JP2011168930A - 高強力複合繊維およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】芯成分が溶融異方性ポリエステルからなり、鞘成分が海島構造を有する芯鞘複合繊維において、熱処理時に糸の膠着のない芯鞘複合繊維を提供する。
【解決手段】芯成分が溶融異方性芳香族ポリエステル(Aポリマー)からなり、鞘成分が海島構造を有し、かつ下記(1)〜(2)を満足する芯鞘複合繊維において、繊維表面に膨潤性層状粘土鉱物を0.02〜2.5質量%付着させてなる複合繊維。(1)鞘成分比が0.2〜0.7であること、(2)該鞘成分を構成する海成分は屈曲性熱可塑性ポリマー(Bポリマー)からなり、島成分は溶融異方性芳香族ポリエステル(Cポリマー)からなり、鞘成分における島成分比が0〜0.25であること。
【選択図】図1

Description

本発明は製織性が良好で高強力を有し、かつ耐久性、耐熱性、耐摩耗性に優れた複合繊維に関するものである。
溶融異方性芳香族ポリエステル繊維は、高強力高弾性率となることが知られているが、これらの繊維は、分子鎖が繊維軸方向に高度に配向しているため摩擦により容易にフィブリル化が発生するという問題があった。そこで、溶融異方性ポリエステルを芯成分、ポリフェニレンサルファイド(以下PPSと略す)を鞘成分とする芯鞘型複合繊維を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、芯成分が溶融異方性芳香族ポリエステル、鞘成分がポリフェニレンサルファイド(PPS)と溶融異方性芳香族ポリエステルのブレンドポリマーからなる複合繊維が提案されている(例えば、特許文献2参照)。さらには、鞘成分中の海成分にポリエチレンナフタレートを用いてなる芯鞘複合繊維が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
これらの芯鞘複合繊維は、繊維強度を上げる、また鞘成分中の屈曲性熱可塑性ポリマーの配向結晶化を促進し、鞘の剥離や脱落等を防ぐ点から熱処理を行うことが好ましく、熱処理の形態は、処理形状はカセ状、トウ状(例えば金属網等にのせて行う)、あるいは熱処理用のボビンに巻き、それらを熱処理することによるバッチ生産方式が取られている。しかし、熱処理温度が鞘成分の融点に近いことから糸の膠着による鞘剥がれなどの品質の低下が問題となっていた。そこで、繊維の表面にケイ酸塩化合物を主成分とする無機微粒子を所定量塗布することで、熱処理による膠着が改善され、より品質の高い芯鞘複合繊維を製造できることが報告されている(例えば、特許文献4参照)。しかしこれらの無機微粒子は、例えば塗布するために分散液にした場合、沈降を起こし易く、分散液として取扱難いものであった。更に熱処理終了後、当該繊維を用いて布帛を作成する工程において、無機微粒子が繊維から脱落し、工程通過性を阻害する場合が多い。そのため熱処理後に微粒子をあらかじめ除去する必要があるが、熱処理で無機微粒子は繊維に固着するため、洗浄による除去は困難である。
特開平1−229815号公報 特開平5−230715号公報 特開2002−013030号公報 特開2008−255535号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、熱処理時に糸の膠着が無く、糸および布帛の製造工程通過性に優れ、品質の高い布帛が得られる高強力芯鞘複合繊維を提供することにある。
本発明者等は、かかる課題を解決するために鋭意検討した結果、繊維の表面に膨潤性層状粘土鉱物を所定量存在させることで、熱処理における膠着が効率的に改善されることを見出した。さらに、当該膨潤性層状粘土鉱物は熱処理した後に、水に浸漬するなどの方法で膨潤処理し洗浄することで容易に除去できることから、布帛製造工程で剤の脱落が少なく工程通過性に優れる芯鞘複合繊維を製造できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、芯成分が溶融異方性芳香族ポリエステル(Aポリマー)からなり、鞘成分が海島構造を有し、かつ下記(1)〜(2)を満足する芯鞘複合繊維において、繊維表面に膨潤性層状粘土鉱物を0.02〜2.5質量%付着させてなる複合繊維である。
