JP2011168717A - タイヤ用ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤの耐摩耗性を維持しつつ、アイス制動性能を大幅に向上したタイヤ用ゴム組成物を提供すること。
【解決手段】タイヤ用ゴム組成物中、ジエン系ゴム成分100重量部に対して、バナナ繊維を0.1〜20重量部含有するものとする。好ましくは、バナナ繊維の平均繊維幅を1〜500μm、平均繊維長さを0.1〜5mmとする。さらには、ジエン系ゴム成分100重量部に対して植物性粒状体を0.1〜20重量部含有することが好ましく、植物の多孔質性炭化物を0.1〜20重量部含有することが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】タイヤ用ゴム組成物中、ジエン系ゴム成分100重量部に対して、バナナ繊維を0.1〜20重量部含有するものとする。好ましくは、バナナ繊維の平均繊維幅を1〜500μm、平均繊維長さを0.1〜5mmとする。さらには、ジエン系ゴム成分100重量部に対して植物性粒状体を0.1〜20重量部含有することが好ましく、植物の多孔質性炭化物を0.1〜20重量部含有することが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、タイヤ用ゴム組成物、特にはタイヤの耐摩耗性とアイス制動性能とを両立し得るタイヤ用ゴム組成物に関する。本発明に係るタイヤ用ゴム組成物は、特にスタッドレスタイヤ用ゴム組成物として有用である。
氷上路面を走行する自動車には、一般にトレッド部をブロック基調で構成したスタッドレスタイヤが使用され、このトレッド部を構成するトレッドゴムには、氷上路面での接地性を高めるため、中空粒子、ガラス繊維、植物性粒状体などの硬質材料を配合する方法が多く採用されている。例えば、下記特許文献1では、表面処理した植物性粒状体を配合したタイヤ用ゴム組成物が記載され、下記特許文献2では、フライポンタイト−シリカ複合体を配合したタイヤ用ゴム組成物が記載され、さらに下記特許文献3では、植物の多孔質性炭化物を配合したタイヤ用ゴム組成物が記載されている。
しかしながら、上記の硬質材料を配合しても、タイヤの耐摩耗性を維持しつつ、氷上路面での制動性能(以下、「アイス制動性能」という)を大幅に向上することは困難であり、さらなる改良の余地があった。
なお、下記特許文献4では、シリカを配合したタイヤ用トレッドゴム組成物において、さらに非木材繊維を配合することで、トレッドゴムの電気抵抗を低減する方法が記載されている。しかしながら、この特許文献はタイヤの耐摩耗性とアイス制動性能とを両立する方法について、記載または示唆するものではない。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、タイヤの耐摩耗性を維持しつつ、アイス制動性能を大幅に向上したタイヤ用ゴム組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、摩擦係数の小さい氷上路面において、路面とタイヤとの間に発生する水膜を除去する方法について鋭意検討した。そして、産業廃棄物として大量に廃棄されているバナナ繊維に着目し、バナナ繊維を含有するゴム組成物の加硫ゴムにおいて、バナナ繊維が有する多孔質構造が水膜の除去に大きく寄与することを見出した。本発明は、上記の検討の結果なされたものであり、下記の如き構成により上述の目的を達成するものである。
即ち、本発明に係るタイヤ用ゴム組成物は、ジエン系ゴム成分100重量部に対して、バナナ繊維を0.1〜20重量部含有することを特徴とする。
バナナ繊維を含有するゴム組成物は、ゴム成分にバナナ繊維を添加し、これらを通常の混練などにより混合することにより得られる。ゴム組成物中のバナナ繊維はフィブリル化しており、多孔質構造を有している。本発明に係るゴム組成物から得られるタイヤでは、その表面にバナナ繊維が露出することになり、バナナ繊維の多孔質構造が水膜を吸水および除水することで、氷上路面の水膜を除去することができる。
