JP2011155824A - 蓄電池の充電方法及び充電システム - Google Patents
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Abstract
【課題】一つの電力供給源を用いて複数の蓄電池に対して同じ時間帯に充電を行う場合において、充電電流のピークを発生させないようにする。
【解決手段】コントローラ22は、充電ステーション10から商用電力の供給を受けて、自立的に蓄電池21に対する充電動作を制御する。コントローラ22は、蓄電池21の残容量をそれぞれ検知する電池容量検知部221と、前記残容量を参照して、蓄電池21に対する充電電流を決定する充電電流決定部223と、蓄電池21に対する充電動作を制御する充電制御部221とを備える。充電制御部221は、蓄電池21への充電を、夜間電力料金の時間帯の開始時刻から開始させ、充電電流決定部223は、蓄電池21の充電電流を、夜間電力料金の時間帯の開始時刻から充電を開始して、前記時間帯の終了時刻に充電が実質的に完了する電流値に決定する。なお、充電電流に代えて、充電電力を決定するようにしても良い。
【選択図】図3
【解決手段】コントローラ22は、充電ステーション10から商用電力の供給を受けて、自立的に蓄電池21に対する充電動作を制御する。コントローラ22は、蓄電池21の残容量をそれぞれ検知する電池容量検知部221と、前記残容量を参照して、蓄電池21に対する充電電流を決定する充電電流決定部223と、蓄電池21に対する充電動作を制御する充電制御部221とを備える。充電制御部221は、蓄電池21への充電を、夜間電力料金の時間帯の開始時刻から開始させ、充電電流決定部223は、蓄電池21の充電電流を、夜間電力料金の時間帯の開始時刻から充電を開始して、前記時間帯の終了時刻に充電が実質的に完了する電流値に決定する。なお、充電電流に代えて、充電電力を決定するようにしても良い。
【選択図】図3
Description
本発明は、一つの電力供給源を用いて複数の蓄電池に対して同じ時間帯に充電を行う蓄電池の充電方法、及び充電システムに関する。
充電可能な蓄電池は多方面に活用されている。今後、電気自動車の普及が予想され、これに伴い、電気自動車に搭載された蓄電池への充電設備を充実させる必要がある。このような充電設備に求められるのは、低コストでの充電が行え、また設備費用が安価に済むことである。
低コストでの充電は、例えば夜間の電力単価が安くなる時間帯別電灯料金(以下、本明細書では「夜間電力料金」という)の制度が採用されている地域では、その制度を利用することで実現できる。例えば、蓄電池の充電ケーブルのプラグを商用コンセントに差し込み、夜間電力料金の時間帯の開始時刻、例えば夜の11時から実際の充電動作が開始されるようタイマーをセットすることで、低コストの充電を行うことができる。
しかし、複数の電気自動車の充電を一つの充電設備で行うことを想定する場合、上記のタイマー方式を採用すると、充電設備全体として見たときに、充電開始時に充電電流ピークが発生してしまうこととなる。すなわち、蓄電池の残容量は自動車により区々であるが、充電電流は同種の蓄電池であれば残容量に拘わらず通常は一定に設定されている(定電流方式)。このため、蓄電池の残容量が少ない場合は充電時間が長くなり、残容量が多い場合は充電時間が短くなる。従って、夜間電力料金の時間帯の開始時刻に一斉に複数の電気自動車の充電を開始した場合、各車の単位充電電流と充電台数とを乗じた充電電流が必要となるため、充電設備は充電電流のピークを迎える。その後、残容量が多い電気自動車の充電が完了してゆく毎に、充電電流は減少してゆく。この場合、当該充電設備はその充電電流ピークに対応した電気設備を備える必要が生じ、設備費用が高騰する問題がある。或いは、充電台数を制限する必要が生じ、ユーザの利便性を損なうことになる。なお、このような問題は定電流方式だけでなく、充電電力値を一定に設定する定電力方式においても同様に生じる。
充電設備の充電電流ピークを抑制する技術として、特許文献1には、複数の蓄電池を順番に充電してゆく方法が開示されている。しかし、この方法では、各蓄電池の残容量や充電状態を統括的に管理し、各蓄電池への電力供給を制御するコントローラが必要となる。このようなコントローラの設置は、充電設備の設置コストアップを招来し、また様々な車種に対するインターフェイスを構築する困難性も生じる。
