JP2011165970A - 蓄電デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】充放電特性をより高めた蓄電デバイスを提供する。
【解決手段】本発明の蓄電デバイス10は、N及びFの少なくとも一方を含む皮膜で被覆された黒鉛を含む正極20と、負極16と、正極20と負極16との間に介在しイオンを伝導するイオン伝導媒体36と、を備えている。この正極20は、Fを含む環状カーボネート類を用いて電解処理を行うことにより黒鉛にN及びFの少なくとも一方を含む皮膜が形成されている。また、負極16は、N及びFの少なくとも一方を含む皮膜で被覆された黒鉛、黒鉛、活性炭、アルカリ金属及びアルカリ金属化合物のうち1以上を含むものとしてもよい。
【選択図】図2

Description

本発明は、蓄電デバイスに関する。
従来、出力密度の高い蓄電デバイスとして電気二重層キャパシタが知られている。しかしながら、この電気二重層キャパシタは、エネルギー密度が小さく、長時間の放電が必要とされる用途では設置スペースが大きくなるなど、不向きであり、高エネルギ密度化(高容量化)が検討されるようになった。高容量化の代表的な方法として、比表面積の増大が考えられ、例えば、活性炭を種々の方法で処理することにより容量の増大化が図られた。
一方、このような蓄電デバイスとして、グラフェン層が発達した非多孔性電極と、プロピレンカーボネート(PC)の非水系溶媒に1mol/Lの濃度となるように電解質としてのテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート((C254NBF4)を溶解した電解液とを用い、電解質イオンを電極へインターカレーションさせて高容量化を図ったものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、黒鉛電極と、プロピレンカーボネート(PC)の非水系溶媒に0.8〜1.5mol/Lの濃度となるように電解質を溶解した電解液とを用い、電解質イオンを電極へインターカレーションさせて高容量化を図ったものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。これらの蓄電デバイスでは、高容量化が図られているものの、充電速度が遅いことがあり、満充電する際には定電流充電と定電圧充電とを併用する手法(CCCV充電)が採られていた(例えば特許文献3,4参照)。
特開2002−25867号公報 特開2005−294780号公報 特開2007−227977号公報 特開2008−205485号公報
しかしながら、上述の特許文献1、2の蓄電デバイスでは、電流密度が大きいときには効率よく充電できず、CCCV充電を行わなければならないほか、IRドロップが大きい、充放電効率が低い、高レートでの充電能力が低いという問題もあり、更なる改良が望まれていた。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、充放電特性をより高めることができる蓄電デバイスを提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、黒鉛の表面により好適な皮膜を形成すると、充放電特性をより高めることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の蓄電デバイスは、
N及びFの少なくとも一方を含む皮膜で被覆された黒鉛を含む正極と、
負極と、
前記正極と前記負極との間に介在しイオンを伝導するイオン伝導媒体と、
を備えたものである。
本発明の蓄電デバイスは、充放電特性をより高めることができる。このような効果が得られる理由は明らかではないが、以下のように推測される。例えば、この蓄電デバイスでは、黒鉛の表面にN及びFのうち少なくとも一方を含む皮膜が形成されており、黒鉛へ有機イオンやアルカリイオンなどがインターカレーションする際の抵抗が低減されていると推察される。このため、例えば、充放電の切り替え時などの電圧降下がより抑制され、放電に伴うエネルギー損失などをより小さくすることができる。また、より高レートでも効率よく充放電を行うことができるものと推察される。
皮膜処理黒鉛電極及び黒鉛電極のSIMS測定結果。 蓄電デバイス10の一例の構成を表す構成図。 実施例1及び比較例1をCCCV充電したのち放電した測定結果。 実施例1及び比較例1の3極セルを定電流法で充放電した測定結果。 実施例2の蓄電デバイスのセル特性及び3極特性の測定結果。 実施例3の蓄電デバイスのセル特性及び3極特性の測定結果。
