50Aの振幅に対する錘80及びコイル84の振幅の割合)は、比較例の共振曲線72よりも広範囲(振動数0〜7.2Hz)で大きくなっている。また、共振曲線70では、振動数5Hz付近に小さい谷が現れ、その両側に2つのピーク(1次固有振動数と2次固有振動数)が現れている。この2つのピークにより、錘80及びコイル84の固有振動数(5Hz)付近の振動数帯域においても、振動増幅倍率が大きくなっている。
ここで、ダクトユニット50の側壁50Aの振動は、流路56内へ流体の流量やファンを駆動するファンモータ等の回転数に応じて変化するため、卓越振動数帯域が幅広く分布する。この分布に応じて、前述した2つのピークを発生させ、錘80及びコイル84の振動増幅倍率が大きくなる振動数帯域を広げることにより、発電量の安定化を図ることができる。
2つのピークが発生する振動数は、錘80の重量とコイル84の重量とを合計した重量m2を蓋体58の重量m1で割ったマス比μ12(=m2/m1)を増減することにより変動する。
図6には、マス比μ12をパラメータとして付与したシミュレーション解析結果が示されている。このシミュレーションでは、振動増幅手段68によって構成される振動系と、発電部76によって構成される振動系の固有振動数を共に5Hzとし、パラメータとして付与するマス比μ12を0.01、0.02、0.04、0.08、0.16とした。なお、各共振曲線74A、74B、74C、74D、74Eは、それぞれマス比μ12=0.01、0.02、0.04、0.08、0.16に対応する。
図6から判るように、マス比μ12を小さくすると、2つのピークの間隔が狭くなり、振動増幅倍率が大きくなる振動数帯域が狭くなる。また、2つのピークの間隔が狭くなるに伴って、2つのピークの間の谷が小さくなり、固有振動数付近の振動増幅倍率が大きくなる。一方、マス比μ12を大きくすると、2つのピークの間隔が広くなり、振動増幅倍率が大きくなる振動数帯域が広くなる。また、2つのピークの間隔が広くなるに伴って、2つのピークの間の谷が大きくなり、固有振動数付近の振動増幅倍率が小さくなる。このようにマス比μ12を増減することで、ダクトユニット50の側壁50Aの振動特性に応じた共振曲線にすることにより、発電部76の発電量の安定化を図ることができる。
また、本実施形態では、蓋体58の内面とダクトユニット50の側壁50Aの内面とを面一又は略面一にしたことにより、流路56を流れる流体に対する抵抗が減少するため、排気効率、吸気効率の低下が抑制される。
更に、ダクトユニット50の側壁50Aに開口54を形成し、当該開口54内に配置された蓋体58に振動発電装置60を取り付けるため、従来の発電装置500(図35参照)のように、振動面としての防音壁506に、当該防音壁506の壁面から張り出す取付部材510を固定し、更に取付部材510に防音壁506の振動を増幅する板バネ508を取り付ける構成と比較して、振動発電装置60の設置スペースが小さくなる。従って、小さい設置スペースに振動発電装置60を設置することが可能となるため、振動発電装置60の設置自由度が向上する。
更に、本実施形態では、蓋体58が流路56に面しているため、流路56を流れる流体が蓋体58に直接当たる。即ち、蓋体58が流体によって直接加振されるため、蓋体58の振動の振幅が大きくなる。従って、発電部76の発電効率が向上する。
次に、第1実施形態に係る発電部76の変形例について説明する。
上記第1実施形態では、図4に示した振動モデルのように、2質点の振動系を構成したがこれに限らない。例えば、図3における振動増幅機構78を省略し、蓋体58と取付部材62で1質点の振動系を構成しても良いし、図7に示されるように、3質点以上の振動系を構成しても良い。
図7に示される発電部96では、振動増幅機構78の錘80の上に、振動増幅機構98が設けられている。振動増幅機構98は、錘100及びコイルばね102を備えている。錘100は、錘80に設けられたコイルばね102によって振動方向Gに揺動可能に支持されている。また、錘100に形成された貫通孔の内周面にはコイル84が設けられている。このコイル84内に、錘80の上に立てられた磁石90が挿入されている。即ち、本変形例では、2つの振動増幅機構78、98が直列に連結されている。
このように、2つの振動増幅機構78、98を直列に連結することにより、ダクトユニット50の側壁50Aの振動が、振動増幅機構78で増幅され、更に振動増幅機構98で増幅される。従って、錘100及びコイル84の振幅が大きくなるため、発電部96の発電効率が向上する。
また、図8(A)には、第1実施形態の発電部76の模式図が示されており、図8(B)〜(E)には、発電部の変形例の模式図が示されている。図8(B)〜図8(E)に示される変形例については、図8(A)に示される発電部76と異なる構成についてのみ説明する。なお、図8(A)〜図8(E)では、図が煩雑となるためコイル84を省略している。
図8(B)に示される変形例では、錘80が、ケース46の天井部46Aに設けられたコイルばね82に吊り下げられ、振動方向Gに揺動可能に設けられている。
図8(C)に示される変形例では、錘80が、基台12に設けられたコイルばね82Aと天井部46Aに設けられたコイルばね82Bの間で支持され、振動方向Gに揺動可能に設けられている。なお、この構成では、コイルばね82A、82Bが圧縮コイルばねとなるため、コイルばね82A、82Bの設計が容易となる。
