JP2011169377A - シール部材、シール部材を備えたボールねじ及びシール部材の製造方法 - Google Patents

シール部材、シール部材を備えたボールねじ及びシール部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ボールねじの作動性及び耐久性の低下を抑制することが可能な、シール部材と、シール部材を備えたボールねじ及びシール部材の製造方法を提供する。
【解決手段】螺旋状のねじ軸側軌道溝8を外周面に有するねじ軸2の外周側へ相対移動可能に配置されるナット4の移動方向端部に取り付けられ、ねじ軸2の外周面へ突出するシールシップを備えるシール部材6であって、シールリップ10が、ねじ軸2の径方向から見て、ねじ軸2へ近づくにつれてナット4の移動方向端面から離れるように傾斜し、シールリップ10のねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8とねじ軸2の径方向で対向する面が、ねじ軸2の径方向から見て、ねじ軸2の軸方向断面に対し、シールリップ10の傾斜角を考慮した形状である。
【選択図】図1

Description

本発明は、ナットの移動方向端部に取り付けられ、ねじ軸とナットとの間に形成される隙間を閉塞するシール部材と、シール部材を備えたボールねじ及びシール部材の製造方法に関する。
従来から、工作機械や射出成形機等が備えるボールねじとして、ねじ軸とナットを備えた構成のものが用いられている。
ねじ軸は、その外周面に、螺旋状のねじ軸側軌道溝を有している。
ナットは、ねじ軸の外周側に配置されており、その内周面に、ねじ軸側軌道溝に対向するナット側軌道溝を有している。
また、ねじ軸側軌道溝とナット側軌道溝との間に形成される負荷転動路内には、複数のボールが転動自在に装填されており、これらのボールは、ねじ軸またはナットの回転運動に伴って、負荷転動路内を転動する構成となっている。なお、負荷転動路を含む、ねじ軸とナットとの間には、一般的に、潤滑剤としてのグリースが配置されている。
このようなボールねじでは、ナットの内部へ、ねじ軸とナットとの間に形成される隙間を通じて塵芥等の異物が侵入し、この侵入した異物が、ボールとねじ軸側軌道溝及びナット側軌道溝との間に侵入するおそれがある。
そして、ボールとねじ軸側軌道溝及びナット側軌道溝との間に異物が侵入すると、この侵入した異物により、ボールねじの作動性及び耐久性が低下するという問題が生じるおそれがある。
この問題に対し、例えば、特許文献1及び2に記載されているようなボールねじがある。
特許文献1及び2に記載されているボールねじでは、例えば、図8中に示すように、ナット4の移動方向端部に、それぞれ、シール部材6を取り付けている。なお、図8(a)は、従来例のボールねじ1の概略構成を示す図である。また、図8(b)は、図8(a)のB線矢視図であり、シール部材6のみを、ねじ軸2の軸方向から見た図である。
シール部材6は、樹脂材料を用いて、ねじ軸2を挿通する空隙部を有する円環状に形成されており、ねじ軸2及びねじ軸側軌道溝8と接触するシールリップ10を有している。
シールリップ10の内周縁(内径側の端部)は、ねじ軸2の外周面と均一に接触するねじ軸接触縁12と、ねじ軸接触縁12よりもねじ軸2の中心軸側へ突出し、ねじ軸側軌道溝8と均一に接触する軌道溝接触縁14から形成されている。これにより、シールリップ10の内周縁は、ねじ軸2及びねじ軸側軌道溝8と、ねじ軸2の周方向に沿って、均一に接触することとなる。
また、シールリップ10の内周縁、すなわち、ねじ軸接触縁12及び軌道溝接触縁14は、共に、ねじ軸2の径方向から見て、ねじ軸2の軸方向と直交している。
なお、シール部材6の外周縁(外径側の端部)とシールリップ10の内周縁との間の部分は、ねじ軸2の径方向から見て、ねじ軸2の軸方向に対して傾斜している。このため、シールリップ10の内周縁の、ねじ軸2及びねじ軸側軌道溝8と対向する面(以下、「シールリップ対抗面」と記載する場合がある)は、ねじ軸2の中心軸に対して傾斜することとなる。
これにより、シールリップ対抗面がねじ軸2の中心軸に対して直交している場合よりも、シールリップ10の傾斜の向きによって、外部からナット4内への異物が侵入しずらかったり、ナット4内部のグリースがナット4の外へ出て行きずらかったりする。このため、シールリップ対抗面がねじ軸2の中心軸に対して直交している場合と比較して、シールリップ10の傾斜の向きを適宜選択することによって、ねじ軸2とナット4との間に形成される隙間への、外部からの異物の侵入を防止する効果や、ねじ軸とナットとの間に配置したグリースを保持する効果を、増加させることが可能となっている。
このような構成のボールねじであれば、ナットの移動方向端部に取り付けたシール部材により、ねじ軸とナットとの間に形成される隙間を閉塞することが可能となる。このため、ボールとねじ軸側軌道溝及びナット側軌道溝との間への、異物の侵入を防止することが可能となり、ボールねじの作動性及び耐久性の低下を抑制することが可能となる。
特開2008−291861号公報 特開2009−121677号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載のボールねじのように、シールリップの内周縁が、ねじ軸の径方向から見て傾斜していて、かつ傾斜しているシールリップの先端で形成される面が、ねじ軸の軸方向と直交している構成のボールねじでは、シールリップとねじ軸側軌道溝を含むねじ軸の外周面との距離が、一様にならないという問題がある。
