JP2011149261A - 大断面トンネル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】頂版2、底版3および左右の側壁4,4が形成された大断面トンネル1であって、頂版2は、断面台形の小断面トンネル10,10,…を、短辺側を下にした状態で横方向に並設することで弧状に形成されており、底版3は、断面台形の小断面トンネル10,10,…を、短辺側を上にした状態で横方向に並設することで弧状に形成されており、側壁4,4の上端部には、頂版2の下面2aの傾きに対応する傾斜面4aが形成されていて、側壁4,4の下端部には、底版3の上面3aの傾きに対応する傾斜面4bが形成されている。
【選択図】図1
Description
このような小断面トンネルは、一般的に矩形断面である場合が多く、これらの小断面トンネルを連結して形成される大断面トンネルの覆工体も矩形断面に形成されるのが一般的である。
また、頂版および底版に対応する各小断面トンネルの断面形状は、台形に形成されているため、小断面トンネル同士を並設することで、弧状の頂版および底版を構築することができる。
また、頂版および底版を弧状に形成することで、大断面トンネルに作用する水圧や土圧などの外力を分散させて、部材厚の薄厚化を図ることが可能となる。
また、側壁の上端部を逆V字状、下端部をV字状に形成することで、掘削断面形状を左右対称とし、掘進中にローリングや蛇行が生じる可能性が少なくして、掘進制御を比較的簡易に行うことができる。
なお、鋼殻が増強部と一般部との両方を備えている場合には、増強部の断面積が一般部の断面積よりも大きくなるように、増強部の鋼殻の厚みや鉄筋量などの鋼材量の合計が一般部の鋼材量の合計よりも多く配分されていることが望ましい。
小断面トンネル10tは、等脚台形断面であるため、掘進中にローリングや蛇行が生じる可能性が少なくなり、掘進制御を比較的簡易に行うことができる。
なお、本実施形態では、縦リブとして、主桁12と同種の鋼板を使用するが、縦リブを構成する材料は限定されるものではなく、H形鋼、L形鋼、溝形鋼、鋼管等、適宜他の鋼材を使用することが可能である。また、縦リブの数量は限定されるものではない。
継手30は、頂版2と側壁4との接合部においても、小断面トンネル10tと小断面トンネル10wとの当接面に対応して形成されている。
また、突条32は、鋼殻11に突条32となる突部材32aを取り付けることにより形成されている。
なお、ガイド溝31および突条32の位置および個数は、小断面トンネル10t,10t,…の配置等に応じて適宜設定する。
なお、溝部材31aの構成は限定されるものではなく、例えば、複数の鋼板を組み合わせることにより、溝を形成したものであってもよい。
なお、継手30の形状は限定さえるものではなく、適宜形成することが可能である。
側壁4は、その上端部および下端部の中心角が90°以上180°未満の範囲内に設定されているため、頂版2または底版3から伝達される荷重が傾斜面4aまたは傾斜面4bに作用しても、上端部および下端部の領域は圧縮力が支配的となる。そのため、鋼材量の低減化が可能となる。
なお、側壁4の上端部および下端部の中心角を90°未満に設定した場合は、頂版2または底版3から側壁4に伝達される荷重は、頂版2または底版3と側壁4との接合面(傾斜面4a,4b)に対してずれる方向に作用する力が大きくなり、接合面のせん断力に対抗する鋼材を増加させるなどの防止工を講じる必要がある。同時に、当該中心角を90°未満に設定すると、頂版2および底版3のアーチ形状がより円形に近いものとなり、掘削土量の増加、コスト増加となる。
小断面トンネル10wは、左右対称の五角形状の断面形状であるため、頂版2または底版3と突き合わされる傾斜面4a,4bを確保するとともに、掘進中にローリングや蛇行が生じる可能性が少なくなり、掘進制御を比較的簡易に行うことができる。
本実施形態の鋼殻15は、トンネル軸方向に所定の間隔をあけて並設された複数の主桁16と、隣り合う主桁16同士の間においてトンネル軸方向に沿って配置された複数の縦リブ(図示せず)と、主桁16および縦リブの外周囲を覆う外殻17と、主桁補強部材18とを備えて構成されている。
なお、本実施形態では、縦リブとして、主桁16と同種の鋼板を使用するが、縦リブを構成する材料は限定されるものではなく、H形鋼、L形鋼、溝形鋼、鋼管等、適宜他の鋼材を使用することが可能である。また、縦リブの数量は限定されるものではない。
なお、下側の小断面トンネル10wの鋼殻15の傾斜面4bには、突条32が形成されており、底版3の端部に位置する小断面トンネル10bの鋼殻11の上面3aに形成されたガイド溝31とともに継手30を構成している。
