JP2011153063A - カッタの走行制御方法および板ガラスの切断方法 - Google Patents

カッタの走行制御方法および板ガラスの切断方法 Download PDF

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Abstract

【課題】板ガラスの表面に搬送方向に対して略垂直な切線を入れること。
【解決手段】ガイドフレームに沿って走行し、一定方向に搬送される板ガラスに切線を入れるカッタと、経過時間とカッタ速度とを対応づけたカッタ走行速度制御パターンに基づいて前記カッタの走行速度を制御する制御装置と、を備えるガラス切機におけるカッタの走行制御方法であって、時間t後の前記カッタの見かけ上の走行速度が、前記カッタ速度制御パターン中の経過時間tに対応するカッタ速度よりも遅い場合には、切線のうねりを吸収するように、前記カッタ速度制御パターン中の経過時間tに対応するカッタ速度をプラス補正するステップと、時間t後の前記カッタの見かけ上の走行速度が、前記カッタ速度制御パターン中の経過時間tに対応するカッタ速度よりも速い場合には、上記とは逆にカッタ速度をマイナス補正するステップと、を含むカッタの走行制御方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、板ガラスに切線を施すためのカッタの走行制御方法および板ガラスの切断方法に関する。
従来、一定方向に搬送される板ガラスの表面にノンストップで切線を入れる方法が知られている(図13、図14参照)。これらの図に示すように、板ガラス132(搬送速度:v)の搬送方向に直交する方向に対して、搬送方向下流側に角度θ傾いた姿勢で配置されたガイドフレーム112に沿ってホイールカッタ等のカッタ114を走行速度:w=v/cosθで走行させる。その結果、板ガラス132の表面に搬送方向に対して略垂直な切線を入れることができる(例えば特許文献1参照)。
特開平8−231239号公報
しかしながら、ガイドフレーム112は各種原因により、設計値通りの理想直線ではなくうねった形状を持つことがあるため(図8参照)、カッタ114がガイドフレーム112に沿って走行すると、そのうねりに起因して、板ガラス132の表面にうねり成分を含む切線が入ってしまう(図7(b)参照)、という問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、仮にガイドフレームが理想直線ではなく、うねった形状であったとしても、そのうねりの影響を受けずに、又はほとんど受けずに、板ガラスの表面に搬送方向に対して略垂直な切線を入れることが可能となる、カッタの走行制御方法を提供することを目的とする。
即ち、請求項1に記載の発明は、前記目的を達成するため、ガイドフレームに沿って走行し、一定方向に搬送される板ガラス(横方向に切断される前の連続的な板状物の状態ではガラスリボンとも呼ばれる。)に切線を入れるカッタと、経過時間とカッタ速度とを対応づけたカッタ走行速度制御パターンに基づいて前記カッタの走行速度を制御する制御装置と、を備えるガラス切機におけるカッタの走行制御方法であって、時間t後の前記カッタの見かけ上の走行速度が、前記カッタ速度制御パターン中の経過時間tに対応するカッタ速度よりも遅い場合には、切線のうねりを吸収するように、前記カッタ速度制御パターン中の経過時間tに対応するカッタ速度をプラス補正するステップと、時間t後の前記カッタの見かけ上の走行速度が、前記カッタ速度制御パターン中の経過時間tに対応するカッタ速度よりも速い場合には、切線のうねりを吸収するように、前記カッタ速度制御パターン中の経過時間tに対応するカッタ速度をマイナス補正するステップと、を含むことを特徴とするカッタの走行制御方法を提供する。
請求項2に記載の発明は、板ガラスの厚みが0.1〜5mmである請求項1に記載のカッタの走行制御方法を提供する。
請求項3に記載の発明は、板ガラスの厚みが0.1〜0.7mmである請求項1に記載のカッタの走行制御方法を提供する。
請求項4に記載の発明は、搬送速度が0.1〜0.5m/sである請求項1、2または3に記載のカッタの走行制御方法を提供する。
請求項5に記載の発明は、板ガラスの幅が1500mm〜6000mmである請求項1、2、3または4に記載のカッタの走行制御方法を提供する。
請求項6に記載の発明は、カッタの走行速度が0.2〜2m/sである請求項1、2、3、4または5に記載のカッタの走行制御方法を提供する。
