JP2011158292A - レーダ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】安定した相関追尾が可能なレーダ装置を提供する。
【解決手段】FMCW方式のスイープ信号を送受信する送受信器20と、送受信器からの信号に基づき算出された目標の速度によって該目標を速度範囲毎にグルーピングし、速度範囲毎の速度ヒストグラムの度数に基づき自速度を抽出し、自速度を含む速度グループ内でレンジを分割し、分割レンジ毎にクロスレンジのヒストグラムを算出し、算出されたヒストグラムの度数が最大のクロスレンジ位置を算出し、分割レンジ毎に抽出された度数が最大のクロスレンジ位置を用いて曲線フィッティングして反射点の曲線を抽出する速度グルーピング部36と、速度グルーピング部によってグルーピングされた速度グループ毎に相関追尾を行う相関追尾部37を備える。
【選択図】図1
【解決手段】FMCW方式のスイープ信号を送受信する送受信器20と、送受信器からの信号に基づき算出された目標の速度によって該目標を速度範囲毎にグルーピングし、速度範囲毎の速度ヒストグラムの度数に基づき自速度を抽出し、自速度を含む速度グループ内でレンジを分割し、分割レンジ毎にクロスレンジのヒストグラムを算出し、算出されたヒストグラムの度数が最大のクロスレンジ位置を算出し、分割レンジ毎に抽出された度数が最大のクロスレンジ位置を用いて曲線フィッティングして反射点の曲線を抽出する速度グルーピング部36と、速度グルーピング部によってグルーピングされた速度グループ毎に相関追尾を行う相関追尾部37を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式などにより車両の速度を観測するレーダ装置に関し、特に相関追尾を実施する技術に関する。
道路を走行する車両をレーダ装置で観測する場合の簡易なレーダ方式としてFMCW方式が知られている(例えば、非特許文献1参照)。このFMCW方式のレーダ装置で車両を観測する場合、他車両や背景等といった複雑かつ多数の反射点が存在する環境で、目標車両を検出して相関追尾することになる。このような環境下において、アンテナビーム幅が広く、FMCW方式によるビート周波数軸の分解能が低い場合には、角度軸でも周波数軸でもメインローブの中に複数の反射点が存在し、振幅・位相によるベクトル合成により受信が乱れる。このため、目標を検出できなかったり、目標を検出できたとしても位置精度が低く、相関追尾によっても安定した位置が検知できないという問題がある。
図11は、従来のレーダ装置の構成を示す系統図であり、図12は、このレーダ装置の動作を示すフローチャートである。このレーダ装置は、アンテナ10、送受信器20および信号処理器30を備えている。以下、このレーダ装置の動作を、追尾処理を中心に説明する。レーダ装置においては、まず、送受信データが入力される(ステップS101)。すなわち、送受信器20の内部の送信器21でスイープされた信号は、アンテナ送信素子11で電波に変換されて送信される。これに応じて、複数のアンテナ受信素子12で受信された信号は、複数のミキサ22によりそれぞれ周波数変換されて、信号処理器30に送られる。信号処理器30では、送受信器20からの信号がAD変換器31でデジタル信号に変換され、素子信号としてFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)部32に送られる。
FFT部32は、AD変換器31から送られてくる素子信号を高速フーリエ変換して周波数軸上の信号に変換し、DBF(Digital Beam Forming:デジタルビーム形成)部33に送る。DBF部33は、FFT部32から送られてくる周波数軸の信号を用いて、ΣビームとΔビームを形成する。このDBF部33で形成されたΣビームは測距・測速部34に送られ、Δビームは測角部35に送られる。
次いで、距離および速度が算出される(ステップS102)。すなわち、測距・測速部34は、DBF部33からのΣビームを用いて距離および速度を算出し、相関追尾部37に送る。次いで、角度が算出される(ステップS103)。すなわち、測角部35は、DBF部33から測距・測速部34を経由して送られてくるΣビームおよびDBF部33から送られてくるΔビームを用いて測角を行い、得られた角度を相関追尾部37に送る。次いで、相関追尾が行われる(ステップS104)。
すなわち、相関追尾部37は、相関追尾処理を行って目標の位置および速度を算出し、外部に出力する。その後、サイクルが終了したかどうかが調べられる(ステップS105)。ステップS105において、サイクルが終了していないことが判断されると、次のサイクルを処理対象とするための処理が行われる(ステップS106)。その後、ステップS101に戻り、上述した処理が繰り返される。一方、ステップS105において、サイクルが終了したことが判断されると、このレーダ装置の追尾処理は終了する。
