JP2011147956A - Si含有鋼板の製造方法 - Google Patents

Si含有鋼板の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2011147956A
JP2011147956A JP2010010163A JP2010010163A JP2011147956A JP 2011147956 A JP2011147956 A JP 2011147956A JP 2010010163 A JP2010010163 A JP 2010010163A JP 2010010163 A JP2010010163 A JP 2010010163A JP 2011147956 A JP2011147956 A JP 2011147956A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
steel sheet
steel
atmosphere
rolling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010010163A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5457852B2 (ja
Inventor
Mikako Takeda
実佳子 武田
Shohei Nakakubo
昌平 中久保
Takashi Onishi
隆 大西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2010010163A priority Critical patent/JP5457852B2/ja
Publication of JP2011147956A publication Critical patent/JP2011147956A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5457852B2 publication Critical patent/JP5457852B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Metal Rolling (AREA)
  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Abstract

【課題】鋼板表面温度のバラツキや冷却ムラを低減し、表面性状に優れたSi含有鋼板を製造することのできる有用な方法を提供する。
【解決手段】C:0.02〜0.6%、Si:0.2〜3.0%、Mn:0.2〜3.5%、P:0.02%以下(0%を含まない)、S:0.02%以下(0%を含まない)、Al:0.15%以下(0%を含まない)を夫々含有する鋼材を、加熱炉内の水蒸気濃度を15〜40体積%、酸素濃度を1.0体積%以下とした雰囲気中において、1173〜1300℃で15〜40分加熱し、デスケーリングした後粗圧延を行い、その後仕上げ圧延直前までの雰囲気を、酸素濃度が10体積%以下の窒素雰囲気として酸化する。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱間圧延によって製造される鋼板の全面に亘って安定で均一なスケールを生成させ、冷却ムラをなくして鋼板表面温度を均一にし、表面性状が良好となるSi含有鋼板を製造するための有用な方法に関するものである。
熱間圧延によって薄鋼板を製造するには、スラブを加熱炉で加熱した後、デスケーリングされ、引き続き粗圧延および仕上げ圧延によって所定の板厚まで圧延され、更に水冷帯(水冷ゾーン)が配置されたホットランテーブル上で所定温度まで水冷され、コイル状に巻取られる。このときの水冷に際しては、鋼板の表面性状によって水冷面の沸騰状態が変動するので、巻取り温度の精度に影響を与え、鋼板の機械的特性のバラツキを誘発する等の問題が生じることになる。
近年、自動車用途を中心に広く使用されている高張力鋼板では、強度を確保するためにSiが多量に添加されるのが一般的である。Siを多く含む鋼板に対して通常の熱間圧延を施すと、ファイアライト(Fe2SiO4)等のSi含有酸化物が生成することになる。このファイアライトは、鋼材(地鉄)/スケール界面に生成し、ファイアライトの溶融温度(1173℃)を超えた場合に、酸化条件によっては楔状に鋼材に食い込み、スケールと鋼材との密着性を増大させ、デスケーリング性を悪化させることになる。
不均一に取れ残ったファイアライトは、鋼材からのFeの拡散を阻害するため、表面からの酸素拡散が支配的となり、スケールの最表面に高次酸化物であるヘマタイト(Fe23)が生成する。このヘマタイトは、硬く脆い酸化物であるので、圧延時にヘマタイトが粉砕され、凹凸の激しい表面性状となり、冷却ムラの原因となる。また、ヘマタイトの発生原因となるファイアライトは、他の酸化物と比較して熱伝導率が極端に低い酸化物であるので、ファイアライトが不均一に残留すると鋼板表面温度にムラが生じ、材質ムラの原因となる。
