JP2011152127A - 燻煙装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】略筒状の側壁部12と、該側壁部12の底面に設けられた底部16とを有する容器10を備え、前記容器10は、可燃性の素材からなり、前記容器10内の下方には、水和反応により発熱する加熱剤が充填されてなる加熱部30が設けられ、前記容器10内には、燻煙剤が充填されてなる燻煙剤部20が設けられ、前記加熱部30と前記燻煙剤部20との間には、前記加熱剤の水和反応熱により溶融する素材からなる仕切部材22が設けられていることよりなる。前記容器10は、可燃性の素材からなる燻煙装置。前記側壁部12は紙製であることが好ましい。
【選択図】図1
Description
このような課題に対して、安価かつ廃棄処理の簡便な、アルミラミネートの蓋を有する紙製のくん煙容器が提案されている(例えば、特許文献4)。また、例えば、紙層と合成樹脂層と金属層とからなる紙製容器を用いた自己発熱装置が提案されている(例えば、特許文献5)。
そこで、本発明は、加熱剤で生じた熱を燻煙剤に損失なく素早く伝達しうることにより、金属素材を用いることなく薬剤を十分に揮散でき、環境負荷を低減できる燻煙装置を目的とする。
前記側壁部は、紙製であることが好ましく、前記底部には、前記加熱部に水が流入する通水孔が形成されていることが好ましい。
容器10は、略円筒形の側壁部12と、側壁部12の天面側に設けられた蓋部14と、側壁部12の底面側に設けられた底部16とで概略構成されている。蓋部14には、気化した薬剤を流出させる通煙孔15が形成されている。
加熱部30は、容器10内の下方に充填された加熱剤からなるものである。仕切部材22は、容器10における蓋部14から底部16に向かうに従って、その径が小さくなる略円錐台の容器である。仕切部材22は、蓋部14側が開口部とされ、その開口部の周縁が側壁部12の内周面と接し、かつ底部16側が加熱部30の天面(加熱部天面)32と接して設けられたものである。仕切部材22には、燻煙剤が充填されて燻煙剤部20が設けられている。
通煙孔15の大きさは、気化した薬剤が流出できる大きさであればよい。また、通煙孔15の数量は特に限定されず、燻煙装置8の大きさや、燻煙剤の発煙量等を勘案して決定できる。
加熱剤として酸化カルシウムを用いる場合、酸化カルシウムと水との反応により生じた水蒸気が、容器10内を上昇する。このため、仕切部材22としては、酸化カルシウムと水との反応初期に生じる水蒸気が、燻煙剤に接触するのを防ぐために、プラスチック製のフィルムを用いることが好ましい。
薬剤は、例えば、殺虫剤、忌避剤、誘引剤、昆虫成長調節剤等の害虫駆除剤、抗菌剤、殺菌剤、防カビ剤等の微生物駆除剤、芳香剤、消臭剤等が挙げられる。害虫駆除剤としては、例えば、ペルメトリン、アレスリン、レスメトリン、サイフェノトリン、プラレスリン、フェノトリン、フェンバレレート、フェンプロパトリン、エトフェンプロックス等のピレスロイド系薬剤、フェニトロチオン、ジクロルボス(DDVP)、ダイアジノン、プロチオホス、バイテックス等の有機リン系薬剤、プロポクスル、メトキサジアゾン等のカーバメイト系薬剤等が挙げられる。微生物駆除剤としては、例えば、イソフタロニトリル、プロシミドン、バイレトン、モレスタン等の農薬用殺菌剤、サイアベンダゾール、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート(IPBC)、IF−1000等の環境衛生用殺菌剤等が挙げられる。
これらの薬剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
これらの発熱性基剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
発熱助剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、尿素等が挙げられる。
燻煙剤中、発熱助剤の含有量は、燻煙剤の総質量の0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましい。
結合剤としては、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、デキストリン、ヒドロキシプロピルスターチ、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。
賦形剤としては、クレー(含水ケイ酸アルミニウム)、タルク、珪藻土、カオリン、ベントナイト、ホワイトカーボン、炭酸カルシウム等が挙げられる。
押出し造粒法による製造方法の具体例としては、燻煙剤の各成分を、ニーダー等により混合し、さらに適量の水を加えて混合し、得られた混合物を一定面積の開孔を有するダイスを用い、前押し出しあるいは横押し出し造粒機を用い造粒する。該造粒物は、さらにカッター等を用いて一定の大きさに切断し乾燥してもよい。
水和反応で生じた水和反応熱により、燻煙剤が任意の温度に達すると、燻煙剤中の薬剤が気化すると共に、有機発泡剤が分解しガスを発生する。そして、気化した薬剤はガスと共に通煙孔15から流出し、空気中に拡散する。加えて、水和反応で生じた水和反応熱により、仕切部材22が溶融する。仕切部材22が溶融すると、仕切部材22に充填されている燻煙剤は、加熱部30上に撒かれ、加熱剤と直接接触する。このため、加熱剤の水和反応熱が燻煙剤に急速に伝播し、燻煙剤中の薬剤は短時間で効率的に揮散する。
加えて、燻煙剤部は、仕切部材を介して加熱部と隣接しているため、薬剤の気化又は有機発泡剤のガス発生に必要な水和反応熱が生じる前に燻煙剤が水に濡れることがなく、薬剤が速やかに気化する。また、薬剤の気化又は有機発泡剤のガス発生に必要な水和反応熱が生じた後は、加熱部で生じた水和反応熱が燻煙剤に直接伝えられ、短時間で薬剤を揮散できる。このように、燻煙開始直後から燻煙終了時に至るまで、燻煙剤を効率的に加熱でき、この結果、薬剤を効率的に揮散できる。加えて、薬剤の揮散を短時間で行うため、容器が加熱される時間も短くなり、可燃性の容器であっても、変形等を伴わず燻煙できる。
さらに、本発明の燻煙装置は、薬剤の揮散に際し、火炎を用いることがないため、容器自体が発火せず、安全に使用できる。
上述の実施形態では、側壁部の形状は円筒形である。しかしながら、側壁部の形状はこれに限定されず、例えば、横断面の形状が多角形の角筒形であってもよい。また、例えば、天面から底面に向かうに従って、その径が大きくなるような形状や、両端面から中央に向かうに従って、その径が大きくなるような形状であってもよい。
離間距離Dは、仕切部材22の材質、加熱剤の種類等を勘案して決定でき、例えば、20mm以下とされる。
ただし、より早期に、燻煙剤を加熱し始める観点からは、仕切部材が加熱部天面に接し、加熱剤部と燻煙剤部とが仕切部材を介して隣接していることが好ましい。
[燻煙剤]
<薬剤>
・ペルメトリン:エクスミン(商品名)、住友化学株式会社製
・メトキサジアゾン:エレミック(商品名)、住友化学株式会社製
・アゾジカルボンアミド(ADCA):ダイブローAC.2040(C)(商品名)、大日精化工業株式会社製
・酸化亜鉛:日本薬局方 酸化亜鉛、真比重5.6g/cm3(20℃)、堺化学工業株式会社製
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC):メトローズ60SH−50(商品名)、信越化学工業株式会社製
・クレー:NK−300(商品名)、昭和KDE株式会社製
・酸化カルシウム:「特開平01−308825号」に記載の方法に従い、消石灰を二酸化炭素が存在しない条件下で、4時間、600℃に加熱して脱水させた粒径1〜5mmの粒状の酸化カルシウム。
・ポリエチレン製カップ(PEカップ):材質;ポリエチレン、厚み;0.3mm、寸法;天面φ61mm、底面φ42mm、高さ33mm
・ポリスチレン製カップ(PSカップ):材質;ポリスチレン、厚み;0.25mm、寸法;天面φ65mm、底面φ40mm、高さ35mm
・TFS製カップ(TFSカップ):材質;TFS(Tin Free Steel;缶飲料用で汎用の錫無し鋼板)、厚み;0.25mm、寸法;天面φ60mm、底面φ40mm、高さ35mm
・アルミニウム製カップ(Alカップ):材質;アルミニウム、厚み;0.01mm、寸法;天面φ60mm、底面φ40mm、高さ33mm
厚み0.25mmのTFS(缶飲料用で汎用の錫無し鋼板)について、以下に示す方法により、熱伝導率を測定した。
ヒーター(CORNING PC−400D(タイテック株式会社製))の発熱面に熱電対A(CS−11E−010−1−TC1−AMP、アンリツ株式会社製)を接触させ、ヒーターを300℃に発熱させた。
TFSの平板(40mm×40mm)を試料とし、この試料の一方の面に熱電対B(ST−11E−015、アンリツ株式会社製)を貼り付けたものを用意した。試料の他方の面をヒーターの発熱面に接触させ、熱電対A及び熱電対Bで測定した温度をサーモロガー(AM−8000E、アンリツ株式会社製)で記録した。ヒーターの発熱面に試料を接触させてから1分後の測定結果を用い、下記(1)式にて熱伝導率を算出した。
ライナー紙A(坪量400g/m2、厚み1.3mmのライナー紙)について、実験例1と同様にして熱伝導率を求めた。
ライナー紙B(ライナー紙Aを2枚重ねたもの、坪量800g/m2、厚み2.6mm)について、実験例1と同様にして熱伝導率を求めた。
ボール紙(坪量100g/m2、厚み1.7mm)について、実験例1と同様にして熱伝導率を求めた。
段ボール(表面及び裏面;坪量180g/m2、中芯;坪量160g/m2,Aフルート、厚み5mm、坪量520g/m2の両面段ボール)について、実験例1と同様にして熱伝導率を求めた。
コルク(密度0.24g/cm3、厚み2.0mm)について、実験例1と同様にして熱伝導率を求めた。
[燻煙剤の調製]
表2〜3に示す燻煙剤混合物の組成に従い、水以外の成分をらいかい機(石川式攪拌らいかい機)に投入し混合した。混合後、水を加えさらに混合し、燻煙剤混合物を得た。得られた燻煙剤混合物を直径2mmの開孔を有するダイスの前押し出し造粒機(EXK−1、株式会社不二パウダル製)を用い造粒し造粒物を得た。得られた造粒物を長さ2〜5mmに切断し、70℃に設定した乾燥機(RT−120HL、アルプ株式会社製)により、109.5質量部から100質量部にまで乾燥させ、顆粒状の燻煙剤を得た。
表2〜3の仕様に従い、図1の燻煙装置8と同様の燻煙装置を作製した。蓋部は、表2〜3に記載の材質を材料とし、該材料の中央にφ9mmの通煙孔(中央通煙孔)を1個設け、さらに、中央通煙孔の周縁回りに、φ6mmの通煙孔を等間隔で4個設けたものとした。また、底部は、表2〜3の材質を材料とし、該材料の中央にφ9mmの通水孔(中央通水孔)を1個設け、中央通水孔の周縁回りに、φ6mmの通水孔を等間隔で4個設けたものとした。側壁部は、直径65mm、高さ50mmの円筒とした。側壁部に底部を装着し有底筒状の容体とし、該容体に加熱剤40gを充填し加熱部とした。
仕切部材の底面が加熱部天面と接触するように、仕切部材を側壁部に固定した。仕切部材に「[燻煙剤の調製]」で得られた燻煙剤10gを充填した。燻煙剤を充填後、容体に蓋部を装着し、燻煙装置を作製した。作製した燻煙装置にて燻煙を行い、揮散率を求めた。求めた揮散率を表2〜3に示す。
仕切部材の底面と加熱部天面とが離間(離間距離D=10mm)するように仕切部材を設け、図3に示す燻煙装置200と同様の燻煙装置とした以外は、実施例1と同様にして、燻煙装置を作製した。作製した燻煙装置にて燻煙を行い、揮散率を求めた。求めた揮散率を表3に示す。
側壁部及び蓋部の材質をTFS、底部として不織布を、通水孔を設けずに用いた以外は、実施例1と同様にして、燻煙装置を作製した。作製した燻煙装置にて燻煙を行い、揮散率を求めた。求めた揮散率を表3に示す。
[燻煙剤の調製]
表3に示す組成に従い、実施例1と同様にして燻煙剤を得た。
仕切部材を設けず、燻煙剤と加熱剤との混合物を容器に充填した以外は、実施例1と同様にして燻煙装置を作製した。作製した燻煙装置にて燻煙を行い、揮散率を求めた。求めた揮散率を表3に示す。
[揮散率]
プラスティックカップ(水ではじめるバルサン(商品名、ライオン株式会社製)25g用)に水23mLを入れ、該プラスティックカップを内容積6.38m3(6380L)の試験室の中央に設置した。該プラスティックカップに、各例の燻煙装置を静置し、燻煙を開始した。燻煙開始5分後に、試験室内の空気をファンで攪拌した。攪拌後、真空ポンプを用いて試験室内の空気20Lを回収用カラムに通流し、試験室内に揮散した薬剤を吸着させた。該回収用カラムには、クロマト用シリカゲル(Wakogel C−100、和光純薬工業株式会社製)を用いた。
次いで、薬剤を吸着させた後、アセトンを回収用カラムに通流し、通流したアセトンを回収した。こうして、クロマト用シリカゲルに吸着した薬剤を溶出させた。回収したアセトンを試料として、ガスクロマトグラフ法によりアセトン中の薬剤量(A)を定量した。一方、燻煙剤中の薬剤量(B)をガスクロマトグラフ法により定量した。これらの定量結果から、下記(2)式により揮散率を算出した。
各例の燻煙装置について、燻煙後の容器の状態を目視で確認し、下記評価基準により評価した。
変形「無」:側壁部、蓋部及び底部の変形がなく、側壁部と蓋部との接合部又は側壁部と底部との接合部のずれや緩みがない。
変形「有」:側壁部、蓋部又は底部のいずれかに変形があるか、側壁部と蓋部との接合部又は側壁部と底部との接合部のずれ又は緩みがある。
これらの結果から、本発明の燻煙装置は、加熱剤の水和反応熱により溶融する仕切部材を設けることで、側壁部を紙製としても、薬剤を効率的に揮散できることが判った。
これらの結果から、本発明の燻煙装置は、仕切部材を金属製とする燻煙装置に比べ、燻煙剤中の有機発泡性が少なくても、薬剤を効率的に揮散できることが判った。
10 容器
12 側壁部
15 通煙孔
16 底部
20、120 燻煙剤部
22、122 仕切部材
30 加熱部
Claims (3)
- 略筒状の側壁部と、該側壁部の底面に設けられた底部とを有する容器を備え、
前記容器は、可燃性の素材からなり、
前記容器内の下方には、水和反応により発熱する加熱剤が充填されてなる加熱部が設けられ、
前記容器内には、燻煙剤が充填されてなる燻煙剤部が設けられ、
前記加熱部と前記燻煙剤部との間には、前記加熱剤の水和反応熱により溶融する素材からなる仕切部材が設けられていることを特徴とする燻煙装置。 - 前記側壁部は、紙製であることを特徴とする、請求項1に記載の燻煙装置。
- 前記底部には、前記加熱部に水が流入する通水孔が形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の燻煙装置。
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