ところで、上述した従来のレーダ装置において、レーダ反射点は、図13に示すように、移動している車両101の他、ガードレール102、路肩103および停止している車両104等に混在する。一般に、相関追尾においては、図14に示すように、平滑値から予測値を求め、この予測値と、NN(Nearest Neighbor)観測値とから新たな平滑値を求めて次の予測値を算出するという処理が行われる。しかし、これらは観測位置を元に実施されるため、背景の反射も含む多数の反射点の中で、車両目標を誤認して追尾する可能性があり、また、追尾可能目標数を超えるために、安定した相関追尾ができない場合がある。
吉田孝監修、‘改訂レーダ技術’、電子情報通信学会、pp.274-275(1996)
従来のレーダ装置では、上述したように、他車両や背景等の複雑かつ多数の反射点が存在する環境下において、アンテナビーム幅が広く、FMCW方式によるビート周波数軸の分解能が低い場合には、角度軸でも周波数軸でもメインローブの中に複数の反射点が存在し、振幅・位相によるベクトル合成により受信が乱れるため、目標を検出できなかったり、目標を検出できたとしても位置精度が低く、相関追尾によっても安定した位置を検知できないという問題がある。
本発明の課題は、安定した相関追尾を実現できるレーダ装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、FMCW方式のスイープ信号を送受信する送受信器と、前記送受信器からの信号に基づき算出された目標の速度によって該目標を速度範囲毎にグルーピングし、速度範囲毎の速度ヒストグラムの度数に基づき自速度を抽出し、自速度を含む速度グループ内でレンジを分割し、分割レンジ毎にクロスレンジのヒストグラムを算出し、算出されたヒストグラムの度数が最大のクロスレンジ位置を算出し、分割レンジ毎に抽出された度数が最大のクロスレンジ位置を用いて曲線フィッティングして反射点の曲線を抽出する速度グルーピング部と、前記速度グルーピング部によってグルーピングされた速度グループ毎に相関追尾を行う相関追尾部とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、複雑な背景下においても、ガードレールや路肩等の曲線を抽出し、不要な反射点を抑圧した上で、安定した相関追尾を実現できる。
すなわち、本発明によれば、速度グルーピングにより自速度を抽出し、レンジを分割し、各々の分割レンジ毎にヒストグラムの度数が最大となるクロスレンジ位置を算出し、フィッティング曲線を算出することで、路肩を結ぶ曲線が抽出できる。このため、路肩より外側の反射点は不要な反射点として抑圧した上で、安定した相関追尾を実現できる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例1に係るレーダ装置の構成を示す系統図である。このレーダ装置は、アンテナ10、送受信器20および信号処理器30を備えている。
アンテナ10は、アンテナ送信素子11と複数のアンテナ受信素子12とから構成されている。アンテナ送信素子11は、送受信器20から電気信号として送られてくる送信信号を電波に変換して外部に送出する。複数のアンテナ受信素子12は、外部からの電波を受信して電気信号に変換し、受信信号として送受信器20に送る。
送受信器20は、送信器21と複数のミキサ22を備えており、複数のミキサ22は、複数のアンテナ受信素子12にそれぞれ対応して設けられている。一般的なアップチャープとダウンチャープ送信信号を用いたFMCW方式の場合は、送信器21でスイープした送信信号を生成し、アンテナ送信素子11および複数のミキサ22に送る。複数のミキサ22は、複数のアンテナ受信素子12からそれぞれ受け取った受信信号を、送信器21からの信号に応じて周波数変換し、信号処理器30に送る。
信号処理器30は、AD変換部31、FFT部32、DBF部33、測距・測速部34、測角部35、速度グルーピング部36および相関追尾部37を備えている。
AD変換器31は、送受信器20から送られてくるアナログ信号をデジタル信号に変換し、素子信号としてFFT部32に送る。FFT部32は、AD変換器31から送られてくる素子信号を高速フーリエ変換により周波数軸上の信号に変換し、DBF部33に送る。
DBF部33は、FFT部32から送られてくる周波数軸上の信号を用いて、ΣビームとΔビームを形成する。このDBF部33で形成されたΣビームは測距・測速部34に送られ、Δビームは測角部35に送られる。