図8(D)に示される変形例では、ケース46の天井部46Aに取り付けられたコイルばね104に磁石106及び錘112が吊り下げられ、振動方向Gに揺動可能になっている。これらのコイルばね104、錘112によって振動増幅機構が構成されている。この磁石106は、ケース46に固定されたコイル108内に配置されており、磁石106とコイル108とが振動方向Gに相対移動可能になっている。即ち、磁石106とコイル108とが振動方向Gに相対移動することにより、コイル108に電磁誘導が発生し、電力が発生するように構成されている。なお、本変形例では、第1部材が磁石106となり、第2部材がコイル108となる。
図8(E)に示される変形例では、図8(D)のコイルばね104が基台12に取り付けられ、当該コイルばね104によって磁石106及び錘112が下から支持されている。
また、第1実施形態では、コイル84と磁石90が相対移動したときに発生する電磁誘導を用いて、振動エネルギーを電気エネルギーに変換したが、これに限らない。即ち、2つの部材の相対移動を利用して、振動エネルギーを電力エネルギーに変換可能な構成であれば良い。以下、電磁誘導と異なる原理を利用した発電部について説明する。なお、第1実施形態に係るガイド機構(ガイド部材86)の変形例についても併せて説明する。
図9には、圧電素子140を用いた発電部220が示されている。発電部220は、振動増幅機構136と、振動増幅機構136の上に設けられた発電機構138と、を備えている。
振動増幅機構136は、錘22と、錘22を振動方向Gに揺動可能に設けるコイルばね20と、コイルばね20をガイドするガイド機構34と、を備えている。ガイド機構34は、基台12に固定される内ガイド部材26と、錘22の下面に固定される外ガイド部材30と、を備えている。
内ガイド部材26には、上方に向かって開口する円柱状の収容孔24が形成されている。外ガイド部材30には、下方に向かって開口する円柱状の収容孔28が形成されている。この収容孔28には、内ガイド部材26がスライド可能に挿入され、この状態で内ガイド部材26に対して外ガイド部材30が上下方向(振動方向G)に相対移動可能になっている。また、内ガイド部材26によって外ガイド部材30がガイドされるため、錘22の横方向の移動が規制され、錘22が振動方向Gにスムーズに振動するように構成されている。
また、内ガイド部材26の上端部にはゴム部材36が取り付けられている。このゴム部材36は、錘22の上下動が過大になったときに外ガイド部材30の天井部30Aの下面に当たる。これにより、内ガイド部材26と外ガイド部材30との相対移動が規制される結果、錘22の振動が規制される。即ち、ゴム部材36は、錘22の振動を規制するストッパーとして機能する。更に、ゴム部材36が外ガイド部材30の天井部30Aに当たることにより、振動エネルギーが吸収される。従って、ゴム部材36は減衰材としても機能する。
更に、内ガイド部材26の収容孔24と外ガイド部材30の収容孔28とを組み合わせて形成された収容部32には、コイルばね20が配置されている。コイルばね20の下端部は内ガイド部材26の底部26Aに固定され、コイルばね20の上端部は外ガイド部材30の天井部30Aに固定されている。
錘22の上には、発電機構138が設けられている。発電機構138は、圧電素子140と錘142とによって構成されている。圧電素子140は錘22の上面に固定され、この圧電素子140の上に錘142が固定されている。
なお、「圧電素子」とは、圧電体に加えられた力を電圧に変換、又は電圧を力に変換する圧電効果を利用した受動素子とされている。
次に、発電機構138の作用について説明する。
蓋体58(図3参照)及び基台12が振動すると、錘22が振動方向Gに振動する。この振動は、圧電素子140を介して錘142に伝達され、錘142が振動方向Gに振動する。これにより、圧電素子140に圧縮応力と引張応力とが繰り返し作用する。この結果、圧電素子140の上下に設けられた電極144A、144Bで電力が発生する。なお、本変形では、圧電素子140の下端部が第1部材となり、錘142が第2部材となる。
また、発電機構138が電力を発生するときに、圧電素子140の下端部の振動を抑える抵抗力が錘142から作用する場合、圧電素子140の振動の振幅は小さくなってしまう。しかし、圧電素子140は錘22に固定されているので、錘22の重量により慣性力が大きくなるため、抵抗力による振動抑制効果が低減される。即ち、錘22の慣性力によって圧電素子140の変形量が増加するため、錘22を備えない場合と比較して、発電効率が向上する。
また、図10には、他の変形例として、圧電素子150を用いた発電部222が示されている。なお、発電部222は、振動増幅機構136(図9参照)の錘22の上に発電機構148を設置したものである。
発電機構148は、圧電素子150、錘152、及び支柱154によって構成されている。支柱154は、錘22の上面に固定されて略鉛直に立っており、この支柱154の上端部付近から圧電素子150を介して錘152が左右に張り出すように設けられている。
ここで、柱状体110が振動すると、錘22が振動方向G(図における上下方向)に振動する。そして、この振動が支柱154及び圧電素子150を介して錘152に伝わり錘152が振動方向G方向に振動する。このとき、圧電素子150には、せん断応力が繰り返し作用し、これによって圧電素子150の左右に設けられた電極156A、156Bに電力が発生する。なお、本変形例の場合、支柱154が第1部材とされ、錘152が第2部材とされる。
