JP2011160854A - 生体吸収性高分子とそれを用いた医療機器及び人工血管 - Google Patents
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Abstract
【課題】生体内で血液と接触して使用される材料は、埋入直後に起こる血栓形成抑制効果あるいは生体内における吸収性が考慮されていないという欠点がある。そのため、移植直後には抗血栓性を有し、移植して中長期後においては血管内皮細胞が接着性して被覆され、最終的には生体に吸収される機能を有する材料の開発が望まれていた。
【解決手段】細胞接着性ペプチド含有高分子をクエン酸活性エステル体により架橋することにより、抗血栓性と血管内皮細胞接着性を併せ持つ生体吸収性高分子の提供が可能になった。
【選択図】なし
【解決手段】細胞接着性ペプチド含有高分子をクエン酸活性エステル体により架橋することにより、抗血栓性と血管内皮細胞接着性を併せ持つ生体吸収性高分子の提供が可能になった。
【選択図】なし
Description
本発明は、生体に接触または埋め込まれて使用され、その状態が長期に続くと、時間の経過とともに、生体内に吸収されてゆく生体吸収性高分子とそれを用いた医療機器及び人工血管に関する。
例えば、人工血管は、機能不全となった血管を代替するための医療機器として、これまで、中〜大口径の人工血管が実用化されている。しかしながら、内径6mm以下の小口径人工血管は、移植直後に血栓形成が生じるために閉塞しやすいという問題がある。これまで、延伸ポリテトラフロオロエチレン(ePTFE)が、抗血栓性にもっとも有効な高分子材料であるとして、小口径人工血管用に利用が検討されてきたが、ePTFEも初期の血栓形成は抑止するものの、中長期における血栓形成に課題がある。
このように、血液と長期間接触して使用される医療機器の表面改質には限界があり、生体内で増殖する細胞の抗血栓性を利用しようとする試みが行われている。生体内の血管では、血管内皮細胞が剥離した部分には血栓が形成されるが、血管内皮が存在している部分は血栓が形成されないためである。
細胞層を表面に形成した医療機器を調製する手法として、大きく2つの方法がある。
第一の手法は、あらかじめ細胞を表面に播種して培養し、細胞の膜を形成し、その膜を、医療機器の血液と接触する箇所に、移植するという方法である。しかし、この方法では、細胞の採取、培養、移植などの工程が必要であるために緊急を要する場合に使うことができず、細胞の採取に際して患者負担が大きいという欠点がある。
第一の手法は、あらかじめ細胞を表面に播種して培養し、細胞の膜を形成し、その膜を、医療機器の血液と接触する箇所に、移植するという方法である。しかし、この方法では、細胞の採取、培養、移植などの工程が必要であるために緊急を要する場合に使うことができず、細胞の採取に際して患者負担が大きいという欠点がある。
第二の手法としては、医療機器が血液と接触する箇所に、細胞との接着性や増殖性を促すような物質を固定化する方法が検討されている。
この方法は、接着性ペプチドやコラーゲン、フィブロネクチンなどの細胞外マトリックスタンパク質、そして血管内皮細胞の増殖を促進する成長因子などのタンパク質が検討されている。細胞の接着性や増殖性を促進する手法としては、細胞接着に関わるペプチド配列や成長因子を高分子基材上にアクリル酸などをグラフト重合することによりカルボキシル基を導入し、共有結合で固定化する方法や、細胞外マトリックスタンパク質や成長因子と多孔質高分子体からなる複合材料についても検討されている。(特許文献1、2、3、4、5、6参照)
この方法は、接着性ペプチドやコラーゲン、フィブロネクチンなどの細胞外マトリックスタンパク質、そして血管内皮細胞の増殖を促進する成長因子などのタンパク質が検討されている。細胞の接着性や増殖性を促進する手法としては、細胞接着に関わるペプチド配列や成長因子を高分子基材上にアクリル酸などをグラフト重合することによりカルボキシル基を導入し、共有結合で固定化する方法や、細胞外マトリックスタンパク質や成長因子と多孔質高分子体からなる複合材料についても検討されている。(特許文献1、2、3、4、5、6参照)
このような材料上において細胞の接着性や増殖性が認められているが、医療機器の埋入直後に起こる血栓形成抑制効果あるいは生体内における吸収性が考慮されていないという欠点がある。(特許文献7、8、9、10参照)
そのため、移植直後には抗血栓性を有し、移植して中長期後においては細胞が接着して被覆され、最終的には生体に吸収される機能を有する材料の開発が望まれていた。
そのため、移植直後には抗血栓性を有し、移植して中長期後においては細胞が接着して被覆され、最終的には生体に吸収される機能を有する材料の開発が望まれていた。
本発明は、このような実情に鑑み、血液との接触直後には抗血栓性を有し、時間の経過と共に細胞が接着して被覆され、最終的には生体に吸収されて増殖した生体細胞に置換される機能を持った生体吸収性高分子とそれを用いた医療機器及び人工血管を提供することを課題としている。
発明1の生体吸収性高分子は、細胞接着性ペプチド含有高分子がクエン酸活性エステル体により架橋されてなることを特徴とする。