また、走行に伴い、タイヤからバナナ繊維が脱落した場合、その脱落部分がミクロボイドとなり、このミクロボイドによる毛細管現象によって、路面とタイヤとの間に発生する水膜を除去することができる。加えて、ミクロボイドのエッジ部分のエッジ効果により、引掻き効果も発揮される。なお、バナナ繊維は天然物であることから、タイヤから脱落・飛散しても、環境や人体に大きな悪影響を及ぼすことがないことは言うまでもない。
バナナ繊維の多孔質構造と、バナナ繊維が脱落した部分に生じるミクロボイドと、により、路面とタイヤとの間に発生し、滑りの原因となる水膜を効果的に除去でき、かつエッジ効果が発揮されることから、本発明に係るタイヤ用ゴム組成物を使用することにより、タイヤの耐摩耗性を維持しつつ、アイス制動性能を大幅に向上することができる。
上記タイヤ用ゴム組成物において、前記バナナ繊維の平均繊維幅が1〜500μm、平均繊維長さが0.1〜5mmであることが好ましい。かかる構成によれば、バナナ繊維が脱落した部分に生じるミクロボイドにおいて、路面とタイヤとの間に発生する水膜を特に効果的に除去することができ、かつエッジ効果がより効果的に発揮される。
上記タイヤ用ゴム組成物において、さらに、ジエン系ゴム成分100重量部に対して、植物性粒状体を0.1〜20重量部含有することが好ましい。かかる構成によれば、路面とタイヤとの間に発生する水膜の除去効果に加えて、植物性粒状体による引掻き効果との相乗効果により、アイス制動性能をさらに向上することができる。
上記タイヤ用ゴム組成物において、さらに、ジエン系ゴム成分100重量部に対して、植物の多孔質性炭化物を0.1〜20重量部含有することが好ましい。かかる構成によっても、路面とタイヤとの間に発生する水膜の除去効果に加えて、植物の多孔質性炭化物による引掻き効果との相乗効果により、アイス制動性能をさらに向上することができる。
本発明に係るゴム組成物を加硫・成型することにより得られるタイヤは、耐摩耗性とアイス制動性能とが両立されたものであることから、特にスタッドレスタイヤとして有用である。
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物に使用されるジエン系ゴム成分としては、天然ゴム(NR)と、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、およびアクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)などのジエン系合成ゴムとが挙げられ、これらのジエン系ゴムの単独あるいは2種類以上をブレンドしたものを使用することができる。
本発明において、例えば、NRとBRとのブレンドでスタッドレスタイヤのトレッドに使用する場合、BRの比率が少なすぎるとゴム組成物の低温特性が低下することがあり、逆に多くなりすぎると加工性の悪化や耐引き裂き抵抗性が低下することがある。このため、NR/BRの比率が30/70〜80/20、さらには40/60〜70/30程度であることが好ましい。
バナナ繊維は、バナナの茎から得られるものであり、具体的には特許第4125065号に記載の方法により製造することができる。このバナナ繊維は、ゴム組成物中でフィブリル化しており、多孔質構造を有している。
本発明においては、ジエン系ゴム成分とブレンドする際、バナナ繊維の平均繊維幅を1〜500μm、平均繊維長さを0.1〜5mmとすることが好ましく、バナナ繊維の平均繊維幅を10〜70μm、平均繊維長さを1〜2mmとすることがより好ましい。かかる範囲内に調整することにより、バナナ繊維が脱落した部分に生じるミクロボイドにおいて、このミクロボイドによる毛細管現象によって、路面とタイヤとの間に発生する水膜を特に効果的に除去することができる。加えて、ミクロボイドのエッジ部分のエッジ効果により、引掻き効果も発揮される。
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物においては、さらに植物性粒状体を含有するものであっても良い。植物性粒状体を併用することで、植物性粒状体の引掻き効果との相乗作用によりアイス制動性能を一層向上することができる。
上記植物性粒状体は、氷の硬さより硬い、すなわちモース硬度が2以上である胡桃、椿などの種子の殻または桃、梅などの果実の核を公知の方法で粉砕して粒状体にしたもので、ゴム表面から突出し、路面に対する引掻き効果により、氷上路面での滑り防止作用を発揮する。ゴムとの接着性を確保するために、ゴム接着性改良の表面処理が施された植物性粒状体であることが好ましい。
