JP2011165527A - 繊維シートを加熱処理するための加熱ローラ - Google Patents

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Abstract

【課題】繊維シートを均一に加熱することのできる加熱ローラを提供する。
【解決手段】繊維シートを加熱処理するための加熱ローラ100は、回転可能な円筒体101内に、該円筒体を加熱する螺旋形状の熱源106が、該円筒体と一定間隔を隔てて支持されているので、螺旋形状の熱源により加熱された空気などの媒体が、円筒体と螺旋形状の熱源がなす空間に滞留し、円筒体は回転することで、加熱された該媒体と満遍なく接触することができ、繊維シート全体を均一な温度で加熱できる。
【選択図】図1

Description

本発明は繊維シートを加熱処理するための加熱ローラに関する。
繊維シートの製造方法として、ポリマーを溶媒に溶解させたポリマー溶液を細孔から押し出しながら、ポリマー溶液から溶媒を蒸発させ、ポリマーを繊維化するとともに捕集して繊維シートを形成する、溶液紡糸法が知られている。
溶液紡糸法を用いる紡糸方法は、上述のようにポリマーを溶媒に溶解させる過程を経るため、形成された繊維シートを構成する繊維中に、溶媒が完全に蒸発しきれずに残留する場合がある。そして、溶媒が残留している繊維からなる繊維シートは、溶媒が残留していない繊維からなる繊維シートと比較して、モジュラス強度などの物性が劣るものであり、また、各種用途に該繊維シートを適用した場合に悪影響を及ぼす可能性があった。
例えば、溶媒が残留している繊維からなる繊維シートを電気化学素子用のセパレータとして使用した場合、該セパレータが電解液に溶解する恐れや残留している溶媒によって電気化学素子の機能が阻害される恐れがあり、更には、捲回時に該セパレータは破断する恐れがある。また、溶媒が残留している繊維からなる繊維シートを濾過材として使用した場合、繊維中に残留している溶媒が濾過の対象物中に溶出して、濾過の対象物が汚染される恐れがあり、更には、該濾過材が通気抵抗あるいは通液抵抗を受けることで濾過中に破断する恐れがある。
特に、沸点が室温より高い溶媒を用いて繊維シートを製造した場合、室温では該溶媒が繊維中から揮発し難いものであるため、製造した繊維シート中に該溶媒が残留する可能性が高く、上述の問題が発生し易い。
そのため、溶液紡糸法を用いて繊維シートを製造する場合には、繊維中に残留している溶媒を除去する処理が必要となる。溶媒を除去する方法として、キャンドライヤやカレンダなどの加熱ローラ、熱風ドライヤや熱風乾燥機、電気炉、ヒートプレートなどの加熱処理装置を用いて繊維シートを加熱することで、残留している溶媒を蒸発させて除去する加熱処理方法(特許文献1)が知られている。
特開2009-57646号公報(特許請求の範囲、0001-0002、0046)
これらの加熱処理装置で繊維シートを加熱する時の温度は、溶媒が揮発する温度であれば良いが、その温度よりも高度で加熱が行われると繊維が溶融して繊維シートの剛性や空隙率などの物理的性質が変化する、あるいは、繊維形状をなすポリマーが変性して耐薬品性や耐油性などの化学的性質が変化する恐れがある。
そのため繊維シートから溶媒を揮発させる際に使用する加熱処理装置は、繊維シートを所望の温度で均一に加熱できることが望まれている。特に、溶媒の沸点が高い場合やポリマーの融点あるいは変性の生じる温度が低い場合には、溶媒の沸点とポリマーの融点あるいは変性の生じる温度との温度差が小さいため、繊維シートを加熱する加熱処理装置の正確な温度制御が求められる。
しかしながら、上述のような従来の加熱処理装置は正確な温度制御を行うことが困難で、繊維シートを所望の温度で均一に加熱することが困難であった。例えば、加熱ローラやヒートプレートでは加熱部位の両端部の温度が所望の温度よりも低温となり、また電気炉や熱風ドライヤでは、繊維シートの加熱ムラが生じる傾向がある。そのため、加熱処理装置を該所望の温度に設定した場合、加熱処理後の繊維シートには部分的に溶媒がなお残留することとなり、繊維シートから溶媒を完全に除去するためには、繊維シートを必要以上に加熱する必要がある。
以上から、上述した従来の加熱処理装置を用いて加熱処理を行う限り、溶液紡糸法を用いてなる繊維シートを、物性や物理的性質および化学的性質を変化させずに、加熱処理して製造することは困難であった。そのため、加熱処理装置の正確な温度制御が行えて、繊維シート全体を均一な温度で加熱できる加熱処理装置が求められている。
以上は溶液紡糸法により製造した繊維シートから溶媒を除去する場合について述べたものであるが、その他に、抄紙方法で製造した繊維シートから分散媒(通常、水)を除去する場合、潜在捲縮繊維を含んだ繊維シートを加熱して該潜在捲縮繊維の捲縮を発現させる場合、熱接着繊維を含んだ繊維シートを加熱して該熱接着繊維の熱接着作用を発揮させる場合などにも、上述した従来の加熱処理装置を用いたのでは加熱ムラが生じ、均一な乾燥、均一な捲縮の発現、或いは均一な接着を行うことが困難であった。そのため、加熱処理装置の正確な温度制御が行えて、繊維シート全体を均一な温度で加熱できる加熱処理装置が求められている。
本発明は、上述した従来技術が有する限界を超えるべくなされたもので、繊維シートを均一に加熱することのできる加熱ローラの提供を目的とするものである。
請求項1の繊維シートを加熱処理するための加熱ローラは「回転可能な円筒体内に、該円筒体を加熱する螺旋形状の熱源が、該円筒体と一定間隔を隔てて支持されていることを特徴とする、繊維シートを加熱処理するための加熱ローラ。」である。