発明2は、発明1の生体吸収性高分子において、細胞接着性ペプチド含有高分子とクエン酸活性エステル体の濃度が、3(質量%):3/2〜20(mM)の比率をもって反応溶液中に溶解されて生成されたことを特徴とする。
発明3は、発明1又は2の生体吸収性高分子において、前記クエン酸活性エステル体がクエン酸のカルボキシル基をN−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド、またはこれらの誘導体によって少なくとも2つ以上修飾した生体低分子誘導体であることを特徴とする。
発明4は、発明1から3のいずれかの生体吸収性高分子において、前記細胞接着性ペプチド含有高分子がゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、コラーゲン、アルカリ処理コラーゲン、酸処理コラーゲンおよびこれらの誘導体の1種または2種以上の組み合わせからなることを特徴とする。
発明5は、発明1から4のいずれかの生体吸収性高分子において、前記細胞接着ペプチドが、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)、チロシン−イソロイシン−グリシン−セリン−アルギニン(YIGSR)、イソロイシン−リシン−バリン−アラニン−バリン(IKVAV)のペプチド配列の1種または2種以上の組合せであることを特徴とする。
発明2は、発明1の生体吸収性高分子において、細胞接着性ペプチド含有高分子とクエン酸活性エステル体の濃度が、3(質量%):3/2〜20(mM)の比率をもって反応溶液中に溶解されて生成されたことを特徴とする。
発明3は、発明1又は2の生体吸収性高分子において、前記クエン酸活性エステル体がクエン酸のカルボキシル基をN−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド、またはこれらの誘導体によって少なくとも2つ以上修飾した生体低分子誘導体であることを特徴とする。
発明4は、発明1から3のいずれかの生体吸収性高分子において、前記細胞接着性ペプチド含有高分子がゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、コラーゲン、アルカリ処理コラーゲン、酸処理コラーゲンおよびこれらの誘導体の1種または2種以上の組み合わせからなることを特徴とする。
発明5は、発明1から4のいずれかの生体吸収性高分子において、前記細胞接着ペプチドが、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)、チロシン−イソロイシン−グリシン−セリン−アルギニン(YIGSR)、イソロイシン−リシン−バリン−アラニン−バリン(IKVAV)のペプチド配列の1種または2種以上の組合せであることを特徴とする。
発明6は、生体に埋め込みまたは接合して使用されることで医療上の処置を行うことができる医療機器であって、少なくともその生体に埋め込みまたは接合される部分の表面が、発明1から5のいずれかの生体吸収性高分子により構成されていることを特徴とする。
発明7は、機能不全に陥った血管を代替する人工血管であって、その全体若しくは表面が、発明1から5のいずれかの生体吸収性高分子により構成されていることを特徴とする。
本発明は、クエン酸活性エステル体により細胞接着性ペプチド含有高分子を架橋することにより得られる高分子が、抗血栓性と血管内皮細胞接着性を併せ持つとの知見に基づきなされたものである。
これらは、さらに生体吸収性をも有していることから、生体に埋め込みまたは接触して使用する医療機器として使用することで、従来問題であった血栓生成による問題や生体との接着不良、さらには、異物残存の問題を解消し、前記第二の方法を、より安全かつ確実に実現することが可能になった。
このような機能は、半永久的に生体に結合される人工血管を代表とする医療器具において、前記第二の方法を、より安全にかつ確実に実現することができるようになる。
これらは、さらに生体吸収性をも有していることから、生体に埋め込みまたは接触して使用する医療機器として使用することで、従来問題であった血栓生成による問題や生体との接着不良、さらには、異物残存の問題を解消し、前記第二の方法を、より安全かつ確実に実現することが可能になった。
このような機能は、半永久的に生体に結合される人工血管を代表とする医療器具において、前記第二の方法を、より安全にかつ確実に実現することができるようになる。
特に人工血管の全体をこの生体吸収性高分子により構成した場合は、生体の自己増殖能により増殖された血管内皮細胞により人工血管が代替され、欠損した血管を再生することができるようになるものである。
本発明を構成する生体吸収性高分子について説明する。生体吸収性高分子は、細胞接着性ペプチド含有高分子がクエン酸活性エステル体により架橋されてなるものである。
前記細胞接着ペプチド含有高分子は、クエン酸活性エステル体との架橋反応が可能で、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)、チロシン−イソロイシン−グリシン−セリン−アルギニン(YIGSR)、イソロイシン−リシン−バリン−アラニン−バリン(IKVAV)等のペプチド配列の1種または2種以上の組合せからなる細胞接着ペプチドを有している高分子であることが必要である。
