JP6118684B2 - 表面性状に優れた冷延鋼板の製造方法 - Google Patents
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水素濃度(ppm)×0.04<水蒸気濃度(ppm) …(1)
水素濃度(ppm)×0.04<水蒸気濃度(ppm) …(1)
Cは、鋼材(即ち、鋼板)の強度を高めるのに有効な元素であり、0.04%以上含有させることが好ましい。しかしながら、C含有量が0.25%を超えて過剰になると、加工性が低下することになる。より好ましいC含有量は、0.05%以上(更に好ましくは0.06%以上)、0.15%以下(更に好ましくは0.12%以下)である。
Siは、鋼材(即ち、鋼板)の強度を発現しつつ、延性や加工性を確保できる重要な元素であり、高強度鋼板に最低限必要なSi量としてその下限を0.1%以上とすることが好ましい。しかしながら、Si含有量が過剰になると、延性を損なうため、3.0%以下とすることが好ましい。より好ましいSi含有量は、0.5%以上(更に好ましくは0.8%以上)、2.5%以下(更に好ましくは2.0%以下)である。
Mnは、鋼板の強度および靭性を確保するために重要な元素であり、高強度鋼板に最低限必要なMn量としてその下限を0.1%とすることが好ましい。しかしながら、Mn含有量が過剰になると、延性を損なうため、3.0%以下とすることが好ましい。より好ましいMn含有量は、0.2%以上(更に好ましくは0.5%以上)、2.5%以下(更に好ましくは2.3%以下)である。
Alは、製鋼段階での脱酸のために、および焼ならし加熱の際にオーステナイト結晶粒の粗大化を防止するために有効な元素である。しかしながら、Al含有量が0.06%を超えると、その効果が飽和することに加えて、結晶粒が不安定になる。Al含有量は、より好ましくは0.05%以下(更に好ましくは0.04%以下)である。
Pは不可避的に含有される元素であるが、微量のPの存在はセメンタイトの析出を遅延し変態を抑制する。しかしながら、P含有量が過剰になると、延性の劣化とめっき密着性の悪化を招くため、その上限を0.02%以下に止めることが好ましい。P含有量は、より好ましくは0.010%以下(更に好ましくは0.005%以下)である。尚、工業生産上、鋼材中のP含有量を0%にすることは困難である。
Sは不可避的に含有される元素であるが、硫化物系介在物(MnS)を形成し、これが鋼板の熱間圧延時に偏析することにより、鋼板を脆化させるので、その上限を0.004%以下に止めることが好ましい。S含有量は、より好ましくは0.003%以下(更に好ましくは0.002%以下)である。尚、工業生産上、鋼材中のS含有量を0%にすることは困難である。
Nは粗大な窒化物を形成して曲げ性や穴拡げ性を劣化させ、且つ溶接時のブローホールの原因となるので、不可避的不純物として混入する場合、その上限を0.01%以下に止めることが好ましい。N含有量は、より好ましくは0.005%以下(更に好ましくは0.002%以下)である。
Cr、Nb、VおよびWは、いずれも鋼板の強度を高めるのに有効な元素であり、必要に応じて含有させることができる。このうち、Crは鋼板および冷間鍛造品の強度を付与する上で有効な元素である。こうした効果を発揮させるためには、0.01%以上含有させることが好ましい(より好ましくは0.04%以上)。しかしながら、Cr含有量が2%を超えて過剰になっても、延性が低下することになる。Cr含有量は、より好ましくは1.5%以下(更に好ましくは1%以下)である。
Ni、Cu、MoおよびBは、いずれも鋼板の焼入れ性を向上させる元素である。このうちNiは、適量含有させることによって、CAL焼鈍、冷却時点でのマルテンサイト比率の増大とマルテンサイトのラス構造を微細化する作用を通じて、次工程の連続溶融亜鉛めっきライン(CGL)の焼鈍時における二相域再加熱、冷却処理時の焼入れ性を良好にして、冷却後の最終的な複合組織を良好なものとし、各種成形加工性を向上させることができる。Niは微量添加することによってこうした効果を発揮できるが、こうした効果を有効に発揮させるためには、0.1%以上含有させることが好ましい(より好ましくは0.2%以上)。しかしながら、Niは高価な元素であるので、製造コストの点からその含有量は2%以下とすることが好ましく、より好ましくは1.5%以下(更に好ましくは1.0%以下)である。
Ti、Ca、MgおよびREM(希土類元素)は、いずれも脱酸剤として用いられる元素である。こうした効果を発揮させるためには、Tiで0.01%以上(より好ましくは0.02%以上)、Ca、Mg、REMで0.002%以上(より好ましくは0.003%以上)含有させることが好ましい。しかしながら、これらの含有量が過剰になると、成形性が劣化するので、好ましくはTiで0.1%以下、Ca、Mg、REMで夫々0.03%以下、より好ましくはTiで0.08%以下(更に好ましくは0.05%以下)、Ca、Mg、REMで夫々0.02%以下(更に好ましくは0.01%以下)である。
下記表1に示す化学成分組成の鋼材スラブ(鋼種A〜X)を熱間圧延した後、酸洗によりスケーリング除去して、更に冷間圧延することによって、板厚:2.0mmの薄鋼板を作製した。
20時間以下:×(不合格)
20時間超、50時間以下:△(合格)
50時間超、100時間以下:○(合格)
100時間超:◎(合格)
Claims (5)
- 冷間圧延に続いて、酸素濃度が40ppm以下(体積基準、ガス濃度において以下同じ)、水蒸気濃度が650ppm以下である非酸化性雰囲気の連続焼鈍炉内で、C:0.04〜0.25%(質量%の意味、鋼板の化学成分において以下同じ)、Si:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜3.0%およびAl:0.06%以下(0%を含まない)を夫々含有する鋼板の焼鈍を行う際に、600℃以上の送給ロール近傍を、酸素濃度:100ppm未満、水素濃度:200ppm以上で、且つ下記(1)式の関係を満たすガス組成の雰囲気としつつ焼鈍を行うことを特徴とする表面性状に優れた冷延鋼板の製造方法。
水素濃度(ppm)×0.04<水蒸気濃度(ppm) …(1) - 前記600℃以上の送給ロール近傍に、前記ガス組成の酸化性のガスを導入することによって、前記600℃以上の送給ロール近傍を、前記ガス組成の雰囲気とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記鋼板は、更にCr:2%以下(0%を含まない)、Nb:1%以下(0%を含まない)、V:1%以下(0%を含まない)およびW:0.3%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有するものである請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記鋼板は、更にNi:2%以下(0%を含まない)、Cu:2%以下(0%を含まない)、Mo:2%以下(0%を含まない)およびB:0.01%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 前記鋼板は、更にTi:0.1%以下(0%を含まない)、Ca:0.03%以下(0%を含まない)、Mg:0.03%以下(0%を含まない)およびREM:0.03%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
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