JP2011163085A - 建物の引き戸またはドア - Google Patents
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Abstract
【課題】 通常の建物の引き戸またはドアとしての外観と機能とを備えながら、災害時に際しては、引き戸またはドアを締め切ったまま、その構成部材としての外観で組み込まれている非常用開閉部材を開いて建物外部に避難可能とする。
【解決手段】 建物のドアに、ドアが締め切られた状態において人間が通過することが可能なサイズの開口部を形成することができる非常用開閉部材を組み込んでなり、
前記非常用開閉部材は、開動作に際してドアの厚み内に収納される。前記非常用開閉部材は、これらに通常使用される固定の構成部材としての態様で、かつ、引き戸またはドア全体としてデザインを統一した非常用開閉部材を組み込む。この結果、非常用開閉部材は、外観的には開閉することができるようには見えないが、自然災等の緊急時に際しては、引き戸またはドアを締め切った状態においても、非常用開閉部材を開くことによって引き戸またはドアの一部に人間が通過することが可能なサイズの開口部を形成することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 建物のドアに、ドアが締め切られた状態において人間が通過することが可能なサイズの開口部を形成することができる非常用開閉部材を組み込んでなり、
前記非常用開閉部材は、開動作に際してドアの厚み内に収納される。前記非常用開閉部材は、これらに通常使用される固定の構成部材としての態様で、かつ、引き戸またはドア全体としてデザインを統一した非常用開閉部材を組み込む。この結果、非常用開閉部材は、外観的には開閉することができるようには見えないが、自然災等の緊急時に際しては、引き戸またはドアを締め切った状態においても、非常用開閉部材を開くことによって引き戸またはドアの一部に人間が通過することが可能なサイズの開口部を形成することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、建物の外壁部分、特に玄関部分の引き戸やドアとして使用することによって、地震災害等に際して引き戸やドアが開かなくなった場合においても避難経路を確保できるようにした建物の引き戸またはドアに関する。
台風や地震、洪水、津波等の自然災害時における緊急避難に際しては、風圧や水圧、建付けの狂いによって引き戸やドアが開かないという事態が少なからず発生する。特に、このような事態が建物の玄関戸について生じた場合には、予期し得ない逃げ遅れ等の人命にかかわる深刻な問題となる。
この問題に対しては、従来、災害時に備えての避難心得として、先ず、火の始末をすることに次いで、玄関戸を開け放って避難経路を確保することに優先順位が付けられる。しかし、上記玄関戸を開け放って避難経路を確保するという災害時における避難心得は、地震災害時については妥当すると考えられるものの、地震以外の災害に対しては、必ずしも適切な対策であるとは言えない場合が多く、却って災害被害を拡大もしくは深刻化させる危険を内包する対策であるともいえる。
すなわち、地震災害においては、建物に加わる激烈な振動によって生じ得る。例えば、玄関戸の戸枠の変形や損傷、建付けの狂いによって玄関戸が開かなくなる蓋然性が極めて大きいことから、玄関戸が開かなくなる前に予め玄関戸を開いて、避難通路を確保しておく必要がある。しかし、地震以外の、例えば近隣の火災に際しては熱風や火炎の侵入を阻止する必要から、台風災害においては暴風雨の侵入を阻止する必要において、洪水や津波に際しては土砂水や高波の流入を阻止する必要において、いずれも玄関戸を締め切っておく対応が求められる。しかし、玄関戸を締め切ることによって被害を避ける、または被害を最小限に抑えるという対応においては、風圧や水圧、土石流によって玄関戸が開かなくなった場合に、どのように避難経路を確保するのかということが問題となる。
この問題に対しては、例えば、通常の縦横寸法のドア本体の略上側半分内に別個独立に避難用のドアを組み込んだ構成を採用し、ドア本体を締め切って土石流や洪水の侵入を防止しつつ、必要に応じて避難用のドアを介しての脱出並びに、避難誘導を可能とする提案が見られる(下記特許文献1参照)。なお、同文献に示されるドア本体の下側半分には、土石流等の侵入防止板が添設され、この部分においてドアの厚みが倍増するごとく構成されている。
同様に、ドアを上扉部分と、下扉部分との上下2段構成とし、これに上扉部分の下端部と下扉部分の上端部とを突き合わせた状態で解除可能に接続する接続手段と、閉じ位置にある下扉部分をこの閉じ位置に解除可能に位置決めするチャイルドロック手段とを付設した提案例が見られる(下記特許文献2参照)。