前記細胞接着ペプチド含有高分子は、クエン酸活性エステル体との架橋反応が可能で、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)、チロシン−イソロイシン−グリシン−セリン−アルギニン(YIGSR)、イソロイシン−リシン−バリン−アラニン−バリン(IKVAV)等のペプチド配列の1種または2種以上の組合せからなる細胞接着ペプチドを有している高分子であることが必要である。
このようなものとしては、コラーゲン、アテロコラーゲン、アルカリ処理コラーゲン、ゼラチン(アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)含有)、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、ケラチン、血清アルブミン、卵白アルブミン、遺伝子組み換えアルブミン、ヘモグロビン、カゼインおよびグロブリン、フィブリノーゲンおよびこれらの誘導体を例示することができる。
さらに、アルカリ処理により分子内にカルボキシル基が存在し、かつクエン酸活性エステル体と反応するアミノ基を有している点で、アルカリ処理コラーゲン、アルカリ処理ゼラチン及びその誘導体などが好ましい。
生体吸収性高分子を生成する時に、架橋密度を調整する場合は、細胞接着ペプチド含有高分子の反応溶液中濃度を調整することで行うことができる。
この濃度が薄いと架橋密度が少なく脆弱な生体吸収性高分子となり、生体への吸収が早期になされる。また、高濃度になると架橋密度が高くなり、強靭な生体吸収性高分子が得られ、生体内での吸収速度を緩やかにすることができる。
この生体内での適正な吸収速度は、その使用目的や使用規模により異なるので、それに合わせた強度を持たせるように、生体吸収性高分子の生成時の反応溶液濃度を調整することができる。なお、一般的には、7.5〜30質量%、好ましくは15質量%±6質量%さらに好ましくは15質量%±3質量%とするのが望ましい。なお、この高分子の濃度が過少であると、架橋密度が高い架橋構造が維持され難く、生体吸収性高分子が得られ難い。
この濃度が薄いと架橋密度が少なく脆弱な生体吸収性高分子となり、生体への吸収が早期になされる。また、高濃度になると架橋密度が高くなり、強靭な生体吸収性高分子が得られ、生体内での吸収速度を緩やかにすることができる。
この生体内での適正な吸収速度は、その使用目的や使用規模により異なるので、それに合わせた強度を持たせるように、生体吸収性高分子の生成時の反応溶液濃度を調整することができる。なお、一般的には、7.5〜30質量%、好ましくは15質量%±6質量%さらに好ましくは15質量%±3質量%とするのが望ましい。なお、この高分子の濃度が過少であると、架橋密度が高い架橋構造が維持され難く、生体吸収性高分子が得られ難い。
また、前記細胞接着ペプチド含有高分子とその架橋剤であるクエン酸活性エステル体との混合割合は、両者の濃度比は3(質量%)対4(mM)とするのが最も良好な架橋反応を生じさせることができる。
例えば、15質量%の高分子濃度の場合、クエン酸活性エステル体の濃度は、20mMが最も望ましい。
例えば、15質量%の高分子濃度の場合、クエン酸活性エステル体の濃度は、20mMが最も望ましい。
下記実施例からすれば、細胞接着ペプチド含有高分子が3(質量%)であるとき、1/2〜20(mM)、より好ましくは1〜16(mM)のクエン酸活性エステル体を用いるのが抗血栓性を有する上で適切である。なお、クエン酸活性エステル体が過少であると、抗血栓性効果が得られにくくなる。これは、このクエン酸活性エステル体が不足する場合には架橋点が少なく、残存アミノ基量が多くなるため得られる生体吸収性高分子がプラスに電荷を帯びているためであると考えられる。
逆に、クエン酸活性エステル体が過剰であると、架橋密度が高い架橋構造が維持され難く、生体吸収性高分子が得られ難い。過剰であると個々の細胞接着ペプチド含有高分子とクエン酸のカルボキシル基の1つあるいは2つが結合して、架橋に使用されなくなり、その結果、架橋点が減少し、構造が維持されないためであると考えられる。
逆に、クエン酸活性エステル体が過剰であると、架橋密度が高い架橋構造が維持され難く、生体吸収性高分子が得られ難い。過剰であると個々の細胞接着ペプチド含有高分子とクエン酸のカルボキシル基の1つあるいは2つが結合して、架橋に使用されなくなり、その結果、架橋点が減少し、構造が維持されないためであると考えられる。
前記生体吸収性高分子を構成する架橋剤としてクエン酸活性エステル体を用いることは、下記実施例4、5 より明らかな通り、抗血栓性と内皮細胞接着性を発現するという点で、優れた結果を得ている。
また、クエン酸活性エステル体を用いることにより分解性を制御可能であることは、下記実施例6 より明らかである。
さらに、このクエン酸活性エステル体が、トリスクシンイミジルシトレート、トリ(スルホスクシンイジミルシトレートの1種または2種以上の組合せである場合もアミノ基と反応して高分子層を生成することが可能なため用いることができる。
また、クエン酸活性エステル体を用いることにより分解性を制御可能であることは、下記実施例6 より明らかである。
