JP2011162380A - シリコン原料の溶解方法および供給装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】石英ルツボの劣化を招くことがなく、また取り扱いが簡便で、しかも溶解時間を大幅に短縮して生産性を高めることができるシリコン原料の溶解方法を提供する。
【解決手段】チョクラルスキー法により直径が300mm以上のシリコン単結晶を育成する場合に、石英ルツボ1a内に、多結晶のシリコン原料10を複数回にわたってチャージして所定量の融液を確保する。この際、ルツボ1a内に初期チャージ原料10’を投入後、この初期チャージ原料10’を溶解する間に、追加チャージの塊状原料10を収容した原料供給管8a、8bを、その底面がルツボ1a内の原料融液7の直上に位置するように降下させ、同時に加熱ヒータ11を原料を加熱しやすい位置に調整して、原料供給管内8a、8bの塊状原料10を予熱・加熱し、初期チャージ原料10’が溶解後、追加チャージの塊状原料10をルツボ1a内に投入する。
【選択図】図1

Description

本発明は、シリコン原料の溶解方法に関し、特に大量のシリコン原料を溶解する場合に、溶解時間の有利な短縮を図ったものである。
また、本発明は、上記したシリコン原料の短時間溶解を実施するのに好適なシリコン原料の供給装置に関するものである。
通常、チョクラルスキー法(CZ法)によるシリコン単結晶の育成において、ルツボ内に初期チャージとして投入された固形の多結晶シリコンは、ルツボを囲繞するヒータにより加熱して溶解する。そして、ルツボ内に所定量の原料融液が形成されると、ルツボを一定方向に回転させながら、ルツボ上に保持された種結晶を下降させ、ルツボ内の原料融液に浸漬させたのち、上記種結晶を所定の方向に回転させながら徐々に上昇させることにより、種結晶の下方に円柱状のシリコン単結晶を引き上げて育成する。
初期チャージとしてルツボ内に投入される固形原料は、ロッド状、塊状、または粒状等の各種形状の多結晶シリコンが用いられ、それぞれが単独、または複合して供給され、シリコン単結晶を育成する融液の原料となる。
このようなCZ法によるシリコン単結晶の育成では、ルツボ内に初期チャージされた固体原料が溶融すると、溶融後の体積が減少するため、ルツボの容積に比して得られる原料融液量が不足する。このような状態で単結晶を育成すれば、原料融液量の不足に起因して、生産性の低下を余儀なくされる。
上記起因による生産性の低下を回避するには、原料融液の不足分を補充して所望の融液量を確保することが必要になり、ルツボへの初期チャージ後に、固形原料を追加供給する技術として「追加チャージ」が行われている。
すなわち、「追加チャージ」では、ルツボ内に初期チャージされた固体原料を溶解した後、形成された原料融液に固形原料をさらに追加投入することによって、ルツボ内の原料融液量を増加させる技術である。この「追加チャージ」を適用することによって、使用するルツボの容積を有効に活用することができ、シリコン単結晶育成における生産性を向上させることができる。
ところで近年、シリコンウェーハの直径はますます大きくなる傾向にあり、直径が450 mmのシリコンウェーハも供給されつつある。
450mm結晶の場合、300mm結晶に比べると、直径が1.5倍となるので、溶解される原料融液量も格段に増大し、単純計算で3.38倍となる。そのため、原料を溶解する時間も300 mm結晶の場合に比較して大幅に長くなる。
小サイズの原料を加熱して追加チャージする技術として、特許文献1が知られている。
これは粒状シリコンを用いたものであるが、粒状シリコンは水素が侵入し易い等の製法上の問題があるだけでなく、表面積が大きいために結晶品質が悪く、さらに単結晶が有転位し易いという問題があった。
しかも、特許文献1の技術は、CZ引上げ装置の外部に加熱装置を設ける構造であるため、大規模な構造となり装置投資額が大きくなるという設備的なデメリットもある。
また、特許文献2には、本発明と同じように小サイズ原料を用いるものが提案されているが、加熱することはなくルツボに原料を単に追加チャージする技術である。このように、冷えた原料を追加チャージした場合には溶解時間の短縮化は望めない。
特開平6-100394 特開2003-20295
上述したとおり、従来の粒状シリコンを用いた場合には、設備的な負荷だけでなく、得られるシリコン単結晶の品質の面にも問題を残していた。
粒状シリコンのかような問題を解決するためには、原料として塊状の原料を用い、ルツボを囲繞するヒータのパワーを増大させて溶解速度を向上させることが考えられるが、ヒータのパワーを増大させた場合には石英ルツボの劣化を余儀なくされ、その結果、単結晶の引き上げ中に転位が発生し易くなるという問題があった。