こうしたことから、表面性状が良好な鋼板を得るためには、鋼板表面温度の不安定化をもたらすファイアライトの除去と、表面性状を悪化させるヘマタイトの生成を抑制することが極めて重要な要件となる。即ち、鋼板全面に亘ってファイアライトを均一に除去してヘマタイトの生成を低減することにより、良好な表面性状を実現し、冷却時における鋼板表面温度のバラツキや冷却ムラの少ないSi含有鋼板を製造方法の実現が求められている。
こうした状況下で、粗圧延や仕上げ圧延前でのデスケーリングにおいて、ファイアライトが残留しないような剥離性の良好なスケール性状の実現とスケールが押し込まれることによる疵(押し込み疵)の低減を実現するため、様々な技術が提案されている。こうした技術として、例えば特許文献1〜6には、加熱炉および圧延での条件を適切に制御することによって、スケールの性状を制御する方法が提案されている。
しかしながら、これまで提案されている技術は、いずれも押し込み疵の抑制に主眼をおいたものであり、ファイアライトの取れ残りが原因で生じるヘマタイトの生成による鋼板表面温度のバラツキや冷却ムラについては殆ど考慮されていないのが実情である。
特開平4−247829号公報 特開平6−192728号公報 特開平6−346145号公報 特開平7−034137号公報 特開2000−273579号公報 特開2005−297008号公報
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、鋼板表面温度のバラツキや冷却ムラを低減し、表面性状に優れたSi含有鋼板を製造することのできる有用な方法を提供することにある。
上記目的を達成することのできた本発明方法とは、C:0.02〜0.6%(質量%の意味。鋼の化学成分において以下同じ。)、Si:0.2〜3.0%、Mn:0.2〜3.5%、P:0.02%以下(0%を含まない)、S:0.02%以下(0%を含まない)、Al:0.15%以下(0%を含まない)を夫々含有する鋼材を、加熱炉内の水蒸気濃度を15〜40体積%、酸素濃度を1.0体積%以下とした雰囲気中において、1173〜1300℃で15〜40分加熱し、デスケーリングした後粗圧延を行い、その後仕上げ圧延直前までの雰囲気を、酸素濃度が10体積%以下の窒素雰囲気として酸化する点に要旨を有するものである。
本発明方法において、前記粗圧延を行なった後、仕上げ圧延直前までにおいて、酸素濃度が10体積%以下、水蒸気濃度が5〜30体積%を含む雰囲気中で酸化を行なうことが好ましい。
本発明方法で対象とする鋼材については、上記基本成分に、更に(a)Cu:1.0%以下(0%を含まない)および/またはNi:1.0%以下(0%を含まない)、(b)Cr:1.0%以下(0%を含まない)、(c)Ti:1.0%以下(0%を含まない)、V:1.0%以下(0%を含まない)およびNb:1.0%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種、(d)Mo:1.0%以下(0%を含まない)、(e)B:0.1%以下(0%を含まない)、(f)Ca:0.005%以下(0%を含まない)および/またはMg:0.01%以下(0%を含まない)、等を含有させてもよく、含有される成分に応じて鋼板の特性が更に改善される。
本発明によれば、加熱炉での加熱条件と共に、粗圧延の後仕上げ圧延直前までの雰囲気を適切に制御することによって、鋼板全面に亘ってファイアライトを均一に除去してヘマタイトの生成を低減できるため、表面性状に優れたSi含有鋼板が製造できる。
本発明方法を実施するための装置構成例を示す概略説明図である。
Siを含有する鋼板を酸化すると、Fe系単独酸化物であるウスタイト(FeO)、マグネタイト(Fe34)、ヘマタイト(Fe23)等の酸化物と鋼材との界面に、ファイアライト(Fe2SiO4)が生成する。このうちファイアライトは、マグネタイトやウスタイトと比較すると、熱伝導率が著しく低いために、ファイアライトの不均一な残留は、鋼板表面温度の変動をもたらし、材質のバラツキが生じる原因となる。
例えば、1173℃以上で酸化した場合には、ファイアライトが液相化し、デスケーリング性は向上するが、酸化条件によっては、楔状に鋼材に食い込み、圧延工程においてもファイアライトが取れ残ることがある。取れ残ったファイアライトは、鋼材からのFe拡散を阻害し、表面からの酸素拡散が支配的となり、ファイアライトが取れ残った部分に生成するスケールの最表面には高次酸化物であるヘマタイトが多く生成することになる。