請求項7に記載の発明は、リニアサーボモータによって前記カッタを走行させる請求項1、2、3、4、5または6に記載のカッタの走行制御方法を提供する。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載のカッタの走行制御方法における前記切線の位置で、板ガラスの切断を行う板ガラスの切断方法を提供する。
請求項9に記載の発明は、板ガラスがフラットパネルディスプレイ用のマザーガラス基板であり、前記切線による切断の部位が、前記マザーガラス基板の端部の位置となる請求項8に記載の板ガラスの切断方法を提供する。
請求項10に記載の発明は、前記切線に基づく第1の切断に対して、ほぼ直交する方向における第2の切断処理を行い、板ガラスを矩形状のマザーガラス基板に形成する請求項9に記載の板ガラスの切断方法を提供する。
請求項11に記載の発明は、板ガラスの第1の切断と第2の切断の端面について、面取り加工を行う請求項8、9または10に記載の板ガラスの切断方法を提供する。
請求項12に記載の発明は、面取り加工によってマザーガラス基板のサイズを決定する請求項11に記載の板ガラスの切断方法を提供する。
本発明においては、カッタの走行をガイドするガイドフレームが理想直線ではなくうねった形状であったとしても、または、カッタの走行が理想直線にならない場合であっても、その走行の非直線性を相殺することができるようにし、板ガラスの表面に搬送方向に対して略垂直な切線を入れることを可能とさせるものである。
そして、その切線の位置で第1の切断の処理を行い、さらに、第1の切断の方向と直交する方向(ガラスリボンの搬送方向)において第2の切断の処理を行い、端部の面取りおよび外形形状の寸法出しを行い、最終的には良好な矩形形状の板ガラスを短い切断工程によって加工形成するものである。
また、請求項1に記載の発明によれば、カッタ走行速度制御パターンは、従来技術において発生し得る切線のうねりを吸収するように、カッタ速度制御パターン中の経過時間tに対応するカッタ速度がプラス補正又はマイナス補正される。このため、仮にガイドフレームが理想直線ではなく、うねった形状であったとしても、前記補正されたカッタ走行速度制御パターンを用いることで、そのうねりの影響を受けずに、又はほとんど受けずに板ガラスの表面に搬送方向に対して略垂直な切線を入れることが可能となる。
以上説明したように、本発明によれば、仮にガイドフレームが理想直線ではなくうねった形状であったとしても、そのうねりの影響を受けずに、又はほとんど受けずに板ガラスの表面に搬送方向に対して略垂直な切線を入れることが可能となるカッタの走行制御方法を提供することができる。
本発明の一実施形態である補正方法によるカッタ走行速度制御パターンPを用いるガラス切機10のシステム構成図。 一般的なガラス板の製造工程の説明図。 補正後のカッタ走行速度制御パターンP(定速域)の例の説明図。 始点と終点の間をn分割した理想直線上の指令位置の説明図。 カッタ走行速度制御パターンPの例を示す説明図。 (a)板ガラス30の搬送速度Vが、一定速度となるように制御されていることの説明図、(b)板ガラス30の搬送速度Vが、温度変化等の外乱により変動することがあることの説明図。 (a)ガイドフレーム12が理想直線である場合の切線Cの例の説明図、(b)ガイドフレーム12がうねっている場合の切線Cの例の説明図。 ガイドフレーム12のうねりの例の説明図。 カッタ走行速度制御パターンPを補正する原理の説明図。 カッタ走行速度制御パターンPの補正処理を説明するためのフローチャート。 カッタ走行速度制御パターンPの補正処理の説明図。 本発明によって、ガラスリボンから切り出したマザーガラス基板の模式的平面図。 従来のガラス切機の説明図。 従来のガラス切機の説明図。
以下、図面を参照しながら本発明に係るカッタ走行速度制御パターンの補正方法の好ましい実施の形態を詳説する。
図1は、ガラス切機10のシステム構成図であり、図2は、一般的な板ガラスの切断工程の説明図である。本発明は、建材用、車両用などの板ガラスに適用できる。本発明は、高い寸法精度や形状精度が求められる電子デバイス用ガラス基板の製造に適している。特に、フラットパネルディスプレイ用のマザーガラス基板の製造の際に適用することが好ましい。
フラットパネルディスプレイには、液晶ディスプレイ(LCD)、有機エレクトロルミネッセンスデバイス(有機ELデバイス)、プラズマディスプレイ(PD)、あるいは太陽電池用ガラス基板の製造に適用できる。