測距・測速部34は、DBF部33から送られてくるΣビームに基づき測距および測速を行う。この測距・測速部34における測距および測速により得られた距離および速度は、速度グルーピング部36に送られる。また、測距・測速部34は、DBF部33から送られてきたΣビームを測角部35に送る。
測角部35は、測距・測速部34から送られてくるΣビームおよびDBF部33から送られてくるΔビームに基づき測角を行う。測角部35における測角により得られた角度は、速度グルーピング部36に送られる。
速度グルーピング部36は、測距・測速部34から送られてくる距離および速度と、測角部35から送られてくる角度とに基づき、観測速度によって目標を分類し、グルーピングする。この速度グルーピング部36におけるグルーピングの結果は、相関追尾部37に送られる。
相関追尾部37は、速度グルーピング部36から送られてくる処理結果に基づき相関追尾処理を実行する。相関追尾部37における処理により得られた位置および速度は、外部に送られる。
次に、上記のように構成される本発明の実施例1に係るレーダ装置の動作を追尾処理を中心に、図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。
追尾処理では、まず、FMCW方式で送受信が行われ、送受信データが入力される(ステップS11)。すなわち、送受信器20の内部の送信器21でスイープされた信号は、アンテナ送信素子11で電波に変換されて送信される。これに応じて、複数のアンテナ受信素子12で受信された信号は、複数のミキサ22によりそれぞれ周波数変換されて、信号処理器30に送られる。信号処理器30では、送受信器20からの信号がAD変換器31でデジタル信号に変換され、素子信号としてFFT部32に送られる。
FFT部32は、AD変換器31から送られてくる素子信号を高速フーリエ変換して周波数軸上の信号に変換し、DBF部33に送る。DBF部33は、FFT部32から送られてくる周波数軸の信号を用いて、ΣビームとΔビームを形成する。DBF部33で形成されたΣビームは測距・測速部34に送られ、Δビームは測角部35に送られる。
次いで、距離および速度が算出される(ステップS12)。すなわち、測距・測速部34は、DBF部33からのΣビームに基づき測距および測速を行い、測距および測速により得られた距離および速度を、速度グルーピング部36に送る。
次いで、角度が算出される(ステップS13)。すなわち、測角部35は、DBF部33から測距・測速部34を経由して送られてくるΣビームおよびDBF部33から送られてくるΔビームを用いて測角を行い、得られた角度を速度グルーピング部36に送る。
次いで、速度が分類される(ステップS14)。すなわち、速度グルーピング部36は、測距・測速部34から送られてくる距離および速度と、測角部35から送られてくる角度とに基づき、観測速度によって目標を分類してグルーピングし、グルーピングの結果を相関追尾部37に送る。
次いで、自速度抽出が行われる(ステップS15)。すなわち、速度グルーピング部36は、ステップS14で分類されたグループのうち、反射点が最も多いグループを自速度グループとする。図4及び図5(c)に示すように、速度グループ毎にヒストグラムh1,h2,h3を算出し、このヒストグラムに基づき度数(反射点)が最も多い速度グループGr#2を抽出する(図5(d)、図5(e))。
次いで、極座標からXY座標への変換が行われる(ステップS16)。すなわち、速度グルーピング部36は、極座標(R、θ)として取得された観測速度データを、XYの直交座標に変換する。
次いで、観測速度データのサイクル間累積が行われる(ステップS17)。すなわち、速度グルーピング部36は、観測速度データのサイクル間で、忘却係数を乗算して積分する。
次いで、自速度グループであるかどうかが調べられる(ステップS18)。ステップS18において、そのグループが自速度グループでないことが判断されると、ステップS20,S22の処理はスキップされて、ステップS24に進む。
一方、ステップS18において、そのグループが自速度グループである場合には、クロスレンジ軸のヒストグラムにより直線抽出が行われる(ステップS20)。すなわち、速度グルーピング部36は、クロスレンジ軸のヒストグラムにより左右の直線を抽出する。この処理の詳細については、後述する。
次いで、左右の直線の外側の固定反射点が削除される(ステップS22)。次いで、振幅極値が抽出される(ステップS24)。すなわち、速度グルーピング部36は、速度グループ毎に各グループ内で極値(極大値のこと)を算出する。