ヘマタイト(Fe23)は硬く脆い酸化物であるため、これが圧延によって破壊されると、表面性状が凹凸化し、冷却ムラを生じることになる。従って、鋼板表面温度のバラツキを誘発するファイアライトはできる限り除去し、更にスケールの表層におけるヘマタイトをできるだけ抑制する必要がある。
本発明者らは、ヘマタイトの発生原因であり、更には表面温度の不安定化に繋がるファイアライトを極力除去し、且つスケールの最表面のヘマタイトを極力抑制するという観点から、検討を行なった。その結果、加熱炉内雰囲気中の水蒸気濃度を上げ、且つ酸素濃度を低くすることによって、液相化したファイアライトの侵入を抑制して、ファイアライトを均一に除去し、その後、圧延中に生成するスケールの表層にヘマタイトが生成するのを抑制するために、低濃度酸素雰囲気若しくは水蒸気を含有する低濃度酸素雰囲気で酸化してから圧延することで、最表面にヘマタイトの生成のない均一なスケールが生成されることを見出した。これによって、ファイアライトの不均一な残留による鋼板表面温度のバラツキと、圧延時のヘマタイトの破壊による表面性状の悪化を避けることができ、冷却ムラを抑えることができるのである。
本発明方法では、Si含有鋼の表面性状を良好にするため、鋼材(スラブ等)を加熱炉で加熱するときの条件を制御すると共に、加熱炉から取り出した後粗圧延を終了した後、仕上げ圧延直前においてその雰囲気を制御するものであり、必要によって粗圧延を終了した後、仕上げ圧延直前における雰囲気をより厳密に制御するものであるが、これらの雰囲気制御の限定理由は下記の通りである。
[加熱炉における加熱温度:1173〜1300℃]
ファイアライトはスケールの密着性を高める作用があるが、加熱炉での加熱温度が1173℃以上となるとファイアライトは液相化し、デスケーリング性が向上する。従って、加熱炉での加熱温度は、ファイアライトの溶融温度である1173℃以上とする必要がある。一方、このときの加熱温度が高くなり過ぎると、スケールロスが増大し、歩留まりが低下するため、加熱温度の条件は1300℃以下とする。この加熱温度の好ましい下限は1190℃であり、好ましい上限は1280℃である。
[加熱炉内の雰囲気]
ファイアライトを溶融させることによって、デスケーリング性は向上するが、酸素分圧が高くなり過ぎると、溶融したファイアライトが鋼板表面に楔状に食い込み、デスケーリング性を悪化させて、不均一にファイアライトが取れ残ることになる。従って、溶融ファイアライトは酸素分圧が高いと鋼板表面に食い込み易くなるために、雰囲気の酸素濃度を1.0体積%以下とする必要がある。好ましくは0.8体積%以下である。
尚、加熱炉での雰囲気は、水蒸気濃度を高めることによって、内方酸化(酸素の内方拡散によって形成される鋼材内部の酸化)を促進することができ、ファアライトの食い込み部をスケール化することで、デスケーリング性を向上させることができ、均一に除去できる上で好ましい。そのためには、水蒸気濃度は15体積%以上とすることが好ましい。しかしながら、このときの水蒸気濃度が高くなり過ぎると、内方酸化が過剰に進行してスケールロスが増大するので、40体積%以下とすることが好ましい。
[加熱炉内での保持時間(加熱時間):15〜40分]
加熱炉内で保持時間は、15〜40分とする。15分未満では、スラブの均熱が不十分となって、スケール生成にムラが生じることになる。好ましくは20分以上、より好ましくは25分以上とする。しかしながら保持時間が長くなり過ぎると、スケールロスが生じるので、40分以下とする必要がある。好ましくは35分以下、より好ましくは30分以下とする。
上記のような条件で加熱処理を行った後は、デスケーリングを実施する。このデスケーリングでは、高圧水デスケーリングが一般的であるが、メカニカルデスケーリングを実施してもよい。
[粗圧延後から仕上げ圧延直前までの雰囲気]
通常、熱間圧延は大気雰囲気(即ち、酸素濃度が20体積%程度)中で行なわれるが、鋼板表面にファイアライトが残ると、Feの拡散が阻害されるため、大気中のような高酸素分圧下では表面酸化がより一層支配的となり、スケールの最表層に高次酸化物であるヘマタイトが不均一に厚く生成する。このヘマタイトは、硬く脆い酸化物であり、圧延中に破壊されやすいために表面性状が凹凸化し、均一冷却を阻害する要因となる。従って、ヘマタイトが発生しないように、酸素分圧の低い雰囲気とすることが好ましい。
粗圧延後から仕上げ圧延入り側においては、1100℃を超える高温であることから、酸素分圧の高い雰囲気中(通常は、大気中に曝される)においては、スケールの最表面にヘマタイトが生成しやすくなる。ヘマタイトの生成を抑制するためには、雰囲気中の酸素濃度をできるだけ低くする必要があり、こうした観点から酸素濃度は10体積%以下とする必要がある。好ましくは5体積%以下である。