また、上側の小断面トンネル10wの鋼殻15の傾斜面4aには、ガイド溝31が形成されており、頂版2の端部に位置する小断面トンネル10tの鋼殻11の下面2aに形成された突条32とともに継手30を構成している。
すなわち、小断面トンネル10を構成する鋼殻15(11)について、各鋼殻15(11)において発生する断面力が引張りとなる領域に配置される増強部に対して、同断面力が圧縮となる領域に配置される一般部よりも鋼材量を多く配分させる。
なお、増強部における鋼材量の増加方法は、例えば、縦リブの本数の増加、外殻17(13)の部材厚を増加、主桁16(12)や縦リブの断面積を大きくしたり、補助的に鋼材量を増加させたりするなど、限定されるものではない。
同様に、側壁4の下端部がV字状に形成されていることにより、側壁4と底版3との接合部の内空側に、くさび状の領域が形成されている。
構造体5は、くさび状の領域に鉄筋を配置してコンクリートを打設することにより形成されたものである。なお、構造体5の構成は限定されるものではなく、適宜構築することが可能である。
小断面トンネル10同士の接合部の構成は前記の構成に限定されるものではない。例えば、接合部材40に代えて、両小断面トンネル10,10に跨って鉄筋や緊張材等を配設してもよい。
なお、止水部材50の構成は限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。また、本実施形態では止水板51として、クロロプレン系の止水ゴムを採用するが、高水圧下に耐えうる止水性を発現することができれば、止水板51を構成する材料は限定されるものではない。
大断面トンネル1の構築方法は、小断面トンネル構築工程と、構造体構築工程と、小断面トンネル連結工程と、コンクリート打設工程と、内部掘削工程と、を備えている。
小断面トンネル101〜110は、大断面トンネル1の内空となる領域を囲むように配置する。
なお、底版3に対応する小断面トンネル10b(第一小断面トンネル101〜第四小断面トンネル104)は、断面台形の鋼殻11により横長断面に形成する。
なお、本実施形態では、第一掘削機M1として、面板式のカッターヘッドM10,M11を備えたものを使用するものとしたが、例えば揺動式カッターであってもよく、第一掘削機M1の構成は限定されるものではない。また、カッターヘッドM10,M11の個数は、小断面トンネル10の断面形状に応じて適宜設定すればよい。
このとき、先行して構築された隣接する小断面トンネル10bの鋼殻11のガイド溝31に、後行して構築される小断面トンネル10bの鋼殻11に形成された突条32を挿入した状態で形成する。
なお、後行して構築される小断面トンネル10は先行して構築された小断面トンネル10との間に、所定幅の隙間をあけた状態で形成してもよい。
なお、本実施形態では、第二掘削機M2として、面板式のカッターヘッドM20,M21を備えたものを使用するものとしたが、例えば揺動式カッターであってもよく、第二掘削機M2の構成は限定されるものではない。また、カッターヘッドM20,M21の個数は、小断面トンネル10wの断面形状に応じて適宜設定すればよい。
第四小断面トンネル104および第五小断面トンネル105は、左右対称の五角形状の断面形状であるため、ローリングや蛇行に対する掘進制御を比較的容易に行うことができる。
また、第四小断面トンネル104(第五小断面トンネル105)は、鋼殻15に形成された突条32を第二小断面トンネル102(第三小断面トンネル103)の鋼殻11のガイド溝31に挿入した状態で配置する。
なお、薬液注入60の注入範囲、施工方法、施工の時期等は限定されるものではなく、適宜行えばよい。
このとき、第六小断面トンネル106および第七小断面トンネル107は、上辺が逆V字状の五角形断面となるように形成する。
このとき、小断面トンネル10tは、隣り合う小断面トンネル10t同士の鋼殻11(15)の継手30をかみ合わせた状態で形成する。
なお、薬液注入60の注入範囲、施工方法、施工の時期等は限定されるものではなく、適宜行えばよい。
次に鋼殻11,15とスライド鋼板61に囲まれた領域に残る地山を掘削し、空間を形成する。
そして、このくさび状の空間に鉄筋を配置した後、コンクリートを打設することで、構造体5を構築する。
小断面トンネル10同士の連結は、各小断面トンネル10の鋼殻11(15)のうち、他の小断面トンネル10に面する部分の外殻14(18)を撤去することにより行う。
これにより、頂版2、底版3および側壁4,4に対応する位置に連続した空間が形成される。
本実施形態では、コンクリート20として高強度コンクリートを充填するものとする。また、本実施形態では、鋼殻11(15)を構成する主桁12(16)や縦リブ等を本体利用することで、圧縮鉄筋および引張鉄筋の削減を図るものとする。
