JP2011159692A - 電子装置、および、電子装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ワイヤー19が接合されたボンディング面21、22をシリコーン樹脂30にて被覆してなるスイッチング装置1の製造方法であって、樹脂受け部41を備えたケース10内にシリコーン樹脂30を注入する注入工程と、注入工程でシリコーン樹脂30が注入されたケースを減圧下に置き、減圧によりシリコーン樹脂30の液面を上昇させ、注入工程でシリコーン樹脂30よりも上に露出していたワイヤー19をシリコーン樹脂30で被覆する減圧工程と、減圧工程でシリコーン樹脂30の液面が上昇したことにより樹脂受け部41に流入したシリコーン樹脂30を検出する検出工程と、を有する。
【選択図】図4
Description
この構成については、充填された合成樹脂が振動したときに、この振動がワイヤーに伝わって断線を招くおそれが指摘されていた。そこで、上記構成において充填する合成樹脂の量を減らすことにより、ワイヤーの振動を防ぐ方法が提案された(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、ワイヤーボンディングにより金属ワイヤーが接続されたパワー素子をケースに収納し、シリコーン樹脂をケースの上方から注入した後で、吸引ノズルを差し入れ、必要な高さを残してシリコーン樹脂を吸引除去する方法が開示されている。この方法によれば、金属ワイヤーがシリコーン樹脂により被覆された構造とすることができる。
そこで、本発明は、ワイヤーボンディングが施された電子部品を合成樹脂によって被覆した構成において、ワイヤーを合成樹脂によって確実に被覆することを目的とする。
本発明によれば、合成樹脂を吸引除去する作業を伴わずに金属ワイヤーを合成樹脂で被覆した構成を実現できる。さらに、減圧下で合成樹脂の液面が金属ワイヤーを覆う高さに達した場合は樹脂受け部に合成樹脂が流入するので、樹脂受け部への合成樹脂の流入を検出することで、金属ワイヤーが合成樹脂で覆われたことを容易に確認できる。これにより、金属ワイヤーを合成樹脂で被覆したことで耐食性の向上と金属ワイヤーの絶縁保護を可能にし、新規設備の導入や電子装置の大型化を伴わずに製造可能で、かつ、金属ワイヤーが完全に被覆されたことを容易に確認できる電子装置を提供できる。
本発明によれば、減圧下において合成樹脂の液面が金属ワイヤーよりも上まで上昇した場合に、この合成樹脂が樹脂受け部の凹部に確実に流入して貯留されるので、凹部に溜まっている合成樹脂を検出することで、金属ワイヤーが上部まで合成樹脂で被覆されたことを容易に、かつ速やかに検出できる。
本発明によれば、凹部に溜まっている合成樹脂を検出することで、金属ワイヤーが上部まで合成樹脂で被覆されたことを容易に、かつ速やかに検出できる。また、凹部がケースの側壁を切り欠いて形成されたため、ケース内において凹部を設けるスペースを確保する必要がないので、ケース内の各部の配置を検出工程の都合で制限することなく、ケース内部の配置の自由度を損なわずに、金属ワイヤーが上部まで合成樹脂で被覆されたことをより容易に、より速やかに検出できる。
本発明によれば、減圧下において、合成樹脂の液面が金属ワイヤーよりも上まで上昇した場合に、この合成樹脂が貫通孔を通って樹脂受け部の凹部に確実に流入して貯留されるので、凹部に溜まっている合成樹脂を検出することで、金属ワイヤーが上部まで合成樹脂で被覆されたことを検出できる。また、樹脂受け部の凹部が前記ケース外に設けられているため、ケース内部における電子部品や金属ワイヤーの配置状態に影響されることなく、凹部に溜まっている合成樹脂を容易に検出できる。さらに、ケース内において凹部を設けるスペースを確保する必要がない。このため、ケース内の各部の配置を検出工程の都合で制限することなく、ケース内部の配置の自由度を損なわずに、金属ワイヤーが上部まで合成樹脂で被覆されたことをより容易に、より速やかに検出できる。