尚、粗圧延後から仕上げ圧延直前までの雰囲気においては、水蒸気濃度を高めることが好ましく、これによってスケール表層の酸素分圧を下げることができ、ヘマタイトがより生成し難くなり、表面性状が安定する。こうした観点から、粗圧延後から仕上げ圧延直前までの雰囲気における水蒸気濃度は5体積%以上とすることが好ましく、より好ましくは10体積%以上である。しかしながら、水蒸気濃度が増大し過ぎると、スケールロスが増大するため、30体積%以下とすることが好ましく、より好ましくは25体積%以下である。
尚、粗圧延後から仕上げ圧延直前までの雰囲気制御は、例えば図1に示すように、粗圧延と仕上げ圧延との間に雰囲気を制御する炉を設け、この炉内に、雰囲気を調整するためのガス導入孔(調整雰囲気ガス導入孔)からガスを導入するようにすれば良い。
本発明で対象とする鋼材は、Siに起因するファイアライト(Fe2SiO4)を均一に除去し、且つヘマタイトの生成を抑制でき、熱延鋼板として使用できる限りSi含有鋼の化学成分組成は特に限定されないが、例えばC:0.02〜0.6%、Si:0.2〜3.0%、Mn:0.2〜3.5%、P:0.02%以下(0%を含まない)、S:0.02%以下(0%を含まない)、Al:0.15%以下(0%を含まない)を夫々含有する鋼材が挙げられる。各元素の添加理由は、以下の通りである。
[C:0.02〜0.6%]
Cは鋼材(即ち、鋼板)の強度を高めるのに有効な元素であり、また低温変態生成物の量や変態を変えることで伸びや伸びフランジ性に影響を与える元素である。Cの含有量が0.02%未満では、自動車用の高強度のニーズに応えることができなくなり、一方0.6%を超えて過剰になると、溶接性の低下を招くことになる。好ましいC含有量は、0.05%以上(特に0.1%以上)、0.3%以下(特に0.2%以下)である。
[Si:0.2〜3.0%]
Siは鋼材の強度を確保する上で重要な元素である。本発明で対象とする鋼材では、強度確保に最低限必要なSi量としてその含有量は0.2%とした。しかしながら、Si含有量が過剰となると、延性が劣化する恐れがあり、3.0%以下とした。好ましいSi含有量は、0.5%以上、2.5%以下である。
[Mn:0.2〜3.5%]
Mnは鋼材の強度を確保するために有用な元素であり、また加工性の非常に優れた高強度鋼板としての特性を得るためには、少なくとも0.2%以上含有させる必要がある。しかしながら、Mn含有量が過剰になると、伸びの低下や炭素当量の増大を招き、また溶接性が劣化するので3.5%以下とする必要がある。好ましいMn含有量は、0.5%以上、3.0%以下である。
[P:0.02%以下(0%を含まない)]
Pは高強度鋼板を得るために有効な元素であるが、0.02%を超えて過剰になると、圧延途中でスケールが剥離しやすくなり、鋼板の表面性状が不安定となるので、不可避的不純物として混入する場合、その上限を0.02%に止める必要がある。P含有量は、好ましくは0.01%以下である。尚、工業生産上、鋼材中のP含有量を0%にすることは困難である。
[S:0.02%以下(0%を含まない)]
Sは熱間圧延時の熱間割れの原因となる他、スポット溶接性を著しく損なう元素である。鋼材中では、析出物として固定されるが、その量が増大すると、伸びや伸びフランジ性の劣化を招くので、不可避的不純物として混入する場合、その上限を0.02%に止める必要がある。S含有量は、好ましくは0.01%以下である。尚、工業生産上、鋼材中のS量を0%にすることは困難である。
[Al:0.15%以下(0%を含まない)]
Alは、製鋼段階での脱酸のために有効な元素である。しかしながら、Al含有量が0.15%を超えると、製造コストの上昇を招くばかりでなく、表面性状を悪化させることになる。そこでAl含有量の上限を0.15%以下と定めた。Al含有量は、好ましくは0.1%以下である。
上記C、Si、Mn、P、S以外の残部は、鉄であってもよい。残部が鉄の場合、不可避的不純物(例えば、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる不純物(O、N等))が鋼板中に含まれることは、当然に許容される。本発明で対象とする鋼材には、必要に応じて種々の選択元素を含有させても良く、含有される元素の種類に応じて鋼材の特性が更に改善される。これらの元素を含有させるときの含有量および限定理由は以下の通りである。
[Cu:1.0%以下(0%を含まない)および/またはNi:1.0%以下(0%を含まない)]
CuとNiは、鋼材自体の強度を向上させる上で有効な元素である。特に、Feよりも酸化し難いCu、Niが表面に均一に濃化することによって、SiやMnを含有する酸化物の形態を変化させてめっき性の低下を防止する上でも有効である。しかしながら、過剰に含有させることは、経済的に見合わなくなるので、いずれも1.0%以下とすべきである。尚、これらの元素を含有させるときの、好ましい含有量はいずれも0.003%以上である。また、より好ましい上限は0.8%以下である。