このため、接触型のシールにあっては、シールリップの先端とねじ軸の外周面との間に隙間が生じ、ナット内に異物が侵入するという問題が生じるおそれがある。また、非接触型のシールにあっては、ねじ軸の外周面との間に設定したわずかな隙間(例えば、0.3[mm])より大きな隙間の部分ができて、異物がナット内に入り易くなるという問題が生じるおそれがある。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、シールリップがねじ軸の外周面と一様な締め代で密着する、又は一様な隙間を維持することのできる、シール部材と、シール部材を備えたボールねじ及びシール部材の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明のうち、請求項1に記載した発明は、螺旋状のねじ軸側軌道溝を外周面に有するねじ軸の外周側へ相対移動可能に配置されるナットの移動方向端部に取り付けられ、前記ねじ軸の外周面へ突出するシールシップを備えるシール部材であって、
前記シールリップは、前記ねじ軸の径方向から見て、前記ねじ軸へ近づくにつれて前記ナットの移動方向端面から離れるように傾斜し、
前記シールリップの前記ねじ軸の外周面及び前記ねじ軸側軌道溝とねじ軸の径方向で対向する面は、前記ねじ軸の径方向から見て、前記ねじ軸の軸方向断面に対し、前記シールリップの傾斜角を考慮した形状であることを特徴とするものである。
本発明によると、シールリップの、ねじ軸の外周面及びねじ軸側軌道溝とねじ軸の径方向で対向する面を、ねじ軸の径方向から見て、ねじ軸の軸方向断面に対し、シールリップの傾斜角を考慮した形状としている。
このため、ねじ軸の軸方向から見た、シールリップとねじ軸の外周面及びねじ軸側軌道溝との距離を、一様な距離とすることが可能となり、シールリップがねじ軸の外周面と一様な締め代で密着する、又は一様な隙間を維持することが出来る。
次に、本発明のうち、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明であって、前記シールリップは、前記ねじ軸の周方向全体に亘って、前記ねじ軸の外周面及び前記ねじ軸側軌道溝を均等または略均等な圧力で押圧していることを特徴とするものである。
本発明によると、シールリップにより、ねじ軸の周方向全体に亘って、ねじ軸の外周面及びねじ軸側軌道溝を、均等または略均等な圧力で押圧する。
このため、シール部材とねじ軸の外周面及びねじ軸側軌道溝との間に発生する摩擦力が、ねじ軸の周方向全体に亘って均一となるため、シール部材の防塵性能及びボールねじの作動性を、ねじ軸の周方向全体に亘って安定させることが可能となる。
次に、本発明のうち、請求項3に記載した発明は、請求項1に記載した発明であって、前記シールリップは、前記ねじ軸の周方向全体に亘って、前記ねじ軸の外周面及び前記ねじ軸側軌道溝と等間隔または略等間隔で離間していることを特徴とするものである。
本発明によると、シールリップを、ねじ軸の周方向全体に亘って、ねじ軸の外周面及びねじ軸側軌道溝と等間隔または略等間隔で離間させている。
このため、シール部材とねじ軸の外周面及びねじ軸側軌道溝との間に摩擦力を発生させることなく、シール部材の防塵性能を、ねじ軸の周方向全体に亘って安定させることが可能となる。
次に、本発明のうち、請求項4に記載した発明は、請求項1から3のうちいずれか1項に記載した発明であって、前記シールリップは、前記ねじ軸の径方向から見て、前記ねじ軸側軌道溝と線接触していることを特徴とするものである。
本発明によると、シールリップを、ねじ軸の径方向から見て、ねじ軸側軌道溝と線接触させている。
このため、シールリップとねじ軸側軌道溝との接触面積を減少させることが可能となり、ボールねじの作動時にシールリップとねじ軸側軌道溝との間に発生する摩擦力を、低減させることが可能となる。
次に、本発明のうち、請求項5に記載した発明は、請求項1から4のうちいずれか1項に記載したシール部材を備えたことを特徴とするボールねじである。
本発明によると、ボールねじが、ねじ軸の軸方向から見た、シールリップとねじ軸の外周面及びねじ軸側軌道溝との距離を、一様な距離としたシール部材を備える。
このため、シールリップがねじ軸の外周面と一様な締め代で密着する、又は一様な隙間を維持することが出来る。
次に、本発明のうち、請求項6に記載した発明は、請求項1から4のうちいずれか1項に記載したシール部材を製造するシール部材の製造方法であって、
前記シールリップの内周部に取り代部分を設け、該取り代部分の少なくとも一部を切除して、当該切除したシールリップと前記ねじ軸の外周面及び前記ねじ軸側軌道溝とのねじ軸の軸方向から見た距離が、前記ねじ軸の周方向全体に亘って均等または略均等となるように形成することを特徴とするものである。
本発明によると、シール部材が備えるシールリップの、取り代部分の少なくとも一部を切除し、その切除したシールリップとねじ軸の外周面及びねじ軸側軌道溝との、ねじ軸の軸方向から見た距離が、ねじ軸の周方向全体に亘って均等または略均等となるように形成する。
このため、例えば、ねじ軸の軸径やリード、ボール径のうち、一つでも構成が異なり、ボールねじの構成が多様化する場合であっても、多様化した構成のボールねじに適合させることが可能となる。
なお、ボールねじの構成が多様化する場合とは、ボールねじのシリーズ化を拡大する場合等であり、ボールねじのシリーズ化を拡大する場合には、例えば、同じ軸径のねじ軸に対して、リードが異なるものや、使用するボールの径が異なるものを形成する。このため、ボールねじのシリーズ化を拡大する場合には、シールリップの内周縁を、ねじ軸及びねじ軸側軌道溝と、ねじ軸の周方向に沿って、均一に接触させるためには、リードが異なるボールねじや、使用するボールの径が異なるボールねじに対して、その都度、個別に形状の異なるシール部材が必要となる。
そして、一般的に、シール部材は、射出成形等により、ねじ軸側軌道溝を含むねじ軸の断面形状に沿った精密な成形が可能である。しかしながら、例えば、ねじ軸の軸径やリード、ボール径のうち、一つでも構成が異なる場合、その都度、対応する金型を用いて成形する必要がある。