本発明によれば、合成樹脂を吸引除去する作業を伴わずに金属ワイヤーを合成樹脂で被覆し、新規設備の導入や電子装置の大型化を伴わずに、耐食性の向上と金属ワイヤーの絶縁保護を可能にした電子装置を製造できる。さらに、検出工程では樹脂受け部への合成樹脂の流入を検出することで金属ワイヤーが合成樹脂で覆われたことを容易に確認でき、金属ワイヤーの被覆が不完全なまま放置されることがない。これにより、金属ワイヤーを合成樹脂で被覆して耐食性の向上と金属ワイヤーの絶縁保護を可能にした電子装置を、速やかに高い歩留まりで製造できる。
本発明によれば、検出工程で凹部に溜まっている合成樹脂を検出することで、金属ワイヤーが上部まで合成樹脂で被覆されたことを容易に、かつ速やかに検出できる。
本発明によれば、減圧工程で合成樹脂の液面が金属ワイヤーよりも上まで上昇し、この合成樹脂が樹脂受け部の凹部に流入したか否かを、検査光を照射して光学的に検出するので、金属ワイヤーが上部まで合成樹脂で被覆されたことを容易に、かつ速やかに、非接触の手法で検出できる。
また、凹部に溜まっている合成樹脂を検出することで、金属ワイヤーが上部まで合成樹脂で被覆されたことを容易に、かつ速やかに検出できる。
また、凹部がケースの側壁を切り欠いて形成されたため、ケース内において凹部を設けるスペースを確保する必要がないので、ケース内の各部の配置を検出工程の都合で制限することなく、ケース内部の配置の自由度を損なわずに、金属ワイヤーが上部まで合成樹脂で被覆されたことをより容易に、より速やかに検出できる。
さらに、ケース外に設けられた凹部の合成樹脂を検出するので、ケース内部における電子部品や金属ワイヤーの配置状態に影響されることなく、凹部に溜まっている合成樹脂を容易に検出でき、ケース内において凹部を設けるスペースを確保する必要がないので、ケース内の各部の配置を検出工程の都合で制限することなく、ケース内部の配置の自由度を損なわずに、金属ワイヤーが上部まで合成樹脂で被覆されたことをより容易に、より速やかに検出できる。
さらにまた、合成樹脂が樹脂受け部の凹部に流入したか否かを、検査光を照射して光学的に検出するので、金属ワイヤーが上部まで合成樹脂で被覆されたことを容易に、かつ速やかに、非接触の手法で検出できる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1から図3は、本発明の第1の実施形態に係るスイッチング装置1の製造方法を示す説明図であり、詳細には、図1は注入工程後のスイッチモジュール1Aの要部断面図、図2は減圧工程のスイッチモジュール1Aの要部断面図である。また、図3は検出工程におけるスイッチモジュール1Aの要部断面図である。
また、図4は、第1の実施形態に係る製造方法により製造されるスイッチング装置1の構成を示す要部断面図である。
電子部品としての半導体素子11は、例えば、IGBT、パワーMOSFET、サイリスタ、ダイオード等の、大電流に対応した電源供給用のスイッチング素子である。基板15は、上面絶縁基板15A及び下面絶縁基板15Bの間に絶縁基板15Cを挟んでロウ材等により接合してなる3層構造の基板であり、上面絶縁基板15A及び下面絶縁基板15Bには、例えば電源供給回路を構成する回路パターンが形成されている。半導体素子11は、上面絶縁基板15A及び下面絶縁基板15Bに形成されたパターンに、はんだ18によって電気的に接続されている。
ベース基材12の上面には、基板15の下部が絶縁性の接合材17によって固定されている。また、ハウジング13には、ケース10の外側に突出する外部端子14が設けられている。外部端子14は、ケース10の内側と外側とに跨るようにハウジング13を貫通しており、ケース10の外部の回路に接続される金属製の端子である。この外部端子14は、ケース10に収容された半導体素子11を、ケース10の外部の回路に接続するために設けられており、ケース10内では外部端子14と半導体素子11とが、ワイヤー19(金属ワイヤー)によって電気的に接続される。