上記のような提案は、採用されている構成に従って構成必然的な利点および欠点を伴いながらも、その目的とするところを達成できる。しかし、これらの提案が建物の外壁周りに使用する引き戸またはドアとして、殊に玄関戸として建築業界および一般需要者に広く受け入れられるか否かという点に関しては、疑問であるといわざるを得ない。
その理由としては、玄関戸が担っている建物の顔としてのデザイン機能、および玄関戸としての防災、防犯機能を挙げることができる。すなわち、玄関戸は、単に建物に出入りする家人の通行を開閉自在に許容するのみならず、重厚な造り込みと建物全体として統一感のあるデザインによって建物の第1印象を与える役割を果たしている。また、その堅固な造りおよびこれに伴う堅固な施錠機能によって刑事犯等の侵入を忌避するとともに、例えば、近隣火災の類焼や自然災害における暴風雨や洪水時の濁流等の侵入を防止する防災機能を果たすことが求められる。
玄関戸に対する上記要望事項は、「望ましくは」というような任意的要望ではなく、玄関戸である以上は、必ず備わっていなければならない機能、すなわち必要的機能であり、従って、建物の顔としての統一性のあるデザイン機能、厳重で確実な防犯、防災機能、堅固な施錠機能のいずれを欠いても、玄関戸としての採用を果たすことは、業者においても一般需要者においても困難である。
玄関戸用の引き戸またはドアとして求められる上記要望事項を上記従来の提案との関係において検討すると、次のような諸問題が提起される。例えば、ドア板に対して別個独立のドアを設けるという類型に属する提案と玄関戸としてのデザイン性の要求との関連においては、ドア板に造り付けられたドアの存在が外観的に判然としない処理をしない限りは、視覚的な違和感が避けられない結果となる。ドアにドアが取り付けられている状態は、通常ではないからである。また、視覚的違和感を是正するには、新たな工数とコストが必要とされる。
また、同類型に属する提案と要求される防災機能との関連においては、ドアとこのドアに取り付けられたドアとの間隙に対して適切な封止処理がなされない限り、火災に際しての熱風等の侵入が避けられないこととなる。さらに、同類型に属する提案と要求される堅固な施錠機能との関係においては、本来のドアのみならず、このドアに取り付けたドアについても、本来のドアと同等の性能を有する施錠機構を設置する必要がある。施錠機構による防犯機能は、本来のドアについての施錠機構と、このドアに取り付けたドアについての施錠機構とのいずれか防犯機能の低い一方の施錠機構のレベルに低下することとなるからである。また、封止処理や高価な施錠機構が二重に必要とされることによるコストアップ問題も無視できない。
さらに、本来のドアは、建物に固定された堅固な戸枠に対して施錠することができるのであるが、ドアに取り付けたドアについては、戸枠のような堅固な固定部材に対して直接に施錠をすることができないので、仮に、本来のドアと同一性能の施錠機構を採用した場合においても、その防犯機能が著しく低下するのを避けることができないという困難な問題がある。
なお、ドアを上下2段構成とする従来の提案と玄関戸としての要望機能との関係についても、上記と実質的に同一または類似の問題が提出されることとなる。
本発明は、上記従来の技術と、建物の外壁用の引き戸またはドアとしての、殊に建物の玄関戸としての引き戸またはドアに対する要望事項との対比的検討から提出された上記問題点を解決することを課題とする。
具体的には、従来のドアに避難用のドアを取り付ける考え方、または、ドアを上下2段構成として上側のドアを避難用として用いる場合における、外観上の違和感が避けられないという問題、この問題を是正するには、新たな工数、コストが必要となる問題、2重に必要となる施錠機構の相手部材との関係により防犯機能が低下するとの問題およびそのことによるコストアップの問題について、個々的な対応策または全体的な対応策を講じた建物の外壁用の引き戸またはドアを提供することを課題とする。
本発明の建物の引き戸またはドアは、建物の引き戸またはドアに、引き戸またはドアが締め切られた状態において人間が通過することが可能なサイズの開口部を形成することができる非常用開閉部材を組み込んでなり、前記非常用開閉部材は、前記引き戸またはドアに通常使用される固定の構成部材としての態様で組み込まれ、かつ、前記引き戸またはドア全体として統一デザインされていることを特徴とする。
本明細書中の「統一デザイン」とは、非常用開閉部材の存在自体および開閉動作の可能性自体を第三者に気付かれないようにするための違和感のないデザインを言い、例えば、模様や色彩を統一したり、木目を合わせたりするものでも良いが、ガラス窓のみドアや引き戸にあるような通常のドアや引き戸として通常あるものをそのままとしているような場合でも良い。また、引き戸またはドアは、防水対策が講じられていれば、金属製とすることもできるし木製とすることもできる。