本発明によれば、基本の金型を用いて成形したシール部材が備えるシールリップの一部を切除することにより形成したシール部材を、多様化した構成のボールねじに適合させることが可能となる。
このため、上述したように、例えば、ねじ軸の軸径やリード、ボール径のうち、一つでも構成が異なる場合であっても、その都度、対応する金型を用いて成形する必要がなく、基本の金型を用いて成形すればよい。
次に、本発明のうち、請求項7に記載した発明は、請求項6に記載した発明であって、射出成形により前記取り代部分を設けた前記シールリップを備えた前記シール部材に対し、前記シールリップの前記取り代部分の少なくとも一部を、前記ねじ軸の軸方向に沿って打ち抜き加工により切除して形成することを特徴とするものである。
本発明によると、射出成形によりシールリップを備えた形状に成形したシール部材に対し、シールリップの取り代部分の少なくとも一部を、ねじ軸の軸方向に沿って打ち抜き加工により切除して、シール部材を形成する。
このため、例えば、ねじ軸の軸径やリード、ボール径のうち、一つでも構成が異なり、ボールねじの構成が多様化する場合であっても、基本の金型を用いて成形したシール部材が備えるシールリップの一部を切除することにより、多様化した構成のボールねじに適合させることが可能な、シール部材を形成することが可能となる。
次に、本発明のうち、請求項8に記載した発明は、請求項6または7に記載した発明であって、可撓性を有する板状かつ円環状の材料を、前記ねじ軸の軸方向から見て、円環の内径と外径とを連続する空隙部を有する略C字形に形成し、さらに、前記空隙部を間に挟んで前記ねじ軸の周方向で対向する部分同士を結合して、前記シールリップを、前記ねじ軸の径方向から見て、前記ねじ軸へ近づくにつれて前記ナットの移動方向端面から離れるように傾斜させることを特徴とするものである。
本発明によると、可撓性を有する板状かつ円環状の材料を、ねじ軸の軸方向から見て、円環の内径と外径とを連続する空隙部を有する略C字形に形成し、さらに、空隙部を間に挟んでねじ軸の周方向で対向する部分同士を結合する。これにより、シールリップを、ねじ軸の径方向から見て、ねじ軸へ近づくにつれてナットの移動方向端面から離れるように傾斜させて、シール部材を形成する。
このため、ねじ軸の軸方向から見て傾斜させた形状よりも容易に成形可能な、板状かつ円環状に形成した部材を用いて、ねじ軸の径方向から見て、ねじ軸へ近づくにつれてナットの移動方向端面から離れるように傾斜させたシール部材を形成することが可能となる。
本発明によれば、シールリップがねじ軸の外周面と一様な締め代で密着する、又は一様な隙間を維持することが出来るため、ボールねじの作動時に、シール部材とねじ軸の外周面及びねじ軸側軌道溝との間の隙間の発生を防止する、又は所定の微小隙間を維持することが可能となって、ナット内部への異物の侵入を低減出来、ボールねじの作動性及び耐久性の低下を抑制することが可能となる。
本発明の一例であるボールねじの概略構成を示す図である。 シール部材を形成する際の加工手順を示す図である。 ねじ軸とシール部材との関係を示す図である。 シール部材を取り付けたナットをねじ軸に嵌合させていない状態を示す図である。 ねじ軸とシールリップとの位置関係を示す図である。 本発明の変形例を示す図である。 本発明の変形例を示す図である。 従来例のボールねじの概略構成を示す図である。
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
まず、図1を用いて、本実施形態のボールねじの構成を説明する。
図1は、本実施形態の一例であるボールねじ1の概略構成を示す図であり、図1(a)は、ボールねじ1の断面図、図1(b)は、図1(a)のB線矢視図であり、シール部材6のみを、ねじ軸2の軸方向から見た図である。
図1中に示すように、本実施形態のボールねじ1は、ねじ軸2と、ナット4と、シール部材6とを備えている。
ねじ軸2は、合金鋼等の鋼材で形成した棒状部材であり、螺旋状のねじ軸側軌道溝8を外周面に有している。ねじ軸2の端部は、モータ等の回転動力源(図示せず)に連結されている。
ナット4は、合金鋼等の鋼材で形成された円筒状部材であり、ねじ軸2の外周側に配置されている。
また、ナット4は、ねじ軸側軌道溝8と対向するナット側軌道溝(図示せず)を内周面に有している。すなわち、ねじ軸側軌道溝8とナット側軌道溝は、同じリードで形成されている。
ねじ軸側軌道溝8とナット側軌道溝との間には、例えば、合金鋼等の鋼材で形成された複数のボール(図示せず)が、転動自在に装填されている。なお、本実施形態では、ねじ軸側軌道溝8とナット側軌道溝との間を含む、ねじ軸2の外周面とナット4の内周面との間には、グリース等の潤滑剤(図示せず)を配置している。
ナット4の外周面には、リターンチューブ(図示せず)が固定されている。リターンチューブは、例えば、金属からなる管状体をU字状に曲げ加工して形成されている。
すなわち、本実施形態のボールねじ1は、ねじ軸2(またはナット4)の回転運動に伴い、ねじ軸側軌道溝8とナット側軌道溝との間を複数のボールが転動する。そして、ナット4(またはねじ軸2)が、ボールの転動を介して、ねじ軸2の軸方向に沿って直線移動する構成となっている。
以上により、ナット4は、ねじ軸2の外周側へ、ねじ軸2と相対移動可能に配置されている。
シール部材6は、樹脂材料により形成されており、接着等の手段を用いて、ナット4の移動方向端部に取り付けられている。なお、シール部材6は、ねじ等の部材を用いて、ナット4の移動方向端部に取り付けてもよい。
また、シール部材6は、ねじ軸2の軸方向から見て、ねじ軸2の外周面を全周から包囲する円環状に形成されている。