このように半導体素子11がケース10に収納され、第1接合材17によって基板15がベース基材12に接合され、基板15上に実装された半導体素子11と外部端子14との間に、ワイヤーボンディングによりワイヤー19が形成されて、スイッチモジュール1Aが構成される。このスイッチモジュール1Aにシリコーン樹脂が注入され、ボンディング面21、22及びワイヤー19が被覆されて、電子装置としてのスイッチング装置1が製造される。
1.スイッチモジュール1Aにシリコーン樹脂を注入する注入工程。
2.シリコーン樹脂を注入したスイッチモジュール1Aを減圧下に置く減圧工程。
3.ワイヤー19がシリコーン樹脂で覆われたことを検出する検出工程。
4.シリコーン樹脂を硬化させる硬化工程。
この注入工程では、例えば、主剤と硬化剤とからなる二液性の樹脂を混合して流動状態のシリコーン樹脂30を調製し、注入ノズル(図示略)からシリコーン樹脂30を吐出する注入装置(図示略)が使用される。注入工程では、スイッチモジュール1Aのケース10内に上方から、注入装置の注入ノズルによってシリコーン樹脂30が注入される。シリコーン樹脂30の注入量は、図1に示すように、ワイヤー19の最上部(ワイヤートップ)に比べて十分に低く、かつ、ボンディング面21、22の金属がシリコーン樹脂30に没する高さである。
この図1に示す高さまでシリコーン樹脂30が注入されると、ボンディング面21、22の耐食性及び防湿性が確保される一方で、ワイヤー19が全てシリコーン樹脂30に沈んだ場合に比べて、シリコーン樹脂30が振動した場合も、この振動がワイヤー19に伝わってワイヤー19やボンディング面21、22における断線を招くおそれがない。
樹脂溜まり42の縁の高さは、ワイヤートップとほぼ同じ高さ、或いはワイヤートップより高くなっている。後述する減圧工程において、シリコーン樹脂30の液面が樹脂溜まり42の縁よりも高く上昇すると、樹脂溜まり42にシリコーン樹脂30が流入する。
そして、図1に示すように、ハウジング13から張り出している樹脂受け部41の下端は、注入工程において注入されるシリコーン樹脂30の液面と同じ高さとなっている。このため、注入工程では、シリコーン樹脂30の液面が樹脂受け部41の下端に接するまで目視しながらシリコーン樹脂30を注入すれば、シリコーン樹脂30を注入中や注入前に計量することなく、シリコーン樹脂30の注入量を好適な量に合わせることができる。
また、減圧工程では、シリコーン樹脂30の液面がワイヤー19の最上部高さを超えるため、樹脂溜まり42の縁を超えてシリコーン樹脂30が樹脂溜まり42に流入する。
しかしながら、シリコーン樹脂30は高い粘性を有するので、いったんシリコーン樹脂30に浸った部分には、シリコーン樹脂30の液面が注入された高さに戻った後も、その表面にシリコーン樹脂30が付着したまま、被膜となって残る。一般的なシリコーン樹脂の粘性を基準にすれば、数時間ないし数十時間、被膜が残ることが明らかである。従って、減圧工程でワイヤートップの高さまでシリコーン樹脂30が吹き上がることで、ワイヤー19の全体に、シリコーン樹脂30の被膜が形成される。
このため、本第1の実施形態では、減圧工程の後に、シリコーン樹脂30の液面が必要な高さまで上昇したことを確認するため、検出工程を行う。この検出工程は、スイッチモジュール1Aを収容した減圧チャンバーの減圧解除後に行ってもよいし、スイッチモジュール1Aが減圧下にある状態で、すなわち減圧チャンバー内の真空度が低下する前に、行ってもよい。
このため、図3に示す検出工程では、樹脂溜まり42に貯留しているシリコーン樹脂30を検出することにより、減圧工程でシリコーン樹脂30の液面がワイヤートップの高さを超えたか否か、すなわち、ワイヤー19がシリコーン樹脂30により被覆されたか否かが確認される。
また、反対に、シリコーン樹脂30により高い反射率で反射される検査光Lを用いることもでき、この場合、底面42Aが、検査光Lをほとんど反射しない状態であれば、反射光の差が顕著になるため、より確実にシリコーン樹脂30を検出できる。
硬化工程においては、減圧工程に引き続いてスイッチモジュール1Aを減圧条件下においてもよいし、徐々に真空度を下げて常圧条件にしてもよく、常圧になった後で硬化工程に移行してもよい。