また、図11には、他の変形例として、静電誘導を用いた発電部224が示されている。この発電部224では、振動増幅機構170と、発電機構172とを備えている。
振動増幅機構170は、ケース46の天井部46Aに取り付けられたコイルばね20と、当該コイルばね20に吊り下げられ、振動方向Gに揺動可能な錘174と、を備えている。発電機構172は、錘174に設けられた基部176と、ケース46の側壁部46Bに取り付けられ、基部176と対向する対向電極180と、を備えている。基部176には、電荷を半永久的に帯びたエレクトレット178が櫛状に配置されており、このエレクトレット178に対向電極180が対向して配置されている。これらのエレクトレット178と対向電極180とが相対移動することによって起電力が生じ、対向電極180に電力が発生する。即ち、発電機構172は、静電式(静電誘導)の発電機とされている。
ここで、電力を発生させるときに、基部176の振動を抑える抵抗力が対向電極180から作用する場合、基部176の振動の振幅が小さくなってしまう。しかし、基部176は錘174に固定されているので、錘174の重量により慣性力が大きくなり、これによって抵抗力による振動抑制効果が低減される。
次に、第1実施形態に係る振動増幅手段の変形例について説明する。
図12(A)に示される変形例では、第1実施形態に係る蓋体58(図3参照)と比較して、蓋体114の外形が小さくされており、ダクトユニット50の側壁50Aと蓋体114との間の隙間Dが大きくなっている。これにより、板バネ等の弾性体からなる取付部材62の可動範囲が長くなっており、即ち、取付部材62の剛性(弾性力)が小さくなっている。このように、取付部材62の可動範囲を増減することにより、蓋体58の固有振動数を調整しても良い。
図12(B)に示される変形例では、開口54と、当該開口54内に配置された蓋体114との間に、天然ゴム、合成ゴム、シリコン等の粘弾性体からなる取付部材116が設けられている。取付部材116は矩形の環状で、内周面に形成された環状溝116Aに蓋体114の外周部が挿入されており、取付部材116の外周面に形成された環状溝116Bには開口54の縁部が挿入されている。この取付部材116によって、蓋体114がダクトユニット50の側壁50Aに、振動方向Gに揺動可能に取り付けられている。これらの取付部材116及び蓋体114によって振動増幅手段が構成されている。
ここで、開口54と蓋体114との隙間を取付部材116で埋めることにより、隙間から流出する流体の漏れが低減される。また、蓋体114の重量や取付部材116のばね定数(ばね剛性)を適宜設定し、蓋体114とダクトユニット50の側壁50Aとを共振させることにより、当該側壁50Aの振動の振幅が増幅され、蓋体114の振動の振幅が大きくなる。
次に、図13(A)に示される変形例では、取付部材が省略されており、蓋体118が、開口54の縁にビス64で取り付けられている。この蓋体118によって開口54が塞がれている。即ち、蓋体118は、流路56を囲むダクトユニット50の側壁50Aの一部となっている。
蓋体118の板厚は、ダクトユニット50の側壁50Aと同一又は略同一とされているが、ダクトユニット50の側壁50Aよりも、面外方向(振動方向G)の剛性(面外剛性)が小さい材料(例えば、アルミニウム)で形成されている。即ち、蓋体118はダクトユニット50の側壁50Aよりも、面外方向(振動方向G)へ変形し易くなっている。従って、蓋体118に流路56を流れる流体が当たり、蓋体118が加振されると、蓋体118の振動方向Gの振動の振幅が、ダクトユニット50の側壁50Aよりも大きくなる。従って、ダクトユニット50の側壁50Aと比較して、蓋体118の振動方向Gの振動の振幅が大きくなる。
更に、蓋体118の固有振動数を、ダクトユニット50の側壁50Aの振動数と一致又は略一致させ、蓋体118とダクトユニット50の側壁50Aとが共振するように、蓋体118の重量や蓋体118の剛性を設定することで、ダクトユニット50の側壁50Aの振動が増幅され、蓋体118の振動の振幅が大きくなる。即ち、本変形例では、蓋体118のみで振動増幅手段が構成されている。
なお、本変形例では、蓋体118をダクトユニット50の側壁50Aにビス64で直接取り付けたが、第1実施形態のように取付部材62を介してダクトユニット50の側壁50Aに取り付けても良い。
次に、図13(B)に示される変形例では、蓋体120の板厚が、ダクトユニット50の側壁50Aよりも薄くされており、蓋体120の剛性(面外剛性)がダクトユニット50の側壁50Aよりも小さくなっている。このように、蓋体120の板厚を増減することにより、蓋体120の剛性を調整することも可能である。また、板厚を変えることにより、蓋体120の固有振動数も調整することができる。
また、蓋体120の板厚を薄くした場合は、図13(C)に示されるように、段付きの取付部材122を用いることにより、蓋体120の内面とダクトユニット50の側壁50Aの内面とが面一又は略面一になるように取り付けることができる。