本発明の請求項1によれば、繊維シートを加熱処理するための加熱ローラが「回転可能な円筒体内に、該円筒体を加熱する螺旋形状の熱源が、該円筒体と一定間隔を隔てて支持されている」ことを特徴とするものである。螺旋形状の熱源により加熱された空気などの媒体が、円筒体と螺旋形状の熱源がなす空間に滞留する。円筒体は回転することで、加熱された該媒体と満遍なく接触することができ、円筒体の全体が均一に加熱されて円筒体の正確な温度制御ができる。そのため、円筒体の正確な温度制御が行えて、繊維シート全体を均一な温度で加熱できる、繊維シートを加熱処理するための加熱ローラである。
また、本発明の請求項1によれば、繊維シートを加熱処理するための加熱ローラが「回転可能な円筒体内に、該円筒体を加熱する螺旋形状の熱源」を有していることを特徴とするものである。熱源が螺旋形状であるため、熱源が螺旋を形成している方向と円筒体の回転方向が平行を成さない。そのため、円筒体が回転した際に、螺旋形状の熱源が円筒体全面と面することができ、円筒体の全体を均一に加熱できる。
以上から、本発明に係る加熱ローラは、円筒体の正確な温度制御が行えるため、繊維シート全体を均一な温度で加熱できる、繊維シートを加熱処理するための加熱ローラである。
本発明にかかる加熱ローラの、模式的側面図である。 本発明にかかる加熱ローラの、模式的断面図である。 本発明にかかる加熱ローラの、円筒体の幅方向、円筒体の回転方向、熱源が螺旋を形成している方向を、矢印を用いて示した略図である。 実施例1及び比較例1の加熱ローラを加熱した際の、円筒体表面の幅方向における温度分布を示すグラフである。 繊維シート製造装置の模式的平面図である。 繊維シート製造装置の模式的断面図である。 実施例2及び比較例2の加熱ローラを用いて加熱処理した、繊維シートの幅方向における色差の分布を示すグラフである。 実施例2及び比較例2の加熱ローラを用いて加熱処理した、繊維シートの幅方向における3%モジュラス強度の分布を示すグラフである。
以降、本発明について、図1〜図3を用いて説明する。
本発明に係る、繊維シートを加熱処理するための加熱ローラ(100、以降、加熱ローラと称する)は、図1に開示されているように、回転軸(107)を中心として螺旋形状の熱源(106)と回転可能な円筒体(101)が設けられていることにより構成されている。螺旋形状の熱源(106)は、第一加熱部材(103)、第二加熱部材(104)、第三加熱部材(105)が螺旋形状をなすことで、構成されているとともに、熱源支持体(102)により円筒体(101)の内部に支持されている。
また、図2に開示されているように、加熱ローラ(100)の横断面において、熱源(106)と円筒体(101)とは、回転軸(107)を中心として同心円状に、一定の離間距離(L1)を有する状態で存在している。
本発明において円筒体(101)とは、横断面が真円のパイプ形状をした、加熱ローラ(100)を構成する一部材であり、螺旋形状の熱源(106)により円筒体(101)が加熱されることで、円筒体(101)は繊維シートを加熱する働きを示す。
円筒体(101)を構成する素材は、繊維シートを好適に加熱できるのであれば限定されるものではなく、例えば、ガラス、各種金属、セラミック、有機ポリマー、無機ポリマーなどの一種類のみ、あるいは複数種類の素材を組み合わせて構成することができる。円筒体(101)がガラスやセラミックからなると、加熱処理時に繊維シートへ金属や有機化合物などの不純物が混入しないことから、円筒体(101)はガラスやセラミックからなることが好ましい。
回転軸(107)と円筒体(101)の幅方向(a)とは平行をなし、円筒体(101)の幅方向(a)における長さは、加熱処理する繊維シートの幅方向(繊維シートの生産方向と垂直をなす方向)の長さよりも長いことが望ましい。円筒体(101)の幅方向(a)の長さが、加熱処理する繊維シートの幅方向の長さよりも短いと、繊維シートを全体にわたり均一に加熱処理することが困難となる傾向がある。円筒体(101)の幅方向(a)の好適な長さは、繊維シートの加熱処理条件との兼ね合いにより決まるものであるため、適宜、調整されるのが好ましいが、加熱処理する繊維シートの幅方向の長さよりも10cm以上長いことが好ましい。この時、円筒体(101)の両端部が各々5cm以上、繊維シートの両端部よりも長い状態となるのが、より好ましい。
繊維シートの加熱処理時に、円筒体(101)に急激な温度変化が発生し難いよう、円筒体(101)の壁面の厚さは3mm〜15mmであることが好ましい。円筒体(101)の壁面の厚さが3mmよりも薄いと円筒体(101)の体積が小さいことで、加熱処理時に円筒体(101)が放熱する、あるいは繊維シートによって吸熱されることで冷却され易くなるため、円筒体(101)を一定温度に制御することが困難となる傾向がある。一方、円筒体(101)の壁面の厚さが15mmよりも厚いと円筒体(101)の体積が大きいことで、円筒体(101)が熱源(106)により過剰に加熱された際に冷却し難いため、円筒体(101)を一定温度に制御することが困難となる傾向がある。そのため、円筒体(101)の壁面の厚さは、3mm〜10mmであるのがより好ましく、5mm〜10mmであるのが最も好ましい。
また、円筒体(101)の外径は、5cm〜30cmであることが好ましい。円筒体(101)の外径が5cmよりも短いと円筒体(101)の体積が小さいことで、加熱処理時に円筒体(101)が放熱する、あるいは繊維シートによって吸熱されることで冷却され易くなるため、円筒体(101)を一定温度に制御することが困難となる傾向がある。一方、円筒体(101)の外径が30cmよりも長いと円筒体(101)の体積が大きいことで、円筒体(101)が熱源(106)により過剰に加熱された際に冷却し難いため、円筒体(101)を一定温度に制御することが困難となる傾向がある。
円筒体(101)の外径は、7cm〜25cmであるのがより好ましく、10cm〜20cmであるのが最も好ましい。
本発明において円筒体(101)が「回転可能」であるとは、円筒体(101)が回転軸(107)を中心として回転できることを指す。