(1)鞘成分比が0.2〜0.7であること、
(2)該鞘成分を構成する海成分は屈曲性熱可塑性ポリマー(Bポリマー)からなり、島成分は溶融異方性芳香族ポリエステル(Cポリマー)からなり、鞘成分における島成分比が0〜0.25であること。
そして本発明は、芯鞘複合繊維表面に膨潤性層状粘土鉱物を0.02〜2.5質量%付着させて固相重合を行うことを特徴とする複合繊維の製造方法である。
本発明によれば、製織性が良好で高強力を有し、かつ耐久性、耐熱性、耐薬品性に優れた複合繊維を高品質で提供することができる。
本発明の芯鞘型複合繊維の芯成分に用いられる溶融液晶ポリマーとは、溶融相において光学異方性(液晶性)を示すポリマーであり、例えば試料をホットステージにのせ、窒素雰囲気下で昇温加熱し、試料の透過光を観察することにより認定できる。本発明の溶融液晶ポリマーは、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸等から誘導される反復構成単位を有するものであるが、例えば下記化1及び化2の(1)〜(11)に示す繰り返し構成単位の組合せからなるポリマーが挙げられる。
Figure 2011168930
Figure 2011168930
上記の溶融液晶ポリマーにおいて、より好ましくは化1および化2に示される反復構成単位の組合せのうち、(5)、(8)、(9)からなるポリマーであり、さらに好ましくは、(5)に相当するポリマーであって、下記化3の(Q)の成分が4〜45モル%である芳香族ポリエステルである。
Figure 2011168930
本発明の繊維で用いられる溶融液晶ポリマーは好ましくは250〜350℃、より好ましくは260〜320℃の融点を有するポリマーである。ここでいう融点とは、JIS K7121に準拠した試験方法により測定されるものであり、示差走査熱量計(DSC:例えばMettler社製「TA3000」)で観察される主吸熱ピークのピーク温度である。
本発明の溶融液晶ポリマーに、本発明の効果を損なわない範囲内で、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、PPS、ポリエステルエーテルケトン、フッ素樹脂等の熱可塑性ポリマーを添加してもよい。また酸化チタンやカオリン、シリカ、酸化バリウム等の無機物、カーボンブラック、染料や顔料等の着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、各種添加剤を添加してもよい。
本発明においては、鞘成分を構成する海成分(Bポリマー)として屈曲性熱可塑性ポリマーを用いることが必要である。屈曲性熱可塑性ポリマーとしては、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、PPS、ポリエステルエーテルケトン、フッ素樹脂等が挙げられ、この中でもPPS、ポリエチレンナフタレート(以下PENと略す)であることが好ましい。屈曲性熱可塑性高分子を海成分として用いることにより、耐フィブリル性、耐摩耗性は大きく改善される。なお、本発明にいう屈曲性高分子とは、主鎖上に芳香環を有さないポリマー、あるいは主鎖上に芳香環を有し、かつ芳香環間の主鎖上に原子が4個以上存在するポリマーをいう。