特に、薄膜トランジスタ(TFT)やカラーフィルタ(CF)の形成工程において、基板自体の外形形状、外形寸法、矩形の四隅における直角度、端面の仕上げなどが重要な技術要素となるFPD用ガラス基板の製造に適用することが特に好ましい。図12にガラスリボンに対して、横切りの切線CLとガラス基板の流れ方向に沿った縦切の切線CLの関係を示す模式的平面図である。
本発明は、高精度の機械的寸法精度が求められるガラス基板であっても、それらの寸法精度等を飛躍的に向上させることができる。
[ガラス切機10の概要]
図2に示すように、一般に、所定の厚みに製造されたガラスリボンの表面に切線(割断線や切断線とも称される)を入れる工程、切線が入ったガラスリボンに対して曲げモーメントを加え、切線に沿って折割りしてガラス板を形成する工程、割折り後のガラス板に対して面取り加工を施す面取り工程、面取り後のガラス板に対して洗浄・乾燥を行う洗浄工程、洗浄後のガラス板の外形形状等を検査する検査工程を経て、出荷可能な最終製品としてのガラス板が製造される。
本実施形態のガラス切機10は、所定の厚みに製造された板ガラスの表面に切線を入れるための装置であり、図1に示すように、搬送ライン上の切断セクション32に設置されている。所定厚みに製造された板ガラス30(例えば、厚み:0.1〜5mm、又は、0.1〜0.7mm、幅:1500〜6000mm)は、公知の搬送手段により搬送ライン上を搬送され(例えば、搬送速度:0.1〜0.5m/s)、切断セクション32を通過する。ガラス切機10は、本実施形態の補正方法により補正されたカッタ走行速度制御パターンP(図3参照)に従ってカッタ14の走行速度V(例えば、走行速度:0.2〜2m/s)を制御することで、切断セクション32を通過する板ガラス30の表面にノンストップで搬送方向に対して略垂直な切線を入れる。
[ガラス切機10の構成]
図1に示すように、ガラス切機10は、ガイドフレーム12、カッタ14、サーボモータ16、制御装置18、速度検出器20等を備えている。
ガイドフレーム12は、カッタ14の走行をガイドするためのガイド部材であり、板ガラス32(搬送速度:V)の搬送方向に直交する方向に対して搬送方向下流側に角度θ傾いた姿勢で配置されている。
カッタ14は、ガイドフレーム12に沿って走行して、切断セクション32を通過する板ガラス32の表面に切線を入れるための部材であり、例えば、ガイドフレーム12に沿って走行するカッタホイールである。
サーボモータ16は、制御装置18から入力される位置指令、例えば、所定周波数のパルス列に従って回転制御される公知のサーボモータである。サーボモータ16は、公知の駆動機構(図示せず)を介してカッタ14に連結されており、制御装置18からの位置指令に従って回転し、その回転運動を公知の駆動機構を介して直線運動に変換し、カッタ14を走行させる。
サーボモータ16は、リニアサーボモータであることが好ましい。サーボモータ16がリニアサーボモータであれば、カッタ14は、制御装置18からの位置指令に高速度で応答できるとともに、高精度に走行させることができる。
制御装置18は、MPUやCPU等の演算・制御手段、RAMやROM等の記憶手段(いずれも図示せず)等を備えている。制御装置18は、演算・制御手段が記憶手段に読み込まれた所定プログラムを実行することで、カッタ14を制御する制御手段として機能する。すなわち、制御装置18は、カッタ14が始点と終点の間をn分割した理想直線上の指令位置(図4参照)に位置するように、カッタ走行速度制御パターンP(図5参照)又は本実施形態の補正方法により補正されたカッタ走行速度制御パターンP(図3参照)に基づいて、サーボモータ16に位置指令を供給する。制御装置18から位置指令を受けたサーボモータ16は、位置指令に従って回転制御される。これにより、カッタ14は、カッタ走行速度制御パターンP(図5参照)又は本実施形態の補正方法により補正されたカッタ走行速度制御パターンP(図3参照)に従った速度でガイドフレーム12に沿って走行し、切断セクション32を通過する板ガラス30の表面に搬送方向に対して略垂直な切線を入れる。なお、板ガラス30がフラットパネルディスプレイ用のマザーガラス板である場合には、切線による切断の部位が、マザーガラス基板の端部の位置であるのが好ましい。
板ガラス30の搬送速度Vは、一定速度となるように制御されている(図6(a)参照)が、温度変化等の外乱により変動することがある(図6(b)参照)。板ガラス30の搬送速度Vが変動すると、その変動に起因して、板ガラス30の表面にうねり成分を含む切線Cが入ってしまう、という問題がある(図7(b)参照)。