次いで、重心演算が行われる(ステップS25)。すなわち、速度グルーピング部36は、ステップS24で算出した極値を中心に所定のゲート内の重心を算出し、相関追尾部37に送る。
次いで、極値が終了したかどうかが調べられる(ステップS26)。ステップS26において、極値が終了していないことが判断されると、次いで、次の極値を処理対象とするための処理が行われる。その後、ステップS24に戻り、上述した処理が繰り返される。
上記ステップS26において、極値が終了したことが判断されると、次いで、相関追尾が行われる(ステップS28)。すなわち、相関追尾部37は、速度グループ毎に算出された重心位置を用いて、予測位置に最も近い点を用いるNN(Nearest Neighbor)相関とα−β方式による追尾を行い、位置および速度ベクトルの平滑値および予測値を外部に出力する。なお、α−β方式については、『吉田孝監修、‘改訂レーダ技術’、電子情報通信学会、pp.264-267(1996)』に説明されている。
次いで、全ての速度グループについて処理が終了したかどうかが調べられる(ステップS29)。ステップS29において、全ての速度グループについて処理が終了していないことが判断されると、処理対象を次の速度グループに変更するための処理が行われる(ステップS30)。その後、ステップS17に戻り、上述した処理が繰り返される。
一方、ステップS29において、全ての速度グループについて処理が終了したことが判断されると、次いで、サイクルが終了したかどうかが調べられる(ステップS31)。ステップS31において、サイクルが終了していないことが判断されると、次のサイクルを処理対象とするための処理が行われる(ステップS32)。その後、ステップS11に戻り、上述した処理が繰り返される。一方、ステップS31において、サイクルが終了したことが判断されると、追尾処理は終了する。
次に、本発明の理解を深めるために、上述した手順のうち、主要な手順であるステップS20の処理を図3のフローチャート及び図5を参照しながら詳細に説明する。
まず、上述したように、度数(反射点)が最も多い速度グループGr#2が抽出される(図5(d)、図5(e))。
次いで、図5(f)に示すように、自車両のクロスレンジ位置を0として、左の範囲(マイナス)において、度数が最大となるクロスレンジ位置M1とクロスレンジ位置M1の中心を通る直線L1とを抽出する。すなわち、左線(左の範囲)のヒストグラムを算出し(ステップS51a)、度数が最大となるクロスレンジ位置を抽出する(ステップS52a)。
次いで、距離分割(レンジ分割)が終了かどうかが調べられる(ステップS53a)。距離分割が終了でない場合には、距離分割を変化させ(ステップS54a)、ステップS51a〜52aの処理を繰り返し行う。すなわち、ステップS51a〜52aの処理をレンジ#1〜#4毎に行うことで、図5(g)の各抽出直線L1が得られる。
次いで、レンジ#1〜#4毎の各抽出直線L1に基づき、図5(g)に示すように、レンジ−クロスレンジの位置を曲線フィッティングして、左のフィッティング曲線C1を算出する(ステップS55a)。次いで、左のフィッティング曲線C1に基づき相関係数rxyLを算出する(ステップS56a)。
次いで、図5(f)に示すように、自車両のクロスレンジ位置を0として、右の範囲(プラス)において、度数が最大となるクロスレンジ位置M2とクロスレンジ位置M2の中心を通る直線L2とを抽出する。すなわち、右線(右の範囲)のヒストグラムを算出し(ステップS51b)、度数が最大となるクロスレンジ位置を抽出する(ステップS52b)。
次いで、距離分割(レンジ分割)が終了かどうかが調べられる(ステップS53b)。すなわち、距離分割が終了でない場合には、距離分割を変化させ(ステップS54b)、ステップS51b〜52bの処理を繰り返し行う。すなわち、ステップS51b〜52bの処理をレンジ#1〜#4毎に行うことで、図5(g)の各抽出直線L2が得られる。
次いで、レンジ#1〜#4毎の各抽出直線L2に基づき、図5(g)に示すように、レンジ−クロスレンジの位置を曲線フィッティングして、左のフィッティング曲線C2を算出する(ステップS55b)。次いで、左のフィッティング曲線C2に基づき相関係数rxyRを算出する(ステップS56b)。
次いで、相関係数rxyLが相関係数rxyRよりも大きいかどうかが調べられる(ステップS57)。相関係数rxyLが相関係数rxyRよりも大きければ、左線のフィッティング曲線を選定し(ステップS58a)、右線の曲線を算出する(ステップS59a)。相関係数rxyLが相関係数rxyRよりも小さければ、右線のフィッティング曲線を選定し(ステップS58b)、左線の曲線を算出する(ステップS59b)。