次に、図14(A)に示される変形例では、開口54内に、ダクトユニット50の側壁50Aよりも剛性が小さい蓋体124が配置されている。この蓋体124は、取付部材126で、ダクトユニット50の側壁50Aに取り付けられている。取付部材126は、板ばね等の弾性体ではなく鉄板、鋼板等からなり、ダクトユニット50の側壁50Aと同等若しくは同等以上の剛性を有している。
このように、蓋体124の剛性がダクトユニット50の側壁50Aよりも小さくされている場合、取付部材126の剛性は、必ずしもダクトユニット50の側壁50Aより小さくする必要はない。即ち、取付部材126は、蓋体124との組み合わせて種々の材料で形成することができ、取付部材及び蓋体の少なくとも一方の剛性が、ダクトユニット50の側壁50Aよりも小さければ、蓋体124が面外方向(振動方向G)に振動し易くなり、蓋体124の振幅が大きくなる。
また、本変形例では、蓋体124は、取付部材126の端部126Aを支点として面外方向(振動方向G)へ振動する。従って、図中の2点鎖線で示すように、取付部材126と蓋体124との重ね幅(オーバーラップ幅)を長くし、蓋体124の振動の支点を変更することにより、蓋体124の固有振動数を調整することができる。
また、図14(B)には、参考例として、ダクトユニット50の側壁50Aの一部に振動発電装置60を直接取り付けた例が示されている。この構成では、ダクトユニット50の側壁50Aの一部の振動は大きくならず、振動発電装置60の重量によってダクトユニット50の側壁50Aの一部の固有振動数が変ることになる。
次に、図15、図16(A)、及び図16(B)に示される変形例では、ダクトユニット50の側壁50Aに、当該側壁50Aの一部を囲むように複数の溝孔128が形成され、この側壁50Aの一部(以下、「取付部130」、という)に振動発電装置60が取り付けられている。また、各溝孔128は、側壁50Aに貼付された環状のゴムシート等からなる密閉部材132で塞がれており、流路56を流れる流体が溝孔128から漏れないようになっている。なお、密閉部材132は、適宜省略可能である。
ここで、隣接する溝孔128の間にある側壁50A(以下、「リブ158」という)は、溝孔128の外周にある側壁50Aよりも剛性が小さくなり、変形し易くなっている。従って、取付部130の振動の振幅が大きくなる。また、リブ158及び取付部130によって構成された質点系により、ダクトユニット50の側壁50Aの振動を増幅させることで、取付部130の振動の振幅を大きくすることができる。
次に、第1実施形態に係るダクトの変形例について説明する。
図17及び図18(A)に示されるダクト164は、フレーム160と、当該フレーム160に貼り付けられる4つの側壁162A、162B、162C、162Dと、を備えている。側壁162Aに形成された開口168には蓋体166が配置されている。蓋体166は、板バネ等の弾性体からなる取付部材182で側壁162Aに取り付けられており、この蓋体166に振動発電装置60が取り付けられている。なお、側壁162Aと同様に、側壁162B、162C、162Dにも振動発電装置60がそれぞれ取り付けられている。
ここで、ダクト164では、フレーム160から各側壁162A、162B、162C、162Dを着脱できるため、側壁162A、162B、162C、162Dに対する振動発電装置60の取り付けが容易となる。また、ダクト164の卓越振動数の分布に応じて、4つの振動発電装置60の発電部76(図3参照)の固有振動数や振動発電装置60が取り付けられる蓋体166の固有振動数を異なる値に設定し、これらの固有振動数を分散させることにより、4つの振動発電装置60の発電量(合計発電量)の安定化を図ることができる。また、図18(B)に示されるように、4つの側壁184A、184B、184C、184Dの板厚を変えることにより、各側壁184A、184B、184C、184Dの固有振動数を変えて、ダクト186の卓越振動数の分布を調整しても良い。これと同様に、例えば、複数の側壁162Aを積層して一体化することにより、側壁162Aの板厚を変えて、固有振動数を調整しても良い。
次に、第1実施形態に係る振動発電装置の取り付け位置について説明する。
図19には、ダクト10の平面図が示されている。このダクト10の側面は、隣接するダクトユニット50を接合するフランジ52によって長手方向に仕切られている。従って、各ダクトユニット50の側壁50A、50B、50C、50Dでは、その中央部が一次振動モードの腹となる。即ち、ダクトユニット50の側壁50Aが、端部に設けられたフランジ52(隣接するフランジ52)及び当該側壁50Aのダクト10の長手方向に沿った端部を支点として一次振動モードで振動した場合、隣接するフランジ52間の中央部でその振幅が最大となる。従って、隣接するフランジ52間の中央部に蓋体58を設けることが望ましく、これにより、振動発電装置60の発電効率を向上させることができる。
なお、隣接するフランジ52間の中央部とは側壁50Aの対角線S、T(図中の一点鎖線)が交差する位置である。また、この中央部に蓋体58を設けるとは、中央部を含むように蓋体58を設けることを意味し、蓋体58の一部が中央部にあれば良く、側壁50Aの対角線S、Tが交差する点と蓋体58の図心とが一致する必要はない。
また、本実施形態では、ダクト10の側面が、隣接するダクトユニット50を接合するフランジで仕切られているが、ダクト10の側面に補強を目的とするリブが突設されている場合、このリブ間で仕切られた側面の中央部に蓋体58を設けることになる。