また、別途、外部で固体原料を溶解し、この原料融液を使用することも考えられるが、融液は反応性に富んでいるため、その取り扱いが極めて難しいという問題があった。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、石英ルツボの劣化を招くことがなく、また取り扱いが容易で、しかも溶解時間を大幅に短縮して生産性を高めることができるシリコン原料の溶解方法を、その実施に用いて好適なシリコン原料の供給装置と共に提案することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.チョクラルスキー法により直径が300mm以上のシリコン単結晶を育成するに先立ち、石英ルツボ内に、シリコン原料を複数回にわたってチャージして所定量の原料融液を確保するに際し、
上記シリコン原料として塊状原料を用いること、
上記石英ルツボ内に投入したチャージ原料が溶解するまでの間に、次回のチャージ原料に、別途、加熱処理を施すこと、
を特徴とするシリコン原料の溶解方法。
2.前記塊状原料が、直径が10〜50mmの不定形原料からなることを特徴とする前記1に記載のシリコン原料の溶解方法。
3.前記次回のチャージ原料の供給時における温度を500℃以上とすることを特徴とする前記1または2に記載のシリコン原料の溶解方法。
4.前記所定量の原料融液量が400 kg以上であることを特徴とする前記1乃至3のいずれかに記載のシリコン原料の溶解方法。
5.前記シリコン単結晶の直径が400mm以上であることを特徴とした前記1乃至4のいずれかに記載のシリコン原料の溶解方法。
6.チョクラルスキー法によるシリコン単結晶の育成に用いられ、ルツボ内の原料融液に、塊状のシリコン原料を追加チャージする原料供給装置であって、
上記塊状のシリコン原料を収容し、底部にシリコン原料の排出口をそなえる原料供給管と、上記原料供給管の昇降装置とをそなえ、
上記原料供給管の少なくとも下部の周囲に、上記シリコン原料の加熱用の加熱装置を配設した
ことを特徴とするシリコン原料の供給装置。
7.前記原料供給管が、下端外周部にシリコン原料を排出するための排出口を有する内筒と、上記内筒の外周を覆う外筒からなり、それぞれ独立して昇降移動可能な円筒二重管構造になることを特徴とする前記6に記載のシリコン原料の供給装置。
8.前記加熱装置が、抵抗加熱方式または高周波加熱方式であることを特徴とする前記6または7に記載のシリコン原料の供給装置。
本発明によれば、シリコン単結晶の育成に先立ち、石英ルツボ内に所定量の原料融液を確保するに際し、石英ルツボの劣化を招くことなしに、簡便な取り扱いの下で、追加チャージの溶解時間を大幅に短縮することができ、ひいては生産性の大幅な向上を達成することができる。
本発明に従うシリコン原料の供給装置をそなえるCZ炉の断面図である。 円筒二重管構造になる原料供給管の展開図である。 加熱装置の斜視図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
図1に、本発明に従うシリコン原料の供給装置をそなえるCZ炉を断面で示す。
図中、符号1はルツボであり、このルツボ1は石英ルツボ1aおよびカーボンルツボ1bから構成されている。2はルツボ1を囲繞するヒータ、3はペディスタル(支持軸)、4は炉内ホットゾーン(HZ)下部断熱材、5は保温筒、6はチャンバーであり、7が溶解したシリコンからなる原料融液である。また、8は原料供給管であり、この原料供給管8は内筒8a,外筒8bの円筒二重管で構成され、それぞれの昇降を司るワイヤ9a,9bで吊下されている。10は原料供給管8内に充填された塊状のシリコン原料(以下、単に塊状原料ともいう)、10′は原料融液7内に追加投入された塊状原料である、
そして、11が原料供給管8の下部周囲に配設された塊状原料(シリコン原料)10を加熱するための加熱装置であり、この加熱装置11は電極フランジ12を通じて加熱電源制御装置13と接続されている。14は、加熱装置11から石英ルツボ1aへの熱を遮断するAr整流筒であり、このAr整流筒14はカーボン外筒14aと断熱材14bからなっている。
図1に示したように、内部に塊状原料10を収容した原料供給管8はワイヤー9で吊り下げられる構造になっている。
そこで、本発明では、この原料供給管8を、その底面がルツボ1内の原料融液7の直上(好ましくは50〜300mm上方)に位置するように保持しておく。これにより、原料供給管8内の塊状原料10を、原料融液7の輻射熱により効果的に予熱することができる。
そして、本発明では、さらに原料供給管8の少なくとも下部については、その周囲に配設した加熱装置11により積極的に加熱して、内部の塊状原料10の温度を一層上昇させる。