さらに、このクエン酸活性エステル体が、トリスクシンイミジルシトレート、トリ(スルホスクシンイジミルシトレートの1種または2種以上の組合せである場合もアミノ基と反応して高分子層を生成することが可能なため用いることができる。
架橋反応の温度は、10℃超〜40℃未満、好ましくは15℃から30℃、より好ましくは常温とするのが望ましい。過剰な高温で反応させると反応速度が速くなるため、均一なコーティングが難しい。また、過小な低温で反応させた場合、溶媒が凍ってしまい反応を進めることが難しい。
また、例えば、反応溶液全体に対してクエン酸活性エステル体20mMを添加した場合、室温における生体吸収性高分子の形成時間は10〜20分以内である。
反応が完了した後、長時間(一日以上)放置すると、使用した細胞接着ペプチド含有高分子の主鎖や架橋の加水分解が起こる可能性がある。
また、例えば、反応溶液全体に対してクエン酸活性エステル体20mMを添加した場合、室温における生体吸収性高分子の形成時間は10〜20分以内である。
反応が完了した後、長時間(一日以上)放置すると、使用した細胞接着ペプチド含有高分子の主鎖や架橋の加水分解が起こる可能性がある。
前記生体吸収性高分子を調製するのに用いることができる溶媒としては、細胞接着ペプチド含有高分子、クエン酸活性エステル体を溶解する溶媒であり、非プロトン性極性溶媒が望ましく、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、1,1,1,3,3,3‐ヘキサフルオロイソプロパノールが挙げられる。
細胞接着ペプチド含有高分子とクエン酸活性エステル体からなる生体吸収性高分子形成時に生成する反応副生成物(N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド)や未反応物は、得られた生体吸収性高分子を純水に浸漬することによって除去が可能である。
これにより、不純物のない生体吸収性高分子を生体適用器具に適用できるようになり、不純物による不測の事態を招く可能性をなくすことができる。
細胞接着ペプチド含有高分子とクエン酸活性エステル体からなる生体吸収性高分子形成時に生成する反応副生成物(N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド)や未反応物は、得られた生体吸収性高分子を純水に浸漬することによって除去が可能である。
これにより、不純物のない生体吸収性高分子を生体適用器具に適用できるようになり、不純物による不測の事態を招く可能性をなくすことができる。
前記生体吸収性高分子を生成するための反応溶液の調製において、混合のための具体的手段は限定されないが、例えば小型のミキサーのような攪拌装置などを用いて十分均一に混合することが好ましい。
以下実施例により、前記生体吸収性高分子を具体的に説明する。
以下実施例により、前記生体吸収性高分子を具体的に説明する。
[生体吸収性高分子(A)の調製]
細胞接着ペプチド含有高分子としてアルカリ処理ゼラチン(AlGelatin)、クエン酸活性エステル体としてN−ヒドロキシスクシンイミドにより3つのカルボキシル基が修飾されたトリスクシンイミジルシトレート(TSC)を用いて調製した。AlGelatin溶液は、AlGelatinを乳酸含有DMSO溶液に溶解することにより調製し、終濃度が7.5〜30% (w/v)のものを得た。TSC溶液も同様に乳酸含有DMSO溶液に溶解することにより終濃度が5〜160 mMとなるよう調製した。
得られたAlGelatin溶液およびTSC溶液をペンシルスターラーで撹拌し、遠心分離(3000 rpm, 30 s)により脱泡後、シリコーンゴムをスペーサーとする2枚のガラス板間に流し込み、24時間静置した。得られた板状の生体吸収性高分子(AlGelatin−TSC)を3日間水中(4℃)に浸漬し、溶媒、未反応のTSCおよび副生成物であるN−ヒドロキシスクシンイミドを除去した。
また比較例として、TSCに代わり市販架橋剤のグルタルアルデヒド(GA)を用いた生体吸収性高分子も調製した。AlGelatin溶液は、AlGelatinを乳酸含有DMSO溶液に溶解することにより調製し、終濃度が15% (w/v)のものを得た。GA溶液も同様に乳酸含有DMSO溶液に溶解することにより終濃度が20 mMとなるよう調製した。
得られたAlGelatin溶液およびGA溶液をペンシルスターラーで撹拌し、遠心分離(3000 rpm, 30 s)により脱泡後、シリコーンゴムをスペーサーとする2枚のガラス板間に流し込み、24時間静置した。得られた板状の生体吸収性高分子(AlGelatin−GA)を3日間水中(4℃)に浸漬し、溶媒、未反応のGAを除去した。
このようにして得られた6種類の生体吸収性高分子を表1に示し、それぞれをANo.で以下に示す。
細胞接着ペプチド含有高分子としてアルカリ処理ゼラチン(AlGelatin)、クエン酸活性エステル体としてN−ヒドロキシスクシンイミドにより3つのカルボキシル基が修飾されたトリスクシンイミジルシトレート(TSC)を用いて調製した。AlGelatin溶液は、AlGelatinを乳酸含有DMSO溶液に溶解することにより調製し、終濃度が7.5〜30% (w/v)のものを得た。TSC溶液も同様に乳酸含有DMSO溶液に溶解することにより終濃度が5〜160 mMとなるよう調製した。