スイッチング装置1のケース10内では、ボンディング面21、22の両方を覆う高さまでシリコーン樹脂30が充填されてゲル状に硬化しており、シリコーン樹脂30よりも上方にワイヤー19の一部が出ている。ワイヤー19はボンディング面21、22においてシリコーン樹脂30により覆われている。さらに、ワイヤー19の、シリコーン樹脂30の上面より上に出ている部分は、減圧工程で付着したシリコーン樹脂30の薄膜である樹脂被膜31によって被覆されている。この樹脂被膜31がワイヤー19のワイヤートップまで全体に形成されたか否かは、検出工程で、樹脂溜まり42のシリコーン樹脂30が検出されたか否かに基づき、容易に確認できる。
従って、減圧工程でシリコーン樹脂30の液面がワイヤートップまで上昇せず、ワイヤー19の全体がシリコーン樹脂30で覆われていない場合は、検出工程でこれを検出できる。このため、製品不良を確実に検出することができる。また、硬化工程の前に検出工程を行うので、不良と検出されたスイッチモジュール1Aは、シリコーン樹脂30をワイヤー19に付着させることで良品とすることができる。
さらに、シリコーン樹脂30が樹脂受け部41の樹脂溜まり42に流入したか否かを、検査光Lを照射して光学的に検出するので、ワイヤー19が上部までシリコーン樹脂30で被覆されたことを容易に、かつ速やかに、非接触の手法で検出できる。このため、多数のスイッチング装置1について、連続して高速に、樹脂溜まり42のシリコーン樹脂30を検出できる。また、減圧チャンバー内において検査光Lを照射して検出を行うことも可能である。
図5は、本発明を適用した第2の実施形態に係るスイッチング装置2の構成を示す要部断面図である。本第2の実施形態において、上記第1の実施形態と同様に構成される各部については、同符号を付して説明を省略する。
スイッチング装置2は、上記第1の実施形態で説明したスイッチング装置1と同様に、半導体素子11を実装した基板15をケース24内に収容し、ケース24に設けられた外部端子14と半導体素子11とをワイヤー19によって接続したものである。スイッチング装置2が備えるケース24は、ベース基材12の周縁部に、ハウジング23を接合して構成される。ハウジング23の断面形状は、ハウジング13と同様に円であってもよいし方形やその他の多角形であってもよい。ハウジング23とベース基材12とは接着剤等によって液体が漏れないように接合されており、ケース24内に液体が充填された場合、この液体を漏れなく貯留できる。
すなわち、ケース24にシリコーン樹脂30を所定高さまで注入する注入工程、注入工程後に減圧下で放置することでシリコーン樹脂30の液面を上昇させて脱泡する減圧工程、減圧工程でシリコーン樹脂30の液面が上昇したことを検出する検出工程、及び、シリコーン樹脂30を硬化させる硬化工程である。
注入工程で注入されるシリコーン樹脂30は上記第1の実施形態と同様であり、シリコーン樹脂30の注入量は、ボンディング面21、22がシリコーン樹脂30に没し、かつ、ワイヤー19の少なくとも一部がシリコーン樹脂30の液面から露出する量である。この高さまでシリコーン樹脂30が注入された状態では、樹脂受け部45はシリコーン樹脂30に接しておらず、樹脂溜まり46にはシリコーン樹脂30が流入していない。
この図6に示すように、検出工程では、ケース24の上方から、図示しない光源により樹脂溜まり46に向けて検査光Lが照射される。検査光Lは樹脂溜まり46の底面または樹脂溜まり46に溜まったシリコーン樹脂30に反射するので、この反射光を図示しない受光部により受光することで、樹脂溜まり46に溜まったシリコーン樹脂30を検出できる。この検査光Lは第1の実施形態で説明した検査光Lと同様であり、樹脂溜まり46の底面における検査光Lの反射率が高い構成とし、検査光Lに、シリコーン樹脂30により吸収されやすい波長の光を用いてもよいし、樹脂溜まり46の底面の反射率を低くして、検査光Lの波長を、シリコーン樹脂30の表面における反射率が高い波長の光にしてもよい。
図7は、本発明を適用した第3の実施形態に係るスイッチング装置3の構成を示す要部断面図である。本第3の実施形態において、上記第1の実施形態と同様に構成される各部については、同符号を付して説明を省略する。