円筒体(101)の回転方向は特に限定するものではなく、繊維シートを好適に加熱することができるのであれば、繊維シートの生産方向と同方向、あるいは、その反対方向のどちらの方向に回転できる状態にあっても構わない。円筒体(101)と繊維シートが接触した状態で繊維シートを加熱処理する場合には、円筒体(101)と繊維シートが不必要に擦過して加熱処理が阻害されないように、円筒体(101)の回転方向は繊維シートの生産方向と同方向であるとともに、円筒体(101)の回転速度は繊維シートの生産速度と同調しているのが好ましい。
円筒体(101)の回転速度は限定するものではなく、繊維シートを好適に加熱することができるように調整する。現実的な回転速度として50mm/min〜3000mm/minの範囲であるのが好ましい。
また、円筒体(101)を回転させる手段(図示せず)として、モーターによりベルトをエンドレス運動させ、このベルトを介して円筒体(101)を回転させるなど、公知の手段を採用できる。
本発明において、熱源(106)は円筒体(101)を加熱する働きを示す、加熱ローラ(100)を構成する一部材である。また熱源(106)は、単数あるいは複数の加熱部材(103〜105)から構成することができる。なお、図1において熱源(106)は、第一加熱部材(103)、第二加熱部材(104)、第三加熱部材(105)から構成されている。
熱源(106)の種類は、パワーサプライ(図示せず)により通電されることで放熱できるものであれば良く、例えば、電熱線、テープヒーター、ベルトヒーター、パイプヒーター、バンドヒーターなどを例示できる。
熱源(106)が複数の加熱部材(103〜105)によって構成されるものであると、各加熱部材(103〜105)の放熱量が予期せず互いに異なる場合でも、熱源(106)の全体としては均一な放熱が生じるものとなり、円筒体(101)を均一に加熱できるため好ましい。熱源(106)を構成する加熱部材(103〜105)の数は、円筒体(101)の加熱温度などとの兼ね合いにより決まるものであるため、限定されるものではなく、適宜、調整されるのが好ましい。
図1では、円筒体(101)の幅方向(a)における中央部を加熱する加熱部材(103〜104)とは別個に、円筒体(101)の両端部に存在し、主に円筒体(101)の幅方向(a)における両端部を加熱する加熱部材(105)を設けることで、円筒体(101)の幅方向(a)における両端部の温度が所望の温度よりも低温となることを防ぐことができる。
各加熱部材(103〜105)とパワーサプライ(図示せず)との接続方法として、各加熱部材(103〜105)をパワーサプライ(図示せず)と並列あるいは直列のどちらで接続しても構わないが、パワーサプライ(図示せず)による通電の大きさが一定の時、各加熱部材(103〜105)を並列にパワーサプライ(図示せず)と接続して加熱を行う方が、該各加熱部材(103〜105)を直列にパワーサプライ(図示せず)と接続して加熱を行うよりも、該各加熱部材(103〜105)の総抵抗値(各加熱部材(103〜105)による合成抵抗値)が小さくなる。そのため、パワーサプライ(図示せず)により高電圧を各加熱部材(103〜105)に供給できることから、各加熱部材(103〜105)を並列にパワーサプライ(図示せず)と接続して加熱を行うのが好ましい。
加熱処理時における熱源(106)の温度は特に限定するものではなく、円筒体(101)が繊維シートを好適に加熱することができるように調整されるべきものである。例えば、本発明に係る加熱ローラ(100)を用いて、繊維シートに含まれている溶媒を除去しようとする場合、円筒体(101)を該溶媒の沸点より高い温度から繊維シートを構成する繊維の融点や分解あるいは変性が発生する温度までの間の温度となるように、熱源(106)が円筒体(101)を加熱する温度を調整するのが好ましい。
現実的な温度として、熱源(106)が円筒体(101)を加熱する温度(熱源自体の温度)は80℃〜500℃の範囲内であるのが好ましい。
本発明において「螺旋形状」とは、熱源(106)が回転軸(107)を中心として周回することで、連続的に螺旋を形成している形状のことを指す。
図1においては、熱源(106)が、連続的に螺旋形状を形成している加熱部材(103〜105)から構成されていることで、円筒体(101)と熱源(106)の距離が均一となり、熱源(106)により円筒体(101)が均一に加熱されるものとなる。特に、加熱部材(103〜105)により螺旋の間隔が平行かつ等間隔に形成されていると、円筒体(101)の内側に熱源(106)が均一に存在するものとなり、円筒体(101)がより均一に加熱されるため好ましい。
なお、ここでいう螺旋の間隔とは、円筒体(101)の幅方向(a)と平行を成す方向における、隣接する加熱部材(103〜105)の中心同士の距離をいう。
図3は、本発明に係る図1の加熱ローラ(100)における、円筒体(101)の幅方向(a)、円筒体(101)の幅方向(a)と垂直をなす円筒体(101)の回転方向(b)、熱源(106)が螺旋を形成している方向(c)とを矢印を用いて示した略図である。
熱源(106)は螺旋形状を形成しているため、円筒体の回転方向(b)と垂直あるいは平行を成さない。そのため、円筒体(101)が熱源(106)に同調することなく回転することで螺旋形状の熱源(106)が円筒体(101)の内部壁面と面することができ、円筒体(101)の全体を均一に加熱できる。
図1では、熱源(106)の中央部において、第一加熱部材(103)と第二加熱部材(104)とが交互に並列して螺旋形状を形成している。このとき、熱源(106)を構成している各加熱部材(103、104)同士が、交互に並列した状態で螺旋形状が形成されているため、各加熱部材(103〜104)の放熱量が予期せず互いに異なる場合でも、熱源(106)の全体としては均一な放熱が生じて、その結果、円筒体(101)を均一に加熱できる。しかし、円筒体(101)を均一に加熱できるのであれば、各加熱部材(103、104)同士が、交互に並列した状態で螺旋形状が形成されていなくても構わない。