また、シール部材6は、ねじ軸2の軸方向から見て、ナット4よりもねじ軸2側へ突出、すなわち、ねじ軸2の外周面へ突出するシールリップ10を備えている。
シールリップ10は、ねじ軸2の径方向から見て、ねじ軸2へ近づくにつれてナット4の移動方向端面から離れるように傾斜している。これにより、シール部材6は、ナット4の移動方向端面と反対側から見て、円錐の上部を切除した形状に形成されている。
また、シールリップ10の内周縁(内径側の端部)は、ねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8と接触している。これにより、本実施形態のシール部材6は、ねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8と摺接して、ねじ軸2の外周面とナット4の内周面との間を閉塞する構成となっている。
なお、本実施形態では、ねじ軸側軌道溝8とナット側軌道溝との間を含む、ねじ軸2の外周面とナット4の内周面との間に配置している潤滑剤を、シール部材6により、ねじ軸2の外周面とナット4の内周面との間に形成される空間に密封している。すなわち、本実施形態のシール部材6は、グリース密封用のシールとして機能している。
以下、シール部材6の詳細な構成について説明する。
図1中に示すように、シール部材6の外周縁(外径側の端部)は、円形である。
シールリップ10の内周縁は、ねじ軸2の軸方向に沿った断面に対応する形状となっている。
具体的には、シールリップ10の内周縁は、ねじ軸接触縁12と、軌道溝接触縁14から形成されている。
ねじ軸接触縁12は、ねじ軸2の外周面と均一に接触している。
軌道溝接触縁14は、ねじ軸接触縁12よりもねじ軸2の中心軸側へ突出しており、ねじ軸側軌道溝8と均一に接触している。
以上により、シールリップ10の内周縁は、ねじ軸2及びねじ軸側軌道溝8と、ねじ軸2の周方向に沿って、均一に接触することとなる。
シールリップ10の内周縁を、ねじ軸2及びねじ軸側軌道溝8と、ねじ軸2の周方向に沿って均一に接触するように形成するため、シール部材6は、以下の手順で形成されている。
具体的には、シールリップ10の内周部の一部を切除して、この切除したシールリップ10の、ねじ軸2の軸方向から見た形状を、ねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8と対応した形状とする。すなわち、本実施形態のシール部材6は、シールリップ10の内周部に、切除の対象となる取り代部分を有している。
上記の切除は、切除したシールリップ10とねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8とのねじ軸2の軸方向から見た距離が、ねじ軸2の周方向全体に亘って均等となるように行う。なお、シールリップ10を切除する際の具体的な説明は、後述する。
また、図1中に示すように、上記のように切除したシールリップ10の、ねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8とねじ軸2の径方向で対向する面は、ねじ軸2の径方向から見て、ねじ軸2の軸方向断面に対し、ねじ軸2のシールリップ10の傾斜角を考慮した形状となる。これにより、上記のように切除したシールリップ10の内周縁は、ねじ軸2の軸方向に直交する形状とはならず、軌道溝接触縁14は、ねじ軸側軌道溝8と均一に接触することとなる。
また、上記のように切除したシールリップ10は、ねじ軸2の周方向全体に亘って、ねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8を、均等な圧力で押圧している。
具体的には、ねじ軸2の外周面に対するねじ軸接触縁12のマイナス隙間と、ねじ軸側軌道溝8に対する軌道溝接触縁14のマイナス隙間が、それぞれ、ねじ軸2の周方向全体に亘って同じ量となる形状にシールリップ10を切除する。これにより、上記のように切除したシールリップ10の内周縁による、軌道溝接触縁14及びねじ軸側軌道溝8の押圧力を、ねじ軸2の周方向全体に亘って均等とする。なお、上記のマイナス隙間は、例えば、−2〜−200[μm]の範囲内とする。
また、上記のように切除したシールリップ10は、ねじ軸2の径方向から見て、ねじ軸側軌道溝8と点接触している。
具体的には、上記のように切除したシールリップ10では、ねじ軸接触縁12のねじ軸2と対向する面が、二箇所の角部を有する平面となり、二箇所の角部のうち一方のみが、ねじ軸2の径方向から見て、ねじ軸側軌道溝8と点接触することとなる。なお、ねじ軸接触縁12は、ねじ軸2の周方向に沿って、ねじ軸側軌道溝8と均一に接触しているため、ねじ軸接触縁12は、ねじ軸2の周方向に沿って、ねじ軸側軌道溝8と線接触することとなる。
(シール部材の製造方法)
次に、図1を参照しつつ、図2から図5を用いて、シール部材6の製造方法について説明する。
図2は、シール部材6を製造する際の加工手順を示す図である。なお、シール部材6を製造する際の加工は、図2(a)から開始し、図2(b)、図2(c)、図2(d)の順に行う。
図2(a)中に示すように、シール部材6を製造する工程では、まず、射出成形により、切除する部分(取り代部分)を設けたシールリップ10を備えた形状の、シール部材6を成形する。なお、図2(a)は、射出成形後のシール部材6の断面図である。
ここで、射出成形に用いる金型は、ナット4への取り付け状態が同じであれば、例えば、ねじ軸2のリードが異なるボールねじや、使用するボールの径が異なるボールねじであっても、同一の金型を用いることが可能である。