スイッチング装置3は、上記第1の実施形態で説明したスイッチング装置1と同様に、半導体素子11を実装した基板15をケース26内に収容し、ケース26に設けられた外部端子14と半導体素子11とをワイヤー19によって接続したものである。スイッチング装置3が備えるケース26は、ベース基材12の周縁部にハウジング25を接合して構成される。ハウジング25の断面形状は、ハウジング13と同様に円であってもよいし方形やその他の多角形であってもよい。ハウジング25とベース基材12とは接着剤等によって液体が漏れないように接合されており、ケース26内に液体が充填された場合、この液体を漏れなく貯留できる。
貫通孔48の下方において、ハウジング25の外側面には樹脂受け部49が設けられている。樹脂受け部49は、貫通孔48から流出する液体を貯留する凹部としての樹脂溜まり50を有する。樹脂溜まり50の高さ位置は貫通孔48より低ければよいが、液体が樹脂受け部49の外にあふれないように、樹脂溜まり50の縁の高さは貫通孔48より上にあることが好ましい。
すなわち、ケース26にシリコーン樹脂30を所定高さまで注入する注入工程、注入工程後に減圧下で放置することでシリコーン樹脂30の液面を上昇させて脱泡する減圧工程、減圧工程でシリコーン樹脂30の液面が上昇したことを検出する検出工程、及び、シリコーン樹脂30を硬化させる硬化工程である。
この図8に示すように、検出工程では、ケース26の上方から、図示しない光源により樹脂溜まり50に向けて検査光Lが照射される。検査光Lは樹脂溜まり50の底面または樹脂溜まり50に溜まったシリコーン樹脂30に反射するので、この反射光を図示しない受光部により受光することで、樹脂溜まり50に溜まったシリコーン樹脂30を検出できる。この検査光Lは第1の実施形態で説明した検査光Lと同様であり、樹脂溜まり50の底面における検査光Lの反射率が高い構成とし、検査光Lに、シリコーン樹脂30により吸収されやすい波長の光を用いてもよいし、樹脂溜まり50の底面の反射率を低くして、検査光Lの波長を、シリコーン樹脂30の表面における反射率が高い波長の光にしてもよい。
図9は、本発明を適用した第4の実施形態に係るスイッチング装置4の構成を示す要部断面図である。本第2の実施形態において、上記第1の実施形態と同様に構成される各部については、同符号を付して説明を省略する。
スイッチング装置4は、上記第1の実施形態で説明したスイッチング装置1と同様に、半導体素子11を実装した基板15をケース28内に収容し、ケース28に設けられた外部端子14と半導体素子11とをワイヤー19によって接続したものである。スイッチング装置4が備えるケース28は、ベース基材12の周縁部にハウジング27を接合して構成される。ハウジング27の断面形状は、ハウジング13と同様に円であってもよいし方形やその他の多角形であってもよい。ハウジング27とベース基材12とは接着剤等によって液体が漏れないように接合されており、ケース28内に液体が充填された場合、この液体を漏れなく貯留できる。
ケース28の内側における樹脂受け部53の下端の高さは、ワイヤー19のワイヤートップとほぼ同じ高さ、或いはワイヤートップより高くなっている。スイッチング装置4の製造工程の減圧工程で、シリコーン樹脂30の液面が樹脂受け部53の縁よりも高く上昇すると、樹脂溜まり46にシリコーン樹脂30が流入する。
すなわち、ケース28にシリコーン樹脂30を所定高さまで注入する注入工程、注入工程後に減圧下で放置することでシリコーン樹脂30の液面を上昇させて脱泡する減圧工程、減圧工程でシリコーン樹脂30の液面が上昇したことを検出する検出工程、及び、シリコーン樹脂30を硬化させる硬化工程である。
この図10に示すように、検出工程では、ケース28の斜め上方から、図10の例ではケース28の内側から外側に向かう方向に、図示しない光源により樹脂溜まり54に向けて検査光Lが照射される。