本発明の蓄電デバイスは、N及びFの少なくとも一方を含む皮膜で被覆された黒鉛を含む正極と、負極と、正極と負極との間に介在しイオンを伝導するイオン伝導媒体と、を備えている。本発明の蓄電デバイスにおいて、N及びFの少なくとも一方を含む皮膜で被覆された黒鉛を含む電極は、正極であってもよいし、負極であってもよいが、正極及び負極としてもよい。また、本発明の蓄電デバイスにおいて、特に限定されないが、イオン伝導媒体は、アニオン及びカチオンのイオンを含んでおり、正極は、含まれる黒鉛によってイオン伝導媒体に含まれるアニオンを吸着及び/又はインターカレーションすることにより蓄電し、負極は、イオン伝導媒体に含まれるカチオンを吸着、インターカレーション及び電気化学反応のうち1以上により蓄電するものとしてもよい。即ち、本発明の蓄電デバイスは、電気二重層キャパシタや、ハイブリッドキャパシタ、リチウムイオンキャパシタとして構成してもよい。
本発明の蓄電デバイスにおいて、正極に含まれる黒鉛は、N及びFの少なくとも一方を含む皮膜で被覆されている。この正極に含まれる黒鉛は、Nを含む皮膜で被覆されていてもよいし、Fを含む皮膜で被覆されていてもよいが、N及びFを含む皮膜で被覆されていることがより好ましい。こうすれば、より好適な皮膜となり、蓄電デバイスの充放電特性を更に高めることができる。この皮膜は、例えばSIMS測定により確認することができる。正極に含まれる黒鉛は、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などが好ましい。この黒鉛は、比表面積が20m2/g以下であることが好ましく、10m2/g以下であることがより好ましい。この黒鉛の比表面積は、作製の容易性から1m2/g以上であることが好ましい。なお、比表面積は、窒素吸着のBET法で測定した結果をいう。正極に含まれる黒鉛は、イオン伝導媒体に含まれるアニオンをインターカレーションして蓄電するものとしてもよい。また、黒鉛は、層間距離が0.325nm以上0.345nm以下であるものが好ましく、0.335nm以上0.340nm以下であることがより好ましい。層間距離が0.325nm以上0.345nm以下であれば、イオン伝導媒体に含まれるイオンをインターカレーションしやすい。また、本発明の蓄電デバイスにおいて、正極は、Fを含む有機化合物を用いて電解処理を行うことにより黒鉛にN及びFの少なくとも一方を含む皮膜が形成されているものとしてもよい。こうすれば、比較的容易にNやFを含む皮膜を形成することができる。Fを含む有機化合物としては、特に限定されないが、例えば、Fを含む環状カーボネート類などが挙げられ、このうちフルオロエチレンカーボネートなどが好ましい。このとき、Nを含む化合物をも用いて電解処理を行うことがより好ましい。Nを含む化合物としては、例えばアンモニウム塩などとしてもよい。
正極は、例えば、黒鉛と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。導電材は、正極の電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。これらの中で、導電材としては、電子伝導性及び塗工性の観点より、カーボンブラック及びアセチレンブラックが好ましい。結着材は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンマー(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。正極活物質、導電材、結着材を分散させる溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで活物質をスラリー化してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの多糖類を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものを用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。集電体の厚さは、例えば1〜500μmのものが用いられる。
本発明の蓄電デバイスにおいて、負極は、イオン伝導媒体に含まれるカチオンを吸着、インターカレーション及び電気化学反応のうち1以上により蓄電するものとしてもよい。この負極は、N及びFの少なくとも一方を含む皮膜で被覆された黒鉛、黒鉛、活性炭、アルカリ金属及びアルカリ金属化合物のうち1以上を含むものとしてもよい。この負極に含まれる材料は、例えば、カチオンを吸着・脱離する比表面積の大きな炭素材料としてもよい。この炭素材料としては、例えば、活性炭や活性炭素繊維、ケッチェンブラックなどが挙げられ、このうち、活性炭がより好ましい。この吸着脱離材料の比表面積は、例えば、100m2/g以上であることが好ましく、500m2/g以上であることがより好ましい。比表面積が100m2/g以上であれば、イオンの吸着脱離をより多く行うことができ、放電容量をより高めることができる。あるいは、負極に含まれる材料としては、正極と同じもの(皮膜で覆われた黒鉛)を用いることもできる。また、アルカリ金属としては、例えば、リチウム,ナトリウム,カリウムなどが挙げられ、このうちリチウムがより好ましい。アルカリ金属化合物としては、例えば、アルカリ金属合金、アルカリ金属窒化物及びアルカリ金属含有複合酸化物などが挙げられる。アルカリ金属化合物としては、例えば、リチウム合金、Li4Ti512などが挙げられる。