また、図20に示されるように、ダクト10は、吊り材16で天井14に吊り下げられたアングル(支持部材)18の上に載置されており、このアングル18が支持点となっている。従って、ダクト10では、隣接する吊り材16の支持点間(支持ピッチL)の中央部(L/2)が一次振動モードの腹となる。従って、ダクト10が隣接するアングル18を支点として一次モードで振動した場合、隣接するアングル18間の中央部で、ダクト10の振動が最大となる。よって、隣接する吊り材16の支持点間の中央部に蓋体58(図2参照)を設けることが望ましく、これにより、振動発電装置60の発電効率を向上させることができる。
なお、ダクトユニット50の側壁50Aが、2次モード以上で振動する場合は、各モードの腹に、蓋体58及び振動発電装置60を取り付けることにより、発電効率を高めることができる。また、本実施形態では、ダクト10を吊り材16で天井14に吊り下げたが、ダクト10を床等に固定されたアングル、フレーム等の支持部材で支持する場合も同様である。この場合、ダクト10の長手方向に隣接する支持部材(アングル、フレーム等)の支持点間の中央部が一次振動モードの腹となり、この中央部に蓋体58及び振動発電装置60を設けることが望ましい。
また、吊り材16で支持されたダクト10の固有振動数は、隣接する吊り材16の支持点間の距離(支持ピッチL)によって変動する。従って、隣接する吊り材16の支持点を移動することにより、ダクト10の固有振動数を調整することができる。
図21(B)には、支持ピッチ調整手段としての一対の調整用アングル192が示されている。これらの調整用アングル192は略平行し、ダクト10の両側に配置されている。また、図22(A)及び図22(B)に示されるように、各調整用アングル192には、長手方向に沿って延びる2つの長孔194が形成されている。2つの長孔194の間には取付部196が設けられており、この取付部196にダブルナット197で吊り材16が取り付けられている。2つの長孔194にはボルト198がそれぞれ挿入され、このボルト198に一対の調整用アングル192の間に渡された2つのアングル18が取り付けられている。この2つのアングル18の上にダクト10が載置され、支持されている。
ここで、既存のアングル18(図21(A)参照)を調整用アングル192に交換し、当該調整用アングル192にアングル18を付け替えることにより、アングル18がダクト10の長手方向へ移動する。即ち、吊り材16の支持ピッチL(図20参照)が変動する。これにより、ダクト10の固有振動数が調整される。この際、アングル18を長孔194に沿ってスライドさせることにより、支持ピッチLが微調整される。
また、図23(A)及び図23(B)には、支持ピッチ調整手段の他の例として、伸縮可能な一対の伸縮部材202が示されている。伸縮部材202は、筒体202Aと、当該筒体202A内にスライド可能に挿入された2つの筒体202Bと、当該筒体202B内に挿入された円柱形の棒材202Cとを備え、ダクト10の両側にそれぞれ配置されている。
筒体202Aには取付金具204が設けられ、当該取付金具204に吊り材16が取り付けられている。また、棒材202Cには軸受プレート206が設けられている。軸受プレート206に形成された軸受孔には、一対の伸縮部材202の間に渡された支持ローラ208の軸部が回転可能に挿入されている。この支持ローラ208の上にダクト10が載置され、支持されている。即ち、支持ローラ208が、ダクト10の支持点となっている。
ここで、筒体202Aに筒体202Bを押し入れたり引き出したりして伸縮部材202を伸縮させることにより、軸受プレート206で支持された支持ローラ208が、回転しながらダクト10の長手方向へ移動する。これにより、吊り材16の支持ピッチL(図20参照)が変動し、ダクト10の固有振動数が調整される。
また、図24(A)及び図24(B)には、支持ピッチ調整手段の他の例として、ダクト10の側面に配置された支持ピッチ調整手段210が示されている。この支持ピッチ調整手段210は、吊り材16に取り付けられたレール部材212と、2つのアーム214を備えている。レール部材212には、上下方向に延びる長孔216が形成されている。この長孔216には、2つのアーム214の一端を回転可能に連結するピン218が、当該長孔216に沿って移動可能に係止されている。2つのアーム214の他端には軸受孔がそれぞれ形成されており、この軸受孔に支持ローラ208の軸部が回転可能に挿入されている。これらの支持ローラ208の上にダクト10が載置され、支持されている。即ち、支持ローラ208が支持点となっている。また、2つのアーム214の他端とレール部材212の上部とは、バックル226を介して接続された2本のワイヤー228で連結されている。このワイヤー228によってアーム214の回転が規制されている。
ここで、2つのアーム214が互いに接近する方向へ回転させると、ピン218がレール部材212の長孔216に沿って上方へ移動する。この結果、アーム214の他端で支持された支持ローラ208が、回転しながら互いに接近する方向へ移動する。これにより、吊り材16の支持ピッチL(図20参照)が変動し、ダクト10の固有振動数が調整される。なお、移動した支持ローラ208は、バックル226から突出するワイヤー228の長さを短くし、アーム214の回転を規制することにより固定される。