樹脂溜まり54にシリコーン樹脂30が溜まっていない場合、検査光Lは斜面55に当たって、検査光Lの入射側、すなわちケース28の内側に向かって反射する。これに対し、樹脂溜まり54にシリコーン樹脂30が溜まっている場合には、検査光Lはシリコーン樹脂30の上面で反射する。硬化工程の前ではシリコーン樹脂30は流動性を有するので、シリコーン樹脂30の上面は水平となっている。このため検査光Lは、図10に示すように、ハウジング27の外側に向かって反射する。
検査光Lを発した光源側に受光部(図示略)を配置し、この受光部により反射光を受光すると、樹脂溜まり54にシリコーン樹脂30が溜まっていない場合は受光量が大きく、シリコーン樹脂30が溜まっている場合は受光量が小さくなる。この受光量の差によって、樹脂溜まり54に溜まったシリコーン樹脂30を検出できる。この場合、斜面55における検査光Lの反射率が高い構成とし、検査光Lの波長を、シリコーン樹脂30により吸収されやすい波長にすれば、受光量の差はより顕著になる。また、図10に矢印で示す反射光の方向に受光部(図示略)を設け、この受光部により反射光を受光すると、樹脂溜まり54にシリコーン樹脂30が溜まっていない場合は受光量が小さく、シリコーン樹脂30が溜まっている場合は受光量が大きくなる。この場合、斜面55の反射率を低くして、検査光Lの波長を、シリコーン樹脂30の表面における反射率が高い波長の光にすれば、受光量の差はより顕著になり、より容易に確実な検出が可能になる。
また、シリコーン樹脂30が樹脂溜まり54に溜まっている場合と、溜まっていない場合とで、検査光Lの反射光を定位置で受光した場合の受光量が著しく異なるので、シリコーン樹脂30を確実に検出できる。
図11は、本発明を適用した第5の実施形態に係るスイッチング装置5の製造方法の説明図であり、特に注入工程を示す。また、図12は、図11に示す製造方法で製造されるスイッチング装置5の構成を示す要部断面図である。
なお、この第5の実施形態において上述した第1の実施形態と同様に構成される部分には同符号を付して説明を省略する。
本第5の実施形態では、スイッチモジュール6の上方から、注入装置(図示略)が有する注入ノズル39によってシリコーン樹脂30を流下させる。上記注入装置には、注入ノズル39をスイッチモジュール6の上方において水平に移動させる移動機構が設けられ、スイッチモジュール6の上で注入ノズル39を移動可能である。注入ノズル39の移動方向は一方向でも良いが、望ましくは2方向以上であり、スイッチモジュール6上の任意の位置に移動可能であることが好ましい。注入ノズル39の先端には、シリコーン樹脂30を分散流下させるノズルヘッドが装着され、シリコーン樹脂30を、帯状あるいは束状に、より広い面積に流下させることができる。
また、注入ノズル39の先端のノズルヘッドによってシリコーン樹脂30を分散させることで、シリコーン樹脂30内に気泡が入りやすくなるが、その後に減圧工程を行うことで脱泡されるため、ノズルヘッドを用いることによるデメリットは生じない。
ケース35内に注入されたシリコーン樹脂30の量は、少なくとも、ワイヤー19の一部を露出させる程度の高さにすることが望ましい。これは、シリコーン樹脂30が硬化した後のスイッチング装置5において、シリコーン樹脂30の振動がワイヤー19に伝わりにくいようにするためである。図12に示すスイッチング装置5では、ケース35の底部に固定された基板15を覆う程度の高さまでしかシリコーン樹脂30が注入されていない。シリコーン樹脂30の液面は、ワイヤー19の頂部に比べて非常に低く、ボンディング面21、22に比べても低い位置にある。このため、スイッチング装置5に振動が加わった場合に、ゲル状のシリコーン樹脂30が振動してワイヤー19に負荷を与え、或いは、この振動の負荷により断線を招くおそれはない。