円筒体(101)の幅方向(a)における両端部の温度は、円筒体(101)の中央部の温度と比べ低温となる傾向がある。そのため、円筒体(101)の幅方向(a)における両端部を加熱する加熱部材(105)は、螺旋形状の大きさ、螺旋の間隔、螺旋が形成されている数、螺旋が形成されている角度などを調整することで、円筒体(101)の中央部を加熱する加熱部材(103、104)よりも、円筒体(101)の各両端部を高温で加熱できるように調整することで、円筒体(101)の幅方向(a)における両端部が所望の温度よりも低温となることを防ぐことができ、結果、全体が均一に加熱された円筒体(101)とすることができる。
加熱ローラ(100)が外径の大きな円筒体(101)を備えたものであるとしても、本発明に係る熱源(106)は螺旋形状であるため、熱源(106)を螺旋の大きさが変化する方向に捻る、および/又は、隣接する熱源同士の間隔が変化するように円筒体(101)の幅方向(a)に引っ張ることで、螺旋形状の大きさ、螺旋の間隔、螺旋が形成されている数、螺旋が形成されている角度などを、調整することができる。これにより、螺旋形状の熱源(106)の分布している状態、ならびに螺旋形状の熱源(106)と円筒体(101)とがなす「一定間隔」を容易に変更することができることで、螺旋形状の熱源(106)による円筒体(101)への加熱効率を容易に変更できる。
加熱処理を行う際、螺旋形状の熱源(106)は回転しても、回転しなくても、どちらでも構わない。円筒体(101)を均一に加熱することで、繊維シートを好適に加熱することができるように、螺旋形状の熱源(106)の回転の状態は、適宜、調整するのが好ましい。
円筒体(101)と螺旋形状の熱源(106)の回転速度と回転方向とが同調していると、螺旋形状の熱源(106)による円筒体(101)の均一な加熱が行われ難く、繊維シートを均一に加熱処理することが困難となる傾向がある。そのため、螺旋形状の熱源(106)を回転した状態で繊維シートの加熱処理を行う場合、螺旋形状の熱源(106)は円筒体(101)の回転方向と反対方向に回転する、あるいは、螺旋形状の熱源(106)が円筒体(101)の回転方向と同一方向に回転速度を同調することなく回転するようにするのが好ましい。
本発明において「一定間隔を隔てて」いるとは、図2に開示するように、円筒体(101)と螺旋形状の熱源(106)とが接触することなく、円筒体(101)の内壁と螺旋形状の熱源(106)との最短距離として、一定の離間距離(L1)を有していることを指す。
離間距離(L1)の長さは1cm〜7cmであることが好ましい。離間距離(L1)の長さが1cmよりも短いと、円筒体(101)と螺旋形状の熱源(106)とが近接することで円筒体(101)が螺旋形状の熱源(106)により加熱され易く、円筒体(101)を一定温度に制御することが困難となる傾向がある。離間距離(L1)の大きさが7cmよりも長いと、加熱処理時に円筒体(101)が螺旋形状の熱源(106)により加熱され難く、円筒体(101)を一定温度に制御することが困難となる傾向がある。そのため、離間距離(L1)の長さは、1cm〜5cmであるのがより好ましく、1.5cm〜3cmであるのが最も好ましい。
本発明において「支持されている」とは、螺旋形状の熱源(106)と円筒体(101)とが回転軸(107)を中心とした同心円状に、離間距離(L1)を隔てて存在できるように、螺旋形状の熱源(106)が熱源支持体(102)と固定されることなく接触している状態、あるいは螺旋形状の熱源(106)が熱源支持体(102)により固定されている状態を指す。
熱源支持体(102)として、例えば、回転軸(107)から突出した線状の部材、回転軸(107)に設けられた金属メッシュのシリンダやパンチメタルなどの多孔体、回転軸(107)と平行をなす線状の部材などを例示できる。図1および図1にかかる加熱ローラの模式的断面図である図2では、回転軸(107)から突出した線状の部材に回転軸(107)と平行をなす線状の部材が一体化してなる熱源支持体(102)を示している。なお、図1では回転軸(107)と平行をなす線状の部材のみを図示しており、回転軸(107)から突出した線状の部材は図示せず省略している。
熱源支持体(102)が螺旋形状の熱源(106)を支持する態様として、図1および図2では、熱源支持体(102)上に螺旋形状の熱源(106)が固定されずに存在している状態を示しているが、離間距離(L1)を変更する必要性がないのであれば、熱源支持体(102)上に螺旋形状の熱源(106)を固定しても構わない。
加熱ローラ(100)に設けられている熱源支持体(102)の数とその大きさ、螺旋形状の熱源(106)の支持方法は、螺旋形状の熱源(106)の螺旋の間隔、および、円筒体(101)と螺旋形状の熱源(106)とがなす空間を閉塞せず、螺旋形状の熱源(106)による円筒体(101)の加熱処理が阻害されることのないように、適宜、調整するが好ましい。
本発明において、加熱処理できる繊維シートとして、例えば、溶媒を用いずに繊維を開繊した乾式繊維ウェブ、溶媒を用いて繊維を開繊した湿式繊維ウェブ、直接法(例えば、メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法など)を用いて製造した繊維ウェブ、更には、熱融着繊維や潜在捲縮性繊維を含んでなる繊維ウェブなど、および上述の繊維ウェブよりなる不織布が挙げられる。