得られたAlGelatin溶液およびTSC溶液をペンシルスターラーで撹拌し、遠心分離(3000 rpm, 30 s)により脱泡後、シリコーンゴムをスペーサーとする2枚のガラス板間に流し込み、24時間静置した。得られた板状の生体吸収性高分子(AlGelatin−TSC)を3日間水中(4℃)に浸漬し、溶媒、未反応のTSCおよび副生成物であるN−ヒドロキシスクシンイミドを除去した。
また比較例として、TSCに代わり市販架橋剤のグルタルアルデヒド(GA)を用いた生体吸収性高分子も調製した。AlGelatin溶液は、AlGelatinを乳酸含有DMSO溶液に溶解することにより調製し、終濃度が15% (w/v)のものを得た。GA溶液も同様に乳酸含有DMSO溶液に溶解することにより終濃度が20 mMとなるよう調製した。
得られたAlGelatin溶液およびGA溶液をペンシルスターラーで撹拌し、遠心分離(3000 rpm, 30 s)により脱泡後、シリコーンゴムをスペーサーとする2枚のガラス板間に流し込み、24時間静置した。得られた板状の生体吸収性高分子(AlGelatin−GA)を3日間水中(4℃)に浸漬し、溶媒、未反応のGAを除去した。
このようにして得られた6種類の生体吸収性高分子を表1に示し、それぞれをANo.で以下に示す。
[生体吸収性高分子(A)の含水率測定]
平衡膨潤に達した表1に示す各生体吸収性高分子(A)の重量(Ww)を測定した後、凍結乾燥し、乾燥重量(Wd)を測定した。なお、生体吸収性高分子の含水率は以下の式より算出した。
含水率(%) = (Ww−Wd)/Ww×100
平衡膨潤に達した表1に示す各生体吸収性高分子(A)の重量(Ww)を測定した後、凍結乾燥し、乾燥重量(Wd)を測定した。なお、生体吸収性高分子の含水率は以下の式より算出した。
含水率(%) = (Ww−Wd)/Ww×100
表2に示すように得られた生体吸収性高分子(A)の含水率は、クエン酸活性エステル体の濃度の増加に伴い20mMまでは減少し、それを超すと増加した。これは、20mMまでは、クエン酸活性エステル体中に含まれる活性エステルがゼラチン中のアミノ基より同等かそれ以下であり、20mM以上になると活性エステルがゼラチン中のアミノ基よりも過剰に存在するために活性エステルが架橋に使用されないためであると考えられる。架橋に使用されない活性エステルは、調製後に水に浸漬する過程で加水分解によりカルボキシル基になり、そのカルボキシル基の静電反発により含水率が増加すると考えられる。
[生体吸収性高分子(A)中のアミノ基の定量]
実施例1の含水率挙動を検証するため、生体吸収性高分子中の残存アミノ基の定量をトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)法により行った。すなわち、生体吸収性高分子に0.1% TNBS0.2 mLおよび4%NaHCO3 0.2 mLを加え、37℃にて2時間インキュベートした後、6 M HCl 0.6 mLを加え120 ℃で1時間オートクレーブし、加水分解した。この溶液の340 nmにおける吸光度を測定した。
実施例1の含水率挙動を検証するため、生体吸収性高分子中の残存アミノ基の定量をトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)法により行った。すなわち、生体吸収性高分子に0.1% TNBS0.2 mLおよび4%NaHCO3 0.2 mLを加え、37℃にて2時間インキュベートした後、6 M HCl 0.6 mLを加え120 ℃で1時間オートクレーブし、加水分解した。この溶液の340 nmにおける吸光度を測定した。
表3に示すように生体吸収性高分子(A)中のアミノ基は、クエン酸活性エステル体濃度が40mMまでは減少し、その後、検出されなくなった。このことは、クエン酸活性エステル体中の活性エステルとゼラチン中のアミノ基が完全に反応したことを示している。
[生体吸収性高分子(A)中のカルボキシル基の定量]
実施例1の含水率挙動を検証するため、生体吸収性高分子(A)中のカルボキシル基の定量をトルイジンブルー(TB)法により行った。5×10−4Mトルイジンブルー(TB)pH 10のNaHCO3/Na2CO3 緩衝液2mL中に生体吸収性高分子を室温にて3時間染色後、pH 10 のNaHCO3/Na2CO3 緩衝液により3回洗浄し、未吸着のTBを洗い流した。生体吸収性高分子中に吸着されたTBは50%酢酸500 μLにより抽出した。抽出液は分光光度計により633 nmにおける吸光度を測定することでカルボキシル基濃度とした。
実施例1の含水率挙動を検証するため、生体吸収性高分子(A)中のカルボキシル基の定量をトルイジンブルー(TB)法により行った。5×10−4Mトルイジンブルー(TB)pH 10のNaHCO3/Na2CO3 緩衝液2mL中に生体吸収性高分子を室温にて3時間染色後、pH 10 のNaHCO3/Na2CO3 緩衝液により3回洗浄し、未吸着のTBを洗い流した。生体吸収性高分子中に吸着されたTBは50%酢酸500 μLにより抽出した。抽出液は分光光度計により633 nmにおける吸光度を測定することでカルボキシル基濃度とした。