例えば、上記の実施形態においては、ボンディング面21、22及びワイヤー19を被覆する合成樹脂として、2液性のシリコーン樹脂30をスイッチモジュール6に注入する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、注入される合成樹脂はシリコーン樹脂30に限らない。つまり、注入時に流動性を有し、その後に硬化してゲル状または固体となる合成樹脂であれば良い。また、上記合成樹脂としては、絶縁性及び耐久性を有し、ワイヤー19及びボンディング面21、22の金属を腐蝕させないものが望ましく、厳しい環境下においてもワイヤー19及びボンディング面21、22の金属を被覆した状態を保つことが可能な耐光性、耐熱性、耐水性を有するものがより好ましい。具体的には、シリコーン樹脂に限らず、エポキシ樹脂等を用いることができ、光硬化性および熱硬化性のいずれであってもよいし、添加剤等を含んでいてもよい。
さらに、例えば光硬化性樹脂を用いた場合には、検査光Lとしてレーザー光を用いると、検出対象の樹脂溜まり42、46、50、54以外に光が拡散して照射されないので、ケース10、24、26、28内の合成樹脂を硬化させてしまうことなく、検出を行えるという利点がある。
1A、6 スイッチモジュール
10 ケース
11 半導体素子(電子部品)
15 基板
19 ワイヤー(金属ワイヤー)
21、22 ボンディング面
30 シリコーン樹脂(合成樹脂)
31 樹脂被膜
100 注入装置
150 真空チャンバー
152 注入ノズル
154 ノズルヘッド
Claims (6)
- 電子部品にワイヤーボンディングにより金属ワイヤーを接合し、該金属ワイヤーが接合されたボンディング面を封止用の合成樹脂にて被覆してなる電子装置において、
前記電子部品を収納し、前記合成樹脂が注入されるケースを備え、このケースには、注入された前記合成樹脂の液面が前記金属ワイヤーより上に達した場合に、前記合成樹脂が流入する樹脂受け部が設けられ、
前記電子部品を前記ケースに収納し、前記ケース内に、前記金属ワイヤーの一部が合成樹脂の上面から露出する所定高さとなる量の合成樹脂を注入し、
前記ケースを減圧下に放置することによって前記合成樹脂の液面を上昇させ、前記合成樹脂よりも上に露出する前記金属ワイヤーに前記合成樹脂を付着させることにより、前記金属ワイヤーを合成樹脂で被覆したこと、
を特徴とする電子装置。 - 前記樹脂受け部は、前記ケース内部の空間に露出する凹部を有し、この凹部の縁は前記金属ワイヤーの上端と同等の高さに位置すること、
を特徴とする請求項1記載の電子装置。 - 前記樹脂受け部は、前記ケースの側壁を切り欠いて形成され、前記ケース内部の空間に露出する凹部を有し、この凹部の縁は前記金属ワイヤーの上端と同等の高さに位置すること、
を特徴とする請求項1記載の電子装置。 - 前記ケースの側壁には、注入された前記合成樹脂の液面が前記電子部品に接合された前記金属ワイヤーより上に達した場合に、前記合成樹脂を前記ケース外に流出させる貫通孔が形成され、
前記樹脂受け部は、前記ケースの外側面において前記貫通孔の下方に設けられ、前記貫通孔から流出した前記合成樹脂を貯留する凹部を有すること、
を特徴とする請求項1記載の電子装置。 - ケースに収容された電子部品にワイヤーボンディングにより金属ワイヤーを接合し、該金属ワイヤーが接合されたボンディング面を封止用の合成樹脂にて被覆してなる電子装置の製造方法であって、
前記合成樹脂を注入可能に構成され、注入された前記合成樹脂の液面が前記金属ワイヤーより上まで達した場合に前記合成樹脂が流入する樹脂受け部を備えた前記ケース内に、前記金属ワイヤーの少なくとも一部が前記合成樹脂の上面から露出する所定高さとなる量の前記合成樹脂を注入する注入工程と、
前記注入工程で前記合成樹脂が注入された前記ケースを減圧下に置き、減圧により合成樹脂の液面を上昇させ、前記注入工程で前記合成樹脂よりも上に露出していた前記金属ワイヤーを前記合成樹脂で被覆する減圧工程と、
前記減圧工程で前記合成樹脂の液面が上昇したことにより前記樹脂受け部に流入した前記合成樹脂を検出する検出工程と、
を有することを特徴とする電子装置の製造方法。 - 前記樹脂受け部は、前記合成樹脂を貯留する凹部を有し、
前記検出工程では、前記凹部に検査光を照射することにより、前記凹部に流入した前記合成樹脂を光学的に検出すること、
を特徴とする請求項5記載の電子装置の製造方法。
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