また本発明の効果を損なわない範囲で、用いるポリマー以外の屈曲性熱可塑性ポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、PPS、ポリエーテルエステルケトン、フッ素樹脂など)を添加してもよい。また、酸化チタン、シリカ、酸化バリウムなどの無機物、カーボンブラック、染料や顔料などの着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、造核剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。
鞘成分中の島成分(Cポリマー)は、Aポリマーと同様の溶融異方性芳香族ポリエステルを用いることができる。AポリマーとCポリマーは同種であっても異種であってもよく、Bポリマーの融点MP+80℃以下、MP−10℃以上のポリマーであることが特に好ましい。さらにCポリマーの溶融粘度ηが10〜60Pa・sであることが好ましく、20〜50Pa・sであることがさらに好ましい。Cポリマーの溶融粘度ηが10Pa・s未満のものは工業上生産困難であり、一方60Pa・sを超えると紡糸性が劣り、線径変動が大きくなる傾向が顕著となり、要求品質を満たすことが困難となる。
本発明にいう溶融粘度ηとは、温度T(融点MPが290℃以上ではT=MP+10℃、それ以下では300℃)、せん断速度1000sec−1で測定した溶融粘度である。
本発明の芯鞘型複合繊維において、鞘成分比は0.2〜0.7であることが必要であり、好ましくは0.25〜0.65、より好ましくは0.3〜0.6である。鞘成分が0.2未満では芯が露出しやすくフィブリル化が生じやすい。一方、0.7を越えると強力の点で不十分となる。
なお、本発明にいう鞘成分比とは複合繊維の断面積比(B+C)/(A+B+C)を示す。断面積比は、繊維断面の顕微鏡写真から求められるが、製造時の芯成分と鞘成分の吐出量の体積比により求めることもできる。
溶融異方性ポリエステル繊維は延伸を行なわなくても優れた性能が得られるが、溶融異方性を有しないポリマーからなる未延伸糸は未配向状態であるため物性が著しく劣り、強度等が極めて低いものとなる。さらに溶融異方性を有しないポリマーは溶融異方性ポリエステルとの接着性が低く、剥離しやすい問題がある。以上のことから、鞘成分を溶融異方性ポリエステルと溶融異方性を有しないポリマーからなるブレンドが好ましい。
鞘成分中の島成分比は製造された芯鞘型複合繊維中において、0〜0.25である必要がある。0.25を超えると紡糸性が劣り、線径変動が大きくなる傾向が顕著となり要求品質を満たすことが困難となる。好ましくは0.05〜0.2であり、より好ましくは0.1〜0.15である。
なお本発明でいう島成分比とは横断面積比C/(B+C)を示し、繊維横断面の顕微鏡写真から求められるが、製造時の海成分と島成分の混合比により求めることもできる。
島成分の直径は0.1〜2μmとするのが好ましい。
本発明で用いる複合繊維は、公知の方法、例えば図1に示される構造のノズルから紡糸することができる。本発明の芯鞘型複合繊維の断面形状は円形である。
本発明の複合繊維は紡糸しただけで十分な強度は有しているものの、鞘成分中の海成分に用いる屈曲性熱可塑性ポリマーの種類によってはさらに熱処理等を行って強度を向上させる必要が生じる。例えば、鞘成分中の海成分に用いる屈曲性熱可塑性ポリマーとしてPENを用いた場合、鞘成分中のPENの重合度が低く、延伸されていない(配向結晶化されていない)ため脆く、鞘の剥離や脱落等が生じやすい。また紡糸しただけで鞘成分に十分な強度を付与できると考えられる高重合度PENは、曳糸性が無く事実上紡糸不可能である。そのため得られた繊維を窒素等の不活性ガス雰囲気下や、空気のごとき酸素含有の活性ガス雰囲気中又は減圧下で熱処理を行なうことで固相重合し、鞘成分中のPENの配向結晶化度を高めることにより上記の問題を解決している。
熱処理を行なう場合、熱処理雰囲気は露点が−80℃以下の低湿気体が好ましい。好ましい熱処理条件としては、芯成分の融点−40℃以下から鞘成分の融点以下まで順次昇温していく温度パターンが挙げられる。