[Cr:1.0%以下(0%を含まない)]
Crは鋼材の焼入れ性を高め、組織強化を図る上で有効な元素である。またCrは、オーステナイト中にCを濃化させて安定度を高め、マルテンサイトを生成させるだけでなく、酸化物の鋼板表面に形成することによって、めっき性に影響を与える元素である。こうした効果を発揮させるためには、0.003%以上含有させることが好ましい。しかしながら、Cr含有量が1.0%を超えて過剰になっても、その効果が飽和し、コスト面でも不利になる。そこでCr含有量の上限を1.0%以下と定めた。より好ましくは0.8%以下とするのがよい。
[Ti:1.0%以下(0%を含まない)、V:1.0%以下(0%を含まない)およびNb:1.0%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種]
Ti、VおよびNbは、いずれも炭化物を形成し、鋼材を高強度化するために有効な元素である。このうち、TiはC、Nを固定し、鋼材の深絞り性(r値)を向上させる上でも有効である。こうした効果を発揮させるためには、いずれも0.003%以上含有させることが好ましい。しかしながら、これらの含有量が1.0%を超えて過剰になると、コスト高となる上、加工性の劣化をもたらすことになる。尚、これらのより好ましい上限は0.5%以下である。
[Mo:1.0%以下(0%を含まない)]
Moは鋼材の固溶強化を図る上で有効な元素である。しかしながらMo含有量が1.0
%を超えて過剰になると、製造コストを上昇させることになる。尚、こうした効果を発揮させるためには、Mo含有量は0.003%以上(より好ましくは0.01%以上)含有させることが好ましい。尚、Mo含有量のより好ましい上限は0.5%以下である。
[B:0.1%以下(0%を含まない)]
Bは鋼材の溶接性を向上させ、また焼入れ性を高める作用のある元素である。しかしながらB含有量が0.1%を超えて過剰になると、これらの効果が飽和するだけでなく、延性を劣化させ、加工性を低下させることになる。尚、こうした効果を発揮させるためには、B含有量は0.0002%以上(より好ましくは0.0004%以上)含有させることが好ましい。尚、B含有量のより好ましい上限は0.005%以下である。
[Ca:0.005%以下(0%を含まない)および/またはMg:0.01%以下(0%を含まない)]
CaおよびMgは、介在物の形態を制御して、延性を高め、加工性を向上させる作用がある。しかしながら、これらの含有量がCaで0.005%、Mgで0.01%を超えて過剰になると、鋼材中の介在物が増加し、延性が劣化し、加工性が悪くなる。尚、こうした効果を発揮させるためには、いずれも0.0005%以上(より好ましくは0.0007%以上)含有させることが好ましい。尚、これらの含有量のより好ましい上限は、Caで0.004%以下、Mgで0.008%以下である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
[実施例1]
下記表1に示す化学成分組成の鋼材スラブ(鋼種A〜U)を溶製し、下記表2に示す加熱条件(加熱炉温度、加熱炉保持時間、加熱炉内酸素濃度、加熱炉内水蒸気濃度)で加熱した後、10MPa以上の高圧水でデスケーリングを行なった。このとき、仕上げ圧延前のスケールの最表面の酸化物組成を調整するため(ヘマタイト抑制)、粗圧延後から仕上げ圧延までの雰囲気(酸素濃度)を調整した後、通常の圧延条件で圧延して板厚:3mmの鋼板とした後、水冷し、目標巻取り温度を450℃として巻取りを行なった。尚、温度管理は、放射温度計で行なった。尚、粗圧延後から仕上げ圧延までは、雰囲気中の水蒸気濃度の制御は、行なわなかった(実質5体積%未満)。
粗圧延後から仕上げ圧延までの間の雰囲気制御は(前記図1参照)、所定の酸素濃度のガスボンベ(窒素希釈)から、流速:50L/分で鋼材表面に種々のガスを噴霧して実施した。そして、目標巻取り温度の±20℃の範囲に入ったコイルの長さL1と全コイル長さL0との比(L1/L0)を、巻取り温度の的中率(±20℃的中率)として求めた。この的中率の合格基準は90%以上である。その結果を、仕上げ圧延温度と共に、下記表2に示す。
Figure 2011147956
Figure 2011147956
この結果から次のように考察できる。まず本発明で規定する要件を満足するものは(試験No.1、4、5、7、10、12〜14、16、17、19〜23、25〜29)、ヘマタイトの生成が抑制されて冷却ムラが低減され、巻取り温度の的中率が高いものとなっている。また、これらによって、得られた鋼板は、いずれも良好な表面性状が得られていることが確認できた。