表4に示すように生体吸収性高分子中のカルボキシル基は、クエン酸活性エステル体濃度の増加に伴い増加した。このことは、クエン酸活性エステル体がゼラチン中のアミノ基より過剰に存在すると、3つの活性エステルのうち、2つあるいは1つがアミノ基と反応し、残りの活性エステルから生じるカルボキシル基の生成により含水率が極小値をとるということが考えられた。
[抗血栓性評価]
生体吸収性高分子と血液との相互作用を評価した。すなわち、ラットより採取した血液約1 mL中にマトリックスを浸漬し、30分間インキュベート(37°C)した後、0.1 M PBSで3回洗浄し、実体顕微鏡および電子顕微鏡にて血栓形成を評価した。また比較例として、市販架橋剤のグルタルアルデヒド(GA)を用いて調製したサンプルを用いた。
生体吸収性高分子と血液との相互作用を評価した。すなわち、ラットより採取した血液約1 mL中にマトリックスを浸漬し、30分間インキュベート(37°C)した後、0.1 M PBSで3回洗浄し、実体顕微鏡および電子顕微鏡にて血栓形成を評価した。また比較例として、市販架橋剤のグルタルアルデヒド(GA)を用いて調製したサンプルを用いた。
表5および図1〜12には、種々のクエン酸活性エステル体濃度を持つ生体吸収性高分子の抗血栓性評価を行った結果を示す。図1〜10に示すように、クエン酸活性エステル体が5mMの時には、明らかな血栓形成が認められた。一方、クエン酸活性エステル体が10mMではやや血栓形成が認められ、20mM以上になると血栓形成は認められなくなった。一方、市販架橋剤のGAで同様の実験を行った結果、強い血栓形成が認められた。表1〜3の結果と抗血栓性の結果とを考慮すると、抗血栓性のクエン酸活性エステル体濃度依存性は、生成したカルボキシル基によるマイナスチャージによって血小板の吸着が抑制されたことに起因していると考えられる。
[血管内皮細胞接着性評価]
生体吸収性高分子上にヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)を播種し、5%CO2存在下37℃で1日および7日間培養後、その数をWST−1(同仁化学)により計数した。また比較例として、市販架橋剤のグルタルアルデヒド(GA)を用いた。各条件における細胞形態は、電子顕微鏡により観察した。
生体吸収性高分子上にヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)を播種し、5%CO2存在下37℃で1日および7日間培養後、その数をWST−1(同仁化学)により計数した。また比較例として、市販架橋剤のグルタルアルデヒド(GA)を用いた。各条件における細胞形態は、電子顕微鏡により観察した。
表6および図13〜18には、生体吸収性高分子上でHUVECを1日間培養した後の細胞数を示す。クエン酸活性エステル体濃度が5mMおよび80mMの場合には、細胞数は多く認められなかったが、10〜40mMの場合には多くの細胞数が認められた。一方、比較として市販架橋剤のGAを使用した場合には、少ない細胞数が認められた。
また、表7および図19〜24には、生体吸収性高分子上でHUVECを7日間培養した後の細胞数を示す。細胞数の差は、1日培養後よりも顕著になり、クエン酸活性エステル体濃度が20mMの時に最も高い細胞数が認められ、5mMおよび80mMおよびGAを用いた場合には多くの細胞数は認められなかった。
また、表7および図19〜24には、生体吸収性高分子上でHUVECを7日間培養した後の細胞数を示す。細胞数の差は、1日培養後よりも顕著になり、クエン酸活性エステル体濃度が20mMの時に最も高い細胞数が認められ、5mMおよび80mMおよびGAを用いた場合には多くの細胞数は認められなかった。
クエン酸活性エステル体によって調製した生体吸収性高分子のこのような細胞接着挙動は、得られた生体吸収性高分子の含水率に起因していると考えられる。すなわち、細胞数が最も高いクエン酸活性エステル体濃度の20mMにおいては、含水率が最も低く、用いたゼラチン中に含まれるアルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)などの細胞接着ペプチドの濃縮が起こっていると考えられる。一方、クエン酸活性エステル体濃度が5mMおよび80mMの生体吸収性高分子の場合、含水率が高いために細胞が接着する足場である細胞接着ペプチドの密度が低くなり、結果として細胞数が少なくなったのではないかと考えられる。
[生体吸収性高分子中の試験管内での分解性]
AlGelatin−TSCの試験管内での分解性はタンパク分解酵素であるコラゲナーゼを用いて検討した。コラゲナーゼ溶液はコラゲナーゼ 6mgおよび塩化カルシウム56 mgを0.1Mトリス−塩酸緩衝液200 mL中に加え調製した。ディスク状に成形した種々の条件のAlGelatin−TSC(直径1cm、厚さ10mm)をそれぞれ37℃のコラゲナーゼ溶液5 mL中に浸漬後、一定時間毎にAlGelatin−TSCを取り出しバッファーで洗浄し、その重量を測定した。
AlGelatin−TSCの試験管内での分解性はタンパク分解酵素であるコラゲナーゼを用いて検討した。コラゲナーゼ溶液はコラゲナーゼ 6mgおよび塩化カルシウム56 mgを0.1Mトリス−塩酸緩衝液200 mL中に加え調製した。ディスク状に成形した種々の条件のAlGelatin−TSC(直径1cm、厚さ10mm)をそれぞれ37℃のコラゲナーゼ溶液5 mL中に浸漬後、一定時間毎にAlGelatin−TSCを取り出しバッファーで洗浄し、その重量を測定した。