繊維シートを構成する化合物が、有機系化合物が重合してなる繊維である場合、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレンなど)、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエーテル系樹脂(ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル樹脂など)、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、二トリル基を有する樹脂(例えば、ポリアクリロニトリルなど)、セルロース系樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂などからなる公知の有機繊維から繊維シートを構成することができる。
また、繊維シートを構成する化合物が無機系化合物の重合してなる繊維である場合、例えば、金属アルコキシド(ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ホウ素、スズ、亜鉛などのメトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシドなど)が重合した無機繊維など、公知の無機系化合物が重合してなる繊維から繊維シートを構成することができる。
これらの繊維は、直鎖状ポリマーまたは分岐状ポリマーのいずれからなるものでも構わず、また該ポリマーがブロック共重合体やランダム共重合体、多成分のポリマーが混和したものでも構わず、また該ポリマーの立体構造や結晶性の有無がいかなるものでもよく、特に限定されるものではない。
本発明において加熱処理とは、加熱ローラ(100)に繊維シートを導き、加熱ローラ(100)によって繊維シートをある特定温度で加熱することを指す。加熱ローラ(100)によって繊維シートが加熱される理由は、以下の通りである。
1.パワーサプライ(図示せず)により通電されることで、螺旋形状の熱源(106)が放熱する。
2. 螺旋形状の熱源(106)の放熱により、螺旋形状の熱源(106)と円筒体(101)とがなす空間に存在している、空気などの媒体が加熱される。
3.加熱された媒体が、回転している円筒体(101)の内部壁面全体と満遍なく接触することで、円筒体(101)が均一に加熱される。更に、円筒体(101)は回転することで、螺旋形状の熱源(106)と全面的に面して、円筒体(101)は螺旋形状の熱源(106)の熱線により均一に加熱される。
4.円筒体(101)が均一に加熱されることで、円筒体(101)は正確に温度制御がなされた状態となり、加熱ローラ(100)へと導かれてきた繊維シートを均一な温度で加熱処理できる。
円筒体(101)が繊維シートを加熱処理する態様は、円筒体(101)と繊維シートが接触している態様でも、円筒体(101)と繊維シートが接触していない態様でも、円筒体(101)により好適に繊維シートが加熱処理されるのであれば、特に限定されるものではない。
円筒体(101)と繊維シートが接触した態様で加熱処理が行われると、円筒体(101)による繊維シートの加熱を効率良く行うことができる。円筒体(101)と繊維シートが接触していない態様で加熱処理が行われると、繊維シートを円筒体(101)の成分(例えば、金属、有機化合物、無機化合物など)で汚染することなく、繊維シートを加熱処理できる。
なお、上述の円筒体(101)と繊維シートが接触していない態様とは、円筒体(101)と繊維シートが離間して接触していない態様、あるいは、繊維シートと円筒体(101)との間に、例えば、紙やフィルムなどの非多孔体、不織布やメッシュなどの多孔体などを介在させて、加熱処理を行う態様を指す。
本発明にかかる加熱ローラ(100)を用いて、繊維シートを加熱処理する場合、加熱処理に使用する加熱ローラ(100)の数は単数でも複数でも構わない。複数の加熱ローラ(100)を用いるとともに、繊維シートを表面および裏面の両面から加熱処理すると、厚い繊維シートを加熱処理する場合でも、所望の温度以上の高温で繊維シートを加熱することなく、繊維シートの全体を均一に加熱処理できるため好ましい。
以上から、本発明にかかる加熱ローラ(100)は、繊維シート全体を均一な温度で加熱できる、繊維シートを加熱処理するための加熱ローラ(100)である。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
(実施例1)
上面及び下面が対角線の長さが41mmの正方形からなる仮想直方体の、上面と下面とを繋ぐ四辺に対応する位置に、4本のステンレス金属棒(直径:8mm、長さ:1350mm)を設けた。なお、上述の上面と下面の中心同士を結ぶ直線を回転軸(107)とした。
熱源支持体として直径50mm、長さ1350mmのステンレスメッシュのシリンダ(メッシュ厚さ:0.5mm、内径:49mm、円柱表面の空隙率:71%)を用意した。
回転軸(107)の中心と該ステンレスメッシュのシリンダの中心が一致するように、ステンレスメッシュのシリンダを設けた。この時、ステンレスメッシュのシリンダは各ステンレス金属棒と接触した態様であり、針金により、各ステンレス金属棒に固定した。
加熱部材として、電熱線(103、容量:2000W、直径:3.2mm)を用意するとともに、電熱線(103)が成す螺旋の間隔が24.4mm(隣接する電熱線(103)同士の最短距離は21.2mm)となるように、電熱線(103)をステンレスメッシュのシリンダの両端部から144mmまでの領域を除いて、螺旋形状に43周巻きつけた。次に、円筒体(101)の両端部を加熱する加熱部材として、別の電熱線(105、容量:1200W、直径:2.3mm)を用意するとともに、電熱線(105)の螺旋の間隔が8mm(隣接する電熱線(105)同士の最短距離は5.7mm)となるように、電熱線(105)をステンレスメッシュのシリンダの両端部から144mmまでの領域に、螺旋形状に18周ずつ巻きつけることで、螺旋形状をした熱源(106)を製作した。
円筒体として、耐熱ガラス管(101、直径:100mm、厚さ:5mm、長さ:1400mm、コーニング社、登録商標:パイレックス)を用意するとともに耐熱ガラス管(101)で、各ステンレス金属棒、ステンレスメッシュのシリンダ、螺旋形状をした熱源(106)を覆うように設けた。このとき、モーター装置(三菱電機社製、ACサーボモータ HF-KP053)と連結することでエンドレス回転が可能なベルトによって、耐熱ガラス管(101)を回転可能な状態とした。このようにして、繊維シートを加熱処理する為の加熱ローラ(100)を製作した。
なお、耐熱ガラス管(101)の横断面において、回転軸(107)を中心として、螺旋形状をした熱源(106)と耐熱ガラス管(101)は、同心円状に配置されている状態であった。また、このときの離間距離(L1)の長さは、16.8mmであった。
耐熱ガラス管(101)を250mm/minの速度で回転させながら、電熱線の各々(103、105)をパワーサプライ(図示せず)と並列に接続して、電熱線の各々(103、105)を通電した。このときの通電量は1600Wであり、電熱線の各々(103、105)の発熱温度は450℃であった。
耐熱ガラス管(101)表面の幅方向(a)における温度を、耐熱ガラス管(101)表面の幅方向(a)における中心(図4における、700mmの地点)から幅方向(a)における両末端に向けて、10.5mm間隔ごとに各々14点の耐熱ガラス管(101)表面温度を、接触式表面温度計を用いて測定した。温度の測定結果を、表1および図4にまとめた。
(比較例1)
耐熱ガラス管(101)を回転しないこと以外は実施例1と同様にして、電熱線(103、105)を通電した。このときの通電量は1600Wであり、電熱線の各々(103、105)の発熱温度は450℃であった。
耐熱ガラス管(101)表面の幅方向(a)における温度を、耐熱ガラス管(101)表面の幅方向(a)における中心(図4における、700mmの地点)から幅方向(a)における両末端に向けて、10.5mm間隔ごとに各々14点の耐熱ガラス管(101)表面温度を、接触式表面温度計を用いて測定した。温度の測定結果を、表1および図4にまとめた。
Figure 2011165527
実施例1の加熱ローラ(100)では耐熱ガラス管(101)は回転しながら、電熱線(103、105)によって加熱されたため、表1から分かるように、耐熱ガラス管(101)表面の幅方向(a)における最大温度と最低温度の差が5.0℃と小さく、温度差の標準偏差も1.4と小さいものであった。そして、図4から分かるように、耐熱ガラス管(101)表面の幅方向(a)における、隣接する測定箇所同士の温度変化が、最大でも5℃より小さなものであった。
一方、比較例1の加熱ローラ(100)では耐熱ガラス管(101)は回転せず、電熱線(103、105)によって加熱されたため、表1から分かるように、耐熱ガラス管(101)表面の幅方向(a)における最大温度と最低温度の差が12.0℃と大きく、温度差の標準偏差も3.1と大きなものであった。そして、図4から分かるように、耐熱ガラス管(101)表面の幅方向(a)における10.5mm間隔での温度変化が、最大で12.0℃(658mmと668.5mmの間)と大きなものであった。
以上から、本発明に係る加熱ローラ(100)は耐熱ガラス管(101)が回転可能であることにより、円筒体(101)の正確な温度制御が行える加熱ローラ(100)である。
(実施例2)(a)紡糸原液の調製
ポリアクリロニトリル(三菱レイヨン株式会社製、登録商標:ボンネル)を、ジメチルホルムアミド(沸点:153℃)に濃度16mass%となるように溶解させた紡糸原液(粘度:2350mP・s)を用意した。
(b)繊維ウェブ製造装置の準備
図5〜図6に示すような繊維ウェブ製造装置を用意した。つまり、288本のノズル群(12〜1217)(それぞれ内径が0.4mmのステンレススチール製針状ノズル)をピッチ60mmで、チェーン状支持体(16c)にそれぞれ固定し、この支持体(16c)を第1スプロケット(16a)と第2スプロケット(16b)との間に橋渡し、ノズル群(12〜1217)を長円状に配置した。更に、第1スプロケット(16a)に駆動モーター(16)を取り付けた。
次いで、ポリエチレン製容器(11)にマイクロポンプ(13)(マイクロポンプ社製;マイクロポンプFC−513 ポンプヘッド:188 1rpm=0.017mLタイプ;コントローラ部=株式会社中央理化製)を接続するとともに、パーフルオロアルコキシ樹脂製チューブ(11a)を接続し、このチューブ(11a)をノズル(12)にロータリージョイントを介して接続した。次いで、このノズル(12)と隣接するノズル(12)とを前記と同様のチューブで接続し、紡糸原液がノズル(12)を介してノズル(12)へ供給できるようにした。同様に、ノズル(12)とノズル(12)、ノズル(12)とノズル(12)と順番にチューブで接続して、ノズル(1217)まで紡糸原液を供給することができるようにした。
次いで、ガラスクロスにポリテトラフルオロエチレン及び導電性粒子を含浸し、焼成したベルト状捕集体(15)をアースして、前記ノズル群(12〜1217)の直下に設置した。次いで、マイクロポンプ(13)のギアポンプヘッドに高電圧電源(14)を接続するとともに、前記ノズル群(12〜1217)の先端が、上方から下方に向かってベルト状捕集体(15)の方向に向いており、しかもノズル群(12〜1217)のエンドレス軌道の長径方向がベルト状捕集体(15)の幅方向(移動方向に対する直交方向)と一致するように、ノズル群(12〜1217)を配置した。なお、ノズル群(12〜1217)のノズルの先端とベルト状捕集体(15)の捕集表面との距離は90mmとした。
次に、前記ノズル群(12〜1217)及びベルト状捕集体(15)を塩化ビニル製直方体紡糸容器(18)(幅:2000mm、高さ:2000mm、奥行き:4000mm)の中央部に配置した。なお、直方体紡糸容器(18)の内側には、上壁面から700mm下方側の位置に整流板(19a)を上壁面と平行に配置した。また、ベルト状捕集体(15)の移動方向端部に、ベルト状捕集体(15)に従動して繊維ウェブを巻き取ることができるように、紙管(17)(直径:87mm、長さ:1400mm)を設置した。
そして、直方体紡糸容器(18)の上壁面に温湿度調整機能を備えた送風機(19)(PAU−1400HDR、(株)アピステ)を接続するとともに、直方体紡糸容器(18)の下壁面に排気ファン(20)を接続した。
(c)繊維シートの製造
前記紡糸原液を前記容器(11)に入れ、前記マイクロポンプ(13)を用いて紡糸原液を、ノズル(121)を介してノズル群(12〜1217)へ供給し、ノズル群(12〜1217)を100mm/sec.の一定速度で移動させながら、各ノズルから紡糸原液を吐出(1本あたりの吐出量:3.0g/時間)し、また、前記ベルト状捕集体(15)を一定速度(表面速度:100mm/分)で移動させながら、前記高電圧電源(14)から紡糸原液に+23kVの電圧を印加して、吐出した紡糸原液に電界を作用させて繊維化し、前記ベルト状捕集体(15)上に集積させて、平均繊維径0.4μmの連続繊維からなる繊維ウェブを製造し、紙管(17)で巻き取った。なお、繊維ウェブを製造する際には、送風機(19)から温度26℃、相対湿度23%の調湿エアを10m/分で供給するとともに、排気口から出てくる気体を排気ファン(20)で排気した。
このようにして得られた、生産方向に長尺状である繊維ウェブの表面に、皺や気泡が発生していないことを確認し、これを長尺状の繊維シートとした。
(d)熱源の調整
回転軸として、直径が34mm、長さが700mmのステンレス金属棒(107)を用意した。
なお、該ステンレス金属棒(107)の両端部に、熱源支持体として直径が8mm、長さが57.5mmのステンレス金属突起(102)を、該ステンレス金属棒(107)の長さ方向と垂直を成すように3つずつ設けた。なお、該ステンレス金属棒(107)の長さ方向と垂直を成す方向における断面において、3つのステンレス金属突起(102)同士は、図2のように互いに120°を成すように設けた。
更に、直径150mm、長さ500mmのステンレスメッシュのシリンダ(メッシュ厚さ:0.5mm、円柱表面の空隙率:71%)を、ステンレス金属棒(107)とステンレスメッシュのシリンダの中心が一致するようにして設けた。なお、ステンレスメッシュのシリンダは針金により、各ステンレス金属突起(102)上に固定した。
加熱部材として、電熱線(103、容量:2000W、直径:3.2mm)を用意するとともに、電熱線(103)が成す螺旋の間隔が31.3mm(隣接する電熱線(103)同士の最短距離は28.1mm)となるように、電熱線(103)をステンレスメッシュのシリンダに、螺旋形状に16周巻きつけることで、螺旋形状をした熱源(106)を製作した。
円筒体として、耐熱ガラス管(101、直径:200mm、厚さ:5mm、長さ:600mm、コーニング社、登録商標:パイレックス)を用意するとともに、耐熱ガラス管(101)を、ステンレス金属棒(107)、ステンレスメッシュのシリンダ、螺旋形状をした熱源(106)を覆うように設けた。このとき、モーター装置(三菱電機社製、ACサーボモータ HF-KP053)と連結することでエンドレス回転が可能なベルトによって、耐熱ガラス管(101)を回転可能な状態とした。このようにして、繊維シートを加熱処理する為の加熱ローラ(100)を製作した。
なお、耐熱ガラス管(101)の横断面において、金属棒(107)を中心として、螺旋形状をした熱源(106)と耐熱ガラス管(101)は、図2のように、同心円状に配置されている状態であった。また、このときの離間距離(L1)の長さは、16.8mmであった。
耐熱ガラス管(101)を100mm/minの速度で回転させながら、電熱線の各々(103、105)をパワーサプライ(図示せず)と並列に接続して、電熱線の各々(103、105)を通電した。このときの通電量は1300Wであった。
(e)繊維シートの加熱
(c)項で得られた長尺状の繊維シートを、生産方向と垂直をなす方向(幅方向)が30cmとなるように切り出して、(d)項で製作した加熱ローラ(100)を用いて切り出した繊維シートを加熱処理した。
この時、切り出した繊維シートを繊維シートの生産方向にテンポ100mm/minで搬送すると共に、(d)項で調整した加熱ローラ(100)の耐熱ガラス管(101)表面と接触させて加熱処理した。なお、耐熱ガラス管(101)を切り出した繊維シートの搬送と同調して回転させた。
繊維シートと耐熱ガラス管(101)表面との接触時間は4分間(接触長さ:400mm)であった。つまり、切り出した繊維シートは加熱ローラ(100)により4分間、加熱処理されたものであった。
(f)加熱処理された繊維シートの物性評価
このようにして加熱処理された繊維シートの、幅方向における色差と3%モジュラス強度を測定し、表2および表3、図7および図8にまとめた。
なお、繊維シートの幅方向における色差と3%モジュラス強度の測定方法は、次の測定方法に則り行った。
(色差の測定方法)
色彩色差計(CR−200、ミノルタカメラ株式会社製 口径8mm)を用いて、JIS Z8729 L*a*b*表色系に基づき、加熱処理前の繊維シートと、加熱処理後の繊維シートとの、幅方向における色差ΔEを測定した。
なお、加熱処理後の繊維シートの幅方向にわたり色差ΔEの値が一定に保たれていることは、繊維シートが幅方向において均一に加熱処理されたことを示す。
(3%モジュラス強度の測定方法)
加熱処理後の繊維シートを生産方向の長さが15cmとなるように切断して、切片(生産方向の長さ:15cm、幅方向の長さ:30cm)を得た。該切片をその幅方向1.5cmごとに切断して、試験片(生産方向の長さ:15cm、幅方向の長さ:1.5cm)を20枚調製した。インストロン型引っ張り試験機(株式会社オリエンテック社、UST-100、チャック間距離:100mm、引張り速度:50mm/min)を用いて、各試験片の生産方向における3%モジュラス強度を測定した。
なお、各試験片の3%モジュラス強度が一定であることは、加熱処理後の繊維シートは、幅方向にわたり3%モジュラス強度の値が一定に保たれていることを示す。これは、繊維シートが幅方向において均一に加熱処理されたことで、繊維シート中の溶媒もまた均一に除去されたことを示す。
(比較例2)
プレートヒータ(ノリタケ社製、ラジアンパッドヒーターPLR-320、容量:2000W、放熱部分:縦300mm、横400mm)を二台用意し、放熱部分の主面同士が平行をなして対面するように、150mm離間して対向させた。
二台のプレートヒータの放熱部分の主面各々を200℃に加熱するとともに、(e)項で得られた幅方向が30cmの切り出した繊維シートを、一方のプレートヒータ主面から75mm離れた位置(二台のプレートヒータの、放熱部分の主面同士の中間点)を繊維シートの生産方向にテンポ100mm/minで搬送して、繊維シートの加熱処理を行った。
この時、切り出した繊維シートは二台のプレートヒータ間を4分間かけて通過した。つまり、切り出した繊維シートはプレートヒータにより4分間、加熱処理されたものであった。
このようにして加熱処理された、繊維シートの幅方向における色差と3%モジュラス強度を、実施例1と同様に測定し、表2および表3、図7および図8にまとめた。
Figure 2011165527
Figure 2011165527
本発明に係る加熱ローラを用いて加熱処理した、実施例2の繊維シートの幅方向における色差ΔEは、表2から分かるように、色差ΔEの最大値と最低値の差が1.71と小さく、色差ΔEの標準偏差も0.65と小さいものであった。そして、実施例2の繊維シートの幅方向における3%モジュラス強度は、表3から分かるように、3%モジュラス強度の最大値と最低値との差が0.17と小さく、3%モジュラス強度の標準偏差も0.06と小さいものであった。
更に、図7および図8から分かるように、本発明に係る加熱ローラ(100)を用いて加熱処理した、実施例2の繊維シートの幅方向における色差ΔEと3%モジュラス強度は、繊維シートの中央部とその両端部で均一であった。
以上から、本願発明に係る加熱ローラ(100)を用いて、加熱処理を行った実施例2の繊維シートは、幅方向における色差ΔEと3%モジュラス強度が一定であった。これは、本願発明に係る加熱ローラ(100)を用いて繊維シートを加熱処理すると、繊維シートが幅方向において均一に加熱処理されて、繊維シート中の溶媒(ジメチルホルムアミド)が均一に除去されたことを示すものである。
一方、プレートヒータを用いて加熱処理した、比較例2の繊維シートの幅方向における色差ΔEは、表2から分かるように、色差ΔEの最大値と最低値の差が4.04と大きく、色差ΔEの標準偏差も1.71と大きなものであった。そして、比較例2の繊維シートの幅方向における3%モジュラス強度は、表3から分かるように、3%モジュラス強度の最大値と最低値との差が0.84と大きく、3%モジュラス強度の標準偏差も0.34と大きいものであった。
更に、図7および図8から分かるように、プレートヒータを用いて加熱処理した、比較例2の繊維シートの幅方向における色差ΔEと3%モジュラス強度は、繊維シートの中央部と比べ、その両端部で顕著に低くなる傾向が認められた。
以上から、プレートヒータを用いて、加熱処理を行った比較例2の繊維シートは、幅方向における色差ΔEと3%モジュラス強度が、実施例2の結果と比べて一定ではなかった。これは、プレートヒータを用いて繊維シートを加熱処理すると、繊維シートが幅方向において均一に加熱処理されず、繊維シート中の溶媒(ジメチルホルムアミド)が均一に除去されなかったことを示すものである。
また、比較例2の繊維シートの幅方向における色差ΔEと3%モジュラス強度は、繊維シートの中央部と比べて両端部で低くなる傾向が認められたことから、プレートヒータを用いて繊維シートを加熱処理すると、プレートヒータの加熱部位の両端部の温度が所望の温度よりも低温であることを示すものである。
そのため、プレートヒータを用いて繊維シートから溶媒を完全に除去するためには(繊維シートの幅方向の両端部からも溶媒を完全に除去するためには)、繊維シートを必要以上の高温で加熱する必要があることが判明した。
本発明に係る、繊維シートを加熱処理する為の加熱ローラ(100)は、繊維シートの加熱処理に利用できる。
100・・・加熱ローラ
101・・・円筒体
102・・・熱源支持体
103・・・第一加熱部材
104・・・第二加熱部材
105・・・第三加熱部材
106・・・熱源
107・・・回転軸
a・・・円筒体の幅方向
b・・・円筒体の回転方向
c・・・熱源が螺旋を形成している方向
L1・・・離間距離

11・・・ポリエチレン製容器
11a・・・パーフルオロアルコキシ樹脂製チューブ
12〜1217・・・ノズル群
13・・・マイクロポンプ
14・・・高電圧電源
15・・・捕集体
16・・・駆動モーター
16a・・・第1スプロケット
16b・・・第2スプロケット
16c・・・支持体
17・・・紙管
18・・・直方体紡糸容器
19・・・送風機
20・・・排気ファン

Claims (1)

  1. 回転可能な円筒体内に、該円筒体を加熱する螺旋形状の熱源が、該円筒体と一定間隔を隔てて支持されていることを特徴とする、繊維シートを加熱処理するための加熱ローラ。
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