上記植物性粒状体の粒径は、ゴム接着性改良剤で表面処理した後の径が100〜600μmのものが好ましく、100μm未満であるとゴム表面からの突出量が少なく引掻き効果が不十分であり、600μmを越えると氷に含まれる気泡の径より大きいために気泡を破壊する作用が小さくなり、また粒状体周囲のマトリックスゴムの歪みが過大になってクラックが発生し、タイヤ表面から脱落しやすくなる。
植物性粒状体のゴム接着性改良の表面処理剤として、例えば、レゾルシン・ホルマリン樹脂初期縮合物と天然ゴムラテックスまたはジエン系合成ゴムラテックスとの混合物(RF処理液)が使用できる。
上記のRF処理液は、植物性粒状体への付着率が1〜5重量%になるように固形分濃度を5〜25重量%に調整され、その中に植物性粒状体を浸漬するか、または植物性粒状体に上記の混合物を吹き付けて乾燥し、ゴム接着性改良表面処理が施された植物性粒状体が得られ、公知の方法で再粉砕し、所望する粒径分布に篩い分けし所定の粒径範囲を持つ植物性粒状体が得られる。
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物中に植物性粒状体を配合する場合、その含有量は、ジエン系ゴム成分100重量部に対し、0.1〜20重量部が好適である。配合量が0.1重量部より少ない場合は、凍結路面における耐滑り性が劣り、20重量部より多くなると耐摩耗性が低下する。
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物においては、さらに植物の多孔質性炭化物を含有するものであっても良い。植物の多孔質性炭化物を併用することで、植物の多孔質性炭化物の引掻き効果との相乗作用によりアイス制動性能を一層向上することができる。
植物の多孔質性炭化物は、木、竹などの植物を材料として炭化して得られる炭素を主成分とする固体生成物からなる多孔質性物質であり、中でも竹炭はその特有の多孔質性により優れた吸着性を発揮することから、氷上路面に発生する水膜を効果的に吸水、除去し路面との摩擦力を高め、ゴム組成物の氷上性能を著しく向上させることができる。
竹材としては孟宗竹、苦竹、淡竹、紋竹などの各種の竹を材料とすることができ、その製法は備長炭と同様に竹材を炭化するもので、例えば、特開平9−324180号公報に記載の竹炭の製造法のように竹材を窯を用いて蒸し焼きにして炭化して得られたものが用いられる。
竹炭は、ヨウ素吸着法(JIS K6217)による比表面積が150m2/g以上、好ましくは200m2/g以上であり、さらには250m2/g以上であるものが望ましい。この比表面積が大きいほど多孔質であって吸水速度が速くなり、竹炭の粒状体の形態を損なわない範囲においてその上限は特に限定されることはない。なお、市販の備長炭の比表面積は、100〜130m2/g程度である。
本発明に使用される竹炭の粒状体は、例えば孟宗竹を材料とした市販品の竹炭を公知の粉砕機(例えば、ボールミル)を用いて粒状体に粉砕し、所定の粒径範囲に選別し分級したもの、例えばJIS Z8801に記載の標準ふるいによって所定の粒径にふるい分けした粒状体を用いることができる。
粒状体の平均粒径は、10〜500μmであることが好ましく、10μm未満であると比表面積が大きくても粒状体の絶対吸水量が少なくなり吸水、除水効果が不十分となり、500μmを越えるとゴム中への分散性や加工性の低下、ゴムの破壊特性の低下により耐摩耗性の悪化を来し、また路面との摩擦により粒状体が早期に脱落しやすくなる。
なお、竹炭の形状は特に限定されるものではなく、例えば略球状、略立方体状、略柱状や針状体などの各種形状のもの、またそれらの混合物を用いることができる。
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物中に植物の多孔質性炭化物を配合する場合、その含有量は、ジエン系ゴム成分100重量部に対し、0.1〜20重量部が好適である。配合量が0.1重量部より少ない場合は、凍結路面における耐滑り性が劣り、20重量部より多くなると耐摩耗性が低下する。
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物においては、さらに架橋されたゴム粒子(以下、「ゴムゲル」という)を含有するものであっても良い。バナナ繊維により得られる水膜の除去効果およびエッジ効果と、ゴムゲルにより得られる路面との凝着摩擦力の向上効果と、の相乗効果により、アイス制動性能が大幅に向上する。
本発明に係るゴム組成物が上記ゴムゲルを含有する場合、その加硫ゴムにて、常温域から低温域でのゴム硬度の温度依存性を低減することができ、ゴムの凝着摩擦力を向上することができる。ゴムゲルは平均粒径(DIN 53206によるDVN値)が5〜2000nmであることが好ましく、凝着摩擦力、加工性および耐摩耗性の点から、より好ましくは、20〜600nm、更に好ましくは40〜200nmである。
上記ゴムゲルは、また、ガラス転移点(Tg)が−100〜−65℃の範囲内のものが用いられる。より好ましくは−100〜−70℃である。このようなガラス転移点の低いものを用いることにより、低温時における凝着摩擦力の向上効果をより高めることができる。すなわち、ガラス転移点が高いと、低温領域でのトレッドの弾性率が上昇して、アイス制動性能の向上効果が十分でない場合がある。ここで、ガラス転移点は、JIS K7121に準拠して測定される。
上記ゴムゲルは、ゴム分散液を架橋することにより得られるゲル化ゴムである。かかるゴム分散液としては、乳化重合により製造されるゴムラテックス、天然ゴムラテックスの他、溶液重合されたゴムを水中に乳化させて得られるゴム分散液などが挙げられ、また、架橋剤としては、有機ペルオキシド、有機アゾ化合物、硫黄系架橋剤など挙げられる。また、ゴム粒子の架橋は、ゴムの乳化重合中に、架橋作用を持つ多官能化合物との共重合によっても行うことができる。具体的には、特許第3739198号公報、特許第3299343号公報、特表2004−504465号公報、特表2004−506058号公報などに開示の方法を用いることができる。
上記ゴムゲルを構成するゴムとしては、例えば、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)などのジエン系ゴムが挙げられ、好ましくは、ブタジエンゴムまたは天然ゴム、またはこれらと他のジエン系ゴムのブレンドゴムである。
上記ゴムゲルは、トルエン膨潤指数Qiが1〜15であることが好ましく、より好ましくは1〜10である。このようなトルエン膨潤指数Qiのものを用いることにより、低温時における凝着摩擦力の向上効果をより高めることができる。また、上記ゴムゲルは、ゲル含量が94重量%以上であることが好ましい。
ここで、トルエン膨潤指数およびゲル含量は、ゴム粒子をトルエンに膨潤させた後、乾燥させることにより測定される。すなわち、ゴム粒子250mgを、トルエン25mL中で、24時間、振とう下に膨潤させ、20000rpmで遠心分離してから、濡れ重量(W)を秤量し、次いで70℃で質量一定まで乾燥させてから、乾燥重量を秤量する。ゲル含量は、使用されたゴム粒子に対する乾燥後のゴム粒子の重量比率(%)である。また、トルエン膨潤指数は、Qi=(濡れ重量)/(乾燥重量)により求められる。
上記ゴムゲルとしては、硫黄およびC=C二重結合を含有するものであり、かつ、OH(ヒドロキシル)基を有する化合物で変性されたものが特に好適である。すなわち、ジエン系ゴムをベースゴムとして硫黄架橋されたゴム粒子を、変性剤としてOH基を有する化合物を用いて変性してなるものが、特に好ましく用いられる。かかる変性については、例えば特表2004−0506058号公報に記載されており、変性剤としては、ヒドロキシブチルアクリレートまたはメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレートまたはメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレートまたはメタクリレートなどが挙げられる。このようにゴム粒子として、植物性粒状体との親和性の良いOH基変性されたものを用いることにより、タイヤ性能をより向上させることができる。
上記ゴムゲルとしては、また、硫黄を含有しC=C二重結合に対する反応性を有する化合物で変性されたものを用いることもできる。このような化合物としては、メルカプト基、ジチオカーバミン酸塩、キサントゲナートのような、含硫黄反応性基によってゴム粒子に化学的に結合し得る化合物が挙げられる。このような変性は、例えば、特許第3739198号公報に開示の方法を用いて行うことができる。
上記ゴムゲルは、ジエン系ゴム成分100重量部に対して、1〜50重量部配合されることが好ましく、低温でのゴム硬度の上昇をより十分に抑制して氷雪上性能を高めるという点から、下限はより好ましくは5重量部以上であり、更に好ましくは10重量部以上である。また、耐摩耗性の悪化を抑えるという点から、上限はより好ましくは30重量部以下であり、更に好ましくは20重量部以下である。
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物は、上記ジエン系ゴム成分、バナナ繊維、植物性粒状体、植物の多孔質性炭化物、ゴムゲルとともに、硫黄、カーボンブラック、シリカ、シラン系カップリング剤、亜鉛華、ステアリン酸、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤、老化防止剤、ワックスやオイルなどの軟化剤、加工助剤などの通常ゴム工業で使用される配合剤を、本発明の効果を損なわない範囲において適宜配合し用いることができる。
硫黄は通常のゴム用硫黄であればよく、例えば粉末硫黄、沈降硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などを用いることができる。本発明に係るタイヤ用ゴム組成物における硫黄の含有量は、ゴム成分100重量部に対して0.5〜2.0重量部とすることが好ましい。
カーボンブラックは、スタッドレスタイヤのトレッド部に用いる場合、ゴム組成物の低温性能、耐摩耗性やゴムの補強性などの観点から、窒素吸着比表面積(N2SA)が70m2/g以上、DBP吸油量が105ml/100g以上であるものが好ましく、さらにはN2SAが80〜200m2/g、DBP吸油量が110〜150ml/100gであるものが一層好ましく、これらの値が低くなるとゴム強度やモジュラスが低下し、逆にN2SAが高くなると発熱が大きくなり好ましくない。具体的にはSAF,ISAF,HAF級のカーボンブラックが例示され、配合量としてはジエン系ゴム成分100重量部に対して10〜80重量部程度の範囲で使用される。
シリカは、湿式シリカ、乾式シリカあるいは表面処理シリカなどが使用され、配合量はゴムのtanδのバランスや補強性、電気伝導度の観点からジエン系ゴム成分100重量部に対して50重量部未満が好ましく、カーボンブラックとの合計量では10〜120重量部程度が好ましい。
加硫促進剤としては、ゴム加硫用として通常用いられる、スルフェンアミド系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チオウレア系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤などの加硫促進剤を単独、または適宜混合して使用しても良い。
老化防止剤としては、ゴム用として通常用いられる、芳香族アミン系老化防止剤、アミン−ケトン系老化防止剤、モノフェノール系老化防止剤、ビスフェノール系老化防止剤、ポリフェノール系老化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系老化防止剤、チオウレア系老化防止剤などの老化防止剤を単独、または適宜混合して使用しても良い。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上記ジエン系ゴム成分、バナナ繊維、植物性粒状体、植物の多孔質性炭化物、必要に応じて、硫黄、カーボンブラック、シリカ、シランカップリング剤、亜鉛華、ステアリン酸、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤、老化防止剤、ワックスやオイルなどの軟化剤、加工助剤などの通常ゴム工業で使用される配合剤を、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどの通常のゴム工業において使用される混練機を用いて混練りすることにより得られる。
また、上記各成分の配合方法は特に限定されず、硫黄および加硫促進剤などの加硫系成分以外の配合成分を予め混練してマスターバッチとし、残りの成分を添加してさらに混練する方法、各成分を任意の順序で添加し混練する方法、全成分を同時に添加して混練する方法などのいずれでもよい。
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物を用いて、ゴム用押出機などの公知の設備によりタイヤのトレッドゴムを製造し、未加硫タイヤを成型した後、公知の方法に従い加硫することで、タイヤを製造することができる。得られたタイヤは、耐摩耗性とアイス制動性能とが両立されたものであることから、特にスタッドレスタイヤとして有用である。
なお、本発明のゴム組成物は、氷上路上でのゴム組成物の低温性能を維持する上で、JIS硬度(JIS K6253に準拠、測定温度23℃)が30〜60、さらに好ましくは45〜55の範囲に調整されることが望ましい。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例などについて説明する。なお、実施例などにおける評価項目は下記のようにして測定を行った。
(1)ゴム硬度
ゴム組成物を150℃で30分間加硫し、23℃における加硫ゴムのゴム硬度をJIS K6253に準拠して測定した。評価結果を表1に示す。
ゴム組成物を150℃で30分間加硫し、23℃における加硫ゴムのゴム硬度をJIS K6253に準拠して測定した。評価結果を表1に示す。
(2)耐摩耗性
各ゴム組成物をトレッドに配したスタッドレスタイヤ(195/65R15)を製造し、排気量2000ccの前輪駆動式乗用車(4WD)に装着し、一般乾燥路面において2,500km毎に前後輪のローテーションを行い、1万km走行後の4本のトレッド残溝深さの平均値から摩耗量を求め耐摩耗性の評価とした。比較例1の結果を100として指数表示で示した。数値の大きいものほど耐摩耗性が良好である。評価結果を表1に示す。
(3)アイス制動性能
各ゴム組成物をトレッドに配したスタッドレスタイヤ(195/65R15)を製造し、排気量2000ccの前輪駆動式乗用車に装着し、一般乾燥路面にて100kmの予備走行の後、気温−5±3℃、路面温度−3±3℃の氷上路面にて、速度40km/hでABSを作動させ制動距離を測定した。10回の測定の平均値をアイス制動性能の評価とし、比較例1の結果を100として指数表示で示した。数値の大きいものほど制動距離が短く良好である。評価結果を表1に示す。
各ゴム組成物をトレッドに配したスタッドレスタイヤ(195/65R15)を製造し、排気量2000ccの前輪駆動式乗用車(4WD)に装着し、一般乾燥路面において2,500km毎に前後輪のローテーションを行い、1万km走行後の4本のトレッド残溝深さの平均値から摩耗量を求め耐摩耗性の評価とした。比較例1の結果を100として指数表示で示した。数値の大きいものほど耐摩耗性が良好である。評価結果を表1に示す。
(3)アイス制動性能
各ゴム組成物をトレッドに配したスタッドレスタイヤ(195/65R15)を製造し、排気量2000ccの前輪駆動式乗用車に装着し、一般乾燥路面にて100kmの予備走行の後、気温−5±3℃、路面温度−3±3℃の氷上路面にて、速度40km/hでABSを作動させ制動距離を測定した。10回の測定の平均値をアイス制動性能の評価とし、比較例1の結果を100として指数表示で示した。数値の大きいものほど制動距離が短く良好である。評価結果を表1に示す。
(ゴム組成物の調製)
ジエン系ゴム成分100重量部に対して、表1の配合処方に従い、実施例1〜7および比較例1〜4のゴム組成物を配合し、通常のバンバリーミキサーを用いて混練し、ゴム組成物を調整した。表1に記載の各配合剤を以下に示す。
ジエン系ゴム成分100重量部に対して、表1の配合処方に従い、実施例1〜7および比較例1〜4のゴム組成物を配合し、通常のバンバリーミキサーを用いて混練し、ゴム組成物を調整した。表1に記載の各配合剤を以下に示す。
a)ジエン系ゴム成分
(1)天然ゴム(NR) RSS#3
(2)ポリブタジエンゴム(BR) (ハイシスBR「BR01」、JSR社製)