また、バックル226から突出するワイヤー228の長さを長くし、2つのアーム214が互いに離間する方向へ回転させると、ピン218がレール部材212の長孔216に沿って下方へ移動する。この結果、アーム214の他端で支持された支持ローラ208が、回転しながら互いに離間する方向へ移動する。これにより、吊り材16の支持ピッチL(図20参照)が変動し、ダクト10の固有振動数が調整される。
また、図25(A)に示されるように、既存のダクト230に振動発電装置60を取り付ける際、隣接する吊り材16の支持点間(支持ピッチL)の中央部で隣接するダクトユニット50が接合されており、フランジ52が障害となってダクトユニット50の側壁50Aに振動発電装置60を取り付けられない場合がある。この場合、例えば、図25(B)に示されるように、2つのダクトユニット50を3つの調整用ダクトユニット250、252、254に交換し、隣接する調整用ダクトユニット250、252、254を接合する位置を吊り材16の支持点間(支持ピッチL)の中央部から移動させることにより、調整用ダクトユニット252の側壁252Aに振動発電装置60を取り付けることができる。
具体的には、調整用ダクトユニット252の側壁252Aのフランジ52間の中央部には、振動発電装置60が取り付けられている。この調整用ダクトユニット252は、隣接する吊り材16の支持点間(支持ピッチL)の中央部に、振動発電装置60が位置するように配置されている。調整用ダクトユニット252の両側には、調整用ダクトユニット250、254がそれぞれ配置されている。これらの調整用ダクトユニット250、254は、調整用ダクトユニット252とダクトユニット50の間の距離に応じた長さを有しており、調整用ダクトユニット252及び既存のダクトユニット50にそれぞれ接合されている。このように、調整用ダクトユニット250、252、254を用いることにより、振動発電装置60を吊り材16の支持点間(支持ピッチL)の中央部に設けることができる。
また、図26(A)に示される既存のダクト232では、隣接する吊り材16の支持点間の中央部から僅かに外れた位置で、隣接するダクトユニット50が接合されている。この場合もフランジ52が障害となり、ダクトユニット50の側壁50Aに振動発電装置60を取り付けることができない。この場合、例えば、図26(B)に示されるように、隣接する既存のダクトユニット50を、長さが相互に異なる調整用ダクトユニット240、242、244に交換し、隣接する調整用ダクトユニット240、242、244を接合する位置を吊り材16の支持点間(支持ピッチL)の中央部から移動させることにより、調整用ダクトユニット242の側壁242Aに振動発電装置60を取り付けることができる。
なお、調整用ダクトユニットには、既存のダクトユニット50を流用しても良い。例えば、図25(B)に示す構成において、調整用ダクトユニット252を既存のダクトユニット50に置換しても良い。また、調整用ダクトユニットは、1つでも良いし、複数の調整用ダクトユニットを組み合わせても良い。
また、ダクト10としては、フレキシブルダクト、ダンボールダクト等の種々のダクトを使用することができる。
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同じ構成のものは同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図27には、水道管、配水管等の配管(振動体)360が示されている。配管360は、天井14に吊り材16で吊り下げられたアングル18の上に載置されており、U字型のボルト362でアングル18に固定されている。なお、吊り材16及びボルト362は、ダブルナット44でアングル18に固定されている。
なお、配管360は、床等に固定されたアングル、フレーム等の支持部材で支持しても良い。
配管360は筒状で、その内部に流路364が形成されている。この流路364には、図示せぬポンプから送り出された流体(水等)が流れるようになっている。この流路364を形成する(囲む)配管360の外面及び内面は、ポンプの振動や、流路364を流れる流体が当たることにより振動する振動面となっている。このように振動する配管360の一部に振動発電装置60が取り付けられている。
具体的には、配管360には、流路364に通じる開口366が形成されている。この開口366には断面円弧状の蓋体360Aによって塞がれている。即ち、蓋体360Aは、流路364を囲む配管360の一部となっている。蓋体360Aは、その内面が配管360の内面と面一又は略面一となるように開口366に配置されている。また、蓋体360Aの外面には、振動発電装置60が取り付けられている。
蓋体360Aと配管360との間には、ゴム等の弾性体からなる取付部材370(振動増幅手段)が配置されている。取付部材370は、蓋体360A及び配管360にそれぞれ接着剤等で接合され、この取付部材370によって蓋体360Aが配管360に取り付けられている。これにより、蓋体360Aが面外方向(振動方向G)に振動可能になっている。また、蓋体360Aと配管360と隙間が取付部材370によって密封され、流路364を流れる流体が隙間から漏れないようになっている。これらの蓋体360A及び取付部材370によって、振動増幅手段が構成されている。