次に、図2(b)中に示すように、射出成形により成形したシール部材6を、シール固定型16に固定し、シールリップ10の取り代部分を、プレス抜き型18を用いて、ねじ軸2の軸方向に沿って打ち抜く、打ち抜き加工を行う。なお、図2(b)は、シール部材6をシール固定型16に固定した状態の、シール部材6及びシール固定型16の断面図である。また、図2(b)中には、プレス抜き型18の移動方向を、下向きの白抜き矢印により示している。
ここで、シール固定型16は、シール部材6を嵌合させて固定可能な凹状の嵌合部と、ねじ軸2の軸方向に貫通し、プレス抜き型18を挿通可能な貫通孔を備えている。
また、プレス抜き型18は、金属性であり、切削加工等の精密加工が可能な機械を用いて形成されている。
具体的には、プレス抜き型18は、ねじ軸2の軸径、ねじ軸2のリード、ボールの径、ねじ軸側軌道溝8の形状等、ボールねじ1の各種諸元に応じて、切除したシールリップ10の形状が、ねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8と対応する形状となるように形成されている。なお、プレス抜き型18の形成に関する説明は、後述する。
図2(c)中に示すように、シールリップ10の取り代部分に対して、プレス抜き型18を用いた打ち抜き加工を行うと、シールリップ10の内径側が、プレス抜き型18により切除される。なお、図2(c)は、プレス抜き型18を用いた打ち抜き加工を行っている状態の、シール部材6及びシール固定型16の断面図である。また、図2(c)中には、図2(b)中と同様、プレス抜き型18の移動方向を、下向きの白抜き矢印により示している。さらに、図2(c)中には、切除したシールリップ10の一部を、符号「W」により示している。
シールリップ10の内径側が、プレス抜き型18により切除されると、図2(d)中に示すように、シール部材6が形成される。図2(d)は、プレス抜き型18を用いた打ち抜き加工後の、シール部材6の断面図である。
ここで、図2(d)中に示すように、打ち抜き加工後のシール部材6は、ねじ軸接触縁12のねじ軸2と対向する面が、二箇所の角部を有する平面となる。これに加え、打ち抜き加工後のシール部材6は、互いにねじ軸2側への突出量が異なる、ねじ軸接触縁12と軌道溝接触縁14が形成される。
ここで、図2(d)中に示すように、軌道溝接触縁14のねじ軸2側への突出量L1は、ねじ軸接触縁12のねじ軸2側への突出量L2よりも長い(L1>L2)。また、軌道溝接触縁14のねじ軸2側への突出量L1とねじ軸接触縁12のねじ軸2側への突出量L2との差(L1−L2)は、ねじ軸2の外周面を基準とした、ねじ軸側軌道溝8の深さに対応する長さである。
また、図2(d)中に示すように、シールリップ10は、ねじ軸2の径方向から見て、ねじ軸2へ近づくにつれてナット4の移動方向端面から離れるように傾斜しているため、ねじ軸接触縁12と軌道溝接触縁14とは、ねじ軸2の軸方向に沿った寸法が互いに異なる。なお、図2(d)中には、ねじ軸接触縁12と軌道溝接触縁14との、ねじ軸2の軸方向に沿った寸法の差を、符号「L3」により示している。
以下、図1及び図2を参照しつつ、図3から図5を用いて、プレス抜き型18の形成について説明する。
プレス抜き型18を形成する際には、打ち抜き加工により切除したシールリップ10の形状が、ねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8と対応する形状、すなわち、シールリップ10の内周縁が、ねじ軸2及びねじ軸側軌道溝8と、ねじ軸2の周方向に沿って、均一に接触する形状となるように形成する。
これは、上述したように、ねじ軸2の軸径、ねじ軸2のリード、ボールの径、ねじ軸側軌道溝8の形状等、ボールねじ1の各種諸元に応じて行う。
具体的には、以下に図を用いて説明するように、シール部材6を取り付けたナット4をねじ軸2に嵌合させて、シールリップ10をねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8と接触させた際に生じる、シール部材6の変形を踏まえて、プレス抜き型18を形成する。
図3は、ねじ軸2とシール部材6との関係を示す図であり、ねじ軸2及びシール部材6を、ねじ軸2の軸方向から見た断面図である。
図3中に示すように、シール部材6を取り付けたナット4をねじ軸2に嵌合させた状態では、シールリップ10の内周縁、すなわち、ねじ軸接触縁12及び軌道溝接触縁14が、ねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8と均一に接触する。
このような接触状態を実現するためには、シール部材6を取り付けたナット4をねじ軸2に嵌合させていない状態で、シールリップ10の形状が、シールリップ10の変形を踏まえた形状となるように、プレス抜き型18を形成する必要がある。
図4は、シール部材6を取り付けたナット4をねじ軸2に嵌合させていない状態を示す図であり、シール部材6を、ねじ軸2の軸方向から見た断面図である。
図4中に示すように、シール部材6を取り付けたナット4をねじ軸2に嵌合させていない状態では、ねじ軸2の周方向に沿った、軌道溝接触縁14のねじ軸2の中心側への突出量が、均一ではない。
そこで、プレス抜き型18を形成する際には、図5中に示すように、ねじ軸2の軸方向に対するシールリップ10の傾斜角θに比例させて、軌道溝接触縁14のねじ軸2の中心側への突出量を算出しておき、この算出した突出量に応じて、プレス抜き型18を形成する。なお、図5は、ねじ軸2とシールリップ10との位置関係を示す図であり、ねじ軸2の径方向から見た図である。また、図5中には、ねじ軸側軌道溝8を含むねじ軸2の外周面との接触状態が異なるシールリップ10の状態を、複数通り示している。また、図5中には、ねじ軸2の中心軸線を、符号「CL」により示している。