このように、原料供給管8の内部に収容した塊状原料10が、融液7に投入されるまでの間に、加熱装置11による加熱あるいは、融液7による予熱と加熱装置11による加熱の両者を付加して原料温度の上昇を図ることにより、追加チャージをルツボ1内に投入した後の原料溶解時間を大幅に短縮することができる。
また、図2に、円筒二重管構造になる原料供給管8を展開して示す。同図に示したとおり、原料供給管8の内筒8aの下端外周部には塊状原料10を排出するための排出口8cが設けられていて、原料供給管8が融液直上に保持されているときは外筒8bにより閉止されているが、追加チャージの際には外筒8bを引き上げ、内筒8aの排出口8cを開口させることによって、塊状原料10をルツボ1内に適宜供給できる仕組みになっている。また、内筒8aの底部は、図示したように、下方に向かって若干広がるようなテーパを設けた構造にしておくことが、原料をスムーズに排出する上で有利である。
なお、原料供給管における塊状原料の排出機構については、上記の機構だけに限るものではなく、要は、ルツボ1内に収容した塊状原料を円滑に排出できる仕組みであればいずれでも良い。
本発明において、加熱装置11としては、特に制限はないが、抵抗加熱方式や高周波加熱方式がとりわけ有利に適合する。図3に、加熱装置として、グラファイト素材の加熱ヒータを用いた場合の加熱装置11の全体を斜視面で示す。この加熱ヒータ11はチャンバー6に設けられた電極フランジ12を通じて外部の加熱電源制御装置とリンクした構造になっている。
ここに、加熱装置として抵抗加熱方式を利用する場合、電力投入量は坩堝内融液を加熱するメインヒーターの電力の5〜50%程度とすることが好ましい。
一方、加熱装置として高周波加熱方式を利用する場合、周波数があまりに大きいと、塊状原料の表面のみしか加熱されず、かえって加熱効率が低下するので、高周波加熱方式を利用する場合の周波数は20 kHz以下とすることが好ましい。
上述したとおり、本発明では、加熱装置による積極的な加熱を付加することにより、塊状原料の温度を効果的に上昇させておくことができるので、追加チャージをルツボに投入した後の原料溶解時間を大幅に短縮することができる。
従って、本発明では、引き上げに先立ち予め溶解しておくべき原料融液の量が多いほど、その効果を発揮することができる。すなわち、融液量が400 kg以上の場合にとりわけ有利に適合する。さらに、シリコン単結晶の直径が400mm以上になると、準備しておくべき融液の量は800kg以上になるが、本発明は、このような場合に最適である。
また、本発明では、原料供給管内の塊状原料を、融液による予熱と加熱装置による加熱で効果的に昇温することができ、ルツボ周りのヒータのパワーを増大させる必要がないので、石英ルツボの劣化を招くおそれもない。
なお、本発明の溶解方法を用いて、塊状原料を溶解する場合、初期チャージ量は200 kg程度とし、一回当たりの投入の追加チャージ量は融液量の15〜30%程度とすることが好ましい。というのは、追加チャージ量があまりに多くなると、塊状原料を所望の温度まで効果的に予備加熱しておくことが難しくなる、あるいは坩堝内融液に投入した際の原料溶解が効果的でなくなるためである。一方、追加チャージ量が少ないと、投入回数が多くなり、溶解プロセス時間の短縮化効果が薄れるからである。 ここに、追加チャージ原料の予備加熱温度としては、500℃以上、好ましくは700℃以上とすることが望ましい。
さらに、本発明において、塊状原料としては、直径が10〜50mmの不定形原料が有利に適合する。かようなサイズの不定形原料は、安定かつ安価に入手することができ、また品質も通常の原料と全く同じであるので、単結晶の品質を損ねることもない。
また、さらに、本発明において、原料供給管の周囲に配設した加熱装置は、塊状原料の加熱以外にも、有効活用することができる。すなわち、例えば、引き上げたシリコン単結晶を徐冷する必要がある場合には、引き上げたシリコン単結晶を加熱することにより、シリコン単結晶の冷却速度を小さくできる効果もある。
さらに、抵抗加熱ヒーターのように、ヒーター単体で発熱できる加熱装置の場合、坩堝内の未溶解原料を上方から加熱して、溶解時間をさらに短縮するという効果もある。
実施例1
図1に示す構造になるCZ炉において、総原料溶解量:350 kgのシリコン原料の溶解を行った。
溶解条件は次のとおりである。
・使用炉:300 mmφ結晶製造用炉
・ルツボ初期チャージ量:200 kg
・追加チャージ量:50kg/回×3回(計150kg追加)
・ルツボサイズ:約76mmφ(30インチ)
・原料供給管(石英管)
内筒 内径:250mmφ、厚み:8mm、高さ:1300mm(底部のテーパ角度:2°)