また、特許文献2には、複数の電気自動車に対する充電完了時刻を制御する方法が開示されている。この方法によれば、夜間電力料金の時間帯の終了時刻に、各蓄電池の充電が完了するような制御が可能となり、少なくとも夜間電力料金の時間帯の開始時刻における充電電流ピークの発生を抑止できる。しかし、各蓄電池への充電が徐々に開始されて行くに連れて、やはり充電電流のピークが発生する可能性がある。
本発明は上記問題点に鑑みて為されたもので、一つの電力供給源を用いて複数の蓄電池に対して同じ時間帯に充電を行う場合において、充電電流又は充電電力のピークを発生させないようにする蓄電池の充電方法及び充電システムを提供することを目的とする。
本発明の一局面に係る蓄電池の充電方法は、一つの電力供給源を用いて複数の蓄電池に対して同じ時間帯に充電を行う蓄電池の充電方法であって、充電を行う前に、蓄電池の各々について残容量を検知するステップと、前記残容量に応じて各蓄電池の充電電流又は充電電力を決定するステップと、前記時間帯の開始時刻に、各蓄電池に対して、それぞれ決定された充電電流又は充電電力で充電を開始させるステップと、を含み、前記各蓄電池の充電電流又は充電電力は、前記時間帯の開始時刻から充電を開始して、前記時間帯の終了時刻に充電が実質的に完了する電流値又は電力値に決定されることを特徴とする(請求項1)。
この方法によれば、充電電流又は充電電力を一定にするのではなく、電池残容量に応じて各蓄電池の充電電流又は充電電力が決定される。しかも、その充電電流又は充電電力は、充電のために予定された時間帯の開始時刻から充電を開始して、前記時間帯の終了時刻に充電が実質的に完了する電流値又は電力値に決定される。従って、一つの電力供給源を用いて、残容量が区々である複数の蓄電池に対して同じ時間帯に充電を行う場合においても、充電電流又は充電電力のピークが発生しないようにすることができる。
上記構成において、前記時間帯が、夜間電力料金の時間帯であることが望ましい(請求項2)。この構成によれば、蓄電池に対する低コストの充電を実現できる。
また、前記蓄電池の充電方式として、定電流定電圧方式若しくは定電流ステップダウン方式、又は、定電力定電圧方式若しくは定電力ステップダウン方式が用いられることが望ましい(請求項3)。
この構成によれば、充電に要する時間を、充電電流値又は充電電力値に基づき精度良く予測できるので、「時間帯の開始時刻から充電を開始して、前記時間帯の終了時刻に充電が実質的に完了する」という電流値又は電力値の設定を容易に行うことができる。
上記構成において、前記蓄電池が電気自動車に搭載された蓄電池であって、前記充電を行う前に、前記電力供給源と、前記電気自動車の蓄電池とを電気的に接続し、前記蓄電池に対して電力供給が可能な状態を形成するステップをさらに含み、前記残容量を検知するステップ、及び前記充電電流又は充電電力を決定するステップは、各々の電気自動車単位で実行されることが望ましい(請求項4)。
この構成によれば、複数台の電気自動車の同時充電に、本発明を適用することができる。しかも、残容量の検知、及び充電電流又は充電電力の決定は、各々の電気自動車単位で実行されるので、電力供給源側にはそのような設備を具備させる必要がないという利点がある。
本発明の他の局面に係る蓄電池の充電システムは、一つの電力供給源と、前記電力供給源により充電される複数の蓄電池と、各蓄電池の残容量をそれぞれ検知する容量検知手段と、前記容量検知手段が検知した前記残容量を参照して、各蓄電池に対する充電電流又は充電電力を決定する決定手段と、前記電力供給源を用いた、前記複数の蓄電池に対する充電動作を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記各蓄電池への充電を、所定の時間帯の開始時刻から開始させ、前記決定手段は、前記各蓄電池の充電電流又は充電電力を、前記時間帯の開始時刻から充電を開始して、前記時間帯の終了時刻に充電が実質的に完了する電流値又は電力値に決定することを特徴とする(請求項5)。
この構成によれば、充電電流又は充電電力を一定にするのではなく、決定手段が電池残容量に応じて各蓄電池の充電電流又は充電電力を決定する。しかも、その充電電流又は充電電力は、充電のために予定された時間帯の開始時刻から充電を開始して、前記時間帯の終了時刻に充電が実質的に完了する電流値又は電力値に決定される。従って、一つの電力供給源を用いて、残容量が区々である複数の蓄電池に対して同じ時間帯に充電を行う場合においても、充電電流又は充電電力のピークが発生しないようにすることができる。
上記構成において、前記制御手段は、前記各蓄電池への充電を、定電流定電圧方式若しくは定電流ステップダウン方式、又は、定電力定電圧方式若しくは定電力ステップダウン方式で実行させるものであって、前記決定手段は、蓄電池の残容量とその定電流充電時の電流値、又は、蓄電池の残容量とその定電力充電時の電力値とを関連付けたテーブルを記憶する記憶部を有し、前記容量検知手段が検知した残容量情報を取得し、前記テーブルを参照して当該残容量に対応した電流値又は電力値を前記記憶部から読み出すことで、前記充電電流又は充電電力を決定することが望ましい(請求項6)。
この構成によれば、蓄電池の残容量とその定電流充電時の電流値、又は、蓄電池の残容量とその定電力充電時の電力値とを関連付けたテーブルを記憶する記憶部を備えるので、充電電流又は充電電力を、容量検知手段が検知した残容量に基づき前記テーブルを参照するだけで容易に決定することができ、処理を簡素化できる。
この場合、前記一つの電力供給源が、一つの商用配電系統と、該商用配電系統に設けられた複数のコンセントとを含み、前記複数の蓄電池と前記複数のコンセントとを各々電気的に接続する充電ケーブルをさらに備え、前記制御手段及び決定手段は、各蓄電池に対応してそれぞれ個別に設けられるものであって、前記制御手段は、当該蓄電池と前記コンセントとが前記充電ケーブルで接続された状態で、前記決定手段が決定した電流値又は電力値で前記時間帯の開始時刻から前記蓄電池への充電を開始させることが望ましい(請求項7)。
この構成によれば、前記制御手段及び決定手段は、各蓄電池に対応してそれぞれ個別に設けられる。すなわち、残容量の検知、及び充電電流又は充電電力の決定は、各々の蓄電池単位で実行される。このため、電力供給源側にはそのような設備を具備させる必要がなく、単純に商用配電系統に接続された複数のコンセントを準備するだけで済むという利点がある。
ここで、前記蓄電池が電気自動車に搭載された蓄電池であり、前記制御手段及び決定手段は、各電気自動車に備えられていることが望ましい(請求項8)。この構成によれば、複数台の電気自動車の同時充電に、本発明の充電システムを適用することができる。
本発明によれば、一つの電力供給源を用いて複数の蓄電池に対して同じ時間帯に充電を行う場合において、充電電流又は充電電力のピークを発生させないようにする蓄電池の充電方法及び充電システムを提供できる。従って、充電設備の電気設備容量を過度に大きくする必要性を回避でき、結果的に設備コストを低減することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る蓄電池の充電システムの概要を示す模式図である。本実施形態の充電システムは、複数台の電気自動車C1、C2、C3、C4、C5・・・に対して、一つの充電ステーション10(一つの電力供給源)で充電を行わせるシステムである。当該充電ステーション10は、24時間いつでも利用可能な充電設備ではあるが、ここでは特に、夜間電力料金の時間帯(23:00〜翌7:00)を利用して充電を行う場合について説明する。各電気自動車C1、C2、C3、C4、C5・・・は、蓄電池が搭載され、当該蓄電池の電気エネルギーを動力源とする自動車である。各電気自動車の蓄電池の充電制御は、各電気自動車に備えられている制御手段(後述のコントローラ22)により個別に行われる。
充電ステーション10は、商用配電系統100から商用電力を受電する受電設備11と、電気自動車C1、C2、C3、C4、C5・・・に充電を行わせるための充電コンセント12とを含む。充電コンセント12は、受電設備11が受電を行う幹線配電線101から分岐された複数の分岐配電線102に各々設置された複数の個別充電コンセント121、122、123、124、125、・・・12nを含む。これら充電コンセントにそれぞれ、電気自動車C1、C2、C3、C4、C5・・・に各々搭載されている蓄電池の電極が、充電ケーブル30を介して電気的に接続される。
図2は、一つの電気自動車Cについての充電に関わる構成を簡略的に示すブロック図である。電気自動車Cは、電動モータ、駆動制御系、操舵系、電装系等の、電気自動車が通常備える各種構成部品の他、充電に関わる構成として、蓄電池21、コントローラ22及び充電端子23を備えている。
蓄電池21は、交流−直流変換を行う機器を介して商用電力で充電可能な二次蓄電池であり、例えばニッケル水素電池、リチウムイオン電池、ニッケルカドミウム電池、鉛蓄電池等である。
コントローラ22は、交流−直流変換を行う機器を備え、充電ステーション10から供給される商用交流電力を直流電力に変換し、この直流電力を用いて、自立的に蓄電池21に対する充電動作を制御する。ここで、コントローラ22は、直流定電流の充電方式である、定電流定電圧方式若しくは定電流ステップダウン方式により蓄電池21を充電する。定電流定電圧方式は、充電初期から一定の電流値で充電を行い、充電の進行に伴って蓄電池の電圧が所定の値に達すると、その電圧を維持しながら連続的に充電電流値を減少させてゆく充電方式である。一方、定電流ステップダウン方式は、同様に一定の電流値で充電を行い蓄電池の電圧が所定の値に達したときに、その電圧を上回らないように段階的に充電電流値を減少させてゆく充電方式である。なお、充電の完了は、総充電時間、充電電流値の下限、若しくは充電電気量等により判定される。
充電端子23は、充電ステーション10から蓄電池21へ商用電力の供給を受ける受電口として機能する部位である。充電ケーブル30は、その一端側に第1プラグ31を有すると共に、他端側に第2プラグ32を有し、充電端子23(蓄電池21)と、充電コンセント12とを電気的に接続する。充電ケーブル30の第1プラグ31は、充電時に充電端子23に差し込み接続される。充電ケーブル30の第2プラグ32が充電コンセント12に接続された状態で、第1プラグ31が充電端子23に接続されることで、充電ステーション10による蓄電池21の充電が物理的に可能な状態となる。
図3は、コントローラ22の機能構成を示すブロック図である。コントローラ22は、CPU(Central Processing Unit)を備え、所定のプログラムが実行されることで、充電制御部221(制御手段)、電池容量検知部222(容量検知手段)、充電電流決定部223(決定手段)及び記憶部224を機能的に有するように機能する。
充電制御部221は、蓄電池21に対する充電動作を制御するもので、上述の定電流定電圧方式若しくは定電流ステップダウン方式により充電動作を行わせる。本実施形態では、充電制御部221は、充電電流決定部223する電池残量に応じた充電電流で、夜間電力料金の時間帯(所定の時間帯)の開始時刻から蓄電池21の充電を開始させる制御を行う。
電池容量検知部222は、蓄電池21の残容量を検知するもので、例えば蓄電池21の開放電圧を測定し、測定した開放電圧から当該蓄電池21の残容量を判定する。或いは、電池容量検知部222は、蓄電池21の出力回路に電流計を設置し、この電流計で計測される電流値を積分することで放電容量を算出し、これを定格満充電容量から減じることで残容量を算出するものであっても良い。
充電電流決定部223は、電池容量検知部222が検知した蓄電池21の残容量を参照して、充電時における蓄電池21に対する充電電流を決定する処理を行う。本実施形態では、充電電流決定部223は、蓄電池21の充電電流を、夜間電力料金の時間帯の開始時刻(23:00)から充電を開始して、当該時間帯の終了時刻(翌7:00)に充電が実質的に完了する電流値に決定する。ここでの電流値は、定電流定電圧方式若しくは定電流ステップダウン方式での充電を行うに際しての定電流の値を言う。従って、蓄電池21の残容量が少ないほど比較的電流値を高く設定され、逆に残容量が多いほど比較的電流値を低く設定される。すなわち、蓄電池21の残容量に拘わらず、夜間電力料金の時間帯をフルに活用して充電を行わせることで、充電電流ピークの発生を抑止する。
記憶部224は、蓄電池21の残容量とその定電流充電時の電流値とを関連付けたテーブルを記憶する。図4は、記憶部224に記憶される充電電流値を決定するためのテーブルの一例を示す表形式の図である。ここでは、蓄電池残容量を5段階に区分し、この区分毎に電流値が設定されている例を示している。勿論、前記区分はさらに多段階に区分されたものとして良いし、或いは、より少ない段階に区分されたものとしても良い。
充電電流決定部223は、電池容量検知部222が検知した蓄電池21の残容量情報を取得し、記憶部224に格納されている前記テーブルを参照して当該残容量に対応した電流値を読み出すことで、充電電流を決定する。例えば蓄電池21の残容量が50Ahであった場合、図4のテーブルを用いるならば、定電流充電時の電流値は6.8Aに決定される。このようにして、電気自動車C1、C2、C3、C4、C5・・・の各々において、それぞれに搭載されている蓄電池21の定電流充電時の電流値が自立的に決定される。
実際の運用では、各電気自動車C1、C2、C3、C4、C5・・・の蓄電池21が、充電ケーブル30で充電ステーション10の充電コンセント12に接続され、充電スタンバイ状態とされたとき、電池容量検知部222が残容量を検知し、充電電流決定部223が充電電流値を決定する。そして、夜間電力料金の時間帯の開始時刻が到来すると、充電制御部221が、充電電流決定部223が決定した充電電流値での充電動作を開始させるものである。
次に、電池残容量がそれぞれ異なる電気自動車C1、C2、C3、C4、C5を、夜間電力料金の時間帯を利用して同時に充電する場合における合計充電電流値について、比較例を交えて説明する。図5は、本実施形態に対する比較例1であって、充電電流を電池残量に拘わらず一定(充電電流=14.4A)とし、各蓄電池に対して同時刻に定電流定電圧方式で充電を開始した場合の充電電流を示すグラフである。図5(B)、(C)、(D)、(E)、(F)は、それぞれ充電時における電気自動車C1、C2、C3、C4、C5の個別充電電流を示し、図5(A)はこれらの合計充電電流を示すグラフである。ここでは、電気自動車C1の蓄電池の残容量が17%、電気自動車C2が33%、電気自動車C3が50%、電気自動車C4が67%、及び電気自動車C5が83%である場合を例示している。なお、各蓄電池の容量は100Ahである(続く図6、図7でも同じ)。
この比較例1では、夜間電力料金の時間帯の開始時刻である23:00に、電気自動車C1、C2、C3、C4、C5に対する充電動作が一斉に開始される。その後、電池残容量が最も多い電気自動車C5について、定電流による充電期間が最も早く完了し、以降は徐々に電流値が減少してゆく。次に、2番目に電池残容量が多い電気自動車C4について、定電流充電期間が終了する。以下、電気自動車C3、C2、C1の順に定電流充電期間が終了してゆく。
この結果、図5(A)に示すように、23:00から電気自動車C5に対する定電流充電期間が完了するまでの期間に、充電電流のピークが現れる。この例では、14.4A×5台=72.0Aもの電流を要することになる。その後、充電が順次完了してゆくに伴い、徐々に充電電流は減少してゆくことになる。このように、充電電流を一定とし、各蓄電池に対して同時刻に充電を開始した場合、各電気自動車の単位充電電流と充電台数とを乗じた充電電流が必要となり、充電電流ピークに対応できるよう受電設備11の受電電気容量を非常に大きくする必要がある。このことは、充電ステーション10の設備費用の高騰を招来する。
次に図6は、本実施形態に対する比較例2であって、充電電流を電池残量に拘わらず一定(充電電流=14.4A)とし、各蓄電池に対する充電を同時刻に終了させる場合の充電電流を示すグラフである。この制御では、電気自動車C1、C2、C3、C4、C5に対する充電動作が、夜間電力料金の時間帯の終了時刻である7:00に一斉にするよう、各蓄電池に対する充電動作が残容量に応じて区々に開始される。
すなわち、図6(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に示すように、電池残容量が最も少ない電気自動車C1について充電動作が最も早く開始され、続いて電池残容量が2番目に少ない電気自動車C2について充電動作が開始される。以下、残容量が少ない順に、電気自動車C3、C4、C5の充電が開始される。この結果、定電流充電期間の終期が揃ってしまうようになり、図6(A)に示すように、5:00付近に充電電流ピークが発生するようになる。従って、図5の場合と同様の不具合が生じることとなる。
図7は、本発明の実施形態に沿って、電気自動車C1、C2、C3、C4、C5の各蓄電池に対して充電が行われた場合の充電電流を示すグラフである。本実施形態では、各電気自動車C1、C2、C3、C4、C5の充電電流決定部223が、各々の蓄電池21の残容量に応じて充電電流を設定するので、比較例1、2と異なり充電電流値は一定とならない。つまり、夜間電力料金の時間帯を概ねフル活用して定電流充電を行わせたときに満充電となるような充電電流を個別に設定して、充電が行われる。本実施形態では、充電電流の設定を容易とするために、記憶部224に予め格納された図4に示すようなテーブルが活用される。
図7(B)に示すように、蓄電池の残容量が17%の電気自動車C1は、図4のテーブルに照らして、充電電流が11.8Aに設定されている。他の電気自動車C2、C3、C4、C5についても同様に、図7(C)、(D)、(E)、(F)に示すように、残容量が33%の電気自動車C2は充電電流が9.3Aに、残容量が50%の電気自動車C3は充電電流が6.8Aに、残容量が67%の電気自動車C4は充電電流が4.4Aに、残容量が83%の電気自動車C5は充電電流が2.1Aに、それぞれ設定されている。そして、このような充電電流で、電気自動車C1、C2、C3、C4、C5に対する充電動作が23:00に一斉に開始され、翌7:00に一斉に充電が終了される。
しかしながら、電気自動車C1、C2、C3、C4、C5の充電動作が一斉に開始されるものの、図7(A)に示すように、定電流充電が行われている期間合計充電電流は34.4Aの一定値となる。その後、定電流充電が終了し始める5:30付近から、徐々に充電電流は減少してゆく。このように、本実施形態によれば、5台の電気自動車を比較例1及び比較例2と同様に同じ時間帯に充電するのに拘わらず、最大の合計充電電流は大幅に少なくなる。このため、受電設備11の受電電気容量を必要以上に大きくする必要はなくなり、充電ステーション10の設備費用を抑制することが可能となる。
続いて、コントローラ22の動作を、図8に示すフローチャートに基づいて説明する。コントローラ22の充電制御部221は、蓄電池21に対する充電が実行可能な充電スタンバイ状態であるかを確認する(ステップS1)。ここに充電スタンバイ状態とは、夜間電力料金の時間帯の開始時刻の前において、充電コンセント12と充電端子23とが充電ケーブル30で電気的に接続され、電気自動車が充電可能なモードに移行している状態をいう。充電スタンバイ状態でない場合(ステップS1でNO)、充電制御部221は待機する。
充電スタンバイ状態である場合(ステップS1でYES)、充電制御部221は電池容量検知部222に蓄電池21の残容量を検知させる(ステップS2;残容量を検知するステップ)。電池容量検知部222は、蓄電池21の残容量を検知し、充電制御部221に残容量の値を出力する。これを受けて充電制御部221は、現状で充電が必要か否かを判定する(ステップS3)。これは、実施的に満充電状態であるにも拘わらず、充電ケーブル30がプラグインされる場合があることを想定した処理である。
充電が必要である場合(ステップS3でYES)、充電制御部221は、充電電流決定部223に充電電流を決定させる指示を与える。これを受けて充電電流決定部223は、記憶部224に格納されているテーブル(図4)を参照し(ステップS4)、ステップS2で検知された残容量値に基づき、充電電流を決定する(ステップS5;充電電流を決定するステップ)。
その後、充電制御部221は、夜間電力料金の時間帯の開始時刻が到来したか否かを確認する(ステップS6)。未だ到来していない場合(ステップS6でNO)、待機する。一方、夜間電力料金の時間帯の開始時刻が到来すると(ステップS6でYES)、蓄電池21に対する定電流充電動作を、ステップS5で決定した電流値で開始させる(ステップS7;充電を開始させるステップ)。
充電開始後、充電制御部221は、充電が完了したか否かを確認する(ステップS8)。この確認は、電池容量検知部222に定期的に蓄電池21の容量を検知させて行うようにしても良いし、単純に充電時間を計測して行うようにしても良い。充電が完了したことが確認されたら(ステップS8でYES)、充電制御部221は充電のための各種の環境動作を停止させる(ステップS9)。なお、ステップS3で充電不要と判定された場合は、このステップS9にスキップする。
以上、本発明の好ましい実施形態につき説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、充電対象を電気自動車C1、C2、C3、C4、C5に搭載されている蓄電池としたが、電気自動車以外の各種電気機器や機械装置に搭載される蓄電池も、充電対象とすることができる。
また、上記実施形態では、記憶部224に充電電流の決定に際して用いられるテーブルを予め記憶させておく例を示した。このようなテーブル(記憶部224)を省き、電池残容量に基づき、充電電流決定部223が逐次演算で充電電流値を算出するようにしても良い。
さらに、上記実施形態では、「時間帯」の例として夜間電力料金の時間帯を例示したが、これは一例であり、時間帯は任意に設定することができる。また、上記実施形態では、夜間電力料金の時間帯をフル活用する例(23:00〜翌7:00)を示したが、夜間電力料金の時間帯の範囲内で、充電実行時間帯(例えば23:30〜翌6:30)を設定し、この充電時間帯を本発明の「時間帯」と扱うようにしても良い。
また、上記実施形態では、コントローラ22は、定電流の充電方式、すなわち定電流定電圧方式若しくは定電流ステップダウン方式により蓄電池21を充電する態様を例示した。これに代えて、定電力の充電方式、すなわち定電力定電圧方式若しくは定電力ステップダウン方式を採用しても良い。
定電力定電圧方式は、充電初期から一定の電力値で充電を行い、充電の進行に伴って蓄電池の電圧が所定の値に達すると、その電圧を維持しながら連続的に充電電力値を減少させてゆく充電方式である。一方、定電力ステップダウン方式は、同様に一定の電力値で充電を行い蓄電池の電圧が所定の値に達したときに、その電圧を上回らないように段階的に充電電力値を減少させてゆく充電方式である。
なお、定電力充電方式の実施形態が採用される場合、図3のブロック図に示した充電電流決定部223を、蓄電池21の充電電力を決定する充電電力決定部に置換して、コントローラ22が構成される。また、図9は、定電力充電方式が採用される場合における、記憶部224に記憶される充電電力値を決定するためのテーブルの一例を示す表形式の図である。ここでは、蓄電池残容量を5段階に区分し、この区分毎に充電電力値が設定されている例を示している。上記充電電力決定部は、電池容量検知部222が検知した蓄電池21の残容量情報を取得し、記憶部224に格納されている前記充電電力値テーブルを参照して当該残容量に対応した電力値を読み出すことで、充電電力を決定することになる。
10 充電ステーション(一つの電力供給源)
11 受電設備
12 充電コンセント
100 商用配電系統
21 蓄電池
22 コントローラ
221 充電制御部(制御手段)
222 電池容量検知部(容量検知手段)
223 充電電流決定部(決定手段)
224 記憶部
23 充電端子
30 充電ケーブル
11 受電設備
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100 商用配電系統
21 蓄電池
22 コントローラ
221 充電制御部(制御手段)
222 電池容量検知部(容量検知手段)
223 充電電流決定部(決定手段)
224 記憶部
23 充電端子
30 充電ケーブル
Claims (8)
- 一つの電力供給源を用いて複数の蓄電池に対して同じ時間帯に充電を行う蓄電池の充電方法であって、
充電を行う前に、蓄電池の各々について残容量を検知するステップと、
前記残容量に応じて各蓄電池の充電電流又は充電電力を決定するステップと、
前記時間帯の開始時刻に、各蓄電池に対して、それぞれ決定された充電電流又は充電電力で充電を開始させるステップと、を含み、
前記各蓄電池の充電電流又は充電電力は、前記時間帯の開始時刻から充電を開始して、前記時間帯の終了時刻に充電が実質的に完了する電流値又は電力値に決定されることを特徴とする蓄電池の充電方法。 - 前記時間帯が、夜間電力料金の時間帯であることを特徴とする請求項1に記載の蓄電池の充電方法。
- 前記蓄電池の充電方式として、定電流定電圧方式若しくは定電流ステップダウン方式、又は、定電力定電圧方式若しくは定電力ステップダウン方式が用いられることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄電池の充電方法。
- 前記蓄電池が電気自動車に搭載された蓄電池であって、
前記充電を行う前に、前記電力供給源と、前記電気自動車の蓄電池とを電気的に接続し、前記蓄電池に対して電力供給が可能な状態を形成するステップをさらに含み、
前記残容量を検知するステップ、及び前記充電電流又は充電電力を決定するステップは、各々の電気自動車単位で実行されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の蓄電池の充電方法。 - 一つの電力供給源と、
前記電力供給源により充電される複数の蓄電池と、
各蓄電池の残容量をそれぞれ検知する容量検知手段と、
前記容量検知手段が検知した前記残容量を参照して、各蓄電池に対する充電電流又は充電電力を決定する決定手段と、
前記電力供給源を用いた、前記複数の蓄電池に対する充電動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記各蓄電池への充電を、所定の時間帯の開始時刻から開始させ、
前記決定手段は、前記各蓄電池の充電電流又は充電電力を、前記時間帯の開始時刻から充電を開始して、前記時間帯の終了時刻に充電が実質的に完了する電流値又は電力値に決定する
ことを特徴とする蓄電池の充電システム。 - 前記制御手段は、前記各蓄電池への充電を、定電流定電圧方式若しくは定電流ステップダウン方式、又は、定電力定電圧方式若しくは定電力ステップダウン方式で実行させるものであって、
前記決定手段は、蓄電池の残容量とその定電流充電時の電流値、又は、蓄電池の残容量とその定電力充電時の電力値とを関連付けたテーブルを記憶する記憶部を有し、前記容量検知手段が検知した残容量情報を取得し、前記テーブルを参照して当該残容量に対応した電流値又は電力値を前記記憶部から読み出すことで、前記充電電流又は充電電力を決定することを特徴とする請求項5に記載の蓄電池の充電システム。 - 前記一つの電力供給源が、一つの商用配電系統と、該商用配電系統に設けられた複数のコンセントとを含み、
前記複数の蓄電池と前記複数のコンセントとを各々電気的に接続する充電ケーブルをさらに備え、
前記制御手段及び決定手段は、各蓄電池に対応してそれぞれ個別に設けられるものであって、前記制御手段は、当該蓄電池と前記コンセントとが前記充電ケーブルで接続された状態で、前記決定手段が決定した電流値又は電力値で前記時間帯の開始時刻から前記蓄電池への充電を開始させることを特徴とする請求項6に記載の蓄電池の充電システム。 - 前記蓄電池が電気自動車に搭載された蓄電池であり、
前記制御手段及び決定手段は、各電気自動車に備えられていることを特徴とする請求項7に記載の蓄電池の充電システム。
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JP2010100642A JP2011155824A (ja) | 2009-12-28 | 2010-04-26 | 蓄電池の充電方法及び充電システム |
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JP2009298088 | 2009-12-28 | ||
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- 2010-04-26 JP JP2010100642A patent/JP2011155824A/ja active Pending
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