また、引き戸またはドアは、室内に使用されるものではなく、専ら建物の外壁周りに建て付けられる外壁用の引き戸またはドアであることが好ましい。これは、災害を建物の外壁周りで食い止めながら、家人等が建物の外部に避難することを可能にするための引き戸またはドアが機能すべき位置ないし場所を示している。
また、引き戸またはドアは、室内に使用されるものではなく、専ら建物の外壁周りに建て付けられる外壁用の引き戸またはドアであることが好ましい。これは、災害を建物の外壁周りで食い止めながら、家人等が建物の外部に避難することを可能にするための引き戸またはドアが機能すべき位置ないし場所を示している。
災害時における家人等の避難は、引き戸またはドアに組み込まれた非常用開閉部材を介して行うことができる。すなわち、非常用開閉部材のサイズは、引き戸またはドアが締め切られた状態においても、人間が通過することが可能なサイズの開口部を形成することができるサイズである。
また、この非常用開閉部材は、引き戸またはドアに通常使用される固定の構成部材、例えば、戸板、桟、枠、飾りモール、帯、三角隅木、格子、ガラリガラス板等の態様で組み込まれている。これは、非常用開閉部材を引き戸またはドアに対して通常動くことがないように固定される部材によって構成することによって、非常用開閉部材の存在自体および開閉動作の可能性自体を第三者に気付かれないようにする趣旨であり、非常用開閉部材についての施錠機構の省略または簡素化を導くための構成でもある。
さらに、非常用開閉部材は、引き戸またはドア全体として統一デザインされている。これは、非常用開閉部材の存在および開閉動作の可能性を気取られないようにするためには、非常用開閉部材が引き戸またはドアに通常使用される固定の構成部材の態様を有するのみでは足りない場合があり、そこで、非常用開閉部材を構成している固定の構成部材が引き戸またはドア全体としての統一デザインとすることによって、非常用開閉部材のいわば隠蔽効果を確実にする趣旨である。また、この構成によって、引き戸またはドアが玄関戸として用いられた場合における建物の顔としてのデザイン機能を果たす。
本発明としては、非常用開閉部材が、引き戸またはドアにおける採光用のガラス窓として組み込まれていることを特徴とする。
上記発明においては、非常用開閉部材が採光用のガラス窓として組み込まれている。これは、例えば、玄関戸に採光用のガラス窓が組み込まれていることは、周知の構成であり、また、玄関戸におけるガラス窓が開閉できない、いわゆる嵌め殺しとされていることも周知である。したがって、このガラス窓が非常用開閉部材として何らかの操作によるならば開閉可能とされていても、そのことを察知して他人の家の開閉できないのが通常であるガラス窓の開閉方法を試験操作する第三者はいないであろうというのが本構成の趣旨である。
本発明としては、非常用開閉部材が引き戸またはドアに対する取外し動作および取付け動作によって開閉する構成であることが好ましい。
本発明としては、非常用開閉部材が引き戸またはドアに対する揺動動作によって開閉する構成である。
本発明としては、非常用開閉部材が引き戸またはドアに対するスライド動作によって開閉する構成であることが好ましい。
本発明としては、非常用開閉部材が引き戸またはドアに対する上下方向または左右方向のスライド動作によって開閉し、開動作に際して引き戸またはドアの厚み内に収納される構成であることが好ましい。
本発明としては、非常用開閉部材が折畳み動作によって開閉する構成であることが好ましい。
本発明としては、前記非常用開閉部材が、前記引き戸またはドアに対する上下方向又は左右方向のスライド動作によって開閉し、前記非常用開閉部材は、開動作に際して前記引き戸またはドアの厚み内に収納されることが好ましい。
本発明によれば、非常用開閉部材は、開動作に際して前記引き戸またはドアの厚み内に収納されることから、外部や内部に飛び出しているものとは異なり、その引き戸またはドアに組み込まれた非常用開閉部材をその仕組みとして認識されるような可能性は非常に少ない。すなわち、玄関戸である場合で説明すると、その外部から非常用開閉部材の仕組みが任されないことは、防犯上必要であるが、内部からも、例えば一度訪問したものが内側から認識されれば、仕組みがわかってしまい好ましくない。したがって、人間が通過することが可能なサイズの開口部を形成していても、玄関口等の建物の引き戸やドアとして使用されても、防犯効果等を失うことなく使用できる。