表8には、種々の条件で調製した生体吸収性高分子中をコラゲナーゼ溶液中に浸漬した後の分解率を示す。分解速度は、クエン酸活性エステル体の濃度の増加に伴いクエン酸活性エステル体が20mMまでは減少し、その後増加した。これは、表1から3の実施例より、20mMにおける生体吸収性高分子の架橋密度が最も低いためであると考えられた。
[生体吸収性高分子中の生体内での吸収性]
AlGelatin−TSCの生体内での吸収性は、ラット皮下に埋入することで検討した。ウィスタラット(7週齢、オス)の背部皮下組織にディスク状のAlGelatin−TSC(直径1cm、厚さ10mm)を埋入した。1〜12週後に、生体吸収性高分子とその周辺組織を取り出し、中性緩衝ホルマリンで固定化して組織切片を作成した後、ヘマトキシリン−エオシン染色した標本を光学顕微鏡により観察することで、生体吸収性高分子の吸収性を調べた。
AlGelatin−TSCの生体内での吸収性は、ラット皮下に埋入することで検討した。ウィスタラット(7週齢、オス)の背部皮下組織にディスク状のAlGelatin−TSC(直径1cm、厚さ10mm)を埋入した。1〜12週後に、生体吸収性高分子とその周辺組織を取り出し、中性緩衝ホルマリンで固定化して組織切片を作成した後、ヘマトキシリン−エオシン染色した標本を光学顕微鏡により観察することで、生体吸収性高分子の吸収性を調べた。
表9および図25には、生体吸収性高分子のラット背部皮下における分解性を評価した結果を示す。図25に示すように生体吸収性高分子は、時間と共に分解した。分解時間は、クエン酸活性エステル体濃度が20mMの時に極小値をとりその後短くなった。これは、得られる生体吸収性高分子の含水率に起因していることが示唆される。すなわち、クエン酸活性エステル体濃度が20mMの場合には含水率が最も低いが、この条件では、高分子密度が最も高くなるため、分解時間が長くなると考えられる。一方、含水率が低い条件のクエン酸活性エステル体濃度が5mMあるいは80mMの場合には、高分子密度が低いため短時間で分解されるものと考えられる。
人工血管の一例として、その全体を、生体吸収性高分子により構成した例を示す。(特許文献11参照)
細胞接着ペプチド含有高分子としてAlGelatin、クエン酸活性エステル体としてN−ヒドロキシスクシンイミドにより3つのカルボキシル基が修飾されたTSCを用いて調製した。AlGelatin溶液は、AlGelatinを乳酸含有DMSO溶液に溶解することにより調製し、終濃度が15% (w/v)のものを得た。TSC溶液も同様に乳酸含有DMSO溶液に溶解することにより終濃度が20mMとなるよう調製した。
得られたAlGelatin溶液およびTSC溶液をペンシルスターラーで撹拌し、遠心分離により脱泡後、シリコーンチューブを巻いたガラス棒(外径10mm)を挿入したポリプロピレン製チューブ(外径15mm)の間に流し込み、20時間静置した。その後、シリコーンチューブを巻いたガラス棒を抜き取り、得られた筒状のAlGelatin−TSCを3日間水中(4℃)に浸漬し、溶媒、未反応のTSCおよび副生成物であるN−ヒドロキシスクシンイミドを除去することで、図26に示すような人工血管を得た。
細胞接着ペプチド含有高分子としてAlGelatin、クエン酸活性エステル体としてN−ヒドロキシスクシンイミドにより3つのカルボキシル基が修飾されたTSCを用いて調製した。AlGelatin溶液は、AlGelatinを乳酸含有DMSO溶液に溶解することにより調製し、終濃度が15% (w/v)のものを得た。TSC溶液も同様に乳酸含有DMSO溶液に溶解することにより終濃度が20mMとなるよう調製した。
得られたAlGelatin溶液およびTSC溶液をペンシルスターラーで撹拌し、遠心分離により脱泡後、シリコーンチューブを巻いたガラス棒(外径10mm)を挿入したポリプロピレン製チューブ(外径15mm)の間に流し込み、20時間静置した。その後、シリコーンチューブを巻いたガラス棒を抜き取り、得られた筒状のAlGelatin−TSCを3日間水中(4℃)に浸漬し、溶媒、未反応のTSCおよび副生成物であるN−ヒドロキシスクシンイミドを除去することで、図26に示すような人工血管を得た。
人工血管の一例として、芯材としてポリテトラフルオロエチレンを用い、その表面全体を生体吸収性高分子にて覆った例を示す。(特許文献12、13、14、15、16、17参照)
細胞接着ペプチド含有高分子としてAlGelatin、クエン酸活性エステル体としてN−ヒドロキシスクシンイミドにより3つのカルボキシル基が修飾されたTSCを用いて調製する。AlGelatin溶液は、AlGelatinを乳酸含有DMSO溶液に溶解することにより調製し、終濃度が15%(w/v)のものを得た。TSC溶液も同様に乳酸含有DMSO溶液に溶解することにより終濃度が20mMとなるよう調製し、生体吸収性高分子被覆溶液を得た。得られた溶液に筒状のポリテトラフルオロエチレン(内径10mm、長さ200mm)を30秒間浸漬後、余分な生体吸収性高分子被覆溶液を除去した後、3日間水中(4℃)に浸漬し、溶媒、未反応のTSCおよび副生成物であるN−ヒドロキシスクシンイミドを除去することで、図27に示すようにポリテトラフルオロエチレンを芯材とする人工血管を得た。