本実施形態では、板ガラス30の搬送速度Vが変動したとしても、その変動の影響を受けずに、又はほとんど受けずに板ガラス30の表面に搬送方向に対して略垂直な切線を入れるために、板ガラス30の搬送速度Vを検出するための速度検出器20を設けている(図1参照)。
制御装置18は、所定のタイミングで速度検出器20から切断セクション32を通過する板ガラス30の搬送速度Vを読み込む。そして、制御装置18は、その読み込んだ搬送速度Vに変動があった場合には、その都度その変動を吸収するための補正速度を算出し、カッタ14がカッタ走行速度制御パターンP(図5参照)に従った速度に対して、その算出した補正速度を加算または減算することによって、リアルタイムに速度が調整されながら板ガラス30に対して走行するように、サーボモータ16を制御する。
これにより、切断セクション32を通過する板ガラス30の搬送速度Vが変動したとしても、その変動の影響を受けずに、又はほとんど受けずに、板ガラス30の表面に搬送方向に対して略垂直な切線を入れることが可能となる。
[カッタ走行速度制御パターンP]
カッタ走行速度制御パターンP(図5参照。以下動作パターン、移動量(指令位置)パターンとも称する)は、板ガラス30の搬送速度Vが一定であるとの前提の下、板ガラス30の表面に搬送方向に対して略垂直な切線が入るように、経過時間tとカッタ14の走行速度V(以下カッタ速度Vと称す)とを対応づけたもの(又は経過時間tとn分割した理想直線上の指令位置(図4参照)とを対応付けたもの)である。
したがって、カッタ14がカッタ走行速度制御パターンP(図4参照)に従った速度Vで走行すれば、板ガラス30の搬送速度Vが一定である限り、板ガラス30の表面に搬送方向に対して略垂直な切線Cが入るはずである(図7(a)参照)。
しかし、図8に示すように、ガイドフレーム12は各種要因により理想直線ではなく、うねった形状であるため、カッタ14がガイドフレーム12に沿って走行すると、そのうねりに起因して、板ガラス30の表面にうねり成分を含む切線Cが入ってしまう(図7(b)参照)、という問題がある。なお、図7(b)、図8では、説明のためうねりを誇張して描いている。
本実施形態では、ガイドフレーム12のうねりの影響を受けずに、又はほとんど受けずに、板ガラス30の表面に搬送方向に対して略垂直な切線を入れるために、カッタ走行速度制御パターンP(図5参照)を、以下の方法で補正している。
[カッタ走行速度制御パターンPを補正する原理]
図9に示すように、ガイドフレーム12が理想直線ではなく、下流側にうねった形状であるとすると、カッタ14が時間t経過後に理想直線上の地点Aに到達すべきところ、実走行線上の地点A′に到達し、これに起因して、板ガラス30の表面にうねり成分を含む切線Cが入ってしまう(図7(b)参照)。
これは、ガイドフレーム12のうねり(理想直線よりも下流側のうねり)に起因して、時間t経過後のカッタ14の見かけ上の走行速度が、カッタ走行速度制御パターンP中の時間tに対応するカッタ速度Vよりも遅くなったためである。
このカッタ14の見かけ上の走行速度が変動することに起因するうねりを吸収するため、時間t経過後にカッタ14が地点A′′に到達するように、カッタ走行速度制御パターンP中の経過時間tに対応するカッタ速度Vをプラス補正する(図3参照)。
同様に、図9に示すように、ガイドフレーム12が理想直線ではなく、上流側にうねった形状であるとすると、カッタ14が時間t経過後に理想直線上の地点Cに到達すべきところ、実走行線上の地点C′に到達し、これに起因して、板ガラス30の表面にうねり成分を含む切線Cが入ってしまう(図7(b)参照)。
これは、ガイドフレーム12のうねり(理想直線よりも上流側のうねり)に起因して、時間t経過後のカッタ14の見かけ上の走行速度が、カッタ走行速度制御パターンP中の時間tに対応するカッタ速度Vよりも速くなったためである。
このカッタ14の見かけ上の走行速度が変動することに起因するうねりを吸収するため、時間t経過後にカッタ14が地点C′′に到達するように、カッタ走行速度制御パターンP中の経過時間tに対応するカッタ速度Vをマイナス補正する(図3参照)。
以上のように時間t、tに対応するカッタ速度Vをプラス又はマイナス補正されたカッタ走行速度制御パターンP(図3参照)を用いることで、うねったガイドフレーム12に基づくカッタ14の非直線性が相殺されるため、ガイドフレーム12のうねりの影響を受けずに、又はほとんど受けずに、板ガラス30の表面に搬送方向に対して略垂直な切線を入れることが可能となる。
[カッタ走行速度制御パターンPの補正処理]
図10は、カッタ速度制御パターンPを補正する具体的処理を説明するためのフローチャートである。以下の処理は、制御装置18が、記憶手段に読み込まれた所定プログラムを実行することにより実現される。
まず、図11に示すガイドフレーム12のうねりC1(実ガラス切断線。規則性がある)を測定する(ステップS1)。測定方法としては、ガイドフレーム12のうねりC1を直接測定する方法の他、間接的に測定する方法が考えられる。
間接的な測定方法としては、例えば、搬送ライン両側にそれぞれ位置検出センサを配置し、この位置検出センサを用いて、ガラス切機10で入れた切線に沿って割折りしたガラス板の切断縁通過位置の変動量を測定し、その測定結果に基づいて算出する方法が考えられる。
あるいは、予めガラス切機10で入れた切線に沿って割折りしたガラス板の切断縁に対し撮像装置を移動させて(又は撮像装置に対しガラス切機10で入れた切線に沿って割折りしたガラス板の切断縁を移動させて)切断縁全体を撮像し、その撮像された画像に基づいて、ガイドフレーム12のうねりC1を算出する方法も考えられる。この場合には、例えば、切断縁とともに基準直線(直線に張られたピアノ線等)を含む撮像し、基準直線から切断縁までの距離を所定画像処理により算出することでより正確に測定することが可能である。
次に、ステップS1で測定したうねりC1を反転した補正切断線C2(図11参照)を演算する(ステップS2)。
次に、ステップS2で演算した補正切断線C2を下流側にCOSθ振った曲線C3(図11参照)を演算する(ステップS3)。
次に、地点A−地点A′の差違からフレーム設計値より地点A′′を通る動作パターンを算出し、予めカッタ速度制御パターンP上の地点A′′′を通るようにプロットする(図11、図3参照)。これにより、移動量(指令位置)パターンを演算する(ステップS4)。
このステップS4の処理を地点Aだけでなく、地点B、地点Cについても実行することで、補正されたカッタ速度制御パターンP(図3参照)を生成することが可能となる。
制御装置18は、この補正されたカッタ速度制御パターンPに基づいて、サーボモータ16に位置指令を供給する(ステップS5)。制御装置18から位置指令を受けたサーボモータ16は、位置指令に従って回転制御される。これにより、カッタ14は、補正されたカッタ走行速度制御パターンPに従った速度でガイドフレーム12に沿って走行し、切断セクション32を通過する板ガラス30の表面に搬送方向に対して略垂直な切線を入れる。
以上のように、補正されたカッタ走行速度制御パターンP(図3参照)を用いることで、うねったガイドフレーム12に基づくカッタ14の非直線性が相殺されるため、ガイドフレーム12のうねりの影響を受けずに、又はほとんど受けずに、板ガラス30の表面に搬送方向に対して略垂直な切線を入れることが可能となる。
切線が入った板ガラス30は曲げモーメントの作用により当該切線に沿って折割りされ、折り割り後のガラス板に対しては面取り加工が施され、面取り後のガラス板に対しては洗浄・乾燥が実施され、洗浄後のガラス板に対しては外形形状等の検査が実施され、出荷可能な最終製品としてのガラス板が製造される。
上記のようにガイドフレーム12のうねりの影響を受けずに、又はほとんど受けずに、板ガラス30の表面に搬送方向に対して略垂直な切線を入れることが可能となるため、次工程である面取り工程における面取り負担を軽減することが可能となる。そして、これらの切線の位置で板ガラス30を切断することによって、外形寸法、外形形状の優れたガラス基板を製造することができる。
なお、板ガラス30がフラットパネルディスプレイ用のマザーガラス板である場合には、図12に示すように、横切りの切線CLに基づく第1の切断に対して、ほぼ直交する方向に延びる縦切の切線CLを入れる第2の切断処理を行い、板ガラス30を矩形状のマザーガラス基板に形成するのが好ましい。この場合には、第1の切断と第2の切断の端面について、面取り加工を行うのが好ましい。以上の面取り加工によってマザーガラス基板のサイズを決定することが可能となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、カッタ14の走行をガイドするガイドフレーム12が理想直線ではなくうねった形状であったとしても、または、カッタ14の走行が理想直線にならない場合であっても、その走行の非直線性を相殺することができるようにし、板ガラス30の表面に搬送方向に対して略垂直な切線を入れることが可能となる。そして、その切線(例えば図12に示す横切りの切線CL)の位置で第1の切断の処理を行い、さらに、第1の切断の方向と直交する方向(ガラスリボンの搬送方向。例えば図12に示す縦切の切線CL)において第2の切断の処理を行い、端部の面取りおよび外形形状の寸法出しを行い、最終的には良好な矩形形状の板ガラスを短い切断工程によって加工形成することが可能となる。
また、本実施形態によれば、カッタ走行速度制御パターンPは、従来技術において発生し得る切線のうねりを吸収するように、カッタ速度制御パターンP中の経過時間tに対応するカッタ速度がプラス補正又はマイナス補正される。このため、仮にガイドフレーム12が理想直線ではなく、うねった形状であったとしても、補正されたカッタ走行速度制御パターンPを用いることで、うねったガイドフレーム12に基づくカッタ14の非直線性が相殺されるため、そのうねりの影響を受けずに、又はほとんど受けずに板ガラス30の表面に搬送方向に対して略垂直な切線を入れることが可能となる。
次に、変形例について説明する。
上記実施形態では、切線を入れる対象が板ガラスである例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、木板、金属板、樹脂板等の板状の物品の切断加工に対しても同様に適用することが可能である。
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
10…ガラス切機、12…ガイドフレーム、14…カッタ、16…サーボモータ、18…制御装置、20…速度検出器、30…板ガラス、32…切断セクション

Claims (12)

  1. ガイドフレームに沿って走行し、一定方向に搬送される板ガラスに切線を入れるカッタと、経過時間とカッタ速度とを対応づけたカッタ走行速度制御パターンに基づいて前記カッタの走行速度を制御する制御装置と、を備えるガラス切機に用いられるカッタの走行制御方法であって、
    時間t後の前記カッタの見かけ上の走行速度が、前記カッタ速度制御パターン中の経過時間tに対応するカッタ速度よりも遅い場合には、切線のうねりを吸収するように、前記カッタ速度制御パターン中の経過時間tに対応するカッタ速度をプラス補正するステップと、
    時間t後の前記カッタの見かけ上の走行速度が、前記カッタ速度制御パターン中の経過時間tに対応するカッタ速度よりも速い場合には、切線のうねりを吸収するように、前記カッタ速度制御パターン中の経過時間tに対応するカッタ速度をマイナス補正するステップと、
    を含むことを特徴とするカッタの走行制御方法。
  2. 板ガラスの厚みが0.1〜5mmである請求項1に記載のカッタの走行制御方法。
  3. 板ガラスの厚みが0.1〜0.7mmである請求項1に記載のカッタの走行制御方法。
  4. 搬送速度が0.1〜0.5m/sである請求項1、2または3に記載のカッタの走行制御方法。
  5. 板ガラスの幅が1500mm〜6000mmである請求項1、2、3または4に記載のカッタの走行制御方法。
  6. カッタの走行速度が0.2〜2m/sである請求項1、2、3、4または5に記載のカッタの走行制御方法。
  7. リニアサーボモータによって前記カッタを走行させる請求項1、2、3、4、5または6に記載のカッタの走行制御方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のカッタの走行制御方法における前記切線の位置で、板ガラスの切断を行う板ガラスの切断方法。
  9. 板ガラスがフラットパネルディスプレイ用のマザーガラス基板であり、前記切線による切断の部位が、前記マザーガラス基板の端部の位置となる請求項8に記載の板ガラスの切断方法。
  10. 前記切線に基づく第1の切断に対して、ほぼ直交する方向における第2の切断処理を行い、板ガラスを矩形状のマザーガラス基板に形成する請求項9に記載の板ガラスの切断方法。
  11. 板ガラスの第1の切断と第2の切断の端面について、面取り加工を行う請求項8、9または10に記載の板ガラスの切断方法。
  12. 面取り加工によってマザーガラス基板のサイズを決定する請求項11に記載の板ガラスの切断方法。
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