以上の処理が、路肩に相当する曲線の抽出方法であるが、路肩曲線を、路肩等の固定反射点を抑圧するために用いることができる。このため、反射点の観測値のうち、路肩曲線に基づき外側の観測値を削除すればよい。
ここで
xi ; フィッティングするレンジ(i=1〜n)
yi ; xiに対するクロスレンジ
cn ; フィッティング係数
このフィッティング係数cnのフィッティングの度合を示す指標として次式で示す相関係数rxyがある。
xi ; フィッティングするレンジ(i=1〜n)
yi ; xiに対するクロスレンジ
cn ; フィッティング係数
このフィッティング係数cnのフィッティングの度合を示す指標として次式で示す相関係数rxyがある。
xave ; xの平均値
yave ; yの平均値
左右のフィッティング曲線を抽出する際に、いずれかの相関係数rxyが所定のスレショルド以下である場合には、フィッティング曲線を採用せず、相関係数rxyが高い方の曲線に基づいて、左右のフィッティング曲線を決定する方がよい。この際、式(1)の定数項は、クロスレンジの中心位置を表すために、左右のいずれのフィッティング曲線でも用いて、1次以上の項を用いる。
yave ; yの平均値
左右のフィッティング曲線を抽出する際に、いずれかの相関係数rxyが所定のスレショルド以下である場合には、フィッティング曲線を採用せず、相関係数rxyが高い方の曲線に基づいて、左右のフィッティング曲線を決定する方がよい。この際、式(1)の定数項は、クロスレンジの中心位置を表すために、左右のいずれのフィッティング曲線でも用いて、1次以上の項を用いる。
なお、フィティング度合を示す指標として、相関係数を用いる場合について説明したが、決定係数等の他の指標でもよい。また、クロスレンジを自車両の左の範囲と右の範囲とに分割して、処理する場合を述べたが、クロスレンジを自車両の左の範囲と右の範囲とに分割せずに、度数が最大値を持つクロスレンジ位置と最大値から2番目の値を持つクロスレンジの位置とを用いてもよい。
以上説明したように、本発明の実施例1に係るレーダ装置によれば、速度グルーピングにより自速度を抽出し、レンジを分割し、各々の分割レンジ毎にヒストグラムの度数が最大なるクロスレンジ位置を算出し、フィッティング曲線を算出することで、路肩を結ぶ曲線が抽出できる。このため、路肩より外側の反射点は不要な反射点として抑圧した上で、安定した相関追尾を実現できる。
次に、本発明の実施例2に係るレーダ装置を説明する。図6に、レンジ−クロスレンジにおいて、曲線フィッティングされた真の曲線(点線)と実際の検出曲線(実線)とを示す。陸橋等があると、図6に示すように、道路の中央付近に反射点RKが観測されることがあり、曲線フィッティングする場合に、検出曲線は反射点RK近傍を通る曲線となる。すなわち、真の曲線と検出曲線との間に誤差が生じる。
この誤差を低減するために、実施例2に係るレーダ装置は、仰角測角(EL測角)を実施して、反射点が所定の範囲より高い場合には、反射点を抽出点から削除した後、実施例1に係るレーダ装置の処理を行う。
図7は本発明の実施例2に係るレーダ装置で行われるEL測角を説明するための図である。スロットアンテナ11a(スロット導波管)は、図7(a)に示すように、スロットがマトリックス状に併設され、一端側に接続された送信器20aから給電され、図7(b)に示すように、中心周波数を変化させることにより、図7(c)、図7(d)に示すように、アンテナ面の位相(波面の傾き)を変化させて、ビームの指向方向を仰角方向に変化させる。
ここで、中心周波数を変化させる方法について述べる。FMCW方式の場合には、図8に示すように、周波数を高い(低い)方から低い(高い)方に直線状に変化させるダウンスイープ信号又はアップスイープ信号を用いる。ダウンスイープ信号又はアップスイープは送受信器20によって送受信される。FFT部32は、送受信器20からの受信信号に対してFFTを実施してビート周波数Σに変換する。
さらに、図8(a)に示すように、ダウンスイープ信号又はアップスイープ信号を前半と後半に分け、前半と後半とを符号を反転させて、FFT部32はFFTを実施することにより図8(b)に示すΔビームを得る。測角部35はΣビームとΔビームを用いて、周波数軸の位相モノパルス処理を実施して、高精度なビート周波数を得ることができる。このΣビームとΔビームを用いれば、次式によりスイープ波形の前半と後半とのΣビーム信号bLとΣビーム信号bRを得ることができる。
ここで、
Σ ; スイープ信号のΣのFFT信号
Δ ; スイープ信号のΔのFFT信号
bL ; スイープ前半のΣ信号
bR ;スイープ後半のΣ信号