細胞接着ペプチド含有高分子としてAlGelatin、クエン酸活性エステル体としてN−ヒドロキシスクシンイミドにより3つのカルボキシル基が修飾されたTSCを用いて調製する。AlGelatin溶液は、AlGelatinを乳酸含有DMSO溶液に溶解することにより調製し、終濃度が15%(w/v)のものを得た。TSC溶液も同様に乳酸含有DMSO溶液に溶解することにより終濃度が20mMとなるよう調製し、生体吸収性高分子被覆溶液を得た。得られた溶液に筒状のポリテトラフルオロエチレン(内径10mm、長さ200mm)を30秒間浸漬後、余分な生体吸収性高分子被覆溶液を除去した後、3日間水中(4℃)に浸漬し、溶媒、未反応のTSCおよび副生成物であるN−ヒドロキシスクシンイミドを除去することで、図27に示すようにポリテトラフルオロエチレンを芯材とする人工血管を得た。
生体内で分解し、血管内皮細胞接着性と抗血栓性の機能を有する生体吸収性高分子は、縫合糸や中空糸などの医療分野に適用可能である。
Claims (7)
- 生体の生理作用により、生体内に吸収される生体吸収性高分子であって、細胞接着性ペプチド含有高分子がクエン酸活性エステル体により架橋されてなることを特徴とする生体吸収性高分子。
- 請求項1に記載の生体吸収性高分子において、細胞接着性ペプチド含有高分子とクエン酸活性エステル体の濃度が、3(質量%):3/2〜20(mM)の比率をもって反応溶液中に溶解されて生成されたことを特徴とする生体吸収性高分子。
- 請求項1又は2に記載の生体吸収性高分子において、前記クエン酸活性エステル体がクエン酸のカルボキシル基をN−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド、またはこれらの誘導体によって少なくとも2つ以上修飾した生体低分子誘導体であることを特徴とする生体吸収性高分子。
- 請求項1から3のいずれかに記載の生体吸収性高分子において、前記細胞接着性ペプチド含有高分子がゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、コラーゲン、アルカリ処理コラーゲン、酸処理コラーゲンおよびこれらの誘導体の1種または2種以上の組み合わせからなることを特徴とする生体吸収性高分子。
- 請求項1から4のいずれかに記載の生体吸収性高分子において、前記細胞接着ペプチドが、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)、チロシン−イソロイシン−グリシン−セリン−アルギニン(YIGSR)、イソロイシン−リシン−バリン−アラニン−バリン(IKVAV)のペプチド配列の1種または2種以上の組合せであることを特徴とする生体吸収性高分子。
- 生体に埋め込みまたは接合して使用されることで医療上の処置を行うことができる医療機器であって、少なくともその生体に埋め込みまたは接合される部分の表面が、請求項1から5のいずれかに記載の生体吸収性高分子により構成されていることを特徴とする医療機器。
- 機能不全に陥った血管を代替する人工血管であって、その全体若しくは表面が、請求項1から5のいずれかに記載の生体吸収性高分子により構成されていることを特徴とする人工血管。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010023909A JP2011160854A (ja) | 2010-02-05 | 2010-02-05 | 生体吸収性高分子とそれを用いた医療機器及び人工血管 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2011160854A true JP2011160854A (ja) | 2011-08-25 |
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ID=44592256
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JP2010023909A Pending JP2011160854A (ja) | 2010-02-05 | 2010-02-05 | 生体吸収性高分子とそれを用いた医療機器及び人工血管 |
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JP (1) | JP2011160854A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109745580A (zh) * | 2019-02-28 | 2019-05-14 | 天津大学 | 抗凝血多肽和细胞黏附多肽共修饰的小口径人工血管及制备方法 |
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2010
- 2010-02-05 JP JP2010023909A patent/JP2011160854A/ja active Pending
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