また、珪素化合物やスズ化合物、導電性ポリマーなども用いることができる。本発明の蓄電デバイスの負極は、例えば上記材料(負極活物質)と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の負極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。また、負極に用いられる導電材、結着材、溶剤などは、それぞれ正極で例示したものを用いることができる。負極の集電体には、銅、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金などのほか、接着性、導電性及び耐還元性向上の目的で、例えば銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものも用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状は、正極と同様のものを用いることができる。
本発明の蓄電デバイスにおいて、イオン伝導媒体としては、特に限定されるものではないが、支持塩を含む極性有機溶媒やイオン性液体などの非水系電解液を用いることができる。支持塩としては、例えば、(C254NBF4(TEA−BF4とも称する)、(C253(CH3)NBF4(TEMA−BF4とも称する)、(C494NBF4、(C254NPF6、(C253(CH3)NPF6、(C494NPF6などや、LiPF6,LiClO4,LiBF4,Li(CF3SO22Nなどの公知の支持塩を用いることができる。支持塩の濃度としては、0.1〜2.0Mであることが好ましく、0.8〜1.8Mであることがより好ましい。極性有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)など従来の二次電池やキャパシタに使われる有機溶媒が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。また、イオン性液体としては、特に限定されないが、カチオンとして四級アンモニウムを含むものとしてもよい。イオン性液体に含まれるカチオンとしては、ジエチル−メチル−(2−メトキシエチル)アンモニウム(DEMEとも称する)、トリメチル−プロピルアンモニウムなど、炭素鎖を有する官能基を4つ備えこのうち炭素数2以上の炭素鎖を有する官能基を少なくとも1以上備える四級アンモニウムカチオンや、N−メチル−N−プロピルピペリジニウム(PP13とも称する)などのピペリジニウム構造を有するカチオン、ブチルピリジニウムなどのピリジニウム構造を有するカチオン、メチル−プロピルピロリジウムやブチル−メチルピロリジウムなどのピロリジウム構造を有するカチオンなどが挙げられる。イオン性液体に含まれるアニオンとしては、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TFSIとも称する)などのイミド構造を有するアニオン、テトラフルオロボレート(BF4とも称する)などのホウ素を有するアニオン、トリフルオロメタンスルホニルアニオンなどの硫黄を有するアニオンなどが挙げられる。これらのうち、イオン性液体としてのより好適な組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば、ジエチル−メチル−(2−メトキシエチル)アンモニウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジエチル−メチル−(2−メトキシエチル)アンモニウム−テトラフルオロボレート、N−メチル−N−プロピルピペリジニウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチル−プロピルアンモニウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、メチル−プロピルピロリジウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ブチル−メチルピロリジウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ブチルピリジニウム−テトラフルオロボレート、ブチルピリジニウム−トリフルオロメタンスルホニルなどが挙げられる。なお、イオン性液体とは、100℃以下、より好ましくは60℃以下で液体である溶解塩をいう。
本発明の蓄電デバイスは、負極と正極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、蓄電デバイスの使用範囲に耐えうる組成であれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の微多孔フィルムが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複合して用いてもよい。