なお、内部構築工6は、プレキャスト部材により形成してもよいし、現場打ちコンクリートにより形成してもよく、その構成は限定されるものではない。また、内部構築工6と底版3および内部構築工6と頂版2との間に形成された空間は、例えば、軽量盛土、埋め戻し土、コンクリート、発泡モルタル、ウレタン等により充填されている。さらに、内部構築工6の形状も限定されるものではなく、適宜形成すればよい。
同様に側壁4,4を構成する小断面トンネル10wの施工は、第二掘削機M2を併用することが可能なため、工事費の削減が可能となる。
例えば、小断面トンネル10の本数や配置は限定されるものではなく、計画された大断面トンネル1の形状に応じて適宜設定すればよい。
また、頂版2および底版3と側壁4,4との接合部の地山側に形成される角部に、薬液注入などを行って補強してもよい。
2 頂版
3 底版
4 側壁
4a,4b 傾斜面
5 構造体
10 小断面トンネル
10b 小断面トンネル(底版)
10t 小断面トンネル(頂版)
10w 小断面トンネル(側壁)
20 コンクリート
40 接合部材
50 止水部材
G 地山
Claims (7)
- 頂版、底版および左右の側壁が形成された大断面トンネルであって、
前記頂版は、断面台形の小断面トンネルを、短辺側を下にした状態で横方向に並設することで弧状に形成されており、
前記底版は、断面台形の小断面トンネルを、短辺側を上にした状態で横方向に並設することで弧状に形成されており、
前記側壁の上端部には、前記頂版の下面の傾きに対応する傾斜面が形成されていて、
前記側壁の下端部には、前記底版の上面の傾きに対応する傾斜面が形成されていることを特徴とする、大断面トンネル。 - 前記側壁の上端部は逆V字状に形成されていて、前記側壁の下端部はV字状に形成されており、
前記側壁と前記頂版との接合部の内空側および前記側壁と前記底版との接合部の内空側にはそれぞれ断面三角形状の領域が形成されていて、
前記断面三角形状の領域には構造体が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の大断面トンネル。 - 前記側壁の上端部および下端部に形成された逆V字状部分およびV字状部分の中心角が、90°以上180°未満の範囲内で形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の大断面トンネル。
- 前記側壁は、上下2本の小断面トンネルにより構築されており、
前記上下の小断面トンネルが、スプリングラインを挟んで上下対称となる形状に形成されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の大断面トンネル。 - 前記小断面トンネルは、複数の鋼殻により形成されており、
前記鋼殻は、当該鋼殻に発生する断面力が引張りとなる領域に配置される増強部と、前記断面力が圧縮となる領域に配置される一般部と、の両方またはいずれかを備えていることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の大断面トンネル。 - 隣り合う前記小断面トンネル同士の接合部の地山側に、止水部材が配置されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の大断面トンネル。
- 前記頂版、前記底版または前記側壁に作用する応力が引張りとなる部分に位置する前記小断面トンネル同士の接合部に、前記小断面トンネル同士を接合する接合部材が配置されており、
前記接合部材が、前記小断面トンネル同士の境界に跨って配設された接続鉄筋と、前記接続鉄筋の両端部において互いに対峙するように各小断面トンネルに固定されたエンドプレートと、を備えることを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の大断面トンネル。
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JP2000073686A (ja) * | 1998-08-31 | 2000-03-07 | Kajima Corp | 大断面トンネルの構築工法 |
JP2007191979A (ja) * | 2006-01-23 | 2007-08-02 | Nishimatsu Constr Co Ltd | エレメント、エレメントの接合構造及びエレメントの接合方法 |
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- 2010-01-25 JP JP2010013494A patent/JP5302229B2/ja active Active
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