これは、シールリップ10が傾斜角θを持っている場合、軌道溝接触縁14がねじ軸側軌道溝8と均一に接触するためには、シール部材6の外周縁から軌道溝接触縁14がねじ軸側軌道溝8と接触するまでの距離が、上記の傾斜角θに応じて異なる。したがって、軌道溝接触縁14がねじ軸側軌道溝8と均一に接触するためには、上記の傾斜角θに比例して、シールリップ10の、ねじ軸2の軸方向に沿った長さを変化させる必要があるためである。
(作用)
次に、図1から図5を参照して、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態のボールねじ1が備えるシール部材6は、シールリップ10の取り代部分を切除して、この切除したシールリップ10の、ねじ軸2の軸方向から見た形状を、ねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8と対応した形状としている。
そして、上記の切除は、切除したシールリップ10とねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8との、ねじ軸2の軸方向から見た距離が、ねじ軸2の周方向全体に亘って均等となるように行っている。
また、本実施形態のボールねじ1が備えるシール部材6の製造方法では、射出成形によりシールリップ10を備えた形状に成形したシール部材6に対し、シールリップ10の取り代部分を、プレス抜き型18を用いた打ち抜き加工により切除して、シール部材6を形成している。
このため、射出成形に用いる金型は一種類でよく、また、シールリップ10の内径側は、打ち抜き加工で切除される取り代部分を含んでいるため、射出成形に要求される精度の増加を抑制することが可能となる。
これは、以下に記載する理由による。
通常、射出成形のみを用いて、精密な形状のシールリップ10を有するシール部材6を形成するためには、シール部材6の材料となる樹脂の収縮が、シールリップ10の形状や肉厚により異なるため、何回も試行錯誤を重ねて、金型を修正する必要がある。また、金型内への材料の射出圧や、金型内における材料の保持時間等、射出成形の条件によっても、形状の崩れが発生する。
このため、射出成形のみを用いて、精密な形状のシールリップ10を有するシール部材6を形成するためには、プレス抜き型18の製作と比較して、手間のかかる金型の製造・修正に加え、厳しい条件管理が必要となる。
これに対し、本実施形態のシール部材6の製造方法では、プレス抜き型18を、シール部材6に対する加工よりも、容易に精密な加工が可能な加工機械によって製作することが可能であるため、上述した金型の修正や、厳しい条件管理の必要が無い。
また、シール部材6の形成に要する作業時間も、射出成形により成形したシール部材6に対し、シールリップ10の一部(内径側)を切除するだけでよいため、上記の打ち抜き加工に、既存のプレス機等を用いることにより、短時間で作業を完了させることが可能となる。
また、プレス抜き型18の形状を変化させることにより、射出成形に一種類の金型のみを用いて、ねじ軸2の軸径、ねじ軸2のリード、ボールの径、ねじ軸側軌道溝8の形状等、ボールねじ1の各種諸元に応じた形状のシール部材6を形成することが可能となる。
また、射出成形により成形したシール部材6に対し、シールリップ10の内径側を、プレス抜き型18を用いた打ち抜き加工により切除しているため、シールリップ10の内周縁が、ねじ軸側軌道溝8の円弧に対して角部を有する、尖った形状となる。
このため、上記の角部がねじ軸側軌道溝8と接触することとなり、シール部材6とねじ軸側軌道溝8との接触面積を低減させて、ボールねじ1の作動時において発生する、シール部材6とねじ軸側軌道溝8との摩擦を低減させて、ボールねじ1の作動トルクを低減させることが可能となる。
(第一実施形態の効果)
以下、本実施形態のボールねじ1が備えるシール部材6(以下、「シール部材6」と記載する)、シール部材6を備えるボールねじ1、及びシール部材6の製造方法の効果を列挙する。
(1)本実施形態のシール部材6では、シールリップ10の、ねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8とねじ軸2の径方向で対向する面を、ねじ軸2の径方向から見て、ねじ軸2の軸方向断面に対し、シールリップ10の傾斜角を考慮した形状とさせている。
このため、ねじ軸2の軸方向から見た、シールリップ10とねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8との距離を、一様な距離とすることが可能となり、シールリップ10がねじ軸2の外周面と一様な締め代で密着する、又は一様な隙間を維持することが可能となる。
その結果、ボールねじ1の作動時における、シールリップ10とねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8との位置関係が、一様な位置に保持される。
これにより、シールリップ10がねじ軸2の外周面に加える押圧力を低減させることが可能となるため、ボールねじ1の作動時に、シール部材6とねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8との間で発生する摩擦力を減少させて、ボールねじ1の作動性及び耐久性の低下を抑制することが可能となる。
(2)本実施形態のシール部材6では、シールリップ10により、ねじ軸2の周方向全体に亘って、ねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8を、均等な圧力で押圧する。
このため、シール部材6とねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8との間に発生する摩擦力が、ねじ軸2の周方向全体に亘って均一となるため、シール部材6の防塵性能及びボールねじ1の作動性を、ねじ軸2の周方向全体に亘って安定させることが可能となる。