これに対し、本発明で規定する要件を満足しないもの(試験No.2、3、6、8、9、11、15、18、24)では、ヘマタイトの抑制効果が不十分となり、冷却ムラが生じて、巻取り温度の的中率が低下している。
具体的には、試験No.2、11のものは、加熱炉内の水蒸気濃度が低くなって内方酸化が進まず、デスケーリング性が悪くなって、巻取り温度の的中率が若干低下している。試験No.3のものは、加熱炉内の温度が低いものであってファイアライトの液相化が進まず、デスケーリング性が悪くなって、巻取り温度の的中率が若干低下している。
試験No.6、8、15、24のものは、粗圧延後から仕上げ圧延まで酸素濃度が過剰になっており、ヘマタイトの抑制効果が不十分となり、冷却ムラが生じて、巻取り温度の的中率が低下している。
試験No.9、18のものは、加熱炉内の酸素濃度が過剰になっており、溶融ファイアライトが鋼板表面に食い込みやすくなっており、デスケーリング性が悪くなって、巻取り温度の的中率が若干低下している。
[実施例2]
仕上げ圧延前のスケール最表面の組成を更に改善するため(ヘマタイト抑制)、粗圧延後から仕上げ圧延までの雰囲気(酸素濃度、水蒸気濃度)を下記表3に示すように調整した後、通常の圧延条件で圧延、冷却し、巻取りを行なった。このとき、加熱炉での加熱温度:1250℃、加熱炉での保持時間:25分、加熱炉の酸素濃度:0.1体積%、水蒸気濃度:25体積%とした。
また粗圧延後から仕上げ圧延までの雰囲気(酸素濃度、水蒸気濃度)の制御は、実施例1と同様に、所定の酸素濃度のガスボンベ(窒素希釈)から、流速:50L/分で鋼材表面に種々のガスを噴霧して実施した。そして、各試験での巻取り温度の的中率(±20℃的中率)を実施例1と同様にして求めた。その結果を、仕上げ圧延温度と共に、下記表3に示す。
Figure 2011147956
表3の結果から明らかなように、粗圧延後から仕上げ圧延までの雰囲気中の酸素濃度を低く、且つ水蒸気濃度が適正量に制御されたもの(試験No.30、32〜38、40〜42、44、45、47〜54)では、ヘマタイト極限まで低減されたマグネタイト(Fe34)主体の均一なスケールが形成されるために、巻取り温度の的中率は高い値を示している。このうち試験No.33、38のものは、本発明で規定する好ましい要件を外れるものであって、巻取り温度の的中率が他のものと比べて若干低下している。
これに対して、粗圧延後から仕上げ圧延までの雰囲気中の酸素濃度が高くなっているもの(試験No.31、39、43、46)では、ヘマタイトの生成が抑制されないために、巻取り温度の的中率は低い値に留まっている。

Claims (8)

  1. C:0.02〜0.6%(質量%の意味。鋼の化学成分において以下同じ。)、Si:0.2〜3.0%、Mn:0.2〜3.5%、P:0.02%以下(0%を含まない)、S:0.02%以下(0%を含まない)、Al:0.15%以下(0%を含まない)を夫々含有する鋼材を、加熱炉内の水蒸気濃度を15〜40体積%、酸素濃度を1.0体積%以下とした雰囲気中において、1173〜1300℃で15〜40分加熱し、デスケーリングした後粗圧延を行い、その後仕上げ圧延直前までの雰囲気を、酸素濃度が10体積%以下の窒素雰囲気として酸化することを特徴とするSi含有鋼板の製造方法。
  2. 前記粗圧延を行なった後、仕上げ圧延直前までにおいて、酸素濃度が10体積%以下、水蒸気濃度が5〜30体積%を含む雰囲気中で酸化を行なう請求項1に記載のSi含有鋼板の製造方法。
  3. 前記鋼材は、更にCu:1.0%以下(0%を含まない)および/またはNi:1.0%以下(0%を含まない)を含有する請求項1または2に記載のSi含有鋼板の製造方法。
  4. 前記鋼材は、更にCr:1.0%以下(0%を含まない)を含有する請求項1〜3のいずれかに記載のSi含有鋼板の製造方法。
  5. 前記鋼材は、更にTi:1.0%以下(0%を含まない)、V:1.0%以下(0%を含まない)およびNb:1.0%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1〜4のいずれかに記載のSi含有鋼板の製造方法。
  6. 前記鋼材は、更にMo:1.0%以下(0%を含まない)を含有する請求項1〜5のいずれかに記載のSi含有鋼板の製造方法。
  7. 前記鋼材は、更にB:0.1%以下(0%を含まない)を含有する請求項1〜6のいずれかに記載のSi含有鋼板の製造方法。
  8. 前記鋼材は、更にCa:0.005%以下(0%を含まない)および/またはMg:0.01%以下(0%を含まない)を含有する請求項1〜7のいずれかに記載のSi含有鋼板の製造方法。