このbLとbRは、中心周波数が異なるため、図9(b)〜図9(d)に示すようにEL面が異なる2つのビームbL,bRを形成していることに相当する。これにより、測角部35は、次式の誤差電圧を算出できる。
Σ ; スイープ信号のΣのFFT信号
Δ ; スイープ信号のΔのFFT信号
bL ; スイープ前半のΣ信号
bR ;スイープ後半のΣ信号
このbLとbRは、中心周波数が異なるため、図9(b)〜図9(d)に示すようにEL面が異なる2つのビームbL,bRを形成していることに相当する。これにより、測角部35は、次式の誤差電圧を算出できる。
ここで、
abs ; 絶対値
測角部35は、この誤差電圧と予め取得された誤差電圧の基準値テーブルを比較することにより仰角角度を算出することができる。速度グルーピング部36は、測角部35で得られた仰角角度を用いて、観測値の仰角角度が所定のスレショルド以上であれば、陸橋等の高所の反射点と判断し、この反射点を削除してフィッティング曲線を算出することにより陸橋等の影響を抑圧することができる。このフィッティング曲線を抽出した後の処理は、実施例1に係るレーダ装置の処理と同様である。
abs ; 絶対値
測角部35は、この誤差電圧と予め取得された誤差電圧の基準値テーブルを比較することにより仰角角度を算出することができる。速度グルーピング部36は、測角部35で得られた仰角角度を用いて、観測値の仰角角度が所定のスレショルド以上であれば、陸橋等の高所の反射点と判断し、この反射点を削除してフィッティング曲線を算出することにより陸橋等の影響を抑圧することができる。このフィッティング曲線を抽出した後の処理は、実施例1に係るレーダ装置の処理と同様である。
以上説明したように、本発明の実施例2に係るレーダ装置によれば、仰角測角により、道路面付近の反射点のみを抽出することにより、陸橋等の高所の反射点を削除し、ガードレールや路肩等の反射点のみにより、フィッティング曲線を抽出し、路肩より外側の反射点は不要な反射点として抑圧した上で、安定した相関追尾を実現できる。
図10は本発明の実施例2に係るレーダ装置で行われる相関追尾処理を示すフローチャートである。図10に示すフローチャートは、図2に示すフローチャートに対して、ステップS18とステップS20との間に、上述したEL測角処理(ステップS19)が追加されている。
なお、実施例2に係るレーダ装置では、EL測角手法として周波数スキャンを用いる方法について述べたが、ビームを切り替えたり、移相器を用いてビームを走査し、位相モノパルス測角や振幅比較測角等、他のEL測角手法でもよい。
本発明は、車両の速度を高精度に計測するレーダ装置に利用することができる。
10 アンテナ
11 アンテナ送信素子
12 アンテナ受信素子
20 送受信器
21 送信器
22 ミキサ
30 信号処理器
31 AD変換器
32 FFT部
33 DBF部
34 測距・測測部
35 測角部
36 速度グルーピング部
37 相関追尾部
11 アンテナ送信素子
12 アンテナ受信素子
20 送受信器
21 送信器
22 ミキサ
30 信号処理器
31 AD変換器
32 FFT部
33 DBF部
34 測距・測測部
35 測角部
36 速度グルーピング部
37 相関追尾部
Claims (2)
- FMCW方式のスイープ信号を送受信する送受信器と、
前記送受信器からの信号に基づき算出された目標の速度によって該目標を速度範囲毎にグルーピングし、速度範囲毎の速度ヒストグラムの度数に基づき自速度を抽出し、自速度を含む速度グループ内でレンジを分割し、分割レンジ毎にクロスレンジのヒストグラムを算出し、算出されたヒストグラムの度数が最大のクロスレンジ位置を算出し、分割レンジ毎に抽出された度数が最大のクロスレンジ位置を用いて曲線フィッティングして反射点の曲線を抽出する速度グルーピング部と、
前記速度グルーピング部によってグルーピングされた速度グループ毎に相関追尾を行う相関追尾部と、
を備えることを特徴とするレーダ装置。 - 周波数を可変させることによりビームを仰角方向に変化させるアンテナと、
前記アンテナから受信した信号の内の前半の信号と後半の信号とを高速フーリエ変換してΣ1信号とΣ2信号とを得る高速フーリエ変換部と、
前記高速フーリエ変換部で得られたΣ1信号とΣ2信号との振幅比による仰角測角により前記反射点の仰角角度を算出する測角部とを備え、
前記速度グルーピング部は、前記測角部により算出された前記仰角角度に基づき所定の角度値を超える反射点を削除することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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