その結果、ボールねじ1の作動性及び耐久性の低下を、ねじ軸2の周方向全体に亘って、安定して抑制することが可能となる。
なお、シールリップ10により、ねじ軸2の周方向全体に亘って、ねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8を、略均等な圧力で押圧するように、シールリップ10を形成してもよい。
(3)本実施形態のシール部材6では、シールリップ10を、ねじ軸2の径方向から見て、ねじ軸側軌道溝8と線接触させている。
このため、シールリップ10とねじ軸側軌道溝8との接触面積を減少させることが可能となり、ボールねじ1の作動時にシールリップ10とねじ軸側軌道溝8との間に発生する摩擦力を、低減させることが可能となる。
その結果、ボールねじ1の作動性と、シール部材6の耐久性の低下を抑制することが可能となる。
(4)本実施形態のボールねじ1では、ねじ軸2の軸方向から見た、シールリップ10とねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8との距離を、一様な距離としたシール部材6を備えている。
このため、シールリップ10がねじ軸2の外周面に加える押圧力を減少させて、ボールねじ1の作動時に、シール部材6とねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8との間で発生する摩擦力を増加させることが可能となる。
その結果、ボールねじ1の作動時に、シール部材6とねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8との間で発生する摩擦力を減少することが可能となり、ボールねじ1の作動性及び耐久性の低下を抑制することが可能となる。
(5)本実施形態のシール部材6の製造方法では、シール部材6が備えるシールリップ10の取り代部分を切除し、その切除したシールリップ10とねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8との、ねじ軸2の軸方向から見た距離が、ねじ軸2の周方向全体に亘って均等となるように形成する。
このため、例えば、ねじ軸2の軸径やリード、ボール径のうち、一つでも構成が異なり、ボールねじ1の構成が多様化する場合であっても、多様化した構成のボールねじ1に適合させることが可能となる。
その結果、ボールねじ1の構成を多様化する場合であっても、この多様化した構成のボールねじ1に適合させることが可能な、シール部材6を提供することが可能となる。
なお、基本の金型を用いて成形したシール部材6が備えるシールリップ10の一部を切除する際には、ねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8に応じて、シールリップ10の取り代部分のうち、少なくとも一部を切除すればよい。
また、切除したシールリップ10とねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8との、ねじ軸2の軸方向から見た距離が、ねじ軸2の周方向全体に亘って略均等となるように、シールリップ10を形成してもよい。
(6)本実施形態のシール部材6の製造方法では、射出成形により取り代部分を設けたシールリップ10を備えたシール部材6に対し、シールリップ10の取り代部分を、ねじ軸2の軸方向に沿って打ち抜き加工により切除して、シール部材6を形成する。
このため、例えば、ねじ軸2の軸径やリード、ボール径のうち、一つでも構成が異なり、ボールねじ1の構成が多様化する場合であっても、基本の金型を用いて成形したシール部材6が備えるシールリップ10の一部を切除することにより、多様化した構成のボールねじ1に適合させることが可能な、シール部材6を形成することが可能となる。
その結果、ボールねじ1の構成を多様化する場合であっても、この多様化した構成のボールねじ1に適合させることが可能なシール部材6を、製造コストの増加及び製造効率の低下を抑制しつつ、形成することが可能となる。
なお、基本の金型を用いて成形したシール部材6が備えるシールリップ10の一部を、打ち抜き加工により切除する際には、ねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8に応じて、シールリップ10の取り代部分のうち、少なくとも一部に対し、打ち抜き加工を行えばよい。
(応用例)
以下、本実施形態のボールねじ1が備えるシール部材6(以下、「シール部材6」と記載する)、シール部材6を備えるボールねじ1、及びシール部材6の製造方法の応用例を列挙する。
(1)本実施形態のシール部材6では、シールリップ10により、ねじ軸2の周方向全体に亘って、ねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8を、均等な圧力で押圧しているが、これに限定するものではない。すなわち、シールリップ10を、ねじ軸2の周方向全体に亘って、ねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8と等間隔で離間させてもよい。この場合、シール部材6とねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8との間に摩擦力を発生させることなく、シール部材6の防塵性能を、ねじ軸2の周方向全体に亘って安定させることが可能となる。なお、シールリップ10を、ねじ軸2の周方向全体に亘って、ねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8と等間隔で離間させる隙間は、例えば、−2〜−200[μm]の範囲内とする。
また、シールリップ10を、ねじ軸2の周方向全体に亘って、ねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8と略等間隔で離間させてもよい。