また、配管360の外周面は、蓋体360Aを覆う薄いゴムシート372が設けられ、蓋体360Aと配管360と隙間から流路364を流れる流体が漏れないようになっている。なお、ゴムシート372については適宜省略可能である。
次に、第2実施形態の作用について説明する。なお、振動発電装置60の作用については、第1実施形態と同じであるため省略する。
図示せぬポンプ等の振動が配管360に伝達され、若しくは流路364を流れる流体が配管360に当たり、配管360が振動すると、当該配管360に取付部材370で取り付けられた蓋体360Aが振動方向Gへ振動する。これにより、振動発電装置60に振動が伝達され、電力が発生する。
ここで、蓋体360Aと取付部材370によって質点系が構成される。従って、蓋体360Aの固有振動数を配管360の振動数と一致又は略一致させ、蓋体360Aと配管360とが共振するように、蓋体360Aの質量や取付部材370のばね定数(ばね剛性)を設定することで、配管360の振動が増幅される。即ち、蓋体360Aの振動の振幅が大きくなる。この結果、振動発電装置60へ伝達される振動の振幅が大きくなり、発電効率が向上する。
また、蓋体360Aの内面と配管360の内面とを面一又は略面一にしたことにより、流路364を流れる流体に対する抵抗が減少するため、排水効率、給水効率の低下が抑制される。
更に、蓋体360Aが流路364に面しているため、流路364を流れる流体が蓋体360Aに直接当たる。これにより、蓋体360Aが流体によって直接加振されるため、蓋体360Aの振動の振幅が大きくなる。従って、振動発電装置60の発電効率が向上する。
また、配管360に開口366を形成し、当該開口366内に配置された蓋体360Aに振動発電装置60を取り付けるため、振動発電装置60の設置スペースが小さくなる。従って、小さい設置スペースに振動発電装置60を設置することが可能となるため、振動発電装置60の設置自由度が向上する。
次に、第3実施形態について説明する。なお、第1、第2実施形態と同じ構成のものは同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図28及び図29(A)には、階段380が示されている。階段380は、略平行に配置されると共に、壁382に立て掛けられた一対のささら桁384と、これらのささら桁384の間に架設された複数(図28では、5つ)の踏板(振動体)386と、を備えている。これらの踏板386は、ささら桁384に設けられた調整台388の上に固定されている。
各踏板386の上面及び下面は、人の歩行等により振動する振動面とされており、踏板386の下面に振動発電装置60(図3参照)が取り付けられている。具体的には、踏板386には開口390が形成されている。この開口390には板状の振動板386Aが配置され、開口390が塞がれている。即ち、振動板386Aは、踏板386の一部となっている。
図29(A)に示されるように、振動板386Aは、板バネ等の弾性体からなる取付部材394によって踏板386に取り付けられている。取付部材394は、振動板386Aと踏板386とにまたがり、ボルト396によって振動板386A及び踏板386にそれぞれ固定されている。これにより、振動板386Aが面外方向(振動方向G)に振動可能になっている。また、振動板386Aの重量や取付部材394のばね定数(ばね剛性)は、振動板386Aが踏板386と共振するように設定されている。これらの振動板386Aと取付部材394によって振動増幅手段が構成されている。また、振動板386Aの下面に振動発電装置60が取り付けられている。
次に、第3実施形態の作用について説明する。なお、振動発電装置60の作用については、第1実施形態と同じであるため省略する。
人の歩行等により、踏板386が振動すると、当該踏板386に取付部材394で取り付けられた振動板386Aが振動方向Gに振動する。これにより、振動発電装置60に振動が伝達され、電力が発生する。
ここで、振動板386Aと取付部材394によって質点系が構成される。従って、振動板386Aの固有振動数と踏板386の振動数と一致又は略一致させ、振動板386Aと踏板386とが共振するように、振動板386Aの質量や取付部材394のばね定数(ばね剛性)を設定することで、踏板386の振幅が増幅される。即ち、振動板386Aの振動の振幅が大きくなる。この結果、振動発電装置60へ伝達される振動の振幅が大きくなり、発電効率が向上する。
また、図29(A)に示されるように、踏板386は、調整台388を支点(支持ピッチM)として振動する。従って、踏板386が調整台388を支点として一次モードで振動した場合、調整台388間の中央部(M/2)でその振幅が最大となる。従って、調整台388間の中央部に振動板386Aを配置することにより、振動発電装置60の発電効率を向上することができる。
なお、図29(B)に示されるように、踏板386が調整台388を支点として二次モードで振動する場合、振動の腹に応じて振動板386Aを配置することも可能である。また、踏板386が三次モード以上で振動した場合についても同様である。即ち、振動板386Aは、踏板386の振動特性に応じて、適宜配置すれば良い。
また、図30に示されるように、踏板386を支持するささら桁384は、壁382及び床392を支点として振動する。従って、ささら桁384が壁382及び床392を支点として一次モードで振動した場合、ささら桁384の長手方向中央部でその振幅が最大となる。この場合、ささら桁384の長手方向中央部にある踏板386(踏板386X)に振動発電装置60(図28参照)を取り付けることにより、振動発電装置60の発電効率を向上させることができる。