本発明の蓄電デバイスの形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。
以上詳述した本実施形態の蓄電デバイスによれば、黒鉛の表面にN及びFのうち少なくとも一方を含む皮膜が形成されており、黒鉛へ有機イオンやアルカリイオンなどがインターカレーションする際の抵抗が低減されているため、例えば、充放電の切り替え時などの電圧降下がより抑制され、放電に伴うエネルギー損失などをより小さくすることができ、より高レートでも効率よく充放電を行うことができるなど、充放電特性をより高めることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に
属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
以下には、本発明の蓄電デバイスを具体的に作製した例を実施例として説明する。
[黒鉛電極の作製]
グラファイト粉体(Timcal社製KS6)を700℃、水素気流中で熱処理したあと、このグラファイト粉体と、導電材としてのアセチレンブラックと、結着材としてのPVDF粉末を85:5:10の重量割合で混合し、乳鉢で混練し、成形装置を用いてシート化したあと、パンチで打ち抜き、直径12mmの円板シート電極とした。
[皮膜処理黒鉛電極の作製]
上記黒鉛電極を作用極に用い、電解処理を行うことにより黒鉛表面に皮膜を作成した。電解処理溶液には、トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEMA−BF4)を1Mとなるようにプロピレンカーボネート(PC)に溶解した電解液(TEMA−BF4/PC)の中に10重量%のフルオロエチレンカーボネート(FEC)を添加した溶液を用いた。また、対極にはPt、参照極にはAg+/Ag極を用いた。電解処理は、作用極の電位が、参照電極に対して−1V以下−3.5V以上の範囲で動作させて行った。
[皮膜処理黒鉛電極の作製]
皮膜処理黒鉛電極の表面分析を行い、上記電解処理により、皮膜が形成できているかを確認した。比較として、電解処理溶液に浸漬しただけの試料も評価した。表面分析にはSIMS(ULVAC−PHI社製TRIFT II)を用いた。図1は、皮膜処理黒鉛電極及び黒鉛電極のSIMS測定結果である。溶液に浸漬しただけの試料からは、電解処理溶液に由来すると思われるピーク(N又はFを含むピーク)は、殆ど観察されなかった。一方、電解処理を行った試料からは、処理溶液中のアンモニウム塩(Nを含むピーク)及び添加剤(Fを含むピーク)に由来したピークが観察された。このことから、電解処理により黒鉛表面に皮膜が形成されており、皮膜に含まれる特徴的成分は、N及びFであることがわかった。
[活性炭電極の作製]
活性炭粉体(大阪ガスケミカル社製M30)を700℃水素気流中で熱処理したあと、この活性炭粒子、アセチレンブラック、PVDF粉末を90:5:5の重量割合で混合し、乳鉢で混練し、成形装置を用いてシート化したあと、パンチで打ち抜き、直径12mmの円板シート電極とした。
[Li4Ti512電極の作製]
Li4Ti512(石原産業社製)、PVDF粉末を85:15の割合で混合、乳鉢で混練、成形装置を用いてシート化した後、パンチで打ち抜き、直径12mmの円板シート電極を作成した。
[蓄電デバイスの作製]
蓄電デバイスは、次のように作製した。図2は、3電極セルとして構成された蓄電デバイス10の構成を表す説明図である。まず、集電部材32が接続された導電体であるアルミニウム製の円筒基体12の上面中央に設けられたキャビティ14に、負極16と、セパレータ18と、正極20とを各極が非接触状態となるようにこの順に積層する。次に、キャビティ14の内周に密接する絶縁リング22を配置し、更にこの絶縁リング22の内周に押圧バネ34が設けられた円柱状の導電部材である押圧部材33を挿入した。次に、イオン性液体36をキャビティ14に注入し、円筒基体12の上面にパッキン28及び絶縁体である絶縁リング29を配置した。この円筒基体12の上方に、集電部材37が接続され参照極42が挿入された導電体である蓋26を配置した。このとき、参照極42の先端をイオン伝導媒体36に接触させた。そして、円筒基体12と蓋26とを上下から加圧した状態で固定し、蓄電デバイス10とした。この蓄電デバイス10では、集電部材32と円筒基体12と負極16とが一体化されて負極側となり、集電部材37と蓋26と押圧部材33と正極20とが一体化されて正極側となり、参照極42が参照極側となる。なお、蓄電デバイス10は、負極16と正極20と参照極42とが絶縁リング22及び絶縁リング29により絶縁されている。正極、負極、及びイオン伝導媒体を以下に説明する組み合わせとして蓄電デバイスを作製した。ここでは、集電体にはアルミニウムシートを、セパレータにはポリエチレンメンブランを、参照極にはAg+/Agを用いた。検討に用いたセルの仕様を表1に示す。
Figure 2011165970
(実施例1〜3)