本発明によれば、非常用開閉部材は、開動作に際して前記引き戸またはドアの厚み内に収納されることから、外部や内部に飛び出しているものとは異なり、その引き戸またはドアに組み込まれた非常用開閉部材をその仕組みとして認識されるような可能性は非常に少ない。すなわち、玄関戸である場合で説明すると、その外部から非常用開閉部材の仕組みが任されないことは、防犯上必要であるが、内部からも、例えば一度訪問したものが内側から認識されれば、仕組みがわかってしまい好ましくない。したがって、人間が通過することが可能なサイズの開口部を形成していても、玄関口等の建物の引き戸やドアとして使用されても、防犯効果等を失うことなく使用できる。
本発明としては、非常用開閉部材がどのような操作または動作によってどのように開閉可能なのかについて好ましい開閉動作のバリエーションを個々に示している。
本発明としては、非常用開閉部材が引き戸またはドアを建て付けた建物の内部側からのみ無鍵で解錠可能な無鍵施錠手段を備える構成とすることが好ましい。
上記構成は、災害時の狼狽によって非常用開閉部材の鍵の存在を失念したような事態においても非常用開閉部材を開くことができることを担保するとともに、例えば、悪意によって建物の外部側から非常用開閉部材が不用意に操作されるような事態を確実に防止することを担保する構成である。
本発明は、引き戸またはドアが締め切られた状態において人間が通過することが可能なサイズの開口部を形成することができる非常用開閉部材を組み込みことによって、通常の玄関戸として引き戸またはドアを締め切って施錠した状態で、玄関戸等の建物に求められるところの、例えば、自然災害時における暴風雨や濁流の侵入阻止等の防災機能、また、例えば、刑事犯等の侵入阻止等の防犯機能および引き戸またはドア全体としてのデザイン機能を果たしながら、避難の必要性が生じた場合においては、開閉されることのない引き戸またはドアの固定部材の態様で組み込まれた非常用開閉部材を開くことによって、締め切られた状態の引き戸またはドアが災害等の影響によって開くことが不可能な状態、もしくは開かないほうが好ましい状況に至っている場合においても、引き戸またはドアの一部に人が通過することができる開口部を形成することができるので、その開口部を介して建物の外部に簡単に避難することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明は、建物HSの内部と建物HSの外部とを開閉可能に遮断する役目を有する建物外壁用の引き戸10Aまたはドア10Bに適用される。殊に、建物HSの主たる出入り口である玄関の玄関戸として好適に適用される。本発明を適用することによって建物HSの玄関戸としての機能が損ねられることは全くないからであり、また、玄関戸は、本発明の目的である緊急時の避難経路を確保する上で重要な位置に配置されているからである。なお、建物外壁用の引き戸10Aまたはドア10Bであれば、それが金属製であるか木製であるかを問うことなく本発明の対象となる。
本発明は、建物HSの内部と建物HSの外部とを開閉可能に遮断する役目を有する建物外壁用の引き戸10Aまたはドア10Bに適用される。殊に、建物HSの主たる出入り口である玄関の玄関戸として好適に適用される。本発明を適用することによって建物HSの玄関戸としての機能が損ねられることは全くないからであり、また、玄関戸は、本発明の目的である緊急時の避難経路を確保する上で重要な位置に配置されているからである。なお、建物外壁用の引き戸10Aまたはドア10Bであれば、それが金属製であるか木製であるかを問うことなく本発明の対象となる。
(実施の形態1)
本発明は、例えば、採光用のガラス窓1Aを有する木製の引き戸10Aである玄関戸として実施することができる(図1)。
本発明は、例えば、採光用のガラス窓1Aを有する木製の引き戸10Aである玄関戸として実施することができる(図1)。
図1は、0.91メートルを基準寸法とする和風のデザインコンセプトによる左右1対の引き戸10A,10Aを両開き配置に建て付けた玄関戸の外観を示している。このような両開き配置の引き戸10A,10Aについては、本発明をいずれか一方の引き戸10Aに適用すれば十分である。本発明は、向かって左側の引き戸10Aに適用されているが、本発明を適用した引き戸10Aと、適用しない一般的な引き戸10Aとの間に一見しての外観上の相違は存在しないように工夫されている。
各引き戸10Aは、左右1対の縦框11,11間に上桟12と中桟13と下桟14との3本の横桟を横設することによって基本的な枠体を形成し、左右の縦框11,11と中桟13と下桟14とによって囲繞された開口部Hを飾り板16と補強用の中間縦桟15を組み込んで塞ぐとともに、左右の縦框11,11と中桟13と上桟12とによって囲繞された上側の開口部Hにガラス板18を嵌め込んで塞いでなる。つまり、各引き戸10Aは、採光用のガラス窓1Aを備える木製の玄関戸としての体裁に仕上げられている。なお、各引き戸11,11は、開閉操作用の取手金具の有無を除き、表裏同一デザインである(図1,図2)。