JP2010010163A 2010-01-20 2010-01-20 Si含有鋼板の製造方法 Expired - Fee Related JP5457852B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010010163A JP5457852B2 (ja) 2010-01-20 2010-01-20 Si含有鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010010163A JP5457852B2 (ja) 2010-01-20 2010-01-20 Si含有鋼板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011147956A true JP2011147956A (ja) 2011-08-04
JP5457852B2 JP5457852B2 (ja) 2014-04-02

Family

ID=44535453

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010010163A Expired - Fee Related JP5457852B2 (ja) 2010-01-20 2010-01-20 Si含有鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5457852B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011231391A (ja) * 2010-04-30 2011-11-17 Kobe Steel Ltd 表面性状に優れた高Si含有鋼板およびその製造方法
CN103556080A (zh) * 2013-10-24 2014-02-05 钢铁研究总院 直接轧制长型材的力学性能控制方法
CN104785553A (zh) * 2015-04-23 2015-07-22 湖南天益高技术材料制造有限公司 中间穿水箱
JP2015199073A (ja) * 2014-04-04 2015-11-12 株式会社神戸製鋼所 表面疵の少ない鋼材の製造方法
CN108555021A (zh) * 2018-05-17 2018-09-21 山东钢铁股份有限公司 一种对窄钢带进行特殊断面尺寸再加工的方法及设备
CN111530930A (zh) * 2020-04-30 2020-08-14 太原科技大学 一种镁铝层合板的热轧制备方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5832506A (ja) * 1981-08-21 1983-02-25 Kawasaki Steel Corp 微弱酸化熱間圧延方法
JPS5997710A (ja) * 1982-11-29 1984-06-05 Kawasaki Steel Corp 熱延鋼帯の冷却方法
JPH11123437A (ja) * 1997-10-23 1999-05-11 Nippon Steel Corp 薄スケール鋼板の製造方法
JP2009013432A (ja) * 2007-06-29 2009-01-22 Kobe Steel Ltd 表面性状にすぐれた高Si熱延鋼板の製造方法
JP2009274093A (ja) * 2008-05-14 2009-11-26 Kobe Steel Ltd 表面性状に優れたSi含有熱延鋼板の製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5832506A (ja) * 1981-08-21 1983-02-25 Kawasaki Steel Corp 微弱酸化熱間圧延方法
JPS5997710A (ja) * 1982-11-29 1984-06-05 Kawasaki Steel Corp 熱延鋼帯の冷却方法
JPH11123437A (ja) * 1997-10-23 1999-05-11 Nippon Steel Corp 薄スケール鋼板の製造方法
JP2009013432A (ja) * 2007-06-29 2009-01-22 Kobe Steel Ltd 表面性状にすぐれた高Si熱延鋼板の製造方法
JP2009274093A (ja) * 2008-05-14 2009-11-26 Kobe Steel Ltd 表面性状に優れたSi含有熱延鋼板の製造方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011231391A (ja) * 2010-04-30 2011-11-17 Kobe Steel Ltd 表面性状に優れた高Si含有鋼板およびその製造方法
CN103556080A (zh) * 2013-10-24 2014-02-05 钢铁研究总院 直接轧制长型材的力学性能控制方法