(2)本実施形態のシール部材6では、射出成形によりシールリップ10を備えた形状に成形したシール部材6に対し、シールリップ10の取り代部分を切除して形成しているが、これに限定するものではない。
以下に、図1から図5を参照しつつ、図6及び図7を用いて、本実施形態と異なる、シール部材6の成形方法を説明する。
まず、図6中に示すように、可撓性を有する板状かつ円環状の材料を、ねじ軸2の軸方向から見て、円環の内径と外径とを連続する一箇所の空隙部を有する略C字形に形成する。なお、図6は、本実施形態の変形例を示す図である。
そして、図7中に示すように、空隙部を間に挟んでねじ軸2の周方向で対向する部分同士を結合する。なお、図7は、本実施形態の変形例を示す図である。また、図6中には、空隙部を間に挟んでねじ軸2の周方向で対向する部分を、それぞれ、符号「V」により示している。
これにより、シールリップ10を、ねじ軸2の軸方向から見てナット4よりもねじ軸2側へ突出し、且つねじ軸2の径方向から見てねじ軸2へ近づくにつれてナット4の移動方向端面から離れるように傾斜させて、シール部材6を形成する。
この場合、ねじ軸2の軸方向から見て傾斜させた形状よりも容易に成形可能な、板状かつ円環状に形成した部材を用いて、ねじ軸2の径方向から見て、ねじ軸2へ近づくにつれてナット4の移動方向端面から離れるように傾斜させたシール部材6を形成することが可能となる。
このため、シール部材6の製造コストを低減させることが可能となる。
なお、図6及び図7を用いた説明では、予め、板状かつ円環状に形成した部材に対し、その内周縁の形状を、ねじ軸2の外周面及びねじ軸側軌道溝8の形状に対応した形状とした場合を示している。
(3)本実施形態のボールねじ1では、リターンチューブによって、ボールの無限循環通路の一部を形成したが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、リターンチューブの代わりに、循環こま、エンドキャップ、デフレクタ等によって、ボールの無限循環通路の一部を形成してもよい。
(4)本実施形態のシール部材6では、プレス抜き型18を用いた打ち抜き加工により、シールリップ10の取り代部分を切除しているが、これに限定するものではなく、例えば、レーザーカットやウォータジェット切断等を用いて、シールリップ10の取り代部分を切除してもよい。
1 ボールねじ
2 ねじ軸
4 ナット
6 シール部材
8 ねじ軸側軌道溝
10 シールリップ
12 ねじ軸接触縁
14 軌道溝接触縁
16 シール固定型
18 プレス抜き型
W 切除したシールリップ10の一部
L1 軌道溝接触縁14のねじ軸2側への突出量
L2 ねじ軸接触縁12のねじ軸2側への突出量
L3 ねじ軸接触縁12と軌道溝接触縁14との、ねじ軸2の軸方向に沿った寸法の差
CL ねじ軸2の中心軸線
V 空隙部を間に挟んでねじ軸2の周方向で対向する部分

Claims (8)

  1. 螺旋状のねじ軸側軌道溝を外周面に有するねじ軸の外周側へ相対移動可能に配置されるナットの移動方向端部に取り付けられ、前記ねじ軸の外周面へ突出するシールシップを備えるシール部材であって、
    前記シールリップは、前記ねじ軸の径方向から見て、前記ねじ軸へ近づくにつれて前記ナットの移動方向端面から離れるように傾斜し、
    前記シールリップの前記ねじ軸の外周面及び前記ねじ軸側軌道溝とねじ軸の径方向で対向する面は、前記ねじ軸の径方向から見て、前記ねじ軸の軸方向断面に対し、前記シールリップの傾斜角を考慮した形状であることを特徴とするシール部材。
  2. 前記シールリップは、前記ねじ軸の周方向全体に亘って、前記ねじ軸の外周面及び前記ねじ軸側軌道溝を均等または略均等な圧力で押圧していることを特徴とする請求項1に記載したシール部材。
  3. 前記シールリップは、前記ねじ軸の周方向全体に亘って、前記ねじ軸の外周面及び前記ねじ軸側軌道溝と等間隔または略等間隔で離間していることを特徴とする請求項1に記載したシール部材。
  4. 前記シールリップは、前記ねじ軸の径方向から見て、前記ねじ軸側軌道溝と線接触していることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載したシール部材。
  5. 請求項1から4のうちいずれか1項に記載したシール部材を備えたことを特徴とするボールねじ。
  6. 請求項1から4のうちいずれか1項に記載したシール部材を製造するシール部材の製造方法であって、
    前記シールリップの内周部に取り代部分を設け、該取り代部分の少なくとも一部を切除して、当該切除したシールリップと前記ねじ軸の外周面及び前記ねじ軸側軌道溝とのねじ軸の軸方向から見た距離が、前記ねじ軸の周方向全体に亘って均等または略均等となるように形成することを特徴とするシール部材の製造方法。
  7. 射出成形により前記取り代部分を設けた前記シールリップを備えた前記シール部材に対し、前記シールリップの前記取り代部分の少なくとも一部を、前記ねじ軸の軸方向に沿って打ち抜き加工により切除して形成することを特徴とする請求項6に記載したシール部材の製造方法。
  8. 可撓性を有する板状かつ円環状の材料を、前記ねじ軸の軸方向から見て、円環の内径と外径とを連続する空隙部を有する略C字形に形成し、さらに、前記空隙部を間に挟んで前記ねじ軸の周方向で対向する部分同士を結合して、前記シールリップを、前記ねじ軸の径方向から見て、前記ねじ軸へ近づくにつれて前記ナットの移動方向端面から離れるように傾斜させることを特徴とする請求項6または7に記載したシール部材の製造方法。
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