なお、前述したように、ささら桁384が壁382及び床392を支点として二次モード以上で振動する場合、各振動モードの腹に応じて踏板386を選択し、振動発電装置60を取り付ければ良い。
更に、図31(A)に示されるように、ささら桁384の長手方向中央部に踏板386が存在しない場合、図31(B)に示されるように、ボックス断面を有するささら桁384の壁382側の端部内に、剛性調整部材398を設け、ささら桁384の支点を床392側へ移動させても良い。この場合、ささら桁384が、剛性調整部材398の端部と床392を支点として振動するため、これらの支点間の中央部にある踏板386(踏板386Y)に振動発電装置60を取り付けることができる。また、剛性調整部材398を設けることにより、ささら桁384の固有振動数を変更することができる。
また、踏板386に開口390を形成し、当該開口390内に配置された振動板386Aに振動発電装置60を取り付けるため、振動発電装置60の設置スペースが小さくなる。従って、小さい設置スペースに振動発電装置60を設置することが可能となるため、振動発電装置60の設置自由度が向上する。
次に、第3実施形態に係る階段の変形例について説明する。
図32に示される階段400では、壁382に立て掛けられた一本のささら桁384で、複数(図28では、5つ)の踏板(振動体)402が支持されている。各踏板402は、その長手方向中央部が、ささら桁384に設けられた調整台388で支持されている。
踏板402の長手方向端部には、開口406がそれぞれ形成されている。この開口406内には板状の振動板402Aが配置され、開口406が塞がれている。即ち、振動板402Aは、踏板402の一部となっている。振動板402Aは、板バネ等の弾性体からなる取付部材394(図29(A)参照)によって踏板386に取り付けられている。これにより、振動板402Aが面外方向(振動方向G)に振動可能になっている。また、振動板402Aの重量や取付部材394のばね定数(ばね剛性)は、振動板402Aが踏板402と共振するように設定されている。これらの振動板402Aと取付部材394によって振動増幅手段が構成されている。また、振動板402Aの下面に振動発電装置60が取り付けられている。
ここで、踏板402はささら桁384を支持点とした片持ち梁となっている。従って、人の歩行等によって踏板402が振動すると、踏板402の長手方向端部(自由端)でその振幅が最大となる。本変形例では、このように振幅が最大となる踏板402の長手方向端部(自由端)に振動板402Aを設け、振動発電装置60を取り付けている。従って、振動発電装置60の発電効率が向上する。
また、片持ち梁形式の階段としては、例えば、図33に示されるように、壁408及び当該壁408に固定された取付台410で踏板412を片持ち支持する階段414が知られている。この場合も、踏板412の自由端側に振動板412Aを設け、当該振動板412Aに振動発電装置60を取り付けることにより、振動発電装置60の発電効率が向上する。また、振動発電装置60によって、踏板412の振動エネルギーが電気エネルギーに変換される結果、踏板412の振動が低減される。この振動低減効果は、特に、踏板412に大きい振動が生じやすい片持ち梁形式の階段に有効である。
次に、参考例について説明する。
図34(A)〜図34(D)には、第3実施形態に係る踏板386の下面に振動発電装置60を取り付ける取付構造が示されている。
図34(A)では、踏板386の下面に取り付けられた断面C形のアングル426に、振動発電装置60が取り付けられている。
図34(B)では、アングル426に形成された開口428に振動板430が配置されている。この振動板430は、当該振動板430の外周に設けられた弾性体431によって、面外方向に振動可能にアングル426に取り付けられている。
図34(C)では、踏板386の下面に、断面T形のアングル432が取り付けられている。このアングル432の先端には支持板434が略水平に設けられており、振動の振幅が最大となる支持板434の自由端側に振動発電装置60がそれぞれ取り付けられている。
図34(D)では、アングル432から水平方向へ張り出す支持板436の長さが、アングル432の右側と左側で異なっている。即ち、アングル432の右側と左側で、支持板436の固有振動数が異なる値に設定されている。
これらの取付構造では、踏板386に開口を形成しないため、既存の階段への振動発電装置60の取り付けが容易となる。
なお、上記第1〜第3実施形態では、蓋体の外面又は振動板の下面に振動発電装置を取り付けたが、振動発電装置は、蓋体の内面又は振動板の上面に取り付けても良い。
また、上記第1、第2実施形態では、天井14から吊り材16で吊り下げられたダクト10、配管360を例に説明したが、これに限らない。例えば、天井、床、又は支持台等に固定されたダクト、配管にも適用可能である。
以上、本発明の第1〜第3実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、第1〜第3実施形態を組み合わせて用いてもよいし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。