熱の供給は、気体の媒体を用いる方法、加熱板、赤外線ヒーター等により輻射を利用する方法、高周波等を利用した内部加熱方法等がある。処理形状はカセ状、トウ状(例えば金属網等にのせて行う)、熱処理用ボビンに紡糸原糸を巻き返すことによるバッチ生産が好ましい。
本発明で重要な点は、繊維の表面にモンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイトに代表される膨潤性層状粘土鉱物を塗布することにある。
従来は前記熱処理を行った場合、熱処理温度が鞘成分の融点に近いことから糸の膠着による鞘剥がれなどが生じ、これらによる品質低下が問題となっていた。そこで、前記膨潤性層状粘土鉱物を繊維の表面に均一に付着させることで、糸同士に空隙が発生し、膠着を回避することができる。また、前記スメクタイトに代表される膨潤性層状粘土鉱物はその多くが不活性であり、繊維に付着させても繊維の物性低下は見られない。また分散液として塗布する場合、前記スメクタイトに代表される膨潤性層状粘土鉱物は分散安定性に優れ、取扱易い性質を有する。
一般的に無機微粒子を繊維表面に付着させ熱処理を行った場合、膠着緩和効果は得られるが、熱処理により繊維に硬く固着するため、熱処理後に除去することが困難であった。しかし前記スメクタイトに代表される膨潤性層状粘土鉱物を繊維表面に付着させ熱処理を行うと、熱処理後は一般の微粒子と同様に固着するが、例えば水中に浸漬するなどして膨潤させ、その後流水で洗浄することで、付着した微粒子を効率的に除去することができる。
前記スメクタイトに代表される膨潤性層状粘土鉱物の繊維の表面への付着方法は特に限定されるものではなく、均一に繊維に付着させられる方法であれば何ら限定されない。スメクタイトに代表される膨潤性層状粘土鉱物は分散安定性に優れ、取扱易い性質を有することから、例えば、紡糸油剤に膨潤性層状粘土鉱物を攪拌分散させたものをオイリングローラーまたはカラス口を用いて付着させる方法が簡便であり好ましい。
また芯鞘複合繊維の表面に付着させる膨潤性層状粘土鉱物の平均粒子径は、繊維表面に均一に付着できれば特に限定されないが、0.001〜10μmであることが好ましい。平均粒径が10μmよりも大きい場合には繊維に均一付着させることが困難となるばかりか繊維から脱落しやすくなるため好ましくない。好ましくは平均粒径0.01〜1μmの範囲である。
さらに芯鞘複合繊維の表面に付着させる膨潤性層状粘土鉱物の付着量は0.02〜2.5質量%の範囲である必要がある。膨潤性層状粘土鉱物の付着量が0.02質量%よりも少ない場合には本発明の特徴である膠着の改善効果が小さくなる。一方無機微粒子の付着量が2.5質量%よりも多い場合には高コストとなるばかりか膨潤性層状粘土鉱物の脱落が激しくなり、頻繁にガイド周りの清掃が必要となるため好ましくない。好ましくは0.06〜1.8質量%の範囲であり、より好ましくは0.1〜1.0質量%の範囲である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は本実施例により何ら限定されるものではない。なお本実施例中の測定値は以下の方法で測定したものである。
[対数粘度ηinh
試料をペンタフルオロフェノールに0.1質量%溶解し(60〜80℃)、60℃の恒温槽中でウーベローデ型粘度計を用いて相対粘度(ηrel)を測定し、ηinh=ln(ηrel)/cにより算出した。なおcはポリマー濃度(g/dl)である。
[固有粘度]
試料をP−クロロフェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン=3:1で溶解し、30℃で定法に従い測定した。
[強度 cN/dtex 伸度 %]
JIS L 1013に準じ、試長50cm、初荷重0.1g/d、引張速度50cm/minの条件で破断強度および破断伸度を求め、5点以上の平均値を採用した。
[弾性率 cN/dtex]
引っ張り弾性率は伸度0.75%における荷重と伸度1.25%における荷重から算出した。
[糸の解舒性]
熱処理後、ボビンからエアサッカーを用いて糸を解舒したとき、糸が止まることなくスムーズに出るものを○、糸が止まるものを×とする。
[糸の線径変動 %]
アンリツ社製のレーザー外径測定器KL1002Aを用い、糸速20m/分で長さ100mのフィラメントの線形を連続記録し、最大(max)と最小(min)および平均値(x)を測定し、下記式より求めた。線形変動(%)=±((max−min)/2x)×100線形変動が大きいほど、鞘成分の剥離、脱落が生じていることとなる。
[参考例1]
Aポリマーには、前記化3で示した構成単位(P)と(Q)が73/27モル%である溶融異方性芳香族ポリエステル(MP=282℃、η=42.6Pa・s、ηinh=4.37dl/g)を用いた。鞘成分としては、BポリマーとしてPEN([η]=0.62、η=300Pa・s)、Cポリマーとして上記Aポリマーと同様の溶融異方性芳香族ポリエステルを用い、島成分比0.2となるようにブレンドした。芯成分と鞘成分を別々の押出し機より溶融し、鞘成分比が0.35になるように、図1の構造を有する口金より紡糸温度305℃、巻取り速度1300m/分で紡糸し、6.8dtexのモノフィラメント繊維を得た。
[参考例2]
Aポリマーには、前記化3で示した構成単位(P)と(Q)が73/27モル%である溶融異方性芳香族ポリエステル(MP=282℃、η=42.6Pa・s、ηinh=4.37dl/g)を用いた。鞘成分としては、PEN([η]=0.62、η=300Pa・s)のみを用い、芯成分と鞘成分を別々の押出し機より溶融し、鞘成分比が0.35になるように、図1の構造を有する口金より紡糸温度305℃、巻取り速度1300m/分で紡糸し、6.8dtexのモノフィラメント繊維を得た。
[実施例1]
膨潤性層状粘土鉱物の微粒子(コープケミカル社製合成スメクタイト「ルーセンタイトSWN」)を水に0.5質量%となるよう分散させた。「ルーセンタイトSWN」は膨潤してへき開し、平均粒子径は0.01〜0.1μmとなった。分散安定性は良好であり、7日後でも沈降は見られなかった。これを、カラス口を用いて「ルーセンタイトSWN」が参考例1で得た繊維に対して、0.1質量%になるよう付着させた。熱処理は紡糸原糸を熱処理ボビンに巻返し、段階的に処理温度を上げ、最高温度を260℃とし、窒素ガス雰囲気中で18時間行った。熱処理ボビンからの糸の解舒性は膠着も少なく良好であり、線径変動は±7.2%であった。得られた熱処理糸は、以下の性能を有していた。
引張強度(DT) :17.1cN/dtex
引張伸度(DE) :3.1%
弾性率 (YM) :510cN/dtex
さらに、熱処理後の糸を水中に4時間浸漬した後、80℃の流水で洗浄した後の「ルーセンタイトSWN」付着量は0.01質量%未満であった。
[実施例2]
「ルーセンタイトSWN」を水に対して1.0質量%となるよう分散させ、実施例1と同じ方法で参考例1で得た繊維に対して、0.5質量%となるよう付着させた。さらに実施例1と同じ条件で熱処理を行ったところ、糸の解舒性は膠着も少なく良好であり、線径変動は±7.0%であった。得られた熱処理糸は、以下の性能を有していた。
引張強度(DT) :17.6cN/dtex
引張伸度(DE) :3.1%
弾性率 (YM) :512cN/dtex
さらに実施例1と同様に洗浄した後の「ルーセンタイトSWN」付着量は0.01質量%未満であった。
[実施例3]
「ルーセンタイトSWN」を水に対して1.5質量%となるよう分散させ、実施例1と同じ方法で参考例1で得た繊維に対して、1.0質量%となるよう付着させた。さらに実施例1と同じ条件で熱処理を行ったところ、糸の解舒性は膠着も少なく良好であり、線径変動は±7.5%であった。得られた熱処理糸は、以下の性能を有していた。