外筒 内径:270mmφ、厚み:8mm、高さ:1200mm
・加熱ヒータ:350mmφ、高さ:450mm(抵抗加熱式で40kwで加熱)
・使用原料:10〜50mmサイズの塊状シリコン原料(形状は不定形)
図1において、ルツボ内に初期チャージ原料を投入後、この初期チャージ原料を溶解する間に、追加チャージの塊状原料を収容した原料供給管を、その底面がルツボ内の原料融液の直上(ギャップ:100mm)に位置するように降下させ、同時に加熱ヒータを原料を加熱しやすい位置に調整して、原料供給管内の塊状原料を予熱・加熱し、初期チャージ原料が溶解後、追加チャージをルツボ内に投入した。このとき、追加チャージである予熱・加熱された塊状原料は、赤みを帯びた状態であり、700℃以上に加熱されていた。 このような追加チャージを連続して行った場合の合計所要時間は15時間であった。
また、比較のため、本発明に従う予熱・加熱処理を施さずに、従来法に従い、ルツボ周りのヒータ(160kw)のみの加熱で塊状原料の溶解を行った場合の合計所要時間は20時間であった。
従って、本発明に従えば、従来法に比べて、5時間の溶解時間の短縮効果があることが分かる。
実施例2
総原料溶解量を500 kg、ルツボサイズを約81mmφ(32インチ)とし、追加チャージ量を50kg/回×6回(計300kg追加)とする以外は、実施例1と同様にして、ルツボ内で塊状原料の溶解を行った。
その結果、従来法に従って溶解した場合の合計所要時間は30時間であったのに対し、本発明に従って溶解した場合の合計所要時間は20時間であり、従来法に比べて溶解時間を10時間も短縮することができた。
石英ルツボ内に所定量の原料融液を確保するために複数回追加チャージを行う場合に、本発明の方法に従って追加チャージ原料を加熱してやれば、追加チャージの溶解時間を大幅に短縮することができ、ひいては生産性の大幅な向上を達成することができる。また、本発明の加熱方法であれば、石英ルツボの劣化を招くことがなく、またチャージ原料の取り扱いも極めて容易である。
1 ルツボ
1a 石英ルツボ
1b カーボンルツボ
2 ヒータ
3 ペディスタル(支持軸)
4 炉内ホットゾーン(HZ)下部断熱材
5 保温筒
6 チャンバー
7 原料融液
8 原料供給管
8a 内筒
8b 外筒
9a ワイヤ
9b ワイヤ
10 塊状原料
10′ 原料融液内に追加投入された塊状原料
11 加熱装置
12 電極フランジ
13 加熱電源制御装置
13 Ar整流筒
14a カーボン外筒
14b 断熱材

Claims (8)

  1. チョクラルスキー法により直径が300mm以上のシリコン単結晶を育成するに先立ち、石英ルツボ内に、シリコン原料を複数回にわたってチャージして所定量の原料融液を確保するに際し、
    上記シリコン原料として塊状原料を用いること、
    上記石英ルツボ内に投入したチャージ原料が溶解するまでの間に、次回のチャージ原料に、別途、加熱処理を施すこと、
    を特徴とするシリコン原料の溶解方法。
  2. 前記塊状原料が、直径が10〜50mmの不定形原料からなることを特徴とする請求項1に記載のシリコン原料の溶解方法。
  3. 前記次回のチャージ原料の供給時における温度を500℃以上とすることを特徴とする請求項1または2に記載のシリコン原料の溶解方法。
  4. 前記所定量の原料融液量が400 kg以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシリコン原料の溶解方法。
  5. 前記シリコン単結晶の直径が400mm以上であることを特徴とした請求項1乃至4のいずれかに記載のシリコン原料の溶解方法。
  6. チョクラルスキー法によるシリコン単結晶の育成に用いられ、ルツボ内の原料融液に、塊状のシリコン原料を追加チャージする原料供給装置であって、
    上記塊状のシリコン原料を収容し、底部にシリコン原料の排出口をそなえる原料供給管と、上記原料供給管の昇降装置とをそなえ、
    上記原料供給管の少なくとも下部の周囲に、上記シリコン原料の加熱用の加熱装置を配設した
    ことを特徴とするシリコン原料の供給装置。
  7. 前記原料供給管が、下端外周部にシリコン原料を排出するための排出口を有する内筒と、上記内筒の外周を覆う外筒からなり、それぞれ独立して昇降移動可能な円筒二重管構造になることを特徴とする請求項6に記載のシリコン原料の供給装置。
  8. 前記加熱装置が、抵抗加熱方式または高周波加熱方式であることを特徴とする請求項6または7に記載のシリコン原料の供給装置。
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