正極を皮膜処理黒鉛電極とし、負極を活性炭電極とし、イオン伝導媒体を1M−TEMA−BF4/PCの電解液としたものを実施例1の蓄電デバイスとした。また、正極及び負極を皮膜処理黒鉛電極とし、イオン伝導媒体を1M−TEMA−BF4/PCの電解液としたものを実施例2の蓄電デバイスとした。また、正極を皮膜処理黒鉛電極とし、負極をLi4Ti512電極とし、イオン伝導媒体を1M−LiPF4/(エチレンカーボネートEC+ジエチルカーボネートDEC)の電解液としたものを実施例1の蓄電デバイスとした。
(比較例1)
正極を黒鉛電極とし、負極を活性炭電極とし、イオン伝導媒体を1M−TEMA−BF4/PCの電解液としたものを比較例1の蓄電デバイスとした。
[充放電試験1]
蓄電デバイスをCCCV充電した時の特性(皮膜効果)を検討した。実施例1及び比較例1の蓄電デバイスを用い、その蓄電特性を測定し、皮膜の効果を検討した。ここでは、十分に電荷を溜め込むために、定電流+定電圧法の充電を用い、1mAで定電流充電した後、3Vで30分、定電圧充電を行い、その後、1mAで放電を行った。図3は、実施例1及び比較例1の蓄電デバイスをCCCV充電したのち放電した測定結果である。両デバイスとも充放電は可能であり蓄電デバイスとして働くことがわかった。しかし、充電から放電に切り替わる時の電圧降下は、皮膜処理を行ったセルより、皮膜処理を行わなかったセルの方が大きく、放電に伴うエネルギー損失が大きいことがわかった。また、定電圧充電時の電流低下は、皮膜処理を行ったセルの方がすばやく一定値に到達し、充電効率が高いことがわかった。これらのことから、皮膜処理は、蓄電デバイスの充放電抵抗の低減に有効であると推察された。
[充放電試験2]
皮膜処理黒鉛電極を用いたセルの3極特性(正極・負極の挙動調査)を検討した。充放電試験1において、充放電特性は、皮膜黒鉛を用いたセルの方がよいことがわかった。しかし、この特性向上は、皮膜黒鉛を用いた正極に由来する現象であるかは不明確であったことから、3極セルを用い、充放電時の正極及び負極の挙動を評価することとした。本実験では、充放電試験1と同様に、実施例1及び比較例1の蓄電デバイスを用い、定電流法により充放電を行った。図4は、実施例1及び比較例1の3極セルの蓄電デバイスを定電流法で充放電した測定結果である。両デバイスとも充放電は可能であったが、充放電試験1と同様、比較例1では、充放電切替時に大きな電圧降下が生じた。その原因を3極特性より検討してみると、比較例1の正極の電圧降下が支配的であることがわかった。一方、実施例1では、殆ど電圧降下が見られず、比較例1と実施例1の特性の違いは、正極にあることがわかった。ここで、正極は、黒鉛を用いていることから、皮膜処理の有無が正極特性に大きく反映されていることがわかった。以上のことから、皮膜処理は、充放電特性の向上に有効であることが明らかになった。また、皮膜処理は、セル抵抗を低減させる効果があり、電解液、黒鉛母材が同じであることから、イオンのインターカレーションに伴う抵抗が低減されるものと推察された。
[充放電試験3]
皮膜処理黒鉛電極を正極及び負極に用いたセルの特性を測定することにより、皮膜処理黒鉛電極の負極への展開可能性を検討した。図5は、実施例2の蓄電デバイスのセル特性及び3極特性の測定結果である。実施例2も充放電が可能であり、蓄電デバイスとして機能することが明らかになった。また、充放電切替時の電圧降下も小さく、皮膜黒鉛が負極においても有効に動作することが明らかになった。
[充放電試験3]
皮膜処理黒鉛電極を正極に用い、負極にLi4Ti512を用いた実施例3のセル特性を測定することにより、皮膜黒鉛のLiイオンキャパシタへの展開可能性を検討した。図6は、実施例3の蓄電デバイスのセル特性及び3極特性の測定結果である。実施例3も充放電が可能であり、蓄電デバイスとして機能することが明らかになった。また、充放電切替時の電圧降下も小さく、皮膜黒鉛がLiイオンキャパシタの正極として、有効に動作することが明らかになった。
10 蓄電デバイス、12 円筒基体、14 キャビティ、16 負極、18 セパレータ、20 正極、22 絶縁リング、26 蓋、28 パッキン、29 絶縁リング、32,37 集電部材、33 押圧部材、34 押圧バネ、36 イオン伝導媒体、42 参照極。

Claims (3)

  1. N及びFの少なくとも一方を含む皮膜で被覆された黒鉛を含む正極と、
    負極と、
    前記正極と前記負極との間に介在しイオンを伝導するイオン伝導媒体と、
    を備えた蓄電デバイス。
  2. 前記負極は、N及びFの少なくとも一方を含む皮膜で被覆された黒鉛、黒鉛、活性炭、アルカリ金属及びアルカリ金属化合物のうち1以上を含む、請求項1に記載の蓄電デバイス。
  3. 前記正極は、Fを含む環状カーボネート類を用いて電解処理を行うことにより黒鉛にN及びFの少なくとも一方を含む皮膜が形成されている、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス。
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