JP2015199073A (ja) * 2014-04-04 2015-11-12 株式会社神戸製鋼所 表面疵の少ない鋼材の製造方法
CN104785553A (zh) * 2015-04-23 2015-07-22 湖南天益高技术材料制造有限公司 中间穿水箱
CN108555021A (zh) * 2018-05-17 2018-09-21 山东钢铁股份有限公司 一种对窄钢带进行特殊断面尺寸再加工的方法及设备
CN108555021B (zh) * 2018-05-17 2019-08-27 山东钢铁股份有限公司 一种对窄钢带进行特殊断面尺寸再加工的方法及设备
CN111530930A (zh) * 2020-04-30 2020-08-14 太原科技大学 一种镁铝层合板的热轧制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5457852B2 (ja) 2014-04-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101302930B1 (ko) 화성 처리성이 우수한 고 Si 냉연 강판의 제조 방법
JP2020509203A (ja) 衝撃特性に優れた熱間成形用めっき鋼板、熱間成形部材、及びそれらの製造方法
JP6196453B2 (ja) 耐スケール剥離性に優れたフェライト系ステンレス鋼板及びその製造方法
JP5457852B2 (ja) Si含有鋼板の製造方法
WO2013122191A1 (ja) 耐スケール剥離性に優れたフェライト系ステンレス鋼板及びその製造方法
JP2011149062A (ja) 高炭素熱延鋼板の製造方法
JP2010235994A (ja) 加工性に優れたフェライト系ステンレス冷延鋼板及びその製造方法
JP2005320561A (ja) スポット溶接性及び材質安定性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板
JP2010111891A (ja) 冷間圧延鋼板および表面処理鋼板ならびにそれらの製造方法
WO2019131099A1 (ja) 熱延鋼板およびその製造方法
JP5343035B2 (ja) 表面性状に優れた高Si含有鋼板およびその製造方法
JP5280795B2 (ja) 機械的特性の安定性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法
JP5124865B2 (ja) 高張力冷延鋼板およびその製造方法
JP5534319B2 (ja) 酸洗性および加工性に優れた熱延鋼板の製造方法
JP5520086B2 (ja) 表面性状に優れた高Si含有鋼板およびその製造方法
JP5492065B2 (ja) 表面性状に優れた冷延鋼板の製造方法および製造装置
WO2019146458A1 (ja) コイルドチュービング用熱延鋼板およびその製造方法
JP5666999B2 (ja) 条鋼の製造方法
JP2011184780A (ja) オーステナイト+マルテンサイト複相組織ステンレス鋼板およびその製造方法
JP2009275268A (ja) フェライト系ステンレス冷延鋼板およびその製造方法
JP6118684B2 (ja) 表面性状に優れた冷延鋼板の製造方法
KR20130077072A (ko) 강도 및 연신율이 우수한 플럭스 코드 와이어용 강판 및 그 제조 방법
JP4486518B2 (ja) プレス成形性とプレス成形時の被膜密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板
JP5163431B2 (ja) 強度変動の小さい高強度冷延鋼板の製造方法
JP2005179732A (ja) 冷延鋼板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120828

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131022

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131112

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140107

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140110

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5457852

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees