JP2011151526A - スピーカ用ダストキャップおよびこれを用いたスピーカならびにこのスピーカを用いた電子機器および装置 - Google Patents

スピーカ用ダストキャップおよびこれを用いたスピーカならびにこのスピーカを用いた電子機器および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は音響機器に使用されるスピーカ用ダストキャップ、スピーカ、電子機器および装置に関するものであり、音質の向上や高音域での音圧レベル向上等の明瞭度の向上が課題であった。
【解決手段】本発明は、樹脂材料と竹の葉から抽出させたプラントオパールを混入した材料を射出成形あるいはシート成形してスピーカ用ダストキャップを構成することにより、ダストキャップの剛性を向上させ、このダストキャップを用いたスピーカの音質の向上や高音域での音圧レベル向上等の明瞭度を向上させることができる構成としたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は各種音響機器や映像機器に使用されるスピーカ用ダストキャップやこれを用いたスピーカおよびステレオセットやテレビセット等の電子機器および装置に関するものである。
近年、音響機器や映像機器などの電子機器において、デジタル技術の普及により、これらの電子機器に使用されるスピーカについて、性能の向上が強く要請されている。
その中でもダストキャップの性能は、スピーカの高域再生に影響を及ぼし、軽量かつ高剛性であるダストキャップが求められている。
また、一方では低価格化や環境対応化等、高性能化への妨げとなる要求も市場より強く要請されているのが実情である。
従って、今後は高音質、高性能で、かつ低価格化や環境対応化に優れたスピーカ用ダストキャップの開発が必要不可欠となる。
従来のスピーカ用ダストキャップの材料は、針葉樹を叩解して得られた材料が主流である。
また補強剤として、炭素繊維やガラス繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維等を使用しているものもある。
これらの抄紙という工程を経て生産されたダストキャップは、生産性が低く、ばらつきが大きいという課題を有している。
一方、樹脂製では、あらかじめダストキャップ形状に設定された金型に、樹脂ペレットを熱溶解させて射出成形して得ているため生産性が高い。
これらの射出成形による樹脂材料の種類としては、ポリプロピレン等の単一材料が一般的によく使用されている。
さらに、これら樹脂では調整が難しい物性値の調整については、マイカ等の強化材を混入して物性値の調整、スピーカとしての特性や音質の調整を実施していた。
尚、これらの出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開平3−289298号公報
従来ダストキャップは、磁気ギャップに埃などが入らないようにするための防塵が目的であったが、近年のスピーカでは、音響機器や映像機器の発達によりスピーカの広帯域化の役目を果たすために、軽量で剛性の高い材料が求められている。
一般に、樹脂製のダストキャップはポリプロピレン樹脂を射出成形して形成することにより、生産性が高く、防水や防湿性に優れたダストキャップを得ていた。
しかしながら、このダストキャップを使用したスピーカは、ダストキャップ材料の剛性が低いため、高音質化の1つである高明瞭度再生化や、大出力化に不利であるという課題を有するものであった。
本発明は前記課題を解決し、ダストキャップの材料剛性を向上させ、スピーカとして高音質化を図り、大出力化、高信頼性化を可能とし、なおかつ環境負荷の小さいスピーカ用ダストキャップを提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、射出成形あるいはシート成形により、樹脂と竹の葉から抽出されたプラントオパールとを含んでスピーカ用ダストキャップを構成している。
この構成とすることにより、竹の葉に含まれるプラントオパールを樹脂に混入することでスピーカ用ダストキャップの剛性と音速を向上させることができる。
以上のように本発明は、射出成形あるいはシート成形により、樹脂と竹の葉から抽出されたプラントオパールとを含んでスピーカ用ダストキャップを構成することにより、ダストキャップの剛性や強靭性、音速、ヤング率を向上させ、このダストキャップを用いたスピーカの高明瞭度再生化等の高音質化を図り、大出力化、高信頼性化を図ることができる。
さらに、環境負荷の小さいスピーカ用ダストキャップを生産性高く、低価格化して提供することができる。
本発明の一実施の形態におけるスピーカ用ダストキャップの断面図 本発明の一実施の形態におけるスピーカの断面図 本発明の一実施の形態における電子機器の外観図 本発明の一実施の形態における装置の断面図
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1から請求項15に記載の発明について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態のダストキャップの断面図を示したものである。
図1に示すように、ダストキャップ30は、樹脂と竹の葉から抽出されたプラントオパールとを混入した材料を射出成形して構成している。
射出成形して構成したダストキャップについて説明したが、これに限定されず、シート成形としても良い。
竹の葉からプラントオパールを抽出する方法は特に限定しないが竹の葉を乾燥させて水分を除去し、ミキサーで粉末状にして、篩で分級する方法が最も収率が良く、望ましい。
その他には圧力をかけて粉砕し、水溶液上で比重差により沈殿する粉と水に浮く粉で分けるなど様々な方法があり、どの方法で竹の葉からプラントオパールを抽出しても良い。
そして、この竹の葉から抽出されたプラントオパールは曲げ弾性率を向上させる働きがあり、振動板の剛性と音速が向上し、歪みを低減して、再生帯域を拡大することが可能となる。
さらに、天然繊維を混入すると自然で明るい音色を再生することができ、樹脂特有の暗くて画一的な音色を抑えることができる。
天然繊維は木材パルプ、非木材パルプのどちらでも構わないが非木材である竹繊維を混入することが望ましい。
竹繊維は他のパルプ材に比べて弾性率が高いことから、音速が向上できるなど物性調整の自由度が大きくなる。
また、竹繊維を使用することはプラントオパールを竹の葉から抽出することを考慮しても資源の節約になり、竹の生育速度が木材に比べて速いことから環境に優しい。
混入する竹の葉から抽出されるプラントオパールは5重量%以上で、かつ30重量%以下が望ましい。
竹の葉から抽出されるプラントオパールの混入比率が、5重量%に満たない場合は、音速を向上させる効果が小さい。
一方、30重量%より多い場合はシート成形や射出成形が困難となり生産性と寸法安定性が低下し、形状設定の自由度が小さくなる。
また、混入する竹繊維は音質を明るくする傾向にあり、特に混入量が51重量%を越えると樹脂とは違い、竹繊維のように焼却廃棄することができる。
また、混入する竹繊維の一部は叩解度が25cc以下のミクロフィブリル状態まで微細にした竹繊維であっても良い。
ミクロフィブリル状態まで微細にした竹繊維自体が、通常の竹繊維より高弾性率であるのと部分的にミクロフィブリル状態まで微細にした竹繊維が存在することで、繊維間の結合が強固になるという効果もあり、これらが相乗して竹繊維のみよりも弾性率が高くなるため音速が向上する。
また、竹繊維を多くして、より自然で明るい音色にしたい場合は、竹繊維の一部またはすべてに竹粉を使用してもよい。
さらに、竹繊維の一部または全部を竹炭状態にすることで、弾性率と内部損失を向上させることができ、よりダストキャップとしての性能を向上させることができる。
また、顔料などの着色剤を混入しても良いが、炭化状態の竹繊維を使用すれば黒系色の着色剤を混入する必要もない。
さらに、ダストキャップ30の強化や、音に多少のアクセントを付けたり、音圧周波数特性にピークを持たせて音質調整したい場合には、強化材を混入してもよい。
このような強化材として、マイカ、グラファイト、タルク、炭酸カルシウム、クレイ、さらには炭素繊維、アラミド繊維を用いることができる。
強化材にマイカを混入すると、弾性率を高くすることができる。
グラファイトを混入すると、弾性率と内部損失を上げることができる。
タルク、炭酸カルシウム、クレイを混入すると、内部損失を上げることができる。
アラミド繊維を使用すると、竹繊維とアラミド繊維が絡み合い弾性率を下げずに内部損失を上げることができる。
また、ミクロフィブリル状態まで微細化したアラミド繊維を使用すると、より繊維間の絡み合いが強くなるため、高弾性率、高内部損失が可能となる。
また、相溶化剤を使用することで、ポリプロピレンのような非極性樹脂と竹の葉から抽出するプラントオパールの相溶性を良化させることで弾性率や耐熱性を向上させることが可能となる。
特に、前記相溶化剤にはビニル基やメタクリロキシ基、メルカプト基を有するシランを用いることが望ましい。
具体的にはビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
また、相溶化剤はこれに限定されることなく、その他のシランカップリング剤や非極性の樹脂は無水マレイン酸などで変性し、極性を持たせて用いてもよいことは言うまでもない。
このダストキャップ30について樹脂にはポリプロピレンを使用することが望ましい。
ポリプロピレンは結晶性で比較的、耐熱性が高く、成形性も良好である。
また、比重が小さい樹脂であるので振動板の軽量化にも効果がある。
また、ポリプロピレン以外のオレフィン樹脂でポリメチルペンテンを使用しても軽量化に有効である。
また、結晶性の樹脂と非晶性の樹脂を用途に応じて使い分けすることで、樹脂材料としての最適な物性値を満足させることが可能となる。
その他にもエンジニアリングプラスチックや環境配慮のためにポリ乳酸に代表される植物由来樹脂を使用しても良い。
なお、これらの材料をそれぞれ組合せることで、振動板27の物性値を自由に、しかも高精度に調整することができ、所定の特性と音質を実現することが可能となる。
以上のように本発明は、樹脂と竹の葉から抽出されたプラントオパールとを混入した材料を射出成形、あるいはシート成形してスピーカ用ダストキャップを構成することにより、ダストキャップの剛性や強靭性、音速、ヤング率を向上させ、スピーカの高明瞭度再生化等の高音質化を図り、大出力化、高信頼性化を図ることができる。
さらに、環境負荷の小さいスピーカ用ダストキャップを生産性高く、低価格化して提供することができる。
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項16に記載の発明について説明する。
図2は、本発明の一実施の形態のスピーカの断面図を示したものである。
図2に示すように、着磁されたマグネット21を上部プレート22およびヨーク23により挟み込んで内磁型の磁気回路24を構成している。
この磁気回路24のヨーク23にフレーム26を結合している。
このフレーム26の周縁部に、振動板27の外周をエッジ29を介して接着している。
そして、この振動板27の中心部にボイスコイル28の一端を結合するとともに、反対の一端を上記磁気回路24の磁気ギャップ25にはまり込むように結合して構成している。
そして、振動板27の前面に、請求項1から請求項15記載のいずれか1つのダストキャップ30を結合して構成している。
以上は、内磁型の磁気回路24を有するスピーカについて説明したが、これに限定されず、外磁型の磁気回路を有するスピーカに適用しても良い。
以上のように、樹脂と竹の葉から抽出されたプラントオパールとを混入した材料を射出成形、あるいはシート成形してスピーカ用ダストキャップを構成することにより、このダストキャップを使用したスピーカの高音域での音圧レベルを向上させることができ、高音域においてクリアで迫力がある音質を得る等の高音質化を図り、大出力化、高信頼性化を図ることができる。
さらに、高耐入力化や、耐湿信頼性に代表される各種信頼性を向上させることができ、また、外観的にも美しく、変色しにくく、安定した外観を長期的に保持することができるスピーカを実現することができる。
そして、このダストキャップの効果は、ダストキャップの外形寸法が大きくなれば、より大きな効果として表れてくる傾向にある。
(実施の形態3)
以下、実施の形態3を用いて、本発明の特に請求項17に記載の発明について説明する。
図3は、本発明の一実施の形態の電子機器であるオーディオ用のミニコンポシステムの外観図を示したものである。
スピーカ31は、エンクロジャー41に組込まれてスピーカシステムが構成されている。
アンプ42はスピーカシステムに入力する電気信号の増幅回路を含む。
プレーヤ等の操作部43はアンプ42に入力されるソースを出力する。
電子機器であるオーディオ用のミニコンポシステム44は、このようにアンプ42、操作部43、スピーカシステムを有する。
アンプ42、操作部43、エンクロジャー41は、ミニコンポシステム44の本体部である。
すなわちスピーカ31は、ミニコンポシステム44の本体部に装着されている。
この構成とすることにより、従来では実現できなかった高音域での音圧レベルを向上させることができ、高音域においてクリアで迫力がある音質を得るミニコンポシステムを実現することができる。
さらに、高耐入力化や、耐湿信頼性に代表される各種信頼性を向上させることができ、また、外観的にも美しく、変色しにくく、安定した外観を長期的に保持することができるスピーカシステムを実現することができる。
なおスピーカ31の機器への応用として、オーディオ用のミニコンポシステム44について説明したが、これに限定されない。
持運び可能なポータブル用のオーディオ機器やその充電用システム等への応用も可能である。
さらに、液晶テレビやプラズマディスプレイテレビ等の映像機器、携帯電話等の情報通信機器、コンピュータ関連機器等の電子機器に広く応用、展開が可能である。
(実施の形態4)
以下、実施の形態4を用いて、本発明の特に請求項18に記載の発明について説明する。
図4は、本発明の一実施の形態の装置である自動車50の断面図を示したものである。
図4に示すように、本発明のスピーカ31をリアトレイやフロントパネルに組込んで、カーナビゲーションやカーオーディオの一部として使用して自動車50を構成したものである。
この構成とすることにより、スピーカ31の特長を活かした従来では実現できなかった高音域での音圧レベルを向上させることができ、高音域においてクリアで迫力がある音質を得る自動車等の装置を実現することができる。
さらに、スピーカとして高耐入力化や、耐湿信頼性に代表される各種信頼性を向上させることができ、また、外観的にも美しく、変色しにくく、安定した外観を長期的に保持することができる自動車等の装置を実現することができる。
本発明にかかるスピーカ用ダストキャップ、スピーカ、電子機器および装置は、スピーカの高明瞭度再生化等の高音質化を図る特性つくり、音つくりが必要な映像音響機器や情報通信機器等の電子機器、さらには自動車等の装置に適用できる。
21 マグネット
22 上部プレート
23 ヨーク
24 磁気回路
25 磁気ギャップ
26 フレーム
27 振動板
28 ボイスコイル
29 エッジ
30 ダストキャップ
31 スピーカ
41 エンクロジャー
42 アンプ
43 操作部
44 ミニコンポシステム
50 自動車

Claims (18)

  1. 射出成形あるいはシート成形して得られたスピーカ用ダストキャップであって、前記スピーカ用ダストキャップは、樹脂と竹の葉から抽出されたプラントオパールとを含むスピーカ用ダストキャップ。
  2. 竹の葉から抽出されたプラントオパールは、5重量%以上で、かつ30重量%以下とした請求項1記載のスピーカ用ダストキャップ。
  3. 天然繊維をさらに含む請求項1記載のスピーカ用ダストキャップ。
  4. 天然繊維は竹繊維とした請求項3記載のスピーカ用ダストキャップ。
  5. 竹繊維の一部は、叩解度が25cc以下のミクロフィブリル状態まで微細にした竹繊維である請求項4記載のスピーカ用ダストキャップ。
  6. 竹繊維の一部または全部を、竹粉とした請求項4記載のスピーカ用ダストキャップ。
  7. 竹繊維の一部または全部を、炭化させた竹炭状態とした請求項4記載のスピーカ用ダストキャップ。
  8. 強化材をさらに含む請求項1から請求項7のいずれか1つに記載のスピーカ用ダストキャップ。
  9. 強化材は、マイカ、タルク、グラファイト、クレイ、炭酸カルシウム、アラミド繊維の少なくともいずれか1つとした請求項8記載のスピーカ用ダストキャップ。
  10. 相溶化剤をさらに含む請求項1から請求項9のいずれか1つに記載のスピーカ用ダストキャップ。
  11. 相溶化剤はシラン化合物とした請求項10記載のスピーカ用ダストキャップ。
  12. シラン化合物はビニル基を有する請求項11記載のスピーカ用ダストキャップ。
  13. 樹脂はポリプロピレンとした請求項1記載のスピーカ用ダストキャップ。
  14. 樹脂は植物由来の樹脂とした請求項1記載のスピーカ用ダストキャップ。
  15. 植物由来の樹脂はポリ乳酸とした請求項14記載のスピーカ用ダストキャップ。
  16. 磁気回路に結合されたフレームと、このフレームの外周部に結合された振動板と、この振動板に結合されるとともに、その一部が前記磁気回路の磁気ギャップに配置されたボイスコイルと、前記振動板の前面に結合される請求項1記載のスピーカ用ダストキャップとからなるスピーカ。
  17. 請求項16記載のスピーカと、少なくともこのスピーカへの入力信号の増幅回路とを備えた電子機器。
  18. 請求項17記載のスピーカを移動手段に備えた装置。
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