1対の引き戸11,11におけるガラス窓1A,1Aは、いずれも開口部Hに嵌め込まれたガラス板18の4周に沿って引き戸11,11の表裏両側から断面三角形のエルボまたはガラス桟が取り付けられ、ガラス板18をエルボ等によって挟み込む態様になっている。ただし、ガラス板18は、エルボ等によってのみ固定されている訳ではなく、実際には、ガラス板18の4周は、その左右に位置する縦框11,11および上下に位置する上桟12と中桟13にかけて連続して刻設するガラス溝に直接嵌め込まれているのである。エルボ等は、半ばガラス板が完全に固定されていることを強調するデザイン要素として、半ばガラス窓の機密性を高めるシール部材として用いられている。
1対の引き戸11,11のうち本発明の適用された引き戸11のガラス窓1Aは、本来のガラス窓1Aであると同時に、本発明の非常用開閉部材20を兼ねている。つまり、このガラス窓1Aは、その外観にかかわらず緊急事態に際して開閉することができる。その開閉の仕組みは次の通りである。
ガラス板18を拘束している左右の縦框11,11の一方の縦框11には、ガラス板18の一方の側端面に対応してガラス板18を側方にスライドさせて通過させることができるスリットSが形成されている(図2)。さらに、同じ縦框11の屋内側INの側面には、スリットSに直交する向きに角孔Kが形成され、この角孔Kには、スリットSの内部に突出して余りある長さの嵌め木1Bが差し込まれている。また、ガラス板18には、玄関戸の開閉を報知する鈴が樹脂製の吸着具Mを介して取り付けられている。
ここで、スライド方向としては、一対の引き戸11と11が段違いに交差するタイプでは、一方のみを裏側にスライドさせるようにするか、又は、厚さを相違させて、互いのガラス板が交差できるようにする。なお、壁側にスライドしたガラス板11を収納する穴を設けても良い。
ここで、スライド方向としては、一対の引き戸11と11が段違いに交差するタイプでは、一方のみを裏側にスライドさせるようにするか、又は、厚さを相違させて、互いのガラス板が交差できるようにする。なお、壁側にスライドしたガラス板11を収納する穴を設けても良い。
上記のような形態の引き戸11は、例えば、地震や洪水等によって玄関戸が開かなくなったような事態においても、嵌め木1Bを手前に引き出し、吸着具Mを手掛かりとしてガラス板18をスリットSを介して側方にスライドさせる簡単で長時間を要さない操作により、ガラス板18によって塞がれていた開口部Hを開放することができる。引き戸11が0.91メートルを基準寸法として形成されている場合、この開口部Hのサイズは、人が余裕をもって通過することができるサイズである。なお、嵌め木1BがスリットSに達するまで差し込まれていれば、屋外側OTからも屋内側INからも引き戸11のガラス板18を操作することはできない。すなわち、この嵌め木1Bは、本発明にいう無鍵施錠手段30である。
以下、順次に本発明の他の好ましい実施の形態を説明する。この際、先の実施の形態について既に説明した内容と重複する部分については、説明を簡略化または省略して説明する。
(実施の形態2)
玄関戸等に採用される引き戸11おいてガラス窓1Aを形成するガラス板18は、本発明の非常用開閉部材20として、上下方向にスライドさせることによって開閉操作することができる。また、この場合においては、開動作によって下降したガラス板18を引き戸11の厚み内に収納することができる(図3)。
玄関戸等に採用される引き戸11おいてガラス窓1Aを形成するガラス板18は、本発明の非常用開閉部材20として、上下方向にスライドさせることによって開閉操作することができる。また、この場合においては、開動作によって下降したガラス板18を引き戸11の厚み内に収納することができる(図3)。
上記動作を可能とするため、玄関戸の中桟13、中間縦桟15および飾り板16,16は、ガラス板18が通過することできる間隙を保った2枚対峙構成とされている。この際、ガラス板18を通過させる必用がない部分については、強度低下を防止するためスペーサ17を挟み込んで一体化される。対面する中桟13間には、上昇限にまでスライドさせて締め切った状態のガラス板の下端を支持する1対のロックピン2B,2Bが差し込まれている。
上記形態の引き戸11は、片手でガラス板18を押すようにしながら他方の手でロックピン2B,2Bを抜き取り、ガラス板18を押す力を加減することにより、ガラス板18の自重を利用しながら任意の速さでガラス板18を引き戸11の下側部分内に収納し、ガラス板18によって塞がれていた開口部Hを開放することができる。この動作形態の非常用開閉部材20は、戸当たり等が存在することによりガラス板18を側方にスライドさせることができない場合にも利用できるという大きな利点がある。なお、ロックピン2B,2Bは、本発明にいう無鍵施錠手段30である。
(実施の形態3)
本発明は、スチール製のドア10Bについても何らの障害なく実施することができる。スチール製のドア10B1Aは、右開きであっても左開きであってもよい。また、シール材を介在させて洪水等からの水の浸入防止が図られているものでも良い。ここでは、ドア10Bがガラス窓1A付きのものであり、そのガラス窓1Aを非常用開閉部材20として利用する形態を説明する(図4)。スチール製のドア10Bにおいては、予めガラス板18と窓枠19とを組み合わせた窓枠ユニット1Nとし、窓枠ユニット1Nをドア本体1Mの窓用の開口部Hに対して取付け、取外し自在とすることが好ましい。
本発明は、スチール製のドア10Bについても何らの障害なく実施することができる。スチール製のドア10B1Aは、右開きであっても左開きであってもよい。また、シール材を介在させて洪水等からの水の浸入防止が図られているものでも良い。ここでは、ドア10Bがガラス窓1A付きのものであり、そのガラス窓1Aを非常用開閉部材20として利用する形態を説明する(図4)。スチール製のドア10Bにおいては、予めガラス板18と窓枠19とを組み合わせた窓枠ユニット1Nとし、窓枠ユニット1Nをドア本体1Mの窓用の開口部Hに対して取付け、取外し自在とすることが好ましい。
非常用開閉部材20としてのガラス窓1Aを構成する窓枠ユニット1Nは、樹脂成形または板金加工によって額縁状に形成した窓枠19にガラス板18を固定したものであり、窓枠19とガラス板18とは、1ユニットとして一体に取り扱われる。ここで、窓枠19に対するガラス板18の取り付け方に特徴がある。
窓枠19は、スチール製のドア10Bの表面に着座するフランジ部19Aと、窓用の開口部Hの内部に入り込んで位置決めされるガイド部19Bとからなる(図4,図5)。フランジ部19Aの下辺部には、開閉操作用の指掛けF,Fが形成されている。また、ガラス板18の左右幅寸法とガイド部19Bの左右幅寸法とは、略一致するように設定されている。他方、ガラス板18に上下寸法は、ガイド部19Bの上下寸法に対して幾分長く設定されている。
この結果、窓枠19とガラス板18とを組み合わせたときに、ガラス板18の上下端部がガイド部19Bから突出することとなる。ここで、ガラス板18の下端部がガイド部19Bから下方に突出する突出長さに対して、ガラス板の上端部がガイド部から上方に突出する突出長さのほうが大きくなるように設定されている。一方で、ドア10Bの開口部Hの上端面と下端面には、それぞれガラス板18の突出部を受け入れるための条溝18H,18Hが形成されている。なお、開口部Hの上端面の条溝18Hは、開口部Hの下端面の条溝18Hに対して深く形成されている(図5)。
上記のような窓枠ユニット1Nは、ドア10Bに対して、その開口部Hの上下面に形成した条溝18H,18Hに窓枠ユニット1Nのガラス板18の上縁部と下縁部とを嵌め込むことによって組み付けられている。このとき、窓枠19のフランジ部19Aは、ドア10Bの開口部Hの周囲を取り囲むように被覆して外観を整えるように機能する。このような窓枠ユニット1Nの組み付け方は、例えば、和風建物における障子戸の建付け構造と同様のものである。したがって、非常用開閉部材20としての採光用のガラス窓1Aは、有事に際して障子戸を取り外すのと同様の操作によってスチール製のドア10Bの一部に簡単に避難用の開口部Hを形成することが出きる。
具体的には、先ず、窓枠19の指掛けF,F(図4)を利用して窓枠ユニット1N全体を上方に持ち上げ、ガラス板18の下縁部を条溝18Hから抜きとる(図5矢印F1)。次いで、窓枠ユニット1Nの下側を手前に引き、ガイド部19Bを開口部Hから外部に脱出させる(図5矢印F2)。次いで、斜め姿勢になった窓枠ユニット1Nを元の姿勢に戻すことなくそのままの姿勢で斜め下に移動させることによってガラス板18の上縁部を条溝18Hから抜き取ることができる(図5矢印F3)。これによって窓枠ユニット1N全体をドア10Bから取り外すことができる。この操作は、簡単ではあるが、構造を理解していないとまごつく場合があるので、事前に一度取外しの練習をしておくことが好ましい。なお、本形態の非常用開閉部材は、屋外側OTからは、取り外すことができないので施錠機構の必要性は希薄である。
(実施の形態4)
上記非常用開閉部材20としてのガラス窓1Aは、ドア10Bに対する揺動動作によって開閉する構造とすることができる(図6)。例えば、窓枠19のフランジ部19Aの上辺をドア本体1Mにヒンジ金具K1を利用して固定し、フランジ部19Aの下辺を回転クランプ金具K2を用いてドア本体1Mに押し付けるように拘束する構造とすることができる。本形態の非常用開閉部材20は、回転クランプ金具K2を操作してフランジ部19Aの下辺を開放することによって、フランジ部19Aの上辺のヒンジ金具K1を介して窓枠19の下辺を前後に煽るようにして開閉することができる(図6の2点差線)。なお、回転クランプ金具K2は、本発明にいう無鍵施錠手段30である。回転クランプ金具K2による閉塞は、密閉性に優れ、洪水等による水の浸入防止効果も高い。
上記非常用開閉部材20としてのガラス窓1Aは、ドア10Bに対する揺動動作によって開閉する構造とすることができる(図6)。例えば、窓枠19のフランジ部19Aの上辺をドア本体1Mにヒンジ金具K1を利用して固定し、フランジ部19Aの下辺を回転クランプ金具K2を用いてドア本体1Mに押し付けるように拘束する構造とすることができる。本形態の非常用開閉部材20は、回転クランプ金具K2を操作してフランジ部19Aの下辺を開放することによって、フランジ部19Aの上辺のヒンジ金具K1を介して窓枠19の下辺を前後に煽るようにして開閉することができる(図6の2点差線)。なお、回転クランプ金具K2は、本発明にいう無鍵施錠手段30である。回転クランプ金具K2による閉塞は、密閉性に優れ、洪水等による水の浸入防止効果も高い。
(実施の形態5)
折畳み動作によって開閉する非常用開閉部材20を木製のドア10Bについて実施する場合の構造を例示する(図7)。木製のドア10Bの上半部と下半部とには、いずれも同じサイズの大きな開口部Hが形成されており、各開口部Hは、同じデザインのガラリ板1Gによって塞がれている。ただし、下側のガラリ板1Gは、外観を上側のガラリ板1Gと同一に仕上げたダミーであって開閉するための機構は省かれている。一方、上側のガラリ板1Gは、本発明の非常用開閉部材20として、例えば、アコーディオンドアや折り戸の開閉動作に類似する動作によって開閉する構造である。
折畳み動作によって開閉する非常用開閉部材20を木製のドア10Bについて実施する場合の構造を例示する(図7)。木製のドア10Bの上半部と下半部とには、いずれも同じサイズの大きな開口部Hが形成されており、各開口部Hは、同じデザインのガラリ板1Gによって塞がれている。ただし、下側のガラリ板1Gは、外観を上側のガラリ板1Gと同一に仕上げたダミーであって開閉するための機構は省かれている。一方、上側のガラリ板1Gは、本発明の非常用開閉部材20として、例えば、アコーディオンドアや折り戸の開閉動作に類似する動作によって開閉する構造である。
ガラリ板1Gは、4枚の丈夫な飾り板16…を布ヒンジ、樹脂ヒンジ、またはヒンジ金具を介してジグザグ折り可能に連結してなる。このガラリ板1Gには、ジグザグ折りにした際に一方の側に揃うこととなる各飾り板16…の上端面および下端面の端部には、上下方向に向けてガイドピンP…が突設されている。各飾り板16の上下寸法は、開口部Hの上下内法寸法相当であり、ガラリ板1Gの展開寸法は、開口部Hの左右内法寸法相当である。
非常用開閉部材20としてのガラリ板1Gが組み込まれることとなる木製のドア10Bの開口部Hの上端面と下端面とには、それぞれ水平方向のガイド溝16G,16Gが設けられている。また、上下のガイド溝16G,16Gに沿ってドア10Bの屋外側OTと屋内側1Nとには、ガラリ板1Gの折畳み動作を規制する規制桟16S…が設けられている。それぞれ上下1対の規制桟16S,16Sのうち、ドア10Bの屋外側OTに取り付けられる規制桟16S,16Sは、ドア10Bに取外し不能に固定される。また、屋内側1Nの各規制桟16S,16Sは、両端部に開口部Hの左右の図示しないほぞ穴に挿入する差込みほぞを備え、差込みほぞを抜くことによって取外し可能である。
ガラリ板1Gは、ドア10Bの開口部Hに対して、開口部Hの上下に設けられたガイド溝16G,16GにガイドピンP…を差し入れるとともに、上下各1対の規制桟16S,16Sによってガラリ板1Gの上下2箇所を折畳み動作不能に拘束した状態で組み込まれる。本形態の木製のドア10Bは、屋内側1Nの規制部材16S,16Sを取り外し、ガラリ板1Gをジグザグ折りに折り畳む操作によって閉じられていた開口部Hを避難可能に開放することができる。すなわち、屋内側INの規制桟16S,16Sは、本発明にいう無鍵施錠手段30である。
(実施の形態6)
玄関戸等に採用される引き戸11おいてガラス窓1Aを形成するガラス板18に、開閉用部材27が取り付けられている(図8)。開閉用部材27は、溝28が形成されて、非常用開閉部材20を開閉操作を容易にするとともに、ガラス窓3Aを開放したときの開放の行き過ぎを規制する役割を果たす。なお、図8の二点鎖線は、非常用開閉部材20を開放した状態を示し、上記開閉用部材27の一側縁27bが上記縦框11と接触する。他方、非常用開閉部材20を閉塞すると、上記開閉用部材27の他側縁27aが上記縦框11と接触する(実践を参照)。なお、開閉用部材27は、ガラス板18のカバーになるように取り付けることも可能である。
本実施の形態では、左右方向のスライドを容易にするために、ガラス板18の左右の一方のみに配されているが、図3に示すような上下方向のスライドにも適用でき、所定幅の一側面がドアと統一デザインとされている。
玄関戸等に採用される引き戸11おいてガラス窓1Aを形成するガラス板18に、開閉用部材27が取り付けられている(図8)。開閉用部材27は、溝28が形成されて、非常用開閉部材20を開閉操作を容易にするとともに、ガラス窓3Aを開放したときの開放の行き過ぎを規制する役割を果たす。なお、図8の二点鎖線は、非常用開閉部材20を開放した状態を示し、上記開閉用部材27の一側縁27bが上記縦框11と接触する。他方、非常用開閉部材20を閉塞すると、上記開閉用部材27の他側縁27aが上記縦框11と接触する(実践を参照)。なお、開閉用部材27は、ガラス板18のカバーになるように取り付けることも可能である。
本実施の形態では、左右方向のスライドを容易にするために、ガラス板18の左右の一方のみに配されているが、図3に示すような上下方向のスライドにも適用でき、所定幅の一側面がドアと統一デザインとされている。
1A ガラス窓、
10A,11 引き戸、
10B ドア、
16 飾り板
18 ガラス板
19 窓枠、
20 非常用開閉部材、
H 開口部
10A,11 引き戸、
10B ドア、
16 飾り板
18 ガラス板
19 窓枠、
20 非常用開閉部材、
H 開口部
Claims (8)
- 建物の引き戸またはドアに、前記引き戸またはドアが締め切られた状態において人間が通過することが可能なサイズの開口部を形成することができる非常用開閉部材を組み込んでなり、
前記非常用開閉部材は、前記引き戸またはドアに通常使用される固定の構成部材としての態様で組み込まれ、かつ、前記引き戸またはドア全体として統一デザインされていることを特徴とする建物の引き戸またはドア。 - 前記非常用開閉部材が、前記引き戸またはドアにおける採光用のガラス窓として組み込まれていることを特徴とする請求項1に記載の建物の引き戸またはドア。
- 前記非常用開閉部材が、前記引き戸またはドアに対する取外し動作および取付け動作によって開閉することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の建物の引き戸またはドア。
- 前記非常用開閉部材が、前記引き戸またはドアに対する揺動動作によって開閉することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の建物の引き戸またはドア。
- 前記非常用開閉部材が、前記引き戸またはドアに対するスライド動作によって開閉することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の建物の引き戸またはドア。
- 前記非常用開閉部材が、前記引き戸またはドアに対する上下方向又は左右方向のスライド動作によって開閉し、前記非常用開閉部材は、開動作に際して前記引き戸またはドアの厚み内に収納されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の建物の引き戸またはドア。
- 前記非常用開閉部材が、折畳み動作によって開閉することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の建物外壁用の引き戸または扉。
- 前記非常用開閉部材が、前記引き戸またはドアを建て付けた建物の内部側からのみ無鍵で解錠可能な無鍵施錠手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の建物の引き戸またはドア。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010030204A JP2011163085A (ja) | 2010-02-15 | 2010-02-15 | 建物の引き戸またはドア |
Applications Claiming Priority (1)
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2010-02-15 JP JP2010030204A patent/JP2011163085A/ja active Pending
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