b)カーボンブラック N339 (「シーストKH」、東海カーボン社製)
c)シリカ (「ニップシールAQ」、日本シリカ社製)
d)シラン系カップリング剤 (「Si75」、デグサ社製)
e)パラフィンオイル (「プロセスP200」、JOMO社製)
f)バナナ繊維 市販品を公知の方法により裁断したもの 平均繊維幅10〜70μm、平均繊維長さ1〜2mm
g)植物性粒状体 市販の胡桃殻(「ソフトグリッド#46」、日本ウォルナット社製)を粉砕し、RF処理液で表面処理したもの(平均径300μm)
h)植物の多孔質性炭化物
市販品の竹炭を粉砕し、分級したもの(平均径100μm)
i)ステアリン酸 (「ルナックS−20」、花王社製)
j)亜鉛華 (「亜鉛華1種」、三井金属社製)
k)老化防止剤 (「アンチゲン6C」、住友化学社製)
l)ワックス (「OZOACE0355」、日本精蝋社製)
m)加硫促進剤 (「ソクシノールCZ」、住友化学社製)
n)硫黄 粉末硫黄(鶴見化学社製)
(1)天然ゴム(NR) RSS#3
(2)ポリブタジエンゴム(BR) (ハイシスBR「BR01」、JSR社製)
b)カーボンブラック N339 (「シーストKH」、東海カーボン社製)
c)シリカ (「ニップシールAQ」、日本シリカ社製)
d)シラン系カップリング剤 (「Si75」、デグサ社製)
e)パラフィンオイル (「プロセスP200」、JOMO社製)
f)バナナ繊維 市販品を公知の方法により裁断したもの 平均繊維幅10〜70μm、平均繊維長さ1〜2mm
g)植物性粒状体 市販の胡桃殻(「ソフトグリッド#46」、日本ウォルナット社製)を粉砕し、RF処理液で表面処理したもの(平均径300μm)
h)植物の多孔質性炭化物
市販品の竹炭を粉砕し、分級したもの(平均径100μm)
i)ステアリン酸 (「ルナックS−20」、花王社製)
j)亜鉛華 (「亜鉛華1種」、三井金属社製)
k)老化防止剤 (「アンチゲン6C」、住友化学社製)
l)ワックス (「OZOACE0355」、日本精蝋社製)
m)加硫促進剤 (「ソクシノールCZ」、住友化学社製)
n)硫黄 粉末硫黄(鶴見化学社製)
表1の結果から、実施例1〜7のタイヤ用ゴム組成物から得られたスタッドレスタイヤは、耐摩耗性とアイス制動性能とが両立されていることがわかる。一方、比較例2〜3のスタッドレスタイヤは、バナナ繊維を含有しないため、アイス制動性能が向上しておらず、耐摩耗性とアイス制動性能とが両立できていないことがわかる。また、比較例4のスタッドレスタイヤでは、バナナ繊維を大量に含有するため、ゴム硬度が上昇し、その結果耐摩耗性が悪化することがわかる。
Claims (4)
- ジエン系ゴム成分100重量部に対して、バナナ繊維を0.1〜20重量部含有することを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
- 前記バナナ繊維の平均繊維幅が1〜500μm、平均繊維長さが0.1〜5mmである請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- さらに、ジエン系ゴム成分100重量部に対して、植物性粒状体を0.1〜20重量部含有する請求項1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- さらに、ジエン系ゴム成分100重量部に対して、植物の多孔質性炭化物を0.1〜20重量部含有する請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
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Cited By (1)
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-
2010
- 2010-02-19 JP JP2010035112A patent/JP2011168717A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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