引張強度(DT) :16.8cN/dtex
引張伸度(DE) :3.0%
弾性率 (YM) :497cN/dtex
さらに実施例1と同様に洗浄した後の「ルーセンタイトSWN」付着量は0.01質量%未満であった。
[実施例4]
参考例2で得た繊維を用いる以外は実施例2と同様にして熱処理糸を得た。糸の解舒性は膠着も少なく良好であり、線径変動は±7.2%であった。得られた熱処理糸は、以下の性能を有していた。
引張強度(DT) :17.0cN/dtex
引張伸度(DE) :3.1%
弾性率 (YM) :509cN/dtex
さらに実施例1と同様に洗浄した後の「ルーセンタイトSWN」付着量は0.01質量%未満であった。
[比較例1]
参考例1で得た繊維に対し、膨潤性層状粘土鉱物を付着させずに熱処理ボビンに巻き返し、実施例1と同じ条件で熱処理を行ったところ、繊維間に膠着が起こり、解舒性は不良であった。
[比較例2]
参考例1で得た繊維に対して、実施例1と同じ方法で水を付着させ、実施例1と同じ条件で熱処理を行ったところ、繊維間に膠着が起こり、解舒性は不良であった。
[比較例3]
参考例2で得た繊維に対して、実施例1と同じ方法で水を付着させ、実施例1と同じ条件で熱処理を行ったところ繊維間に膠着が起こり、解舒性は不良であった。
[比較例4]
「ルーセンタイトSWN」を水に対して0.05質量%となるよう分散させ、実施例1と同じ方法で、参考例1で得た繊維に対して、0.01質量%となるよう付着させた。さらに実施例1と同じ条件で熱処理を行ったところ、繊維間に膠着が起こり解舒性は不良であった。
[比較例5]
「ルーセンタイトSWN」を水に対して3.0質量%となるよう分散させ、オイリングローラーを用いて参考例1で得た繊維に対して、3.0質量%となるよう付着させた。熱処理後の解舒性は問題ないが、付着させる工程で過剰の「ルーセンタイトSWN」がガイド等に溜まり経済的でなく、さらにそれが落下、飛散して設備を汚すなどの不具合がみられた。
[比較例6]
参考例1で得た繊維に対して、「ルーセンタイトSWN」の代わりにタルク(林化成社製「ミクロンホワイト#5000S」)を使用する以外は実施例2と同じ方法で0.5質量%となるよう付着させた。さらに実施例1と同じ条件で熱処理を行ったところ、糸の解舒性は膠着も少なく良好であり、線径変動は±7.8%であった。得られた熱処理糸は、以下の性能を有していた。
引張強度(DT) :17.6cN/dtex
引張伸度(DE) :3.2%
弾性率 (YM) :523cN/dtex
しかし、実施例1と同様に処理した後のタルク付着量は0.2質量%であり、除去性は不良であった。
Figure 2011168930
本発明の複合繊維は製織性が良好で高強力を有し、かつ耐久性、耐熱性、耐磨耗性に優れたものとなる。その利用分野は印刷用スクリーン紗、フィルター、プリント基板用基布、メッシュ状搬送ベルト、抄紙用ベルト、ドライヤーカンバスなどに活用される。
本発明の芯鞘型複合繊維を紡糸するために用いられるノズルの構造を示す模式図。

Claims (2)

  1. 芯成分が溶融異方性芳香族ポリエステル(Aポリマー)からなり、鞘成分が海島構造を有し、かつ下記(1)〜(2)を満足する芯鞘複合繊維において、繊維表面に膨潤性層状粘土鉱物を0.02〜2.5質量%付着させてなる複合繊維。
    (1)鞘成分比が0.2〜0.7であること、
    (2)該鞘成分を構成する海成分は屈曲性熱可塑性ポリマー(Bポリマー)からなり、島成分は溶融異方性芳香族ポリエステル(Cポリマー)からなり、鞘成分における島成分比が0〜0.25であること。
  2. 芯鞘複合繊維表面に膨潤性層状粘土鉱物を0.02〜2.5質量%付着させて固相重合を行うことを特徴とする請求項1記載の複合繊維の製造方法。
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